(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光硬化性組成物が、光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物、及び光開始剤を含有する化合物からなる群から選択される1種以上を含有する請求項1又は2に記載の接着方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[接着方法の概要]
本実施の形態に係る接着方法は、所定の基材に所定の部材を接着する場合に、基材と部材とを光硬化性組成物を用いて貼り合わせ、貼り合わせ面の側面方向から光照射することにより基材と部材とを接着する方法である。本実施の形態に係る接着方法においては、主として、所定の基材に所定の部材を仮固定し、その後、本固定する多段階方式を採用することが好ましい。すなわち、本実施の形態に係る接着方法は、紫外線に対して不透明な部材を所定の基材に接着させる場合に、部材と基材との間に光硬化性組成物を配置し、部材と基材との間隔を狭めることによって部材と基材との間の光硬化性組成物の一部を部材の外側にはみ出させる。そして、はみ出した部分に部材の正面から光照射する。これにより、はみ出した部分が硬化するので、部材が基材へ仮固定される。続いて、部材と基材との貼り合わせ面の外側の側方側から部材と基材との間に位置する光硬化性組成物に向けて光照射することで、部材と基材との間の光硬化性組成物が硬化する。これにより、部材が基材へ本固定される。本実施の形態に係る接着方法は、正面からの光照射により部材を基材に仮固定できるので、様々な作業環境における接着作業の簡略化、容易化を実現できる。以下、実施の形態において詳述する。
【0016】
[接着方法の詳細]
本実施の形態に係る接着方法は、紫外線に対して実質的に不透明な第1部材に光硬化性組成物を塗布する塗布工程と、第1部材の光硬化性組成物が塗布された側に第1部材とは異なる第2部材を接触させる接触工程と、第1部材と第2部材との間の距離を所定の距離に狭めることで、光硬化性組成物の一部を第1部材の外周より外側に突出させた突出部を形成する突出部形成工程とを備える。そして、本実施の形態に係る接着方法は、突出部に紫外線を照射することで突出部を硬化させる第1硬化工程(すなわち、仮固定工程)と、第1部材と第2部材との間に位置する光硬化性組成物に紫外線を照射して硬化させる第2硬化工程(すなわち、本固定工程)とを更に備える。
【0017】
なお、第1部材が第2部材に接着される所定の部材に該当し、第2部材が所定の基材に該当する。また、第1部材に予め光硬化性組成物を塗布しておくこともできる。この場合、塗布工程を省略できる。
【0018】
図1、
図2、及び
図3は、本実施の形態に係る接着方法の流れの概要の一例を示す。
【0019】
(塗布工程)
まず、第1部材10の第2部材20に貼り合わせる側(
図1の面100)に所定量の光硬化性組成物30を塗布する。光硬化性組成物30は、所定量の組成物を第1部材10の面100の表面に滴下するディスペンサー等を用いて塗布される。また、光硬化性組成物30を、第1部材10上に、メッシュスクリーン印刷、ステンシル印刷、ロール印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、スピンコート、ロール塗布、インクジェット、スプレー、ローラーコーター、ディッピング等の手法を用いて、塗布、印刷、若しくは吹き付けることもできる。
【0020】
ここで、第1部材10の面100は、本実施の形態では実質的に平面である。ただし、面100には所定形状の突起(図示しない)を所定の間隔で設けることもできる。この場合、この突起が、第1部材10と第2部材20との間の距離を調整するスペーサーとして機能する。また、面100の表面に、所定の幅、及び深さを有する溝を設けることもできる。面100の表面に溝を設けることにより、面100と第1部材10との間に気泡が入ることを抑制できる。なお、第1部材10の面100の反対側の面102には、例えば、フック等の構造体を形成、若しくは取り付けることもできる。
【0021】
第1部材10は、紫外線を実質的に透過しない材料により構成される。例えば、第1部材10は、ABS、ポリプロピレン等のプラスチック、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリカーボネート等のエンジニアリングプラスチック、ポリフェニレンサルファイド樹脂(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)等のスーパーエンジニアリングプラスチック、ポリマーアロイ、繊維強化プラスチック、着色プラスチック、セラミック、黒セラミック、ガラス、及び/又は金属等を用いて構成される。なお、第1部材10は、光硬化性組成物30が塗布される面を有する限り、様々な形状にすることができる。また、第2部材20も、第1部材10と同様の材料から構成することができる。第1部材10を構成する材料と第2部材20を構成する材料とは、同一でも異なっていてもよい。
【0022】
光硬化性組成物30としては、光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物、及び/又は光開始剤を含有する化合物を用いることができる。
【0023】
光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物としては、例えば、(メタ)アクリロイル基を有する化合物、及び窒素原子にビニル基が直接結合したN−ビニル化合物を用いることができる。
【0024】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物や(メタ)アクリルアミド基を有する化合物が挙げられ、貯蔵安定性が良好である観点からは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物が好ましい。また、反応性が良好である観点からは、(メタ)アクリルアミド基を有する化合物が好ましい。
【0025】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物は、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。粘度の観点からは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーが好ましい。また、硬化物の物性の観点からは、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオリゴマーが好ましい。
【0026】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するモノマーとしては、(メタ)アクリロイルオキシ基を1個以上含有する化合物であれば、いずれの化合物を用いてもよい。例えば、単官能(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート類等を用いることができる。
【0027】
単官能(メタ)アクリレート類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、エチル(メタ)アクリレート、1−メトキシエチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ブチル(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性コハク酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート等が挙げられる。光硬化性組成物30の柔軟性を確保する観点からは、単官能(メタ)アクリレート類を用いることが好ましい。
【0028】
多官能アクリレート類としては、例えば、1、3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレ−ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エピクロロヒドリン変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルジアクリレート、エチレンオキサイド変性ジシクロペンテニルジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルイソシアヌレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。多官能アクリレート類は、酸素阻害が生じにくい観点から好ましい。
【0029】
(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオリゴマーとしては、アクリル系オリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー等が挙げられる。
【0030】
アクリル系オリゴマーとしては、主鎖が(メタ)アクリル酸エステル系重合体であって(メタ)アクリロイルオキシ基を有するオリゴマーを用いることができる。このような重合体はアニオン重合又はラジカル重合によって製造されることが好ましく、モノマーの汎用性若しくは制御の容易さからラジカル重合による製造がより好ましい。ラジカル重合の中でも、リビングラジカル重合若しくは連鎖移動剤を用いたラジカル重合によって製造することが好ましく、リビングラジカル重合法がより好ましく、原子移動ラジカル重合法が特に好ましい。リビングラジカル重合法を用いると、重合体鎖末端に(メタ)アクリロイルオキシ基を有する重合体を製造できる。
【0031】
アクリル系オリゴマーとして、例えば、両末端にアクリロイル基を有するポリアクリル酸n−ブチルや片末端にアクリロイル基を有するポリアクリル酸n−ブチル、両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸エチル/2−メトキシエチルアクリレート)、両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸n−ブチル/アクリル酸2−エチルヘキシル)、又は両末端にアクリロイル基を有するポリ(アクリル酸2−エチルヘキシル)等を用いることができる。
【0032】
アクリル系オリゴマーの骨格成分(原料モノマー)としては、メタクリル酸メチル(PMMA)、スチレン(St)、スチレン−アクリロニトリル(St−AN)、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2−エチルヘキシル(EHA)、メタクリル酸ブチル(BMA)、メタクリル酸イソブチル(IBMA)等が挙げられる。
【0033】
アクリル系オリゴマーの市販品としては、例えば、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6、AA−714、AB−6、AJ−7、AN−6、AS−6、AW−6、AZ−8、HA−6、HN−6、HS−6、(株)カネカ製のRC−300、RC−100、RC−200等が挙げられる。
【0034】
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸との脱水縮合物等が挙げられる。ここで、ポリエステルポリオールとしては、ポリオールとカルボン酸又はその無水物との反応物等が挙げられる。
【0035】
ポリオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、及びジペンタエリスリトール等の低分子量ポリオール、並びにこれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0036】
カルボン酸又はその無水物としては、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、及び/又はトリメリット酸等の二塩基酸又はその無水物等が挙げられる。
【0037】
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加反応させた化合物が挙げられる。エポキシ樹脂としては、芳香族エポキシ樹脂、及び脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0038】
芳香族エポキシ樹脂としては、具体的には、レゾルシノールジグリシジルエーテル;ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールフルオレン又はそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;グリシジルフタルイミド;o−フタル酸ジグリシジルエステル等が挙げられる。これら以外にも、文献「エポキシ樹脂−最近の進歩−」(昭晃堂、1990年発行)2章や、文献「高分子加工」別冊9・第22巻増刊号エポキシ樹脂〔高分子刊行会、昭和48年発行〕の4〜6頁、9〜16頁に記載されている化合物が挙げられる。
【0039】
脂肪族エポキシ樹脂としては、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオール等のアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコールのジグリシジルエーテル;ネオペンチルグリコール、ジブロモネオペンチルグリコール、及びそのアルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル;トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ又はトリグリシジルエーテル、並びにペンタエリスリトール、及びそのアルキレンオキサイド付加体のジ、トリ又はテトラグリジジルエーテル等の多価アルコールのポリグリシジルエーテル;水素添加ビスフェノールA、及びそのアルキレンオキシド付加体のジ又はポリグリシジルエーテル;テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエーテル;ハイドロキノンジグリシジルエーテル等が挙げられる。
【0040】
これら以外にも、文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の3〜6頁に記載されている化合物を挙げることができる。これら芳香族エポキシ樹脂、及び脂肪族エポキシ樹脂以外にも、トリアジン核を骨格に持つエポキシ化合物、例えばTEPIC(日産化学(株))、デナコールEX−310(ナガセ化成(株))等が挙げられ、また、文献「高分子加工」別冊エポキシ樹脂の289〜296頁に記載されている化合物等が挙げられる。アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、及びプロピレンオキサイド等が好ましい。
【0041】
ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリオールと有機ポリイソシアネートとの反応物に対して、更にヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた反応物等が挙げられる。ここで、ポリオールとしては、低分子量ポリオール、ポリエチレングリコール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等を用いることができる。低分子量ポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、及び3−メチル−1,5−ペンタンジオール等を用いることができ、ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコール等を用いることができる。ポリエステルポリオールとしては、これら低分子量ポリオール、及び/又はポリエーテルポリオールと、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等の二塩基酸又はその無水物等の酸成分との反応物が挙げられる。有機ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、及び2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、例えば、ジブチルスズジラウレート等の付加触媒存在下、用いる有機イソシアネートとポリオール成分とを加熱撹拌し付加反応させ、更にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを添加し、加熱撹拌して付加反応させる製法で合成できる。
【0042】
ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、ポリアルキレングリコール(メタ)ジアクリレートが挙げられ、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0043】
(メタ)アクリルアミド基を有する化合物としては、例えば、下記式(1)で表される化合物や下記式(2)で示される化合物が挙げられる。
【0045】
式(1)において、R
1は水素原子又はメチル基を表し、R
2及びR
3は、水素原子又は炭素数が1以上20以下の炭化水素基を表し、1分子中のR
2及びR
3は、同一の基であっても、異なる基であってもよく、環状構造を有することもできる。ここで、炭素数が1以上20以下の炭化水素基としては入手の容易性からアルキル基が好ましく、炭素数が1以上3以下のアルキル基がより好ましく、直鎖状でも分岐を有していてもよい。アルキル基としては、水酸基、芳香族基、及び/又はジアミノアルキル基を更に有するアルキル基であってもよい。アルキル基の具体例としては、メチル基、プロピル基、ブチル基、ブチル基、及びヘキシル基等が挙げられる。
【0046】
また、水酸基を有するアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、及び/又はヒドロキシプロピル基等を挙げることができる。そして、芳香族基を有するアルキル基としては、ベンジル基等を挙げることができる。更に、ジアルキルアミノアルキル基としては、N,N−ジメチルアミノエチル基、又はN,N−ジメチルアミノプロピル等を挙げることができる。
【0048】
式(2)において、R
1は式(1)のR
1と同様である。
【0049】
式(1)で示される(メタ)アクリルアミドの具体例としては、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−sec−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジヘキシル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジベンジル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体等が挙げられる。
【0050】
式(2)で示される(メタ)アクリルアミドの具体例としては、アクリロイルモルホリン、メタアクリロリルモルホリン等が挙げられ、良好な硬化性を確保する観点からは、アクリロイルモルホリンを用いることが好ましい。
【0051】
N−ビニル化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、及び/又はN−ビニルカプロラクタム等が挙げられる。本実施の形態において、N−ビニル化合物は、反応性の観点や、酸素阻害が生じにくい観点から好ましい。
【0052】
光開始剤を含有する化合物としては、ラジカル重合開始剤を含有する光硬化性組成物を用いることができる。ラジカル重合開始剤が添加される組成物としては、上記の光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物等を用いることができる。
【0053】
ラジカル重合開始剤としては、ジアシルパーオキサイド類、ケトンパーオキサイド類、ヒドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、パーオキシケタール類、アルキルパーエステル類、又はパーオキシカーボネート類等の有機過酸化物を用いることができる。また、開始剤として、光照射によりラジカルを発生する光ラジカル開始剤等の他のラジカル重合開始剤を用いることもできる。
【0054】
ラジカル重合開始剤の具体例として、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0055】
また、光ラジカル開始剤の例としては、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、及びベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインエーテル類;4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、及び4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン、及びN,N−ジメチルアミノアセトフェノン等のアセトフェノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、及び2−イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類;ベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール等のケタール類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類;エチル−p−ジメチルアミノベンゾエート、(2−ジメチルアミノ)エチルベンゾエート、ビス−4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のアミン相乗剤等が挙げられる。
【0056】
これらの中でも、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、及び2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルホリン−4−イル−フェニル)−ブタン−1−オン等のα−アミノアセトフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類;及びアミン相乗剤等の長波長(例えば、波長300nm)に光吸収領域を有する光ラジカル開始剤が深部硬化性の観点から好ましく、アシルフォスフィンオキサイド類、及びアミン相乗剤がより好ましい。
【0057】
また、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン等のα−ヒドロキシアセトフェノン類は表面硬化性を向上させることができる観点から好ましい。
【0058】
ラジカル開始剤は、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム等の無機物、ジメチルフタレート、ジブチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、シリコーンオイル、流動パラフィン、重合性モノマー、及び/又は水等の希釈剤で希釈して用いてもよい。
【0059】
また、光硬化性組成物30に、必要に応じて、光増感剤、光カチオン硬化性重合体、光アニオン硬化性重合体、光酸発生剤、光塩基発生剤、粘着付与樹脂、増量剤、可塑剤、水分吸収剤、硬化触媒、引張特性等を改善する物性調整剤、補強剤、着色剤、難燃剤、タレ防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、老化防止剤、溶剤、有機フィラー、導電性フィラー、熱伝導性フィラー、香料、顔料、染料等の各種添加剤を加えてもよい。例えば、光硬化性組成物に、所定粒径のガラスビーズ又は樹脂ビーズを添加できる。光硬化性組成物にガラスビーズ又は樹脂ビーズを添加した場合、ガラスビーズ又は樹脂ビーズは、ガラスビーズ又は樹脂ビーズの粒径に応じて第1部材10と第2部材20との間隔を調整する機能を発揮する。
【0060】
(接触工程)
次に、第1部材10の光硬化性組成物30が塗布された側と第2部材20の面200とを対向させる。そして、第1部材10の光硬化性組成物30と面200とを接触させる。この場合において、光硬化性組成物30が塗布された第1部材10、又は第2部材20を保持する冶具を用い、第1部材10又は第2部材20を相手方に接触させることができる。
【0061】
(突出部形成工程)
続いて、第1部材10と第2部材20との間隔を狭めることで、光硬化性組成物30の一部を第1部材10の外周の外側に突出させる。これにより、光硬化性組成物30からなる突出部104を形成する。例えば、第1部材10の光硬化性組成物30が塗布された側と第2部材20の面200とを接触させた状態で第1部材10に所定の圧力を加えることで、光硬化性組成物30の一部を第1部材10の外周より外側に突出させて突出部104を形成する。
【0062】
ここで、第1部材10と第2部材20との間隔は、第2硬化工程での紫外線照射により、光硬化性組成物30の内側、すなわち、平面視にて第1部材10の中央付近の光硬化性組成物30まで紫外線が到達する距離に調整する。例えば、第1部材10に加える圧力を調整することで、当該距離を調整できる。一例として、第1部材10と第2部材20との間の光硬化性組成物30の厚さは、10μm以上に調整される。また、光硬化性組成物30がガラスビーズ等の添加剤を含有する場合、添加剤のサイズ(例えば、ガラスビーズの粒径)を調整することで添加剤をスペーサーとして機能させることができる。また、第1部材10の面100に所定サイズの突起を形成することで、当該突起をスペーサーとして機能させることもできる。
【0063】
(第1硬化工程)
次に、
図2に示すように、突出部104に紫外線40を照射する。これにより、突出部104が硬化し、仮固定部106が形成される。なお、仮固定部106の一部が平面視にて第1部材10の下側に入り込んでいてもよい。仮固定部106が形成されることで、第1部材10が第2部材20に仮固定される。ここで、本実施の形態の第1硬化工程においては、第1部材10と第2部材20との貼り合わせ面の正面側から紫外線40を照射する。つまり、第1硬化工程においては、貼り合わせ面の法線方向に沿って、紫外線40が照射される。なお、第1硬化工程における紫外線40の照射は、紫外線40が貼り合わせ面の法線方向に実質的に沿っていればよい。ここで、「法線方向に実質的に沿って」いるとは、法線方向に完全に沿っている場合だけでなく、多少の角度が付いていても、第1硬化工程で突出部104を硬化させるという本質において、法線方向に沿っていると認められることをいう。
【0064】
(第2硬化工程)
続いて、
図3に示すように、第1部材10と第2部材20との間の光硬化性組成物30に紫外線40を照射する。これにより、光硬化性組成物30が硬化して、接着層35が形成され、第1部材10と第2部材20とが接着する。なお、
図3の上側は、第1部材10、第2部材20、及び光硬化性組成物30を横方向からの図であり、下側は、上方向からの図(すなわち平面図)である。ここで、第2硬化工程においては、貼り合わせ面の側方側から紫外線40を照射する。すなわち、第2硬化工程においては、第1部材10の面100の法線方向、及び/又は第2部材20の面200の法線方向から傾いた方向から、光硬化性組成物30に紫外線40を照射する。この傾きは、面100及び/又は面200の水平方向に対して0°以上90°未満の範囲で調整できる。
【0065】
なお、平面視にて突出部104は、第1部材10の外周の一部、若しくはすべてから突出して形成される。この場合、第2硬化工程においては、紫外線40を第1部材10の一の側方側から照射することも、複数の側方側から同時、若しくは順次照射することもできる。
【0066】
また、紫外線40の波長は、平面視にて紫外線40を透過させることが要求される光硬化性組成物30の距離の長さに応じ、適宜調整できる。例えば、第1部材10が平面視にて略長方形の形状を有し、紫外線40を第1部材10の長辺方向に沿って照射する場合、長辺の長さ300を充分に透過できる長い波長の紫外線(第1の波長の紫外線。一例として、波長が405nmの紫外線)を用いることが好ましい。また、紫外線40を、長さ300より短い長さの領域を透過させる場合、第1の波長の紫外線より波長の短い紫外線(第2の波長の紫外線。一例として、波長が365nm若しくは385nmの紫外線。)を用いることもできる。
【0067】
なお、紫外線40の光源としては、紫外線ランプや発光ダイオード等を用いることができる。また、紫外線40の光源と、所定の光学系(例えば、光ファイバー等)とを組み合わせることもできる。更に、紫外線40の照射方法としては、連続照射、パルス照射のいずれも採用できる。そして、紫外線40の照射条件は、第1部材10の形状及びサイズ、並びに光硬化性組成物の組成等に応じて適宜、調整される。
【0068】
図4は、本実施の形態の変形例に係る接着方法の概要の一例を示す。
【0069】
変形例において光硬化性組成物30は、紫外線40を透過する透過部材50を含有することができる。透過部材50は、例えば、ガラスビーズ、柔軟性を有する透明樹脂材料(例えば、樹脂ビーズ)、及び/又は所定の硬度を有する透明樹脂材料(例えば、高硬度の樹脂ビーズ)等で構成される。なお、透過部材50と共に、若しくは代わりに、紫外線40を散乱させる不透明な樹脂材料(例えば、不透明な樹脂ビーズ)を用いることもできる。透過部材50は、ガラスビーズ、柔軟性を有する透明樹脂材料、所定の硬度を有する透明樹脂材料、及び/又は不透明な樹脂材料からなる粒子との混合物で構成することもできる。光硬化性組成物30が透過部材50を含有することで、第2硬化工程において第1部材10及び第2部材20の側面側から紫外線40を照射した場合に、光硬化性組成物30の端部から光硬化性組成物30に入射した紫外線40が透過部材50内を透過若しくは反射しつつ伝搬するので、光硬化性組成物30の内部まで紫外線40が到達しやすくなる。したがって、透過部材50を含有する光硬化性組成物30を用いた接着方法によれば、より短時間で強固な接着を実現できる。
【0070】
また、本実施の形態の他の変形例において、第1部材10は、外縁の少なくとも一部に紫外線を透過する透明領域(以下、「外縁透明部」と称する)を有することもできる。第1部材10が外縁透明部を有する場合、突起部形成工程は、第1部材10と第2部材20との間隔を狭めて光硬化性組成物30の一部を外縁透明部の直下に到達させることで、外縁透明部の直下に突出部104を形成する。そして、第1硬化工程は、外縁透明部の直下の突出部104に紫外線40を照射することで、この突出部104を硬化させる。これにより、平面視にて第1部材10の外縁の外側に光硬化性組成物30がはみ出ることを抑制できる。
【0071】
また、本実施の形態の更に他の変形例に係る接着方法は、第1部材10の光硬化性組成物30が塗布された側に第2部材20を接触させる接触工程と、第1部材10と第2部材20との間の光硬化性組成物30に、第1部材10と第2部材20との貼り合わせ面の側面側から紫外線40を照射して硬化させる硬化工程とを備える。この硬化工程においては、貼り合わせ面の複数の側面側から紫外線40を順次、若しくは同時に照射することもできる。第1部材10と第2部材20との間の光硬化性組成物30の厚さを、10μm以上に調整することで、光硬化性組成物30の全体を迅速、適切に硬化させることができる。なお、この硬化工程は、第2硬化工程と同様の条件で実行できる。
【0072】
本実施の形態、及び本実施の形態の各種変形例に係る接着方法は、様々な部材同士の接着に用いることができる。例えば、自動車のフロントガラスやリアウィンドウ等の自動車用のガラスが有する黒セラミック部分に位置決めスペーサーとして接着される部材(すなわち、自動車部品)の接着用途、液晶表示装置等の製造用途、不透明部材同士の接着用途等、様々な接着用途に応用できる。一例として、本実施の形態に係る接着方法は、自動車用のガラスが有する黒セラミック部分に、前方確認カメラ、センサー、及び/又はヘッドアップディスプレイ等を接着する用途に用いることができる。
【0073】
(実施の形態の効果)
本実施の形態に係る接着方法は、第2部材20(基材)に第1部材10(被着体)を接着する場合に、第1部材10と第2部材20との間に配置した光硬化性組成物30の一部を、平面視にて第1部材10の外周より外側に突出させることで突出部104を形成する。そして、突出部104に対し、第1部材10の正面の方向(すなわち、第1部材10の光硬化性組成物30が塗布された面100の法線方向)から紫外線40を照射することで突出部104を硬化させる。これにより本実施の形態に係る接着方法は、第1部材10を第2部材20に仮固定できる。続いて、第1部材10及び第2部材20の側面方向から光硬化性組成物30の内部に向けて紫外線40を照射することで、第1部材10と第2部材20との間に位置する光硬化性組成物30を硬化させる。これにより、第1部材10が第2部材に本固定される。
【0074】
したがって、本実施の形態に係る接着方法によれば、第1部材10を第2部材20に素早く仮固定できるので、様々な形状、サイズの部材を様々な作業環境において容易に接着させることができ、接着作業時間の短縮や接着作業の簡略化、容易化を実現することができる。
【0075】
[実施例]
以下、実施例を用いて説明する。
【0076】
(実施例1)
実施例1に係る光硬化性組成物として、光ラジカル重合性のビニル基を有する化合物である紫外線硬化型ウレタンアクリレート(UV−6640B、日本合成化学(株)社製、Mw=5000))50重量部と、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート(P−200A、(共栄社化学(株)社製))50重量部と、光開始剤としての2-ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(Irgacure 1173、BASF社製)2重量部と、2,4,6,−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(Irgacure TPO、BASF社製)1重量部とをそれぞれ秤量し、混合して調整した。これにより、実施例1に係る光硬化性組成物を準備した。
【0077】
次に、第1部材10(被着材)として、アルミニウム板(A6063、硫酸アルマイト処理、6×12×75mm)を準備した。また、第2部材20(基材)として、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT)(ポリプラスチック(株)社製、ジュラネックス2002、サイズ:2×25×100mm)を準備した。
【0078】
[仮固定性]
図5は、仮固定性を確認する実験方法の概要を示す。
【0079】
図5の(a)に示すように、アルミニウムからなる第1部材10に実施例1に係る光硬化性組成物30を塗布し、第2部材20としてのPBTに貼り合わせ、被着材の外周に光硬化性組成物の突出部104ができるように圧締した。その後、UV照射し、突出部104を硬化させた。UV照射の条件(以下、「UV照射条件1」とする)は以下のとおりである。
【0080】
(UV照射条件1)
・ランプの種類:UV−LED 405nm(HOYA CANDEO OPTRONICS CORPORATION社製)
・照度:1000mW/cm
2
・積算光量:1000mJ/cm
2
【0081】
UV照射後、光硬化性組成物30を介して互いに貼り合わされた第1部材10及び第2部材20を
図5の(b)に示すように水平面に垂直に立て、その後、第2部材20に対して第1部材10がずれるか否かを観察した。実施例1においては第2部材20に対する第1部材10のずれは確認できなかった(以下、ズレが生じなかった場合に、仮固定性を「〇」と評価するものとする。)。
【0082】
また、第1部材10としての被着材に小型PBT(2×10×40mm)を用い、この小型PBTに実施例1に係る光硬化性組成物30を塗布し、第2部材20にとしてのガラス板に貼り合わせ、第1部材10の外周に光硬化性組成物30の突出部104ができるように圧締した。その後、UV照射し、突出部104を硬化させた。UV照射条件は、「UV照射条件1」と同一である。UV照射後、光硬化性組成物30を介して互いに貼り合わされた小型PBT及びガラス板を水平面に垂直に立て、PBTに対して小型PBTがずれるか否か観察した。その結果、ズレは確認できなかったため、仮固定性を「○」と評価した。
【0083】
[硬化距離]
図6は、硬化距離を測定する実験方法の概要を示す。
【0084】
第1部材10と第2部材20との間に配置された光硬化性組成物30に、貼り合わせ面の側面からUV照射した場合において、側面からどの程度の距離まで硬化するかを確認した。
【0085】
具体的に、2枚のPBT60(ポリプラスチック(株)社製、ジュラネックス2002、サイズ:2×25×100mm)を準備し、一方のPBT60に所定の厚さのスペーサー70を設け、PBT60に塗布される光硬化性組成物30の厚さを規定した。光硬化性組成物30の厚さは、スペーサー70の厚さを調整することで50μmに設定した。なお、一方のPBT60に塗布した光硬化性組成物30の面積は25mm×5mmに規定した。光硬化性組成物30をスペーサー70の間に塗布した後、光硬化性組成物30が塗布された一方のPBT60に他方のPBT60を貼り合わせ、マスキングテープで固定した。次に、貼り合わせ面の側面からUV照射した。UV照射の条件(以下、「UV照射条件2」とする)は以下のとおりである。
【0086】
(UV照射条件2)
・ランプの種類:UV−LED 405nm(HOYA CANDEO OPTRONICS CORPORATION社製)
・照度:1500mW/cm
2
・積算光量:90J/cm
2
【0087】
その後、他方のPBT60を一方のPBT60から剥がし、メジャーで硬化距離を測定した。また、光硬化性組成物30の厚さを100μm、200μm、及び500μmに設定した以外は上記と同様にして、同様の実験を実施した。更に、1枚のPBT60と1枚のガラス板とを準備し、上記と同様に硬化距離を測定した(ただし、光硬化性組成物30の厚さは、ガラス板を用いた場合200μmに規定した。)。
【0088】
(実施例2)
実施例2に係る光硬化性組成物は、実施例1に係る光硬化性組成物とは、フェノキシ−ポリエチレングリコールアクリレート(P−200A、(共栄社化学(株)社製))の添加量が25質量部であり、更に25質量部のイソボルニルアクリレート(IBX−A、共栄社化学(株)社製)を添加した点を除き、実施例1と同様にして調整した。また、実施例2についても、実施例1と同様に仮固定性、及び硬化距離を測定した。
【0089】
表1は、実施例1及び実施例2に係る光硬化性組成物の原料組成、並びに仮固定性と硬化距離測定の結果を示す。
【0091】
表1を参照すると分かるように、実施例1及び実施例2のいずれにおいても互いに貼り合わせる部材の材質にかかわらず仮固定性が「○」であり、光硬化性組成物30の厚さが少なくとも50μmから500μmの間において、互いに貼り合わせる部材の材質にかかわらず、側面からUV照射した場合の硬化距離が少なくとも25mm以上であることが示された。
【0092】
以上、本発明の実施の形態及び実施例を説明したが、上記に記載した実施の形態及び実施例は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態及び実施例の中で説明した特徴の組合せのすべてが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。