特許第6641621号(P6641621)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641621
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】天板昇降式什器
(51)【国際特許分類】
   A47B 9/20 20060101AFI20200127BHJP
【FI】
   A47B9/20
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-219959(P2015-219959)
(22)【出願日】2015年11月9日
(65)【公開番号】特開2017-86439(P2017-86439A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年8月10日
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 開催日:平成27年10月15日(木)〜平成27年10月16日(金)、集会名:第4回 金融機関店舗フェア、開催場所:東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内3丁目5番1号)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】山本 崇之
(72)【発明者】
【氏名】崎本 隆之
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−079771(JP,A)
【文献】 実開昭60−185930(JP,U)
【文献】 特開平08−196348(JP,A)
【文献】 国際公開第97/19617(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 9/00−9/20、13/00−13/06
A47B 17/00、17/04、27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に作業面を有する天板と、
床面上に互いに離間して配置された一対のベース部と、
各前記ベース部に固定された下部脚体と、
該下部脚体に対して上下方向に相対移動することで前記天板の高さを調整可能に該天板を支持する上部脚体と、
前記下部脚体に支持され、内部に前記下部脚体に沿って空間部が形成されているとともに、外部と前記空間部とを連通する連通孔が形成された中空部材と、
パネル状の幕板と、を備え、
前記幕板は、
先端部が前記空間部内に配置され、前記連通孔に取り付けられる取付部を有し、
前記中空部材は、
中空状に形成され、前記連通孔が形成されたカバー本体と、
該カバー本体の内部に設けられたスペーサと、を有し、
該スペーサは、
前記下部脚体に沿って配置される基部と、
該基部から前記幕板側に向かって延びる壁部と、を有することを特徴とする天板昇降式什器。
【請求項2】
前記取付部は、前記連通孔に係止される係止爪部であることを特徴とする請求項1に記載の天板昇降式什器。
【請求項3】
前記中空部材の内部に前記下部脚体が配置されるとともに、前記下部脚体と隣接して前記空間部が形成され、
前記中空部材の下端部が前記ベース部に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の天板昇降式什器。
【請求項4】
前記空間部は、前記下部脚体において、利用者が前記天板に向かう側と反対側に設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の天板昇降式什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、昇降式の天板を備えたデスク装置、テーブル装置、カウンター装置等の天板昇降式什器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、オフィスや病院等の公共施設等の執務空間においては、執務者に作業エリアを提供するためにデスク、テーブル、作業台、実験台等の天板付什器が配設されている。天板付什器の天板の高さについて、執務者の体格や性別、嗜好により作業のし易い高さが個々により大きく異なる。天板の高さが一定の場合にはこのような実情に対応できないため、天板の高さを上下方向に変更可能とした天板昇降式什器が使用されている。こうした天板昇降式什器を用いることにより、執務者の要望に応じた天板の高さの作業エリアを提供することができ、作業効率を向上するとともに、執務者の体への負荷を低減することができる。
【0003】
天板の高さを上下方向に変更するための手段としては、ガススプリングを用いる方法、ギアを用いる方法等が提案されている(例えば、下記特許文献1及び2参照)。これらの方法によれば、比較的簡易的な構造とし、コストを安く抑えることができる。また、執務者の操作性を良好にするために電動式の昇降機構ユニットを用いる方法が多く採用されている(例えば、下記特許文献3から5参照)。この方法によれば、執務者が容易な操作で天板の高さを変更できる。
【0004】
ところで、執務者の下肢が露呈するのを防止するために、天板付什器では、天板の下方にパネル状の幕板を設けた天板付什器が一般的に知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3371959号公報
【特許文献2】特許第3391285号公報
【特許文献3】登録実用新案第3164739号公報
【特許文献4】特開2014−113505号公報
【特許文献5】特許第5718503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、天板昇降式什器では、脚体が伸縮することで脚体に支持された天板の高さが上下方向に変化するため、執務者の下肢の露呈を防止する幕板を脚体に設けることが困難である。
また、幕板を取り付けた場合に、利用者の中には閉塞感を感じてしまう者もいる。このため、利用者の要望等に応じて幕板を脚体に取り付けることが好ましいが、幕板を螺子止め等で脚体に取り付けると、幕板を取り外した際に脚体に螺子孔等の加工が露出して体裁が悪いため、脚体に加工を施さずに幕板を取り付けることが望まれている。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、脚体に加工を施さずに、利用者の下肢の露呈を防止する幕板を取り付け可能な天板昇降式什器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る天板昇降式什器は、上面に作業面を有する天板と、床面上に互いに離間して配置された一対のベース部と、各前記ベース部に固定された下部脚体と、該下部脚体に対して上下方向に相対移動することで前記天板の高さを調整可能に該天板を支持する上部脚体と、前記下部脚体に支持され、内部に前記下部脚体に沿って空間部が形成されているとともに、外部と前記空間部とを連通する連通孔が形成された中空部材と、パネル状の幕板と、を備え、前記幕板は、先端部が前記空間部内に配置され、前記連通孔に取り付けられる取付部を有し、前記中空部材は、中空状に形成され、前記連通孔が形成されたカバー本体と、該カバー本体の内部に設けられたスペーサと、を有し、該スペーサは、前記下部脚体に沿って配置される基部と、該基部から前記幕板側に向かって延びる壁部と、を有することを特徴とする。
【0009】
このように構成された天板昇降式什器では、下部脚体は、床面上に設置されるベース部に固定されている。内部に下部脚体に沿って空間部が形成された中空部材は、下部脚体に支持されている。また、中空部材には、外部と空間部とを連通する連通孔が形成されている。先端部が空間部内に配置された幕板の取付部は、連通孔に取り付けられている。つまり、中空部材により、下部脚体に沿って配置される空間部を形成され、該空間部内に先端部が配置された取付部により、幕板が下部脚体に取り付けられている。よって、下部脚体に加工を施さずに幕板を下部脚体に取り付けることができるとともに、パネル状の幕板により利用者の下肢の露出を防止することができる。
また、幕板と下部脚体とを取り付ける取付部の先端部は、中空部材の内部の空間部内に配置されるため、取付部分の露出が抑制される。
【0010】
また、本発明に係る天板昇降式什器は、前記取付部は、前記連通孔に係止される係止爪部であることが好ましい。
【0011】
このように構成された天板昇降式什器では、取付部は連通孔に係止される係止爪部であるため、簡易な構成で、幕板を下部脚体に取り付けることができる。
【0012】
また、本発明に係る天板昇降式什器は、前記中空部材の内部に前記下部脚体が配置されるとともに、前記下部脚体と隣接して前記空間部が形成され、前記中空部材の下端部が前記ベース部に支持されていてもよい。
【0013】
このように構成された天板昇降式什器では、中空部材の内部に下部脚体が配置されるとともに、下部脚体と隣接して空間部が形成されている。中空部材の下端部は、ベース部に支持されている。よって、簡易な構成で、下部脚体に中空部材を支持させて、幕板を取り付ける取付部が配置される空間部を設けることができる。
【0014】
また、本発明に係る天板昇降式什器は、前記空間部は、前記下部脚体において、利用者が前記天板に向かう側と反対側に設けられていてもよい。
【0015】
このように構成された天板昇降式什器では、空間部は下部脚体において利用者が天板に向かう側と反対側に設けられ、当該空間部を利用して幕板が取り付けられる。よって、天板の下方の利用者の下肢が配置される空間を確保しつつ、幕板を設けることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る天板昇降式什器によれば、脚体に加工を施さずに、利用者の下肢の露呈を防止する幕板を取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係る天板昇降式什器の斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る天板昇降式什器を、図1と異なる角度から見た斜視図である。
図3】本発明の一実施形態に係る天板昇降式什器の幕板の分解斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る天板昇降式什器の構成を示す縦断面図であり、図5のB−B断面図である。
図5】本発明の一実施形態に係る天板昇降式什器の構成を示す水平断面図であり、図4のA−A断面図である。
図6】本発明の一実施形態の変形例に係る天板昇降式什器を幕板側から見た正面図である。
図7】本発明の一実施形態の変形例に係る天板昇降式什器の側面図である。
図8】本発明の一実施形態の変形例に係る天板昇降式什器の幕板の分解斜視図である。
図9】本発明の一実施形態の変形例に係る天板昇降式什器の構成を示す水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の天板昇降式什器の実施形態の一例としてデスク装置について、図面を参照して説明する。
図1図2は、本発明の一実施形態に係る天板昇降式什器の斜視図である。なお、図2において、後述する昇降ユニット14の一部よりも上方を二点鎖線で示している。
図1及び図2に示すように、デスク装置1は、床面Fに設置される下部構造体10と、下部構造体10に支持された天板21と、天板21の下方に設けられた上部幕板41及び下部幕板(幕板)43と、を備えている。
【0019】
下部構造体10は、一対の脚部材11と、これら一対の脚部材11間を連結する連結部材(不図示。以下同じ。)と、を有している。
【0020】
脚部材11は、天板21の長辺方向(以下、この方向を幅方向と適宜称する。)に間隔を有して配置されている。
【0021】
各脚部材11は、床面Fに設けられるベース部材(ベース部)12と、各ベース部材12の上部に設けられて上下方向に延び天板21を支持する一対の昇降ユニット(脚体)14と、を有している。
【0022】
各ベース部材12は、天板21の短辺方向(以下、この方向を前後方向と適宜称する。)に延びている。ベース部材12の下面には、床面Fに設置する接地部材12fが、前後方向両側に設けられている。各接地部材12fは、ベース部材12から下方への突出寸法が調整可能である。これにより、ベース部材12の高さおよび水平レベルを調整できるようになっている。
【0023】
昇降ユニット14は、ベース部材12の上面12tから上方に延びるように設けられている。
【0024】
昇降ユニット14は、平断面寸法が互いに異なる複数の筒状体14a,14b,14cを備えている。昇降ユニット14は、最も平断面寸法が大きな筒状体(下部脚体)14aの内側に筒状体(上部脚体)14bが挿入され、筒状体14bの内側に筒状体(上部脚体)14cが挿入されている。図示しない駆動機構によって、筒状体14aに対し、その内側に挿入された筒状体14b,14cが上下方向に出没する。このようにして、昇降ユニット14は上下方向に伸縮し、天板21を上下方向に昇降可能に支持する。これら筒状体14a,14b,14cは、板金等の折曲加工で形成されている。
【0025】
天板21は、平面視長方形の板状で、上面に作業面21tを有している。天板21の幅方向の両側の下面には、支持ブラケット(不図示。以下同じ。)が設けられている。天板21は、支持ブラケット介して、脚部材11の筒状体14cの上端に連結されている。
【0026】
天板21の前端部21fの下面21uには、昇降ユニット14の昇降動作を操作する操作部22が設けられている。操作部22は、操作部22の操作入力に応じて昇降ユニット14の動作を制御する制御ユニット(不図示。以下同じ。)に、配線ケーブル(不図示。以下同じ。)を介して接続されている。制御ユニットは、例えば、天板21の下面21u等に固定されている。
【0027】
利用者が操作部22に対して所定の操作を入力すると、操作部22から配線ケーブルを介し、制御ユニットに操作信号が送信される。制御ユニットは、操作部22から操作信号を受信すると、受信した信号に基づいて昇降ユニット14に昇降動作を実行させる指令信号を出力する。昇降ユニット14は、指令信号を受け取ると、その指令信号に応じて伸縮駆動され、これによって天板21の高さの調整がなされる。
【0028】
また、天板21の後端部21r側において、長辺方向の両側には、上下に貫通する配線挿通孔(不図示。以下同じ。)が設けられている。配線挿通孔には、配線キャップ24が嵌合されている。
【0029】
上部幕板41は、天板21の下面21uの後端部21r側の下側に設けられている。上部幕板41は、ブラケット(不図示。以下同じ。)を介して天板21の下面21uに固定されている。
【0030】
上部幕板41は、天板21の幅方向及び鉛直面に沿って配置されている。上部幕板41は、天板21の後端21sよりも前方(利用者がデスク装置1に対向する側)に所定寸法オフセットした位置に設けられている。
【0031】
下部幕板43は、一対の脚部材11の筒状体14aの後側に設けられている。
図3は、デスク装置1の下部幕板43の分解斜視図である。
図3に示すように、下部幕板43は、取付部材(中空部材)50及び幕板ブラケット60を介して筒状体14aに固定されている。
【0032】
取付部材50は、筒状体14aの周りを囲うように配置される支柱カバー51と、支柱カバー51の上端部の一部を閉塞するカバーキャップ59と、を有している。支柱カバー51は内部に筒状体14aを嵌め込んだ状態で、下端部51aはベース部材12の上面12tに支持されている。
【0033】
支柱カバー51は、中空状に形成され上下方向に延びるカバー本体52と、カバー本体52の内部に設けられ上下方向に延びるスペーサ56と、を有している。
【0034】
図4は、デスク装置1の構成を示す縦断面図であり、図5のB−B断面図である。図5は、デスク装置1の構成を示す水平断面図であり、図4のA−A断面図である。
図5に示すように、カバー本体52は、水平断面が視略矩形状をなし、一辺の中間部が開口する外カバー部53と、外カバー部53の内面に沿って、開口部分を閉塞するように設けられた内カバー部54と、を有している。本実施形態では、これら外カバー部53及び内カバー部54は、板金等を加工して形成され、互いに溶接等により連結されている。
【0035】
外カバー部53の後方(下部幕板43側)を向く後側板状部53rには、内側にスペーサ56が設けられている。スペーサ56は、水平断面がコ字状をなすように、一方(下部幕板43側)に向かって開口している。スペーサ56は、脚部材11の筒状体14aの後側板状部14rに沿って配置される基部56aと、基部56aの幅方向両側から下部幕板43側に向かって延びる対向壁部56bと、を有している。
【0036】
対向壁部56bの先端部が、外カバー部53の後側板状部53rに連結されている。これにより、支柱カバー51内では、対向壁部56bの延出長さに相当する前後方向の空間部S1が形成されている。本実施形態では、スペーサ56も、板金等を加工して形成され、カバー本体52に溶接等により連結されている。
【0037】
対向壁部56bには、板厚方向に貫通する取付孔56hが形成されている。この取付孔56hは、後述する幕板ブラケット60を取り付けるためのものである。
【0038】
図3に示すように、外カバー部53の後方(下部幕板43側)を向く後側板状部53rには、スペーサ56の基部56aに向かって板厚方向に貫通する係止孔(連通孔)53xが上下方向に離間して2箇所に形成されている。また、外カバー部53の後側板状部53rには、板厚方向に貫通する貫通孔53hが上下方向に離間して3箇所に形成されている。これらの係止孔53x及び貫通孔53hは、後述する幕板ブラケット60を取り付けるためのものである。
【0039】
また、スペーサ56の上端部には、水平方向に延びる上壁部56cが設けられている。上壁部56cには、上下方向に貫通する取付孔56yが形成されている。取付孔56yは、後述するケーブル保護チェーン45を取り付けるためのものである。
【0040】
カバーキャップ59は、キャップ本体59aと、キャップ本体59aから下方に延びる嵌合部59bと、を有している。嵌合部59bがカバー本体52内に嵌め込まれることで、キャップ本体59aがカバー本体52の上端部を閉塞する。カバーキャップ59は、支柱カバー51内で筒状体14aが配置されていない部分、つまり後側を閉塞している。
【0041】
一方、幕板ブラケット60は、下部幕板43の前面43fに沿うように板状に形成された板状部61と、板状部61から前方に延びる係止爪部(取付部)62と、を有している。これら板状部61及び係止爪部62は、一体的に形成されている。
【0042】
板状部61には、板厚方向に貫通する取付孔61hが形成されている。この取付孔61hには螺子61sが下部幕板43にねじ込まれている。螺子61sの頭部は、支柱カバー51の貫通孔53h内に配置されている。
【0043】
係止爪部62は、上下方向に離間して2箇所に形成されている。係止爪部62は、板状部61の縁部から連続して設けられた基部63と、基部63から下方に延びる下向部64と、を有している。基部63の上端から下向部64の下端までの上下方向の長さは、支柱カバー51の係止孔53xの上下方向の長さよりも僅かに短い。係止爪部62は、係止孔53xに挿通され、下向部64が後述する空間部S1に配置され、基部63が係止孔53xに係止されている。
【0044】
係止爪部62には、板厚方向に貫通する取付孔62hが形成されている。図4及び図5に示すように、スペーサ56の取付孔56hに挿通された螺子56sが、係止爪部62の取付孔62hに螺合されている。下部幕板43に固定された幕板ブラケット60の係止爪部62が取付部材50の係止孔53xに係止されるとともに、係止爪部62が螺子56sでスペーサ56に螺合されることで、下部幕板43は筒状体14aに装着されている。なお、支柱カバー51の外カバー部53の側面には図示しない開口が形成され、当該開口から螺子止めが可能とされている。
【0045】
図1に示すように、この下部幕板43は、上部幕板41に対して前方に配置され、上部幕板41と下部幕板43との間には前後方向に隙間S2が形成されている。
【0046】
隙間S2には、電源用、通信用等をはじめとする各種の配線等(不図示。以下同じ。)が挿通されるケーブル保護チェーン45が設けられている。
【0047】
図3に示すように、ケーブル保護チェーン45は、断面視略コの字状の多数のチェーンコマ45aをリングピン45bで順次回動可能に連結したチェーン状部材である。各チェーンコマ45aの開口部45cを通して、その内部空間に配線等を収納することができる。
【0048】
図2に示すように、ケーブル保護チェーン45は、一端部45xが取付金具48を介して天板21の下面21uに固定されている。図1に示すように、天板21において、配線キャップ24が嵌め込まれている配線挿通孔から、天板21上で使用する機器等から導出される配線等を天板21の下方に通すことができる。ケーブル保護チェーン45の一端部45xは、この配線挿通孔の下方または近傍に位置し、配線挿通孔に挿通された配線等が、ケーブル保護チェーン45内に挿入される。
【0049】
図3及び図4に示すように、ケーブル保護チェーン45の他端部45zは、取付部材50のスペーサ56に係止金具46を介して固定されている。係止金具46は、スペーサ56上に螺子47によって固定された基部46aと、基部46aに連続し、カバー本体52の後側板状部53rに沿って上方に延びる前壁部46bと、を有している。さらに、係止金具46は、前壁部46bに連続し、下部幕板43の上端部43t上に沿って延びる上面部46cと、上面部46cに連続し、下部幕板43の後側に沿って下方に延びる後壁部46dと、上面部46cから後方に突出するように延びる支持部46eと、を有している。ケーブル保護チェーン45の他端部45zは、係止金具46の支持部46eに連結されている。
【0050】
図2に示すように、ケーブル保護チェーン45は、天板21と取付部材50とに、それぞれ幅方向にオフセットした位置で固定されている。これにより、ケーブル保護チェーン45は、前後方向から見たときに、中間部分がU字状に垂れ下がっている。
【0051】
次に、下部幕板43を昇降ユニット14の筒状体14aに取り付ける手順について説明する。天板21を昇降ユニット14に取り付ける前に、昇降ユニット14の筒状体14aに対して取付部材50を上方から移動させて、取付部材50内に筒状体14aを嵌め込む。取付部材50の下端部51aをベース部材12の上面12tが当接支持するまで、取付部材50を移動させる。
【0052】
取付部材50の内部にはスペーサ56が設けられているため、筒状体14aはカバー本体52の後側板状部53rと反対側の前側板状部53fに沿って配置され、筒状体14aと後側板状部53rとの間には空間部S1が形成される。
【0053】
下部幕板43には、幕板ブラケット60を螺子61sで取り付けておく。幕板ブラケット60の係止爪部62を取付部材50の係止孔53xに挿入して、下部幕板43を下方に移動させることで、係止爪部62を係止孔53xに係止させる。また、係止爪部62とスペーサ56とを、取付部材50の側面の開口から螺子56sで螺合する。
【0054】
スペーサ56の上壁部56cに、ケーブル保護チェーン45に取り付けられた係止金具46を螺子47で螺合する。そして、カバーキャップ59で、取付部材50の上部を閉塞する。その後、昇降ユニット14の筒状体14cに、天板21を支持ブラケット介して固定する。以上により、下部幕板43の昇降ユニット14への取り付けが完了する。
【0055】
一方、下部幕板43を取り外す際には、取付部材50の側面の開口から螺子56sを緩めて取り外し、下部幕板43を上方に移動させてから後方に移動させる。これにより、係止爪部62が係止孔53xから抜けて、下部幕板43を取り外すことができる。また、天板21を昇降ユニット14から取り外して、取付部材50を筒状体14aから上方に移動させれば、取付部材50を筒状体14aから取り外すこともできる。
【0056】
このように構成されたデスク装置1によれば、筒状体14aは、床面F上に設置されるベース部材12に固定されている。内部に筒状体14aに沿って空間部S1が形成された取付部材50は、筒状体14aに支持されている。また、取付部材50には、外部と空間部S1とを連通する係止孔53xが形成されている。下向部64が空間部S1内に配置された係止爪部62は、基部63が係止孔53xに係止されている。つまり、取付部材50により、筒状体14aに沿って配置される空間部S1を形成し、該空間部S1内に配置される係止爪部62により下部幕板43が筒状体14aに取り付けられている。よって、筒状体14aに加工を施さずに下部幕板43を筒状体14aに取り付けることができるとともに、パネル状の下部幕板43により利用者の下肢の露出を防止することができる。
【0057】
また、係止孔53xへの係止爪部62の係止により、下部幕板43は筒状体14aに取り付けられるため、簡易な構成とすることができる。
【0058】
また、下部幕板43と筒状体14aとを取り付ける係止爪部62は、取付部材50の内部の空間部S1内に配置されるため、取付部分の露出が抑制される。
【0059】
また、取付部材50の内部に筒状体14aが配置して、取付部材50の下端部51aをベース部材12の上面12tで支持させれば、筒状体14aに取付部材50を設けることができる。よって、簡易な構成で、筒状体14aに取付部材50を支持させて、下部幕板43を取り付ける係止爪部62が配置される空間部S1を設けることができる。
【0060】
また、空間部S1は筒状体14aの後側に設けられ、下部幕板43は空間部S1の後側に設けられている。よって、天板21の下方の利用者の下肢が配置される空間を確保しつつ、下部幕板43を設けることができる。
【0061】
(変形例)
次に、上記に示す実施形態の変形例について、主に図6から図9を用いて説明する。
以下の変形例において、前述した実施形態で用いた部材と同一の部材には同一の符号を付して、その説明を省略する。
図6は、本発明の一実施形態の変形例に係る天板昇降式什器を幕板側から見た正面図である。図7は、発明の一実施形態の変形例に係る天板昇降式什器の側面図である。
図6及び図7に示すように、デスク装置1Aでは、下部幕板143は、取付部材(中空部材)150を介して筒状体14aに固定されている。
【0062】
図8は、本発明の一実施形態の変形例に係る天板昇降式什器の幕板の分解斜視図である。図9は、本発明の一実施形態の変形例に係る天板昇降式什器の構成を示す水平断面図である。
図8及び図9に示すように、取付部材150の支柱カバー151は、外カバー部153と、外カバー部153の内面に沿って設けられた内カバー部161と、を有している。
【0063】
外カバー部153は、筒状体14aの前側板状部14fに沿って配置される前側板状部154と、前側板状部154の幅方向の両端部から後方に延びる側方板状部155a,155bを有している。側方板状部155bの長さは、筒状体14aの側面14sの長さよりも短い。
【0064】
さらに、外カバー部153は、側方板状部155aの端部から、後方に向かうにしたがって次第に幅方向の内側に向かうにように形成された斜行壁部156と、斜行壁部156の端部から幅方向の内側に延びる後側板状部157と、を有している。
【0065】
さらに、外カバー部153は、後側板状部157の端部から前方に延びる壁部158と、壁部158の端部から幅方向の外側に延びる折り返し壁部159と、を有している。
【0066】
壁部158には、板厚方向に貫通する取付孔158hが形成されている。この取付孔158hは、後述する配線トレイ170を取り付けるためのものである。
【0067】
内カバー部161は、端部が外カバー部153の側方板状部155bの内面に沿って設けられ後方に延びる側方板状部162と、側方板状部162の端部から幅方向の外側に延びる壁部163と、を有している。
【0068】
さらに、内カバー部161は、壁部163の端部から後方に延びる取付壁部164と、取付壁部164の端部から内カバー部の斜行壁部156の内面に沿って設けられた折り返し壁部165と、を有している。これら外カバー部153と内カバー部161とは、側方板状部155bと側方板状部162との間、及び斜行壁部156と折り返し壁部165との間が溶接等により連結され、一体とされている。
【0069】
取付壁部164には、板厚方向に貫通する取付孔(連通孔)164hが形成されている。この取付孔164hは、後述する下部幕板143を取り付けるためのものである。
【0070】
この支柱カバー151の内部において、筒状体14aは、前後方向には前側板状部154と壁部163とに挟み込まれている。また、筒状体14aは、幅方向には側方板状部155aと側方板状部155b及び側方板状部162の前部に挟み込まれている。このようにして、筒状体14aは、支柱カバー151の内部に嵌め込まれている。
【0071】
また、支柱カバー151の内部には、筒状体14aの後方に空間部S11が形成されている。
【0072】
下部幕板143は、鉛直面に沿ってパネル状に形成された幕板本体部144と、幕板本体部144の幅方向の両端部からそれぞれ前方に延びる前向き壁部145と、前向き壁部145の端部から幅方向の外側に延びる外向き壁部146と、外向き壁部146の端部から前方に延びる取付壁部147と、を有している。
【0073】
下部幕板143の壁部145は支柱カバー151の壁部158に沿い、壁部146は折り返し壁部159に沿い、取付壁部147は取付壁部164にそれぞれ沿っている。
【0074】
取付壁部147には、板厚方向に貫通する取付孔147hが形成されている。取付孔147hから挿通された螺子(取付部)147sは、先端が空間部S11に配置され、支柱カバー151の取付孔164hに螺合されている。これにより、下部幕板143は、支柱カバー151に取り付けられている。
【0075】
また、配線トレイ170は、底部171と、底部171から立ち上がる複数の立設壁部172と、を有し、鉛直断面において上向きコ字状に形成されている。
【0076】
支柱カバー151の壁部158に沿う立設壁部172には、板厚方向に貫通する取付孔172hが形成されている。取付孔172hから挿通された螺子172sは、支柱カバー151の取付孔158hに螺合されている。これにより、配線トレイ170は、支柱カバー151に取り付けられている。
【0077】
また、下部幕板143の外向き壁部146、取付壁部147及び支柱カバー151の壁部163により、幅方向の外側に向かって凹む、上下方向に延びる空間部S12が形成されている。また、空間部S12には、水平断面視コ字状をなす配線カバー176が嵌め込まれている。
【0078】
配線トレイ170に設けられた配線ケーブル(不図示。以下同じ。)は、空間部S12内で上下方向に配置される。空間部S12には配線カバー176が嵌め込まれているため、配線ケーブルの露出が抑制される。
【0079】
このデスク装置1Aでは、下部幕板143における支柱カバー151との連結部分になる取付壁部147は、幕板本体部144の側方に設けられており、幕板本体部144の後面と支柱カバー151の後側板状部157の後面とを同一面上に納めることができる。
【0080】
(その他の実施形態)
なお、本発明の天板昇降式什器は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、カバー本体52の内部において、筒状体14aを前側に配置して、空間部S1を筒状体14aの後側に形成するようにしているが、本発明はこれに限られない。例えば、空間部を筒状体14aの側方に形成するようにしてもよい。
【0081】
また、支柱カバー51が筒状体14aの全体を覆うように形成されているが、本発明はこれに限られない。係止爪部62が挿通される空間が形成された中空部材をマグネット等で筒状体14aの後面に取り付ける構成であってもよい。
【0082】
また、係止孔53xに係止爪部62が係止される構成であるが、本発明はこれに限られない。連通孔に連通されて中空部材の内面にナットが溶接等により固定されており、取付部としてのボルトをこれに対して螺合させる構成であってもよい。
【0083】
加えて、天板昇降式什器1の下部構造体10は、天板21が昇降可能であれば、例えば、脚部材11の構造、配置、設置本数等を、他のいかなる構成としても良い。
また、天板昇降式什器1は、その用途を限るものではなく、デスク装置の他、作業台、実験台、テーブル、カウンター等の用途のものであってもよい。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0084】
1,1A…デスク装置(天板昇降式什器)
12…ベース部材(ベース部)
14…昇降ユニット
14a…筒状体(下部脚体)
14b…筒状体(上部脚体)
14c…筒状体(上部脚体)
21…天板
41…上部幕板
43,143…下部幕板
45…ケーブル保護チェーン
50,150…取付部材(中空部材)
53x…係止孔(連通孔)
60…幕板ブラケット
62…係止爪部(取付部)
S1…空間部
F…床面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9