(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641637
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】什器
(51)【国際特許分類】
A47B 13/00 20060101AFI20200127BHJP
A47B 13/08 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
A47B13/00 B
A47B13/00 Z
A47B13/08 A
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-83213(P2016-83213)
(22)【出願日】2016年3月31日
(65)【公開番号】特開2017-185165(P2017-185165A)
(43)【公開日】2017年10月12日
【審査請求日】2019年1月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】吉田 龍介
【審査官】
中村 百合子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−104520(JP,A)
【文献】
特開2002−136347(JP,A)
【文献】
特開2014−113438(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2005/0268823(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 1/00−41/06
A47B 91/00ー97/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業用の上面を有する天板と、
上面が前記天板の前記上面と同一平面に位置するように前記天板に設けられ、電源コンセントまたは情報コンセントを有する接続部と、
前記天板の前記上面から下方に凹むように前記天板に設けられ、前記接続部の外周を環状に囲む溝部と、
を備える什器。
【請求項2】
請求項1に記載の什器であって、
前記接続部は、前記接続部の前記上面から前記溝部に向かって延びる側面を有し、
前記電源コンセントまたは前記情報コンセントは、前記側面に配置されている
什器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の什器であって、
前記溝部の外周縁に沿って環状に配置され、前記天板の前記上面よりも上方に突出する凸部をさらに備える
什器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の什器であって、
前記溝部の底部に開口し、前記底部から排水可能な排水部をさらに備える
什器。
【請求項5】
請求項4に記載の什器であって、
前記溝部の前記底部は、前記排水部に向かって液体が流れるように勾配がつけられている
什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、什器に関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスや公共施設、家庭などの室内空間において、使用者に作業用の平面を提供するために天板が設けられた什器が広く使用されている。近年は、使用者が作業に電子機器を用いる場合が多いため、使用する電子機器に電源を供給するための電源コンセントや情報を供給するための情報コンセントが設けられた什器が使用されている。
【0003】
このような什器として、例えば特許文献1および2には、コンセントを備える筐体が天板上に設けられた什器が開示されている。これらの什器では、使用者が使用しやすい位置にコンセントを配置することが可能である。しかしながら、コンセントを備える筐体が天板上に露出した状態で配置されているため、什器として体裁が悪くなってしまうとともに、天板の上面の一部を作業面として使用することができないという問題を有していた。
【0004】
このような問題を改善する手段として、例えば特許文献3から5には、天板に形成された開口の下方に設けられ、コンセントが配置された配線収納部と、天板の開口を塞ぐ蓋部と、を備える什器が開示されている。これらの什器では、コンセントは天板の下方に設けられた配線収納部に配置されているので、コンセントが外部に露出することを防止することができ、什器としての体裁を良好にすることができる。また、蓋部を作業面の一部として使用することで、作業面を広く確保することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4289733号公報
【特許文献2】特開2015−8082号公報
【特許文献3】特開2015−104520号公報
【特許文献4】特許第4504582号公報
【特許文献5】特開2002−253351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した配線収納部および蓋部を備える什器では、コンセントが配線収納部内に配置されているので、プラグを抜き差しする頻度が多い場合には使い勝手が悪くなってしまうという問題を有している。また、作業面上で誤って飲料などの液体をこぼしてしまった場合には、天板の開口と蓋部との隙間から配線収納部へ流れ落ちてコンセントを濡らしてしまう可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の事情を鑑みてなされたものであり、広い作業面を確保するとともに什器としての使い勝手を良好にすることができ、かつ作業面上で飲料などの液体をこぼしてしまった場合にコンセントが濡れる可能性を低減できる什器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、什器は、作業用の上面を有する天板と、上面が前記天板の前記上面と同一平面に位置するように前記天板に設けられ、電源コンセントまたは情報コンセントを有する接続部と、前記天板の前記上面から下方に凹むように前記天板に設けられ、前記接続部の外周を環状に囲む溝部と、を備える。
【0009】
このような什器によれば、接続部は、上面が天板の上面と同一平面に位置するように天板に設けられているので、天板の上面に加えて接続部の上面も作業面として使用することができ、広い作業面を確保することできる。さらに、電源コンセントまたは情報コンセントはこの接続部に設けられているので、プラグを電源コンセントまたは情報コンセントに容易に抜き差しすることができ、什器としての使い勝手を良好にすることができる。また、接続部の外周を環状に囲む溝部が天板の上面から下方に凹むように天板に設けられているので、天板の上面で液体をこぼしてしまった場合、接続部に到達する前にこの溝部に液体が流入するため、接続部に設けられた電源コンセントまたは情報コンセントが濡れる可能性を低減することができる。
【0010】
上記の什器において、前記接続部は、前記接続部の前記上面から前記溝部に向かって延びる側面を有していてもよい。前記電源コンセントまたは前記情報コンセントは、前記側面に配置されていてもよい。
【0011】
このような什器によれば、電源コンセントまたは情報コンセントは接続部の側面に配置されているので、天板を使用する使用者がより容易にプラグを電源コンセントまたは情報コンセントに抜き差しすることができる。
【0012】
上記の什器は、前記溝部の外周縁に沿って環状に配置され、前記天板の前記上面よりも上方に突出する凸部をさらに備えてもよい。
【0013】
このような什器によれば、天板の上面よりも上方に突出する凸部が溝部の外周縁に沿って環状に配置されているので、天板の上面で液体をこぼしてしまった場合には、凸部によって液体が溝部へ流入することを防止することができる。よって、接続部の電源コンセントまたは情報コンセントが濡れる可能性をより低減することができる。
【0014】
上記の什器は、前記溝部の底部に開口し、前記底部から排水可能な排水部をさらに備えてもよい。
【0015】
このような什器によれば、溝部に流入して底部にたまった液体を排水部から排水することができるので、接続部の電源コンセントまたは情報コンセントが濡れる可能性を低減することができる。
【0016】
上記の什器において、前記溝部の前記底部は、前記排水部に向かって液体が流れるように勾配がつけられていてもよい。
【0017】
このような什器によれば、溝部に流入して底部にたまった液体は排水部に向かって流れるので、底部から容易に液体を排水することができる。
【発明の効果】
【0018】
上記の什器によれば、広い作業面を確保するとともに什器としての使い勝手を良好にすることができ、かつ作業面上で液体をこぼしてしまった場合にコンセントが濡れる可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第一実施形態に係る什器を示す斜視図である。
【
図3】
図2のIII−III線における断面図である。
【
図4】第一実施形態に係る什器の第一変形例を示す図である。
【
図5】第一実施形態に係る什器の第二変形例を示す図である。
【
図6】本発明の第二実施形態に係る什器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(第一実施形態)
以下、本発明の第一実施形態について、
図1から
図3を参照して説明する。
【0021】
図1は、本実施形態に係る什器1を示す斜視図である。
図2は、什器1の天板20を示す拡大図である。
図3は、
図2のIII−III線における断面図である。
【0022】
図1に示すように、什器1は、天板20と、接続部30と、溝部40と、を備える。
【0023】
天板20は、作業用の上面20tを有する。また、天板20は、一対の脚部材10、10に支持されている。
【0024】
一対の脚部材10、10は、床面F上に、天板20の長辺方向(以下、この方向を幅方向Dxと適宜称する。)に間隔を空けて配置され、天板20の幅方向Dxの両端部にそれぞれ接続されている。
【0025】
各脚部材10は、一対の支柱11、11と、下部連結部材12と、上部連結部材13と、を有する。一対の支柱11、11は、上下方向Dzに延びて設けられ、天板20の短辺方向(以下、この方向を前後方向Dyと適宜称する。)に間隔を空けて配置されている。一対の支柱11、11の下面には、一対の支柱11、11の高さおよびレベルの調整を行うアジャスター11a、11aがそれぞれ設けられている。下部連結部材12は、前後方向Dyに延びて設けられ、一対の支柱11、11の下端部11b、11bを互いに連結している。上部連結部材13は、前後方向Dyに延びて設けられ、一対の支柱11、11の上端部11t、11tを互いに連結している。天板20は、一対の支柱11、11の上端部11t、11tおよび上部連結部材13に支持されている。
【0026】
図1から
図3に示すように、接続部30は、接続部30の上面30tが天板20の上面20tと同一平面に位置するように天板20に設けられている。また、接続部30は、電源コンセント31を有する。本実施形態では、接続部30は、天板20の前後方向Dyの中央部分に、幅方向Dxに間隔を空けて二つ設けられている。また、接続部30は、上面30tが幅方向Dxおよび前後方向Dyに沿って延びる辺によって形成される略正方形に形成された四角錐台状に形成されている。
【0027】
溝部40は、天板20の上面20tから下方に凹むように天板20に設けられている。また、溝部40は、接続部30の外周を環状に囲んでいる。本実施形態では、溝部40は、接続部30の形状に合わせて、接続部30の外周を角環状に囲んでいる。
【0028】
接続部30は、接続部30の上面30tからこの溝部40に向かって延びる側面30sを有する。電源コンセント31は、側面30sに配置されている。本実施形態では、上面30tの幅方向Dxの両端部30tx、30txおよび前後方向Dyの両端部30ty、30tyからそれぞれ延びる4つの側面30sが設けられている。上面30tの幅方向Dxの両端部30txから延びる側面30sxは、上面30tから下方に向かうに従って幅方向Dxの外側に向かうように傾斜している。すなわち、側面30sxは、幅方向Dxの外側であって斜め上方を向いている。また、上面30tの前後方向Dyの両端部30tyから延びる側面30syは、上面30tから下方に向かうに従って前後方向Dyの外側に向かうように傾斜している。すなわち、側面30syは、前後方向Dyの外側であって斜め上方を向いている。側面30sxには、二つの電源コンセント31が前後方向Dyに間隔を空けて配置されている。また、側面30syには、二つの電源コンセント31が幅方向Dxに間隔を空けて配置されている。
【0029】
溝部40は、溝部40のうち最も凹んだ底部41と、天板20の上面20tと底部41との間に形成された側壁部42と、を有する。本実施形態において、底部41は、接続部30の外周を角環状に囲むように配置されている。また、底部41には、接続部30の側面30sが直接接続されている。側壁部42は、底部41から天板20の上面20tに向かって延びている。また、側壁部42は、接続部30の外周を囲む底部41を角環状に囲むように配置されている。側壁部42は、接続部30の側面30sに配置された電源コンセント31に使用者がプラグ32を差し込みやすいように、例えば側面30sに対して略直交する平面を有して構成されている。
【0030】
また、本実施形態では、什器1は、溝部40の外周縁に沿って環状に配置され、天板20の上面20tよりも上方に突出する凸部50をさらに備える。溝部40が角環状に配置されているので、これに対応して、凸部50も角環状に配置されている。また、凸部50は、溝部40の側壁部42に連続して形成されている。
【0031】
接続部30、溝部40、および凸部50は、例えば樹脂などで一体的に形成されている。凸部50の下側に連続して設けられた固定部51は、天板20の下面20uにねじ52によって固定されている。これにより、接続部30、溝部40、および凸部50は、天板20に対して固定されている。
【0032】
本実施形態に係る什器1は、作業用の上面20tを有する天板20と、上面30tが天板20の上面20tと同一平面に位置するように天板20に設けられ、電源コンセント31を有する接続部30と、天板20の上面20tから下方に凹むように天板20に設けられ、接続部30の外周を環状に囲む溝部40と、を備える。
【0033】
上述した構成によれば、接続部30は、上面30tが天板20の上面20tと同一平面に位置するように天板に設けられている。このため、天板20の上面20tに加えて接続部30の上面30tも作業面として使用することができ、広い作業面を確保することできる。さらに、電源コンセント31はこの接続部30に設けられているので、プラグを電源コンセント31に容易に抜き差しすることができ、什器としての使い勝手を良好にすることができる。また、接続部30の外周を環状に囲む溝部40が天板20の上面20tから下方に凹むように天板20に設けられているので、天板20の上面20tで飲料などの液体をこぼしてしまった場合には、接続部30に到達する前にこの溝部40に液体が流入する。したがって、接続部30に設けられた電源コンセント31が濡れる可能性を低減することができる。
【0034】
また、接続部30は、接続部30の上面30tから溝部40に向かって延びる側面30sを有する。電源コンセント31は、側面30sに配置されている。
【0035】
上述した構成によれば、電源コンセント31は接続部30の側面30sに配置されているので、天板20を使用する使用者がより容易にプラグ32を電源コンセント31に抜き差しすることができる。
【0036】
また、什器1は、溝部40の外周縁に沿って環状に配置され、天板20の上面20tよりも上方に突出する凸部50をさらに備える。このため、天板20の上面20tで飲料などの液体をこぼしてしまった場合には、凸部50によって液体が溝部40へ流入することを防止することができる。よって、接続部30の電源コンセント31が濡れる可能性をより低減することができる。
【0037】
なお、本実施形態では、接続部30は、電源コンセント31を有していたが、これに限らない。接続部30には、電源コンセント31の代わりに、情報を供給するための情報コンセントが設けられていてもよいし、電源コンセント31に加えて情報コンセントが設けられていてもよい。
【0038】
また、接続部30は、天板20の前後方向Dyの中央部分に、幅方向Dxに間隔を空けて二つ設けられていたが、これに限らない。使用の態様などに応じて、接続部30の配置や数を適宜変更することができる。
【0039】
溝部40は、接続部30の外周を角環状に囲んでいたが、これに限らず、接続部30の外周を円環状に囲んでいてもよい。なお、液体がいずれの方向から接続部30に向かって流れたとしても液体が接続部30に流れ込むことを妨げるために、溝部40は接続部30の外周を切れ目なく連続して環状に囲むことが好ましい。
【0040】
凸部50は、溝部40の外周縁に沿って角環状に配置されていたが、これに限らず、円環状に配置されていてもよい。
【0041】
(第一変形例)
図4は、本実施形態に係る什器の第一変形例を示す図である。上述した什器1では、電源コンセント31は、接続部30の側面30sに配置されていたが、これに限らない。例えば、本変形例の什器2のように、接続部30の上面30tに電源コンセント31が配置されていてもよい。
【0042】
(第二変形例)
図5は、本実施形態に係る什器の第二変形例を示す図である。上述した什器1では、接続部30は、四角錐台状に形成されていたが、これに限らない。例えば、本変形例の什器3のように、接続部34は、球面状の曲面34sを有するように形成されていてもよい。この場合には、曲面34sの頂部34tが天板20の上面20tと同一平面に位置している。
【0043】
(第二実施形態)
次に、本発明の第二実施形態について、
図6を参照して説明する。
【0044】
図6は、本実施形態に係る什器4を示す図である。什器4は、溝部の底部から排水可能な排水部60をさらに備える点で、第一実施形態に係る什器1と異なっている。なお、第一実施形態に係る什器1と同様の構成を有する部分については、その詳細な説明を省略する。
【0045】
排水部60は、溝部40の底部43に開口し、底部43から排水可能に構成されている。本実施形態では、排水部60は、接続部30の4つの角部に隣接する底部43の部分にそれぞれ4つ設けられている。
【0046】
本実施形態に係る底部43は、第一実施形態に係る底部41と異なり、排水部60に向かって液体が流れるように勾配が付けられている。同様に、本実施形態に係る側壁部44は、第一実施形態に係る側壁部42と異なり、排水部60に向かって液体が流れるように勾配が付けられている。
【0047】
本実施形態に係る什器4は、溝部40の底部43に開口し、底部43から排水可能な排水部60をさらに備える。このため、溝部40に流入して底部43にたまった飲料などの液体を排水部60から排水することができる。したがって、底部43にたまった液体により接続部30の電源コンセント31が濡れる可能性を低減することができる。
【0048】
また、溝部40の底部43は、排水部60に向かって液体が流れるように勾配がつけられている。このため、溝部40に流入して底部43にたまった液体は排水部60に向かって流れる。したがって、底部43から容易に液体を排水することができる。
【0049】
なお、本実施形態に係る什器4において、接続部30および溝部40の下側に、排水部60から排水された液体を受けるための排水受け部が設けられていてもよい。これにより、排水された液体で床面F上を汚すことを防止できる。
【0050】
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明はこれら実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
【符号の説明】
【0051】
1、2、3、4 什器
20 天板
20t 上面
30、34 接続部
30s、30sx、30sy 側面
30t 上面
31 電源コンセント
40 溝部
41、43 底部
50 凸部
60 排水部