特許第6641650号(P6641650)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6641650-絶対式の格子スケール 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641650
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】絶対式の格子スケール
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20200127BHJP
【FI】
   G01D5/347 110B
【請求項の数】7
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-552216(P2018-552216)
(86)(22)【出願日】2017年4月14日
(65)【公表番号】特表2019-511723(P2019-511723A)
(43)【公表日】2019年4月25日
(86)【国際出願番号】CN2017080590
(87)【国際公開番号】WO2017177968
(87)【国際公開日】20171019
【審査請求日】2018年11月28日
(31)【優先権主張番号】201610234556.6
(32)【優先日】2016年4月14日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】511233865
【氏名又は名称】グラジュエート スクール アット シェンチェン、 ツィングワ ユニバーシティー
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】龍華国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】リ、シンフイ
(72)【発明者】
【氏名】ニ、カイ
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ファンファン
(72)【発明者】
【氏名】ゾウ、チエン
(72)【発明者】
【氏名】ワン、シャオハオ
(72)【発明者】
【氏名】マオ、シンユ
(72)【発明者】
【氏名】ゼン、リジアン
(72)【発明者】
【氏名】シャオ、シャン
【審査官】 池田 剛志
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−320240(JP,A)
【文献】 特開平05−071984(JP,A)
【文献】 特開平11−142114(JP,A)
【文献】 特開平02−304313(JP,A)
【文献】 特開平04−001523(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0166519(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第1977144(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D5/26−5/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主格子と、増分変位測定部を含む読取りヘッド装置とを備える絶対式の格子スケールにおいて、前記読取りヘッド装置は、第1のビームスプリッタと、マスクプレートと、基準位置光電検出器とをさらに備え、前記主格子に複数の基準コードバーが設けられ、任意の隣接する2つの基準コードバーの間の距離は、残りの任意の隣接する2つの基準コードバーの間の距離と異なり、前記第1のビームスプリッタは、光源の発射した光を前記主格子に出射するビームと、増分変位測定部に出射するビームとに分割し、前記主格子に出射するビームは、前記マスクプレートを透過して前記主格子に到達し且つ反射された後、再度前記マスクプレートを透過して前記基準位置光電検出器により受信され、前記マスクプレートに前記基準コードバーと同一のコードバーが設けられ、前記マスクプレートは、前記マスクプレートに出射するビームが前記マスクプレートにより反射された後、前記基準位置光電検出器により受信されないように設けられる、絶対式の格子スケール。
【請求項2】
前記マスクプレートに出射するビームと前記マスクプレートの法線は、鋭角を形成する、請求項1に記載の絶対式の格子スケール。
【請求項3】
前記鋭角は、5°未満である、請求項2に記載の絶対式の格子スケール。
【請求項4】
前記マスクプレートのコードバーに、光透過部と、光反射部とが設けられる、請求項1から3のいずれか1項に記載の絶対式の格子スケール。
【請求項5】
前記マスクプレートに出射するビームは、前記マスクプレートのコードバーの幅より大きい、請求項1から4のいずれか1項に記載の絶対式の格子スケール。
【請求項6】
前記コードバーからなるコードは、0110000100000000100110000110100000001000000000011001000000100000000101000001100010000001001000001110であり、1は光透過部で、0は光反射部である、請求項1から5のいずれか1項に記載の絶対式の格子スケール。
【請求項7】
光透過部および光反射部のそれぞれの幅は10μmである、請求項6に記載の絶対式の格子スケール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、計測の分野に係り、詳しく言えば、絶対式の格子スケールに関する。
【背景技術】
【0002】
絶対式の格子スケールの主格子に2つのコードバーが設けられ、そのうち一方は増分コードバーで、増分変位を測定するための格子線が等間隔に印刻され、他方のコードバーに、格子スケールを起動させる時に基準点の位置を特定するための複数の基準点マークが印刻される。増分変位の測定と基準点の位置特定を組み合わせると、格子スケールによる絶対測定を実現できる。現在、市場で販売される格子スケールでは、その大半が反射により測定する読取りヘッドを利用し、得られた基準点信号が負のパルス信号であるため、一般的にピークでの信号強度が低く、わずかな外部の光信号からの干渉でも、信号のコントラストが大幅に下がるため、基準点の位置を正確に特定することは難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本願発明は、従来技術の欠点を解消するために、基準信号のコントラストが効果的に向上する絶対式の格子スケールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明に係る絶対式の格子スケールは、主格子と、読取りヘッド装置とを備える。前記読取りヘッド装置は、増分変位測定部を備える。前記読取りヘッド装置は、第1のビームスプリッタと、マスクプレートと、基準位置光電検出器とをさらに備える。前記主格子に複数の基準コードバーが設けられ、任意の隣接する2つの基準コードバーの間の距離は、残りの任意の隣接する2つの基準コードバーの間の距離と異なる。前記第1のビームスプリッタは、光源の発射した光を主格子に出射するビームと、増分変位測定部に出射するビームとに分割し、主格子に出射するビームは、前記マスクプレートを透過して前記主格子に到達し且つ反射された後、再度前記マスクプレートを透過して前記基準位置光電検出器により受信される。前記マスクプレートに前記基準コードバーと同一のコードバーが設けられ、前記マスクプレートは、前記マスクプレートに出射するビームが前記マスクプレートにより反射された後、前記基準位置光電検出器により受信されないように設けられる。
【0005】
好ましくは、前記マスクプレートに出射するビームと前記マスクプレートの法線は鋭角を形成し、すなわち、前記マスクプレートは、主格子に平行である状態から、図2のθx方向を中心に所定の角度で回転するように構成されることで、前記マスクプレートに出射するビームと前記マスクプレートの法線が鋭角を形成する。
【0006】
パルス信号のコントラストを高めるために、読取りヘッドのマスクプレートは、スリットに垂直な方向を中心に小さな角度で回転するように構成される。これにより、ビームがマスクプレートを透過した後の光場の分布は、透過する前と一致し、且つ、マスクプレート自体により反射される光は、光電検出器により受信されることなく偏向される。パルス信号のコントラストを効果的に高め、基準位置(基準コードバー)に対する認識の精度を向上させることができる。
【0007】
好ましくは、前記鋭角が5°未満である。
【0008】
好ましくは、前記マスクプレートのコードバーに光透過部と、光反射部とが設けられる。
【0009】
好ましくは、前記マスクプレートに出射するビームが前記マスクプレートのコードバーの幅よりも大きい。
【0010】
好ましくは、前記コードバーからなるコードが0110000100000000100110000110100000001000000000011001000000100000000101000001100010000001001000001110であり、1は光透過部を表し、0は光反射部を表す。
【0011】
好ましくは、光透過部および光反射部のそれぞれの幅が10μmである。
【0012】
パルス信号のピークにより基準位置に揃えることができる。パルス信号のピーク幅はコードバーの線幅に比例し、コードバーの線幅を10μmに設定すると、得られたピーク幅が26μmであるため、0.6μmの精度での基準点の位置特定を実現できる。
【0013】
前記コードバーは、実際の回折効果を考慮して設計するものである。最小のスリット幅が10μmで、660nmの波長をはるかに超えているが、わずかな回折効果でも基準信号のパルスピークを大幅に弱めてしまうため、回折効果からの影響を考慮する必要がある。上記のような光路構造では、ビームが読取りヘッドのマスクプレートを透過した後に1回目の回折を生じ、この回折をフレネル回折として処理する。ビームが主格子の基準点領域に到達すると、反射光が2回目のフレネル回折を生じ、読取りヘッドのマスクプレートに反射された後、2回目のフレネル回折の光場とマスクプレートのスリット構造を関連付けることにより、基準点の位置を特定するためのパルス信号の波形を得ることができる。
【発明の効果】
【0014】
本願発明は、上記のように構成されることにより、以下の利点を有する。
1.斜めに設けられるマスクプレートは、それ自体により反射される光を光電検出器以外の領域に反射できるため、基準信号のコントラストを高め、基準点の位置特定の精度を向上させることができる。
2.実際の回折効果を考慮して設計する100ビットのランダムコードにより、ピークの幅が26μmのパルス信号を得ることができ、0.6μmの精度で基準点の位置特定を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本願発明のいくつかの実施例による絶対式の格子スケールの原理概略図である。
図2図1の部分概略図である。
図3】本願発明のいくつかの実施例による主格子の増分コードバーおよびその基準コードバーである。
図4】本願発明のいくつかの実施例による読取りヘッドのマスクプレートにおけるコードバーである。
図5】本願発明のいくつかの実施例による基準パルス信号である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本願発明の好ましい実施例について詳しく説明する。
【0017】
図1および図2に示すように、一実施例による絶対式の格子スケールは、主格子15と、読取りヘッド装置とを備える。前記読取りヘッド装置は、増分変位測定部23と、基準位置測定部22とを備える。基準位置測定部22は、第1のビームスプリッタ12と、マスクプレート13と、基準位置光電検出器14とを備える。主格子15に複数の基準コードバー2が設けられる。
【0018】
光源11(例えば、レーザダイオード)が波長660nmの赤色レーザ光L0を発射し、コリメートレンズを透過して平行ビームになり、次いで開口絞りを透過すると、ビームが直径1.2mmのビームに整形される。第1のビームスプリッタ(エネルギービームスプリッタ)12は、光源11の発射した光を2つのレーザ光に分割する。そのうち一方は90°屈折して主格子15に出射し、他方は第1のビームスプリッタ12を透過して増分変位測定部23に出射し、読取りヘッドが主格子15に対して移動する増分変位を測定する。主格子に出射するビームL1は、マスクプレート13を透過して主格子15に到達し、且つ主格子15により反射された後、再度マスクプレート13を透過して(すなわちビームL2)、第1のビームスプリッタ12を透過して基準位置光電検出器14により受信される。
【0019】
増分変位測定部23は、従来技術で一般的に用いられる構成とすることができ、読取りヘッドの主格子15移動に対して移動する増分変位を測定する。
【0020】
マスクプレート13には、一連の光透過部8(例えば、図4に示す白色のスリット)と非透過部7(例えば、図4に示す黒色の線)とで構成される、前記基準コードバーに対応するコードバーが設けられる。
【0021】
増分変位測定部23は、干渉光路を含み、増分変位測定部23に入射するレーザビームが第2のビームスプリッタ16によりさらに2つのビームに分割される。そのうち一方は、基準格子19に出射し、他方は主格子15に出射する。基準格子の+N次回折光と主格子の+N次回折光は干渉縞を形成し(例えば、基準格子19の+1次回折光がミラー24および第2のビームスプリッタ16により反射された後、主格子15の+1次回折光がミラー20および第2のビームスプリッタ16を透過した後のビームにおいて回折する)、基準格子の−N次回折光と主格子のN次回折光は干渉縞を形成する(例えば、基準格子19の−1次回折光がミラー21および第2のビームスプリッタ16により反射された後、主格子15の−1次回折光がミラー25および第2のビームスプリッタ16を透過した後のビームにおいて回折する)。読取りヘッドが主格子の長手方向に変位する時、ドップラー効果により、干渉縞に1回の明暗変化を生じる。読取りヘッドが1格子周期だけ移動するたびに、干渉縞に明暗変化が認められる。光路には、干渉縞における光の強度の変化を検出するための複数の光電検出器17および光電検出器18も設けられ、干渉縞の周期的な明暗変化の数を計数することにより、読取りヘッドが移動する増分変位を算出できる。
【0022】
図3に示すように、主格子15に複数の基準コードバー2が設けられ、残りは格子線、すなわち増分コードバー1である。増分コードバー1では、周期が1μmの格子線が等間隔に設けられ、格子に反射型のホログラフィック回折格子を用いる。主格子15では、任意の隣接する2つの基準コードバー2の間の距離が、残りの任意の隣接する2つの基準コードバーの間の距離と異なり、すなわち、基準コードバー2は、隣接する2つの基準コードバーの間の距離が一意に決まる値となるよう距離でコードするように、増分コードバー1に設定される。例えば、2つの隣接する基準コードバーの間の距離はD0+kδで、残りの2つの隣接する基準コードバーの間の距離はD0+(k+1)δである。2つの基準コードバーの間の距離が一意に決まるために、読取りヘッドが隣接する2つの基準コードバーを通過するたびに、読取りヘッドが最初に位置する絶対位置を算出できる。
【0023】
読取りヘッドの初期位置を点aとすると、読取りヘッドが移動して隣接する2つの基準コードバー3および基準コードバー4を通過する時、増分変位測定部13は、増分変位x1を算出でき、読取りヘッドが基準コードバー3に到達する時、マスクプレート13が基準コードバー3に揃えられ、この時、マスクプレート13を透過したビームが光パルスであるため、基準位置光電検出器14は対応する基準パルス信号を検出でき、そして増分変位測定部13は、距離x2を計算する。読取りヘッドが基準コードバー4に到達する時、マスクプレート13が基準コードバー4に揃えられ、この時、マスクプレート13を透過したビームが光パルスであるため、基準位置光電検出器14は対応する基準パルス信号を検出でき、これで増分変位測定部13は距離x2の値を確定できる。主格子の基準コードバーは距離でコードするように設定されるため、任意の2つの基準コードバーの間の距離が決まり、算出される距離x2により基準コードバーの位置する絶対位置は決まり、x1−x2により読取りヘッドの最初に位置する点aの絶対位置は決まる。
【0024】
図1および図2に示すように、入射光はまずマスクプレートを透過し、1回目に変調され、マスクプレート13のコードバーは、入射するビームを変調させて明暗交互の縞状のビームを形成できる。次いで、変調された縞状のビームが主格子の基準コードバー領域に入射し且つ反射されてマスクプレートに戻り、この時に、光が2回目に変調される。最後に再度マスクプレート13を透過して3回目に変調された後、光電検出器により受信される。本実施例では、主格子15および基準格子19に反射型の格子を用いる。マスクプレートと主格子15が相対的に変位する時、光電検出器により受信される光の強度も変化し、これはマスクプレート自体のコード構造における自己相関に相当する。マスクプレートのコードバーが主格子の同一の基準コードバー2に正確に揃えられる時、相関性が最も高く、検出器により受信される光の強度が最小である。マスクプレートのコードバーが主格子の基準コードバーから1ビットだけオフセットする時、光の強度が大幅に増加し、これにより基準位置に揃えるための負の基準パルス信号が形成される。図5に示すように、マスクプレートが主格子の基準点に正確に揃えられる時、検出器により受信される光の強度は、理論的に0であり、すなわちパルス信号のピークW2に対応し、このピーク値を用いて基準コードバーの位置を特定できる。
【0025】
図3に示すように、基準パルス信号のピークでの光の強度が極めて小さいため、外部の光が検出器にわずかな干渉を与える場合でも、基準信号のコントラストに深刻な影響を及ぼすことになる。実際に、マスクプレートは一般的にガラス繊維からなるため、その表面に反射防止材料がコーティングされても反射を解消できないため、マスクプレート自体が一部の光を検出器に反射する。これは基準パルス信号に直流成分を加えることに相当し、そのコントラストが大幅に下がり、基準コードバーの位置特定の精度に影響を与えるが、マスクプレートをスリットに垂直な方向に5°未満の小さな角度で回転させ、それ自体の反射した光を検出器以外の領域に反射することにより、光の強度信号のコントラストを高め、基準コードバーの位置特定の精度を向上させることができる。
【0026】
一実施例では、マスクプレートのコードバーをコードするビット数を100ビットとし、線幅を10μmとし、光透過部8を23個、非透過部7を77個とする。図2に示すように、全幅が1mmであり、直径1.2mmのビームは、1mmの領域をカバーできる。本実施例では、スリットの幅が10μmで、利用されるレーザ光の660nmの波長をはるかに超えているため、わずかな回折効果を生じるが、基準パルスのピークでの信号が極めて弱いため、わずかな回折効果でもノイズにより信号が遮蔽される可能性がある。したがって、コードの設定に際して回折効果からの影響も考慮する。列挙法により100ビットのコード構造を設定し、具体的には、「0110000100000000100110000110100000001000000000011001000000100000000101000001100010000001001000001110」である。ピークを有するパルス信号を含み、ピークの幅W1は26μmで、回路によりさらに分割されることにより、0.6μmの精度での基準点の位置特定を実現できる。
【0027】
以上記載されている内容は、好ましい実施形態により本願発明を詳しく説明するものに過ぎず、本願発明の実施形態は、上記説明に限定されるものではない。なお、当業者が本願発明の趣旨を逸脱することなく種々の変更または変形を加えることもでき、これらはいずれも添付される特許請求の範囲により特定される保護対象と見なされる。
図1
図2
図3
図4
図5