特許第6641721号(P6641721)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641721
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】熱交換器および空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F28F 1/32 20060101AFI20200127BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20200127BHJP
   F28F 9/02 20060101ALI20200127BHJP
   F28D 1/047 20060101ALI20200127BHJP
   F28F 9/26 20060101ALI20200127BHJP
   F25B 39/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   F28F1/32 W
   F28F1/02 B
   F28F9/02 301E
   F28D1/047 C
   F28F9/26
   F25B39/00 E
【請求項の数】4
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2015-89967(P2015-89967)
(22)【出願日】2015年4月27日
(65)【公開番号】特開2016-205744(P2016-205744A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年2月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】神藤 正憲
(72)【発明者】
【氏名】織谷 好男
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 俊
【審査官】 伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2016/121119(WO,A1)
【文献】 韓国公開特許第10−2012−0024276(KR,A)
【文献】 特開2014−211292(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/196569(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/091782(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/097761(WO,A1)
【文献】 特開平06−123587(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/025365(WO,A1)
【文献】 国際公開第2015/025702(WO,A1)
【文献】 中国実用新案第203274572(CN,U)
【文献】 国際公開第2015/037240(WO,A1)
【文献】 国際公開第2016/121115(WO,A1)
【文献】 特開2016−038192(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/174802(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 1/32
F25B 39/00
F28D 1/047
F28F 9/26
F28F 9/02
F24F 1/14
F24F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに平行に配置され、それぞれに複数の冷媒流路(C)が形成される複数の扁平管(31,41)と、上記扁平管(31,41)に接合されるフィン(32,42)とを備え、上記冷媒流路(C)を流れる冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器であって、
複数の上記扁平管(31,41)を有する複数の列部(30,40)が空気の通過方向に配列され、
上記複数の列部(30,40)は、該複数の列部(30,40)において冷媒が互い並列に流れるように構成され、
上記複数の列部(30,40)の扁平管(31,41)は、空気の通過方向に隣り合う該列部(30,40)の扁平管(31,41)が互いに沿うように該扁平管(31,41)の幅方向に屈曲する1つ以上の屈曲部(33a,33b,33c)をそれぞれ有し、
上記フィン(32,42)には、上記熱交換器の外側に対応する外縁に上記扁平管(31,41)が挿入される複数の管挿入部(32b,42b)が形成され、
上記フィン(32,42)の上記熱交換器の内側に対応する内縁は、上記複数の扁平管(31,41)の配列方向に連続し、
上記各列部(30,40)には、該列部(30,40)の扁平管(31,41)の配列方向に並んだ複数の扁平管(31,41)に対応する主熱交換領域(35,45)と、該主熱交換領域(35,45)よりも扁平管(31,41)の数が少ない扁平管(31,41)に対応する補助熱交換領域(37,47)とが形成され、
上記複数の列部(30,40)は、空気の通過方向に隣り合う複数の主熱交換領域(35,45)において互いに冷媒が並列に流れ、且つ空気の通過方向に隣り合う複数の補助熱交換領域(37,47)において互いに冷媒が並列に流れるように構成され、
複数の列部(30,40)は、空気の通過方向に隣り合う列部(30,40)間の各主熱交換領域(35,45)及び各補助熱交換領域(37,47)の扁平管(31,41)の冷媒の流れる方向が互いに同じ向きとなるように構成され、
上記各列部(30,40)の上記各主熱交換領域(35,45)の各扁平管(31,41)の一端部に分岐するように連通するガス分岐管(29)と、
上記各列部(30,40)の上記各補助熱交換領域(37,47)の各扁平管(31,41)のうち上記ガス分岐管(29)側の一端部に分岐するように連通する液分岐管(28)と、
記各列部(30,40)の各主熱交換領域(35,45)の各扁平管(31,41)の他端部と、上記各列部(30,40)の各補助熱交換領域(37,47)の各扁平管(31,41)の他端部とを連通する連絡管(68,88)と
を備えている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
互いに平行に配置され、それぞれに複数の冷媒流路(C)が形成される複数の扁平管(31,41)と、上記扁平管(31,41)に接合されるフィン(32,42)とを備え、上記冷媒流路(C)を流れる冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器であって、
複数の上記扁平管(31,41)を有する複数の列部(30,40)が空気の通過方向に配列され、
上記複数の列部(30,40)は、該複数の列部(30,40)において冷媒が互い並列に流れるように構成され、
上記複数の列部(30,40)の扁平管(31,41)は、空気の通過方向に隣り合う該列部(30,40)の扁平管(31,41)が互いに沿うように該扁平管(31,41)の幅方向に屈曲する1つ以上の屈曲部(33a,33b,33c)をそれぞれ有し、
上記フィン(32,42)には、上記熱交換器の外側に対応する外縁に上記扁平管(31,41)が挿入される複数の管挿入部(32b,42b)が形成され、
上記フィン(32,42)の上記熱交換器の内側に対応する内縁は、上記複数の扁平管(31,41)の配列方向に連続し、
複数の列部(30,40)は、蒸発器として機能する際、空気の通過方向に隣り合う列部(30,40)間の扁平管(31,41)の冷媒の流れる方向が互いに逆向きとなるように構成されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項において、
複数の列部(30,40)は、上記蒸発器として機能する際、空気の通過方向に隣り合う列部(30,40)間の扁平管(31,41)を流れる冷媒の過熱領域(S1,S2)が、空気の通過方向において互いに重ならないように構成される
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項1乃至の何れか1つに記載の熱交換器(23)が設けられて冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)を備え、
上記熱交換器(23)が蒸発器として機能する運転と、上記熱交換器(23)が凝縮器として機能する運転とを切り換えて行うように構成されている
ことを特徴とする空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱交換器及び空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、平行に配列された多数の扁平管と、該扁平管に接合されるフィンとを備えた熱交換器が知られている。特許文献1(図2を参照)には、この種の熱交換器が開示されている。この熱交換器は、空気の通過方向に扁平管が1列に配置される1列構成の熱交換器である。熱交換器には、上側熱交換領域(主熱交換領域)と、下側熱交換領域(補助熱交換領域)とが形成されている。下側熱交換領域の扁平管の本数は、上側熱交換領域の扁平管の本数より少ない。
【0003】
例えばこの熱交換器が蒸発器として機能する場合、飽和液状態の冷媒が、下側熱交換領域を流れ、空気から吸熱して蒸発する。この冷媒は、上側熱交換領域を流れて更に蒸発し、過熱状態となって熱交換器を流出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−163328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示のような熱交換器の能力を向上させるためには、扁平管の長さを長くし、扁平管の内部の冷媒流路の流路長を長くすることが考えられる。しかしながら、このようにして冷媒流路の全長を長くすると、冷媒が通過する際の圧力損失の増大を招いてしまう。
【0006】
更に、扁平管の内部に多数の冷媒流路を形成する熱交換器では、各冷媒流路の流路面積が比較的小さいため、各冷媒流路を流れる冷媒の流速が増大し易い。このため、各冷媒流路を流れる冷媒の圧力損失も更に大きくなってしまう。
【0007】
一方、このような圧力損失の増大を抑制するために、扁平管を幅方向(空気の通過方向)に長くし、冷媒流路の数を増やす構成を採用することも考えられる。しかしながら、このようにして扁平管の幅が大きくなると、扁平管を、その幅方向に屈曲させる加工が難しくなり、空気が通過する複数の側面部を有する他面式(例えば4面式)の熱交換器を製造することが困難となってしまう。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、扁平管の内部に複数の冷媒流路が形成される熱交換器において、冷媒が各冷媒流路を流れる際の圧力損失の増大を抑制でき、且つ扁平管の幅方向の曲げ加工を容易に行えるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、互いに平行に配置され、それぞれに複数の冷媒流路(C)が形成される複数の扁平管(31,41)と、上記扁平管(31,41)に接合されるフィン(32,42)とを備え、上記冷媒流路(C)を流れる冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器を対象とし、複数の上記扁平管(31,41)を有する複数の列部(30,40)が空気の通過方向に配列され、上記複数の列部(30,40)は、該複数の列部(30,40)において冷媒が互い並列に流れるように構成され、上記複数の列部(30,40)の扁平管(31,41)は、空気の通過方向に隣り合う該列部(30,40)の扁平管(31,41)が互いに沿うように該扁平管(31,41)の幅方向に屈曲する1つ以上の屈曲部(33a,33b,33c)をそれぞれ有し、上記フィン(32,42)には、上記熱交換器の外側に対応する外縁に上記扁平管(31,41)が挿入される複数の管挿入部(32b,42b)が形成され、上記フィン(32,42)の上記熱交換器の内側に対応する内縁は、上記複数の扁平管(31,41)の配列方向に連続し、上記各列部(30,40)には、該列部(30,40)の扁平管(31,41)の配列方向に並んだ複数の扁平管(31,41)に対応する主熱交換領域(35,45)と、該主熱交換領域(35,45)よりも扁平管(31,41)の数が少ない扁平管(31,41)に対応する補助熱交換領域(37,47)とが形成され、上記複数の列部(30,40)は、空気の通過方向に隣り合う複数の主熱交換領域(35,45)において互いに冷媒が並列に流れ、且つ空気の通過方向に隣り合う複数の補助熱交換領域(37,47)において互いに冷媒が並列に流れるように構成され、複数の列部(30,40)は、空気の通過方向に隣り合う列部(30,40)間の各主熱交換領域(35,45)及び各補助熱交換領域(37,47)の扁平管(31,41)の冷媒の流れる方向が互いに同じ向きとなるように構成され、上記各列部(30,40)の上記各主熱交換領域(35,45)の各扁平管(31,41)の一端部に分岐するように連通するガス分岐管(29)と、上記各列部(30,40)の上記各補助熱交換領域(37,47)の各扁平管(31,41)のうち上記ガス分岐管(29)側の一端部に分岐するように連通する液分岐管(28)と、記各列部(30,40)の各主熱交換領域(35,45)の各扁平管(31,41)の他端部と、上記各列部(30,40)の各補助熱交換領域(37,47)の各扁平管(31,41)の他端部とを連通する連絡管(68,88)とを備えていることを特徴とする。
【0010】
第1及び第2の発明では、空気の通過方向に複数の列部(30,40)が設けられ、各列部(30,40)において複数の扁平管(31,41)が平行に配列される。熱交換器を冷媒が流れる際には、各列部(30,40)の各扁平管(31,41)を冷媒が並行に流れる。例えばこのような各列部(30,40)の扁平管(31,41)を直列に繋いで冷媒を流すと、各冷媒流路(C)を流れる冷媒の流量が大きくなり、各冷媒流路(C)を流れる冷媒の流速が大きくなる。また、各冷媒流路(C)の流路長も長くなる。これに対し、本発明では、各列部(30,40)の扁平管(31,41)を冷媒が並行に流れるため、各冷媒流路(C)を流れる冷媒の流量が小さくなり、各冷媒流路(C)を流れる冷媒の流速も小さくなる。また、各冷媒流路(C)の流路長も短くなる。冷媒流路(C)を流れる冷媒の圧力損失は、冷媒の流速の2乗、及び冷媒流路(C)の長さに比例する。従って、このような構成とすることで、圧力損失を低減できる。
【0011】
また、熱交換器では、隣り合う列部(30,40)の扁平管(31,41)が互いに沿うように形成され、各扁平管(31,41)の1つ以上の屈曲部(33a,33b,33c)により折り曲げられる。このため、1列の扁平管(31,41)を幅方向に長くする構成と比較して、扁平管(31,41)の曲げ加工も容易となる。
【0012】
の発明では、各列部(30,40)において主熱交換領域(35,45)と補助熱交換領域(37,47)とが形成される。冷媒は、各列部(30,40)の主熱交換領域(35,45)の各扁平管(31,41)、及び各列部(30,40)の補助熱交換領域(37,47)の各扁平管(31,41)をそれぞれ並行に流れる。これにより、各主熱交換領域(35,45)や各補助熱交換領域(37,47)を流れる冷媒の圧力損失を低減できる。
【0013】
の発明では、隣り合う列部(30,40)の各主熱交換領域(35,45)及び各補助熱交換領域(37,47)では、各扁平管(31,41)を流れる冷媒の方向が互いに同じとなる。そして、各列部(30,40)には、連絡管(68,88)と液分岐管(28)とガス分岐管(29)とが接続される。具体的に、各列部(30,40)では、扁平管(31,41)の一端部側にガス分岐管(29)と液分岐管(28)とが設けられ、扁平管(31,41)の他端部側に連絡管(68,88)が設けられる。これにより、熱交換器では、ガス分岐管(29)と液分岐管(28)の配置スペースが集約される。
【0014】
の発明は、互いに平行に配置され、それぞれに複数の冷媒流路(C)が形成される複数の扁平管(31,41)と、上記扁平管(31,41)に接合されるフィン(32,42)とを備え、上記冷媒流路(C)を流れる冷媒と空気とを熱交換させる熱交換器であって、複数の上記扁平管(31,41)を有する複数の列部(30,40)が空気の通過方向に配列され、上記複数の列部(30,40)は、該複数の列部(30,40)において冷媒が互い並列に流れるように構成され、上記複数の列部(30,40)の扁平管(31,41)は、空気の通過方向に隣り合う該列部(30,40)の扁平管(31,41)が互いに沿うように該扁平管(31,41)の幅方向に屈曲する1つ以上の屈曲部(33a,33b,33c)をそれぞれ有し、上記フィン(32,42)には、上記熱交換器の外側に対応する外縁に上記扁平管(31,41)が挿入される複数の管挿入部(32b,42b)が形成され、上記フィン(32,42)の上記熱交換器の内側に対応する内縁は、上記複数の扁平管(31,41)の配列方向に連続し、複数の列部(30,40)は、蒸発器として機能する際、空気の通過方向に隣り合う列部(30,40)間の扁平管(31,41)の冷媒の流れる方向が互いに逆向きとなるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
の発明では、熱交換器が蒸発器として機能する際、空気の通過方向に隣り合う列部(30,40)の扁平管(31,41)を冷媒が並行に流れる。更に、隣り合う列部(30,40)の扁平管(31,41)では、冷媒の方向が逆向きとなる。仮に隣り合う列部(30,40)の扁平管(31,41)において、冷媒の流れる向きが同じである場合、隣り合う列部(30,40)の扁平管(31,41)では、冷媒の過熱領域が空気の通過方向に重なりやすい。一方、各列部(30,40)の扁平管(31,41)では、冷媒の過熱領域以外の部分の温度が低いため、空気中で結露した水分が扁平管(31,41)やフィン(32,42)の表面で着霜し易くなる。このような状態では、各列部(30,40)のうち過熱領域の近傍において、空気の通風抵抗が小さくなるため、この領域を空気が偏流しやすくなる。すると、熱交換器では、空気が全体を均一に流れなくなるため、熱交換効率の低下を招く。
【0016】
これに対し、本発明では、隣り合う列部(30,40)の扁平管(31,41)を流れる冷媒の流れが逆向きとなるので、各列部(30,40)の扁平管(31,41)の過熱領域が互いに遠くなる。従って、空気の偏流を防止できる。
【0017】
の発明は、第の発明において、複数の列部(30,40)は、上記蒸発器として機能する際、空気の通過方向に隣り合う列部(30,40)間の扁平管(31,41)を流れる冷媒の過熱領域(S1,S2)が、空気の通過方向において互いに重ならないように構成されることを特徴とする。
【0018】
の発明の各列部(30,40)では、隣り合う列部(30,40)の扁平管(31,41)の冷媒の方向が逆向きとなり、各列部(30,40)の扁平管(31,41)の過熱領域(S1,S2)が重ならないように構成される。各列部(30,40)の過熱領域(S1,S2)が空気の通過方向に重なると、この重複部分ばかりを空気が流れてしまう恐れがある。これに対し、本発明では、過熱領域(S1,S2)が重ならないため、空気の偏流を確実に防止できる。
【0019】
の発明では、第1乃至第のいずれか1つの発明の熱交換器(23)が、空気調和機(10)の冷媒回路(20)に設けられる。熱交換器(23)において、冷媒回路(20)を循環する冷媒は、空気から吸熱して蒸発し、又は空気へ放熱して凝縮する。
【発明の効果】
【0020】
本発明では、各列部(30,40)の扁平管(31,41)において冷媒を並行に流すようにしたので、各扁平管(31,41)の冷媒流路(C)を流れる冷媒の圧力損失を大幅に低減できる。この結果、圧力損失の増大に起因する動力の増大を抑制しつつ、所望の熱交換効率を得ることができる。
【0021】
また、扁平管(31,41)を幅方向に長くする必要がないので、各列部(30,40)の扁平管(31,41)の曲げ加工も容易となる。これにより、各列部(30,40)の扁平管(31,41)を折り曲げて、2〜4面式の熱交換器を製造でき、熱交換器のコンパクト化を図ることができる。また、各扁平管(31,41)の幅が短くなることで、各列部(30,40)の扁平管(31,41)の間の通風抵抗を低減でき、熱透過率の減少を抑制できる。更に、扁平管(31,41)の幅が狭くなることで、扁平管(31,41)の上側に結露水が滞ることを防止できる。この結果、扁平管(31,41)の表面での着霜を防止できる。
【0022】
の発明では、主熱交換領域(35,45)と補助熱交換領域(37,47)の双方で冷媒の圧力損失を低減できる。
【0023】
の発明では、各列部(30,40)に冷媒を並行に流すための液分岐管(28)やガス分岐管(29)を集約して配置できる。これにより、配管のスペースをコンパクト化、あるいは配管の据え付けの容易化を図ることができる。
【0024】
第2及びの発明では、熱交換器が蒸発器として機能する際、冷媒の過熱領域(S1,S2)が重なることを防止できる。これにより、過熱領域(S1,S2)ばかりに空気が偏流してしまうことを抑制できる。この結果、過熱領域(S1,S2)以外の部分の扁平管(31,41)やフィン(32,42)の表面で着霜が生じたとしても、熱交換器の全域に空気を均一に流しやすくなり、熱交換効率、ひいては蒸発性能の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態1に係る空気調和機の概略構成を示す冷媒回路図である。
図2図2は、室外熱交換器の概略の斜視図である。
図3図3は、室外熱交換器の風上列部を平面状に展開した概略の構成図であり、凝縮器として機能する際の冷媒の流れを表している。
図4図4は、室外熱交換器の風下列部を平面状に展開した概略の構成図であり、凝縮器として機能する際の冷媒の流れを表している。
図5図5は、図3のAで示した部分を拡大した縦断面図である。
図6図6は、図3のBで示した部分を拡大した縦断面図である。
図7図7は、図5のVII-VII線断面図である。
図8図8は、図6のVIII-VIII線断面図である。
図9図9は、図6のVIIII-VIIII線断面図である。
図10図10は、図5のX-X線断面図である。
図11図11は、凝縮器として機能する室外熱交換器における冷媒と空気の温度変化を示すグラフである。
図12図12は、室外熱交換器の風上列部を平面状に展開した概略の構成図であり、蒸発器として機能する際の冷媒の流れを表している。
【0026】


図13図13は、室外熱交換器の風下列部を平面状に展開した概略の構成図であり、蒸発器として機能する際の冷媒の流れを表している。
図14図14は、蒸発器として機能する室外熱交換器における冷媒と空気の温度変化を示すグラフである。
図15図15は、実施形態2に係る室外熱交換器の図2に相当する図である。
図16図16は、実施形態2に係る室外熱交換器の図3に相当する図である。
図17図17は、実施形態2に係る室外熱交換器の図4に相当する図である。
図18図18は、実施形態2に係る室外熱交換器の図12に相当する図である。
図19図19は、実施形態2に係る室外熱交換器の図13に相当する図である。
図20図20は、凝縮器として機能する室外熱交換器の概略の上面図である。
図21図21は、その他の実施形態に係る室外熱交換器の図7に相当する図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下で説明する各形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0028】
《実施形態1》
本実施形態の熱交換器は、空気調和機(10)に設けられた室外熱交換器(23)である。以下では、先ず空気調和機(10)について説明し、その後に室外熱交換器(23)について詳細に説明する。
【0029】
〈空気調和機の全体構成〉
空気調和機(10)について、図1を参照しながら説明する。
【0030】
空気調和機(10)は、室外ユニット(11)および室内ユニット(12)を備えている。室外ユニット(11)と室内ユニット(12)は、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)を介して互いに接続されている。空気調和機(10)では、室外ユニット(11)、室内ユニット(12)、液側連絡配管(13)およびガス側連絡配管(14)が接続されることで、冷媒回路(20)が形成されている。
【0031】
冷媒回路(20)には、圧縮機(21)と、四方切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが設けられている。圧縮機(21)、四方切換弁(22)、室外熱交換器(23)、および膨張弁(24)は、室外ユニット(11)に収容されている。室外ユニット(11)には、室外熱交換器(23)へ室外空気を供給するための室外ファン(15)が設けられている。室内熱交換器(25)は、室内ユニット(12)に収容されている。室内ユニット(12)には、室内熱交換器(25)へ室内空気を供給するための室内ファン(16)が設けられている。
【0032】
冷媒回路(20)は、冷媒が充填された閉回路である。冷媒回路(20)において、圧縮機(21)は、その吐出管が四方切換弁(22)の第1のポートに、その吸入管が四方切換弁(22)の第2のポートに、それぞれ接続されている。冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)の第3のポートから第4のポートへ向かって順に、室外熱交換器(23)と、膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とが配置されている。この冷媒回路(20)において、室外熱交換器(23)は、配管(17)を介して膨張弁(24)に接続され、配管(18)を介して四方切換弁(22)の第3のポートに接続される。
【0033】
圧縮機(21)は、スクロール型またはロータリ型の全密閉型圧縮機である。四方切換弁(22)は、第1のポートが第3のポートと連通し且つ第2のポートが第4のポートと連通する第1状態(図1に実線で示す状態)と、第1のポートが第4のポートと連通し且つ第2のポートが第3のポートと連通する第2状態(図1に破線で示す状態)とに切り換わる。膨張弁(24)は、いわゆる電子膨張弁である。
【0034】
室外熱交換器(23)は、室外空気を冷媒と熱交換させる。室外熱交換器(23)については後述する。一方、室内熱交換器(25)は、室内空気を冷媒と熱交換させる。室内熱交換器(25)は、円管である伝熱管を備えたいわゆるクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。
【0035】
−空気調和機の運転動作−
空気調和機(10)は、冷房運転と暖房運転を選択的に行う。
【0036】
冷房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第1状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室外熱交換器(23)、膨張弁(24)、室内熱交換器(25)の順に冷媒が循環し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能し、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)では、圧縮機(21)から流入したガス冷媒が室外空気へ放熱して凝縮し、凝縮後の冷媒が膨張弁(24)へ向けて流出してゆく。
【0037】
暖房運転中の冷媒回路(20)では、四方切換弁(22)を第2状態に設定した状態で、冷凍サイクルが行われる。この状態では、室内熱交換器(25)、膨張弁(24)、室外熱交換器(23)の順に冷媒が循環し、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が流入する。室外熱交換器(23)へ流入した冷媒は、室外空気から吸熱して蒸発し、その後に圧縮機(21)へ向けて流出してゆく。
【0038】
〈室外熱交換器の全体構成〉
実施形態1に係る室外熱交換器(23)について図2図11を適宜参照しながら説明する。なお、以下の説明に示す扁平管(31,41)の本数は、単なる一例である。
【0039】
図2に示すように、室外熱交換器(23)は、4つの側面部(23a,23b,23c,23d)を有する4面式の空気熱交換器である。具体的に、室外熱交換器(23)では、第1側面部(23a)、第2側面部(23b)、第3側面部(23c)、及び第4側面部(23d)が連続して形成される。第1側面部(23a)は図2の左下側に位置し、第2側面部(23b)は図2の左上側に位置し、第3側面部(23c)は図2の右上側に位置し、第4側面部(23d)は、図2の右下側に位置する。各側面部(23a,23b,23c,23d)の高さは概ね等しい。第1側面部(23a)及び第4側面部(23d)の各幅は、第2側面部(23b)及び第3側面部(23c)の幅より短い。
【0040】
室外熱交換器(23)では、室外ファン(15)が運転されることで、各側面部(23a,23b,23c,23d)の外側の室外空気が、各側面部(23a,23b,23c,23d)の内側へと流れる(図2の矢印を参照)。この空気は、室外ケーシング(図示省略)の上部に形成された吹出口より排出される。
【0041】
図2図4に示すように、室外熱交換器(23)は、扁平管(31,41)とフィン(32,42)とを有する2つの列部(30,40)を有する二列構造の熱交換器である。室外熱交換器(23)は、3つ以上の列部を有していてもよい。本実施形態の室外熱交換器(23)では、空気の通過方向の風上側の列部が風上列部(30)を構成し、風下側の列部が風下列部(40)を構成している。なお、図3及び図4では、風上列部(30)及び風下列部(40)をそれぞれ平面状に展開して模式的に表している。
【0042】
室外熱交換器(23)は、第1ヘッダ集合管(50)、第2ヘッダ集合管(60)、第3ヘッダ集合管(70)、第4ヘッダ集合管(80)、第1分流ユニット(91)、及び第2分流ユニット(92)を有している。第1ヘッダ集合管(50)は、風上列部(30)のうち第1側面部(23a)側の一端部近傍に立設している。第2ヘッダ集合管(60)は、風上列部(30)のうち第4側面部(23d)側の他端部近傍に立設している。第3ヘッダ集合管(70)は、風下列部(40)のうち第1側面部(23a)側の一端部近傍に立設している。第4ヘッダ集合管(80)は、風下列部(40)のうち第4側面部(23d)側の他端部近傍に立設している。第1分流ユニット(91)は、第1ヘッダ集合管(50)の近傍に立設している。第2分流ユニット(92)は、第3ヘッダ集合管(70)の近傍に立設している。
【0043】
扁平管(31,41)、フィン(32,42)、第1ヘッダ集合管(50)、第2ヘッダ集合管(60)、第3ヘッダ集合管(70)、第4ヘッダ集合管(80)、第1分流ユニット(91)、及び第2分流ユニット(92)は、何れもアルミニウム合金製の部材であって、互いにロウ付けによって接合されている。
【0044】
〔風上列部〕
図2図3図5図10に示すように、風上列部(30)は、多数の扁平管(31)と、多数のフィン(32)とを備えている。
【0045】
扁平管(31)は、その軸直角断面の形状が扁平な略長円形となった伝熱管である(図7を参照)。複数の扁平管(31)は、上下の平坦な部分が対向する状態で配置される。つまり、複数の扁平管(31)は、互いに一定の間隔をおいて上下に並んで配列され、互いの筒軸が実質的に平行になっている。
【0046】
図2に示すように、扁平管(31)は、第1側面部(23a)に沿った第1風上管部(31a)と、第2側面部(23b)に沿った第2風上管部(31b)と、第3側面部(23c)に沿った第3風上管部(31c)と、第4側面部(23d)に沿った第4風上管部(31d)とを有している。図2に示すように、扁平管(31)には、第1風上管部(31a)を第2風上管部(31b)に対して水平内向きに略直角に折り曲げる第1風上屈曲部(33a)と、第2風上管部(31b)に対して第3風上管部(31c)を水平内向きに略直角に折り曲げる第2風上屈曲部(33b)と、第3風上管部(31c)に対して第4風上管部(31d)を水平内向きに略直角に折り曲げる第3風上屈曲部(33c)とが設けられる。
【0047】
各扁平管(31)は、第1風上管部(31a)の端部が第1ヘッダ集合管(50)に挿入され(図5を参照)、第4風上管部(31d)の端部が第2ヘッダ集合管(60)に挿入される(図6を参照)。
【0048】
図7に示すように、各扁平管(31)には、複数の冷媒流路(C)が形成されている。複数の冷媒流路(C)は、扁平管(31)の筒軸方向に延びる通路であり、扁平管(31)の幅方向(空気の通過方向)に一列に並んでいる。各冷媒流路(C)は、扁平管(31)の両端面に開口している。風上列部(30)へ供給された冷媒は、扁平管(31)の冷媒流路(C)を流れる間に空気と熱交換する。風上列部(30)の各扁平管(31)の複数の冷媒流路(C)は、風上冷媒流路群(C1)を構成している。
【0049】
図7に示すように、フィン(32)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。複数のフィン(32)は、扁平管(31)の軸方向に一定の間隔をおいて配列されている。フィン(32)には、フィン(32)の外縁(即ち、風上側の縁部)からフィン(32)の幅方向に延びる細長い切り欠き部(32a)が、多数形成されている。フィン(32)では、多数の切り欠き部(32a)がフィン(32)の長手方向(上下方向)に一定の間隔で形成されている。切り欠き部(32a)の風上寄りの部分は、管挿入部(32b)を構成している。扁平管(31)は、管挿入部(32b)に挿入され、管挿入部(32b)の周縁部とロウ付けによって接合される。また、フィン(32)には、伝熱を促進するためのルーバー(32c)が形成されている。
【0050】
図3に示すように、風上列部(30)には、上下に2つの熱交換領域(35,37)が形成されている。上側の熱交換領域は、風上主熱交換領域(35)を構成し、下側の熱交換領域は、風上補助熱交換領域(37)を構成する。風上補助熱交換領域(37)に対応する扁平管(31)の本数は、風上主熱交換領域(35)を構成する扁平管(31)の本数よりも少ない。
【0051】
風上主熱交換領域(35)は、上下に並ぶ6つの風上主熱交換部(36)に区分されている。風上補助熱交換領域(37)は、上下に並ぶ6つの風上補助熱交換部(38)に区分されている。つまり、風上主熱交換領域(35)と風上補助熱交換領域(37)は、それぞれ同数の熱交換部に区分されている。なお、風上主熱交換部(36)及び風上補助熱交換部(38)の数は単なる一例であり、複数であることが好ましい。
【0052】
図3及び図6に示すように、各風上主熱交換部(36)には、同数(例えば6本)の扁平管(31)が設けられている。各風上主熱交換部(36)に設けられる扁平管(31)の数は単なる例示であり、複数本又は1本であってもよい。
【0053】
図3及び図5に示すように、各風上補助熱交換部(38)には、同数(例えば2本)の扁平管(31)が設けられている。各風上補助熱交換部(38)に設けられる扁平管(31)の数は単なる例示であり、複数本又は1本であってもよい。
【0054】
〔風下列部〕
図2図4図5図10に示すように、風下列部(40)は、多数の扁平管(41)と、多数のフィン(42)とを備えている。
【0055】
扁平管(41)は、その軸直角断面の形状が扁平な略長円形となった伝熱管である(図7を参照)。複数の扁平管(41)は、上下の平坦な部分が対向する状態で配置される。つまり、複数の扁平管(41)は、互いに一定の間隔をおいて上下に並んで配列され、互いの筒軸が実質的に平行になっている。
【0056】
図2に示すように、扁平管(41)は、第1風上管部(31a)の内縁に沿った第1風下管部(41a)と、第2風上管部(31b)の内縁に沿った第2風下管部(41b)と、第3風上管部(31c)の内縁に沿った第3風下管部(41c)と、第4風上管部(31d)の内縁に沿った第4風下管部(41d)とを有している。扁平管(41)には、第1風下管部(41a)を第2風下管部(41b)に対して水平内向きに略直角に折り曲げる第1風下屈曲部(43a)と、第2風下管部(41b)に対して第3風下管部(41c)を水平内向きに略直角に折り曲げる第2風下屈曲部(43b)と、第3風下管部(41c)に対して第4風下管部(41d)を水平内向きに略直角に折り曲げる第3風下屈曲部(43c)とが設けられる。
【0057】
各扁平管(41)は、第1風下管部(41a)の端部が第3ヘッダ集合管(70)に挿入され、第4風下管部(41d)の端部が第4ヘッダ集合管(80)に挿入される(図4を参照)。
【0058】
図7図10に示すように、各扁平管(41)には、複数の冷媒流路(C)が形成されている。複数の冷媒流路(C)は、扁平管(41)の筒軸方向に延びる通路であり、扁平管(41)の幅方向(空気の通過方向)に一列に並んでいる。各冷媒流路(C)は、扁平管(41)の両端面に開口している。風下列部(40)へ供給された冷媒は、扁平管(41)の冷媒流路(C)を流れる間に空気と熱交換する。風下列部(40)の各扁平管(41)の複数の冷媒流路(C)は、風下冷媒流路群(C2)を構成している。
【0059】
図7に示すように、フィン(42)は、金属板をプレス加工することによって形成された縦長の板状フィンである。複数のフィン(42)は、扁平管(41)の軸方向に一定の間隔をおいて配列されている。フィン(42)には、フィン(42)の外縁(即ち、風上側の縁部)からフィン(42)の幅方向に延びる細長い切り欠き部(42a)が、多数形成されている。フィン(42)では、多数の切り欠き部(42a)がフィン(42)の長手方向(上下方向)に一定の間隔で形成されている。切り欠き部(42a)の風上寄りの部分は、管挿入部(42b)を構成している。扁平管(41)は、管挿入部(42b)に挿入され、管挿入部(42b)の周縁部とロウ付けによって接合される。また、フィン(42)には、伝熱を促進するためのルーバー(42c)が形成されている。
【0060】
図4に示すように、風下列部(40)には、上下に2つの熱交換領域(45,47)が形成されている。上側の熱交換領域は、風下主熱交換領域(45)を構成し、下側の熱交換領域は、風下補助熱交換領域(47)を構成する。風下補助熱交換領域(47)に対応する扁平管(41)の本数は、風下主熱交換領域(45)を構成する扁平管(41)の本数よりも少ない。
【0061】
風下主熱交換領域(45)は、上下に並ぶ6つの風下主熱交換部(46)に区分されている。風下補助熱交換領域(47)は、上下に並ぶ6つの風下補助熱交換部(48)に区分されている。つまり、風下主熱交換領域(45)と風下補助熱交換領域(47)は、それぞれ同数の熱交換部に区分されている。なお、風下主熱交換部(46)及び風下補助熱交換部(48)の数は単なる一例であり、複数であることが好ましい。
【0062】
図4に示すように、各風下主熱交換部(46)には、同数(例えば6本)の扁平管(41)が設けられている。各風下主熱交換部(46)に設けられる扁平管(41)の数は単なる例示であり、複数本又は1本であってもよい。
【0063】
図5及び図6に示すように、各風下補助熱交換部(48)には、同数(例えば2本)の扁平管(41)が設けられている。各風下補助熱交換部(48)に設けられる扁平管(41)の数は単なる例示であり、複数本又は1本であってもよい。
【0064】
〔第3ヘッダ集合管〕
図2及び図4に示すように、第3ヘッダ集合管(70)は、上下の両端が閉塞された円筒状の部材である。第3ヘッダ集合管(70)の長さ(高さ)は、風上列部(30)及び風下列部(40)の高さと概ね一致している。
【0065】
第3ヘッダ集合管(70)の内部構造は、図5に示す第1ヘッダ集合管(50)と同様である。即ち、図4に示すように、第3ヘッダ集合管(70)の内部空間は、主仕切板(71)によって上下に仕切られている。主仕切板(71)の上側の空間は、風下主熱交換領域(45)に対応する風下上側空間(72)である。主仕切板(81)の下側の空間は、風下補助熱交換領域(47)に対応する風下下側空間(73)である。風下上側空間(72)の上下方向の中間部には、1本の第2主ガス管(72a)の一端が接続される。第2主ガス管(72a)の他端は、ガス側連絡配管(14)と連通している。
【0066】
風下下側空間(73)は、上下に等間隔置きに並んだ5枚の仕切板(74)によって6つ風下補助空間(75)に仕切られている。これらの6つの風下補助空間(75)は、6つの風下補助熱交換部(48)にそれぞれ1つずつ対応している。各風下補助空間(75)には、例えば2本の扁平管(41)の第1風下管部(41a)がそれぞれ連通している。
【0067】
〔第4ヘッダ集合管〕
図2図4図8図10に示すように、第4ヘッダ集合管(80)は、上下の両端が閉塞された円筒状の部材である。第4ヘッダ集合管(80)の長さ(高さ)は、風上列部(30)及び風下列部(40)の高さと概ね一致している。
【0068】
第4ヘッダ集合管(80)の内部構造は、図6に示す第2ヘッダ集合管(60)と同様である。即ち、図4に示すように、第4ヘッダ集合管(80)の内部空間は、主仕切板(81)によって上下に仕切られている。主仕切板(81)の上側の空間は、風下主熱交換領域(45)に対応する風下上側空間(82)である。主仕切板(81)の下側の空間は、風下補助熱交換領域(47)に対応する風下下側空間(83)である。
【0069】
風下上側空間(82)は、上下に等間隔置きに並んだ5枚の仕切板(84)によって6つの風下主連絡空間(85)に仕切られている。これらの6つの風下主連絡空間(85)は、6つの風下主熱交換部(46)にそれぞれ1つずつ対応している。風下主連絡空間(85)には、例えば6本の扁平管(41)の第1風下管部(41a)がそれぞれ連通している。
【0070】
風下下側空間(83)は、上下に等間隔置きに並んだ5枚の仕切板(86)によって6つの風下補助連絡空間(87)に仕切られている。これらの6つの風下補助連絡空間(87)は、6つの風下補助熱交換部(48)にそれぞれ1つずつ対応している。各風下補助連絡空間(87)には、例えば2本の扁平管(41)の各第4風下管部(41d)がそれぞれ連通している。
【0071】
第4ヘッダ集合管(80)には、6つの風下連絡管(88)が接続されている。風下連絡管(88)は、風下列部(40)の風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)の端部と風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)の端部とを繋いでいる。
【0072】
具体的には、第1の風下連絡管(88)は、最上段の風下補助連絡空間(87)と最下段の風下主連絡空間(85)とを接続し、第2の風下連絡管(88)は、上から2段目の風下補助連絡空間(87)と下から2段目の風下主連絡空間(85)とを接続し、第3の風下連絡管(88)は、上から3段目の風下補助連絡空間(87)と下から3段目の風下主連絡空間(85)とを接続している。第4の風下連絡管(88)は、上から4段目の風下補助連絡空間(87)と下から4段目の風下主連絡空間(85)とを接続し、第5の風下連絡管(88)は、上から5段目の風下補助連絡空間(87)と下から5段目の風下主連絡空間(85)とを接続し、第6の風下連絡管(88)は、最下段の風下補助連絡空間(87)と最上段の風下主連絡空間(85)とを接続している。
【0073】
〔第1分流ユニット〕
図2及び図3に示すように、第1分流ユニット(91)は、第1ヘッダ集合管(50)に取り付けられている。第1分流ユニット(91)は、円筒部(91a)と、6本の液側接続管(91b)と、1本の第1主液管(91c)とを有している。
【0074】
円筒部(91a)は、第1ヘッダ集合管(50)よりも低い円筒状に形成され、第1ヘッダ集合管(50)の下部に沿って起立している。6本の液側接続管(91b)は、上下に配列されて円筒部(91a)に接続されている。各液側接続管(91b)の本数は、風上補助連絡空間(67)の数と同数(本例では6つ)である。各液側接続管(91b)は、各風上補助連絡空間(67)とそれぞれ連通している。第1主液管(91c)の一端は、円筒部(91a)の下部に接続されている。第1主液管(91c)と各液側接続管(91b)とは、円筒部(91a)の内部空間を介して連通している。
【0075】
〔第2分流ユニット〕
図2及び図4に示すように、第2分流ユニット(92)は、第3ヘッダ集合管(70)に取り付けられている。第2分流ユニット(92)は、円筒部(92a)と、6本の液側接続管(92b)と、1本の第2主液管(92c)とを有している。
【0076】
円筒部(92a)は、第3ヘッダ集合管(70)よりも低い円筒状に形成され、第3ヘッダ集合管(70)の下部に沿って起立している。6本の液側接続管(92b)は、上下に配列されて円筒部(92a)に接続されている。各液側接続管(92b)の本数は、風下補助空間(75)の数と同数(本例では6つ)である。各液側接続管(92b)は、各風下補助空間(75)とそれぞれ連通している。第2主液管(92c)の一端は、円筒部(92a)の下部に接続されている。第2主液管(92c)と各液側接続管(92b)とは、円筒部(92a)の内部空間を介して連通している。
【0077】
〔液分岐管〕
図2に模式的に示すように、第1分流ユニット(91)の第1主液管(91c)と第2分流ユニット(92)の第2主液管(92c)とには、液分岐管(28)が接続されている。液分岐管(28)は、二手に分岐し、各分流ユニット(91,92)及び各補助空間(55,75)と連通している。つまり、液分岐管(28)は、風上列部(30)の各扁平管(31)の他端部(第1風上管部(31a))と、風下列部(40)の各扁平管(41)の他端部(第1風下管部(41a))に分岐して連通している。
【0078】
〔ガス分岐管〕
図2に模式的に示すように、風上列部(30)の第1主ガス管(52a)と風下列部(40)の第2主ガス管(72a)とには、ガス分岐管(29)が接続されている。ガス分岐管(29)は、二手に分岐し、風上上側空間(52)及び風下上側空間(72)と連通している。つまり、ガス分岐管(29)は、風上列部(30)の他端部(第1風上管部(31a))と、風下列部(40)の他端部(第1風下管部(41a))に分岐するように連通している。
【0079】
−室外熱交換器の冷媒流れについて−
室外熱交換器(23)は、凝縮器及び蒸発器として機能する際、風上列部(30)の各扁平管(31)を流れる冷媒と、風下列部(40)の各扁平管(41)を流れる冷媒とが並行になるように構成される。具体的に、凝縮器及び蒸発器として機能する室外熱交換器(23)は、風上列部(30)の風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)と、風下列部(40)の風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)とで冷媒が並行に流れ、且つ風上列部(30)の風下補助熱交換領域(47)の扁平管(31)と、風下列部(40)の風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)とで冷媒が並行に流れるように構成される。つまり、凝縮器及び蒸発器として機能する室外熱交換器(23)は、風上主熱交換領域(35)の風上冷媒流路群(C1)を流れる冷媒と、風下主熱交換領域(45)の風下冷媒流路群(C2)を流れる冷媒とが互いに並行に流れるように構成される。
【0080】
更に室外熱交換器(23)は、凝縮器及び蒸発器として機能する際、風上列部(30)の各扁平管(31)を流れる冷媒と、風下列部(40)の各扁平管(41)を流れる冷媒とが互いに同じ方向となるように構成される。具体的に、凝縮器及び蒸発器として機能する室外熱交換器(23)は、風上列部(30)の風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)と、風下列部(40)の風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)とで冷媒が互いに同一方向に流れる。つまり、凝縮器及び蒸発器として機能する室外熱交換器(23)は、風上主熱交換領域(35)の風上冷媒流路群(C1)を流れる冷媒と、風下主熱交換領域(45)の風下冷媒流路群(C2)を流れる冷媒とが互いに同一方向に流れる。
【0081】
〔凝縮器の場合の冷媒の流れ〕
空気調和機(10)の冷房運転中には、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する。ここでは、冷房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
【0082】
室外熱交換器(23)には、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒が、ガス分岐管(29)に流入し、第1主ガス管(52a)と第2主ガス管(72a)とに分流する。
【0083】
図3に示すように、第1主ガス管(52a)へ供給された冷媒は、第1ヘッダ集合管(50)の風上上側空間(52)に流入し、各風上主熱交換部(36)に分配される。各風上主熱交換部(36)の各扁平管(31)の各風上冷媒流路群(C1)を通過する各冷媒は、空気へ放熱して凝縮していく。その後、各冷媒は、第2ヘッダ集合管(60)の各風上主連絡空間(65)へ供給され、各風上連絡管(68)に流入する。各風上連絡管(68)を流れた各冷媒は、第2ヘッダ集合管(60)の各風上補助連絡空間(67)へ供給され、各風上補助熱交換部(38)に分配される。各風上補助熱交換部(38)の各扁平管(31)の各風上冷媒流路群(C1)を通過する各冷媒は、空気へ更に放熱して凝縮し、過冷却状態(即ち、液単相状態)となる。
【0084】
過冷却状態となった液冷媒は、第1ヘッダ集合管(50)の各風上補助空間(55)へ供給され、第1分流ユニット(91)で合流し、第1主液管(91c)を流れる。
【0085】
図4に示すように、第2主ガス管(72a)へ供給された冷媒は、第3ヘッダ集合管(70)の風下上側空間(72)に流入し、風下主熱交換部(46)に分配される。各風下主熱交換部(46)の各扁平管(41)の各風下冷媒流路群(C2)を通過する各冷媒は、空気へ放熱して凝縮していく。その後、各冷媒は、第4ヘッダ集合管(80)の各風下主連絡空間(85)へ供給され、各風下連絡管(88)に流入する。各風下連絡管(88)を流れた各冷媒は、第4ヘッダ集合管(80)の各風下補助連絡空間(87)へ供給され、各風下補助熱交換部(48)に分配される。各風下補助熱交換部(48)の各扁平管(41)の各風下冷媒流路群(C2)を通過する各冷媒は、空気へ更に放熱して凝縮し、過冷却状態(即ち、液単相状態)となる。
【0086】
過冷却状態となった液冷媒は、第3ヘッダ集合管(70)の各風下補助空間(75)へ供給され、第2分流ユニット(92)で合流し、第2主液管(92c)を流れる。
【0087】
第1主液管(91c)を流れる冷媒と、第2主液管(92c)を流れる冷媒とは、液分岐管(28)で合流し、液側連絡配管(13)へ送られる。
【0088】
〔凝縮器の場合の冷媒と空気の温度変化〕
凝縮器として機能する室外熱交換器(23)における空気と冷媒の温度変化の一例を、図11に示す。
【0089】
風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)には、70℃の過熱状態のガス冷媒が流入する。この冷媒は、風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)の風上冷媒流路群(C1)の途中で50℃の飽和状態のガス冷媒となり、その後に次第に凝縮してゆく。風上主熱交換領域(35)から流出した冷媒は、風上補助熱交換領域(37)の扁平管(31)に流入する。この冷媒は、風上補助熱交換領域(37)の扁平管(31)の風上冷媒流路群(C1)で液単相状態の飽和冷媒(飽和温度50℃)となり、その後、更に放熱して過冷却状態(例えば42℃)となる。
【0090】
風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)には、70℃の過熱状態のガス冷媒が流入する。この冷媒は、風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)の風下冷媒流路群(C2)の途中で50℃の飽和状態のガス冷媒となり、その後に次第に凝縮してゆく。風下主熱交換領域(45)から流出した冷媒は、風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)に流入する。この冷媒は、風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)の風下冷媒流路群(C2)で液単相状態の飽和冷媒(飽和温度50℃)となり、その後、更に放熱して過冷却状態(例えば47℃)となる。
【0091】
一方、風上主熱交換領域(35)と風下補助熱交換領域(37)には、例えば35℃の空気が流入する。風下主熱交換領域(45)には、風上主熱交換領域(35)で加熱された45℃の空気が流入し、風下補助熱交換領域(37)には、風上補助熱交換領域(35)を通過する際に加熱された40℃の空気が流入する。
【0092】
このように、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合、室外熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも高くなり、冷媒が空気へ放出する熱量(即ち、冷媒の放熱量)が確保される。
【0093】
〔蒸発器の場合の冷媒の流れ〕
空気調和機(10)の暖房運転中には、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。ここでは、暖房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
【0094】
室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が、配管(17)を通じて供給される。この冷媒は、液分岐管(28)に流入し、第1主液管(91c)と第2主液管(92c)とに分流する。
【0095】
図12に示すように、第1分流ユニット(91)に供給された冷媒は、各液側接続管(91b)に分流し、第1ヘッダ集合管(50)の各風上補助空間(55)より各風上補助熱交換部(38)へ分配される。各風上補助熱交換部(38)の各扁平管(31)の各風上冷媒流路群(C1)を通過する各冷媒は、空気から吸熱して蒸発していく。その後、各冷媒は、第2ヘッダ集合管(60)の各風上補助連絡空間(67)へ供給され、各風上連絡管(68)に流入する。各風上連絡管(68)を流れた各冷媒は、第2ヘッダ集合管(60)の各風上主連絡空間(65)へ供給され、各風上主熱交換部(36)に分配される。各風上主熱交換部(36)の各扁平管(31)の各風上冷媒流路群(C1)を通過する各冷媒は、空気から更に吸熱して蒸発し、過熱状態(即ち、ガス単相状態)となる。
【0096】
過熱状態となったガス冷媒は、第1ヘッダ集合管(50)の風上上側空間(52)で合流し、第1主ガス管(52a)よりガス側連絡配管(14)へ送られる。
【0097】
図13に示すように、第2分流ユニット(92)に供給された冷媒は、各液側接続管(92b)に分流し、第3ヘッダ集合管(70)の各風下補助空間(75)より各風下補助熱交換部(48)へ分配される。各風下補助熱交換部(48)の各扁平管(41)の各風下冷媒流路群(C2)を通過する各冷媒は、空気から吸熱して蒸発していく。その後、各冷媒は、第4ヘッダ集合管(80)の各風下補助連絡空間(87)へ供給され、各風下連絡管(88)に流入する。各風下連絡管(88)を流れた各冷媒は、第4ヘッダ集合管(80)の各風下主連絡空間(85)へ供給され、各風下主熱交換部(46)に分配される。各風下主熱交換部(46)の各扁平管(41)の各風下冷媒流路群(C2)を通過する各冷媒は、空気から更に吸熱して蒸発し、過熱状態(即ち、ガス単相状態)となる。
【0098】
過熱状態となったガス冷媒は、第3ヘッダ集合管(70)の風下上側空間(72)で合流し、第2主ガス管(72a)を流れる。
【0099】
第1主ガス管(52a)を流れる冷媒と、第2主ガス管(72a)を流れる冷媒とは、ガス分岐管(29)で合流し、ガス側連絡配管(14)へ送られる。
【0100】
〔蒸発器の場合の冷媒と空気の温度変化〕
蒸発器として機能する室外熱交換器(23)における空気と冷媒の温度変化の一例を、図14を参照しながら説明する。
【0101】
風上補助熱交換領域(37)の扁平管(31)には、飽和温度1.5℃の気液二相状態の冷媒が流入する。風上補助熱交換領域(37)の扁平管(31)では、冷媒が風上冷媒流路群(C1)を通過する際の圧力損失に起因して、冷媒の飽和温度が約0.5℃まで次第に低下する。
【0102】
風上補助熱交換領域(37)から流出した気液二相状態の冷媒は、風上主熱交換領域(35)の扁平管(41)に流入する。風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)では、冷媒が風上冷媒流路群(C1)を通過する際の圧力損失に起因して、冷媒の飽和温度が更に低下する(例えば0℃)。この冷媒は、風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)の途中でガス単相状態となり、その温度が1℃まで上昇した後、風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)から流出する。
【0103】
風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)には、飽和温度1.5℃の気液二相状態の冷媒が流入する。風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)では、冷媒が風下冷媒流路群(C2)を通過する際の圧力損失に起因して、冷媒の飽和温度が約0.5℃まで次第に低下する。
【0104】
風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)には、飽和温度1.5℃の気液二相状態の冷媒が流入する。風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)では、冷媒が風下冷媒流路群(C2)を通過する際の圧力損失に起因して、冷媒の飽和温度が約0.5℃まで次第に低下する。
【0105】
風下補助熱交換領域(47)から流出した気液二相状態の冷媒は、風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)に流入する。風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)では、冷媒が風下冷媒流路群(C2)を通過する際の圧力損失に起因して、冷媒の飽和温度が更に低下する(例えば約0℃)。この冷媒は、風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)の途中でガス単相状態となり、その温度が1℃まで上昇した後、風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)から流出する。
【0106】
一方、風上補助熱交換領域(37)と風上主熱交換領域(35)とには、例えば7℃の空気が流入する。また、風下補助熱交換領域(47)には、風上補助熱交換領域(37)を通過する際に冷却された3℃の空気が流入し、風下主熱交換領域(45)には、風上主熱交換領域(35)を通過する際に冷却された2℃の空気が流入する。
【0107】
このように、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する場合は、室外熱交換器(23)の全体において冷媒の温度が空気の温度よりも低くなり、冷媒が空気から吸収する熱量(即ち、冷媒の吸熱量)が確保される。
【0108】
〔圧力損失の低減効果〕
以上のように、本実施形態では、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する場合と、蒸発器として機能する場合との双方において、冷媒が風上冷媒流路群(C1)と風下冷媒流路群(C2)とを並行に流れる。
【0109】
例えば冷媒が2つの冷媒流路群(C1,C2)を直列に流れる構成(比較例)では、各扁平管(31,41)を流れる冷媒の流速は、本実施形態の2倍となり、冷媒流路(C)の全長も2倍となる。冷媒流路(C)の圧力損失は、流速の2乗に比例し、冷媒流路の全長に比例する。従って、比較例の冷媒流路(C)の圧力損失は、本実施形態の概ね8倍(=2×2)となる。即ち、本実施形態では、風上列部(30)の冷媒流路群(C1)と風上列部(40)の冷媒流路群(C2)とにそれぞれ冷媒を並列に流すことで、比較例と比べて冷媒流路(C)の圧力損失を1/8まで低減できる。
【0110】
このようにして冷媒の圧力損失を低減できると、例えば蒸発器の室外熱交換器(23)において、冷媒の圧力の低下を防止できる。即ち、蒸発器の室外熱交換器(23)では、圧力損失に起因する冷媒の圧力の低下量を低減できるため、室外熱交換器(23)の入口と出口の圧力差(即ち、圧縮機(21)の吸入圧力と、室外熱交換器(23)の流入冷媒の圧力の差)を小さくできる。この結果、圧縮機(21)の吸入圧力を所定値とした場合、比較例と比べて室外熱交換器(23)に流入する冷媒の蒸発圧力、ひいては蒸発温度を低減できる。これにより、室外熱交換器(23)では、風上列部(30)の冷媒流路群(C1)を流れる冷媒と、風上列部(30)を通過する空気の温度の差を増大でき、室外熱交換器(23)の蒸発能力を向上できる。
【0111】
−実施形態1の効果−
実施形態1では、以下の作用及び効果を奏することができる。
【0112】
各列部(30,40)の扁平管(31,41)において冷媒を並行に流すようにしたので、各扁平管(31,41)の冷媒流路(C)を流れる冷媒の圧力損失を大幅に低減できる。この結果、圧力損失の増大に起因する動力の増大を抑制しつつ、所望の熱交換効率を得ることができる。
【0113】
扁平管(31,41)を幅方向に長くする必要がないので、各列部(30,40)の扁平管(31,41)の曲げ加工も容易となる。これにより、各列部(30,40)の扁平管(31,41)を折り曲げて、4面式の熱交換器を製造でき、熱交換器のコンパクト化を図ることができる。
【0114】
図2に示すように、各列部(30,40)に冷媒を並行に流すための液分岐管(28)やガス分岐管(29)を集約して配置できる。これにより、配管のスペースをコンパクト化、あるいは配管の据え付けの容易化を図ることができる。
【0115】
また、各扁平管(31,41)の幅が短くなることで、各列部(30,40)の扁平管(31,41)の間の通風抵抗を低減でき、熱透過率の減少を抑制できる。更に、扁平管(31,41)の幅が狭くなることで、扁平管(31,41)の上側に結露水が滞ることを防止できる。この結果、扁平管(31,41)の表面での着霜を防止できる。
【0116】
《実施形態2》
実施形態2の空気調和機(10)は、実施形態1と室外熱交換器(23)の構成が異なる。実施形態2の室外熱交換器(23)において、風上列部(30)の構成は実施形態1と同様である。以下には、実施形態1と異なる点について図15図20を参照しながら説明する。
【0117】
実施形態2では、第3ヘッダ集合管(70)が、風下列部(40)のうち第4側面部(23d)側の一端部近傍に立設している。第4ヘッダ集合管(80)は、風下列部(40)のうち第1側面部(23a)側の他端部近傍に立設している。つまり、実施形態2は、実施形態1と第3ヘッダ集合管(70)と第4ヘッダ集合管(80)の位置が、扁平管(31,41)の長手方向において全く反対の位置関係となっている。第3ヘッダ集合管(70)の近傍には、実施形態1と同様、第2分流ユニット(92)の近傍に立設している。
【0118】
第1主ガス管(52a)及び第2主ガス管(72a)は、分岐管(図示省略)を介してガス側連絡配管(14)と連通している。第1主液管(91c)及び第2主液管(92c)は、分岐管(図示省略)を介して液側連絡配管(13)と連通している。
【0119】
−室外熱交換器の冷媒流れについて−
図16図19に示すように、室外熱交換器(23)は、凝縮器及び蒸発器として機能する際、風上列部(30)の各扁平管(31)を流れる冷媒と、風下列部(40)の各扁平管(41)を流れる冷媒とが並行になるように構成される。具体的に、凝縮器及び蒸発器として機能する室外熱交換器(23)は、風上列部(30)の風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)と、風下列部(40)の風下主熱交換領域(45)の扁平管(41)とで冷媒が並行に流れ、且つ風上列部(30)の風下補助熱交換領域(47)の扁平管(31)と、風下列部(40)の風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)とで冷媒が並行に流れるように構成される。つまり、凝縮器及び蒸発器として機能する室外熱交換器(23)は、風上主熱交換領域(35)の風上冷媒流路群(C1)を流れる冷媒と、風下主熱交換領域(45)の風下冷媒流路群(C2)を流れる冷媒とが互いに並行に流れるように構成される。
【0120】
更に室外熱交換器(23)は、凝縮器及び蒸発器として機能する際、風上列部(30)の各扁平管(31)を流れる冷媒と、風下列部(40)の各扁平管(41)を流れる冷媒とが互いに逆方向となるように構成される。具体的に、凝縮器及び蒸発器として機能する室外熱交換器(23)は、風上列部(30)の風上主熱交換領域(35)の扁平管(31)と、風下列部(40)の風下補助熱交換領域(47)の扁平管(41)とで冷媒が互いに逆方向に流れる。つまり、凝縮器及び蒸発器として機能する室外熱交換器(23)は、風上主熱交換領域(35)の風上冷媒流路群(C1)を流れる冷媒と、風下主熱交換領域(45)の風下冷媒流路群(C2)を流れる冷媒とが互いに逆方向に流れる。
【0121】
〔凝縮器の場合〕
空気調和機(10)の冷房運転中には、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する。ここでは、冷房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
【0122】
室外熱交換器(23)には、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒が、配管(18)を通じて供給される。この冷媒は、配管(18)から第1主ガス管(52a)と第2主ガス管(82a)とに分流する。
【0123】
図16に示すように、第1主ガス管(52a)へ供給された冷媒は、第1ヘッダ集合管(50)の風上上側空間(52)に流入し、各風上主熱交換部(36)に分配される。各風上主熱交換部(36)の各扁平管(31)の各風上冷媒流路群(C1)を通過する各冷媒は、空気へ放熱して凝縮していく。その後、各冷媒は、第2ヘッダ集合管(60)の各風上主連絡空間(65)へ供給され、各風上連絡管(68)に流入する。各風上連絡管(68)を流れた各冷媒は、第2ヘッダ集合管(60)の各風上補助連絡空間(67)へ供給され、各風上補助熱交換部(38)に分配される。各風上補助熱交換部(38)の各扁平管(31)の各風上冷媒流路群(C1)を通過する各冷媒は、空気へ更に放熱して凝縮し、過冷却状態(即ち、液単相状態)となる。
【0124】
過冷却状態となった液冷媒は、第1ヘッダ集合管(50)の各風上補助空間(55)へ供給され、第1分流ユニット(91)で合流し、第1主液管(91c)より液側連絡配管(13)へ送られる。
【0125】
図17に示すように、配管(18)から第2主ガス管(72a)へ供給された冷媒は、第3ヘッダ集合管(70)の風下上側空間(72)に流入し、風下主熱交換部(46)に分配される。各風下主熱交換部(46)の各扁平管(41)の各風下冷媒流路群(C2)を通過する各冷媒は、空気へ放熱して凝縮していく。その後、各冷媒は、第4ヘッダ集合管(80)の各風下主連絡空間(85)へ供給され、各風下連絡管(88)に流入する。各風下連絡管(88)を流れた各冷媒は、第4ヘッダ集合管(80)の各風下補助連絡空間(87)へ供給され、各風下補助熱交換部(48)に分配される。各風下補助熱交換部(48)の各扁平管(41)の各風下冷媒流路群(C2)を通過する各冷媒は、空気へ更に放熱して凝縮し、過冷却状態(即ち、液単相状態)となる。
【0126】
過冷却状態となった液冷媒は、第3ヘッダ集合管(70)の各風下補助空間(75)へ供給され、第2分流ユニット(92)で合流し、第1分流ユニット(91)から流出した冷媒とともに液側連絡配管(13)へ送られる。
【0127】
〔蒸発器の場合〕
空気調和機(10)の暖房運転中には、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能し、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する。ここでは、暖房運転中における室外熱交換器(23)での冷媒の流れを説明する。
【0128】
室外熱交換器(23)には、膨張弁(24)を通過する際に膨張して気液二相状態となった冷媒が、配管(17)を通じて供給される。この冷媒は、配管(17)から第1分流ユニット(91)と第2分流ユニット(92)とに分流する。
【0129】
図18に示すように、第1分流ユニット(91)に供給された冷媒は、各液側接続管(91b)に分流し、第1ヘッダ集合管(50)の各風上補助空間(55)より各風上補助熱交換部(38)へ分配される。各風上補助熱交換部(38)の各扁平管(31)の各風上冷媒流路群(C1)を通過する各冷媒は、空気から吸熱して蒸発していく。その後、各冷媒は、第2ヘッダ集合管(60)の各風上補助連絡空間(67)へ供給され、各風上連絡管(68)に流入する。各風上連絡管(68)を流れた各冷媒は、第2ヘッダ集合管(60)の各風上主連絡空間(65)へ供給され、各風上主熱交換部(36)に分配される。各風上主熱交換部(36)の各扁平管(31)の各風上冷媒流路群(C1)を通過する各冷媒は、空気から更に吸熱して蒸発し、過熱状態(即ち、ガス単相状態)となる。
【0130】
過熱状態となったガス冷媒は、第1ヘッダ集合管(50)の風上上側空間(52)で合流し、第1主ガス管(52a)よりガス側連絡配管(14)へ送られる。
【0131】
図19に示すように、第2分流ユニット(92)に供給された冷媒は、各液側接続管(92b)に分流し、第3ヘッダ集合管(70)の各風下補助空間(75)より各風下補助熱交換部(48)へ分配される。各風下補助熱交換部(48)の各扁平管(41)の各風下冷媒流路群(C2)を通過する各冷媒は、空気から吸熱して蒸発していく。その後、各冷媒は、第4ヘッダ集合管(80)の各風下補助連絡空間(87)へ供給され、各風下連絡管(88)に流入する。各風下連絡管(88)を流れた各冷媒は、第4ヘッダ集合管(80)の各風下主連絡空間(85)へ供給され、各風下主熱交換部(46)に分配される。各風下主熱交換部(46)の各扁平管(41)の各風下冷媒流路群(C2)を通過する各冷媒は、空気から更に吸熱して蒸発し、過熱状態(即ち、ガス単相状態)となる。
【0132】
過熱状態となったガス冷媒は、第3ヘッダ集合管(70)の風下上側空間(72)で合流し、第1主ガス管(52a)から流出した冷媒とともにガス側連絡配管(14)へ送られる。
【0133】
〈空気の偏流の抑制対策について〉
ところで、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する際には、従来においては、室外熱交換器(23)を流れる空気が偏流し易いという問題があった。具体的に、室外熱交換器(23)において、2つの列部(30,40)にそれぞれ冷媒流路群(C1,C2)を形成し、これらの冷媒流路群(C1,C2)に並行に冷媒を流すとする。ここで、各冷媒流路群(C1,C2)において、気液二相状態の冷媒は、空気の冷却に用いられる。このため、空気中の水分が凝縮し、扁平管(31,41)やフィン(32,42)の表面に着霜することがある。
【0134】
一方、各冷媒流路群(C1,C2)において、気液二相状態の冷媒が更に蒸発すると、過熱状態となって温度が上昇する。従って、各扁平管(31,41)において、過熱状態の冷媒が流れる部分では、空気中の水分が結露しにくく、各扁平管(31,41)やフィン(32,42)の表面で着霜もほぼ生じない。
【0135】
このような理由から、隣り合う冷媒流路群(C1,C2)において、液状態ないし気液二相状態の冷媒が流れる部分と、過熱状態の冷媒が流れる部分とが、空気の通過方向に重なると、室外熱交換器(23)を流れる空気が偏流し易くなる、という問題が生じる。
【0136】
具体的には、隣り合う冷媒流路群(C1,C2)において、例えば液状態ないし気液二相状態の冷媒が流れる部分が空気の通過方向に重なると、この部分に対応する各扁平管(31,41)及び各フィン(32,42)の表面では、上述したように着霜が生じ易くなる。特に、扁平管(31,41)では、その表面に結露した水分が留まりやすいため、着霜量が大きくなる傾向になる。このような状態では、風上列部(30)と風下列部(40)の双方の扁平管(31,41)やフィン(32,42)で連続的に着霜が発生するため、この部分の通風抵抗が大きくなり易い。
【0137】
一方、隣り合う冷媒流路群(C1,C2)において、過熱領域の冷媒が流れる部分が空気の通過方向に重なると、この部分に対応する各扁平管(31,41)や各フィン(32,42)の表面では、着霜がほとんど生じない。従って、このような状態では、2列に重なった過熱領域に対応する部分の通風抵抗が、他の部分よりも小さくなり、この部分に空気が偏流し易くなるという問題が生じる。
【0138】
このようにして、空気の偏流が生じると、室外熱交換器(23)全体の扁平管(31,41)及びフィン(32,42)を冷媒と空気との伝熱に有効に利用できず、熱交換効率の低下を招いてしまう。そこで、本実施形態では、このような空気の偏流を防止するために、各列部(30,40)の過熱領域(S1,S2)が空気の通過方向に重ならないようしている。
【0139】
即ち、図19図21に示すように、室外熱交換器(23)では、上述のように、風上冷媒流路群(C1)を流れる冷媒と、風下冷媒流路群(C2)を流れる冷媒とが互いに逆方向になっている。このため、風上列部(30)の過熱領域(S1)は、扁平管(31)の第1風上管部(31a)の端部近傍に形成され、風下列部(40)の過熱領域(S2)は、扁平管(41)の第4風下管部(41d)の端部近傍に形成される。つまり、過熱領域(S1)と過熱領域(S2)とは、各扁平管(31,41)の長手方向において最も遠くに位置している。従って、過熱領域(S1)と過熱領域(S2)とが、空気の通過方向に重なることを確実に防止でき、ひいては上述した空気の偏流を防止できる。
【0140】
室外熱交換器(23)では、過熱領域(S1)と過熱領域(S2)とを空気の通過方向に重ならないようにするために、扁平管(31,41)の本数やサイズ、各冷媒流路(C)の数やサイズ、冷媒循環量、空気の風量等の各種のパラメータが設計されている。
【0141】
−実施形態2の効果−
実施形態2においても、実施形態1と同様にして、冷媒の圧力損失を低減できる。
【0142】
図18図20に示すように、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能する際、冷媒の過熱領域(S1,S2)が重なることを防止できる。これにより、過熱領域(S1,S2)ばかりに空気が偏流してしまうことを抑制できる。この結果、過熱領域(S1,S2)以外の部分の扁平管(31,41)やフィン(32,42)の表面で着霜が生じたとしても、熱交換器の全域に空気を均一に流しやすくなり、熱交換効率、ひいては蒸発性能の向上を図ることができる。
【0143】
《その他の実施形態》
本開示の各種の形態では、以下のような構成としてもよい。
【0144】
室外熱交換器(23)では、隣り合うヘッダ集合管(50,70)、(60,80)がそれぞれ別体に構成されているが、これらの少なくとも一組のヘッダ集合管を一体化し、その内部空間を2列に区画する構成してもよい。
【0145】
室外熱交換器(23)では、2列の扁平管(31,41)の各冷媒流路群(C1,C2)の隣り合う過熱領域(S1,S2)を互いに重ならないようにしているが、例えば3列以上の冷媒流路群(C1,C2)において、隣り合う過熱領域を重ならないようにしてもよい。
【0146】
室外熱交換器(23)において、補助熱交換領域(37,47)を省略した構成としてもよい。
【0147】
本開示の熱交換器は、室外熱交換器(23)である。しかしながら、本開示の熱交換器を室内熱交換器(25)に適用してもよい。この場合、室内熱交換器(25)は、例えば天井埋め込み式、あるいは天井吊り下げ式の室内ユニットに搭載される4面式の熱交換器であることが好ましい。また、室外熱交換器(23)及び室内熱交換器(25)は、必ずしも4面式でなくてもよく、3面以下のものであってもよい。
【0148】
本開示の熱交換器は、例えば図7に示すように、風上列部(30)と風下列部(40)とに対応するように、風上側と風下側とにそれぞれ別体のフィン(32,42)が設けられる。しかしながら、例えば図21に示すように、扁平管(31,41)を空気の通過方向に2列に配置する一方、風上側と風下側のフィン(32,42)を風上列部(30)と風下列部(40)とに跨がるように一体化してもよい。
【0149】
本開示の熱交換器のフィン(32,42)は、風上側の縁部に管挿入部(32b,42b)を形成し、この管挿入部(32b,42b)に扁平管(31,41)を挿入している。しかしながら、熱交換器は、フィン(32,42)の風下側の縁部に管挿入部を形成し、この管挿入部に扁平管(31,41)を挿入する構成としてもよい。また、本開示のフィン(32,42)では、伝熱促進部としてルーバ(32c,42c)を形成しているが、フィン(32,42)を厚さ方向に膨出させた膨出部(凸部)やスリット等を伝熱促進部としてもよい。
【0150】
上記実施形態の2列の列部(30,40)は、互いに異なる構成であってもよい。つまり、例えば2列の扁平管(31,41)において、各扁平管(31,41)の幅、各扁平管(31,41)厚さ方向(上下方向)の間隔、各扁平管(31,41)の冷媒流路(C)の流路面積、各扁平管(31,41)の冷媒流路(C)の数等を互いに異ならす構成としてもよい。また、2列のフィン(32,42)において、フィン(32,42)の幅(空気の通過方向の長さ)、フィン(32,42)の厚さ方向のピッチ(間隔)、フィン(32.42)の形状等を互いに異なる構成としてもよい。
【0151】
本開示の空気調和機において、複数の列部(30,40)に対応して1つずつ冷媒調整弁を設けてもよい。つまり、これらの冷媒調整弁の開度をそれぞれ個別に調節することで、各列部(30,40)に並列に流入する冷媒量を個別に調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
以上説明したように、本発明は、熱交換器及び空気調和機について有用である。
【符号の説明】
【0153】
10 空気調和機
23 室外熱交換器(熱交換器)
28 液分岐管
29 ガス分岐管
30 風上列部(列部)
31 扁平管
32 フィン
33a 第1屈曲部(屈曲部)
33b 第2屈曲部(屈曲部)
33c 第3屈曲部(屈曲部)
40 風下列部(列部)
41 扁平管
42 フィン
68 風上連絡管
88 風下連絡管
C 冷媒流路
S1 過熱領域
S2 過熱領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
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図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21