特許第6641774号(P6641774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641774
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】酸素供給ユニット
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/10 20060101AFI20200127BHJP
【FI】
   A61M16/10 B
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-157568(P2015-157568)
(22)【出願日】2015年8月7日
(65)【公開番号】特開2016-36742(P2016-36742A)
(43)【公開日】2016年3月22日
【審査請求日】2018年6月25日
(31)【優先権主張番号】特願2014-162332(P2014-162332)
(32)【優先日】2014年8月8日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】右近 哲哉
(72)【発明者】
【氏名】岩亀 誠
【審査官】 後藤 泰輔
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−190314(JP,A)
【文献】 特開平11−076779(JP,A)
【文献】 特開2002−306599(JP,A)
【文献】 特開平08−094000(JP,A)
【文献】 特開2014−209945(JP,A)
【文献】 特開2007−068570(JP,A)
【文献】 特開2008−113861(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮ガスを酸素排出器具に供給する酸素供給ユニットであって、
商用電源から供給される電力を利用することにより、空気中に含まれる酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成する酸素濃縮装置と、
前記酸素濃縮装置及び前記酸素排出器具と接続され、且つ、前記酸素濃縮装置から取り外し可能な非常用装置とを備え、
前記酸素濃縮装置が、
生成した酸素濃縮ガスを前記酸素排出器具に供給する第1酸素供給経路の一部である第1経路部分を有し、
前記非常用装置が、
前記第1酸素供給経路のうち、前記第1経路部分と前記酸素排出器具との間の部分である第2経路部分と、
商用電源から供給される電力を利用せずに、予め酸素ボンベに貯留された酸素濃縮ガスを前記酸素排出器具に供給する第2酸素供給経路と、
酸素濃縮ガスを前記酸素排出器具に供給する酸素供給経路を、停電発生時に、前記第1酸素供給経路から前記第2酸素供給経路に切り替える切替弁とを有することを特徴とする酸素供給ユニット。
【請求項2】
前記第1酸素供給経路に配置され、前記第1酸素供給経路から前記酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量を調整する第1流量調整装置と、
前記第2酸素供給経路に配置され、前記第2酸素供給経路から前記酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量を調整する第2流量調整装置とを備えることを特徴とする請求項1に記載の酸素供給ユニット。
【請求項3】
停電発生後における、前記第2酸素供給経路から前記酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量が、停電発生前における、前記第1酸素供給経路から前記酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量と同じまたはそれより大きくなるように、前記第2流量調整装置が調整されることを特徴とする請求項2に記載の酸素供給ユニット。
【請求項4】
前記切替弁は、停電が発生して、通電された状態から通電されない状態に変化したときに、前記第1酸素供給経路から前記第2酸素供給経路に切り替わることを特徴とする請求項1−3のいずれかに記載の酸素供給ユニット。
【請求項5】
前記第2酸素供給経路が、患者の呼吸に同調して患者に酸素濃縮ガスを供給する呼吸同調器を有することを特徴とする請求項1−4のいずれかに記載の酸素供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸器疾患患者等に対して酸素濃縮ガスを供給する酸素供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、商用電源から供給される電力を利用することにより、空気中に含まれる酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成する酸素濃縮装置が知られている。この酸素濃縮装置は、外部から吸い込んだ空気を圧縮するコンプレッサと、コンプレッサから圧縮空気が供給され、その圧縮空気中の窒素を吸着する吸着剤が収納された第1吸着筒及び第2吸着筒とを備えている。この酸素濃縮装置では、コンプレッサで圧縮された空気が、第1吸着筒及び第2吸着筒に交互に供給され、第1吸着筒及び第2吸着筒から酸素タンクに酸素濃縮ガスが供給される。そして、酸素タンクに供給された酸素濃縮ガスは、取出口からカニューラ(酸素排出器具)に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような酸素濃縮装置では、停電が発生した場合、酸素濃縮装置が停止してしまうので、酸素濃縮ガスを患者に供給できない問題がある。その対策として、予め酸素濃縮ガスが貯留された非常用の酸素ボンベを用意しておき、停電時にカニューラの接続先を酸素濃縮装置から酸素ボンベに繋ぎ替えることが考えられるが、繋ぎ替える間、患者が酸素濃縮ガスを吸うことができないので、患者に負担がかかる。また、別の対策として、酸素濃縮装置のコンプレッサを駆動可能なバッテリを備え、停電から復帰するまでそのバッテリで酸素濃縮装置を運転することが考えられるが、酸素濃縮装置のコンプレッサを駆動できるような大型のバッテリは高価であり、また、バッテリは長期間使用すると劣化により電気容量が徐々に減少するため、十分な電気容量を維持するためには所定期間ごとにバッテリを交換する必要があり、コストがかかる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、停電が発生した場合であっても、患者に負担をかけることなく、かつコストを低減した酸素供給ユニットを提供することである。
【0006】
第1の発明にかかる酸素供給ユニットは、酸素濃縮ガスを酸素排出器具に供給する酸素供給ユニットであって、商用電源から供給される電力を利用することにより、空気中に含まれる酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成する酸素濃縮装置と、前記酸素濃縮装置及び前記酸素排出器具と接続され、且つ、前記酸素濃縮装置から取り外し可能な非常用装置とを備え、前記酸素濃縮装置が、生成した酸素濃縮ガスを前記酸素排出器具に供給する第1酸素供給経路の一部である第1経路部分を有し、前記非常用装置が、前記第1酸素供給経路のうち、前記第1経路部分と前記酸素排出器具との間の部分である第2経路部分と、商用電源から供給される電力を利用せずに、予め酸素ボンベに貯留された酸素濃縮ガスを前記酸素排出器具に供給する第2酸素供給経路と、酸素濃縮ガスを前記酸素排出器具に供給する酸素供給経路を、停電発生時に、前記第1酸素供給経路から前記第2酸素供給経路に切り替える切替弁とを有することを特徴とする。
【0007】
この酸素供給ユニットでは、酸素濃縮ガスを患者に供給する酸素供給経路が、停電発生時に、酸素濃縮装置で生成した酸素濃縮ガスを患者に供給する第1酸素供給経路から、予め酸素濃縮ガスが貯留された酸素ボンベ内の酸素濃縮ガスを患者に供給する第2酸素供給経路に自動的に切り替わるので、停電時に、酸素排出器具の接続先を酸素濃縮装置から酸素ボンベに繋ぎ替える必要がなく、また、酸素濃縮装置のコンプレッサを駆動可能なバッテリを備える必要もない。したがって、患者に負担をかけることなく、かつコストを低減した酸素供給ユニットを提供できる。
また、この酸素供給ユニットでは、第2酸素供給経路が酸素濃縮装置の外部に配置されることから、非常用装置を酸素濃縮装置から取り外して使用可能であり、停電時と同じような状況において、自動的に酸素を供給し続けることができる。具体的には、停電が起こる状況は地震などの災害時があるが、その際に従来の酸素濃縮装置を使用した場合、避難時に酸素ボンベに切り替える等の手間が発生するが、この非常用装置では、酸素濃縮装置から取り外すことにより、自動的に酸素が供給され始めるので、速やかに非難することが可能となる。
【0008】
第2の発明にかかる酸素供給ユニットは、前記第1酸素供給経路に配置され、前記第1酸素供給経路から前記酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量を調整する第1流量調整装置と、前記第2酸素供給経路に配置され、前記第2酸素供給経路から前記酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量を調整する第2流量調整装置とを備えることを特徴とする。
【0009】
この酸素供給ユニットでは、第1酸素供給経路に配置された第1流量調整装置と、第2酸素供給経路に配置された第2流量調整装置とを備えることから、停電発生時に、第1流量調整経路から第2酸素供給経路に自動的に切り替わった場合でも、患者に供給される酸素量を調整できる。
【0010】
第3の発明にかかる酸素供給ユニットは、第2の発明にかかる酸素供給ユニットにおいて、停電発生後における、前記第2酸素供給経路から前記酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量が、停電発生前における、前記第1酸素供給経路から前記酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量と同じまたはそれより大きくなるように、前記第2流量調整装置が調整されることを特徴とする。
【0011】
この酸素供給ユニットでは、酸素ボンベから患者に供給される酸素量が、酸素濃縮装置から患者に供給される酸素量と同じまたはそれより大きくなるので、酸素ボンベから患者に供給される酸素量が、酸素濃縮装置から患者に供給される酸素量よりも小さくなることにより、患者に負担がかかってしまうのを防止できる。
【0012】
第4の発明にかかる酸素供給ユニットは、第1−第3のいずれかの発明にかかる酸素供給ユニットにおいて、前記切替弁は、停電が発生して、通電された状態から通電されない状態に変化したときに、前記第1酸素供給経路から前記第2酸素供給経路に切り替わることを特徴とする。
【0013】
この酸素供給ユニットでは、切替弁が停電が発生して、通電された状態から通電されない状態に変化したときに、酸素濃縮装置が停止したとみなして、切替弁が自動的に切り替わるので、切替弁を切り替えるための制御装置を有する必要がない。したがって、酸素供給ユニットの構成を簡易にできる。
【0014】
第5の発明にかかる酸素供給ユニットは、第1−第4のいずれかの発明にかかる酸素供給ユニットにおいて、前記第2酸素供給経路が、患者の呼吸に同調して患者に酸素濃縮ガスを供給する呼吸同調器を有することを特徴とする。
【0015】
この酸素供給ユニットでは、患者の呼吸に同調して酸素ボンベから酸素濃縮ガスが供給されるので、酸素ボンベが長持ちする。
【発明の効果】
【0018】
以上の説明に述べたように、本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
第1の発明では、酸素濃縮ガスを患者に供給する酸素供給経路が、停電発生時に、酸素濃縮装置で生成した酸素濃縮ガスを患者に供給する第1酸素供給経路から、予め酸素濃縮ガスが貯留された酸素ボンベ内の酸素濃縮ガスを患者に供給する第2酸素供給経路に自動的に切り替わるので、停電時に、酸素排出器具の接続先を酸素濃縮装置から酸素ボンベに繋ぎ替える必要がなく、また、酸素濃縮装置のコンプレッサを駆動可能なバッテリを備える必要もない。したがって、患者に負担をかけることなく、かつコストを低減した酸素供給ユニットを提供できる。
第2の発明では、第1酸素供給経路に配置された第1流量調整装置と、第2酸素供給経路に配置された第2流量調整装置とを備えることから、停電発生時に、第1流量調整経路から第2酸素供給経路に自動的に切り替わった場合でも、患者に供給される酸素量を調整できる。
【0020】
第3の発明では、酸素ボンベから患者に供給される酸素量が、酸素濃縮装置から患者に供給される酸素量と同じまたはそれより大きくなるので、酸素ボンベから患者に供給される酸素量が、酸素濃縮装置から患者に供給される酸素量よりも小さくなることにより、患者に負担がかかってしまうのを防止できる。
第4の発明では、切替弁が停電が発生して、通電された状態から通電されない状態に変化したときに、酸素濃縮装置が停止したとみなして、切替弁が自動的に切り替わるので、切替弁を切り替えるための制御装置を用意する必要がない。したがって、酸素供給ユニットの構成を簡易にできる。
【0021】
第5の発明では、患者の呼吸に同調して酸素ボンベから酸素濃縮ガスが供給されるので、酸素ボンベが長持ちする。
第6の発明では、第2酸素供給経路が酸素濃縮装置の外部に配置されることから、非常用装置を酸素濃縮装置から取り外して使用可能であり、停電時と同じような状況において、自動的に酸素を供給し続けることができる。具体的には、停電が起こる状況は地震などの災害時があるが、その際に従来の酸素濃縮装置を使用した場合、避難時に酸素ボンベに切り替える等の手間が発生するが、この非常用装置では、酸素濃縮装置から取り外すことにより、自動的に酸素が供給され始めるので、速やかに非難することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の第1実施形態にかかる酸素供給ユニットのブロック図である。
図2図1に示す切替弁の構成を説明するための概略図である。
図3】本発明の第2実施形態にかかる酸素供給ユニットのブロック図である。
図4】本発明の第2実施形態の変形例にかかる酸素供給ユニットのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ本発明にかかる酸素供給ユニットの実施の形態について説明する。
【0024】
[第1実施形態]
[酸素供給ユニットの全体構成]
本実施形態の酸素供給ユニット1は、呼吸器疾患患者等の患者に対して酸素濃縮ガスを提供する在宅酸素療法において用いられる。この酸素供給ユニット1は、図1に示すように、空気中に含まれる酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成する酸素濃縮装置2と、予め酸素濃縮ガスが貯留された非常用の酸素ボンベ31を備えた非常用装置3とを有している。この非常用装置3は、酸素濃縮装置2の内部に収容されている。酸素濃縮装置2で生成された酸素濃縮ガス、および非常用装置3の酸素ボンベ31内の酸素濃縮ガスは、酸素濃縮装置2の取出口23からカニューラ4(酸素排出器具)に供給され、カニューラ4から患者に供給される。非常用装置3が、酸素濃縮装置2の外にあってもよいが、この場合、切替弁33が酸素濃縮装置2の内部にあり、その切替弁33に非常用装置3が接続される。
【0025】
図1に示すように、酸素濃縮装置2で生成された酸素濃縮ガスがカニューラ4に供給されるまでの経路(図1中の実線で示す経路)が、第1酸素供給経路5(商用電源から供給される電力を利用することにより、空気中に含まれる酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成し、酸素排出器具に供給する第1酸素供給経路)である。この第1酸素供給経路5は、図1に示すように、後述するコンプレッサ12、吸着筒15a、15b、酸素タンク19、減圧弁20、流量調整装置21、呼吸同調器22、取出口23等を有している。また、酸素ボンベ31内の酸素濃縮ガスがカニューラ4に供給されるまでの経路(図1中の破線で示す経路)が、第2酸素供給経路6(商用電源から供給される電力を利用せずに、予め酸素ボンベに貯留された酸素濃縮ガスを酸素排出器具に供給する第2酸素供給経路)である。この第2酸素供給経路6は、図1に示すように、後述する酸素ボンベ31、減圧弁32、減圧弁20、流量調整装置21、呼吸同調器22、取出口23等を有している。第1酸素供給経路5および第2酸素供給経路6は、切替弁33において合流し、切替弁33よりも下流側は、実際には1つの経路となっている。
【0026】
<酸素濃縮装置>
次に、酸素濃縮装置2について詳しく説明する。酸素濃縮装置2は、商用電源(電源)から供給される電力を利用することにより、空気中に含まれる酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成するものである。この酸素濃縮装置2は、図1に示すように、外部から吸い込んだ空気を圧縮するコンプレッサ12と、コンプレッサ12から圧縮空気が供給され、その圧縮空気中の窒素を吸着する吸着剤が収容された第1吸着筒15a及び第2吸着筒15bと、第1吸着筒15a及び第2吸着筒15bの内部の空気を吸引する真空ポンプ14とを有している。
【0027】
コンプレッサ12の圧縮空気が吐出される側のガス流路には、第1吸着筒15a及び第2吸着筒15bのそれぞれに接続されるとともに、真空ポンプ14にそれぞれ接続された制御弁13a、13bが配設されている。制御弁13aは、3ポート弁であって、コンプレッサ12から吐出された圧縮空気を第1吸着筒15aに供給する加圧状態と、真空ポンプ14によって第1吸着筒15a内から空気を吸引する減圧状態とを切り替える。また、制御弁13bは、3ポート弁であって、コンプレッサ12から吐出された圧縮空気を第2吸着筒15bに供給する加圧状態と、真空ポンプ14によって第2吸着筒15b内から空気を吸引する減圧状態とを切り替える。
【0028】
第1吸着筒15aの下流側のガス流路には、逆止弁16aが配置されるとともに、第2吸着筒15bの下流側のガス流路には、逆止弁16bが配置されている。この逆止弁16a、16bは、第1吸着筒15a及び第2吸着筒15bから排出された酸素濃縮ガスが下流側に向かってだけ流れるように構成されている。第1吸着筒15aと逆止弁16aとの間のガス流路と、第2吸着筒15bと逆止弁16bとの間のガス流路とを接続する流路には、パージ弁17が配設されている。
【0029】
そして、逆止弁16aからの酸素濃縮ガスと、逆止弁16bからの酸素濃縮ガスが、プロダクト弁18を介して、酸素タンク19に供給され、その酸素濃縮ガスが酸素タンク19に貯留される。酸素タンク19の下流側には、非常用装置3に取り付けられた切替弁33が配設されている。この切替弁33は、制御装置24によって制御され、酸素濃縮ガスをカニューラ4に供給する酸素供給経路を、停電発生時に、第1酸素供給経路5から第2酸素供給経路6に切り替えるものである。この切替弁33は、例えば3ポート弁である。また、切替弁33の下流側には、酸素濃縮ガスを減圧する減圧弁20と、カニューラ4に供給される酸素濃縮ガスの流量(最大流量)を調整する流量調整装置21と、酸素濃縮ガスを外部へ取り出すための取出口23とが配置される。この取出口23には、上述したとおり、カニューラ4が接続される。
【0030】
流量調整装置21と取出口23との間の流路には、患者の呼吸に同調して患者に酸素濃縮ガスを供給する呼吸同調器22が取り付けられている。呼吸同調器22は、患者の呼吸のタイミングを考慮して、酸素タンク19または酸素ボンベ31内の酸素濃縮ガスの供給及び停止を交互に行うものである。この呼吸同調器22は、例えば酸素濃縮ガスを供給する時間と、酸素濃縮ガスを供給しない時間とが1対2となるように酸素濃縮ガスの供給及び停止を行う。
【0031】
<非常用装置>
非常用装置3は、予め酸素濃縮ガスが貯留された酸素ボンベ31を有しており、商用電源(電源)から供給される電力を利用せずに、酸素濃縮ガスをカニューラ4に供給するものである。図1に示すように、非常用装置3は、酸素ボンベ31と、酸素ボンベ31の下流側に配置され、酸素ボンベ31から供給される酸素濃縮ガスを減圧する減圧弁32と、上述の切替弁33とを有している。この酸素ボンベ31は、例えば市販の小型酸素ボンベであって、その容量は、例えば500mL−1Lである。ただし、酸素ボンベの容量は、これに限られず大型のものであってもよい。非常用装置3が、減圧弁32の下流側に配置された圧力検知手段を有する場合、その圧力検知手段で検知された圧力に基づいて、酸素ボンベ31内の圧力を間接的に検知し、酸素ボンベ31内の酸素の残量を検知できる。
【0032】
<制御装置>
制御装置24は、コンプレッサ12、制御弁13a、13b、真空ポンプ14、パージ弁17、プロダクト弁18、流量調整装置21、及び切替弁33等を制御する。この制御装置24は、商用電源から電力が供給される場合、商用電源からの電力によって駆動され、停電が発生して、商用電源から電力が供給されなくなると、小型のバッテリ25によって駆動される。小型のバッテリ25は、酸素濃縮装置2のコンプレッサ12を駆動できるようなものではなく、酸素濃縮装置2のコンプレッサ12を駆動できるような大型のバッテリに比べて、小さく、かつ十分にコストが安い。
【0033】
この制御装置24は、停電が発生して、商用電源から電力が供給されなくなったときに、切替弁33を制御して、酸素濃縮ガスをカニューラ4に供給する酸素供給経路を、第1酸素供給経路5から第2酸素供給経路6に自動的に切り替える。したがって、停電が発生して、酸素濃縮装置2で酸素濃縮ガスが生成されなくなっても、非常用の酸素ボンベ31から酸素濃縮ガスがカニューラ4に供給されるため、停電時でも患者に酸素濃縮ガスが供給される。本実施形態にかかる酸素供給ユニット1では、停電が発生して、酸素濃縮ガスをカニューラ4に供給する酸素供給経路を、第1酸素供給経路5から第2酸素供給経路6に自動的に切り替えたときに、そのときの運転状態を制御装置24に記憶する。その後、商用電源から電力が供給されるようになったときに、切替弁33を制御して、酸素濃縮ガスをカニューラ4に供給する酸素供給経路を、第2酸素供給経路6から第1酸素供給経路5に自動的に切り替え、制御装置24に記憶された運転状態(第1酸素供給経路5から第2酸素供給経路6に自動的に切り替えたときの運転状態)で運転が行われる。
【0034】
また、この制御装置24は、停電発生後において、停電発生後における、第2酸素供給経路6からカニューラ4に供給される酸素濃縮ガスの流量が、停電発生前における、第1酸素供給経路5からカニューラ4に供給される酸素濃縮ガスの流量と同じとなるように、流量調整装置21を制御する。
【0035】
<切替弁の構成>
次に図2を参照しつつ切替弁の構成について説明する。図2に示すように、切替弁33は、カニューラ4(酸素排出器具)が接続される第1接続口51と、商用電源から供給される電力を利用して生成された酸素濃縮ガスの供給経路(第1酸素供給経路5のうち切替弁33よりも上流側)が接続される第2接続口52と、商用電源から供給される電力を利用せずに、予め酸素ボンベに貯留された酸素濃縮ガスの供給経路(第2酸素供給経路6のうち切替弁33よりも上流側)が接続される第3接続口53と、第1接続口51と第2接続口52とを連通する第1流路54と、第1接続口51と第3接続口53とを連通する第2流路55とを有している。この切替弁33は、停電発生時に、酸素濃縮装置2の制御装置24に制御されることによって、第1流路54が開かつ第2流路55が閉の状態から第1流路54が閉かつ第2流路55が開の状態に切り替わる。なお、第1接続口51には、具体的には、カニューラ4から延びた供給経路(第1酸素供給経路5及び第2酸素供給経路6それぞれのうち切替弁33よりも下流側)が接続される。
【0036】
<本実施形態にかかる酸素供給ユニット及び切替弁の特徴>
本実施形態にかかる酸素供給ユニット1及び切替弁33には、以下の特徴がある。
【0037】
本実施形態にかかる酸素供給ユニット1では、酸素濃縮ガスを患者に供給する酸素供給経路が、停電発生時に、酸素濃縮装置2で生成した酸素濃縮ガスを患者に供給する第1酸素供給経路5から、予め酸素濃縮ガスが貯留された酸素ボンベ31内の酸素濃縮ガスを患者に供給する第2酸素供給経路6に自動的に切り替わるので、停電時に、カニューラ4(酸素排出器具)の接続先を酸素濃縮装置2から酸素ボンベ31に繋ぎ替える必要がなく、また、酸素濃縮装置2のコンプレッサ12を駆動可能なバッテリを備える必要もない。したがって、患者に負担をかけることなく、かつコストを低減した酸素供給ユニットを提供できる。
【0038】
また、本実施形態にかかる酸素供給ユニット1では、酸素ボンベ31から患者に供給される酸素量が、酸素濃縮装置2から患者に供給される酸素量と同じまたはそれより大きくなるので、酸素ボンベ31から患者に供給される酸素量が、酸素濃縮装置2から患者に供給される酸素量よりも小さくなることにより、患者に負担がかかってしまうのを防止できる。
【0039】
また、本実施形態にかかる酸素供給ユニット1では、患者の呼吸に同調して酸素ボンベ31から酸素濃縮ガスが供給されるので、酸素ボンベ31が長持ちする。
【0040】
また、本実施形態にかかる切替弁33では、患者に負担をかけることなく、かつコストを低減した酸素供給ユニットに用いられる切替弁を提供できる。
【0041】
[第2実施形態]
次に図3を参照しつつ第2実施形態にかかる酸素供給ユニットについて説明する。なお、上述の第1実施形態と同様の構成を有するものについては、第1実施形態と同じ符号を付し、適宜その説明を省略する。
【0042】
[酸素供給ユニットの全体構成]
本実施形態の酸素供給ユニットは、図3に示すように、空気中に含まれる酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成する酸素濃縮装置102と、予め酸素濃縮ガスが貯留された非常用の酸素ボンベ31を備えた非常用装置103とを有している。この非常用装置103は、上述の第1実施形態と異なり、酸素濃縮装置102の外部に配置されている。酸素濃縮装置102で生成された酸素濃縮ガス、および非常用装置103の酸素ボンベ31内の酸素濃縮ガスは、切替弁33aからカニューラ4に供給され、カニューラ4から患者に供給される。
【0043】
図3に示すように、酸素濃縮装置102で生成された酸素濃縮ガスがカニューラ4に供給されるまでの経路(図3中に実線で示す経路)が、第1酸素供給経路5a(商用電源から供給される電力を利用することにより、空気中に含まれる酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成し、酸素排出器具に供給する第1酸素供給経路)である。この第1酸素供給経路5aは、図3に示すように、コンプレッサ12、吸着筒15a、15b、酸素タンク19、減圧弁20、流量調整装置21、呼吸同調器22、取出口23等を有している。また、酸素ボンベ31内の酸素濃縮ガスがカニューラ4に供給されるまでの経路(図3中に破線で示す経路)が、第2酸素供給経路6a(商用電源から供給される電力を利用せずに、予め酸素ボンベに貯留された酸素濃縮ガスを酸素排出器具に供給する第2酸素供給経路)である。この第2酸素供給経路6aは、図3に示すように、後述する酸素ボンベ31、減圧弁32、流量調整装置41、呼吸同調器42等を有している。第1酸素供給経路5aおよび第2酸素供給経路6aは、切替弁33aにおいて合流し、切替弁33aよりも下流側は、実際には1つの経路となっている。このように、流量調整装置41は、第2酸素供給経路6aにおいて、酸素ボンベ31と切替弁33aとの間に配置される。したがって、第2酸素供給経路6aから供給される酸素量と、第1酸素供給経路5aから供給される酸素量とは、それぞれ別々に調整できる。切替弁33aは、非常用装置103の内部に配置され、酸素濃縮装置102の外部に配置され、非常用装置103の内部に配置された第2酸素供給経路6aは、酸素濃縮装置102の外部に配置される。よって、停電が発生して、商用電源から電力が供給されなくなったときに、第1酸素供給経路5aから第2酸素供給経路6aに切り替えられた後、非常用装置103を酸素濃縮装置102から取り外すことにより、酸素を供給しながら持ち運ぶことができる。流量調整装置21は、比例弁を使用した流量調整弁であり、流量調整装置41は、オリフィスを使用したものである。したがって、非常用装置103は、コンプレッサを動かすような大きなバッテリーではない小型の電池で酸素が供給され続けることができる。
【0044】
<酸素濃縮装置>
次に、酸素濃縮装置102について詳しく説明する。酸素濃縮装置102は、商用電源(電源)から供給される電力を利用することにより、空気中に含まれる酸素を濃縮して酸素濃縮ガスを生成するものである。この酸素濃縮装置102は、上述の第1実施形態と同様に、コンプレッサ12、第1吸着筒15a及び第2吸着筒15b、真空ポンプ14、逆止弁16a及び逆止弁16b、パージ弁17、プロダクト弁18、酸素タンク19、減圧弁20、流量調整装置21、呼吸同調器22、取出口23を有している。ただし、この酸素濃縮装置102では、減圧弁20、流量調整装置21、呼吸同調器22は、酸素タンク19から供給された酸素濃縮ガスを減圧、流量調整、及び同調させるものであり、上述の第1実施形態のように、酸素ボンベ31から供給された酸素濃縮ガスを減圧、流量調整、及び同調させるものではない。
【0045】
制御装置24aは、コンプレッサ12、制御弁13a、13b、真空ポンプ14、パージ弁17、プロダクト弁18、及び流量調整装置21を制御するとともに、後述する非常用装置103の制御装置43と通信する。この制御装置24aは、商用電源から電力が供給される場合、商用電源からの電力によって駆動され、停電が発生して、商用電源から電力が供給されなくなると、小型のバッテリ25によって駆動される。小型のバッテリ25は、酸素濃縮装置102のコンプレッサ12を駆動できるようなものではなく、酸素濃縮装置102のコンプレッサ12を駆動できるような大型のバッテリに比べて、小さく、かつ十分にコストが安い。
【0046】
<非常用装置>
非常用装置103は、予め酸素濃縮ガスが貯留された酸素ボンベ31を有しており、商用電源(電源)から供給される電力を利用せずに、酸素濃縮ガスをカニューラ4に供給するものである。図3に示すように、非常用装置103は、酸素ボンベ31と、酸素ボンベ31の下流側に配置され、酸素ボンベ31から供給される酸素濃縮ガスを減圧する減圧弁32と、酸素ボンベ31からカニューラ4に供給される酸素濃縮ガスの流量(最大流量)を調整する流量調整装置41と、患者の呼吸に同調して患者に酸素濃縮ガスを供給する呼吸同調器42と、切替弁33aとを有している。この酸素ボンベ31は、例えば市販の小型酸素ボンベであって、その容量は、例えば500mL−1Lである。ただし、酸素ボンベの容量は、これに限られず大型のものであってもよい。非常用装置103が、減圧弁32の下流側に配置された圧力検知手段を有する場合、その圧力検知手段で検知された圧力に基づいて、酸素ボンベ31内の圧力を間接的に検知し、酸素ボンベ31内の酸素の残量を検知できる。
【0047】
切替弁33aは、制御装置43によって制御され、酸素濃縮ガスをカニューラ4に供給する酸素供給経路を、停電発生時に、第1酸素供給経路5aから第2酸素供給経路6aに切り替えるものである。この切替弁33aは、例えば3ポート弁である。呼吸同調器42は、患者の呼吸のタイミングを考慮して、酸素ボンベ31内の酸素濃縮ガスの供給及び停止を交互に行うものである。この呼吸同調器42は、例えば酸素濃縮ガスを供給する時間と、酸素濃縮ガスを供給しない時間とが1対2となるように酸素濃縮ガスの供給及び停止を行う。
【0048】
<制御装置>
制御装置43は、制御装置24aからの指令を受けて、流量調整装置41、呼吸同調器42、及び切替弁33aを制御することもできる。この制御装置43は、小型のバッテリ44によって駆動される。
【0049】
この制御装置43は、停電が発生して、商用電源から電力が供給されなくなったときに、切替弁33aを制御して、酸素濃縮ガスをカニューラ4に供給する酸素供給経路を、第1酸素供給経路5aから第2酸素供給経路6aに自動的に切り替える。したがって、停電が発生して、酸素濃縮装置102で酸素濃縮ガスが生成されなくなっても、非常用の酸素ボンベ31から酸素濃縮ガスがカニューラ4に供給されるため、停電時でも患者に酸素濃縮ガスが供給される。制御装置43は、酸素濃縮装置102に電力を供給する商用電源の電力を調べることにより、酸素濃縮装置102に電力が供給されなくなったことを検知することができる。商用電源から電力が供給されなくなったことを検知する場合として、例えば(a)(b)が考えられる。
(a)酸素濃縮装置102に供給される電力を調べ、電源が供給されなくなったことを検知した場合に、酸素濃縮装置102から非常用装置103に電力が供給されなくなったことを伝える。(b) 非常用装置103が、酸素濃縮装置102が繋がれた商用電源の状態を調べることにより、酸素濃縮装置102に電力が供給されなくなったことを検知する。
【0050】
また、この制御装置43は、停電発生後において、停電発生後における、第2酸素供給経路6aからカニューラ4に供給される酸素濃縮ガスの流量が、停電発生前における、第1酸素供給経路5aからカニューラ4に供給される酸素濃縮ガスの流量と同じとなるように、流量調整装置41を制御することもできる。本実施形態では、流量調整装置41は、制御弁ではなくオリフィス式の流量調整装置であり、前もって流量を設定する。
【0051】
本発明において、流量調整装置41として、オリフィスではなく比例弁を使用した制御弁を使用した場合、停電発生後において、停電発生後における、第2酸素供給経路6aからカニューラ4に供給される酸素濃縮ガスの流量が、停電発生前における、第1酸素供給経路5aからカニューラ4に供給される酸素濃縮ガスの流量と同じとなるように、流量調整装置41を制御することができる。
【0052】
<切替弁の構成>
次に切替弁の構成について説明する。本実施形態の切替弁33aは、上述の第1実施形態の切替弁33と同様の構成を有する。したがって、本実施形態の切替弁33aは、酸素排出器具が接続される第1接続口と、商用電源から供給される電力を利用して生成された酸素濃縮ガスの供給経路が接続される第2接続口と、商用電源から供給される電力を利用せずに、予め酸素ボンベに貯留された酸素濃縮ガスの供給経路が接続される第3接続口と、第1接続口と第2接続口とを連通する第1流路と、第1接続口と第3接続口とを連通する第2流路とを有している。この切替弁33aは、停電発生時に、非常用装置103の制御装置43に制御されることによって、第1流路が開かつ第2流路が閉の状態から第1流路が閉かつ第2流路が開の状態に切り替わる。
【0053】
<本実施形態にかかる酸素供給ユニットの特徴>
本実施形態にかかる酸素供給ユニットでは、上述の第1実施形態にかかる酸素供給ユニットの同様の効果が得られる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0055】
[変形例]
上述の実施形態では、停電が発生して、商用電源から酸素濃縮装置に電力が供給されなくなったときに、制御装置が切替弁を切り換える構成である場合について説明したが、切替弁が制御装置によって切り替えられるものでなくてもよい。例えば、切替弁が、商用電源に接続されており、停電が発生して、通電された状態から通電されない状態に変化したときに、酸素濃縮ガスを酸素排出器具に供給する酸素供給経路が、第1酸素供給経路から第2酸素供給経路に切り替わるものであってもよい。すなわち、停電が発生して、通電された状態から通電されない状態に変化したときに、第1流路が開かつ第2流路が閉の状態から第1流路が閉かつ第2流路が開の状態に切り替わるものであってもよい。
【0056】
この酸素供給ユニットでは、切替弁が商用電源に接続されており、停電が発生して、通電された状態から通電されない状態に変化したときに、酸素濃縮装置が停止したとみなして、切替弁が自動的に切り替わるので、切替弁を切り替えるための制御装置を用意する必要がない。したがって、酸素供給ユニットの構成を簡易にできる。
【0057】
また、この酸素供給ユニットに用いられる切替弁では、酸素供給ユニットに用いられたときに、酸素供給ユニットが切替弁を切り替えるための制御装置を有する必要がないので、酸素供給ユニットの構成を簡易にできる。
【0058】
また、上述の実施形態では、切替弁が、3ポート弁であって、第1流路が開かつ第2流路が閉の状態から第1流路が閉かつ第2流路が開の状態に切り替わる場合について説明したが、切替弁が、2ポート弁であって、第1流路が開かつ第2流路が閉の状態から第1流路および第2流路が開の状態に切り替わってもよい。なお、第1流路および第2流路が開の場合において、プロダクト弁が開いていても、逆止弁により、逆止弁よりも第1酸素供給経路の上流側に酸素濃縮ガスが流れることがないようにされている。
【0059】
また、上述の実施形態では、図3の非常用装置103が逆止弁を有してない場合を説明したが、非常用装置103が、取出口23と切替弁33aの間(実質的に、切替弁33a直前)に配置された逆止弁を有していてよい。この場合、非常用装置103を酸素濃縮装置102から取り外して移動する場合に、外部に酸素が漏れるのを防止できる。非常用装置103を酸素濃縮装置102から取り外して移動する場合、取出口23から切換弁33aの間のチューブを外すことになるが、逆止弁が切り離される部分より下流に配置された場合、この逆止弁により、上流側(酸素濃縮装置102)へ流れる酸素を止めることができる。なお、この切換弁33a上流の逆止弁により、酸素濃縮装置102へ酸素が流れることがない。
【0060】
また、上述の実施形態では、図3の非常用装置103が、切替弁33aを有している場合を説明したが、図4に示すように、切替弁33aが酸素濃縮装置2の内部にあり、その切替弁33aに非常用装置103が接続されてよい。したがって、切替弁33aにより、酸素濃縮装置102の酸素タンク19内の酸素がカニューラ4に供給される状態と、非常用装置103内の酸素ボンベ31内の酸素がカニューラ4に供給される状態とを切り替えることができる。
【0061】
また、上述の実施形態では、停電発生後における、第2酸素供給経路から酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量が、停電発生前における、第1酸素供給経路から酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量と同じとなるように、第2酸素供給経路に設けられた流量調整装置が制御装置によって制御される場合について説明したが、第2酸素供給経路に設けられた流量調整装置が手動で予め調整されていてもよい。例えば、第2酸素供給経路に設けられた流量調整装置の流量を、第1酸素供給経路に設けられた流量調整装置の流量と同じとなるように予め手動で設定していてもよい。
【0062】
また、上述の実施形態では、停電発生後における、第2酸素供給経路から酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量が、停電発生前における、第1酸素供給経路から酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量と同じとなるように、第2酸素供給経路に設けられた流量調整装置が調整される場合について説明したが、停電発生後における、第2酸素供給経路から酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量が、停電発生前における、第1酸素供給経路から酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量より大きくなるように、第2酸素供給経路に設けられた流量調整装置が調整されてもよい。また、停電発生後における、第2酸素供給経路から酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量が、停電発生前における、第1酸素供給経路から酸素排出器具に供給される酸素濃縮ガスの流量より小さくなってもよい。
【0063】
また、上述の実施形態では、呼吸同調器が、酸素濃縮ガスを供給する時間と、酸素濃縮ガスを供給しない時間とが1対2となるように、酸素ボンベ内の酸素濃縮ガスの供給及び停止が交互に行われるように制御されている場合について説明したが、呼吸同調器の制御はこれに限らない。例えば、患者の呼吸のタイミングを検知して、患者の呼吸のタイミングに合わせて酸素ボンベ内の酸素濃縮ガスの供給及び停止が行われるものであってもよい。また、呼吸同調器はなくてもよい。
【0064】
また、上述の実施形態では、呼吸同調器と流量調整装置が別体である場合について説明したが、一体でもよく、呼吸同調器はなくてよい。呼吸同調器を有してない場合、単純に一定量の酸素を流すだけの構成であってよい。
【0065】
また、上述の第1実施形態では、呼吸同調器22が、切替弁33よりも第2酸素供給経路6の下流側に配置される場合について説明したが、呼吸同調器が、切替弁よりも第2酸素供給経路の上流側にあってもよい。また、上述の第2実施形態では、呼吸同調器42が、切替弁33aよりも第2酸素供給経路6aの上流側に配置される場合について説明したが、呼吸同調器が、切替弁よりも第2酸素供給経路の下流側にあってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明を利用すれば、停電が発生した場合であっても、患者に負担をかけることなく、かつコストを低減できる。
【符号の説明】
【0067】
1 酸素供給ユニット
4 カニューラ(酸素排出器具)
5、5a 第1酸素供給経路
6、6a 第2酸素供給経路
21、41 流量調整装置
22、42 呼吸同調器
24、43 制御装置
31 酸素ボンベ
33、33a 切替弁
51 第1接続口
52 第2接続口
53 第3接続口
54 第1流路
55 第2流路
図1
図2
図3
図4