(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641816
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】マルチ給湯システム用遠隔監視システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/10 20060101AFI20200127BHJP
F24H 1/00 20060101ALI20200127BHJP
H04Q 9/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
F24H1/10 301B
F24H1/10 301F
F24H1/10 301D
F24H1/00 H
H04Q9/00 301B
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-180300(P2015-180300)
(22)【出願日】2015年9月14日
(65)【公開番号】特開2017-58026(P2017-58026A)
(43)【公開日】2017年3月23日
【審査請求日】2018年8月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100104444
【弁理士】
【氏名又は名称】上羽 秀敏
(74)【代理人】
【識別番号】100107593
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100107445
【弁理士】
【氏名又は名称】小根田 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】110002088
【氏名又は名称】特許業務法人プロイスIPパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】峠田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 真行
(72)【発明者】
【氏名】前川 善彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛
(72)【発明者】
【氏名】井上 智晴
(72)【発明者】
【氏名】小野 秀
【審査官】
岩▲崎▼ 則昌
(56)【参考文献】
【文献】
特開平07−182030(JP,A)
【文献】
特開2002−098404(JP,A)
【文献】
特開2015−037243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/10
F24H 1/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の給湯器の運転台数の制御を少なくとも一つのシステムコントローラによって行うマルチ給湯システム用の遠隔監視システムであって、
不特定多数の前記マルチ給湯システムから前記複数台の給湯器並びに前記少なくとも一つのシステムコントローラのそれぞれの接続関係を示すシステム構成情報を取得して管理する管理サーバと、該管理サーバが管理する前記システム構成情報を参照して所望の前記マルチ給湯システムにおける前記接続関係を表示する表示装置とを備え、
前記システム構成情報には、接続されている前記給湯器のそれぞれの機種を特定するための機器情報が含まれており、前記表示装置は、接続されている前記給湯器の機種を前記接続関係とともに表示するよう構成されていることを特徴とするマルチ給湯システム用遠隔監視システム。
【請求項2】
複数台の給湯器の運転台数の制御を少なくとも一つのシステムコントローラによって行うマルチ給湯システム用の遠隔監視システムであって、
不特定多数の前記マルチ給湯システムから前記複数台の給湯器並びに前記少なくとも一つのシステムコントローラのそれぞれの接続関係を示すシステム構成情報を取得して管理する管理サーバと、該管理サーバが管理する前記システム構成情報を参照して所望の前記マルチ給湯システムにおける前記接続関係を表示する表示装置とを備え、
前記管理サーバは、前記マルチ給湯システムから現在のシステム構成情報を再取得したとき、管理しているシステム構成情報と再取得した現在のシステム構成情報とに相違があれば少なくとも相違部分を過去の接続履歴情報として現在のシステム構成情報とともに管理するよう構成されていることを特徴とするマルチ給湯システム用遠隔監視システム。
【請求項3】
請求項2に記載のマルチ給湯システム用遠隔監視システムにおいて、前記システム構成情報には、接続されている前記給湯器のそれぞれの機種を特定するための機器情報が含まれており、前記表示装置は、接続されている前記給湯器の機種を前記接続関係とともに表示するよう構成されていることを特徴とするマルチ給湯システム用遠隔監視システム。
【請求項4】
請求項2又は3に記載のマルチ給湯システム用遠隔監視システムにおいて、前記表示装置に前記接続関係を表示するとき、前記管理サーバが管理する前記現在のシステム構成情報と前記接続履歴情報とを参照することにより、過去に接続されていたが現在は接続されていない給湯器及び/又はシステムコントローラを、現在接続されている給湯器及び/又はシステムコントローラとは区別可能に表示することを特徴とするマルチ給湯システム用遠隔監視システム。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチ給湯システム用遠隔監視システムにおいて、各マルチ給湯システム毎に設置された通信アダプタをさらに備え、該通信アダプタは、前記マルチ給湯システムの前記システムコントローラとの通信によって前記システム構成情報を収集して前記管理サーバに送信することを特徴とするマルチ給湯システム用遠隔監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の給湯器を連結することにより大能力の給湯を可能としたマルチ給湯システム用の遠隔監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、業務用給湯システムとして、ガス瞬間給湯器を複数台使用するマルチ給湯システムが、ボイラーと貯湯槽とを組み合わせた給湯方式に代わって採用されつつある。マルチ給湯システムは、給湯器の1台が故障しても他の給湯器がバックアップ運転することにより給湯を継続でき、専用の機械室が不要であり、構成機器の搬入・搬出・交換が比較的容易に行え、ボイラー技士などの専門の技術者が不要で簡単なリモコン操作のみで運転させることができるなど、種々の利点がある。
【0003】
本願出願人は、従来より上記のようなマルチ給湯システムの開発を行っており、例えば下記の特許文献1及び2に開示している。
【0004】
また、個別住宅毎の給湯器をネットワークに接続して、給湯器の識別情報をサーバに送信することによって、給湯器の機種に応じた故障状態を特定する遠隔監視システムが特許文献3に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3603762号公報
【特許文献2】特許第3608492号公報
【特許文献3】特開2003−279121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
マルチ給湯システムは、例えば最大で24台の給湯器が複数のシステムコントローラによって接続され、各種施設において業務用に用いられるものであることから、システムの保守サービスを行うことが要望されている。
【0007】
しかし、各施設に設置されたマルチ給湯システムが何台の給湯器と何台のシステムコントローラによって構成され、それらがどのように接続されているかを示すシステム構成情報を実際に設置されたマルチ給湯システムから収集してメンテナンスや修理を行うメンテナンス業者に提供するシステムは従来は存在せず、各現場の施工図等の資料を参照しつつメンテナンス業者が手作業で接続関係を示す情報を入力していた。
【0008】
かかる入力作業は繁雑であるとともに誤入力の可能性もあり、また、給湯器やシステムコントローラの故障等が発生しても接続関係を示す情報には自動的に反映されず、多種多様なシステム構成であるマルチ給湯システムのメンテナンスを行うにあたり、現場に持ち込むべき交換部品の種類や数などを事前に特定することができず、一度現場を確認して必要な交換部品や数を把握した後、後日実際の修理作業等を行う必要があった。
【0009】
そこで、本発明は、複数台の給湯器の運転台数を制御することにより要求される給湯能力に応じた給湯を行うマルチ給湯システムを構成する機器同士の接続関係を示すシステム構成情報を、マルチ給湯システムから取得して管理することにより、故障予測や故障時の迅速な修理に役立つマルチ給湯システム用遠隔監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するために、次の技術的手段を講じた。
【0011】
すなわち、本発明は、複数台の給湯器の運転台数の制御を少なくとも一つのシステムコントローラによって行うマルチ給湯システム用の遠隔監視システムであって、不特定多数の前記マルチ給湯システムから前記複数台の給湯器並びに前記少なくとも一つのシステムコントローラのそれぞれの接続関係を示すシステム構成情報を取得して管理する管理サーバと、該管理サーバが管理する前記システム構成情報を参照して所望の前記マルチ給湯システムにおける前記接続関係を表示する表示装置とを備えることを特徴とするものである(請求項1,2)。
【0012】
かかる本発明のマルチ給湯システム用遠隔監視システムによれば、各マルチ給湯システムを構成する給湯器並びにシステムコントローラのそれぞれの接続関係を示すシステム構成情報を各マルチ給湯システムから管理サーバが取得するため、管理サーバ側で手作業でシステム構成情報を入力する必要がなく、入力ミスによるシステム構成情報の誤入力の発生も回避できる。そして、マルチ給湯システムから取得したシステム構成情報に基づいて前記接続関係を表示部に表示させることによって、現実の接続関係を管理サービス業者や機器メンテナンス業者にとって分かりやすくマルチ給湯システムを構成する機器接続関係を表示することができる。
【0013】
なお、単一のシステムコントローラのみを備えたマルチ給湯システムでは、この単一のシステムコントローラに複数台の給湯器のすべてが接続され、単一のシステムコントローラによって給湯器の運転台数が直接制御される。マルチ給湯システムは、複数のシステムコントローラを備えることもでき、この場合、好ましくは複数のシステムコントローラが階層的に接続され、最下位のシステムコントローラに前記給湯器が所定台数のグループ単位で接続され、最上位のシステムコントローラが下位のシステムコントローラに対してその傘下の給湯器の運転許容台数を指令することによって、給湯要求に応じた出湯を行わせるよう構成することができる。各システムコントローラは、階層上位側の機器と通信するための上位側通信ポートと、階層下位側の機器と通信するための下位側通信ポートとを備えることができ、下位側通信ポートは、下位側に接続可能な機器台数に応じて複数設けることもできるし、一つの下位側通信ポートに複数の下位側機器をディジーチェーン方式で接続する構成とすることもできる。また、最下位のシステムコントローラは、その下位側に接続された給湯器の運転情報(過去の総供給熱量情報や総給湯運転時間情報など)、エラー情報及び故障情報などの状態情報を各給湯器から取得可能に構成でき、管理サーバは、各給湯器の上記状態情報を上記システム構成情報とともにマルチ給湯システムから取得するよう構成できる。
【0014】
上記本発明のマルチ給湯システム用遠隔監視システムにおいて、前記システム構成情報には、接続されている前記給湯器のそれぞれの機種を特定するための機器情報が含まれており、前記表示装置は、接続されている前記給湯器の機種を前記接続関係とともに表示するよう構成されているものとすることができる(請求項
1,3)。これによれば、表示装置の表示を確認することによって、給湯器やシステムコントローラの台数やそれらの接続関係のみならず、接続されている給湯器の機種をも把握することができる。したがって、給湯器の機種毎に交換部品が異なる場合であっても、事前に給湯器の機種を特定してどの交換部品をどの程度の数調達しておくべきかを管理サービス業者や機器メンテナンス業者が把握することができる。さらに、例えば50号給湯器と32号給湯器では、過去の総供給熱量情報が同じであっても総運転時間は違ってくるが、上記した給湯器の状態情報をもあわせることによって、接続されている各給湯器の故障予測などを行うこともできる。
【0015】
なお、接続されているシステムコントローラの機種を特定するための機器情報をも前記システム構成情報に含ませることもでき、前記表示装置は、接続されているシステムコントローラの機種をも前記接続関係とともに表示しても良い。
【0016】
また、前記管理サーバは、前記マルチ給湯システムから現在のシステム構成情報を再取得したとき、管理しているシステム構成情報と再取得した現在のシステム構成情報とに相違があれば少なくとも相違部分を過去の接続履歴情報として現在のシステム構成情報とともに管理するよう構成されていてよい(請求項
2)。これによれば、接続履歴情報と現在管理している最新のシステム構成情報とに基づいて、システム異常判定などの種々の処理を行うことが可能となる。
【0017】
さらに、前記表示装置に前記接続関係を表示するとき、前記管理サーバが管理する前記現在のシステム構成情報と前記接続履歴情報とを参照することにより、過去に接続されていたが現在は接続されていない給湯器及び/又はシステムコントローラを、現在接続されている給湯器及び/又はシステムコントローラとは区別可能に表示するものであってよい(請求項4)。これによれば、給湯器やシステムコントローラの通信部の故障等によって当該給湯器やシステムコントローラの接続情報が消失した場合に、過去の接続履歴情報に基づいて正常に接続されている給湯器やシステムコントローラの表示とは区別可能に表示するので、何らかの通信異常が生じていることをメンテナンス業者が容易に把握することが可能となり、メンテナンス業者が現場へ向かう際に事前に通信基板などを持ち込むことで迅速な修理を行うことが可能となる。
【0018】
また、上記本発明のマルチ給湯システム用遠隔監視システムは、各マルチ給湯システム毎に設置された通信アダプタをさらに備えることができ、該通信アダプタは、前記マルチ給湯システムの前記システムコントローラとの通信によって前記システム構成情報を収集して前記管理サーバに送信するものであってよい(請求項5)。これによれば、システムコントローラに管理サーバとの通信機能が具備されていない場合でも、通信アダプタを介してシステムコントローラと管理サーバとの通信を中継して、各システムコントローラが管理する各種情報を管理サーバに取得させることが可能となる。なお、マルチ給湯システムの運転を操作するためのリモコンを上記通信アダプタとして機能させることも可能である。
【0019】
なお、複数のシステムコントローラが階層的に接続されたマルチ給湯システムの場合は、各システムコントローラがその下位側に直接接続された機器(給湯器又は下位側のシステムコントローラ)の接続情報を認識し、通信アダプタがすべてのシステムコントローラと直接若しくは他のシステムコントローラを介して間接的に通信することによって、すべてのシステムコントローラからシステム構成情報を収集するよう構成できる。また、下位のシステムコントローラが認識した接続情報を上位側のシステムコントローラに順次集約させていき、最上位のシステムコントローラに集約されたシステム構成情報を、通信アダプタが最上位のシステムコントローラと通信することによって収集するよう構成することも可能である。
【0020】
また、前記通信アダプタは、所定のタイミングで自律的に前記システム構成情報の収集及び前記管理サーバへの送信を行うものであってもよいし、また、前記管理サーバやその他の端末からの情報取得要求に応じて前記システム構成情報の収集及び前記管理サーバへの送信を行うものであってもよい。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明の請求項1
及び2に係るマルチ給湯システム用遠隔監視システムによれば、各マルチ給湯システムを構成する給湯器並びにシステムコントローラのそれぞれの接続関係を示すシステム構成情報を各マルチ給湯システムから管理サーバが取得するため、管理サーバ側で手作業でシステム構成情報を入力する必要がなく、入力ミスによるシステム構成情報の誤入力の発生も回避できる。そして、マルチ給湯システムから取得したシステム構成情報に基づいて前記接続関係を表示部に表示させることによって、現実の接続関係を管理サービス業者や機器メンテナンス業者にとって分かりやすくマルチ給湯システムを構成する機器接続関係を表示することができる。
【0022】
また、本発明の請求項
1及び3に係るマルチ給湯システム用遠隔監視システムによれば、表示装置の表示を確認することによって、給湯器やシステムコントローラの台数やそれらの接続関係のみならず、接続されている給湯器の機種をも把握することができる。したがって、給湯器の機種毎に交換部品が異なる場合であっても、事前に給湯器の機種を特定してどの交換部品をどの程度の数調達しておくべきかを管理サービス業者や機器メンテナンス業者が把握することができる。さらに、例えば50号給湯器と32号給湯器では、過去の総供給熱量情報が同じであっても総運転時間は違ってくるが、上記した給湯器の状態情報をもあわせることによって、接続されている各給湯器の故障予測などを行うこともできる。
【0023】
また、本発明の請求項
2に係るマルチ給湯システム用遠隔監視システムによれば、接続履歴情報と現在管理している最新のシステム構成情報とに基づいて、システム異常判定などの種々の処理を行うことが可能となる。
【0024】
また、本発明の請求項4に係るマルチ給湯システム用遠隔監視システムによれば、給湯器やシステムコントローラの通信部の故障等によって当該給湯器やシステムコントローラの接続情報が消失した場合に、過去の接続履歴情報に基づいて正常に接続されている給湯器やシステムコントローラの表示とは区別可能に表示するので、何らかの通信異常が生じていることをメンテナンス業者が容易に把握することが可能となり、メンテナンス業者が現場へ向かう際に事前に通信基板などを持ち込むことで迅速な修理を行うことが可能となる。
【0025】
また、本発明の請求項5に係るマルチ給湯システム用遠隔監視システムによれば、システムコントローラに管理サーバとの通信機能が具備されていない場合でも、通信アダプタを介してシステムコントローラと管理サーバとの通信を中継して、各システムコントローラが管理する各種情報を管理サーバに取得させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマルチ給湯システム並びにその遠隔監視システムの概略システム構成図である。
【
図2】同遠隔監視システムの表示端末(表示部)における接続関係の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
図1は、本発明の一実施形態に係るマルチ給湯システム並びにその遠隔監視システムの概略システム構成図であり、本実施形態のマルチ給湯システムは、1台の最上位のシステムコントローラP(以下、「親シスコン」という。)と、該親シスコンPの階層下位側に並列に接続された4台の最下位のシステムコントローラSC(以下、「子シスコン」という。)と、各子シスコンSCの階層下位側に6台ずつ接続された計24台の給湯器WHとを備えて、これら構成機器が親シスコンPを頂点として階層的に接続され、親シスコンP並びに子シスコンSCによって給湯器WHの運転台数制御がなされるよう構成されている。親シスコンP並びに子シスコンSCによる運転台数制御の内容はどのようなものであってもよく、本発明においては運転台数制御の内容は特定のものに限定されないが、例えば上記特許文献1又は2に開示したものとすることができる。
【0029】
なお、
図1は最大構成例として示したものであって、各施設に設置されるマルチ給湯システム毎に、要求される最大給湯能力等に応じて子シスコンSCの接続台数、並びに、給湯器WHの接続台数は任意である。また、給湯器WHの台数が6台以下であれば、親シスコンPを設置せず、1台の子シスコンSCのみで給湯器WHの運転台数制御を行うシステム構成とすることもできる。
【0030】
親シスコンPは、階層下位側に最大4台の子シスコンSCを接続するための4つの下位側接続ポートを備えており、各接続ポートに子シスコンSCが2芯通信線などの通信線L1を介してそれぞれ接続され、該通信線L1を介して親シスコンPと各子シスコンSCとが相互に各種情報(各種指令信号を含む。)を送受信可能に構成されている。また、親シスコンPは、各下位側接続ポートに子シスコンSCが接続されているか否かの接続確認処理を所定時間毎若しくは所定のタイミング(例えば、給湯運転開始時や終了時など)で行うとともに、接続が確認された子シスコンSCの接続情報を記憶保持する。親シスコンPが記憶保持する子シスコンSCの接続情報は、例えば、4つの下位側接続ポートのそれぞれに子シスコンSCが接続されているか否かを示す4ビットのデジタルデータを含む。具体的には、4つのポートすべてに子シスコンSCが接続されていれば「1111」、いずれにも接続されていなければ「0000」、1番目と3番目のポートに接続されていれば「1010」のように設定されるデジタルデータを含むことができる。また、親シスコンPは、自身の機種を特定するための所定の機器情報(例えば、型番やソフトウェアバージョン番号など)をも記憶保持している。
【0031】
各子シスコンSCは、親シスコンPと接続するための上位側接続ポートを備え、該ポートに上記通信線L1が接続されている。また、子シスコンSCは、階層下位側に最大6台の給湯器WHを接続するための6つの下位側接続ポートを備えており、各下位側接続ポートに給湯器WHが2芯通信線などの通信線L2を介してそれぞれ接続され、該通信線L2を介して子シスコンSCと給湯器WHとが相互に各種情報(各種指令信号を含む。)を送受信可能に構成されている。子シスコンSCもまた、親シスコンPと同様、各階層下位側接続ポートに給湯器WHが接続されているか否かの接続確認処理を所定時間毎若しくは所定のタイミングで行うとともに、接続が確認された給湯器WHの接続情報を記憶保持する。子シスコンSCが記憶保持する給湯器WHの接続情報は、例えば、6つの下位側接続ポートのそれぞれに給湯器WHが接続されているか否かを示す6ビットのデジタルデータを含む。具体的には、6つのポートすべてに給湯器WHが接続されていれば「111111」、いずれにも接続されていなければ「000000」、2番目と4番目と5番目のポートに接続されていれば「010110」のように設定されるデジタルデータを含むことができる。また、各子シスコンSCも、自身の機種を特定するための所定の機器情報を記憶保持している。
【0032】
給湯器WHは、子シスコンSCと接続するための接続ポートを備えており、該接続ポートに上記通信線L2が接続されている。各給湯器WHもまた、自身の機種を特定するための所定の機器情報を記憶保持している。また、給湯器WHは、自機から給湯した過去の総供給熱量情報、自機のエラー情報及び自機の故障情報を含む給湯器状態情報をも記憶保持している。給湯器状態情報としては、その他適宜の情報を含むことができ、例えば燃料ガスの種類(都市ガスかプロパンガスかなど)や総運転時間に関する情報などを含むこともできる。
【0033】
また、本実施形態のマルチ給湯システムは、システム全体の運転操作を行うためのリモコンRCを備えており、該リモコンRCは、親シスコンPの階層上位側接続ポートに2芯通信線L3を介して接続されている。親シスコンPの階層上位側接続ポートは複数並列に設けられており、後述する通信アダプタ4もまた2芯通信線L3を介して親シスコンPの階層上位側接続ポートに接続されており、而して、親シスコンP、リモコンRC並びに通信アダプタ4がそれぞれ相互に通信可能となされている。
【0034】
本実施形態の遠隔監視システムは、インターネットに接続された管理サーバ1と、マルチ給湯システムのエラー確認やサービス手配等を行うコールセンターに設けられた監視端末2(表示装置)と、メンテナンス業者が携行する通信端末3(表示装置)と、各マルチ給湯システム毎に設置された通信アダプタ4とから主構成され、該通信アダプタ4は、携帯電話通信網並びにインターネットを介して管理サーバ1と相互に通信可能に接続されているとともに、2芯通信線などの通信線L3を介して親シスコンPと相互に通信可能に接続されている。なお、通信アダプタ4は、LANケーブルを介して接続されたルーター5を介して携帯電話網に接続されている。ルーター5には電源基板(図示せず)から電源供給することができ、通信アダプタ4へは、2芯通信線L3を介して電源供給することができる。
【0035】
管理サーバ1は、各マルチ給湯システムの通信アダプタ4から、個々のマルチ給湯システムを構成する複数台の給湯器WH、親シスコンP並びに子シスコンSCのそれぞれの接続関係を示すシステム構成情報を取得して各マルチ給湯システム毎に管理するものであり、ファイルサーバの形態で構成されていてもよいし、リレーショナルデータベースサーバの形態で構成されていてもよく、その他適宜の形態であってよい。
【0036】
監視端末2並びに通信端末3は、管理サーバ1が管理する上記システム構成情報を参照して、システム構成を表示させたい所望の特定のマルチ給湯システムにおける複数台の給湯器WH、親シスコンP並びに子シスコンSCのそれぞれの接続関係を、例えば
図2に示すような階層構造のダイアグラムを用いて表示画面に表示するよう構成されている。また、監視端末2並びに通信端末3は、所定の操作を行うことによって指定したマルチ給湯システムの通信アダプタ4に対し、インターネットを介して構成情報取得要求を発行可能に構成されている。
【0037】
次に、管理サーバ1が各マルチ給湯システムからシステム構成情報を取得する動作の一例について説明する。
【0038】
いずれかの端末2,3から構成情報取得要求が指定されたマルチ給湯システムの通信アダプタ4に対して発行されると、該通信アダプタ4は、その下位機器となる親シスコンP並びにリモコンRCに対して構成情報取得要求を発行する。
【0039】
次に、リモコンRCは、構成情報取得要求を受信すると、下位機器が接続されていないため下位機器の接続情報の返信は行わず、自機の機種を特定するための機器情報を通信アダプタ4に対して返信する。
【0040】
次に、親シスコンPは、構成情報取得要求を受信すると、その下位機器となる接続されている子シスコンSCのすべてに対して構成情報取得要求を発行する。
【0041】
次に、子シスコンSCは、構成情報取得要求を受信すると、その下位機器となる接続されている給湯器WHのすべてに対して構成情報取得要求を発行する。
【0042】
次に、給湯器WHは、構成情報取得要求を受信すると、その下位機器は存在しないため下位機器の接続情報の返信は行わず、自機の機種を特定するための機器情報、並びに、上記した運転状態情報を子シスコンSCに対して返信する。
【0043】
次に、子シスコンSCは、接続されているすべての給湯器WHからの返信があれば、自機が記憶保持する下位の給湯器WHの接続情報に、各給湯器WHから返信された各給湯器の機器情報及び運転状態情報を付加するとともに、自機が記憶保持している自機の機種情報をも付加して、親シスコンPに対して返信する。
【0044】
次に、親シスコンPは、接続されているすべての子シスコンSCからの返信があれば、自機が記憶保持する下位の子シスコンSCの接続情報に、各子シスコンSCから返信された情報を付加するとともに、自機が記憶保持している自機の機種情報をも付加して、通信アダプタ4に対して返信する。
【0045】
次に、通信アダプタ4は、親シスコンPからの返信があれば、親シスコンPが記憶保持する子シスコンSCの接続情報、各子シスコンSCが記憶保持する給湯器WHの接続情報、親シスコンP、子シスコンSC及び給湯器WHのそれぞれの機器情報、並びに、各給湯器の運転状態情報を含むシステム構成情報を管理サーバ1に送信する。
【0046】
以上の流れによって、管理サーバ1は各マルチ給湯システムからシステム構成情報を取得して管理する。
【0047】
なお、通信アダプタ4と親シスコンP及びリモコンRCとの間の通信プロトコル、親シスコンPと子シスコンSCとの間の通信プロトコル、並びに、子シスコンSCと給湯器WHとの間の通信プロトコルは適宜のものであってよいが、これら各階層の通信プロトコルは共通のものであってよい。
【0048】
なお、通信アダプタ4が上記構成情報取得要求を親シスコンPに対して発行するタイミングは適宜のものであってよくたとえば、通信アダプタ4が自律的に所定時間毎(例えば5分毎)に構成情報取得要求を発行してシステム構成情報を収集し、管理サーバ1に送信させることも可能である。
【0049】
また、上記した構成情報の取得動作は一例にすぎず、例えば、親シスコンPは、各子シスコンSCから応答があれば、他の子シスコンSCからの応答を待たずに、応答があったものから順に通信アダプタ4に情報送信するよう構成してもよい。同様に子シスコンSCは、各給湯器WHから応答があれば、他の給湯器WHからの応答を待たずに、応答があったものから順に親シスコンPに情報送信するよう構成してもよい。また、通信アダプタ4は、親シスコンPを介して子シスコンSCと相互に通信可能であってよく、また、親シスコンP並びに子シスコンSCを介して給湯器WHと相互に通信可能であってもよく、この場合、通信アダプタ4が、すべての子シスコンSC及びすべての給湯器WHに対して個別に問い合わせを行い、返信のあった機器が接続されていると判定して、当該システム構成情報を管理サーバ1に送信することもできる。
【0050】
また、管理サーバ1は、既にシステム構成情報を管理しているマルチ給湯システムから最新の(現在の)システム構成情報を再取得したとき、管理しているシステム構成情報と再取得した最新のシステム構成情報とに相違があれば少なくとも相違部分を過去の接続履歴情報として最新のシステム構成情報とともに管理するよう構成されている。この過去の接続履歴情報の管理の態様は適宜であってよく、最新のシステム構成情報とは分離した情報として管理しておくこともでき、また、最新のシステム構成情報に一体的に組み込まれた情報として管理しておくこともできる。例えば、ある機器が接続されているか否かを2ビットの情報で表す場合を想定すると、ある機器が接続されていれば「11」、接続されておらず過去に接続されていたという履歴もなければ「00」、現在は接続されていないが過去に接続されていた場合は「01」で表すことによって、過去の接続履歴情報を含んだ状態の最新のシステム構成情報として管理することも可能である。また、過去の接続履歴情報は、管理サーバ1によって生成されてもよく、また、各マルチ給湯システムの通信アダプタ4によって生成して、過去の接続履歴情報とともに最新のシステム構成情報を通信アダプタ4から管理サーバ1へ送信するよう構成することもできる。
【0051】
図2は、各端末2,3におけるシステム構成情報の表示例を示している。なお、各端末2,3に、管理サーバ1が管理するシステム構成情報を参照して所望のマルチ給湯システムにおける構成機器の接続関係を表示するためのプログラムをインストールしておくこともできるし、各端末2,3を単なる表示端末乃至Web端末とし、管理サーバ1側で生成したシステム構成図を各端末2,3に転送して表示させることも可能である。
【0052】
本実施形態によれば、
図2に示すように各端末2,3に、指定したマルチ給湯システムの構成機器の接続関係を階層構造のダイアグラムとして分かりやすく表示することで、システムを構成するシステムコントローラや給湯器の台数を容易に把握できるようにしている。また、各構成機器毎に、機種名、ソフトウェアバージョンを表示することによって、メンテナンスに必要な資材や交換部品を容易に把握できるようになっている。また、各構成機器毎に、その他の項目として適宜の情報を表示させることができ、例えば、給湯器であれば総運転時間や総供給熱量に関する情報を表示することによって、機種名と合わせることで故障時期が近づいているなどを把握することができ、マルチ給湯システムのユーザに対して種々のサービスを提供できる。
【0053】
また、各端末2,3に
図2に示す接続関係を表示するとき、管理サーバが管理する最新のシステム構成情報と上記した接続履歴情報とを参照することにより、過去に接続されていたが現在は接続されていない給湯器及び/又はシステムコントローラを、現在接続されている給湯器及び/又はシステムコントローラとは区別可能に表示するよう構成できる。例えば、
図2の状態が「×」で示されている給湯器は、過去に接続されていたが、最新のシステム構成情報では未接続となっているものであり、視覚的に区別可能なように点線並びに網掛けで表示している。
【0054】
また、
図2に示す例では、故障情報が付加された機器は、状態を「△」で表示するとともに、故障機器であることを視覚的に明確に表示するために太枠線で表示している。
【0055】
なお、給湯器が増加した場合も、増加した給湯器であることを区別できるように表示することもできるが、本実施形態では増加した場合には特に区別する表示を行っていない。
【0056】
また、給湯器が接続されていた場所に別の機種の給湯器が接続された場合も、別の給湯器が接続されているものとしてシステム構成情報を管理サーバ1に送信し、端末2,3における表示でも新たな給湯器が上書きされる形で構成情報に追加され、特に区別できるような表示を行わないこととしているが、これを区別できる表示とすることも勿論可能である。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜設計変更できる。例えば、
図2に示す表示例では、接続されている若しくは過去に接続履歴のある機器のみを階層表示することとしているが、接続可能なすべてのポートを表示して、各ポートに下位機器が接続されているか否かを○×△などで表示することも可能である。
【符号の説明】
【0058】
WH 給湯器
P,SC システムコントローラ
1 管理サーバ
2,3 表示装置
4 通信アダプタ