特許第6641856号(P6641856)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6641856
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】測定治具
(51)【国際特許分類】
   G01B 5/18 20060101AFI20200127BHJP
   G01B 3/46 20060101ALI20200127BHJP
   G02C 13/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   G01B5/18
   G01B3/46
   G02C13/00
【請求項の数】5
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-197724(P2015-197724)
(22)【出願日】2015年10月5日
(65)【公開番号】特開2017-72400(P2017-72400A)
(43)【公開日】2017年4月13日
【審査請求日】2018年9月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
(72)【発明者】
【氏名】武市 教児
(72)【発明者】
【氏名】清水 勇樹
【審査官】 仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−266372(JP,A)
【文献】 実開昭55−62901(JP,U)
【文献】 特開2015−10859(JP,A)
【文献】 特開2014−126592(JP,A)
【文献】 特表2011−508278(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0140036(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00−3/56
5/00−5/30
G02C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレームのリムに設けられたヤゲン溝の深さを測定する測定治具であって、
第1肩部から延びる第1傾斜部と、前記第1傾斜部と異なる傾斜部であって、前記第1肩部とは異なる肩部である第2肩部から延びる第2傾斜部と、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部とが交差する頂点部と、を有し、前記ヤゲン溝に嵌まる形状を有する複数の凸部を備え、
前記複数の凸部は、前記第1傾斜部の裾部である第1裾部から前記頂点部までの第1距離、及び、前記第2傾斜部の裾部である第2裾部から前記頂点部までの第2距離、が前記複数の凸部間で互いに異なるとともに、
前記第1肩部に対する前記第1傾斜部の第1傾斜角度、及び、前記第2肩部に対する前記第2傾斜部の第2傾斜角度、が前記複数の凸部間で互いに同一の角度で設定されていることを特徴とする測定治具。
【請求項2】
請求項1の測定治具において、
前記複数の凸部は、各凸部における前記第1傾斜角度前記第2傾斜角度が同一の角度である複数の凸部を含むことを特徴とする測定治具。
【請求項3】
請求項1又は2の測定治具において、
前記複数の凸部は、各凸部における前記第1傾斜角度前記第2傾斜角度が異なる角度である複数の凸部を含むことを特徴とする測定治具。
【請求項4】
請求項1〜3の測定治具を2つ有する測定治具であって、
2つの測定治具を連結する連結移動手段であって、前記2つの測定治具の内、一方の測定治具が他方の測定治具に対して、前記2つの測定治具間の幅が変更される方向に移動可能とする連結移動手段を備えることを特徴とする測定治具。
【請求項5】
眼鏡フレームのリムに設けられた凸型ヤゲン溝の深さを測定する測定治具であって、
第1肩部の第1裾部から延びる前方面であって、ンズの前方を向く前方面と、前記第1肩部とは異なる肩部である第2肩部の第2裾部から延びる後方面であって、レンズの後方を向く後方面と、レンズの外周側を向く外周面と、を有し、前記凸型ヤゲン溝に嵌まる形状を有する複数の凸部を備え、
前記複数の凸部は、前記前方面の第1裾部から前記外周面までの高さ距離であって、前記後方面の第2裾部から前記外周面までの距離である前記凸部の高さと、前記第1裾部と前記第2裾部とを結んだ直線の距離である前記凸部の幅と、の少なくとも一方が前記複数の凸部間で互いに異なることを特徴とする測定治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、眼鏡フレームのリムに設けられたヤゲン溝の深さを測定する測定治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズにヤゲンを形成する加工を行い、眼鏡フレームのリムに設けられたヤゲン溝にレンズ周縁に形成されたヤゲンを嵌め込むことによって、眼鏡の制作を行っている(例えば、特許文献1参照)。眼鏡フレームとレンズを良好に嵌合させるために、ノギス等の測定治具を用いて測定したヤゲン溝の深さに基づいて、ヤゲン高さ(ヤゲン肩からヤゲン頂点部までの垂直方向における距離)を設定し、ヤゲン加工を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−319984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、眼鏡フレームとレンズを良好に嵌合させるためには、ヤゲン溝の深さを精度よく測定することが重要である。しかしながら、従来、他の用途で用いられている測定治具を転用してヤゲン溝を推定している。また、他の用途で用いられている測定治具を転用してヤゲン溝を測定しているため、精度よくヤゲン溝の深さを測定することができなかった。また、他の用途で用いられている測定治具を転用してヤゲン溝を測定しているため、不慣れな検者にとっては測定が困難であった。
【0005】
本開示は、従来の問題点を鑑み、ヤゲン溝の深さを容易に精度よく測定することができる測定治具を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 本開示の第1態様に係る測定治具は、眼鏡フレームのリムに設けられたヤゲン溝の深さを測定する測定治具であって、第1肩部から延びる第1傾斜部と、前記第1傾斜部と異なる傾斜部であって、前記第1肩部とは異なる肩部である第2肩部から延びる第2傾斜部と、前記第1傾斜部と前記第2傾斜部とが交差する頂点部と、を有し、前記ヤゲン溝に嵌まる形状を有する複数の凸部を備え、前記複数の凸部は、前記第1傾斜部の裾部である第1裾部から前記頂点部までの第1距離、及び、前記第2傾斜部の裾部である第2裾部から前記頂点部までの第2距離、が前記複数の凸部間で互いに異なるとともに、前記第1肩部に対する前記第1傾斜部の第1傾斜角度、及び、前記第2肩部に対する前記第2傾斜部の第2傾斜角度、が前記複数の凸部間で互いに同一の角度で設定されていることを特徴とする。
(2) 本開示の第2態様に係る測定治具は、眼鏡フレームのリムに設けられた凸型ヤゲン溝の深さを測定する測定治具であって、第1肩部の第1裾部から延びる前方面であって、ンズの前方を向く前方面と、前記第1肩部とは異なる肩部である第2肩部の第2裾部から延びる後方面であって、レンズの後方を向く後方面と、レンズの外周側を向く外周面と、を有し、前記凸型ヤゲン溝に嵌まる形状を有する複数の凸部を備え、前記複数の凸部は、前記前方面の第1裾部から前記外周面までの高さ距離であって、前記後方面の第2裾部から前記外周面までの距離である前記凸部の高さと、前記第1裾部と前記第2裾部とを結んだ直線の距離である前記凸部の幅と、の少なくとも一方が前記複数の凸部間で互いに異なることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る測定治具の概略構成図である。
図2】複数の第1凸部の構成について説明する図である。
図3】複数の第2凸部の構成について説明する図である。
図4】眼鏡フレームのリムのヤゲン溝について説明する図である。
図5】リムのヤゲン溝を複数の第1凸部を用いて測定する際の測定操作について説明する図である。
図6】リムのヤゲン溝を複数の第2凸部を用いて測定する際の測定操作について説明する図である。
図7】2つの測定治具が組み合わされた測定治具の一例を示す図である。
図8】複数の第2凸部における凸部において、肩部が傾斜している一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本実施形態の測定治具について説明する。図1は、本開示に係る測定治具の概略構成図である。図1において、点線部10aは、測定治具1の点線部10の拡大図を示している。本実施形態における測定治具1は、眼鏡フレームのリムに設けられたヤゲン溝の深さを測定するために用いられる。例えば、測定治具1は、金属(例えば、アルミ、ステンレス、銅等)、樹脂(例えば、プラスチック、ガラス等)等によって形成される。
【0010】
本実施形態において、例えば、測定治具1は、ベース部2、複数の凸部3、スケール4、を備える。例えば、ベース部2には、複数の凸部3、スケール4が設けられている。例えば、ベース部3と複数の凸部3は、一体的構成されていてもよいし、ベース部2に対して複数の凸部3が接合されている構成であってもよい。本実施形態において、ベース部2、及び、複数の凸部3は、均一の厚みを有する板状である。よって、複数の凸部3がヤゲン溝に嵌まりやすい。もちろん、ベース部2及び複数の凸部3は、少なくとも一方が板状の形状でなくてもよい。
【0011】
例えば、本実施形態においては、複数の凸部3は、複数の第1凸部30と、複数の第2凸部40と、を備える。例えば、複数の第1凸部30は、通常のカーブ(例えば、5カーブ以下)の眼鏡フレームのヤゲン溝を測定するために用いられる。例えば、複数の第1凸部30は、少なくとも2つ以上の凸部(例えば、凸部30a、凸部30b等)を備える。なお、複数の第1凸部30における各凸部は、複数の第1凸部30の各凸部間で互いに凸部高さH1(後述する図2参照)が異なる同一の形状の凸部である(詳細は後述する)。
【0012】
例えば、複数の第2凸部40は、ハイカーブ(例えば、6カーブ以上)の眼鏡フレームのヤゲン溝を測定するために用いられる。例えば、複数の第2凸部40は、少なくとも2つ以上の凸部(例えば、凸部40a、凸部40b等)を備える。例えば、複数の第2凸部40における各凸部は、複数の第2凸部40の各凸部間で互いに凸部高さH2(後述する図3参照)が異なる同一の形状の凸部である(詳細は後述する)。
【0013】
例えば、スケール4は、ベース部2に対して、予め設定された測定単位距離(例えば、実寸の0.2mm等)毎に左右方向に並べられた縦線(図1の紙面上の上下方向に延びる線)4aを持つ。例えば、縦線4aは、複数の第1凸部30近傍の下側(図1の紙面上の下方向)に表示される。また、例えば、スケール4は、ベース部2に対して、予め設定された測定単位距離(例えば、実寸の0.2mm等)毎に左右方向に並べられた縦線(図1の紙面上の上下方向に延びる線)4bを持つ。例えば、縦線4bは、複数の第2凸部40近傍の上側(図1の紙面上の上方向)に表示される。例えば、縦線4aの下側であり、縦線4bの上側には、スペースが設けられ、実寸距離としての距離数値4cが印字されている。
【0014】
例えば、距離数値4cは、各凸部の凸部高さH1,H2(後述する図2図3参照)の数値を示している。例えば、距離数位4cの数値は、凸部毎にそれぞれ設けられている。すなわち、検者は、数値を読み取ることで、数値の上側又は下側に設けられた各凸部(複数の第1凸部30における各凸部及び複数の第2凸部40における各凸部)の凸部高さH1,H2を読み取ることができる。例えば、本実施形態において、数値は、0.2cm単位で表示されている。言い換えると、本実施形態において、各凸部(複数の第1凸部30における各凸部及び複数の第2凸部40における各凸部)の凸部高さH1,H2は、隣り合う凸部間において、0.2cm異なるように形成されている。例えば、図1に示されるように、複数の第1凸部30の内の凸部30aの凸部高さH1は0.2mmであり、複数の第1凸部30の内の凸部30bの凸部高さH1は0.4mmである。また、例えば、図1に示されるように、複数の第2凸部40の内の凸部40aの凸部高さH1は0.2mmであり、複数の第2凸部40の内の凸部40bの凸部高さH1は0.4mmである。
【0015】
なお、本実施形態においては、隣り合う凸部の凸部高さH1,H2が0.2cm単位で変更される構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。隣り合う凸部間で凸部高さが変更されている構成であればよい。例えば、隣り合う凸部高さが0.1cm単位で変更されていく構成であってもよいし、0.3cm単位で変更されていく構成であってもよい。もちろん、隣り合う凸部間の高さは、一定の単位で変更される構成でなくてもよい。なお、これらの場合には、例えば、形成された各凸部の凸部高さが数値として印字される構成であってもよい。
【0016】
以下、複数の第1凸部30及び複数の第2凸部40についてより詳細に説明する。図2は、複数の第1凸部30の構成について説明する図である。図2において、複数の第1凸部30の内の1つの凸部30aが示されている。例えば、凸部30aは、ヤゲン溝に嵌まる形状を有する。本実施形態において、ヤゲン溝に嵌まる形状として、例えば、ヤゲンを模した形状となっている。もちろん、凸部30aのヤゲン溝に嵌まる形状は、ヤゲンを模した形状でなくてもよく、ヤゲン溝に嵌まる形状であればよい。
【0017】
例えば、凸部30aは、第1傾斜部31と、第2傾斜部32と、頂点部(凸部頂点部)33と、有する。例えば、第1斜面部31は、第1肩部36から延びている。例えば、第2斜面部32は、第1傾斜部31と異なる傾斜部であって、第1肩部36とは異なる肩部である第2肩部37から延びている。例えば、頂点部33は、第1傾斜部31と第2傾斜部32とが交差する部分である。なお、例えば、頂点部33は、湾曲した形状であってもよい。
【0018】
例えば、複数の第1凸部30における各凸部は、複数の第1凸部30の各凸部間で互いに距離が異なる同一の形状の凸部である。例えば、距離が異なる凸部とは、第1傾斜部31の裾部である第1裾部34から頂点部33までの距離(第1距離)、及び、第2傾斜部32の裾部である第2裾部35から頂点部33までの距離(第2距離)、複数の第1凸部30の各凸部間で互いに異なる構成を示す。以下、より詳細に第1距離、第2距離、及び同一の形状の凸部、について説明する。
【0019】
本実施形態において、例えば、第1距離及び第2距離は、凸部高さH1を用いている。例えば、凸部高さH1は、第1傾斜部31の裾部である第1裾部34から頂点部33まで垂直方向(図2の紙面上の上下方向)における距離である。言い換えると、例えば、凸部高さH1は、第2傾斜部32の裾部である第2裾部35から頂点部33まで垂直方向(図2の紙面上の上下方向)における距離である。なお、本実施形態においては、第1距離及び第2距離として凸部高さH1を例に挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、第1距離及び第2距離としては、第1裾部34と頂点部33を結んだ直線の距離であってもよい。また、例えば、第1距離及び第2距離としては、第1裾部34から頂点部33までの水平方向(図2の紙面上における左右方向)における距離であってもよい。
【0020】
本実施形態において、例えば、同一の形状の凸部とは、第1肩部36に対する第1傾斜部31の第1傾斜角度(裾部34の角度)α1、及び、第2肩部37に対する第2傾斜部32の第2傾斜角度(裾部35の角度)α2、の各々が複数の凸部間で互いに同一の角度で設定されていることを示している。例えば、複数の第1凸部30において、各凸部(例えば、凸部30a、凸部30b)は、互いに、第1傾斜角度α1が同一の角度で設定されているとともに、第2傾斜角度α2が同一の角度で設定されている。すなわち、複数の第1凸部30において、第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2が、各凸部間で共通の角度で固定されている。
【0021】
例えば、本実施形態において、複数の第1凸部30における凸部30aは、第1傾斜角度α1と、第2傾斜角度α2と、が同一の角度で形成されている。すなわち、凸部30aは、凸部高さH1の直線(詳細には、第1肩部36と第2肩部37を結んだ直線に対して頂点部33から下ろした垂線)を中心線として、左右の凸部の形状が同一形状(左右対称の形状)となる。本実施形態において、例えば、第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2は、145°で設定されている。もちろん、第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2は、任意の角度(例えば、100°、90°等)に設定される。なお、第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2は、通常のカーブの眼鏡フレームにおけるヤゲン溝よりも凸部30aが小さくなるように設定されることが好ましい。
【0022】
このように、同一形状の凸部において、水平方向の距離、垂直方向の距離(凸部高さH1)、直線距離(第1裾部34と頂点部33を結んだ直線の距離)のいずれかが異なる場合には、他の2つの距離も異なる構成となる。例えば、同一形状の凸部において、凸部高さH1を変更した場合には、水平方向の距離及び直線距離も変更されることになる。このため、複数の第1凸部30における各凸部は、各凸部間で形状が同一であり、凸部高さH1が異なる構成となる。
【0023】
図3は、複数の第2凸部40の構成について説明する図である。図3において、複数の第2凸部40の内の1つの凸部40aが示されている。例えば、凸部40aは、ヤゲン溝に嵌まる形状を有する。本実施形態において、ヤゲン溝に嵌まる形状として、例えば、ヤゲンを模した形状となっている。もちろん、凸部40aのヤゲン溝に嵌まる形状は、ヤゲンを模した形状でなくてもよく、ヤゲン溝に嵌まる形状であればよい。
【0024】
例えば、凸部40aは、第1傾斜部41と、第2傾斜部42と、頂点部(凸部頂点部)43と、有する。例えば、第1斜面部41は、第1肩部46から延びている。例えば、第2斜面部42は、第1傾斜部41と異なる傾斜部であって、第1肩部46とは異なる肩部である第2肩部47から延びている。例えば、頂点部43は、第1傾斜部41と第2傾斜部42とが交差する部分である。なお、例えば、頂点部43は、湾曲した形状であってもよい。
【0025】
例えば、複数の第2凸部40における各凸部は、複数の第2凸部40の各凸部間で互いに距離が異なる同一の形状の凸部である。例えば、距離が異なる凸部とは、第1傾斜部41の裾部である第1裾部44から頂点部43までの距離(第1距離)、及び、第2傾斜部42の裾部である第2裾部45から頂点部43までの距離(第2距離)、複数の第2凸部40の各凸部間で互いに異なる構成を示す。以下、より詳細に第1距離、第2距離、及び同一の形状の凸部、について説明する。
【0026】
本実施形態において、例えば、第1距離及び第2距離は、凸部高さH2を用いている。例えば、凸部高さH2は、第1傾斜部41の裾部である第1裾部44から頂点部43まで垂直方向(図3の紙面上の上下方向)における距離である。言い換えると、例えば、凸部高さH2は、第2傾斜部42の裾部である第2裾部45から頂点部43まで垂直方向(図3の紙面上の上下方向)における距離である。なお、本実施形態においては、第1距離と及び第2距離して凸部高さH2を例に挙げて説明するがこれに限定されない。例えば、第1距離及び第2距離としては、第1裾部44と頂点部43を結んだ直線の距離であってもよい。この場合、第1距離と第2距離の距離は互いに異なる距離となる。また、例えば、第1距離及び第2距離としては、第1裾部44から頂点部43までの水平方向(図2の紙面上における左右方向)における距離であってもよい。この場合、第1距離と第2距離の距離は互いに異なる距離となる。
【0027】
本実施形態において、例えば、同一の形状の凸部とは、第1肩部46に対する第1傾斜部41の第1傾斜角度(裾部44の角度)α3、及び、第2肩部47に対する第2傾斜部42の第2傾斜角度(裾部45の角度)α4、の各々が複数の凸部間で互いに同一の角度で設定されていることを示している。例えば、複数の第2凸部40において、各凸部(例えば、凸部40a、凸部40b)は、互いに、第1傾斜角度α3が同一の角度で設定されているとともに、第2傾斜角度α4が同一の角度で設定されている。すなわち、複数の第2凸部40において、第1傾斜角度α1及び第2傾斜角度α2が、各凸部間で共通の角度で固定されている。
【0028】
例えば、本実施形態において、複数の第2凸部40における凸部40aは、第1傾斜角度α3と、第2傾斜角度α4と、が異なる角度で形成されている。すなわち、凸部40aは、凸部高さH2の直線(凸部頂点部分における垂線)を中心線として、左右の凸部の形状が異なる形状(左右非対称の形状)となる。このため、凸部40aは傾斜した形状となる。すなわち、凸部40aの頂点部43が一方の傾斜部側(本実施形態においては、第2傾斜部42側)に近づいた形状となっている。これによって、例えば、第1裾部44と頂点部43を結んだ直線の距離は、第1距離と第2距離とで、互いに異なる距離となる。また、例えば、第1裾部44から頂点部43までの水平方向における距離は、第1距離と第2距離とで、互いに異なる距離となる。
【0029】
本実施形態において、例えば、第1傾斜角度α3は、150°で設定されている。本実施形態において、例えば、第2傾斜角度α4は、135°で設定されている。もちろん、第1傾斜角度α3及び第2傾斜角度α4は、任意の角度(例えば、100°、90°等)に設定される。なお、第1傾斜角度α3及び第2傾斜角度α4は、通常のカーブの眼鏡フレームにおけるヤゲン溝よりも凸部40aが小さくなるように設定されることが好ましい。
【0030】
このように、同一形状の凸部において、水平方向の距離、垂直方向の距離(凸部高さH2)、直線距離(第1裾部44と頂点部43を結んだ直線の距離)のいずれかが異なる場合には、他の2つの距離も異なる構成となる。例えば、同一形状の凸部において、凸部高さH2を変更した場合には、水平方向の距離及び直線距離も変更されることになる。このため、複数の第2凸部40における各凸部は、各凸部間で形状が同一であり、凸部高さH2が異なる構成となる。
【0031】
図4は、眼鏡フレームのリムのヤゲン溝について説明する図である。以下、測定治具1を用いた眼鏡フレームFの測定について説明する。例えば、図4に示される眼鏡フレームFは、ハイカーブの眼鏡フレームFを上方(眼鏡フレームFの上側)から見た図を示している。なお、本実施形態においては、眼鏡フレームの左側部分を例に挙げて説明する。もちろん、以下の説明は、眼鏡フレームの右側部分についても同様の構成なる。例えば、眼鏡フレームFは、リムLと、ブリッジBを備える。なお、図4においては、便宜上、眼鏡フレームFの構成を簡略化している。
【0032】
例えば、ハイカーブの眼鏡フレームFでは、眼鏡フレームFの部位によってリムLのヤゲン溝の形状が異なる場合がある。例えば、眼鏡フレームFにおいて、リムが傾斜している部分(例えば、眼鏡フレームFの耳側部分L1及び鼻側部分L2)のリムと、リムが傾斜していない部分(例えば、眼鏡フレームFの天地部分L3)のリムと、でリムのヤゲン溝の形状が異なる。図4において、点線部Laは、眼鏡フレームFの天地部分L3(リムが傾斜していない部分)のリム50の断面の拡大図を示している。図4において、点線部Lbは、眼鏡フレームFの耳側部分(眼鏡フレームFのリムが傾斜している部分)L1及び鼻側部分(眼鏡フレームFのリムが傾斜している部分)L2のリム60の断面の拡大図を示している。なお、本実施形態においては、耳側部分L1のリム及び鼻側部分L2のリムは、ヤゲン溝が同一の形状をしているリム60であるとして説明する。
【0033】
例えば、リム50は、第1傾斜部51、第2傾斜部52、頂点部(ヤゲン溝頂点部)53、第1肩部54、第2肩部55を有する。例えば、第1肩部54に対する第1傾斜部51の第1傾斜角度、及び、第2肩部55に対する第2傾斜部52の第2傾斜角度、は同一の角度で設定されている。すなわち、リム50は、頂点部53における垂線を中心線として、左右のヤゲン溝の形状が同一形状(左右対称の形状)である。このため、リム50のヤゲン溝の形状及び複数の第1凸部30の各凸部の形状は、同一形状にて形成されていることになる。これによって、リム50のヤゲン溝に対して、複数の第1凸部30を嵌め込むことができる。なお、通常カーブ(例えば、低カーブ)の眼鏡フレームにおけるリムのヤゲン溝の形状は、眼鏡フレームFにおいて、リムが傾斜していない部分のリムの形状と類似の形状をしていると考えられる。このため、通常カーブの眼鏡フレームのリムのヤゲン溝測定において、複数の第1凸部30を用いることができる。
【0034】
例えば、リム60は、第1傾斜部61、第2傾斜部62、頂点部(ヤゲン溝頂点部)63、第1肩部64、第2肩部65を有する。第1肩部64に対する第1傾斜部61の第1傾斜角度、及び、第2肩部65に対する第2傾斜部62の第2傾斜角度、が異なる角度で形成されている。例えば、リム60は、頂点部63における垂線を中心線として、左右のヤゲン溝の形状が異なる形状(左右非対称の形状)となる。これによって、リム60におけるヤゲン溝は傾斜した形状となる。すなわち、リム60の頂点部63が一方の傾斜部側(本実施形態においては、第2傾斜部62側)に近づいた形状となっている。このため、リム60のヤゲン溝の形状及び複数の第2凸部40の各凸部の形状は、同一の形状(傾斜した形状)にて形成されていることになる。このため、リム60のヤゲン溝に対して、複数の第2凸部40を嵌め込むことができる。
【0035】
図5は、リム50のヤゲン溝を複数の第1凸部30を用いて測定する際の測定操作について説明する図である。検者は、測定治具1における複数の第1凸部30の内のいずれかの凸部をリム50のヤゲン溝に嵌め込む。検者は、リム50のヤゲン溝に嵌め込む凸部を変更しながら、ヤゲン溝に適切に嵌まり込む凸部を確認していく。
【0036】
図5(a)は、複数の第1凸部30の内でリム50のヤゲン溝よりも凸部高さH1が小さい凸部をリム50のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合について説明する図である。図5(a)に示されるように、例えば、複数の第1凸部30の内でリム50のヤゲン溝よりも凸部高さH1が小さい凸部をリム50のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合、凸部の頂点部33がリム50の頂点部(ヤゲン溝頂点部)53に当接しない。このため、例えば、リム50のヤゲン溝と、凸部と、の間にスペースS1が生じる。この場合、例えば、検者が測定治具1を水平方向(図5の紙面上の水平方向)に移動させようと操作すると、リム50のヤゲン溝に対して測定治具1が水平方向に移動する。このため、検者が、測定治具1が水平方向に移動した場合に、複数の第1凸部30の内で嵌め込んでいる凸部の凸部高さH1は、リム50のヤゲン溝の深さよりも小さいと判断することができる。この場合には、検者は、複数の第1凸部30の中から、嵌め込んでいた凸部よりも大きい凸部を選択してヤゲン溝に嵌め込んでいく。
【0037】
図5(b)は、複数の第1凸部30の内でリム50のヤゲン溝よりも凸部高さH1が大きい凸部をリム50のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合について説明する図である。図5(b)に示されるように、例えば、複数の第1凸部30の内でリム50のヤゲン溝よりも凸部高さH1が大きい凸部をリム50のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合、凸部がリム50のヤゲン溝に嵌まりこむ前に、凸部の頂点部33がリム50の頂点部(ヤゲン溝頂点部)53に当接してしまう。このため、例えば、リム50における第1肩部54及び第2肩部55と、凸部と、の間にスペースS2が生じ、測定治具1が浮いた状態となる。この場合、例えば、検者が測定治具1の嵌まり込みを確認すると、リム50のヤゲン溝に対して、凸部が浮いている状態を確認することができる。このため、検者が、リム50のヤゲン溝に対して、凸部が浮いている状態を確認することができた場合に、複数の第1凸部30の内で嵌め込んでいる凸部の凸部高さH1は、リム50のヤゲン溝の深さよりも大きいと判断することができる。この場合には、検者は、複数の第1凸部30の中から、嵌め込んでいた凸部よりも小さい凸部を選択してヤゲン溝に嵌め込んでいく。
【0038】
図5(c)は、複数の第1凸部30の中から選択した凸部が、リム50のヤゲン溝に対して適切に嵌まり込んだ場合について説明する図である。図5(c)に示されるように、例えば、複数の第1凸部30の中から選択した凸部をリム50のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合、凸部の頂点部33がリム50の頂点部(ヤゲン溝頂点部)53に当接した際に、スペースが生じづらい。この場合、例えば、検者が測定治具1の嵌まり込みを確認した場合に、リム50のヤゲン溝に対する凸部の浮きが確認されない。また、例えば、検者が測定治具1を水平方向に移動させようと操作しても、リム50のヤゲン溝に対して測定治具1が水平方向に移動しない。このため、検者は、複数の第1凸部30の中から選択した凸部が、リム50のヤゲン溝に対して適切に嵌まり込んでいると判断することができる。この場合に、検者は、その凸部に対応する距離数値4cを読み取る。これによって、ヤゲン溝を測定することができる。
【0039】
図6は、リム60のヤゲン溝を複数の第2凸部40を用いて測定する際の測定操作について説明する図である。検者は、測定治具1における複数の第2凸部40の内のいずれかの凸部をリム60のヤゲン溝に嵌め込む。検者は、リム60のヤゲン溝に嵌め込む凸部を変更しながら、ヤゲン溝に適切に嵌まり込む凸部を確認していく。
【0040】
図6(a)は、複数の第2凸部40の内でリム60のヤゲン溝よりも凸部高さH2が小さい凸部をリム60のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合について説明する図である。図6(a)に示されるように、例えば、複数の第2凸部40の内でリム60のヤゲン溝よりも凸部高さH2が小さい凸部をリム60のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合、凸部の頂点部43がリム60の頂点部(ヤゲン溝頂点部)63に当接しない。このため、例えば、リム60のヤゲン溝と、凸部と、の間にスペースS3が生じる。この場合、例えば、検者が測定治具1を水平方向(図5の紙面上の水平方向)に移動させようと操作すると、リム60のヤゲン溝に対して測定治具1が水平方向に移動する。このため、検者が、測定治具1が水平方向に移動した場合に、複数の第2凸部40の内で嵌め込んでいる凸部の凸部高さH2は、リム60のヤゲン溝の深さよりも小さいと判断することができる。この場合には、検者は、複数の第2凸部40の中から、嵌め込んでいた凸部よりも大きい凸部を選択してヤゲン溝に嵌め込んでいく。
【0041】
図6(b)は、複数の第2凸部40の内でリム60のヤゲン溝よりも凸部高さH2が大きい凸部をリム60のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合について説明する図である。図6(b)に示されるように、例えば、複数の第2凸部40の内でリム60のヤゲン溝よりも凸部高さH2が大きい凸部をリム60のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合、凸部がリム60のヤゲン溝に嵌まりこむ前に、凸部の頂点部43がリム60の頂点部(ヤゲン溝頂点部)63に当接してしまう。このため、例えば、リム60における第1肩部64及び第2肩部65と、凸部と、の間にスペースS4が生じ、測定治具1が浮いた状態となる。この場合、例えば、検者が測定治具1の嵌まり込みを確認すると、リム60のヤゲン溝に対して、凸部が浮いている状態を確認することができる。このため、検者が、リム60のヤゲン溝に対して、凸部が浮いている状態を確認することができた場合に、複数の第2凸部40の内で嵌め込んでいる凸部の凸部高さH2は、リム60のヤゲン溝の深さよりも大きいと判断することができる。この場合には、検者は、複数の第2凸部40の中から、嵌め込んでいた凸部よりも小さい凸部を選択してヤゲン溝に嵌め込んでいく。
【0042】
図6(c)は、複数の第2凸部40の中から選択した凸部が、リム60のヤゲン溝に対して適切に嵌まり込んだ場合について説明する図である。図6(c)に示されるように、例えば、複数の第2凸部40の中から選択した凸部をリム60のヤゲン溝に対して嵌め込んだ場合、凸部の頂点部43がリム60の頂点部(ヤゲン溝頂点部)63に当接した際に、スペースが生じづらい。この場合、例えば、検者が測定治具1の嵌まり込みを確認した場合に、リム60のヤゲン溝に対する凸部の浮きが確認されない。また、例えば、検者が測定治具1を水平方向に移動させようと操作しても、リム60のヤゲン溝に対して測定治具1が水平方向に移動しない。このため、検者は、複数の第2凸部40の中から選択した凸部が、リム60のヤゲン溝に対して適切に嵌まり込んでいると判断することができる。この場合に、検者は、その凸部に対応する距離数値4cを読み取る。これによって、ヤゲン溝を測定することができる。
以上のように、本実施形態において、測定治具1は、凸部高さがそれぞれ異なる複数の凸部を有する。これによって、ヤゲン溝の深さを容易に精度よく測定することができる。
【0043】
また、本実施形態において、例えば、測定治具1は、通常カーブ測定用の複数の凸部(例えば、凸部頂点部分における垂線を中心線として左右の凸部の形状が同一形状である複数の第1凸部30等)を有する。これによって、通常カーブの眼鏡フレームのリムに対するヤゲン溝に良好に凸部を嵌め込むことができ、通常カーブの眼鏡フレームに対して、ヤゲン溝の深さを容易に精度よく測定することができる。
【0044】
また、例えば、ハイカーブの眼鏡フレームの場合には、眼鏡フレームの鼻側部分と耳側部分におけるリムのヤゲン溝は傾斜していることが多い。例えば、本実施形態において、測定治具1は、ハイカーブ測定用の複数の凸部(例えば、凸部頂点部分における垂線を中心線として、左右の凸部の形状が左右非対称の形状となる複数の第2凸部40等)を有する。このため、ヤゲン溝が傾斜したリムに対しても、良好に凸部を嵌め込むことができ、ハイカーブの眼鏡フレームに対しても、ヤゲン溝の深さを容易に精度よく測定することができる。
【0045】
また、例えば、本実施形態において、通常カーブの眼鏡フレームのリムに対するヤゲン溝の深さ及びハイカーブの眼鏡フレームのリムに対するヤゲン溝の深さを測定するための凸部をそれぞれ有していることによって、種々の眼鏡フレームに対して、ヤゲン溝の深さを容易に精度よく測定することができる。
【0046】
なお、本実施形態における測定治具1の構成としては、通常カーブの眼鏡フレームを測定するために用いられる複数の第1凸部30と、ハイカーブの眼鏡フレームを測定するために用いられる複数の第2凸部40と、の双方を備える構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。測定治具1は、複数の第1凸部30及び複数の第2凸部40の少なくともいずれかを備える構成であればよい。
【0047】
なお、本実施形態において、測定治具としては、本開示で説明した測定治具1が2つ以上組み合わされた構成の測定治具であってもよい。例えば、2つの測定治具が組み合わされた測定治具について説明する。図7は、2つの測定治具が組み合わされた測定治具の一例を示す図である。この場合、例えば、測定治具100は、2つの測定治具1a,1bを連結する連結移動手段70を有する。例えば、連結移動手段70は、スライダー機構を有する。例えば、連結移動手段70は、2つの測定治具1a,1bの内、一方の測定治具が他方の測定治具に対して、2つの測定治具間の幅Wが変更される方向に移動可能とする(図7の連結移動手段70の矢印部分参照)。なお、幅Wを変更する構成としては、上下方向(図7紙面上の上下方向)の移動によって変更されるものではなく、一方の測定治具が他方の測定治具に対して、いずれかの方向に移動されることによって、いずれかの方向における2つの測定治具間の幅が変更される構成であればよい。なお、連結移動手段としては、スライダー機構に限定されない。連結移動手段70は、2つの測定治具1a,1bの内、一方の測定治具が他方の測定治具に対して2つの測定治具間の幅が変更される方向に移動する構成であればよい。例えば、測定治具100の複数の凸部110としては、複数の第1凸部30及び複数の第2凸部40の少なくともいずれかを適用するようにしてもよい。複数の第1凸部30及び複数の第2凸部40の双方を測定治具100に適用する場合には、一方の複数の凸部を測定治具の上端側(図7に紙面上の左側)に設け(複数の凸部110の位置)、他方の複数の凸部を測定治具の下端側(図7の紙面上の右側)に設けるようにしてもよい。検者は、眼鏡フレームの枠内に測定治具100を挿入した状態で、2つの測定治具1a,1bの間の幅を変更し、眼鏡フレームの両端のリム(例えば、耳側リムと鼻側リム等)のヤゲン溝に当接させることによって、複数のヤゲン溝を同時に測定する。このように、2つの測定治具間の距離を変更することができるため、眼鏡フレームの枠内に測定治具を挿入した状態で、2つの測定治具間の幅Wを変更し、眼鏡フレームの両端のリム(例えば、耳側リムと鼻側リム等)のヤゲン溝に当接させることができる。これによって、検者によって、測定治具をヤゲン溝に当接させて測定する必要がなく、眼鏡フレームに測定治具を挿入し、測定治具間の幅を変更するだけの簡易的な操作で、測定治具をヤゲン溝に当接させることできる。すなわち、より簡易的にヤゲン溝の測定を行うことができる。
【0048】
なお、複数の第2凸部40における凸部の第1肩部46及び第2肩部47の少なくともいずれかの肩部が傾斜している構成であってもよい。図8は、複数の第2凸部40における凸部40aにおいて、肩部が傾斜している一例を示す図である。図8では、例えば、第1肩部46及び第2肩部47の双方が傾斜している場合を示している。例えば、第1肩部46aでは、第1肩部46が裾部44から測定治具1の中心部に向けて傾斜している。また、例えば、第2肩部47aでは、第1肩部47が裾部45から測定治具1の外側に向けて傾斜している。このように、複数の第2凸部40における凸部において、肩部が傾斜している構成とすることによって、リム(リムの第1肩部、第2肩部を結んだ直線)と凸部(第1裾部と第2裾部とを結んだ直線)とを平行な状態として当接させた場合であっても、ヤゲン溝の深さを精度よく測定することができる。
【0049】
なお、本実施形態において、測定治具1としては、ヤゲン溝の前側傾斜部(一方の傾斜部)と後側傾斜部(他方の傾斜部)に同時に凸部が嵌め込まれ測定が行われるための構成を例に挙げて説明したがこれに限定されない。例えば、ヤゲン溝の前側傾斜部と、後側傾斜部と、が別途それぞれ測定される測定治具としてもよい。例えば、測定治具の片側(例えば、複数の第1凸部30側)に、ヤゲン溝の前側傾斜部(例えば、ヤゲン溝の前面側)を測定するための複数の凸部が形成され、もう一方の側(例えば、複数の第2凸部40側)にヤゲン溝の後側傾斜部(例えば、ヤゲン溝の後面側)を測定するための複数の凸部が形成されるようにしてもよい。この場合、例えば、ヤゲン溝の前側傾斜部を測定する複数の凸部において、各凸部の第1傾斜部と第2傾斜部とは、垂直形状(例えば、肩部に対する傾斜部の傾斜角度が90°)であってもよい。また、例えば、ヤゲン溝の後側傾斜部を測定する複数の凸部において、各凸部の第1傾斜部と第2傾斜部とは、垂直形状(例えば、肩部に対する傾斜部の傾斜角度が90°)であってもよい。
【0050】
なお、本実施形態においては、凸部の形状として、第1傾斜部、第2傾斜部、頂点部、を有するヤゲン形状を例に挙げて説明したがこれに限定されない。眼鏡フレームのリムに設けられたヤゲン溝の深さを測定する測定治具であって、ヤゲン溝に嵌まる形状を有する複数の凸部であればよい。この場合、複数の凸部は、凸部の高さ(凸部高さ)、及び、凸部の幅(例えば、第1裾部と第2裾部とを結んだ直線の距離等)、の少なくとも一方が複数の凸部間で互いに異なる形状を有するようにしてもよい。より詳細には、レンズの前方を向く前方面、レンズの後方を向く後方面、および、レンズの外周側を向く外周面を有する、凸型ヤゲン(「Tべベル」と言われる場合もある)を模した形状の凸部を形成するようにしてもよい。
【0051】
なお、本実施形態においては、ヤゲン溝を測定する測定治具を例に挙げて説明したがこれに限定されない。溝を測定するための測定治具であれば本開示の技術を適用可能である。例えば、測定する溝を模した形状の凸部を設ける構成であればよい。
【0052】
なお、本実施形態における測定治具1の構成は、別の装置に設けられるようにしてもよい。例えば、眼鏡枠形状測定装置(トレーサー)、眼鏡レンズ加工装置(レンズエッジャー)等に設けられるようにしてもよい。これらの装置に設けられることによって、ヤゲン溝の深さ情報を迅速に装置に入力することができ、各装置の設定をスムーズに行うことができる。また、ヤゲン溝が精度よく測定された測定結果を用いて、各装置の設定を行うことができるため、眼鏡制作を良好に行うことができる。
【符号の説明】
【0053】
1 測定治具
1a 測定治具
1b 測定治具
2 ベース部
3 複数の凸部
4 スケール
30 複数の第1凸部
30a 凸部
40 複数の第2凸部
40a 凸部
70 連結移動手段
100 測定治具
110 複数の凸部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8