(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態である血圧測定装置に搭載される圧脈波測定部100の手首への装着状態を示す図である。本実施形態の血圧測定装置は、図示しないベルトにより、血圧測定対象となる動脈(
図1の例では橈骨動脈T)が体表面(皮膚)の下に存在する生体部位(
図1の例では利用者の手首)に装着して用いられる。圧脈波測定部100は圧脈波測定装置を構成する。
【0018】
図2は、
図1に示す圧脈波測定部100の拡大図である。
【0019】
圧脈波測定部100は、空気袋2を内蔵する筐体1と、空気袋2に固定された回転制御部材5と、回転制御部材5に固定されたセンサ部6と、を備える。
【0020】
空気袋2は、図示しないポンプにより内部の空気量が制御されることで、空気袋2に固定された回転制御部材5を
図2中の上下方向に移動させる。
【0021】
空気袋2は、血圧測定装置が手首に装着された状態において、回転制御部材5を生体部位に近づく方向(
図2中の下方向)に移動させることで、回転制御部材5に固定されたセンサ部6を生体部位の体表面に対して押圧する押圧部として機能する。押圧部は、センサ部6を体表面に対して押圧できる機構であれば何でもよく、空気袋を用いたものには限定されない。
【0022】
図1に示す装着状態では、圧脈波測定部100に含まれるセンサ部6のセンサ面6bが利用者の手首の皮膚に接触する。この状態で空気袋2に注入される空気量が増えることで、空気袋2の内圧が増加し、回転制御部材5及びセンサ部6は手首の橈骨動脈Tに向けて押圧される。以下、センサ部6による橈骨動脈Tへの押圧力は、空気袋2の内圧と等価であるとして説明する。空気袋2によって回転制御部材5及びセンサ部6が押圧される方向を押圧方向という。
【0023】
回転制御部材5は、空気袋2に固定された固定部4と、固定部4に連結された第一の部材としてのセンサテーブル3と、を備える。
【0024】
センサテーブル3は、センサ部6が固定されたセンサ固定面3cを有する板状の部材である。センサテーブル3の押圧方向における2つの端面のうち、
図1の装着状態において手首に近い側にある端面がセンサ固定面3cとなっている。
【0025】
センサ部6は、接着剤等によってセンサ固定面3cに固定されている。
【0026】
図3は、
図1に示す圧脈波測定部100のセンサテーブル3及びセンサ部6を押圧方向の反対方向から見た平面図である。
【0027】
図3に示すように、センサテーブル3のセンサ固定面3cに固定されたセンサ部6のセンサ面6bには、素子列60と素子列70とが形成されている。センサ部6のセンサ面6bとセンサ固定面3cは平行になっている。
【0028】
素子列60は、
図1に示す装着状態において、装着部位に存在する橈骨動脈Tの伸びる方向Aと交差(
図3の例では直交)する方向B(一方向に相当)に並ぶ複数の圧力検出素子6aによって構成されている。素子列70は、方向Bに並ぶ複数の圧力検出素子7aによって構成されている。素子列60と素子列70は、方向Aに配列されている。センサ部6のセンサ面6bは、方向Bに長手の矩形状となっているが、これに限定されるものではない。
【0029】
本明細書において2つの方向や2つの軸が直交する場合の、この2つの方向や2つの軸のなす角度(=90°)には公差が含まれていてもよい。
【0030】
各圧力検出素子6aと、この圧力検出素子6aと方向Bでの位置が同じ圧力検出素子7aとがペアを構成する。センサ部6のセンサ面6bには、このペアが方向Bに複数配列された構成となっている。
【0031】
センサ部6のセンサ面6bは、単結晶シリコン等から成る半導体基板の表面であり、圧力検出素子6a,7aは、この半導体基板表面に形成された感圧ダイオード等で構成される。圧力検出素子は、物体と接触して圧力に応じた信号を検出できるものであればよく、特に限定はされない。
【0032】
圧力検出素子6a(7a)は、その配列方向が橈骨動脈Tと交差(略直交)するように橈骨動脈Tに対して押圧されることにより、橈骨動脈Tから発生して皮膚に伝達される圧力振動波、すなわち圧脈波を検出する。
【0033】
各圧力検出素子6a(7a)の配列方向の間隔は、橈骨動脈T上に必要かつ充分な数が配置されるように充分小さくされている。各圧力検出素子6a(7a)の配列長さは、橈骨動脈Tの径寸法より必要かつ充分に大きくされている。
【0034】
センサテーブル3は、押圧方向に伸びる回転軸J1を通り、かつ、回転軸J1に直交する2つの軸の各々の周りに回転可能に構成されている。
【0035】
図3には、回転軸J1を通る方向Bに延びた第一の軸Xと、回転軸J1を通る方向Aに延びた第二の軸Yとが示されている。センサテーブル3は、センサ固定面3cを第一の軸X及び第二の軸Yの各々の周りに回転可能に、固定部4によって支持されている。
【0036】
図3の例では、第一の軸Xの方向Aにおける位置は、素子列60と素子列70との間の任意の位置(
図3の例では中間)に設定されている。しかし、第一の軸Xの方向Aにおける位置は、これに限らず、例えば素子列60の左側や素子列70の右側等に設定されていてもよい。
【0037】
また、
図3の例では、第二の軸Yの方向Bにおける位置は、素子列60と素子列70をそれぞれ均等に2分割する直線上に設定されている。しかし、第二の軸Yの方向Bにおける位置は、これに限らず、各素子列60,70上の任意の位置にあればよい。また、第二の軸Yの方向Bにおける位置は、各素子列60,70と交差しない位置(各素子列の上側又は下側)に設定されていてもよい。
【0038】
回転軸J1とセンサテーブル3に設けられた後述する第一の当接部材3dを結ぶ方向は、素子列60及び素子列70の各々に含まれる圧力検出素子の並ぶ方向である方向Bと一致している。本明細書において2つの方向が一致する場合の2つの方向のなす角度(=0°)には公差が含まれていてもよい。
【0039】
図4は、
図2に示す圧脈波測定部100における回転制御部材5の詳細構成を模式的に示す斜視図である。
図5は、
図4に示すリングカム40を模式的に示す斜視図である。
図6は、
図5に示すリングカム40を押圧方向の反対方向から見た平面図である。
図7は、
図4に示すセンサテーブル3をセンサ固定面3cに垂直な方向から見た平面図と、センサ固定面3cに平行な方向から見た側面図とを併せて示す図である。
【0040】
回転制御部材5の固定部4は、回転軸J1を中心に回転可能に構成された第二の部材としてのリングカム40と、リングカム40を回転駆動するための超音波モータ46と、センサ固定面3cを押圧方向に直交する2つの軸(
図3の第一の軸X及び第二の軸Y)の各々の周りに回転可能にセンサテーブル3を支持し、かつ、超音波モータ46の一部が固定されるベース48と、を備える。センサテーブル3は、固定ネジ3aによってベース48に固定されている。
【0041】
図5及び
図6に示すように、リングカム40は押圧方向に厚みを持ち、押圧方向における平面視が略リング状の部材である。リングカム40の押圧方向における一方の端面(センサテーブル3と対向する側の端面)は、第一のカム面40aと、第二のカム面40bと、第三のカム面40cと、底面40dと、により構成されている。
【0042】
第一のカム面40a、第二のカム面40b、及び、第三のカム面40cは、それぞれ、リングカム40の回転軸J1を中心とする円の円周に沿って延びて形成されている。
【0043】
第一のカム面40a、第二のカム面40b、及び、第三のカム面40cは、それぞれ、回転軸J1を中心とする円の円周方向に沿って予め決められたパターンの起伏が設けられた面である。この起伏のパターンについては後述する。
【0044】
図6に示すように、第一のカム面40aは、回転軸J1を中心とする半径r1の円と、回転軸J1を中心とする半径r2(<r1)の円とで囲まれる領域によって構成されている。
【0045】
第二のカム面40bは、回転軸J1を中心とする半径r2の円と、回転軸J1を中心とする半径r3(<r2)の円とで囲まれる領域によって構成されている。
【0046】
第三のカム面40cは、回転軸J1を中心とする半径r3の円と、回転軸J1を中心とする半径r4(<r3)の円とで囲まれる領域によって構成されている。
【0047】
リングカム40の底面40dには、センサテーブル3とベース48とを連結するために、リングカム40の押圧方向における他方の端面まで到達する貫通孔40eが設けられている。
【0048】
図4及び
図7に示すように、センサテーブル3のセンサ部6が固定されるセンサ固定面3cの中央部分には、センサテーブル3をベース48に固定するためのネジ止め部3bが形成されている。
【0049】
また、センサテーブル3のセンサ固定面3cの裏面3gには、リングカム40の第一のカム面40aと当接する第一の当接部材3dと、リングカム40の第二のカム面40bと当接する第二の当接部材3eと、リングカム40の第三のカム面40cと当接する第三の当接部材3fと、が形成されている。
【0050】
第一の当接部材3d、第二の当接部材3e、及び、第三の当接部材3fは、それぞれ、例えばカム面と当接する先端部分に、回転可能な球状体が設けられている。この球状体が回転することで、リングカム40が回転した場合でも、押圧方向にみたときの第一の当接部材3d、第二の当接部材3e、及び、第三の当接部材3fの各々の位置は固定のまま、センサ固定面3cのみが傾斜する。
【0051】
図8は、センサテーブル3のセンサ固定面3cが押圧方向に垂直な状態において圧脈波測定部100を押圧方向の反対方向から見た平面図である。なお、
図8においてベース48、空気袋2、及び、筐体1の図示は省略されている。
【0052】
図8に示すように、第一の当接部材3dは第一のカム面40aと当接し、第二の当接部材3eは第二のカム面40bと当接し、第三の当接部材3fは第三のカム面40cと当接している。
【0053】
図8において、第一の当接部材3dと第一のカム面40aとの第一の接触点と、第二の当接部材3eと第二のカム面40bとの第二の接触点と、第三の当接部材3fと第三のカム面40cとの第三の接触点は、それぞれ、押圧方向に垂直な面上にある。
【0054】
また、
図8において、センサテーブル3は、第一の当接部材3dのみが第一のカム面40aと重なるように設計されている。
【0055】
図8に示す状態からリングカム40が回転軸J1の周りに回転すると、押圧方向におけるリングカム40のベース48と対向する側の端面の位置を基準位置としたときのこの基準位置からの上記の3つの接触点の各々の高さが変化する。この3つの接触点の高さ変化によって、センサテーブル3のセンサ固定面3cは、第一の軸Xと第二の軸Yの各々の周りに回転する。
【0056】
このように、第一のカム面40a、第二のカム面40b、第三のカム面40c、第一の当接部材3d、第二の当接部材3e、及び、第三の当接部材3fによって、リングカム40の回転運動を、センサテーブル3のセンサ固定面3cに固定されたセンサ部6の第一の軸X及び第二の軸Yの各々の周りの回転運動に変換する運動変換機構が構成される。
【0057】
第一のカム面40aの起伏のパターンは、リングカム40の回転運動による第一のカム面40aと第一の当接部材3dの相対移動によって、センサ固定面3cが第一の軸Xの周りに回転するようなパターンとなっている。
【0058】
第二のカム面40bの起伏のパターンは、リングカム40の回転運動による第二のカム面40bと第二の当接部材3eの相対移動によって、センサ固定面3cが第二の軸Yの周りに回転するようなパターンとなっている。
【0059】
なお、センサテーブル3の第三の当接部材3fは、センサテーブル3の姿勢を安定させることを目的に設けられている。このため、第三のカム面40cの起伏のパターンは、センサ固定面3cが第一の軸Xの周りに所望の角度回転する動作と、センサ固定面3cが第二の軸Yの周りに所望の角度回転する動作と、をそれぞれ妨げることのないような設計がなされている。
【0060】
図9は、第一のカム面40a、第二のカム面40b、及び、第三のカム面40cの各々の起伏パターンの一例を示す図である。
【0061】
図9に示す縦軸は、リングカム40のベース48側の端面の押圧方向における位置を基準位置としたときのこの基準位置からの上記の3つの接触点の各々の高さを示している。縦軸の高さは、3つの接触点の高さが同じ値となる
図8に示す状態におけるこの値を基準値(=“0”)とし、この基準値に対する相対値として示されている。
【0062】
図9に示す横軸は、リングカム40の回転位置を0°〜360°までの角度で示している。
図9の例では、リングカム40の回転位置が135°のときに、リングカム40の各カム面と当接部材との接触点の高さが基準値になっている。
【0063】
図9に示すように、第一のカム面40aと第一の当接部材3dとの第一の接触点の高さは、回転位置が0°〜60°の第一の範囲では最小値から最大値まで変化し、回転位置が60°〜105°の第二の範囲では最大値に固定されている。
【0064】
また、第一の接触点の高さは、回転位置が105°〜165°の第三の範囲では最大値から最小値まで変化し、回転位置が165°〜210°の第四の範囲では最小値に固定されている。
【0065】
さらに、第一の接触点の高さは、回転位置が210°〜270°の第五の範囲では最小値から最大値まで変化し、回転位置が270°〜360°の第六の範囲では最大値から最小値まで変化している。
【0066】
第二のカム面40bと第二の当接部材3eとの第二の接触点の高さは、回転位置が第一の範囲(0°〜60°)では最大値に固定され、回転位置が第二の範囲(60°〜105°)では最大値から“0”まで変化している。
【0067】
また、第二の接触点の高さは、回転位置が第三の範囲(105°〜165°)では“0”に固定され、回転位置が第四の範囲(165°〜210°)では“0”から最小値まで変化している。
【0068】
さらに、第二の接触点の高さは、回転位置が第五の範囲(210°〜270°)では最小値に固定され、回転位置が第六の範囲(270°〜360°)では最小値から最大値まで変化している。
【0069】
なお、実際には、各接触点の高さの変曲点付近では、高さの変化がなめらかとなるよう各カム面に傾斜が設けられている。
【0070】
第一のカム面40aは、リングカム40の回転位置が0°〜60°まで変化することで、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度が−5°〜+5°まで変化するように設計されている。
【0071】
第一のカム面40aは、リングカム40の回転位置が60°〜105°の範囲で変化する間は、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度が+5°に固定されるように設計されている。
【0072】
第一のカム面40aは、リングカム40の回転位置が105°〜165°まで変化することで、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度が+5°〜−5°まで変化するように設計されている。
【0073】
第一のカム面40aは、リングカム40の回転位置が165°〜210°の範囲で変化する間は、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度が−5°に固定されるように設計されている。
【0074】
第一のカム面40aは、リングカム40の回転位置が210°〜270°まで変化することで、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度が−5°〜+5°まで変化するように設計されている。
【0075】
第二のカム面40bは、リングカム40の回転位置が0°〜60°の範囲で変化する間は、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度が+5°に固定されるように設計されている。
【0076】
第二のカム面40bは、リングカム40の回転位置が60°〜105°まで変化することで、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度が+5°〜0°まで変化するように設計されている。
【0077】
第二のカム面40bは、リングカム40の回転位置が105°〜165°の範囲で変化する間は、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度が0°に固定されるように設計されている。
【0078】
第二のカム面40bは、リングカム40の回転位置が165°〜210°まで変化することで、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度が0°〜−5°まで変化するように設計されている。
【0079】
第二のカム面40bは、リングカム40の回転位置が210°〜270°の範囲で変化する間は、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度が−5°に固定されるように設計されている。
【0080】
センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度は、センサ固定面3cが押圧方向に垂直な状態を“0°”とし、この状態から第一の軸Xの周りに一方の方向に回転すると増加し、他方の方向に回転すると減少するものとしている。
図9において、どの回転位置であっても、第一の接触点の高さが同じであれば、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度は同じになる。
【0081】
また、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度は、センサ固定面3cが押圧方向に垂直な状態を“0°”とし、この状態から第二の軸Yの周りに一方の方向に回転すると増加し、他方の方向に回転すると減少するものとしている。
図9において、どの回転位置であっても、第二の接触点の高さが同じであれば、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度は同じになる。
【0082】
図9に示す起伏パターンによれば、リングカム40が第一の範囲(0°〜60°)内で回転して各カム面と当接部材とが相対移動することにより、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度は+5°に固定されたまま、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度は+5°〜−5°の範囲で変化する。
【0083】
また、リングカム40が第三の範囲(105°〜165°)内で回転して各カム面と当接部材とが相対移動することにより、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度は0°に固定されたまま、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度は+5°〜−5°の範囲で変化する。
【0084】
また、リングカム40が第五の範囲(210°〜270°)内で回転して各カム面と当接部材とが相対移動することにより、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度は−5°に固定されたまま、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度は+5°〜−5°の範囲に変化する。
【0085】
このように、回転制御部材5は、センサ固定面3cに固定されたセンサ部6の第二の軸Yの周りの回転角度を複数の値(
図9の例では−5°、0°、+5°の3つの値)の各々に固定した各状態で、センサ固定面3cに固定されたセンサ部6の第一の軸Xの周りの回転角度を、センサ固定面3cに固定されたセンサ部6が第一の軸Xの周りで回転可能な角度の範囲(+5°〜−5°)の端から端まで変化させる。これにより、第二の軸Yの周りの3つの回転角度の各々と、第一の軸Xの周りの回転角度の全ての取り得る値との組み合わせ分、センサ部6を二次元状に回転させることができるようになっている。
【0086】
なお、
図9の例では、リングカム40が回転軸Jを中心にして360°回転することで、リングカム40の回転位置が初期位置に戻るようにするため、第六の範囲(270°〜360°)においても各接触点の高さに差が設けられている。しかし、リングカム40を回転位置0°から270°の範囲でのみ回転させるよう制限するのであれば、第六の範囲(270°〜360°)における各接触点の高さは任意のパターンであればよい。第六の範囲(270°〜360°)における各接触点の高さは、例えば回転位置270°における高さと同じにしておいてもよい。
【0087】
また、リングカム40が回転軸Jを中心にして360°回転することで、第二の軸Yの周りの3つの回転角度(−5°、0°、+5°)の各々と、第一の軸Xの周りの回転角度の全ての取り得る値(−5°〜+5°)との組み合わせが実現されるよう、各カム面の傾斜を設計することも可能である。
【0088】
図10は、
図4に示した回転制御部材5の詳細構成を示す分解斜視図である。
【0089】
図4に示したベース48は、円板状の底部48aと、底部48aに設けられ押圧方向に突出した円柱状の軸部48bと、軸部48bの中空部に挿通されるユニバーサルジョイント49と、センサテーブル3を与圧するためのスプリング49aと、を備える。
【0090】
ユニバーサルジョイント49の先端部は、ネジ止め部3bに挿入された固定ネジ3aによってセンサテーブル3と固定される。センサテーブル3はスプリング49aによって与圧される。軸部48bの中心を通り押圧方向に延びる直線が、回転軸J1を構成する。
【0091】
図4に示した超音波モータ46は、ベース48の軸部48bが挿通されるリング状の回転子42と、回転子42の中空部と軸部48bの間に設けられる軸受部材41と、回転子42を収容し、回転子42を回転させるリング状のステータ46aと、回転子42に固定された摺動板43と、回転子42に固定され、スリットが形成されたスリット板44と、ベース48の底部48aに固定され、スリット板44のスリットを検出して回転子42の回転位置を検出するエンコーダ45aが形成されたエンコーダ板45と、ベース48の底部48aに設けられた凹部48cに収容されてステータ46aを与圧する与圧スプリング47と、を備える。回転子42は、ボルト42aによってリングカム40に固定される。ステータ46aはベース48の底部48aに固定される。
【0092】
図11は、血圧測定装置のブロック構成を示す模式図である。
【0093】
血圧測定装置は、圧脈波測定部100と、リングカム駆動部10と、空気袋駆動部11と、装置全体を統括制御する制御部12と、表示部13と、操作部14と、メモリ15と、を備える。
【0094】
リングカム駆動部10は、制御部12の指示のもと、圧脈波測定部100の回転制御部材5を構成するステータ46aを駆動して、リングカム40を、回転軸J1を中心にして回転させる。
【0095】
空気袋駆動部11は、制御部12の指示のもと、空気袋2に注入する空気量(空気袋2の内圧)を制御する。
【0096】
表示部13は、測定された血圧値等の各種情報を表示するためのものであり、例えば液晶等により構成される。
【0097】
操作部14は、制御部12に対する指示信号を入力するためのインターフェースであり、血圧測定を含む各種動作の開始を指示するためのボタン等により構成される。
【0098】
メモリ15は、制御部12に所定の動作をさせるためのプログラムやデータを記憶するROM(Read Only Memory)、ワークメモリとしてのRAM(Randam Access Memory)、及び、測定した血圧データ等の各種情報を記憶するフラッシュメモリ等を含む。
【0099】
制御部12は、センサ部6の圧力検出素子により検出される圧脈波に基づいて生体情報としての血圧情報を算出する生体情報算出部として機能する。ここでは生体情報として血圧情報を例にしているが、生体情報としては、圧脈波に基づいて算出できるものであれば何でもよい。例えば、生体情報として脈拍数や心拍数等を算出してもよい。
【0100】
以下、本実施形態の血圧測定装置の動作について説明する。本実施形態の血圧測定装置は、1拍毎に血圧値(SBP(Systolic Blood pressure)、いわゆる最高血圧と、DBP(Diastolic Blood pressure)、いわゆる最低血圧を測定して表示部13に表示する連続血圧測定モードを有する。
【0101】
図12は、本実施形態の血圧測定装置の連続血圧測定モードにおける校正用データ生成までの動作を説明するためのフローチャートである。
【0102】
なお、圧脈波測定部100のセンサテーブル3は、血圧測定指示がなされる前の初期状態では、第一の軸Xまわりの回転角度と、第二の軸Yまわりの回転角度とがそれぞれ0°になっており、センサ固定面3c及びセンサ面6bが押圧方向に垂直になっているものとする。
【0103】
血圧測定指示があると、制御部12は、空気袋駆動部11を制御して空気袋2への空気の注入を開始し、回転制御部材5による橈骨動脈Tへの押圧力を増加させる(ステップS1)。
【0104】
押圧力の増加過程において、制御部12は、橈骨動脈Tの閉塞が開始されるのに十分な時間が経過した後の任意のタイミング(例えば周期的なタイミング)で、それまでに各圧力検出素子6aにより検出されてメモリ15に記憶された圧脈波(圧脈波情報I1とする)のうち、検出時刻が新しい順に複数(以下では2つ)の圧脈波情報I1を取得する。また、制御部12は、上記任意のタイミングで、それまでに各圧力検出素子7aにより検出されてメモリ15に記憶された圧脈波(圧脈波情報I2とする)のうち、検出時刻が新しい順に複数(以下では2つ)の圧脈波情報I2を取得する(ステップS1A)。
【0105】
制御部12は、ステップS1Aで取得した2つの圧脈波情報I1のうち、時刻t1に検出された圧脈波情報I1を構成する圧脈波の例えば振幅の平均値Ave1を算出し、時刻t1よりも後の時刻t2に検出された圧脈波情報I1を構成する圧脈波の振幅の平均値Ave2を算出する。また、制御部12は、ステップS1Aで取得した2つの圧脈波情報I2のうち、時刻t1に検出された圧脈波情報I2を構成する圧脈波の振幅の平均値Ave3を算出し、時刻t2に検出された圧脈波情報I2を構成する圧脈波の振幅の平均値Ave4を算出する。そして、制御部12は、同じ時刻に対して算出した平均値の比((Ave1/Ave3)と(Ave2/Ave4))を算出する。
【0106】
次に、制御部12は、複数のタイミングについて算出した比の変化に基づいて、センサ固定面3cを第一の軸Xの周りに回転させるべきか否かを判定する。つまり、制御部12は、押圧力の増加過程における複数タイミングで圧力検出素子6a,7aにより検出された圧脈波に基づいて、センサ固定面3cを第一の軸Xの周りに回転させるか否かを判定する(ステップS1B)。
【0107】
例えば、複数のタイミングについて算出した比が単調増加している場合には、素子列70は橈骨動脈Tを閉塞する方向に向かっているが、素子列60は橈骨動脈Tを閉塞する方向に向かっていないと判定できる。このため、制御部12は、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転は必要と判定する。
【0108】
また、複数のタイミングについて算出した比が単調減少している場合には、素子列60は橈骨動脈Tを閉塞する方向に向かっているが、素子列70は橈骨動脈Tを閉塞する方向に向かっていないと判定できる。このため、制御部12は、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転は必要と判定する。
【0109】
また、複数のタイミングについて算出した比がほとんど変化していない場合には、素子列60,70が同じように橈骨動脈Tの圧脈波を検出していると判定できる。このため、制御部12は、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転は不要と判定する。
【0110】
また、複数のタイミングについて算出した比が増減を繰り返している場合には、素子列60,70が橈骨動脈Tを十分に押圧できているか、一方の素子列だけが橈骨動脈Tを十分に押圧できていないのかの判定ができない。このため、制御部12は、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転は不要と判定する。
【0111】
このように、制御部12は、複数のタイミングについて算出した比の変動に基づいて、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転の要否を判定する。なお、この比の代わりに、平均値Ave1(Ave2)と平均値Ave3(Ave4)の差分(符号を考慮した値)を用いてもよい。ここでのセンサ固定面3cの回転の要否の判定方法は一例であり、限定されるものではない。
【0112】
図13(a)は、素子列70によって橈骨動脈Tが閉塞されているが、素子列60によっては橈骨動脈Tが閉塞されていない状態の例を示す図である。
図13(a)の状態では、素子列60と橈骨動脈Tの距離が、素子列70と橈骨動脈Tの距離よりも大きくなっている。
【0113】
各圧力検出素子6aにより検出された圧脈波の振幅平均値を6Aとし、各圧力検出素子7aにより検出された圧脈波の振幅平均値を7Aとすると、
図13(a)の状態では、6Aと7Aの比である(6A/7A)は1よりも十分に大きくなる。この状態では、圧力検出素子6aからなる素子列を橈骨動脈Tに近づければ、(6A/7A)は1に近づく。
【0114】
そこで、制御部12は、ステップS1Bにおいてセンサ固定面3cの第一の軸X周りの回転が必要と判定したときは、最新時刻における(6A/7A)の値に応じてセンサ固定面3cの第一の軸X周りの回転制御を行う(ステップS1C)。
【0115】
具体的には、制御部12は、(6A/7A)の値とセンサ固定面3cの回転角度との関係を示すデータテーブル(製品出荷前に実験的に求めてメモリ15に記憶しておく)を参照し、(6A/7A)の値に対応する回転角度を読みだして、読みだした回転角度を設定する。メモリ15に記憶されるセンサ固定面3cの第一の軸X周りの回転角度は、−5°〜+5°の間の値(分解能が1°であれば、−5°、−4°、・・・、0°、1°、2°、・・・5°の計11個)となっている。回転角度の分解能は、エンコーダ45aの位置検出分解能等によって決まる。
【0116】
制御部12は、このようにして設定した回転角度にしたがってセンサ固定面3cを第一の軸Xの周りに回転させる。これにより、
図13(b)のように、センサ固定面3cと橈骨動脈Tとを平行にすることができ、素子列60,70の各々によって橈骨動脈Tを閉塞した状態を得ることができる。
【0117】
制御部12は、ステップS1Cの後と、ステップS1Bにおいてセンサ固定面3cの第一の軸X周りの回転が不要と判定したときは、ステップS2に処理を移行する。ステップS2において、制御部12は、橈骨動脈Tが閉塞されるのに十分な圧力(必要押圧力)に押圧力が到達したか否かを判定する。制御部12は、押圧力が必要押圧力に到達した場合(ステップS2:YES)に、空気袋駆動部11を制御して空気袋2への空気の注入を停止させる(ステップS3)。制御部12は、押圧力が必要押圧力に達していない場合はステップS1Aに処理を戻す。
【0118】
ステップS3の後、制御部12は、ステップS1〜ステップS3の間において各圧力検出素子6aにより同時刻に検出された圧脈波の振幅と、その各圧力検出素子6aのセンサ面6b上における位置との関係を示す振幅分布曲線、いわゆるトノグラムを求める。また、制御部12は、各圧力検出素子7aにより同時刻に検出された圧脈波の振幅と、その各圧力検出素子7aのセンサ面6b上における位置との関係を示すトノグラムを求める。
【0119】
制御部12は、素子列60に対して生成したトノグラムを、この素子列60の識別情報、圧脈波の検出時刻、及びこの検出時刻における空気袋2による押圧方向への押圧力(空気袋2の内圧)と対応付けてメモリ15に記憶する。
【0120】
同様に、制御部12は、素子列70に対して生成したトノグラムを、この素子列70の識別情報、圧脈波の検出時刻、及びこの検出時刻における空気袋2による押圧方向への押圧力と対応付けてメモリ15に記憶する。
【0121】
そして、制御部12は、メモリ15に記憶したトノグラムのデータを用いて、回転制御部材5の手首への押圧中における橈骨動脈Tの方向B(橈骨動脈Tの延びる方向に交差する方向)への移動量を算出する(ステップS6)。
【0122】
図14(a),(b)は、センサ部6による手首への押圧力を変化させていったときに、センサ部6の各圧力検出素子6aにより検出される圧脈波の振幅値の一例を示した図である。
図14(a),(b)において、横軸は各圧力検出素子6aの方向Bでの位置を示し、縦軸は押圧力を示す。
【0123】
図14(a),(b)では、各位置にある圧力検出素子6aにより検出された圧脈波の振幅を、その大きさによって色分けしている。
【0124】
符号A1は、振幅が閾値TH1以上となっている部分である。符号A2は、振幅が閾値TH2以上閾値TH1未満となっている部分である。符号A3は、振幅が閾値TH3以上閾値TH2未満となっている部分である。符号A4は、振幅が閾値TH4以上閾値TH3未満となっている部分である。符号A5は、振幅が閾値TH4未満となっている部分である。なお、閾値TH1>閾値TH2>閾値TH3>閾値TH4である。
【0125】
図14(a)は、押圧力が増加していく過程で、閾値TH1以上の振幅の圧脈波を検出している圧力検出素子6aの位置がほぼ変化しない例を示している。これに対し、
図14(b)は、押圧力が増加していく過程で、閾値TH1以上の振幅の圧脈波を検出している圧力検出素子6aの位置が左にずれていく例を示している。
【0126】
図15は、圧脈波測定部100を手首に当てて、空気袋2によりセンサ部6を手首に向けて押圧していく状態を示す図である。
図15において、符号TBは橈骨を示し、符号Kは腱を示す。
【0127】
図15(a)の状態からセンサ部6を手首に押圧していくと、
図15(b)に示すように、橈骨動脈Tが方向Bに移動してしまうことがある。
【0128】
図15(b)のように、押圧中に橈骨動脈Tが方向Bに移動してしまうと、押圧中の圧脈波の振幅値の分布は
図14(b)のようになる。つまり、閾値TH1以上の振幅値が初めて検出された押圧力における当該振幅値を検出した圧力検出素子6aの位置と、閾値TH1以上の振幅値が最後に検出された押圧力における当該振幅値を検出した圧力検出素子6aの位置とには大きなずれが生じることになる。
【0129】
図14(a)の例では、閾値TH1以上の振幅値が初めて検出された押圧力における当該振幅値を検出した圧力検出素子6aの位置と、閾値TH1以上の振幅値が最後に検出された押圧力における当該振幅値を検出した圧力検出素子6aの位置とには大きなずれは生じていない。つまり、押圧力を増加させていく過程において、橈骨動脈Tが方向Bにほぼ移動することなく閉塞されていっていることが分かる。
【0130】
このように、押圧力が変化する過程におけるトノグラムの変化をみることで、橈骨動脈Tについて、方向Bでの位置変化を検出することができる。
図15(b)に示す状態のまま、押圧力を増加させて橈骨動脈Tを閉塞すると、腱K等の生体組織の影響を受けて、正確なトノグラムを取得できない可能性が生じる。
【0131】
そこで、制御部12は、押圧力とトノグラムの関係を示す
図14のデータから、閾値TH1以上の振幅値が初めて検出された押圧力における当該振幅値を検出した圧力検出素子6aの位置と、閾値TH1以上の振幅値が最後に検出された押圧力における当該振幅値を検出した圧力検出素子6aの位置との差(つまり橈骨動脈Tの方向Bへの移動量)をステップS6にて算出し、算出した差が閾値THa以上か否かを判定する(ステップS7)。
【0132】
2つの位置の差が閾値THa以上であれば(ステップS7:YES)、制御部12は、ステップS8において
図14(b)の矢印で示したベクトルを求める。2つの位置の差が閾値THa未満であれば(ステップS7:NO)、ステップS9の処理が行われる。
【0133】
メモリ15には、
図14に示したベクトルの向き及び大きさと、センサ固定面3cの第二の軸Y周りの回転角度を示す情報とを、予め実験的に求めて対応付けて記憶しておく。メモリ15に記憶されるセンサ固定面3cの第二の軸Y周りの回転角度は、−5°、0°、及び、+5°の3つの値となっている。
【0134】
そして、制御部12は、求めたベクトルの大きさ及び向きに対応する回転角度の情報をメモリ15から取得し、取得した情報をリングカム駆動部10に送信する。そして、リングカム駆動部10は、受信した情報と、ステップS1Cで設定されたセンサ固定面3cの第一の軸X周りの回転角度と、に基づいて、第一の軸X周りの回転角度は維持された状態で、センサ固定面3cの第二の軸Y周りの回転角度が所望の値となるよう、リングカム40を回転させる。これにより、
図15(c)に示したようにセンサ固定面3cが回転される(ステップS8)。
【0135】
例えば、ステップS1Cの処理によってリングカム40の回転位置が118°(第一の軸X周りの回転角度は+3°とする)に制御されている場合を考える。そして、ステップS8では、第二の軸Y周りの回転角度を+5°にする必要があるとする。この場合は、ステップS8において、リングカム40の回転位置が42°に変更されることで、第一の軸X周りの回転角度は+3°に維持された状態で、第二の軸Y周りの回転角度が+5°となる。また、ステップS8において第二の軸Y周りの回転角度を−5°にする必要がある場合には、リングカム40の回転位置が252°に変更されることで、第一の軸X周りの回転角度は+3°に維持された状態で、第二の軸Y周りの回転角度が−5°となる。
【0136】
以上のように、血圧測定指示があると、制御部12は、空気袋2による押圧力の増加過程における複数タイミングで各圧力検出素子6a,7aにより検出された圧脈波に基づいて、センサ固定面3cを回転させる必要があるか否かをステップS1B及びステップS7にて判定する。そして、制御部12は、センサ固定面3cを回転させる必要がある場合(ステップS1B:YES,ステップS7:YES)には、各圧力検出素子6a,7aにより検出された圧脈波に基づいて、センサ固定面3cを回転させる。
【0137】
ステップS8に続くステップS9では、制御部12が、空気袋駆動部11を制御して、空気袋2内の空気を排出させ、橈骨動脈Tへの押圧力の減少を開始する。
【0138】
制御部12は、ステップS9で押圧力の減少を開始し、押圧力を最小値まで減少させた後、全ての圧力検出素子6a,7aの中から最適圧力検出素子を決定する。制御部12は、例えば、押圧力の減少過程において最大振幅の圧脈波を検出した圧力検出素子を最適圧力検出素子として決定する。
【0139】
橈骨動脈Tが平坦になった部分の真上に位置する圧力検出素子によって検出される圧脈波は、橈骨動脈Tの壁の張力の影響がなく、最も振幅が大きくなる。また、この圧脈波は橈骨動脈T内の血圧値との相関が最も高い。このような理由により、最大振幅の圧脈波を検出した圧力検出素子を最適圧力検出素子として決定する。
【0140】
なお、最大振幅の圧脈波を検出した圧力検出素子が複数ある場合もあり、その場合には、この複数の圧力検出素子を最適圧力検出素子として扱い、この複数の圧力検出素子の各々で検出された圧脈波の例えば平均を、この最適圧力検出素子により検出される圧脈波として扱えばよい。
【0141】
そして、制御部12は、押圧力の減少過程でその最適圧力検出素子により検出された圧脈波から脈波包絡線データを生成する(ステップS10)。
【0142】
脈波包絡線データとは、センサ部6による橈骨動脈Tへの押圧力(空気袋2の内圧)と、その押圧力で最適圧力検出素子が橈骨動脈Tに押圧された状態で最適圧力検出素子により検出される圧脈波の振幅とを対応付けたデータである。
【0143】
図16は、橈骨動脈Tへの押圧力の変化と、最適圧力検出素子により検出される圧脈波の変化の一例を示した図である。
図16において、符号Pで示す直線が押圧力を示し、符号Mで示す波形が圧脈波を示している。
図16の下段には、1つの圧脈波の拡大図を図示している。
【0144】
図16に示したように、圧脈波において、立ち上がり点での圧力を最小値Mminといい、立ち下がり点での圧力を最大値Mmaxという。圧脈波の振幅は、最大値Mmaxから最小値Mminを引いた値を言う。最大値Mmaxと最小値Mminは、それぞれ、圧脈波の形状を特定する情報の1つである。
【0145】
図16に示したように、押圧力が減少を開始して橈骨動脈Tの閉塞状態が解除されると、最適圧力検出素子により検出される圧脈波は振幅が急激に大きくなり、その後、押圧力の減少に伴って図に示したように変化していく。制御部12は、ステップS10において、
図16に示す押圧力と圧脈波の関係から、
図17に示すような脈波包絡線データを生成する。
【0146】
制御部12は、
図17に示す脈波包絡線データを生成すると、生成した脈波包絡線データからSBPとDBPを算出する(ステップS11)。
【0147】
例えば、制御部12は、
図17に示す脈波包絡線において、押圧力が減少を開始してから圧脈波振幅が急激に上昇を開始したときの押圧力、すなわち、押圧力が減少を開始してから最適圧力検出素子により検出される圧脈波振幅が動脈閉塞状態ではなくなったと判断できる閾値THbを初めて超えた時点での押圧力をSBPとして決定する。または、制御部12は、脈波包絡線データにおいて隣接する2つの振幅値の差分を算出し、この差分が閾値を超えた時点での押圧力をSBPとして決定する。
【0148】
更に、制御部12は、
図17に示す脈波包絡線において、圧脈波振幅の最大値を脈圧(PP)とし、求めたSBP及びPPと、SBP−DBP=PPの関係式により、DBPを算出する。
【0149】
ステップS11の後、制御部12は、ステップS9の減圧過程で決定した最適圧力検出素子により検出された各圧脈波のいずれか(例えば、最大振幅となった圧脈波)の最大値Mmax及び最小値Mminと、ステップS11で算出したSBP及びDBPと、を用いて、連続血圧測定時に用いる校正用データを生成してメモリ15に記憶する(ステップS12)。
【0150】
aを一次関数の傾き、bを一次関数の切片とすると、
SBP=a×Mmax+b ・・・(1)
DBP=a×Mmin+b ・・・(2)
の関係が成り立つ。
【0151】
制御部12は、式(1)と式(2)に、ステップS11で求めたSBP及びDBPと、
図17の脈波包絡線における振幅が最大となった圧脈波の最大値Mmax及び最小値Mminとを代入して、傾きaと切片bを算出する。そして、算出した係数a,bと、式(1),(2)と、を校正用データとしてメモリ15に記憶する。
【0152】
図18は、本実施形態の血圧測定装置の連続血圧測定モードにおける連続血圧測定動作を説明するためのフローチャートである。
【0153】
図12に示したフローで校正用データを生成した後、制御部12は、空気袋駆動部11を制御し、空気袋2の内圧を上昇させて、回転制御部材5による橈骨動脈Tへの押圧力を増加させる(ステップS21)。
【0154】
次に、制御部12は、各圧力検出素子6a,7aのうち、押圧力の増加過程において最大振幅の圧脈波を検出した圧力検出素子を最適圧力検出素子として決定する。また、制御部12は、この最大振幅の圧脈波が検出された時点での空気袋2の内圧を最適押圧力として決定する(ステップS22)。
【0155】
次に、制御部12は、空気袋2の内圧を解放して初期状態に戻し(ステップS23)、その後、空気袋2の内圧をステップS22で決定した最適押圧力まで上昇させて、この最適押圧力を保持する(ステップS24)。
【0156】
次に、制御部12は、最適押圧力でセンサ部6が橈骨動脈Tに押圧された状態で、ステップS22で決定した最適圧力検出素子により検出される圧脈波を取得する(ステップS25)。
【0157】
そして、制御部12は、取得した1つの圧脈波を、
図12のステップS12で生成した校正用データを用いて校正して、SBPとDBPを算出する(ステップS26)。
【0158】
具体的には、制御部12は、ステップS25で取得した圧脈波の最大値Mmaxと、ステップS12で算出した係数a,bを上述した式(1)に代入してSBPを算出し、ステップS25で取得した圧脈波の圧力最小値Mminと、ステップS12で算出した係数a,bを上述した式(2)に代入してDBPを算出する。制御部12は、算出されたSBPとDBPを例えば表示部13に表示させて利用者に通知する。
【0159】
制御部12は、連続血圧測定の終了指示があれば(ステップS27:YES)処理を終了し、終了指示がなければ(ステップS27:NO)、ステップS25に処理を戻す。
【0160】
以上ように、本実施形態の血圧測定装置によれば、センサ部6が固定されたセンサ固定面3cが、センサ部6の押圧方向に直交する2つの軸(第一の軸X及び第二の軸Y)の各々の周りに回転することができる。このため、
図12に例示した動作によって、圧脈波の検出精度を向上させることができ、この圧脈波に基づいて算出される生体情報としての血圧情報の算出精度を向上させることができる。
【0161】
センサ固定面3cの回転は、リングカム40が1つの超音波モータ46によって回転されることで行われる。このため、センサ固定面3cを回転させる機構をシンプルかつコンパクトにすることができ、圧脈波測定部100の小型化や低コスト化が可能となる。
【0162】
また、センサ固定面3cの回転は、リングカム40のカム面とセンサテーブル3の当接部材との相対移動によって行われる。このため、歯車等を用いてセンサ固定面3cの回転を回転させる場合と比較して、センサ固定面3cの回転時の動作音を少なくすることができる。
【0163】
また、リングカム40の回転動作によってセンサ固定面3cを回転させるため、リングカム40を回転させるのに必要な回転トルクを小さくすることができる。したがって、センサ固定面3cを回転させる際の消費電力を下げることができ、血圧測定装置の電池持ちをよくすることができる。また、リングカム40を用いることで、リングカム40を回転させるためのアクチュエータの小型化が可能となるため、圧脈波測定部100の小型化が可能となる。
【0164】
センサ固定面3cの第二の軸Y周りの回転については、橈骨動脈Tが方向Bに移動したことによる圧脈波の検出精度の低下を防ぐために行われている。このため、センサ固定面3cの第二の軸Y周りの回転については、橈骨動脈Tの位置を変えられる程度にセンサ固定面3cを回転させることができればよく、回転角度を細かく制御する必要はない。
【0165】
一方、センサ固定面3cの第一の軸X周りの回転については、センサ固定面3cが橈骨動脈Tと平行になるように行われている。橈骨動脈Tの走行方向における生体内への沈み込み量等は人によって様々であり、また、センサ部6の押圧によって橈骨動脈Tが沈み込んでいくこともある。このため、センサ固定面3cと橈骨動脈Tを平行にするためには、センサ固定面3cの第二の軸Y周りの回転角度を細かく制御できるのがよい。
【0166】
これらの理由から、本実施形態の血圧測定装置では、センサ固定面3cの第二の軸Y周りの回転角度については−5°、0°、+5°の3つの値のいずれかに制御し、センサ固定面3cの第一の軸X周りの回転角度については−5°〜+5°の範囲の任意の値に制御している。こういった制御を実現するためのリングカム40のカム面の起伏のパターンは、
図9に示すように複雑なものではない。このため、圧脈波測定部100の設計コストを低減して、製造コストを下げることが可能である。
【0167】
なお、第二の軸Yの周りの3つの回転角度(−5°、0°、+5°)の各々と、第一の軸Xの周りの回転角度の全ての取り得る値(−5°〜+5°)の具体的な数値については一例であり、この数値に限定されるものではない。例えば、第二の軸Yの周りの3つの回転角度(−10°、0°、+10°)の各々と、第一の軸Xの周りの回転角度の全ての取り得る値(−10°〜+10°)との組み合わせが実現されるよう、各カム面の傾斜を設計してもよい。
【0168】
なお、リングカム40のカム面の起伏のパターンを工夫すれば、センサ固定面3cの第二の軸Y周りの回転角度を−5°〜+5°の範囲の任意の値に制御できるようにすることも可能である。
【0169】
以上の説明では、回転制御部材5が、センサ固定面3cの第二の軸Yの周りの回転角度を3つの値の各々に固定した各状態で、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度を−5°〜+5°の範囲で変化させるものとした。しかし、第二の軸Yの周りの回転角度として必要な数は、圧脈波の検出精度を考慮して2つ以上とすればよい。
【0170】
つまり、回転制御部材5は、センサ固定面3cに固定されたセンサ部6の第二の軸Yの周りの回転角度を2つの値又は4つ以上の値の各々に固定した各状態で、センサ部6の第一の軸Xの周りの回転角度を−5°〜+5°の範囲で変化させるものとしてもよい。ただし、第二の軸Yの周りの回転角度の数をあまり増やすと、リングカム40の設計が複雑となるため、第二の軸Yの周りの回転角度の数は3つ又は5つとしておくのが好ましい。
【0171】
上述したように、センサ固定面3cの第一の軸Xの周りの回転角度は細かく制御する必要があるため、回転角度の誤差は小さいことが好ましい。
【0172】
回転制御部材5では、第一のカム面40aが回転軸J1から最も遠い位置にあるため、第一のカム面40a上で第一の当接部材3dが移動する距離は、他のカム面と比べて大きくなる。このため、第一のカム面40aと第一の当接部材3dの接触位置が所望の位置からずれたときの第一の軸X周りのセンサ固定面3cの回転角度のずれ量は、第二のカム面40bと第二の当接部材3eの接触位置が所望の位置からずれたときの第二の軸Y周りのセンサ固定面3cの回転角度のずれ量よりも小さくなる。したがって、第一のカム面40aが回転軸J1から最も遠い位置にあることで、センサ固定面3cの第一の軸X周りの回転角度の誤差を小さくすることができ、センサテーブル3の回転制御を高精度に行うことができる。
【0173】
また、圧脈波測定部100では、
図8に示すように、第一の当接部材3dのみが第一のカム面40aと重なるようにセンサテーブル3が設計されている。この構成によれば、センサテーブル3の第一の当接部材3d以外の部分と第一のカム面40aとが接触する心配がない。このため、
図8に示す状態におけるセンサテーブル3のセンサ固定面3cの反対側の端面と、リングカム40のセンサテーブル3側の端面との距離を小さくすることができる。したがって、圧脈波測定部100の小型化が可能となる。
【0174】
また、圧脈波測定部100では、
図3に示すように、センサ固定面3cに配置されるセンサ部6に含まれる素子列60,70の圧力検出素子の並ぶ方向(方向B)が、センサ固定面3cをセンサ固定面3cに垂直な方向から見た状態における第一の当接部材3d及び回転軸J1を結ぶ方向と実質的に一致している。
【0175】
ここで、第一の当接部材3dは、センサテーブル3の支持点である回転軸J1から最も離れた位置にある作用点となる。このため、この支持点と作用点を結ぶ方向をセンサ部6の長手方向と一致させることで、センサテーブル3の姿勢を安定させることができ、センサテーブル3の回転制御を高精度に行うことができる。
【0176】
また、圧脈波測定部100は、リングカム40のカム面が回転軸Jを中心とする円の円周に沿って延びる構成である。この構成によれば、リングカム40の設計が容易となり、圧脈波測定部100の製造コストを低減することができる。
【0177】
また、圧脈波測定部100は、リングカム40に第三のカム面40cが設けられ、センサテーブル3に第三の当接部材3fが設けられた構成である。この構成によれば、3つの当接部材とベース48とによってセンサテーブル3が支えられることとなる。このため、センサテーブル3の姿勢を安定させることができ、センサテーブル3の回転制御を高精度に行うことができる。
【0178】
なお、リングカム40の第三のカム面40cとセンサテーブル3の第三の当接部材3fは省略可能である。これらを省略した場合でも、センサテーブル3は、2つの当接部材とベース48によって支えられるため、センサテーブル3の姿勢を安定させることができる。
【0179】
以下、圧脈波測定部100の変形例について説明する。
【0180】
回転制御部材5は、リングカム40を回転させずに、センサテーブル3を回転させることで、センサ部6を第一の軸X及び第二の軸Yの各々の周りに回転させる構成であってもよい。この構成にする場合は、センサテーブル3のセンサ固定面3cにセンサ部6は固定せずに、センサ部6の素子列60,70の伸びる方向が固定された状態で、センサ固定面3cの傾斜に追従してセンサ部6のセンサ面6bが傾斜するような機構を採用すればよい。
【0181】
回転制御部材5は、リングカム40のセンサテーブル3側の反対側の端面を平面としてリングカム40を回転不能なものとし、この平面にセンサ部6が固定され、かつ、センサテーブル3がモータによって回転軸J1を中心に回転可能にされた構成であってもよい。この構成にすることでも、センサテーブル3の回転によって、センサ部6を第一の軸X及び第二の軸Yの各々の周りに回転させることができる。
【0182】
回転制御部材5では、リングカム40を回転するためのモータとしては超音波モータ以外のものを用いてもよい。リングカム40はリング状であるため、リング型モータを用いることで、回転制御部材5の設計を容易にすることができる。
【0183】
回転制御部材5は、第一のカム面40aと第一の当接部材3dとの相対移動によって、センサ固定面3cが第二の軸Yの周りに回転し、第二のカム面40bと第二の当接部材3eとの相対移動によって、センサ固定面3cが第一の軸Xの周りに回転するよう、カム面が形成された構成であってもよい。また、リングカム40のカム面の形状は、円周方向に沿って延びる形状に限らず、センサ固定面3cの回転角度を所望の値に設定できるようなものであれば、どのような形状であってもよい。
【0184】
以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。
【0185】
開示された圧脈波測定装置は、一方向に並ぶ複数の圧力検出素子を含む素子列が形成されたセンサ部と、生体の体表面に対して前記センサ部を押圧する押圧部と、前記押圧部の押圧方向に直交する2つの軸の各々の周りに前記センサ部を回転させる回転制御部材と、を備え、前記回転制御部材は、前記押圧方向を回転軸として相対的に回転する第一の部材及び第二の部材を含み、前記第一の部材と前記第二の部材は、それぞれ、前記第一の部材と前記第二の部材が相対的に回転することによる回転運動を、前記センサ部の前記2つの軸の各々の周りの回転運動に変換する運動変換機構を有するものである。
【0186】
開示された圧脈波測定装置は、前記押圧部は、前記複数の圧力検出素子の並ぶ方向が前記体表面の下の動脈の延びる方向と交差する状態で前記センサ部を前記体表面に押圧し、前記2つの軸は、前記複数の圧力検出素子の並ぶ方向に延びる第一の軸と、前記方向と直交する方向に延びる第二の軸であるものを含む。
【0187】
開示された圧脈波測定装置は、前記回転制御部材は、前記センサ部の前記第二の軸の周りの回転角度を複数の値の各々に固定した各状態で、前記センサ部の前記第一の軸の周りの回転角度を、前記センサ部が前記第一の軸の周りで回転可能な角度の範囲の端から端まで変化させるものである。
【0188】
開示された圧脈波測定装置は、前記第二の部材には、前記押圧方向の端面に第一のカム面及び第二のカム面が形成され、前記第一のカム面及び前記第二のカム面は、それぞれ、前記回転軸を中心とする円の円周に沿って延びており、前記第一のカム面は、前記第二のカム面よりも前記回転軸から遠い位置にあり、前記第一の部材には、前記第一のカム面に当接する第一の当接部材と、前記第二のカム面に当接する第二の当接部材とが形成され、前記第一のカム面、前記第二のカム面、前記第一の当接部材、及び、前記第二の当接部材により前記運動変換機構が構成され、前記回転制御部材は、前記第一の部材と前記第二の部材が相対的に回転することによる前記第一のカム面と前記第一の当接部材の相対移動によって、前記センサ部を前記第一の軸の周りに回転させ、前記第一の部材と前記第二の部材が相対的に回転することによる前記第二のカム面と前記第二の当接部材の相対移動によって、前記センサ部を前記第二の軸の周りに回転させるものである。
【0189】
開示された圧脈波測定装置は、前記第一の部材の前記押圧方向の端面には前記センサ部が固定され、前記センサ部に含まれる前記素子列の前記複数の圧力検出素子の並ぶ方向は、前記第一の部材の前記センサ部が固定された端面を当該端面に垂直な方向から見た状態における前記第一の当接部材及び前記回転軸を結ぶ方向と一致しているものである。
【0190】
開示された圧脈波測定装置は、前記第一の部材の前記押圧方向の端面には前記センサ部が固定され、前記第一の部材は、前記センサ部が固定された端面に垂直な方向が前記押圧方向と一致する状態で前記垂直な方向から見た平面視において、前記第一の当接部材のみが前記第一のカム面と重なっているものである。
【0191】
開示された圧脈波測定装置は、前記第二の部材には、前記押圧方向の端面に第一のカム面及び第二のカム面が形成され、前記第一の部材には、前記第一のカム面に当接する第一の当接部材と、前記第二のカム面に当接する第二の当接部材とが形成され、前記第一のカム面、前記第二のカム面、前記第一の当接部材、及び、前記第二の当接部材により前記運動変換機構が構成されているものである。
【0192】
開示された圧脈波測定装置は、前記第一のカム面と前記第二のカム面は、それぞれ、前記回転軸を中心とする円の円周に沿って延びており、前記第一のカム面は、前記第二のカム面よりも前記回転軸から遠い位置にあるものである。
【0193】
開示された圧脈波測定装置は、前記第一の部材の前記押圧方向の端面には前記センサ部が固定され、前記センサ部に含まれる前記素子列の前記複数の圧力検出素子の並ぶ方向は、前記第一の部材の前記センサ部が固定された端面を当該端面に垂直な方向から見た状態における前記第一の当接部材及び前記回転軸を結ぶ方向と一致しているものである。
【0194】
開示された圧脈波測定装置は、前記第一の部材の前記押圧方向の端面には前記センサ部が固定され、前記第一の部材は、前記センサ部が固定された端面に垂直な方向が前記押圧方向と一致する状態で前記垂直な方向から見た平面視において、前記第一の当接部材のみが前記第一のカム面と重なっているものである。
【0195】
開示された圧脈波測定装置は、前記第二の部材には、前記押圧方向の前記端面に第三のカム面が更に形成され、前記第一の部材には、前記第三のカム面に当接する第三の当接部材が更に形成され、前記第一のカム面、前記第二のカム面、前記第三のカム面、前記第一の当接部材、前記第二の当接部材、及び、前記第三の当接部材により前記運動変換機構が構成されているものである。
【0196】
開示された圧脈波測定装置は、前記センサ部は、前記一方向に直交する方向に並ぶ複数の前記素子列を有するものである。
【0197】
開示された生体情報測定装置は、前記圧脈波測定装置と、前記センサ部の圧力検出素子により検出される圧脈波に基づいて生体情報を算出する生体情報算出部と、を備えるものである。