(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
被写体側から眼側に向かう光路に沿って順に、一方の面は正の屈折力を有し他方の面には拡散面を有する焦点板と、該拡散面に結像された被写体像からの光束を所定回反射する反射手段と、該被写体像を観察する接眼光学群とを有していること;
前記焦点板と前記反射手段の間に位置させて、少なくとも片面に非球面が形成された正の屈折力のコンデンサーレンズを設けたこと;
前記コンデンサーレンズの非球面のうち少なくとも一面は、巨視的に見て、光軸から離れるに従って正の屈折力が弱くなること;
前記焦点板の正の屈折力を有する前記一方の面は、前記焦点板の入射面に非球面として形成されており、前記拡散面は、前記焦点板の出射面に形成されていること;及び
次の条件式(2)を満足すること;
を特徴とする接眼光学系。
(2)−0.5<tanθ0/(tanθ1−tanθ2)<3.0
但し、
tanθn(n=0、1、2):光軸からの高さh1における(総サグ量−近軸球面サグ量)により計算する非球面サグ量から以下のようにして求めた非球面量の傾きで、
tanθ0=焦点板の正の屈折力の面の(高さ1.01h1における非球面サグ量−高さ0.99h1における非球面サグ量)/0.02h1、
tanθ1=コンデンサーレンズ入射側面の(高さ1.01h1における非球面サグ量−高さ0.99h1における非球面サグ量)/0.02h1、
tanθ2=コンデンサーレンズ射出側面の(高さ1.01h1における非球面サグ量−高さ0.99h1における非球面サグ量)/0.02h1、
高さ0.99h1非球面サグ量=高さ0.99h1総サグ量−高さ0.99h1近軸球面サグ量
高さ1.01h1非球面サグ量=高さ1.01h1総サグ量−高さ1.01h1近軸球面サグ量
(サグ量:接平面と光学面との変位量)。
被写体側から眼側に向かう光路に沿って順に、一方の面は正の屈折力を有し他方の面には拡散面を有する焦点板と、該拡散面に結像された被写体像からの光束を所定回反射する反射手段と、該被写体像を観察する接眼光学群とを有していること;
前記焦点板と前記反射手段の間に位置させて、少なくとも片面に非球面が形成された正の屈折力のコンデンサーレンズを設けたこと;
前記コンデンサーレンズの非球面のうち少なくとも一面は、巨視的に見て、光軸から離れるに従って正の屈折力が弱くなること;
前記接眼光学群は、被写体側から眼側に向かう光路に沿って順に、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する両凸形状の第2レンズと、眼側に凹面を向けたメニスカス形状の第3レンズとからなり、第2レンズを光軸方向に移動させることにより前記焦点板に対する視度変更を行うこと;及び
次の条件式(5)及び(6)を満足すること;
を特徴とする接眼光学系。
(5)−0.2<f/f3<0.2
(6)1.15<[L3b/(L3n−1)+L3d/L3n]/{L3b/(L3n−1)}<1.30
但し、
f:接眼光学系を通した焦点板に対する視度が−1ディオプターになる状態における接眼光学系の焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離、
f3:第3レンズの焦点距離、
L3n:第3レンズのd線に対する屈折率、
L3b:第3レンズの眼側の面の曲率半径、
L3d:第3レンズのレンズ厚。
請求項1ないし4のいずれか1項記載の接眼光学系において、前記接眼光学群は、前記接眼光学系を通した前記焦点板に対する視度が調節可能であり、次の条件式(3)を満足する接眼光学系。
(3)−0.1<tanφ1−tanφ2
但し、
tanφ1:所定の平面による光軸を含む断面内において、コンデンサーレンズ入射面側の光軸からの高さh2における接線の法線の光軸に対する傾き、
tanφ2:前記断面内において、コンデンサーレンズ出射面側の光軸からの高さh2における接線の法線の光軸に対する傾き、
h2:接眼光学系を通した焦点板に対する視度を−1ディオプターに調整した状態における接眼光学系の焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離をfとしたときh2=f・tan(16°)で計算される光軸からの高さ。
請求項1ないし5のいずれか1項記載の接眼光学系において、前記接眼光学群は、前記接眼光学系を通した前記焦点板に対する視度が調整可能であり、次の条件式(4)を満足する接眼光学系。
(4)0.01<t/f<0.2
但し、
f:接眼光学系を通した焦点板に対する視度を−1ディオプターに調整した状態における接眼光学系の焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離、
t:コンデンサーレンズの中心厚。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、歪曲収差補正レンズの近軸パワーが負であることから、接眼光学系の全系の焦点距離は、像反転手段である正立プリズム(ペンタプリズム)より眼側に配置されるルーペ光学系の焦点距離より長くなる。そのため歪曲収差補正レンズが無い状態より観察倍率が低くなるという問題がある。また歪曲収差補正レンズの非球面により接眼光学系の歪曲収差が小さく保たれているものの、この非球面は近軸パワーが負である上に光軸から離れるに従って負のパワーを強める性質を有していることから、周辺部での発散作用が強くなりすぎてしまう。このため、焦点板(一般に出射面が被写体像を形成する焦点面)の入射面に配置されるコンデンサーレンズとして機能するフレネルレンズの周辺部の収束作用をより強めることが要求されることから、周辺部で極めて強い正のパワーが必要となる。その結果、フレネルレンズの周辺部の輪帯傾斜角度が大きくなり過ぎて、加工が困難になるという問題がある。
【0008】
特許文献2では、近軸パワーが正のコンデンサーレンズを像反転部材(プリズム)の前方に配置することで、接眼光学系の全系の焦点距離は、像反転部材(プリズム)より眼側に配置されるルーペ光学系の焦点距離より短くなり、よってコンデンサーレンズが無い状態より観察倍率を高くすることができる。しかし、ルーペ光学系に起因する歪曲収差を補正することはできていない。
【0009】
本発明は、以上の問題意識に基づいてなされたものであり、高い観察倍率を持ちながらも、歪曲収差を良好に補正して優れた光学性能を得ることができる接眼光学系を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の接眼光学系は、
第1の態様では、被写体側から眼側に向かう光路に沿って順に、一方の面は正の屈折力を有し他方の面には拡散面を有する焦点板と、該拡散面に結像された被写体像からの光束を所定回反射する反射手段と、該被写体像を観察する接眼光学群とを有していること;前記焦点板と前記反射手段の間に位置させて、少なくとも片面に非球面が形成された正の屈折力のコンデンサーレンズを設けたこと
;前記コンデンサーレンズの非球面のうち少なくとも一面は、巨視的に見て、光軸から離れるに従って正の屈折力が弱くなること;
前記焦点板の正の屈折力を有する前記一方の面は、前記焦点板の入射面に非球面として形成されており、前記拡散面は、前記焦点板の出射面に形成されていること;及び次の条件式(2)を満足すること;を特徴としている。
(2)−0.5<tanθ0/(tanθ1−tanθ2)<3.0
但し、
tanθn(n=0、1、2):光軸からの高さh1における(総サグ量−近軸球面サグ量)により計算する非球面サグ量から以下のようにして求めた非球面量の傾きで、
tanθ0=焦点板の正の屈折力の面の(高さ1.01h1における非球面サグ量−高さ0.99h1における非球面サグ量)/0.02h1、
tanθ1=コンデンサーレンズ入射側面の(高さ1.01h1における非球面サグ量−高さ0.99h1における非球面サグ量)/0.02h1、
tanθ2=コンデンサーレンズ射出側面の(高さ1.01h1における非球面サグ量−高さ0.99h1における非球面サグ量)/0.02h1、
高さ0.99h1非球面サグ量=高さ0.99h1総サグ量−高さ0.99h1近軸球面サグ量
高さ1.01h1非球面サグ量=高さ1.01h1総サグ量−高さ1.01h1近軸球面サグ量
(サグ量:接平面と光学面との変位量)、
である。
本発明の接眼光学系は、第1の態様では、前記接眼光学群が、被写体側から眼側に向かう光路に沿って順に、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する両凸形状の第2レンズと、眼側に凹面を向けたメニスカス形状の第3レンズとからなり、第2レンズを光軸方向に移動させることにより前記焦点板に対する視度変更を行い、次の条件式(5)及び(6)を満足することが好ましい。
(5)−0.2<f/f3<0.2
(6)1.15<[L3b/(L3n−1)+L3d/L3n]/{L3b/(L3n−1)}<1.30
但し、
f:接眼光学系を通した焦点板に対する視度が−1ディオプターになる状態における接眼光学系の焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離、
f3:第3レンズの焦点距離、
L3n:第3レンズのd線に対する屈折率、
L3b:第3レンズの眼側の面の曲率半径、
L3d:第3レンズのレンズ厚、
である。
本発明の接眼光学系は、第2の態様では、被写体側から眼側に向かう光路に沿って順に、一方の面は正の屈折力を有し他方の面には拡散面を有する焦点板と、該拡散面に結像された被写体像からの光束を所定回反射する反射手段と、該被写体像を観察する接眼光学群とを有していること;前記焦点板と前記反射手段の間に位置させて、少なくとも片面に非球面が形成された正の屈折力のコンデンサーレンズを設けたこと;前記コンデンサーレンズの非球面のうち少なくとも一面は、巨視的に見て、光軸から離れるに従って正の屈折力が弱くなること;前記接眼光学群は、被写体側から眼側に向かう光路に沿って順に、負の屈折力を有する第1レンズと、正の屈折力を有する両凸形状の第2レンズと、眼側に凹面を向けたメニスカス形状の第3レンズとからなり、第2レンズを光軸方向に移動させることにより前記焦点板に対する視度変更を行うこと;及び次の条件式(5)及び(6)を満足すること;を特徴としている。
(5)−0.2<f/f3<0.2
(6)1.15<[L3b/(L3n−1)+L3d/L3n]/{L3b/(L3n−1)}<1.30
但し、
f:接眼光学系を通した焦点板に対する視度が−1ディオプターになる状態における接眼光学系の焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離、
f3:第3レンズの焦点距離、
L3n:第3レンズのd線に対する屈折率、
L3b:第3レンズの眼側の面の曲率半径、
L3d:第3レンズのレンズ厚、
である。
【0011】
本明細書において「コンデンサーレンズの非球面が巨視的に見て光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化するような形状を有している」とは、マクロな視点(巨視的な視点)で見たときに、コンデンサーレンズの非球面が光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化することを意味している。このため、たとえ、ミクロな視点(局所的な視点)で見たときに、コンデンサーレンズの非球面が光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化していない箇所(正のパワーが微増または変化しないような箇所)があったとしても、「コンデンサーレンズの非球面が巨視的に見て光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化するような形状を有している」こととなり、本発明の技術的範囲に含まれる(本発明の技術的範囲を回避したことにはならない)。
【0012】
前記接眼光学群は、前記接眼光学系を通した前記焦点板に対する視度が調整可能であり、次の条件式(1)を満足することが好ましい。
(1)−0.030<d・(n−1)・tanθ1/h1+(t/n+d)・(1−n)・tanθ2/h1<−0.005
但し、
h1:接眼光学系を通した焦点板面に対する視度を−1ディオプターに調節した状態にお
ける接眼光学系の
焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離をfとしたときh1=f・tan(14°)で計算される焦点板面上における光軸からの高さ、
d:焦点板の拡散面からコンデンサーレンズ入射面までの空気換算距離、
t:コンデンサーレンズの中心厚、
n:コンデンサーレンズのd線に対する屈折率、
tanθn(n=1、2):光軸から高さh1における(総サグ量−近軸球面サグ量)により計算する非球面サグ量から以下のようにして求めた非球面量の傾き、
tanθ1=コンデンサーレンズ入射側面の光軸からの(高さ1.01h1における非球面サグ量−高さ0.99h1における非球面サグ量)/0.02h1、
tanθ2=コンデンサーレンズ射出側面の光軸からの(高さ1.01h1における非球面サグ量−高さ0.99h1における非球面サグ量)/0.02h1、
高さ0.99h1における非球面サグ量=高さ0.99h1総サグ量−高さ0.99h1近軸球面サグ量
高さ1.01h1における非球面サグ量=高さ1.01h1総サグ量−高さ1.01h1近軸球面サグ量
(サグ量:接平面と光学面との変位量)、
である。
【0015】
前記接眼光学群は、前記接眼光学系を通した前記焦点板に対する視度が調節可能であり、次の条件式(3)を満足することが好ましい。
(3)−0.1<tanφ1−tanφ2
但し、
tanφ1:所定の平面による光軸を含む断面内において、コンデンサーレンズ入射面側の光軸からの高さh2における接線の
法線の光軸に対する傾き、
tanφ2:前記断面内において、コンデンサーレンズ出射面側の光軸からの高さh2における接線の
法線の光軸に対する傾き、
h2:接眼光学系を通した焦点板に対する視度を−1ディオプターに調整した状態における接眼光学系の
焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離をfとしたときh2=f・tan(16°)で計算される光軸からの高さ、
である。
【0016】
前記接眼光学群は、前記接眼光学系を通した前記焦点板に対する視度が調整可能であり、次の条件式(4)を満足することが好ましい。
(4)0.01<t/f<0.2
但し、
f:接眼光学系を通した焦点板に対する視度を−1ディオプターに調整した状態における接眼光学系の
焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離、
t:コンデンサーレンズの中心厚、
である。
【0018】
本発明の接眼光学系は、前記焦点板の正の屈折力を有する前記一方の面の有効対角長を半量10mm以上とすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、高い観察倍率を持ちながらも、歪曲収差を良好に補正して優れた光学性能を得ることができる接眼光学系が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明による接眼光学系を搭載した一眼レフカメラの概略構成図である。
【0022】
本発明による接眼光学系(ファインダー光学系)を搭載した一眼レフカメラは、被写体側から眼側に向かって順に、ミラー10と、焦点板(ピント板)20と、コンデンサーレンズ(視野レンズ)30と、ペンタプリズム(反射手段、像反転手段)40と、接眼光学群(ルーペ光学系)50と、カバーガラス60とを有している。
【0023】
ミラー10は、その表面に、交換可能な撮影レンズ70の入射瞳位置(撮影レンズ70の射出瞳)からの入射光の一部を反射して残部を透過するハーフミラー面からなる反射面11を有している。ミラー10は、回動駆動機構(図示せず)によって、撮影光路上に挿入されて被写体光を焦点板20に向けて反射させるミラーダウン位置と、撮影光路から退避して被写体光を撮像素子(図示せず)に向けて通過させるミラーアップ位置との間で回動可能となっている。ミラー10の背面側にはサブミラー(図示せず)が設けられており、このサブミラーは、ミラー10のミラーダウン位置で該ミラー10を透過した被写体光の一部を反射して焦点検出センサ(図示せず)に導き、ミラー10のミラーアップ位置で該ミラー10の背面側に格納されて撮影光路から退避する。
図1では、ミラー10のミラーダウン位置を描いており、ミラーアップ位置を省略している。
【0024】
焦点板20は、撮影レンズ70による被写体像が結像してファインダー視野を形成するものである。焦点板20の入射面(被写体側の面、一方の面)には、近軸が正のパワーの非球面をフレネル化したフレネル面(フレネルレンズ部)21が形成されている。焦点板20の出射面(眼側の面、他方の面)には、撮影レンズ70による被写体像の結像状態をモニターする為に被写体像が投影される結像面22が拡散面として形成されている。焦点板20(フレネル面21)の有効対角長は、半量10mm以上(全量20mm以上)に設定されている。
【0025】
コンデンサーレンズ30は、少なくとも1面(被写体側の片面、眼側の片面または被写体側と眼側の両面)に非球面が形成された近軸が正のパワーのコンデンサーレンズからなる。このコンデンサーレンズ30の非球面は、光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化するような形状(非球面形状)を有している。つまりコンデンサーレンズ30の非球面は、マクロな視点(巨視的な視点)で見たときに、光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化する。このため、たとえ、ミクロな視点(局所的な視点)で見たときに、コンデンサーレンズ30の非球面が光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化していない箇所(正のパワーが微増または変化しないような箇所)があったとしても、コンデンサーレンズ30の非球面は、巨視的に見て、光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化するような形状を有していることになる。
【0026】
ペンタプリズム40は、撮影レンズ70によって焦点板20の結像面22に結像された被写体像を正立像に反転するものである。反射手段や像反転手段としては、ペンタプリズム40の他にも、ホロプリズム等の像反転機能を持つ種々の光学部材を用いることができる。
【0027】
接眼光学群50は、ペンタプリズム40による正立像を拡大して観察するためのものである。接眼光学群50は、被写体側から眼側に向かう光路に沿って順に、負の屈折力の第1レンズ51と、正の屈折力の第2レンズ52と、弱い正の屈折力の第3レンズ53とを有している。第1レンズ51と第2レンズ52と第3レンズ53は、いずれも、その少なくとも1面に非球面を有している。第2レンズ52は、視度調整の際に光軸方向に移動する視度調整用レンズである。
【0028】
カバーガラス60は、接眼光学群50(第3レンズ53)とアイポイント(射出瞳位置)EPの間に配置されており、光学フィルタとしての役割を兼ねている。
【0029】
接眼光学系は、射出瞳(アイポイントEP)を接眼光学群の外側後方に位置させる設計のため、一般に正の歪曲収差(観察像が糸巻きに見える状態)が大きくなりやすい。双眼鏡や顕微鏡など射出瞳光束径が小さい接眼光学群では一部の面に非球面を採用することで歪曲収差を補正する例もあるが、焦点板の拡散面上に投影された像を観察する接眼光学系の接眼光学群は射出瞳光束径が大きくコマ収差が増大してしまい歪曲収差補正は困難である。
【0030】
本実施形態の接眼光学系では、コマ収差の増大を抑え、歪曲収差を補正するために、焦点板(ピント板)20を物点と想定(規定)した場合の光束が細い位置、すなわち焦点板20とペンタプリズム(反射手段、像反転手段)40の間に非球面レンズ(コンデンサーレンズ30)を採用している。すなわち、
図1の光路は「瞳の結像を示す光路(撮影レンズの射出瞳を物点とした光路がアイポイントに集光しているように見える)」のに対し、ここで言う「光束が細い」は「焦点板(ピント板)を物点とした光束」を意味しており、この光束は、アイポイントを略アフォーカル(略平行光)で通過する光束である(「瞳の結像」に対して「物体の結像」とも呼ばれる)。そして、この「焦点板(ピント板)を物点とした光束」は、焦点板(ピント板)を起点として発散する発散光なので、焦点板(ピント板)の起点に近い程「細い」ということになる。
【0031】
また本実施形態の接眼光学系では、全系の観察倍率を維持又は高めるために、すなわち接眼光学系の全系の焦点距離を接眼光学群50の焦点距離より短くするために、焦点板20とペンタプリズム40の間の非球面レンズ(コンデンサーレンズ30)を少なくとも近軸パワーが正のパワーとしている。そして本実施形態の接眼光学系では、焦点板20とペンタプリズム40の間の非球面レンズ(コンデンサーレンズ30)を光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化する非球面形状とすることで、周辺部での収束パワーを緩くする特性としている。これにより、接眼光学群50で発生した正の歪曲収差を、コマ収差を増大させることなく補正することができる。
【0032】
条件式(1)は、コンデンサーレンズ30の非球面形状を規定するものである。接眼光学群50から射出角14°でアイポイントを通過する光線は、一般的な交換可能な撮影レンズと組み合わされる撮影装置(35ミリ判、APS−C判)の接眼光学系において視野中心(射出角0°でアイポイントを通過)に対して、35ミリ判の場合で約2/3、APS−C判の場合で略周辺部(約2/3よりも周辺部)に相当する光線である。そして接眼光学群50で発生する歪曲収差による焦点板の像の歪が目立つ部分である。
【0033】
条件式(1)の説明における「射出角」は、後述する各数値実施例1−3の各諸収差図(
図3、
図5、
図7)中の縦軸「B」に相当する角度である。視野の最も隅(対角線の隅)から目に入射する光線の角度が「(最大)見かけ視界」であり、各数値実施例1−3の各諸収差図(
図3、
図5、
図7)から、
数値実施例1:「B=17.8°」、
数値実施例2:「B=17.9°」、
数値実施例3:「B=16.1°」
が、それぞれの「(最大)見かけ視界」となる。視野中心からの光束は言うまでもなく「B=0.0°」である。「見かけ視界」とは、物体から光学系そして観察者の目に至る光路において、観察者の目に入射する光線(つまり光学系から射出する光線)の、光学系の光軸に対する角度である。
【0034】
また上記「一般的な交換可能な撮影レンズと組み合わされる撮影装置の接眼光学系」とは、例えば、現在普及している撮像素子サイズ(例えば35ミリ判では半量で18mm×12mm、対角=(18
2×12
2)
1/2=21.64)を意味している。各数値実施例1−3の「射出角B」がピント板(サイズは撮像素子と同じ)の対角部(つまり最周辺部)からの光線の角度なので、
数値実施例1:tan14°/tan17.8°=0.78→78%
数値実施例2:tan14°/tan17.9°=0.77→77%
数値実施例3:tan14°/tan16.1°=0.86→86%
から、「射出角14°の光線」は、ピント板中心を「0%」、ピント板の最周辺部(対角21.64mm)を「100%」とした時、概ねピント板の「80%前後」の辺りから目に入る光線のことになる。
【0035】
歪曲収差は、中心に近い部分からの光束では殆ど発生しないので考慮する必要はなく、また周辺部は(隅であるため)比較的重要度が低いので、中間部(例えばピント板の「80%前後」の辺り)から目に入る光線で評価するのが最も適しているという着眼に基づいて、「射出角14°」を使用している。そして「視野中心に対して2/3から略周辺部」はピント板の「80%前後」を意味している。
【0036】
条件式(1)を満足するようにコンデンサーレンズ30の非球面形状を最適設定することで、歪曲収差を良好に補正することができる。
条件式(1)の上限を上回ると、歪曲収差補正が不十分で補正不足となるため観察像の糸巻き型の歪が残存してしまう。
条件式(1)の下限を下回ると、歪曲収差補正が強くなりすぎて過補正となるため観察像がタル型(樽型)に歪んでしまう。
【0037】
ここで、条件式(1)の「tanθn(n=1、2)」の“n”は、接眼光学系の面を特定するための概念で使用しており、“n=1”はコンデンサーレンズ30の入射面(表1、4、7における面番号3の面)に対応し、“n=2”はコンデンサーレンズ30の出射面(表1、4、7における面番号4の面)に対応している。
【0038】
本実施形態の接眼光学系では、焦点板20とペンタプリズム40の間の非球面レンズ(コンデンサーレンズ30)に、撮影レンズ70の射出瞳をアイポイントEPに単独でリレーする程の強い正のパワーを持たせていない。そこで本実施形態の接眼光学系では、焦点板20の入射面に正のパワーのフレネル面(フレネルレンズ部)21を形成し、このフレネル面(フレネルレンズ部)21と非球面レンズ(コンデンサーレンズ30)の合成パワーによって、撮影レンズ70の射出瞳をアイポイントEPにリレーしている。
【0039】
そして本実施形態では、焦点板20のフレネル面(フレネルレンズ部)21の非球面量と、非球面レンズ(コンデンサーレンズ30)の非球面量とを最適にバランスさせることで、歪曲収差を良好に補正しつつ、瞳の収差を小さくして光量ムラを抑制しながら、撮影レンズ70の射出瞳をアイポイントEPにリレーすることに成功している。
【0040】
条件式(2)は、焦点板20のフレネル面(フレネルレンズ部)21と非球面レンズ(コンデンサーレンズ30)の合成系として、瞳の収差を小さく保つためのものである。
条件式(2)の上限を上回っても下限を下回っても、瞳の収差が増大して撮影レンズ70の射出瞳をアイポイントEPにリレーすることができず、観察像の周辺部が暗くなるなど明るさにムラが生じてしまう。
【0041】
ここで、条件式(2)の「tanθn(n=0、1、2)」の“n”は、接眼光学系の面を特定するための概念で使用しており、“n=0”は焦点板20の入射面に形成されたフレネル面(表1、4、7における面番号1の面)に対応し、“n=1”はコンデンサーレンズ30の入射面(表1、4、7における面番号3の面)に対応し、“n=2”はコンデンサーレンズ30の出射面(表1、4、7における面番号4の面)に対応している。
【0042】
条件式(1)及び条件式(2)の「tanθn(n=0、1、2)」は、以下に示す手順で算出される。
視度調整用レンズを視度−1ディオプターに調節した状態における焦点板より眼側の光学系(接眼光学系全系)の合成焦点距離
(接眼光学系の焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離)をfとしたときh1=f・tan(14°)で計算されるh1を用いて
高さ0.99h1非球面サグ量=高さ0.99h1総サグ量−高さ0.99h1近軸球面サグ量
高さ1.01h1非球面サグ量=高さ1.01h1総サグ量−高さ1.01h1近軸球面サグ量
tanθn=(高さ1.01h1非球面サグ量−高さ0.99h1非球面サグ量)/0.02h1、
但し、光学面がフレネル面化されている場合には、仮想的にフレネル面を連続面化した上で各サグ量を算出する。また、回転対称非球面の総サグ量を次式で定義した場合、
総サグ量x=cy2/[1+[1-(1+K)c2y2]1/2]+A4y4+A6y6+A8y8 +A10y10+A12y12・・・
近軸球面サグ量=cy2/[1+[1-c2y2]1/2]
非球面サグ量=総サグ量−近軸球面サグ量、で算出できる。(但し、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、Kは円錐係数、A4、A6、A8、・・・・・は各次数の非球面係数である。)
【0043】
条件式(3)は、非球面コンデンサーレンズ30の周辺部を通過する光線の屈折力を規定するものである。非球面コンデンサーレンズ30は周辺部で正のパワーが弱くなる方向に変化する非球面形状であり、焦点板20のフレネル面21は周辺部のパワー不足を補うべく周辺部で光線の収束作用を強く保たなければならない。このとき、周辺光線の収束作用が大きくなり過ぎるとフレネル面21の周辺部の輪帯傾斜角度が大きくなり過ぎ、加工が困難になるという問題がある。ここで非球面コンデンサーレンズ30の周辺部の屈折力が収束作用から発散作用に変わり、さらに強い発散作用をもつ非球面形状になると、フレネル面21の周辺部はさらに強い収束作用が必要となり、フレネル面21の周辺部の加工が不可能になる。
条件式(3)は、非球面コンデンサーレンズ30の周辺部の屈折力が強い発散作用を持たないための条件を規定している。
条件式(3)の下限を下回ると、非球面コンデンサーレンズ30の周辺部で発散作用が強くなりすぎるため、フレネル面21の周辺部で光線の収束作用が強くなりすぎてフレネル面21の加工性が悪くなってしまう。
【0044】
条件式(3)の「tanφn(n=1、2)」は、以下に示す手順で算出される。
視度調整用レンズを視度−1ディオプターに調節した状態における焦点板より眼側の光学系(接眼光学系全系)の合成焦点距離
(接眼光学系の焦点板を除いたコンデンサーレンズ及び接眼光学群の合成焦点距離)をfとしたときh2=f・tan(16°)で計算されるh2を用いて、
tanφ1:所定の平面による光軸を含む断面内において、コンデンサーレンズ入射面側の光軸からの高さh2における接線の
法線の光軸に対する傾き、
tanφ2:前記断面内において、コンデンサーレンズ出射面側の光軸からの高さh2における接線の
法線の光軸に対する傾き。
【0045】
条件式(4)は、非球面コンデンサーレンズ30のレンズ厚を規定するものである。本実施形態では、歪曲収差を補正する為に条件式(1)に規定する比較的大きな非球面量をコンデンサーレンズ30に持たせている。一方、条件式(3)で規定したようにコンデンサーレンズ30の周辺部で強い発散作用を持たせないようにしている。これらを両立するためには、非球面コンデンサーレンズ30を中心のレンズ厚に比べてレンズの周辺部(コバ部)が薄くなる形状とすることが要求される。そこでレンズの周辺部(コバ部)を確保するために、非球面コンデンサーレンズ30に条件式(4)を満足するような一定の中心厚を持たせている。
条件式(4)の上限を上回ると、非球面コンデンサーレンズ30のレンズ厚が大きくなりすぎて、焦点板20とペンタプリズム40の間隔を大きくしなければならないため、接眼光学群50の焦点距離が長くなり、よって接眼光学系の全系の観察倍率が低下してしまう。
条件式(4)の下限を下回ると、必要なレンズのコバ厚を確保できず非球面コンデンサーレンズ30の加工が困難になってしまう。
【0046】
本実施形態の接眼光学系では、非球面コンデンサーレンズ30によって歪曲収差を小さく保つことができるため、接眼光学群50を簡素な3枚構成とすることができる。条件式(5)及び条件式(6)は、3枚構成の接眼光学群50について規定したものである。
【0047】
上述したように、接眼光学群50は、被写体側から眼側に向かって順に、負の屈折力の第1レンズ51と、正の屈折力の第2レンズ52と、弱い正の屈折力の第3レンズ53とを有している。第1レンズ51を負とすることで、第2レンズ52の正の屈折力を接眼光学群50の屈折力より大としてこれを視度調整時に光軸上を移動させることで、接眼光学群50の全体を移動させるより少ない移動量とすることができる。さらに条件式(5)を満足するように第3レンズ53を設計することで、第2レンズ52の視度調整時の移動量をより少なくできると共に、良好な光学性能を保つことができる。
【0048】
条件式(5)は、第3レンズ53の屈折力を規定するものである。
条件式(5)の上限を上回ると、第3レンズ53が正の屈折力を持つことになり、第2レンズ52の正の屈折力が小さくなる結果、視度調整時の第2レンズ52の移動量が増大してしまう。
条件式(5)の下限を下回ると、第3レンズ53の負の屈折力が大きくなりすぎて、第2レンズ52の正の屈折力が大きくなる結果、視度調整時の収差(特に非点隔差)が−1ディオプターの時以外の視度で大きく変化してしまう。
【0049】
条件式(6)は、第3レンズ53の角倍率相当量を規定したものである。条件式(5)で規定されるように、第3レンズ53は、接眼光学群50の全系の屈折力に対して、弱い正の屈折力を有している(あるいはゼロを挟んだ弱い負の屈折力を有することも可能)。このため、第3レンズ53は、アフォーカル系として機能する性質を強く持つ。なお、条件式(5)の値がゼロのとき、第3レンズ53は完全なアフォーカル系となる。アフォーカル系は入射側の視度を角倍率の2乗だけ変化させて射出すると共に、屈折力がゼロであるため横倍率は視度調整によって変化しない性質がある。この性質を利用して、第2レンズ52による視度変化のみを拡大させることが可能となる。条件式(6)を満足することで、第3レンズLP53のレンズ厚を抑えて光学系全体を小型化するとともに、第2レンズ52(視度調整用レンズ)の少ない移動量で広い視度調整範囲を確保することができる。
条件式(6)の上限を超えて第3レンズ53の角倍率が大きくなると、第3レンズ53のレンズ厚が大きくなり、光学系全体が大型化してしまう。
条件式(6)の下限を超えて第3レンズ53の角倍率が小さくなると、視度調整時の第2レンズ52の移動量が増大してしまう。
【実施例】
【0050】
次に具体的な数値実施例1−3を示す。諸収差図及び表中において、D線、G線、C線はそれぞれの波長に対する収差、Sはサジタル、Mはメリディオナル、ERは瞳径、Bは射出角(゜)、fは全系の焦点距離、Rは曲率半径、Dはレンズ厚またはレンズ間隔、N(d)はd線に対する屈折率、νdはd線に対するアッベ数を示す。長さの単位は[mm]である。焦点距離f及びレンズ間隔Dは、視度が−1ディオプターの時、−3ディオプターの時、+1ディオプターの時の順に示している。
回転対称非球面は次式で定義される。
x=cy2/[1+[1-(1+K)c2y2]1/2]+A4y4+A6y6+A8y8 +A10y10+A12y12・・・
(但し、cは曲率(1/r)、yは光軸からの高さ、Kは円錐係数、A4、A6、A8、・・・・・は各次数の非球面係数、xは総サグ量)
【0051】
[数値実施例1]
図2−
図3と表1−表3は、本発明による接眼光学系の数値実施例1を示している。
図2は視度が−1ディオプターの時のレンズ構成図、
図3はその諸収差図である。表1は面データ、表2は非球面データ、表3は各種データである。
【0052】
本数値実施例1の接眼光学系は、被写体側から眼側に向かって順に、焦点板(ピント板)20と、コンデンサーレンズ(視野レンズ)30と、ペンタプリズム(反射手段、像反転手段)40と、接眼光学群(ルーペ光学系)50と、カバーガラス60とを有している。
【0053】
焦点板20は、撮影レンズ70(
図1)による被写体像が結像してファインダー視野を形成するものである。焦点板20の入射面(被写体側の面)には、正のパワーのフレネル面(フレネルレンズ部)21が形成されている。焦点板20の出射面(眼側の面)には、撮影レンズ70による被写体像が結像する結像面22が拡散面として形成されている。
【0054】
コンデンサーレンズ30は、眼側に凸面を向けた平凸正レンズからなり、その眼側の凸面に非球面が形成されている。コンデンサーレンズ30の眼側の非球面は、巨視的に見て、光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化するような形状を有している。
【0055】
ペンタプリズム40は、撮影レンズ70(
図1)によって焦点板20の結像面22に結像された被写体像を正立像に反転するものである。
【0056】
接眼光学群50は、ペンタプリズム40による正立像を拡大して観察するためのものである。接眼光学群50は、被写体側から眼側に向かって順に、両凹負レンズからなる第1レンズ51と、両凸正レンズからなる第2レンズ52と、被写体側に凸面を向けた正メニスカスレンズからなる第3レンズ53とを有している。第1レンズ51はその被写体側の面に非球面を有しており、第2レンズ52はその眼側の面に非球面を有しており、第3レンズ53はその被写体側の面に非球面を有している。第2レンズ52は、視度調整の際に光軸方向に移動する視度調整用レンズである。
【0057】
カバーガラス60は、接眼光学群50(第3レンズ53)とアイポイント(射出瞳位置)EPの間に配置されており、光学フィルタとしての役割を兼ねている。
【0058】
(表1)
(表2)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
1 -1.0000 1.52700E-06 -4.04300E-09 0.00000
4 0.0000 0.00000 1.20000E-08 0.00000
7 0.0000 -4.17000E-06 9.52000E-09 -2.20000E-11
10 0.0000 1.47000E-06 9.59000E-09 0.00000
11 0.0000 -5.42000E-06 -7.38000E-09 1.00000E-11
(表3)
各種データ
視度 −1ディオプター −3.0ディオプター +1.0ディオプター
f 66.796 69.081 64.6818
D8 3.350 1.470 5.200
D10 2.500 4.380 0.650
【0059】
[数値実施例2]
図4−
図5と表4−表6は、本発明による接眼光学系の数値実施例2を示している。
図4は視度が−1ディオプターの時のレンズ構成図、
図5はその諸収差図である。表4は面データ、表5は非球面データ、表6は各種データである。
【0060】
この数値実施例2のレンズ構成は、以下の点を除き、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
(1)コンデンサーレンズ30が、被写体側に凸面を向けた平凸正レンズからなり、その被写体側の凸面に非球面が形成されている。コンデンサーレンズ30の被写体側の非球面は、巨視的に見て、光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化するような形状を有している。
【0061】
(表4)
(表5)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
1 -1.0000 4.13400E-06 0.00000 0.00000
3 0.0000 -6.55000E-06 0.00000 0.00000
7 0.0000 -4.17000E-06 9.52000E-09 -2.20000E-11
10 0.0000 1.47000E-06 9.59000E-09 0.00000
11 0.0000 -5.42000E-06 -7.38000E-09 1.00000E-11
(表6)
各種データ
視度 −1ディオプター −3.0ディオプター +1.0ディオプター
f 67.4161 69.6820 65.3164
D8 3.350 1.470 5.200
D10 2.500 4.380 0.650
【0062】
[数値実施例3]
図6−
図7と表7−表9は、本発明による接眼光学系の数値実施例3を示している。
図6は視度が−1ディオプターの時のレンズ構成図、
図7はその諸収差図である。表7は面データ、表8は非球面データ、表9は各種データである。
【0063】
この数値実施例3のレンズ構成は、以下の点を除き、数値実施例1のレンズ構成と同様である。
(1)コンデンサーレンズ30が、両凸正レンズからなり、その被写体側の凸面と眼側の凸面の両面に非球面が形成されている。コンデンサーレンズ30の被写体側と眼側の両面の非球面は、巨視的に見て、光軸から離れるに従って正のパワーが弱くなる方向に変化するような形状を有している。
(2)接眼光学群50が、被写体側から眼側に向かって順に、両凹負レンズからなる第1レンズ51と、両凸正レンズからなる第2レンズ52と、第3レンズ53とを有している。第1レンズ51はその被写体側と眼側の両面に非球面を有しており、第2レンズ52はその被写体側の面に非球面を有しており、第3レンズ53はその被写体側の面に非球面を有している。
【0064】
(表7)
(表8)
非球面データ
面番号 K A4 A6 A8
1 -1.0000 4.80000E-06 0.00000 0.00000
3 0.0000 -7.00000E-06 0.00000 0.00000
4 0.0000 0.00000 1.50000E-09 0.00000
7 0.0000 1.38900E-05 -1.65400E-07 4.40000E-11
8 0.0000 0.00000 -1.06500E-07 0.00000
9 0.0000 -4.43500E-05 2.39700E-07 -4.80000E-10
11 0.0000 2.38700E-05 -9.10000E-08 1.00000E-11
(表9)
各種データ
視度 −1ディオプター −3.0ディオプター +1.0ディオプター
f 74.6142 77.5445 71.9358
D8 4.550 2.650 6.420
D10 2.500 4.400 0.730
【0065】
各数値実施例の各条件式に対する値を表10に示す。
(表10)
【0066】
表10から明らかなように、数値実施例1〜数値実施例3は、条件式(1)〜(6)を満足しており、諸収差図から明らかなように諸収差は比較的よく補正され、特に歪曲収差は良好に補正されている。
【0067】
以上の実施形態では、撮影レンズ70が交換可能な場合を例示して説明したが、撮影レンズ70が交換不能な場合にも本発明の接眼光学系を適用することができる。