特許第6642027号(P6642027)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642027
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】生体認証方法および生体認証装置
(51)【国際特許分類】
   G06F 21/32 20130101AFI20200127BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   G06F21/32
   H04M1/00 U
【請求項の数】9
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2016-8477(P2016-8477)
(22)【出願日】2016年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-130011(P2017-130011A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年11月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】318012780
【氏名又は名称】富士通コネクテッドテクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113608
【弁理士】
【氏名又は名称】平川 明
(74)【代理人】
【識別番号】100105407
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100175190
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 裕明
(72)【発明者】
【氏名】山崎 貴史
【審査官】 和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−033480(JP,A)
【文献】 特開2013−174955(JP,A)
【文献】 特表2017−532622(JP,A)
【文献】 特開2003−058269(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/147713(WO,A1)
【文献】 特開2015−153186(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0014484(US,A1)
【文献】 特開2007−086846(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/32
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の装置が、
利用者の第1の生体情報を取得し、
前記第1の装置に接続される第2の装置から前記利用者の第2の生体情報の取得を完了した旨の通知を受信すると、前記第2の装置に前記第2の生体情報の送信を依頼し、
前記第2の装置によって前記第1の生体情報と照合可能な形態で前記利用者から取得される前記第2の生体情報を受信し、
前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを比較する、
生体認証方法。
【請求項2】
前記第1の装置は、前記比較された前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とが所定の条件を満たす場合に、前記利用者を認証する、
請求項1に記載の生体認証方法。
【請求項3】
前記第1の生体情報および前記第2の生体情報は、ピークの間隔を比較可能な波形を含み、
前記第1の装置は、
前記第1の生体情報に含まれる前記ピークの間隔が、所定の許容誤差の範囲で前記第2の生体情報に含まれる前記ピークの間隔と一致する場合に、前記利用者を認証する、
請求項1または2に記載の生体認証方法。
【請求項4】
前記第1の生体情報および前記第2の生体情報は、時刻情報と対応づけられる波形を含み、
前記第1の装置は、
前記第1の生体情報に含まれる前記波形のピークの時刻が、前記第2の生体情報に含まれる前記波形のピークの時刻と所定の許容誤差の範囲で一致する場合に、前記利用者を認証する、請求項1または2に記載の生体認証方法。
【請求項5】
前記第1の生体情報および前記第2の生体情報は音声入力装置により取得される、
請求項1から4のいずれか一項に記載の生体認証方法。
【請求項6】
前記第1の装置は、
取得される前記第1の生体情報として得られる信号振幅が所定の閾値より小さい場合に、前記第1の装置にロックを設定する、
請求項1からのいずれか一項に記載の生体認証方法。
【請求項7】
前記第1の装置は、
前記第1の生体情報と前記第2の生体情報との比較により前記利用者が認証されない場合には、前記利用者に認証情報の入力を促す手段を提示する、
請求項2からのいずれか一項に記載の生体認証方法。
【請求項8】
前記第1の装置は、
前記第2の装置に対して所定の操作があった旨の通知を受信した場合に前記利用者の認証処理を行う、
請求項1からのいずれか一項に記載の生体認証方法。
【請求項9】
生体認証装置であって、
利用者の第1の生体情報を取得するセンサと、
前記生体認証装置に接続される他の装置によって前記第1の生体情報と照合可能な形態で前記利用者から取得される第2の生体情報を受信する受信部と、
前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを比較する認証部と、
を備え
前記生体認証装置は、
前記他の装置から前記第2の生体情報の取得を完了した旨の通知を受信すると、前記他の装置に前記第2の生体情報の送信を依頼する、
生体認証装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体認証方法および生体認証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ウェアラブル端末と呼ばれる、身体に装着して利用することが想定された端末が普及してきている。時計型、メガネ型、首にぶら下げるネックストラップタイプ、体に直接貼り付けるタイプなど様々な形状のウェアラブル端末が開発されている。
【0003】
ウェアラブル端末には、不正操作されることを防止するため、所定の期間、利用者からの操作がない場合には操作を受け付けないロック状態とし、利用者が使用を再開する時に認証をしてロック解除するものがある。認証方式として、例えば、指紋、顔、虹彩、心音等の生体情報による認証方法が知られている。生体情報による利用者認証は、予め登録された生体情報との比較により行われる(例えば、特許文献1および特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−71225号公報
【特許文献2】国際公開第2005/058160号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ウェアラブル端末で検出される生体情報は、ウェアラブル端末を装着する利用者の体調または状態等の影響を受けて変動する場合がある。例えば、生体情報として予め心拍波形をウェアラブル端末に登録した場合、運動直後には心拍数が増加するため、予め登録された心拍波形とは異なる波形が検出されることが考えられる。このように、予め登録された生体情報との比較では、利用者認証が正常になされない場合がある。
【0006】
本発明は、端末装置の利用者の生体認証において、利用者の体調等の変化の影響を抑制する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の態様の一つは、第1の装置が、利用者の第1の生体情報を取得し、第1の装置に接続される第2の装置によって第1の生体情報と照合可能な形態で利用者から取得される第2の生体情報を受信し、第1の生体情報と第2の生体情報とを比較する生体認証方法である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、端末装置の利用者の生体認証において、利用者の体調等の変化の影響を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】スマートフォンからウェアラブル端末のロックを解除する操作の例を示す図である。
図2】ウェアラブル端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】スマートフォンのハードウェア構成の一例を示す図である。
図4A】心拍波形の周期が一致し、利用者が認証される例を示す図である。
図4B】心拍波形の周期が一致せず、利用者が認証されない例を示す図である。
図5A】心拍波形のピークを示す箇所のタイミングが一致し、利用者が認証される例を示す図である。
図5B】心拍波形のピークを示す箇所のタイミングが一致せず、利用者が認証されない例を示す図である。
図6A】ウェアラブル端末装着時に検出される波形を例示する図である。
図6B】ウェアラブル端末非装着時に検出される波形を例示する図である。
図7A】利用者認証処理の動作例を示すシーケンス図である。
図7B】利用者認証処理の動作例を示すシーケンス図である。
図7C】ウェアラブル端末の装着状態確認処理の動作例を示すシーケンス図である。
図8A】ウェアラブル端末における利用者認証処理の例を示すフローチャートである。
図8B】ウェアラブル端末における装着状態確認処理の例を示すフローチャートである。
図9A】スマートフォンにおけるウェアラブル端末の利用者認証に関する処理の例を示すフローチャートである。
図9B】スマートフォンにおけるウェアラブル端末の利用者認証に関する処理の例を示すフローチャートである。
図10】実施形態2におけるウェアラブル端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図11】実施形態2における利用者認証処理の動作例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本発明は実施形態の構成に限定されない。
【0011】
<実施形態1>
実施形態1では、ウェアラブル端末は、自身の端末で検出される利用者の心拍波形を、スマートフォン等の他の装置で検出される利用者の心拍波形と比較することにより、利用者の認証可否を判断する。ウェアラブル端末は、利用者が認証されると、ウェアラブル端末のロックを解除する。
【0012】
なお、ウェアラブル端末での心拍波形の検出には、例えば、心拍センサ等の光学式センサが使用される。また、スマートフォンでの心拍波形の検出には、例えば、タッチパネルが有する静電センサ、カメラに搭載されるイメージセンサ、またはスマートフォンに内蔵される光学式センサが利用される。
【0013】
図1は、スマートフォン2からウェアラブル端末1のロックを解除する操作の例を示す図である。実施形態1において、ウェアラブル端末1は、一例として、腕時計型をしている。利用者は、腕に装着されたウェアラブル端末1のロックを解除するための所定の操作を、スマートフォン2のタッチパネルに対して行う。
【0014】
スマートフォン2は、利用者の心拍波形データを取得し、取得した心拍波形データを、無線通信によりウェアラブル端末1へ送信する。無線通信の手段は、例えば、Bluetooth(BT)(登録商標)、WiFi、Near Field Communication(NFC)である。ウェアラブル端末1及びスマートフォン2は、共に無線通信を行う無線端末の一例である。
【0015】
ウェアラブル端末1は、自身の端末において心拍波形データを取得し、取得した心拍波形データをスマートフォン2から受信した心拍波形データと比較する。心拍波形は、心臓
の動きに応じて、同様の波形を周期的に繰り返す。
【0016】
ウェアラブル端末1の心拍波形とスマートフォン2の心拍波形とで、特徴的な部分の周期またはタイミングが一致していれば、ウェアラブル端末1は、利用者を認証しロックを解除する。特徴的な部分は、例えば、心拍波形の1周期において最も高い値を示す部分(以下、ピークとも呼ばれる)である。
【0017】
ウェアラブル端末1は、利用者の認証によりロックが解除されると、スマートフォン2との無線通信を停止する。一方で、ウェアラブル端末1は、利用者から取り外されたか否かを確認するため、自身の端末における心拍波形データの取得を継続する。心拍波形データの取得は、所定の間隔で断続的に繰り返されてもよい。ウェアラブル端末1は、心拍波形を検出した場合には、ロック解除状態のままとする。また、ウェアラブル端末1は、利用者がウェアラブル端末1を取り外し、心拍波形が検出されなくなると、ロックを設定する。
【0018】
<ハードウェア構成>
図2は、ウェアラブル端末1のハードウェア構成の一例を示す図である。ウェアラブル端末1は、Application Large−Scale Integration(LSI)10a、Random Access Memory(RAM)12a、補助記憶装置13a、ネットワークIntegrated Circuit(IC) 14a、アンテナ15a、心拍センサ16を備える。また、これらはバスにより互いに接続される。
【0019】
Application LSI 10aは、特定用途向けの集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)で、ウェアラブル端末1の各種機能を実行するために設計される回路である。Application LSI 10aは、Central Processing Unit(CPU)11aを含む。
【0020】
CPU 11aは、補助記憶装置13aに保持されたオペレーティングシステム(Operating System、OS)やロック解除アプリケーション等のコンピュータプログラムをRAM 12aにロードして実行する。CPU 11aは、コンピュータプログラムにより、ウェアラブル端末1のロック解除およびロック設定、心拍波形データの比較による認証処理等を実行する。ただし、コンピュータプログラムによる処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。CPU 11aは、例えば、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサであるDigital Signal Processor(DSP)であってもよい。CPU 11aは、「認証部」の一例である。
【0021】
RAM 12aは、CPU 11aに、補助記憶装置13aに格納されているコンピュータプログラムをロードするための記憶領域、及びコンピュータプログラムを実行するための作業領域を提供する。また、RAM 12aは、データを保持するためのバッファとして用いられる。RAM 12aは、例えば、Static RAM(SRAM)、Dynamic RAM(DRAM)等の半導体メモリである。
【0022】
補助記憶装置13aは、様々なコンピュータプログラムや、各コンピュータプログラムの実行に際してCPU 11aが使用するデータを格納する。補助記憶装置13aは、例えば、Erasable Programmable Read Only Memory(EPROM)、フラッシュメモリ、Solid State Drive(SSD)またはハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、HDD)等の不揮発性のメモリである。補助記憶装置13aは、OS、ロック解除アプリケーション等の様々
なアプリケーションプログラムを保持する。
【0023】
ネットワークIC 14aは、ネットワークとの情報の入出力を行う集積回路のモジュールである。ネットワークIC 14aは、アンテナ15aを通じて無線のネットワークと接続する。ネットワークIC 14aは、例えば、無線Local Area Network(LAN)モジュールまたはBTモジュールである。ネットワークIC 14aで受信されたデータ等は、CPU 11aに出力される。ネットワークIC 14aおよびアンテナ15aは、「受信部」の一例である。
【0024】
心拍センサ16は、例えば、血流の動きの変化を赤外線センサで計測して心拍を測定する光学式センサである。また、心拍センサ16は、トレーニングウェア等に備えられ、胸に当てて心拍を直接計測する心電式のセンサであってもよい。心拍センサ16は、「センサ」の一例である。
【0025】
例えば、ウェアラブル端末1では、CPU 11aが、補助記憶装置13aに保持されるロック解除アプリケーションをRAM 12aにロードして実行する。なお、ウェアラブル端末1のハードウェア構成は一例であり、上記に限られず、実施の形態に応じて適宜構成要素の省略や置換、追加が可能である。
【0026】
図3は、スマートフォン2のハードウェア構成の一例を示す図である。スマートフォン2は、Application LSI 10b、RAM 12b、補助記憶装置13b、ネットワークIC 14b、アンテナ15b、タッチパネル17、ディスプレイ18、カメラ19、オーディオIC 20b、マイク21bを備える。また、これらはバスにより互いに接続される。
【0027】
Application LSI 10bは、特定用途向けの集積回路(ASIC)で、スマートフォン2の各種機能を実行するために設計される回路である。Application LSI 10bは、CPU 11bを含む。
【0028】
CPU 11bは、補助記憶装置13bに保持されたOSや様々なコンピュータプログラムをRAM 12aにロードして実行する。CPU 11bは、コンピュータプログラムにより、ウェアラブル端末1に対するロック解除アプリケーションの起動要求、ウェアラブル端末1への心拍波形データ送信等、様々な処理を実行する。ただし、コンピュータプログラムによる処理の一部がハードウェア回路により実行されてもよい。CPU 11bは、例えば、デジタル信号処理に特化したマイクロプロセッサであるDSPであってもよい。
【0029】
RAM 12bは、CPU 11bに、補助記憶装置13bに格納されているコンピュータプログラムをロードするための記憶領域、及びコンピュータプログラムを実行するための作業領域を提供する。また、RAM 12bは、データを保持するためのバッファとして用いられる。RAM 12bは、例えば、SRAM、DRAM等の半導体メモリである。
【0030】
補助記憶装置13bは、様々なコンピュータプログラムや、各コンピュータプログラムの実行に際してCPU 11bが使用するデータを格納する。補助記憶装置13bは、例えば、EPROM、フラッシュメモリ、SSDまたはハードディスクドライブ等の不揮発性のメモリである。補助記憶装置13bは、OSその他の様々なアプリケーションプログラムを保持する。
【0031】
ネットワークIC 14bは、ネットワークとの情報の入出力を行う集積回路のモジュ
ールである。ネットワークIC 14bは、アンテナ15bを通じて無線のネットワークと接続する。ネットワークIC 14bは、例えば、無線LANモジュールまたはBTモジュールである。ネットワークIC 14bで受信されたデータ等は、CPU 11bに出力される。
【0032】
タッチパネル17は、位置入力装置の1つであって、ディスプレイ18の表面に配置される。タッチパネル17により、ディスプレイ18の画面に対応する指のタッチ位置の座標が入力される。タッチパネル17は、静電センサ171を備える。
【0033】
静電センサ171が検出する静電容量は、脈拍に連動する指の微少な動きまたは血流の変化に応じて変動する。したがって、利用者が所定の期間タッチパネル17に触れた場合、静電センサ171は、静電容量の値を時系列で計測し、計測結果の波形を信号処理することで、心拍波形を検出することができる。
【0034】
ディスプレイ18は、例えば、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display、LCD)である。ディスプレイ18は、CPU 11bから入力される信号に従って、画面データを表示する。
【0035】
カメラ19は、光センサ191を備える撮像装置の1つである。光センサ191は、例えば、Complementary Metal Oxide Semiconductor(CMOS)、またはCharge Coupled Device(CCD)のイメージセンサである。カメラ19のレンズに所定の期間触れることにより、光センサ191は、心臓の鼓動による血流の速度や血液の量に応じて変化する光の吸収量を計測して心拍を測定する。
【0036】
オーディオIC 20bは、音声入力装置としてのマイク21bに接続される。オーディオIC 20bは、マイク21bから入力された音声等の信号を電気信号に変換してCPU 11bに出力するための回路である。マイク21bは、「音声入力装置」の一例である。
【0037】
なお、スマートフォン2のハードウェア構成は一例であり、上記に限られず、実施の形態に応じて適宜構成要素の省略や置換、追加が可能である。また、スマートフォン2は、タッチパネル17、カメラ19、マイク21b等のような、生体情報を取得するための構成(機器、デバイス、センサなど)を予め備えている。このため、所望の生体情報を取得するためのデバイスを新たに搭載しなくてもよい。
【0038】
ウェアラブル端末1は、「第1の装置」または「生体認証装置」の一例である。スマートフォン2は、「第2の装置」の一例である。第1の装置は、第1の装置で取得される心拍波形データを、第2の装置で取得される心拍波形データと比較することにより、第1の装置の利用者を認証する。
【0039】
なお、第1の装置および第2の装置は、上記以外の装置であってもよい。例えば、第1の装置がスマートフォン2で、第2の装置がウェアラブル端末1であってもよい。この場合、スマートフォン2は、スマートフォン2で取得される心拍波形データを、ウェアラブル端末1で取得される心拍波形データと比較することにより、スマートフォン2の利用者を認証する。
【0040】
<心拍波形データによる認証方法>
心拍波形データによる認証処理において、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2で計測した心拍波形のデータを受信し、ウェアラブル端末1で計測した心拍波形のデータと
比較する。
【0041】
ウェアラブル端末1は、比較する2つの心拍波形のデータが所定の許容値の範囲で一致すれば、ウェアラブル端末1の利用者が、スマートフォン2の利用者と同一であると認証する。ウェアラブル端末1は、比較する2つの心拍波形のデータが一致しなければ、ウェアラブル端末1の利用者の認証に失敗したと判断する。
【0042】
心拍波形のデータが一致するか否かは、例えば、以下の2つの方法により判断することができる。1つ目の方法は、心拍波形の周期、即ち心拍波形のピークの間隔が一致するか否かにより判断する方法である。2つ目の方法は、心拍波形のピーク時のタイミングが一致するか否かにより判断する方法である。
【0043】
図4Aおよび図4Bは1つ目の方法の説明図である。図4Aは、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2における心拍波形の周期が一致し、利用者が認証される例を示す。図4Bは、心拍波形の周期が一致せず、利用者が認証されない例を示す。
【0044】
図4Aおよび図4Bの上段には、ウェアラブル端末1で検出される心拍波形のグラフが示される。下段には、スマートフォン2で検出される心拍波形のグラフが示される。各グラフの横軸は時間を示し、縦軸は電位を示す。
【0045】
心拍波形は、心臓の動きに応じて、3回の上昇および下降を示す波形を1周期として繰り返す波形である。心臓の収縮によるピーク時の上昇および下降を1回目とすると、次に生じる2回目の上昇および下降の振幅は、ピーク時の3分の1程度となる。2回目の上昇および下降の後、心拍波形は、所定の期間ほぼ一定の値を示す。ほぼ一定の値を示した後に生じる3回目の上昇および下降の振幅は、2回目の上昇および下降の振幅よりもさらに小さくなる。3回目の上昇および下降の後、心拍波形はピーク状態となり、次の周期が始まる。
【0046】
図4Aのウェアラブル端末1のグラフにおいて、ピークの間隔、すなわち周期を測定するための閾値(以下、周期測定用閾値とも呼ばれる)を超えた時点から、次に電位が周期測定用閾値を超えるまでの時間は520msである。同様に、スマートフォン2のグラフにおいても、電位が周期測定用閾値を超えた時点から、次の電位が周期測定用閾値を超えるまでの時間は520msである。ウェアラブル端末1およびスマートフォン2の周期が一致するため、ウェアラブル端末1で検出される心拍波形は、スマートフォン2で検出される心拍波形と同じ利用者の心拍波形であると判断される。したがって、当該利用者は認証される。
【0047】
なお、図4Aの例では、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2の周期は、1msオーダーの許容値の範囲で判定される。この許容値は、例えば、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2の心拍の計測精度で決定されてもよいし、典型的な脈拍の周期(例えば、1秒)の0.1%、1%等が許容値として設定されてもよい。0.1%、1%等の許容値は、「所定の許容誤差」の一例である。
【0048】
一方、図4Bのウェアラブル端末1のグラフにおいて、ピーク時の電位が周期測定用閾値を超えた時点から、次に電位が周期測定用閾値を超えるまでの時間は510msである。また、スマートフォン2のグラフにおいて、電位が周期測定用閾値を超えた時点から、次に電位が周期測定用閾値を超えるまでの時間は535msである。ウェアラブル端末1およびスマートフォン2の周期が一致しないため、ウェアラブル端末1で検出される心拍波形は、スマートフォン2で検出される心拍波形と同じ利用者の心拍波形ではないと判断される。したがって、当該利用者は認証されない。
【0049】
図5Aおよび図5Bは、2つ目の方法の説明図である。図5Aは、心拍波形のピークを示す箇所のタイミングが一致し、利用者が認証される例を示す。図5Bは、心拍波形のピークを示す箇所のタイミングが一致せず、利用者が認証されない例を示す。
【0050】
図5Aおよび図5Bの上段には、ウェアラブル端末1での心拍波形が示される。下段には、スマートフォン2での心拍波形のグラフが示される。各グラフの横軸は時間を示し、縦軸は電位を示す。
【0051】
2つ目の方法では、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2において心拍波形のデータが取得される際、時刻情報も取得される。ウェアラブル端末1およびスマートフォン2の各グラフにおいて、ピーク時の時刻が示される。
【0052】
図5Aのウェアラブル端末1のグラフにおけるピーク時の時刻と、スマートフォン2のグラフにおけるピーク時の時刻とが比較される。ウェアラブル端末1およびスマートフォン2の最初のピークの時刻は、いずれも12分10秒0.00ミリ秒(時間は省略され、以下、12:10:00.00のように表記される)で一致する。その後の3回のピーク時の時刻も一致しており、ウェアラブル端末1で検出される心拍波形は、スマートフォン2で検出される心拍波形と同じ利用者の心拍波形であると判断される。したがって、当該利用者は認証される。
【0053】
なお、図5Aの例では、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2のピークの時刻は、1ミリ秒オーダーの許容値の範囲で判定される。この許容値は、例えば、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2の心拍の計測精度で決定されてもよいし、典型的なピークの間隔(例えば、1秒)の0.1%、1%等が許容値として設定されてもよい。また、ウェアラブル端末1は、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2のピークの時刻の差分を収集し、収集した差分の値に基づいて許容値を設定してもよい。設定される許容値は、「所定の許容誤差」の一例である。
【0054】
また、図5Bのウェアラブル端末1のグラフにおけるピーク時の時刻と、スマートフォン2のグラフにおけるピーク時の時刻とが比較される。ウェアラブル端末1での最初のピーク時の時刻は12:09:09.80であり、スマートフォン2での最初のピーク時の時刻は12:10:00.00であり、タイミングは一致しない。ウェアラブル端末1において、その後の3回のピーク時の時刻は、12:10:05.20、12:10:10.40、12:10:15.60である。スマートフォン2において、その後の3回のピーク時の時刻は、12:10:04.80、12:10:10.15、12:10:15.90である。したがって、ウェアラブル端末1とスマートフォン2とのピーク時の時刻は一致しない。このため、ウェアラブル端末1で検出される心拍波形は、スマートフォン2で検出される心拍波形と同じ利用者の心拍波形ではないと判断される。したがって、当該利用者は認証されない。
【0055】
<ウェアラブル端末の装着状態の判断>
ウェアラブル端末1において、利用者が認証されると、ウェアラブル端末1のロックが解除される。利用者が装着している間、ウェアラブル端末1のロック解除状態は継続する。また、利用者が取り外すと、ウェアラブル端末1は、ロック設定される。ウェアラブル端末1が装着されているか否かの装着状態は、ウェアラブル端末1で検出される心拍波形に基づいて判断される。
【0056】
図6Aおよび図6Bは、ウェアラブル端末1の装着状態を判断する方法を説明する図である。装着状態であるか否かは、ウェアラブル端末1で検出される心拍波形の電位の振幅
が、所定の閾値(以下、装着判断閾値とも呼ばれる)を超えるか否かにより判断される。装着判断閾値は、例えば、1周期内でピーク時の次に高い値を示す際の電位から、ピーク時の電位までの範囲内の値を設定することができる。図6Aは、ウェアラブル端末装着時に検出される波形を例示する図である。図6Bは、ウェアラブル端末非装着時に検出される波形を例示する図である。
【0057】
図6Aは、装着時のウェアラブル端末1で検出される波形のグラフを示す。グラフの横軸は時間を示し、縦軸は電位を示す。ピーク時の電位の振幅は装着判断閾値を超える。したがって、ウェアラブル端末1は、装着状態であると判断される。
【0058】
一方、図6Bは、非装着時のウェアラブル端末1で検出される波形のグラフを示す。グラフの横軸は時間を示し、縦軸は電位を示す。図6Bに示される波形は、装着判断閾値より小さい振幅で、わずかな上昇および下降を繰り返す。検出される波形の振幅が装着判断閾値を超えないため、ウェアラブル端末1は、非装着状態であると判断される。
【0059】
図6Aおよび図6Bの例では、ウェアラブル端末1は、検出される波形の振幅が、装着判断閾値を超える場合があるか否かにより装着状態か否かを判断するが、電位の値が予め定められた値の範囲を逸脱する場合があるか否かにより判断してもよい。このとき、ウェアラブル端末1は、予め定められた値の範囲を逸脱する電位が検出されれば装着状態と判断することができる。また、ウェアラブル端末1は、予め定められた値の範囲を逸脱する電位が検出されなければ非装着状態と判断することができる。
【0060】
<動作例>
図7A図7Bおよび図7Cは、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2における利用者認証に関する処理の動作例を示す。図7Aから図7Cに示される処理は、例えば、利用者がウェアラブル端末1を使用する際に開始される。
【0061】
図7Aは、利用者認証処理の動作例を示すシーケンス図である。S1では、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2は、スタンバイ状態かつロック状態である。スタンバイ状態は、ウェアラブル端末1の動作中の状態がRAM 12aに保存され、電源が入ったまま動作が停止する状態である。スタンバイ状態では、起動中と比較して消費電力が抑制される。
【0062】
S2では、利用者は、ウェアラブル端末1を装着する。利用者は、まず、ウェアラブル端末1のスタンバイ状態を解除する。S3では、利用者は、ウェアラブル端末1のスタンバイ解除キーを押下する。ウェアラブル端末1におけるスタンバイ状態の解除は、特定のスタンバイ解除キーの押下に限られない。ウェアラブル端末1のタッチパネル等に触れる操作により、ウェアラブル端末1のスタンバイ状態が解除されてもよい。
【0063】
S4では、ウェアラブル端末1は、スタンバイ解除キーの押下を検出する。なお、スタンバイ解除キーの押下以外の方法でスタンバイ状態の解除がされる場合、ウェアラブル端末1は、スタンバイ状態を解除するための利用者の操作を検出すればよい。スタンバイ状態を解除するための利用者の操作の検出結果に従い、S5では、ウェアラブル端末1は、スタンバイ状態を解除する。
【0064】
次に、利用者は、スマートフォン2のスタンバイ状態を解除する。S6では、利用者は、スマートフォン2のスタンバイ解除キーを押下する。スマートフォン2におけるスタンバイ状態の解除は、特定のスタンバイ解除キーの押下に限られない。スマートフォン2が備える操作ボタン(図示せず)の押下、またはタッチパネル17への接触等によって例示される利用者の操作により、スマートフォン2のスタンバイ状態が解除されてもよい。
【0065】
S7では、スマートフォン2は、スタンバイ解除キーの押下を検出する。なお、スタンバイ解除キーの押下以外の方法でスタンバイ状態の解除がされる場合、スマートフォン2は、スタンバイ状態を解除するための利用者の操作を検出すればよい。スタンバイ状態を解除するための利用者の操作の検出結果に従い、S8では、スマートフォン2は、スタンバイ状態を解除する。
【0066】
S9では、利用者は、スマートフォン2に対し、ロック解除アプリケーション(以下、ロック解除アプリとも呼ばれる)の起動操作をする。ロック解除アプリは、スマートフォン2およびウェアラブル端末1で実行される複数のモジュールを含む。ロック解除アプリは、スマートフォン2において、例えば、利用者からロック解除のための操作を受け付ける。また、ロック解除アプリは、ウェアラブル端末1において、例えば、取得した生体情報に基づく認証結果に応じて、ウェアラブル端末1のロックを設定したり解除したりする。S10では、スマートフォン2は、ロック解除アプリを起動する。
【0067】
ウェアラブル端末1およびスマートフォン2は、S11からS16までの処理によって、相互のBT通信を確立する。S10におけるスマートフォン2のロック解除アプリの起動により、S11では、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2は、BT通信確立処理を開始する。
【0068】
S12では、スマートフォン2は、BTの待ち受け状態を開始する。S13では、ウェアラブル端末1は、BTのペアリング済の機器の検出を開始する。ペアリングは、ワイヤレス接続する機器同士が1対1で接続されるように、予め相互に登録する処理である。
【0069】
ウェアラブル端末1およびスマートフォン2は、例えば、登録されたペアリング済の機器の情報を、それぞれ補助記憶装置13aおよび補助記憶装置13bに保持してもよい。ウェアラブル端末1は、無線通信範囲内にスマートフォン2を検出すると、ウェアラブル端末1のデバイスIDをスマートフォン2に送信する。
【0070】
S14では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1から受信したデバイスIDに基づいて、ウェアラブル端末1がBTのペアリング済であるか否かを判定する。スマートフォン2は、ウェアラブル端末1がBTのペアリング済であると判定すると、ウェアラブル端末1に対し、スマートフォン2のデバイスIDを送信する。
【0071】
S15では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2から受信したデバイスIDに基づいて、ウェアラブル端末1がBTのペアリング済であるか否かを判定する。ウェアラブル端末1は、スマートフォン2がBTのペアリング済であると判定すると、スマートフォン2とのBT通信を確立する。S16において、BT通信確立処理が完了する。
【0072】
図7Bは、図7Aに示される処理に続く利用者認証処理の動作例を示すシーケンス図である。S20において、ウェアラブル端末1の利用者認証処理が開始される。S21では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1に対し、ロック解除アプリの起動要求を送信する。
【0073】
S22では、ウェアラブル端末1は、ロック解除アプリを起動する。S23では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2に対し、ロック解除アプリの起動完了通知を送信する。
【0074】
S24では、スマートフォン2は、ロック解除アプリの利用者認証画面を表示する。S25では、利用者は、利用者認証画面の指示に従い、心拍認証操作を開始する。心拍認証
操作は、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2に、利用者の心拍波形を検出させるための操作である。利用者は、例えば、スマートフォン2のタッチパネル17またはカメラ19のレンズに触れることで、スマートフォン2に心拍波形を検出させることができる。なお、ウェアラブル端末1は、装着状態では、利用者の操作がない場合でも、心拍センサ16から心拍波形を検出することができる。
【0075】
S26では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1に対し、心拍波形データの取得開始通知を送信する。S27では、ウェアラブル端末1およびスマートフォン2は、心拍波形データを取得する。
【0076】
S28では、スマートフォン2は、所定期間、心拍波形データを取得すると、ウェアラブル端末1に対し、データ取得完了通知を送信する。所定期間は、例えば、心拍波形データが少なくとも1以上の周期を含む期間であればよい。
【0077】
S29では、ウェアラブル端末1は、データ取得完了通知を受信すると、スマートフォン2に対し、心拍波形データの送信要求を送信する。S30では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1に対し、取得した心拍波形データを送信する。
【0078】
S31では、ウェアラブル端末1は、自身の端末で取得した心拍波形データを、スマートフォン2から受信した心拍波形データと比較し、利用者の認証可否を判断する。S32では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2に対し、認証可否の判断結果を送信する。S31において、利用者が認証されなかった場合、S25からS31までの処理が繰り返される(S33)。
【0079】
自身の端末(ウェアラブル端末1)で取得した心拍波形データは、「第1の生体情報」の一例である。スマートフォン2から受信した心拍波形データは、「第2の生体情報」の一例である。第1の生体情報および第2の生体情報は、心拍波形データに限られない。第1の装置で取得される第1の生体情報が、第2の装置で取得される第2の生体情報と照合可能な形態であり、利用者の特定が可能な生体情報であればよい。
【0080】
S34では、スマートフォン2は、ロック解除アプリの利用者認証画面に利用者認証が完了した旨を表示する。S35では、ウェアラブル端末1は、ウェアラブル端末1のロックを解除する。S35の処理は、S31において利用者が認証された後に実施されればよく、S34、S36、S37の処理との先後は問わない。
【0081】
S36では、利用者は、心拍認証操作を終了する。心拍認証操作は、S27においてウェアラブル端末1およびスマートフォン2が心拍波形データの取得を完了するまで継続すればよく、S36の処理は、S28からS35までの処理との先後は問わない。
【0082】
S37では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1との無線通信を終了し、BT機能をオフにする。S38では、スマートフォン2は、ロック解除アプリを終了する。ロック解除アプリの終了により、S39において、ウェアラブル端末1の利用者認証処理は完了する。
【0083】
図7Cは、図7Bに示される処理に続く、ウェアラブル端末1の装着状態確認処理の動作例を示すシーケンス図である。S40では、スマートフォン2は、スタンバイ状態へ移行する。スタンバイ状態へ移行後、スマートフォン2の消費電力は抑制される。
【0084】
S41において、ウェアラブル端末1の装着状態確認処理が開始される。S42では、ウェアラブル端末1は、利用者の心拍波形データを取得する。S43では、ウェアラブル
端末1は、取得した心拍波形データが所定の閾値の範囲内であるか否かにより、心拍波形が検出されたか否かを判断する。ウェアラブル端末1は、取得した心拍波形データが所定の閾値の範囲内である場合には、心拍波形が検出されなかったと判断する。一方、ウェアラブル端末1は、取得した心拍波形データが所定の閾値の範囲内でない場合には、心拍波形が検出されたと判断する。ウェアラブル端末1は、心拍波形が検出された場合には、装着状態であると判断し、所定期間ごとに、S42およびS43の処理を繰り返す。
【0085】
S44では、利用者は、ウェアラブル端末1を取り外す。ウェアラブル端末1は、非装着状態となる。S45では、ウェアラブル端末1は、利用者の心拍波形データを取得する。S46では、ウェアラブル端末1は非装着状態であるため、心拍波形は検出されない。
【0086】
S47では、ウェアラブル端末1は、非装着状態であると判断し、ウェアラブル端末1のロックを設定する。S48において、ウェアラブル端末1の装着状態確認処理は終了する。S49では、ウェアラブル端末1は、スタンバイ状態へ移行する。図7Aから図7Cに示される処理が終了する。
【0087】
<処理の流れ>
図8Aおよび図8Bは、ウェアラブル端末1における利用者認証に関する処理の例を示すフローチャートである。図9Aおよび図9Bは、スマートフォン2におけるウェアラブル端末1の利用者認証に関する処理の例を示すフローチャートである。
【0088】
図8Aは、ウェアラブル端末1における利用者認証処理の例を示すフローチャートである。ウェアラブル端末1における利用者認証処理は、例えば、利用者がウェアラブル端末1を装着することにより開始される。なお、図8Aの処理では、タイマーによるタイムアウト処理は、省略されているが、OP10、OP18、OP20等では、それぞれ適切にタイマーが設定され、タイムアウト処理が実行される。
【0089】
OP10では、ウェアラブル端末1は、利用者により、スタンバイ状態を解除するためにキーが押下されたか否かを判定する。キーが押下された場合には(OP10:Yes)、処理がOP11に進む。キーが押下されてない場合には(OP10:No)、再度、OP10の処理が実行される。スタンバイ状態を解除するための操作は、キーの押下に限られず、ウェアラブル端末1が備える他の入力手段による操作であってもよい。例えば、タッチパネルを備えるウェアラブル端末1では、タッチパネルに触れることで、スタンバイ状態が解除されてもよい。OP11では、ウェアラブル端末1は、スタンバイ状態を解除する。
【0090】
OP12では、ウェアラブル端末1は、ペアリング済みの機器の情報を補助記憶装置13aから読み出す。OP13では、ウェアラブル端末1は、BTのペアリング済の機器の検出を開始する。ウェアラブル端末1は、検出されたスマートフォン2に対し、ウェアラブル端末1のデバイスIDを送信する。
【0091】
OP14では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2からBT通信の認証許可の通知があったか否かを判定する。スマートフォン2からBT通信の認証許可の通知があった場合には(OP14:Yes)、処理がOP15に進む。スマートフォン2からBT通信の認証許可の通知がない場合には(OP14:No)、タイマーにより待ち時間を計測し、所定の期間が経過しても、スマートフォン2からBT通信の認証許可の通知がない場合には、処理がOP27に進む。
【0092】
OP15では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2からロック解除アプリ起動要求があったか否かを判定する。スマートフォン2からロック解除アプリ起動要求があった
場合には(OP15:Yes)、処理がOP16に進む。スマートフォン2からロック解除アプリ起動要求がない場合には(OP15:No)、タイマーにより待ち時間を計測し、所定の期間が経過しても、スマートフォン2からロック解除アプリ起動要求がない場合には、処理がOP27に進む。OP15の処理は、「前記第2の装置に対して所定の操作があった旨の通知を受信した場合に前記利用者の認証処理を行う」処理の一例である。
【0093】
OP16では、ウェアラブル端末1は、ロック解除アプリを起動する。OP17では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2に対し、ロック解除アプリの起動完了通知を送信する。
【0094】
OP18では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2から心拍波形データ取得開始通知があったか否かを判定する。スマートフォン2から心拍波形データ取得開始通知があった場合には(OP18:Yes)、処理がOP19に進む。スマートフォン2から心拍波形データ取得開始通知がない場合には(OP18:No)、再度、OP18の処理が実行される。OP19では、ウェアラブル端末1は、自身の端末で心拍波形データを取得する。取得したデータは、RAM 12aに保存される。OP19の処理は、「利用者の第1の生体情報を取得」する処理の一例である。
【0095】
OP20では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2から心拍波形データ取得完了通知があったか否かを判定する。スマートフォン2から心拍波形データ取得完了通知があった場合には(OP20:Yes)、処理がOP21に進む。スマートフォン2から心拍波形データ取得完了通知がない場合には(OP20:No)、再度、OP20の処理が実行される。OP20の処理は、「前記第2の装置から前記第2の生体情報の取得を完了した旨の通知を受信する」処理の一例である。
【0096】
OP21では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2に対し心拍波形データの送信要求を送信する。OP21の処理は「前記第2の装置に前記第2の生体情報の送信を依頼する」処理の一例である。
【0097】
OP22では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2から心拍波形データを受信する。受信した心拍波形データは、RAM 12aに保存される。OP22の処理は、「前記第1の生体情報と照合可能な形態で前記利用者から取得される第2の生体情報を受信」する処理の一例である。
【0098】
OP23では、ウェアラブル端末1は、自身の端末での取得したデータとスマートフォ2から受信した心拍波形データとを比較し、利用者の認証可否を判断する。OP24では、ウェアラブル端末1は、心拍波形データの比較により、利用者が認証されるか否かを判定する。利用者が認証される場合には(OP24:Yes)、処理がOP25に進む。利用者が認証されない場合には(OP24:No)、処理がOP27に進む。OP23およびOP24の処理は、「前記第1の生体情報と前記第2の生体情報とを比較する」処理の一例である。
【0099】
なお、利用者が認証されない場合、ウェアラブル端末1は、OP18からOP24までの心拍波形データを比較する処理を所定期間、または所定回数繰り返してもよい。心拍波形データを比較する処理を繰り返しても利用者が認証されない場合に、処理がOP27に進む。
【0100】
OP25では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2に対し、利用者が認証された旨の認証結果を送信する。OP26では、ウェアラブル端末1は、ロックを解除する。処理は、図8BのOP40に続く。
【0101】
OP27では、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2に対し、タッチパネル操作による認証画面を起動するように要求する。例えば、スマートフォン2は、タッチパネル操作による認証画面で、利用者からのパスワード入力を受け付ける。ウェアラブル端末1は、スマートフォン2における認証結果を取得する。ただし、ウェアラブル端末1は、タッチパネル等を備え、タッチパネル操作による認証画面を起動し、利用者からのパスワード入力を受け付けてもよい。このように、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2における心拍波形データとの比較によって利用者が認証されなかった場合、自身の端末またはスマートフォン2において、パスワード入力等の既存の方法により、利用者認証をしてもよい。OP27の処理は、「前記第1の生体情報と前記第2の生体情報との比較により前記利用者が認証されない場合には、前記利用者に認証情報の入力を促す手段を提示する」処理の一例である。
【0102】
OP28では、ウェアラブル端末1は、利用者のパスワード入力等により、利用者が認証されるか否かを判定する。利用者が認証される場合には(OP28:Yes)、処理がOP26に進む。利用者が認証されない場合には(OP28:No)、処理が図8BのOP43に続く。
【0103】
図8Bは、ウェアラブル端末1における装着状態確認処理の例を示すフローチャートである。図8Bに示される処理は、図8AのOP26に続く処理である。OP40では、ウェアラブル端末1は、所定期間、自身の端末で心拍波形データを取得する。所定期間は、例えば、心拍波形データが少なくとも1以上の周期を含む期間であればよい。
【0104】
OP41では、ウェアラブル端末1は、取得した心拍波形データのうち、電位が装着判断閾値以上となる心拍波形が検出されたか否かを判定する。装着判断閾値は、例えば、1周期内でピーク時の次に高い値を示すときの電位からピーク時の電位までの範囲内の値を設定することができる。電位が装着判断閾値以上となる心拍波形が検出された場合には(OP41:Yes)、処理がOP40に戻る。電位が装着判断閾値以上となる心拍波形が検出されなかった場合には(OP41:No)、処理がOP42に進む。
【0105】
OP42では、ウェアラブル端末1は、ウェアラブル端末1のロックを設定する。OP41およびOP42の処理は、「取得される前記第1の生体情報として得られる信号振幅が所定の閾値より小さい場合に、前記第1の装置にロックを設定する」処理の一例である。OP43では、ウェアラブル端末1は、スタンバイモードへ移行する。ウェアラブル端末1における利用者認証に関する処理が終了する。
【0106】
図9Aは、スマートフォン2におけるウェアラブル端末1の利用者認証に関する処理の例を示すフローチャートである。スマートフォン2におけるウェアラブル端末1の利用者認証に関する処理は、例えば、利用者がウェアラブル端末1を装着することにより開始される。なお、図9Aおよび図9Bの処理では、タイマーによるタイムアウト処理は、省略されているが、図9AのOP50、OP52、OP58、OP60、OP64、図9BのOP70等では、それぞれ適切にタイマーが設定され、タイムアウト処理が実行される。
【0107】
OP50では、スマートフォン2は、利用者により、スタンバイ状態を解除するためにキーが押下されたか否かを判定する。キーが押下された場合には(OP50:Yes)、処理がOP51に進む。キーが押下されてない場合には(OP50:No)、再度、OP50の処理が実行される。スタンバイ状態を解除するための操作は、キーの押下に限られず、タッチパネル等に触れる操作であってもよい。OP51では、スマートフォン2は、スタンバイ状態を解除する。
【0108】
OP52では、スマートフォン2は、利用者によりロック解除アプリの起動操作がされたか否かを判定する。利用者によりロック解除アプリの起動操作がされた場合には(OP52:Yes)、処理がOP53に進む。利用者によりロック解除アプリの起動操作がされていない場合には(OP52:No)、再度、OP52の処理が実行される。
【0109】
OP53では、スマートフォン2は、ロック解除アプリを起動する。OP54では、スマートフォン2は、BTの待ち受け状態を開始する。OP55では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1からのBTペアリング済の機器の検出処理に対し、ウェアラブル端末1が認証可能か否かを判定する。スマートフォン2は、例えば、補助記憶装置13bに保持されたペアリング済の機器の情報にウェアラブル端末1が存在する場合に、認証可能と判断することができる。ウェアラブル端末1が認証可能である場合には(OP55:Yes)、処理がOP56に進む。ウェアラブル端末1が認証可能でない場合には(OP55:No)、処理が図9BのOP74に続く。
【0110】
OP56では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1に対し、ウェアラブル端末1がペアリンク済の機器であり認証可能である旨の通知を送信する。OP57では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1に対し、ロック解除アプリの起動要求を送信する。
【0111】
OP58では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1からロック解除アプリの起動完了通知があったか否かを判定する。ウェアラブル端末1からロック解除アプリの起動完了通知があった場合には(OP58:Yes)、処理がOP59に進む。ウェアラブル端末1からロック解除アプリの起動完了通知がない場合には(OP58:No)、再度、OP58の処理が実行される。
【0112】
OP59では、スマートフォン2は、ロック解除アプリの利用者認証画面を表示する。利用者は、利用者認証画面の指示に従い、心拍認証操作を開始する。OP60では、スマートフォン2は、利用者による心拍認証操作があるか否かを判定する。利用者による心拍認証操作があった場合には(OP60:Yes)、処理がOP61に進む。利用者による心拍認証操作がない場合には(OP60:No)、再度、OP60の処理が実行される。
【0113】
OP61では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1に心拍波形データの取得開始通知を送信する。OP62では、スマートフォン2は、所定期間、心拍波形データを取得する。所定期間は、例えば、心拍波形データが少なくとも1以上の周期を含む期間であればよい。OP63では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1に対し、データ取得完了通知を送信する。
【0114】
OP64では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1から心拍波形データの送信要求があったか否かを判定する。ウェアラブル端末1から心拍波形データの送信要求があった場合には(OP64:Yes)、処理がOP65に進む。ウェアラブル端末1から心拍波形データの送信要求がない場合には(OP64:No)、再度、OP64の処理が実行される。OP65では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1に対し、取得した心拍波形データを送信する。処理が図9BのOP70に続く。
【0115】
図9Bは、スマートフォン2におけるウェアラブル端末1の利用者認証に関する処理の例を示すフローチャートである。図9Bに示される処理は、図9AのOP65に続く処理である。
【0116】
OP70では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1から認証結果の通知があったか否かを判定する。ウェアラブル端末1から認証結果の通知があった場合には(OP70:Yes)、処理がOP71に進む。ウェアラブル端末1から認証結果の通知がない場合
には(OP70:No)、再度、OP70の処理が実行される。
【0117】
OP71では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末1から通知された認証結果により、利用者が認証されたか否かを判定する。利用者が認証された場合には(OP71:Yes)、処理がOP72に進む。利用者が認証されなかった場合には(OP71:No)、処理がOP73に進む。
【0118】
OP72では、スマートフォン2は、利用者が認証された旨を表示する。OP73では、スマートフォン2は、利用者が認証されなかった旨を表示する。OP74では、スマートフォン2は、認証の対象とする機器がない旨を表示する。
【0119】
OP75では、スマートフォン2は、ロック解除アプリを終了する。OP76では、スマートフォン2は、スマートフォン2のロックを設定する。OP76では、スマートフォン2は、スタンバイモードへ移行する。スマートフォン2におけるウェアラブル端末1の利用者認証に関する処理が終了する。
【0120】
<実施形態1の作用効果>
実施形態1では、ウェアラブル端末1は、ウェアラブル端末1で取得される心拍波形データを、スマートフォン2等の他の装置で取得される心拍波形データと比較することによって、利用者の認証可否を判断する。これにより、運動直後等、利用者の状態が変化しても、他の装置において変化後の状態で取得された心拍波形データと比較されるため、ウェアラブル端末1は、利用者認証における状態の変化の影響を抑制することができる。
【0121】
心拍波形データの各周期におけるピークは、利用者の状態に応じた固有の間隔で観測される。このため、ウェアラブル端末1は、ウェアラブル端末1で取得される心拍波形のピークの間隔を、スマートフォン2等の他の装置で取得される心拍波形のピークの間隔と比較することによって、利用者認証における状態の変化の影響を抑制することができる。
【0122】
心拍波形データが時刻情報と対応づけて取得される場合、ウェアラブル端末1で取得される心拍波形と、スマートフォン2等の他の装置で取得される心拍波形とのピークとなる時刻を比較することによって、利用者の認証可否を判断することができる。このため、ウェアラブル端末1は、時刻情報を考慮することで、精度よく利用者認証をすることができる。
【0123】
ウェアラブル端末1は、スマートフォン2から心拍波形データの取得を完了した旨の通知を受信すると、スマートフォン2に対して心拍波形データの送信を依頼する。これにより、ウェアラブル端末1は、スマートフォン2に対する心拍波形データの送信依頼のタイミングを認識することができる。
【0124】
ウェアラブル端末1は、自身の端末で取得される心拍波形の振幅が装着判断閾値より小さい場合に、利用者がウェアラブル端末1を取り外されたと判断することができる。これにより、ウェアラブル端末1は、利用者がウェアラブル端末1を取り外した場合、非装着状態であると判断し、特定の操作をすることなく、ロックを設定することができる。
【0125】
また、利用者認証において、利用者の状態の変化に対応するため、ウェアラブル端末1および他の装置でそれぞれに取得される心拍波形データが一致するための条件を緩和することが考えられる。しかしながら、条件の緩和は、セキュリティのレベルを下げる場合がある。実施形態1では、ウェアラブル端末1は、利用者の状態の変化に応じて、比較対象の心拍波形データを他の装置から取得するため、セキュリティのレベルを下げることなく利用者の認証をすることができる。
【0126】
また、ウェアラブル端末1の装着後にロックが解除されると、ウェアラブル端末1のロック解除状態は、利用者がウェアラブル端末1を取り外すまで継続する。このため、ロック解除後は、ウェアラブル端末1は認証処理のために他の装置と通信することがなく、無駄な電力の消費は抑制される。
【0127】
また、スマートフォン2等の他の装置において、利用者が他の装置の所有者本人であることが認証されている場合には、ウェアラブル端末1についても所有者本人の利用であることが認証される。したがって、ウェアラブル端末1および他の装置の両方が他人に利用されるというリスクを低減することができる。
【0128】
また、利用者は、スマートフォン2等の他の装置においてタッチパネル17またはカメラ19のレンズに触れるという簡単な操作で、ウェアラブル端末1のロックを解除することができる。このため、ウェアラブル端末1の認証処理における利便性が向上する。
【0129】
また、他の装置は、既存のタッチパネル17またはカメラ19を利用して、心拍波形データを取得することができる。このため、心拍波形データを取得する新たなデバイスを搭載するためのコストはかからない。
【0130】
<実施形態2>
実施形態1では、ウェアラブル端末1は、心拍波形の比較により利用者の認証可否を判断する。実施形態2では、ウェアラブル端末は、心音波形、声音波形、呼吸音波形等の音声データの比較により利用者の認証可否を判断する。
【0131】
すなわち、実施形態2では、ウェアラブル端末とスマートフォンとの連携による生体認証情報として、心拍波形の他、心音波形、声音波形、呼吸音波形等の音声データが利用できることが例示される。
【0132】
具体的には、ウェアラブル端末は、自身の端末で取得される利用者の心音波形等の音声データを、スマートフォン等の他の装置で取得される利用者の音声データと比較することによって、利用者の認証可否を判断する。ウェアラブル端末は、利用者が認証されると、ウェアラブル端末のロックを解除する。なお、心音波形等の音声データの取得には、例えば、ウェアラブル端末1およびスマートフォンに搭載されているマイク等の音声入力装置が利用される。
【0133】
利用者は、ウェアラブル端末を装着すると、利用者認証によりロックを解除するため、ウェアラブル端末およびスマートフォンのマイクを介して、心音波形、声音波形、呼吸音波形等の音声データを入力する。スマートフォンは、利用者の心音波形等の音声データを取得し、無線通信によりウェアラブル端末へ取得した音声データを送信する。
【0134】
ウェアラブル端末は、自身の端末において心音波形等の音声データを取得し、取得した音声データをスマートフォンから受信した音声データと比較する。比較する2つの音声データの波形において特徴的な部分の周期またはタイミングが一致していれば、ウェアラブル端末は、利用者を認証しロックを解除する。特徴的な部分は、例えば、音声データの波形の1周期において最も高い値を示すピークとなる部分である。
【0135】
ウェアラブル端末は、利用者が認証されロックが解除されると、スマートフォンとの無線通信を停止する。一方で、ウェアラブル端末は、実施形態1と同様に、自身の端末における心拍波形データを取得し、装着状態を確認する。ウェアラブル端末は、心拍波形を検出した場合には、ロック解除状態のままとする。また、ウェアラブル端末は、利用者がウ
ェアラブル端末を取り外し、心拍波形が検出されなくなると、ロックを設定する。なお、利用者がウェアラブル端末を取り外したか否かは、心音波形等の音声データが検出されるか否かにより判断してもよい。
【0136】
<ハードウェア構成>
図10は、実施形態2におけるウェアラブル端末3のハードウェア構成の一例を示す図である。ウェアラブル端末3は、Application LSI 10a、RAM 12a、補助記憶装置 13a、ネットワークIC 14a、アンテナ15a、オーディオIC 20a、マイク21aを備える。また、これらはバスにより互いに接続される。ウェアラブル端末3は、「第1の装置」または「生体認証装置」の一例である。
【0137】
Application LSI 10a、RAM 12a、補助記憶装置 13a、ネットワークIC 14aおよびアンテナ15aは、図2において同一の符号により示される構成と同じであるため、その説明は省略される。
【0138】
オーディオIC 20aは、音声入力装置としてのマイク21aに接続される。オーディオIC 20aは、マイク21aから入力された音声等の信号を電気信号に変換してCPU 11aに出力するための回路である。マイク21aは、「音声入力装置」の一例である。実施形態2におけるスマートフォンのハードウェア構成は、図3に示されるスマートフォン2のハードウェア構成と同一であるため、その説明は省略される。
【0139】
<動作例>
実施形態2における利用者認証処理のうち、ウェアラブル端末3およびスマートフォン2のスタンバイ解除、およびウェアラブル端末3とスマートフォン2との無線通信開始処理は、実施形態1の図7Aに示される動作例と同一であるため、その説明は省略される。また、利用者認証後、ウェアラブル端末3の装着状態を確認する処理は、実施形態1の図7Cに示される動作例と同一であるため、その説明は省略される。
【0140】
図11は、実施形態2における利用者認証処理の動作例を示すシーケンス図である。図11に示される動作例は、図7Aに示される動作例の後に続く。S60において、ウェアラブル端末3の利用者認証処理が開始される。S61では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末3に対し、ロック解除アプリの起動要求を送信する。
【0141】
S62では、ウェアラブル端末3は、ロック解除アプリを起動する。S63では、ウェアラブル端末3は、スマートフォン2に対し、ロック解除アプリの起動完了通知を送信する。
【0142】
S64では、スマートフォン2は、ロック解除アプリの利用者認証画面を表示する。S65では、利用者は、利用者認証画面が表示されると、生体認証操作を開始する。生体認証操作は、ウェアラブル端末3およびスマートフォン2に対し、利用者の生体情報を検出させるための操作である。実施形態2における生体情報は、心音波形、声音波形または呼吸音波形等である。
【0143】
利用者は、スマートフォン2に対する生体認証操作として、例えば、スマートフォン2のマイク21bを、人体に接触させるか、または心音が検出可能な距離まで近づけることで、スマートフォン2に心音波形を検出させることができる。また、利用者は、スマートフォン2のマイク21bに対して声を発することで、スマートフォン2に声音波形または呼吸音波形を検出させることができる。
【0144】
一方、ウェアラブル端末3は、装着状態であれば、心音波形を検出することができる。
また、ウェアラブル端末3は、マイク21aにより、利用者がスマートフォン2のマイク21bに対して発した声を検出し、検出した声から声音波形または呼吸音波形を検出することができる。ウェアラブル端末3が利用者の声を検出することができない場合には、利用者は、ウェアラブル端末3を、口元に近づけて声を発することで、ウェアラブル端末3に声音波形または呼吸音波形を検出させることができる。
【0145】
S66では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末3に対し、生体情報の取得開始通知を送信する。S67では、ウェアラブル端末3およびスマートフォン2は、生体情報を取得する。S65において、利用者が声の入力等の生体認証をするための操作を開始しているため、ウェアラブル端末3およびスマートフォン2は、生体情報の検出をすることができる。
【0146】
S68では、スマートフォン2は、所定期間、生体情報を取得すると、ウェアラブル端末3に対し、データ取得完了通知を送信する。所定期間は、例えば、生体情報の示す波形が少なくとも1以上の周期を含む期間であればよい。
【0147】
S69では、ウェアラブル端末3は、データ取得完了通知を受信すると、スマートフォン2に対し、生体情報の送信要求を送信する。S70では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末3に対し、取得した生体情報を送信する。
【0148】
S71では、ウェアラブル端末3は、自身の端末で取得した生体情報を、スマートフォン2から受信した生体情報と比較し、利用者の認証可否を判断する。S72では、ウェアラブル端末3は、スマートフォン2に対し、認証可否の判断結果を送信する。S71において、利用者が認証されなかった場合、S65からS71までの処理が繰り返される(S73)。
【0149】
自身の端末(ウェアラブル端末3)で取得した心音波形、声音波形または呼吸音波形のデータは、「第1の生体情報」の一例である。スマートフォン2から受信した心音波形、声音波形または呼吸音波形のデータは、「第2の生体情報」の一例である。第1の生体情報および第2の生体情報は、心音波形、声音波形または呼吸音波形のデータに限られない。第1の装置で取得される第1の生体情報が、第2の装置で取得される第2の生体情報と照合可能な形態であり、利用者の特定が可能な生体情報であればよい。
【0150】
S74では、スマートフォン2は、ロック解除アプリの利用者認証画面に利用者認証が完了した旨を表示する。S75では、ウェアラブル端末3は、ウェアラブル端末3のロックを解除する。S75の処理は、S71において利用者が認証された後に実施されればよく、S74、S76、S77の処理との先後は問わない。
【0151】
S76では、利用者は、生体認証操作を終了する。生体認証操作は、S67においてウェアラブル端末3およびスマートフォン2が生体情報の取得を完了するまで継続すればよく、S76の処理は、S68からS75までの処理との先後は問わない。
【0152】
S77では、スマートフォン2は、ウェアラブル端末3との無線通信を終了し、BT機能をオフにする。S78では、スマートフォン2は、ロック解除アプリを終了する。ロック解除アプリの終了により、S79において、ウェアラブル端末3の利用者認証処理は完了する。処理は図7Cのbに続き、ウェアラブル端末3の装着状態確認処理が実行される。
【0153】
<実施形態2の作用効果>
実施形態2では、ウェアラブル端末3は、自身の端末で取得される利用者の心音波形等
の音声データを、スマートフォン2等の他の装置で取得される利用者の音声データと比較することによって、利用者の認証可否を判断する。これにより、運動直後や体調不良等、利用者の状態が変化しても、他の装置において変化後の状態で取得された音声データと比較されるため、利用者認証における状態の変化の影響を抑制することができる。
【0154】
また、利用者は、ウェアラブル端末3のマイク21aおよびスマートフォン2のマイクマイク21bに対する発声または呼吸という簡単な動作により、ウェアラブル端末3のロックを解除することができる。このため、ウェアラブル端末3の認証処理における利便性が向上する。
【0155】
また、ウェアラブル端末3およびスマートフォン2は、既存のマイク21aおよびマイク21bを利用して、音声データを取得することができる。このため、音声データを取得する新たなデバイスを搭載するためのコストはかからない。
【符号の説明】
【0156】
1、3 ウェアラブル端末
2 スマートフォン
10a、10b Application LSI
11a、11b CPU
12a、12b RAM
13a、13b 補助記憶装置
14a、14b ネットワークIC
15a、15b アンテナ
16 心拍センサ
17 タッチパネル
171 静電センサ
18 ディスプレイ
19 カメラ
191 光センサ
20a、20b オーディオIC
21a、21b マイク
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11