特許第6642028号(P6642028)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642028
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】ケーブルホルダ
(51)【国際特許分類】
   H04R 1/00 20060101AFI20200127BHJP
   H04R 1/02 20060101ALI20200127BHJP
   G03B 17/56 20060101ALI20200127BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   H04R1/00 328Z
   H04R1/02 107
   H04R1/00 328A
   H04R1/02 102Z
   G03B17/56 Z
   H04N5/222 100
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-8691(P2016-8691)
(22)【出願日】2016年1月20日
(65)【公開番号】特開2017-130783(P2017-130783A)
(43)【公開日】2017年7月27日
【審査請求日】2018年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003676
【氏名又は名称】ティアック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001988
【氏名又は名称】特許業務法人小林国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松浦 教夫
(72)【発明者】
【氏名】坂口 充洋
【審査官】 堀 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−050681(JP,A)
【文献】 特開2010−154677(JP,A)
【文献】 特開2006−108067(JP,A)
【文献】 特開平10−289750(JP,A)
【文献】 特表2001−504932(JP,A)
【文献】 特開2007−242770(JP,A)
【文献】 特開2010−095043(JP,A)
【文献】 中国実用新案第201515024(CN,U)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0326838(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00
G03B 17/56
H04N 5/222
H04R 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロフォン装置が装着される装着部と、前記マイクロフォン装置から延びる第1ケーブルを保持する第1ホルダ部とを有する台座に取り付けられる、後付け式のケーブルホルダであって、
前記第1ホルダ部と着脱自在に嵌合する嵌合部と、
前記第1ケーブルよりも外径が大きい第2ケーブルを保持する第2ホルダ部と、を備えたケーブルホルダ。
【請求項2】
前記第1ホルダ部は、前記第1ケーブルを収容する断面がC字形状の凹部を有しており、
前記嵌合部は、断面が円形又は半円形の嵌合ピンである請求項1に記載のケーブルホルダ。
【請求項3】
前記嵌合ピンは、基端の径が太く、先端に向かって径が細くなるテーパ形状を有している請求項2に記載のケーブルホルダ。
【請求項4】
前記第2ホルダ部は、前記第2ケーブルを挟んで保持する2枚の板状部で構成され、前記2枚の板状部は、一端が結合し、他端が開放端となっており、開放端において弾性力を利用して前記第2ケーブルを挟む請求項1〜3のいずれか1項に記載のケーブルホルダ。
【請求項5】
前記台座と係合することにより、前記第1ホルダ部から前記嵌合部が脱落することを防止する脱落防止用の係合部を有している請求項1〜4のいずれか1項に記載のケーブルホルダ。
【請求項6】
前記台座には、前記装着部がフローティング方式で取り付けられている請求項1〜5のいずれか1項に記載のケーブルホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロフォン装置から延びるケーブルを保持するケーブルホルダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
入力された音声を電気信号に変換するマイクロフォン装置が知られている(特許文献1参照)。マイクロフォン装置には、録音機能が無い通常のものと、録音機能が有る録音機能付きのものがある。通常のマイクロフォン装置は、電気信号に変換した音声信号を録音装置やスピーカーなどの外部の音響機器に対して出力する音声信号出力機能のみを有する。一方、録音機能付きのマイクロフォン装置は、マイクロフォンの他に、例えば、音声信号が記録されるICメモリと、音声信号をICメモリに記録するための制御回路などを有している。録音機能付きのマイクロフォン装置には、マイクロフォンやICメモリなどに加えて、内蔵スピーカーや、外部のスピーカーやヘッドフォンなどに音声信号を出力する出力端子を携帯型の筐体に収容し、音声信号の再生も可能な携帯型録音装置もある。このような携帯型録音装置は、ICレコーダーなどと呼ばれる。
【0003】
特許文献1に記載のマイクロフォン装置のように、マイクロフォン装置には、動画撮影が可能なデジタルカメラに装着して使用可能としたものもある。マイクロフォン装置をデジタルカメラに装着する場合は、例えば、デジタルカメラのアクセサリーシューに、マイクロフォン装置用の台座が取り付けられる。
【0004】
マイクロフォン装置が録音機能の無い通常のタイプの場合には、マイクロフォン装置には外部機器に音声信号を出力するケーブルが接続され、マイクロフォン装置が録音機能を有する携帯型録音装置の場合には、ヘッドフォンケーブルなどのケーブルが接続される。このようなマイクロフォン装置用の台座には、上記のようなケーブルを保持するホルダ部が不可欠である。なぜならば、不用意にケーブルが動くと、デジタルカメラを使用しづらいばかりでなく、ケーブルがデジタルカメラ本体と接触する等により、不要なノイズを発生させることがあるからである。そのため、特許文献1では、台座にホルダ部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015−050681号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、マイクロフォン装置の種類やヘッドフォンの種類によってケーブルの径が異なる場合がある。この場合、特許文献1に記載のホルダ部のように、1種類の径にしか対応していないと、ホルダの径と異なる径のケーブルについては、ホルダ部を使用できないという問題が生じる。こうした問題の解決策としては、ホルダ部を複数種類設けることが考えられるが、マイクロフォン装置が装着される台座は、小型であるため、径が異なる複数種類のケーブル用に複数のホルダ部を設けるスペースを確保することが難しい。結束バンドを用いることも考えられるが、デザイン性が損なわれるという問題がある。また、既存の台座を利用しているユーザも多いため、ユーザの便宜のため、既存の台座の有効利用も図りたいという要望もあった。
【0007】
本発明は、マイクロフォン装置をデジタルカメラに装着するための台座の有効利用を図りつつ、径が異なる複数種類のケーブルを保持することが可能な後付け式のケーブルホルダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、マイクロフォン装置が装着される装着部と、マイクロフォン装置から延びる第1ケーブルを保持する第1ホルダ部とを有する台座に取り付けられる、後付け式のケーブルホルダにおいて、嵌合部と、第2ホルダ部と、を備えている。嵌合部は、第1ホルダ部と着脱自在に嵌合する。第2ホルダ部は、第1ケーブルよりも外径が大きい第2ケーブルを保持する。
【0009】
第1ホルダ部は、第1ケーブルを収容する断面がC字形状の凹部を有しており、嵌合部は、断面が円形又は半円形の嵌合ピンであることが好ましい。
【0010】
嵌合ピンは、基端の径が太く、先端に向かって径が細くなるテーパ形状を有していることが好ましい。
【0011】
第2ホルダ部は、第2ケーブルを挟んで保持する2枚の板状部で構成され、2枚の板状部は、一端が結合し、他端が開放端となっており、開放端において弾性力を利用して第2ケーブルを挟むことが好ましい。
【0012】
台座と係合することにより、第1ホルダ部から嵌合部が脱落することを防止する脱落防止用の係合部を有していることが好ましい。
【0013】
台座には、装着部がフローティング方式で取り付けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、マイクロフォン装置をデジタルカメラに装着するための台座の有効利用を図りつつ、径が異なる複数種類のケーブルを保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】携帯型録音装置をデジタルカメラに取り付けた状態を示す斜視図である。
図2】携帯型録音装置をデジタルカメラから取り外した状態を示す斜視図である。
図3】携帯型録音装置とケーブルホルダを台座から取り外した状態を示す斜視図である。
図4】第1ホルダ部により第1ケーブルを保持した状態を示す斜視図である。
図5】第1ホルダ部の縦断面図である。
図6】ケーブルホルダを第1ホルダ部から取り外した状態を示す斜視図である。
図7】ケーブルホルダの斜視図である。
図8】ケーブルホルダの別の斜視図である。
図9】ケーブルホルダの正面図である
図10】ケーブルホルダの左側面図である。
図11】ケーブルホルダを第1ホルダ部に取り付けた状態の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1図3において、本発明のケーブルホルダ10は、録音機能が有るマイクロフォン装置である携帯型録音装置11をデジタルカメラ12に装着するための台座13に対して、着脱自在に取り付けられる。携帯型録音装置11にはヘッドフォンケーブルなどのケーブルが接続可能であり、ケーブルホルダ10は、そのケーブルを保持するためのものである。ケーブルには、例えば、図4および図5に示す第1ケーブル37や、図1図3図5図6に示す第2ケーブル38がある。第1ケーブル37と第2ケーブル38は、ヘッドフォンケーブルとしての機能は同じだが、図5に示すように径が異なっている。
【0017】
携帯型録音装置11には、入力された音声信号を電気信号に変換するためのマイク16が設けられている。マイク16は、例えば、コンデンサ型のマイクロフォンが用いられる。携帯型録音装置11は、本体17内に、マイク16によって電気信号に変換された音声信号を記録するIC(Integrated Circuit)メモリなどのデータストレージデバイス(図示せず)が設けられている。
【0018】
本体17の上面には、再生や録音などの操作を行うために用いられる複数の操作ボタン18と、再生中または録音中などのステータスや録音時間などの各種表示を行うインジケータ19とが設けられている。本体17の下面には、後述する台座13に取り付けるための取り付け部(図示せず)が設けられている。
【0019】
本体17の側面には、音声信号を記録するためのメモリーカードを装着可能なスロット21と、記録した音声信号を外部に送信するためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタ22とが設けられている(図3参照)。
【0020】
また、本体17の側面には、ICメモリに記録した音声信号を外部に出力する外部出力端子であるジャック23が設けられている。ジャック23には、第1ケーブル37や第2ケーブル38の一端に取り付けられたプラグが接続される。なお、ジャック23には外部スピーカーを接続することも可能である。なお、本体17の反対側の側面には、電源スイッチ、ボリューム調節ボタン(いずれも図示せず)などが設けられている。
【0021】
デジタルカメラ12は、カメラ本体25と、カメラ本体25の前面に着脱自在に取り付け可能なレンズ装置26とを備えている。カメラ本体25には、撮影装置、画像処理装置、画像記録装置、及び音声記録装置などが設けられている。レンズ装置26は、レンズ鏡筒27と、ズームレンズやフォーカスレンズなどを含む撮影光学系28とを有する。レンズ装置26内には、ズーミングをするためのモータ、焦点調節するためのモータ、手ぶれ補正をするためのモータなどが格納されている。
【0022】
カメラ本体25の上面には、レリーズボタン29、モード設定ダイヤル30、及びアクセサリーシュー31などが設けられている(図2参照)。レリーズボタン29は、撮影指示をするために用いられる。モード設定ダイヤル30は、静止画撮影モード、動画撮影モード、及び再生モードなどを選択するために用いられる。アクセサリーシュー31は、外付けのフラッシュ装置(図示せず)や台座13を取り付けるためのものである。
【0023】
台座13は、円筒形状の台座本体32と、台座本体32をアクセサリーシュー31に装着させるための脚部33と、挟持リング34とを有する。台座本体32には、後述するケーブルホルダ10の係合部43が挿入される開口50が形成されている(図4参照)。
【0024】
アクセサリーシュー31は、平面形状が矩形をしており、両端には、相互に対向するように内側に折り曲げられた一対の折り曲げ片31aを有している。各折り曲げ片31aによって、アクセサリーシュー31の両端には、平板を挿入可能な隙間が形成される。
【0025】
脚部33は、平板状をしており、台座13をアクセサリーシュー31に取り付ける際には、脚部33の両端が、各折り曲げ片31aによって形成される隙間に挿入される。脚部33が隙間に挿入された状態で、挟持リング34が回転操作されると、挟持リング34は上方から各折り曲げ片31aを押圧する方向に移動して、脚部33との間で各折り曲げ片31aを挟持する。これにより、デジタルカメラ12に台座13が固定される。
【0026】
台座13は、装着部35と、第1ホルダ部36とを有する。装着部35は、携帯型録音装置11の下面に設けられた取り付け装置(図示せず)に対して取り付け可能とされている。装着部35は、各種モータの駆動やデジタルカメラ12の操作などにより生じる振動が、携帯型録音装置11に伝達されることを防止する構造になっている。
【0027】
装着部35は、例えば、フローティング方式で台座13に取り付けられている。例えば、台座13内において、バネやゴムなどの弾性材料により構成されるダンパーが設けられ、このダンパーにより装着部35が支持されている。ダンパーは、例えば、2点で装着部35を支持する。このため、装着部35に携帯型録音装置11を装着した状態では、携帯型録音装置11は、台座13に対して、所定の揺動可能範囲内で揺動が可能となる。これにより、カメラ本体25からの振動がダンパーにより吸収されるため、カメラ本体25の振動が携帯型録音装置11に伝達されにくい。カメラ本体25からの振動が台座13を通じて携帯型録音装置11に伝達されると、台座13と携帯型録音装置11との間の取り付けガタに起因して、メカニカルな接触音や衝突音などのノイズ音が発生する。フローティング方式の採用により、携帯型録音装置11への振動の伝達が抑制されるため、こうしたノイズ音の発生を防止できる。
【0028】
台座本体32の外周面には、2個の第1ホルダ部36が180°のピッチで設けられている(図3参照)。図2および図3においては、第1ホルダ部36に対して、ケーブルホルダ10が取り付けられる形態を示しているが、第1ホルダ部36は、本来は、図4に示すように、所定の外径Aを持つ第1ケーブル37を保持するためのものである。第1ケーブル37は、上述のとおり、携帯型録音装置11に接続されるヘッドフォンケーブルなどのケーブルである。
【0029】
図5に示すように、第1ホルダ部36は、台座本体32の軸方向に沿う縦断面がC字形状の2つの凹部36aを有している。凹部36aは、台座本体32の軸方向において上下に並んで設けられており、長手方向は、台座13の外周の接線と平行に延びている。各凹部36aの内径は、第1ケーブル37の外径Aとほぼ等しくなるように形成されている。各凹部36aの開口部36bは、台座本体32の軸方向の長さBが、第1ケーブル37の外径Aよりも小さくなるように形成されている。第1ケーブル37は、外皮がシリコンゴムなどの弾性を有する素材により形成され、柔軟に折り曲げることが可能とされている。このため、第1ケーブル37は、開口部36bに押し込まれると、弾性変形することによって開口部36bを通過して、凹部36aに収納される。これにより、第1ホルダ部36は、第1ケーブル37を凹部36a内に嵌め込むことにより保持することができる。
【0030】
しかしながら、携帯型録音装置11に接続されるヘッドフォンの種類によってケーブルの外径が異なる場合がある。例えば、第1ケーブル37の外径Aよりも大きい外径Cを持つ第2ケーブル38を有するヘッドフォンが携帯型録音装置11に接続された場合、第1ホルダ部36で第2ケーブル38を保持することができない。この問題に対しては、径が異なる複数種類のケーブル用に複数の第1ホルダ部36を設けることが考えられるが、台座13は小型であるため、複数の第1ホルダ部36を設けるスペースを確保することが難しい。第2ケーブル38が不用意に動くと、不要なノイズを発生させることがあり、音質の低下を招くおそれがある。
【0031】
そこで、図6に示すように、後付けのケーブルホルダ10が用いられる。ケーブルホルダ10は、第2ケーブル38を保持し、第1ホルダ部36に対して着脱自在に取り付け可能とされている。ケーブルホルダ10の取り付け方法に関する詳しい説明は後で行うが、ケーブルホルダ10の嵌合部41(図7参照)を凹部36aが延びている方向に沿って挿入して嵌合させることにより、ケーブルホルダ10を第1ホルダ部36に取り付けることができる。第2ケーブル38は、上述のとおり、携帯型録音装置11に接続されるヘッドフォンケーブルなどのケーブルである。
【0032】
図7図10に示すように、ケーブルホルダ10は、基板40と、嵌合部41と、第2ホルダ部42と、係合部43と、回転規制部44とを有している。ケーブルホルダ10は、例えば、プラスチック製であり、各部は一体に成形されている。基板40は、平板形状をしており、基板40には、嵌合部41、第2ホルダ部42、および係合部43がそれぞれ結合している。
【0033】
嵌合部41は、第1ホルダ部36と着脱自在に嵌合する。嵌合部41は、第1ホルダ部36の2つの凹部36aと嵌合する、第1嵌合ピン41aと第2嵌合ピン41bとにより構成されている。第1嵌合ピン41aと第2嵌合ピン41bは、長手方向の一端が基板40と結合しており、第1ホルダ部36の2つの凹部36aの間隔に対応する間隔を空けて配列されている。
【0034】
第1嵌合ピン41aは、長手方向と直交する断面が円形形状をしている(図9参照)。第2嵌合ピン41bは、長手方向と直交する断面が半円形形状をしている(図9参照)。第1嵌合ピン41a及び第2嵌合ピン41bは、特許請求の範囲の「嵌合ピン」に対応する。
【0035】
第1嵌合ピン41aは、基板40と結合された一端(基端)の径が太く、先端に向かって径が細くなるテーパ形状を有している(図10参照)。第1嵌合ピン41aの基端側の外径は、凹部36aの内径とほぼ等しくなるように形成されている。すなわち、第1嵌合ピン41aの基端側の外径は、第1ケーブル37の外径Aとほぼ等しい。第2嵌合ピン41bは、第1嵌合ピン41aと同様に、基端の径が太く、先端に向かって径が細くなるテーパ形状を有している。第2嵌合ピン41bの基端側の外径は、凹部36aの内径(すなわち、第1ケーブル37の外径A)とほぼ等しくなるように形成されている。
【0036】
ケーブルホルダ10を第1ホルダ部36に装着する際は、図6に示すように、凹部36aが延びる方向に沿って、嵌合部41の先端側から凹部36a内に押し込むことにより行われる。第1嵌合ピン41a及び第2嵌合ピン41bの先端側は細くなっているので、凹部36aへの挿入は容易となっている。第1嵌合ピン41a及び第2嵌合ピン41bが奥まで押し込まれると、第1嵌合ピン41aの基端側の外周面が、凹部36aの内周面と当接して、第1嵌合ピン41aが圧入される状態となり、ケーブルホルダ10が第1ホルダ部36に固定される。
【0037】
また、第2嵌合ピン41bは、外周面から下方に突出した突出部41cを有している(図9参照)。第2嵌合ピン41bが凹部36a内に挿入されると、図11に示すように、突出部41cが凹部36aの内周面と当接する。第2嵌合ピン41bの外周面に対する突出部41cの突出量をDとすると、この突出量Dに応じて、第2嵌合ピン41bが上方向に弾性変形する。この弾性力により、第2嵌合ピン41bが凹部36aに押しつけられて、ケーブルホルダ10を第1ホルダ部36に固定する効果が向上する。
【0038】
第2ホルダ部42は、第1板状部42aと第2板状部42bとの2枚の板状部を有する。第1板状部42aと第2板状部42bは、各嵌合ピン41a、41bの長手方向と平行な一辺を構成する下端部が結合されており、この部分が結合部48となっている。一方、第1板状部42aおよび第2板状部42bにおいて、結合部48と反対側の上端部は、開放端となっている。これにより、第2ホルダ部42は、全体としてU字形状をしたクリップとして機能する。
【0039】
第1板状部42aは、平板形状をしており、一端は基板40と結合されている。第1板状部42aの外周面からは、第1嵌合ピン41aに向けて連結部46が延びている。同様に、第1板状部42aの外周面から、第2嵌合ピン41bに向けて連結部46が延びている。これら2つの連結部46は、第1嵌合ピン41a及び第2嵌合ピン41bとそれぞれ連結されている。
【0040】
図11に示すように、第1板状部42bは、全体として略平板形状をしており、第2板状部42bと対向する対向面はフラットな平面を形成している。対して、第2板状部42bは、全体として波状にゆるやかにうねった形状をしており、対向面は波状面を形成している。
【0041】
第2板状部42bの波状面の中央部分には、半円弧状に凹んだケーブル保持部49が設けられている。ケーブル保持部49は、第1板状部42aとの間で第2ケーブル38を挟んで保持するためのものである。また、第2板状部42bの開放端は、第1板状部42aから離れる方向に、第1板状部42aに対して傾斜しており、開放端において第1板状部42aと第2板状部42bの間隔が大きくなっている。
【0042】
第2ホルダ部42の開放端に第2ケーブル38を押し込むと、第2板状部42bは第1板状部42aから離れる方向に弾性変形する。第2板状部42bの開放端は第1板状部42aから離れる方向に傾斜しているので、第2ケーブル38をケーブル保持部49に向けて挿入しやすい。第2ケーブル38がさらに押し込まれてケーブル保持部49に到達すると、ケーブル保持部49の半円弧状の凹み形状と、第2板状部42bの弾性力とにより第2ケーブル38が保持される。これにより、保持した第2ケーブル38の脱落が防止される。
【0043】
図8に示すように、係合部43は、第1嵌合ピン41aと第2嵌合ピン41bの長手方向と平行に延びており、一端が基板40と結合して、他端が自由端となっている。係合部43は、台座13と係合することにより、第1ホルダ部36から嵌合部41が脱落することを防止する脱落防止用の部材である。係合部43の自由端となる先端には、横断面が略三角形状をした係合爪が形成されている。ケーブルホルダ10を第1ホルダ部36に装着する際は、係合部43は、台座本体32に設けられた開口部50に挿入され、係合部43の先端が台座本体32の内周面と当接する。このため、台座本体32の開口部50に係合部43を挿入した状態においては、嵌合部41の脱落が防止される。
【0044】
図8図11に示すように、回転規制部44は、平板形状をしており、第1板状部42aと結合されている。回転規制部44は、第1ホルダ部36から嵌合部41が脱落することを防止するものである。回転規制部44は、嵌合部41の下方において、第2板状部42bとは反対側に突出して設けられる。ケーブルホルダ10を第1ホルダ部36に装着する際は、回転規制部44は、図11に示すように、第1ホルダ部36の底部51と当接する。このため、回転規制部44が第1ホルダ部36の底部51と当接した状態においては、嵌合部41の長手方向に沿う軸回りにケーブルホルダ10が回転することが規制され、嵌合部41の脱落が防止される。
【0045】
以下、上記構成による作用について説明する。第1ホルダ部36の凹部36aの内径より大きい外形を持つ第2ケーブル38が携帯型録音装置11に接続された場合、この第2ケーブル38は凹部36a内に嵌め込むことができないので、ケーブルホルダ10を第1ホルダ部36に取り付ける。
【0046】
ケーブルホルダ10を第1ホルダ部36に取り付ける場合には、嵌合部41を第1ホルダ部36の凹部36a内に挿入する。この際、係合部43は、台座13の開口部50に挿入される。
【0047】
嵌合部41を奥まで押し込むと、嵌合部41の基端側の外周面が、凹部36aの内周面と当接する。これにより、ケーブルホルダ10が第1ホルダ部36に固定される。ケーブルホルダ10の第2ホルダ部42は、開放端から第2ケーブル38が押し込まれることにより弾性変形して、その弾性力を利用して第2ケーブル38を挟持する。そのため、携帯型録音装置11に接続されるケーブルの外径が第1ホルダ部36の内径と異なる場合であっても、携帯型録音装置11をデジタルカメラ12に装着するための台座13の有効利用を図りつつ、径が異なる複数種類のケーブルを保持することができる。特に、携帯型録音装置11に接続されるヘッドフォンケーブルは様々な種類があり、ケーブルの径が多様であるため、特に有効である。
【0048】
また、嵌合部41を奥まで押し込むと、係合部43の基端付近の基板40が、台座13に設けられた開口部50の外縁部分と当接する。これにより、嵌合部41の押し込みが規制されるので、ケーブルホルダ10が挿入方向に脱落することを防止できる。
【0049】
また、係合部43は、先端が台座13の内周面と当接する。これにより、嵌合部41の脱落を防止する効果が向上する。さらに、回転規制部44は、第1ホルダ部36の底部51と当接する。これにより、嵌合部41の長手方向に沿う軸回りケーブルホルダ10が回転することが規制され、嵌合部41の脱落を防止する効果がより向上する。
【0050】
なお、台座13には装着部35がフローティング方式で取り付けられているので、携帯型録音装置11は、揺動可能範囲内で傾きやすくなっている。もし、第1ホルダ部36により保持できないケーブルが携帯型録音装置11に接続された場合には、そのケーブルの重みによって携帯型録音装置11が揺動可能範囲の限界まで傾いて、カメラ本体25からの振動が携帯型録音装置11に伝達されてしまう。そうすると、振動により発生するノイズ音をマイク16が拾ってしまい、音質が低下する。このため、装着部35がフローティング方式で取り付けられている場合において、ケーブルホルダ10は、特に必要性が高い。
【0051】
なお、ケーブルホルダ10は、上記実施形態に限定されるものではなく、第1ホルダ部36と着脱自在に嵌合する嵌合部41と、第1ケーブル37とは異なる径を持つ第2ケーブル38を保持する第2ホルダ部とを、少なくとも備えていれば良い。その他の構成については、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0052】
上記実施形態では、録音機能を有するマイクロフォン装置である携帯型録音装置11を例に説明したが、本発明は、録音機能が無いマイクロフォン装置にも適用することが可能である。録音機能が無いマイクロフォン装置をデジタルカメラ12に装着した場合は、例えば、マイクロフォン装置が出力する音声信号は、デジタルカメラ12に入力されて、カメラ本体25に設けられている音声記録装置で録音される。この場合においても、本発明を適用した場合の作用効果は、上記実施形態と同じである。
【符号の説明】
【0053】
10 ケーブルホルダ
11 携帯型録音装置
13 台座
35 装着部
36 第1ホルダ部
36a 凹部
37 第1ケーブル
38 第2ケーブル
41 嵌合部
41a 第1嵌合ピン
41b 第2嵌合ピン
42 第2ホルダ部
42a 第1板状部
42b 第2板状部
43 係合部
44 回転規制部
図1
図2
図3
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図5
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図11