(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記付勢部は、前記スペーサの吸気流が当たる面に設けられた吸気受け部によって構成され、該吸気受け部に当たった吸気流体によって前記遮蔽部を前記ケーシングの内壁面に押付けることを特徴とする請求項1又は2に記載の吸気装置。
前記インタークーラの内部には、冷却水の導入及び排出を行う冷却水配管が前記インタークーラの左右端部の一方側に上下方向に設けられ、前記冷却水配管が設けられる一方側の前記スペーサ係合部が他方側の前記スペーサ係合部より長いことを特徴とする請求項6に記載の吸気装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水冷インタークーラと該インタークーラを収納する収容物との間に隙間が存在ると、インタークーラを通過する吸気の一部が、隙間を通過して、冷却されることなく内燃機関に吸引されてしまう。その結果、インタークーラによる吸気の冷却効率が低下し、吸気の冷却が十分行われなくなり、燃焼温度の上昇によりNOxの増加や、ノッキングの発生等の問題が懸念される。
【0006】
特許文献1には、インタークーラとインタークーラを収納する収容物との間の隙間を塞ぐ技術については示されていない。
また、特許文献2には、インタークーラを内側に収容するサージタンクとの間の隙間を埋めるゴム製のガスケットについて開示されているが、一直線状のゴム製のシール部材を、インタークーラの外周に沿って巻き付けて、収容部のサージタンク内に組み込むものである。このため、シール部材をインタークーラに巻き付ける作業、及びそのシール部材を巻き付けた状態でインタークーラをサージタンク内に力を入れで押し入れる必要があるため、作業性に問題を生じる。
【0007】
さらに、シール部材の厚さを薄めに設定すると、エンジン運転時の熱によるサージタンク側の熱変形をシール部材によって吸収できずに熱変形によってインタークーラが破損する虞もある。さらに、インタークーラとサージタンクとの隙間のばらつきに対応するために、厚みの異なるシール部材を何種類か用意する必要も生じる等の問題も有する。
【0008】
そこで、上記技術的課題に鑑み、本発明の少なくとも一つの実施形態は、インタークーラとインタークーラを収納するケーシングとの間の隙間を埋めることができるともに、ケーシングへの取付け作業が容易なインタークーラを備える吸気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る吸気装置は、内燃機関の吸気通路上に設けられるケーシングと、前記ケーシングの内部に配置されるインタークーラと、を備える吸気装置であって、前記ケーシングは前記インタークーラを挿入する開口部を有し、前記インタークーラは、前記インタークーラの一方の端面に形成されて、前記ケーシングの前記開口部の縁部に固定されると共に前記開口部を閉鎖する取付部を有し、前記インタークーラの他方の端面に取り付けられるスペーサを備え、前記スペーサは、前記インタークーラの前記他方の端面と前記ケーシングの前記開口部と対向する内壁面との間に配置される遮蔽部と、前記遮蔽部を前記内壁面側へ付勢する付勢部と、を有することを特徴とする。
【0010】
上記構成(1)によれば、インタークーラの他方の端面に取り付けられるスペーサは、インタークーラの他方の端面とケーシングの開口部と対向する内壁面との間に配置される遮蔽部と、遮蔽部を内壁面側へ付勢する付勢部と、を有するので、インタークーラの他方の端面とケーシングの開口部と対向する内壁面との間に生じる隙間を、スペーサの遮蔽部によって遮蔽することができる。また、付勢部によって遮蔽部をケーシングの内壁面に押さえ付けるので、遮蔽部の遮蔽機能が確実に得られる。
【0011】
また、インタークーラは、一方の端面をケーシングの開口縁に固定し、他方の端面にスペーサを取り付けるので、インタークーラをケーシング内に収納する際には、インタークーラの他方の端面にスペーサを取り付けた状態で収納できるため、インタークーラ及びスペーサのケーシングへの組付け作業が容易である。
【0012】
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、前記付勢部は、前記インタークーラの他方の端面と前記スペーサとの間に設けられたスプリングであることを特徴とする。
【0013】
上記構成(2)によれば、インタークーラの一方の端面がケーシングに固定され、インタークーラの他方の端面とスペーサとの間にスプリングが設けられるため、スプリングの反力によってスペーサが簡単な構造によってケーシングの内壁面に押さえ付けられる。これによって、遮蔽部の遮蔽機能が簡単な構造で確実に得られる。
【0014】
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(2)において、前記スプリングは、前記スペーサの前記インタークーラの中央部に位置する部分が切り起こされて形成される板バネ部によって構成されることを特徴とする。
【0015】
上記構成(3)によれば、スプリングがスペーサのインタークーラの中央部に位置する部分が切り起こされて形成される板バネ部によって構成されるので、スプリングを別部品として装着することなく簡単に設けることができる。
【0016】
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(1)から(3)のいずれか1の構成において、 前記付勢部は、前記スペーサの吸気流が当たる面に設けられた吸気受け部によって構成され、該吸気受け部に当たった吸気流体によって前記遮蔽部を前記ケーシングの内壁面に押付けることを特徴とする。
【0017】
上記構成(4)によれば、付勢部を、スペーサの吸気流体が当たる面に設けられた吸気受け部によって構成するので、スペーサの形状を変更するだけの簡単な構造によって、遮蔽部をケーシングの内壁面に押付けることが可能になる。
【0018】
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(4)において、前記吸気受け部は、吸気流方向に対して上り傾斜面に形成されていることを特徴とする。
上記構成(5)によれば、吸気流方向に対して上り傾斜面を有するので、遮蔽部を効果的にケーシングの内壁面に押し付ける押付力を発生させることができる。
【0019】
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(4)又は(5)において、前記吸気受け部は、前記遮蔽部の吸気流上流側面に形成されていることを特徴とする。
上記構成(6)によれば、吸気受け部が、遮蔽部の吸気流上流側面に形成されることによって、新たな部品を設置することなく効率よく遮蔽部の遮蔽機能が確保できる。
【0020】
(7)幾つかの実施形態では、上記構成(4)から(6)のいずれか1の構成において、前記スペーサは板金製によって形成され、平面視形状が前記インタークーラの大きさに対応した四角形状をなし、前記スペーサをインタークーラの下方に係合離脱可能に係合するスペーサ係合部が、吸気流上流側の左右端部と吸気流下流側の左右端部にそれぞれ立設され、前記インタークーラを吸気流上流側と吸気流下流側から挟み込むように構成され、前記吸気受け部は、吸気流上流側の左右端部の前記スペーサ係合部の吸気流上流側面に形成されることを特徴とする。
【0021】
上記構成(7)によれば、スペーサ係合部が、吸気流上流側の左右端部と吸気流下流側の左右端部にそれぞれ設けられているため、すなわち、四角形状の4隅に形成されるため、このスペーサ係合部によって、インタークーラの下部を挟み込むことで、簡単にスペーサをインタークーラの下方に位置させて取り付けることができる。
また、吸気受け部が吸気流上流側の左右端部のスペーサ係合部の吸気流上流側面に形成されることによって、新たな部品を設置することなく吸気流体によって効率よくスペーサ及び遮蔽部をケーシングの内壁面に押さえ付けることができる。
【0022】
(8)幾つかの実施形態では、上記構成(7)において、前記インタークーラの内部には、冷却水の導入及び排出を行う冷却水配管が前記インタークーラの左右端部の一方側に上下方向に設けられ、前記冷却水配管が設けられる一方側の前記スペーサ係合部が他方側の前記スペーサ係合部より長いことを特徴とする。
【0023】
上記構成(8)によれば、インタークーラの内部には冷却水配管が左右端部の一方側に上下方向に設けられているため、その位置に対応してスペーサ係合部を設けることによる吸気抵抗の増大の影響は少ない。従って、スペーサ係合部をインタークーラの上流側面に設けてもインタークーラの冷却性能への影響を小さくしつつスペーサの取付けを確実にすることができる。
【0024】
(9)幾つかの実施形態では、上記構成(7)において、前記スペーサはアルミ製であることを特徴とする。
上記構成(9)によれば、熱伝導性に優れたアルミを採用することで冷却効率をさらに向上することができる。
【0025】
(10)幾つかの実施形態では、上記構成(9)において、前記スペーサはマグネシウムで被覆されていることを特徴とする。
上記構成(10)によれば、アルミ製のスペーサを酸性溶液中においてアルミより溶け易いマグネシウムで被覆することで、母材のアルミを保護することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、インタークーラとインタークーラを収納するケーシングの内壁面との間の隙間を簡単な構造で埋めることが可能になる。さらに、隙間を埋めるスペーサ及びインタークーラのケーシングへの組み付け作業が容易化できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、添付図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、これらの実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0029】
図1は、発明の一実施形態に係る水冷インタークーラが備えられた内燃機関の全体システム構成図である。車両に搭載される内燃機関としての多気筒ディーゼルエンジン(エンジン)1を例に説明する。エンジン1の排気通路3には排気浄化装置5が備えられている。エンジン1のシリンダブロック7のボア内にはピストン9が往復動自在に備えられ、ピストン9とシリンダヘッド11との間で燃焼室13が形成されている。ピストン9はコンロッド15を介してクランクシャフト17に接続され、ピストン9の往復運動によってクランクシャフト17が駆動される。
【0030】
シリンダヘッド11には吸気ポート19を介して吸気マニホールド21を含む吸気通路23が接続されている。吸気ポート19は吸気バルブ25により開閉される。また、シリンダヘッド11には排気ポート27を介して排気マニホールド29を含む排気通路3が接続されている。排気ポート27は排気バルブ31により開閉される。
【0031】
シリンダヘッド11には各気筒の燃焼室13に燃料を直接噴射する燃料噴射弁33が設けられ、燃料噴射弁33には高圧燃料ポンプ35によって加圧された燃料がコモンレール37を介して供給される。コモンレール37では燃料が所定の燃圧に調整され、燃料噴射弁33には所定の燃圧に制御された高圧燃料が供給されるようになっている。
【0032】
吸気通路23及び排気通路3の途中部には過給機としてターボチャージャ39が設けられ、ターボチャージャ39は排気通路3側にタービンが備えられ、タービンに連結されたコンプレッサが吸気通路23側に備えられ、吸気が過給されるようになっている。
【0033】
ターボチャージャ39の下流側の排気通路3には、排気浄化装置5として、ディーゼル酸化触媒43及び排気浄化用のディーゼルパティキュレートフィルタ45を備えている。
排気浄化装置5の下流側(ターボチャージャ39の下流側)の排気通路3には、低圧EGR通路47の一端が接続され、低圧EGR通路47の他端はターボチャージャ39の上流側の吸気通路23に連通している。低圧EGR通路47には低圧EGRクーラ49が設けられ、低圧EGR通路47の吸気通路23との接続部の近傍には低圧EGRバルブ51が設けられている。
【0034】
低圧EGRバルブ51を開くことで、ターボチャージャ39の下流側の排気通路3を流れる排気ガスの一部が低圧EGR通路47に導入され、低圧EGR通路47に導入された排気ガスは低圧EGRクーラ49で冷却されてターボチャージャ39の上流側の吸気通路23に供給されるようになっている。
【0035】
また、吸気通路23を構成する吸気マニホールド21には、吸気装置52が設けられており、該吸気装置52は、吸気マニホールド21からなるケーシング65と、該ケーシング65の内部に配設された水冷インタークーラ(インタークーラ)53とを備えて構成されている。
【0036】
ターボチャージャ39で過給された吸気は水冷インタークーラ53で冷却されて燃焼室13に送られるようになっている。
図1に示すように、エンジン1には、水冷インタークーラ53を備えた水冷インタークーラシステム55が設けられている。この水冷インタークーラシステム55は、水冷インタークーラ53と、冷却媒体としての冷却水を循環させる冷却水回路57と、冷却水を圧送する循環ポンプ59と、冷却水を冷却するラジエータ61とを備えている。
【0037】
ケーシング65は、
図2、3に示すように、吸気マニホールド21に一体的に形成されており、上部に収納開口63を有し、収納開口63から下方向に挿入されて水冷インタークーラ53がケーシング65の内部に収納されるようになっている。
なお、ケーシング65に対して上部の収納開口63から下方向に挿入する例を説明するが、必ずしも、上から下方向に挿入する場合に限定されるものではない。
【0038】
水冷インタークーラ53は、
図2、3に示すように、熱交換部を構成するインタークーラコア67と、インタークーラコア67の一方の端面である上端面を、ケーシング65の収納開口63の縁部に固定するインタークーラ取付部(取付部)69と、を備えている。
【0039】
また、吸気装置52は、インタークーラコア67の下端部に係合離脱可能に係合し、インタークーラコア67のケーシング65内への収納後にインタークーラコア67の他方の端面である下端面とケーシング65の底壁65aとの間に配設されるスペーサ71と、スペーサ71に設けられ、インタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁(内壁面)65aとの間の隙間を塞いで吸気流方向に直交する方向に延在する遮蔽部73と、遮蔽部73をケーシング65の底壁65aに押付ける付勢力を発生させる付勢部75と、を備えている。
【0040】
また、インタークーラコア67の上端面には、インタークーラ取付部69を構成する天板77が設けられ、天板77の周囲には取付ボルト79が締結されている。
図2、3は、インタークーラコア67にスペーサ71が係合した状態が示されている。
【0041】
図2、3に示すように、ケーシング65は、エンジン1に取り付けられた状態で吸気入口81が、紙面手前の下方部に位置し、吸気出口83が、紙面奥側に開口して形成され、吸気流れQは、下方から上昇してインタークーラコア67に対して、紙面の手前側から奥側に向かって流れる。
吸気出口83は、エンジン1のシリンダヘッド11の側面に設けられた吸気ポート19の開口に連結する。吸気出口83側には複数の取付ボルト孔85が設けられた取付フランジ87が形成されている。
【0042】
図2、3に示すように、熱交換部を構成するインタークーラコア67は、吸気が通過する空気層89と、冷却水が通過する冷却水層91とが交互に積層されて構成されている。
一方の冷却水通路93から導入され、他方の冷却水通路93から排出される冷却水が、複数の冷却水層91の内部を循環するようになっている。また、空気層89は、複数の冷却水層91相互間の間隙に設けられ、薄板を蛇行状に折り曲げ加工してなるコルゲートフィン97(
図8)を備えている。コルゲートフィン97は、吸気が吸気入口81側から吸気出口83側へ通過する向きに形成されている。
【0043】
図4に示すように、スペーサ71は、板金製であり、板金材を折り曲げて形成されている。平面視形状は、インタークーラコア67の下端面の大きさに対応し、下端面と同形状の略四角形状を有している。
このスペーサ71は、ステンレス製によって形成されており、より良くはアルミ製(アルミ合金を含む)を採用してもよい。アルミ製にすることで、ステンレスよりも熱伝導性に優れているため、冷却効率をさらに向上することができる。
また、アルミ製のスペーサ71に対してマグネシウムで被覆してもよい。アルミ製スペーサを、酸性溶液中においてアルミよりも溶け易いマグネシウムで被覆することで、母材のアルミを保護することができる。
【0044】
また、スペーサ71は、
図6(A)、(B)に示されるように、断面形状は上方が開口した略コ字形状に形成されており、上方が狭まる形状をしている。また、スペーサ71は、略四角形状の本体部99と、スペーサ71をインタークーラコア67の下方に係合離脱可能に係合するスペーサ係合部101、102とを有し、スペーサ係合部101(101a、101b)、102(102a、102b)は、吸気流上流側の左右端部と吸気流下流側の左右端部にそれぞれ立設され、上流スペーサ係合部101a、101bと、下流スペーサ係合部102a、102bとを有している。
【0045】
そして、上流スペーサ係合部101a、101bと、下流スペーサ係合部102a、102bは、上方が狭まるように傾斜した板金材の弾性力によってインタークーラコア67の左右端部を吸気流上流側と吸気流下流側から挟み込むようにしてインタークーラコア67の下部に係合及び離脱可能に形成されている。
【0046】
図6(A)、(B)は、
図4のスペーサ71のA−A断面図であり、吸気流上流側から見てスペーサ71の長手方向左端部に形成された上流スペーサ係合部101aと下流スペーサ係合部102aの断面形状である。(A)はインタークーラの挿入時を模式的に示し、(B)はインタークーラの挿入後を模式的に示す。
【0047】
また、
図6(A)、(B)に示すように、スペーサ71には、インタークーラコア67をケーシング65内に取り付けた後にインタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁65aとの間の隙間を塞いで吸気流方向に直交する方向に延在する遮蔽部73が設けられている。
遮蔽部73は、スペーサ71の下部全体によって形成される部分であり、略四角形状の本体部99によって形成される。これら部分によってインタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁65aとの間の隙間を通過する吸気流体を遮蔽することができる。
【0048】
さらに、
図6(A)、(B)に示すように、スペーサ71には、遮蔽部73である本体部99の下面をケーシング65の底壁65aに押付ける付勢力を発生させる付勢部75が備えられている。この付勢部75は、インタークーラコア67が、ケーシング65内に収納されて天板77を介して取り付けられた後に、スペーサ71に付勢力を与えてスペーサ71をケーシング65の底壁65aに押付けることで、スペーサ71を介して遮蔽部73である本体部99の下面をケーシング65の底壁65aに押付けるようにしている。また、遮蔽部73が付勢力を有しており、遮蔽部73自体がケーシング65の底壁65aに押付けるように構成されていてもよい(
図9)。
【0049】
次に、水冷インタークーラ53を、ケーシング65の内部へ取り付ける手順について説明する。
まず、吸気マニホールド21を構成するケーシング65をエンジン1のシリンダヘッド11にボルトで締結する。その後に、インタークーラコア67にスペーサ71をスペーサ係合部101、102によって組み付ける。その後、上部の収納開口63から、インタークーラコア67にスペーサ71が係合して組み付けた状態のものを挿入して、ガスケット107を介して天板77を取付ボルト79で固定してケーシング65の内部に収納して取り付ける。
【0050】
以上のように、インタークーラコア67は、天板77を介して固定するだけであり、ケーシング65の底壁65aとインタークーラコア67の下端面との間には固定箇所はなく、インタークーラコア67は上部から吊り下げられた状態であり、ケーシング65の底壁65aとインタークーラコア67の下端面との間には隙間が存在するように取り付けられる。
【0051】
すなわち、ケーシング65の底壁65aとインタークーラコア67の下端面との隙間をなくして密着させるようにすると、ケーシング65及びインタークーラコア67の仕上がり寸法管理、及びインタークーラコア67のケーシング65内への組み付け時の位置合わせ精度を高める作業等を行わなければならず、作業の煩雑化が生じ、場合によっては組み付けできないことも生じる。従って、インタークーラコア67は上部から吊り下げ状態にして挿入してケーシング65の底壁65aとインタークーラコア67の下端面との間に隙間が存在するように組み付けて、その隙間にスペーサ71を設けて隙間による冷却性能の悪化を解消している。
【0052】
従って、本実施形態によれば、スペーサ71をインタークーラコア67に組付け、その後、上部の収納開口63から、インタークーラコア67にスペーサ71が組み付いた状態のものを挿入することで、部品の寸法公差の管理や組み付け位置合わせ等の煩雑な作業を伴わずにケーシング65への取付け作業を容易化することができる。
【0053】
以上説明した本実施形態によれば、インタークーラコア67の取り付け後にインタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁65aとの間に設けられるスペーサ71と、スペーサ71に設けられ、インタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁65aとの間の隙間を塞いで吸気流方向に直交する方向に延在する遮蔽部73と、遮蔽部73をケーシング65の底壁65aに押付ける付勢力を発生させる付勢部75と、を備えることによって、インタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁65aとの間に生じる隙間を、スペーサ71の遮蔽部73によって遮蔽することができる。
さらに、付勢部75によって遮蔽部73をケーシング65の底壁65aに押さえ付けるので、遮蔽部73の遮蔽機能が確実に得られる。これによって、吸気流体(吸気ガス)がインタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁65aとの間に生じる隙間から漏れることが防止される。
【0054】
また、スペーサ71は、スペーサ係合部101、102によって、インタークーラコア67の下部に係合離脱可能に係合して、インタークーラコア67のケーシング65内への収納時にインタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁65aとの間に配設されるので、インタークーラコア67をケーシング65内に収納する際には、係合状態にあるため、スペーサ71のインタークーラコア67への組み付け作業、及びスペーサ71がインタークーラコア67に組み付けられた状態でのケーシング65への組み付け作業が容易化できる。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態は、
図4に示されるように、付勢部75が、スペーサ71に吸気流体が当たる面に設けられた吸気受け部109によって構成され、吸気受け部109に当たった吸気流体によって遮蔽部73(99)をケーシング65の底壁65aに押付ける。
図6(A)、(B)に示すように、スペーサ71の長手方向左側の上流スペーサ係合部101aにおいては、吸気流上流側の吸気流体が当たる面に吸気受け部109が形成されている。また、スペーサ71の長手方向右側の上流スペーサ係合部101bにおいても吸気流上流側の吸気流体が当たる面に吸気受け部109が形成されている。
この吸気受け部109は、吸気流方向に対して上り傾斜面に形成されている。吸気流体の流れ方向の作用力の傾斜面に直角方向の分力による作用によって、スペーサ71の本体部99は、ケーシング65の底壁65a方向に傾くように押し付ける押し付け力が発生する。この押し付け力によってスペーサ71の遮蔽機能が十分に発揮されるようになる。
【0056】
本発明の幾つかの実施形態は、
図4に示されるように、スペーサ71の長手方向左側と右側とで、上流スペーサ係合部101a、101bと下流スペーサ係合部102a、102bの高さ(長さ)が異なる構成になっている。
図2に示されるように、インタークーラコア67は、冷却水の導入及び排出を行う冷却水通路93が接続されるとともに、インタークーラコア67の内部にも左右端部の一方側において上下方向に冷却水配管93aが設けられている。そのため、冷却水配管93aが設けられる一方側のスペーサ係合部101aを他方側のスペーサ係合部101bより長く形成されている。
【0057】
インタークーラコア67の内部には冷却水配管93aが左右端部の一方側に上下方向に設けられているため、その位置に対応してスペーサ係合部を設けることによる吸気抵抗の増大の影響を少なくして、付勢部75としての押し付け力を得ることができる。
すなわち、スペーサ係合部101aをインタークーラコア67の上流側面に、インタークーラコア67の高さの略全域に渡るように設けても、元々冷却水配管93aのために通気抵抗が存在していたため、スペーサ係合部101aの設置による冷却性能への影響はなく、水冷インタークーラ53の冷却性能への影響を小さくしつつスペーサ係合部101aによる係合力によってスペーサ71の取付けが確実に得られる。
【0058】
本発明の幾つかの実施形態は、
図5に示されるように、付勢部75が、インタークーラコア67の下端面とスペーサ71との間に設けられたスプリングであり、このスプリングが、スペーサ71の本体部99の中央部分がインタークーラコア67側に切り起こされて形成される板バネ部111によって構成されている。
【0059】
図7に示す断面形状のように、インタークーラコア67の長手方向及び短手方向のそれぞれの中央部に対称位置に、さらに対称形状に板金製のスペーサ71の本体部99を切り起こして、矩形状の板バネ部111を形成している。
このように、板バネ部111がスペーサ71の本体部99の中央部に位置する部分がインタークーラコア67側に切り起こされて板バネ部111が形成されるので、スプリングを別部品として装着することなく簡単に設けることができる。また、遮蔽部73(99)の押し付け力を長手方向に均等に付与することができる。なお、
図7のLを広げた方が安定化する。
また、
図5では、一方側のスペーサ係合部101a'と他方側のスペーサ係合部101bとの高さ(長さ)を同等したが、
図4の実施形態で説明した吸気受け部109による付勢部75と組み合わせてもよく、このように、板バネ部111と吸気受け部109とを組み合わせて付勢部とすることで、より大きな押し付け力が得られるため、遮蔽部73(99)による遮蔽能力が一層向上する。
【0060】
本発明の幾つかの実施形態は、
図8(A)、(B)に示されるように、スペーサ係合部101、102は、その先端部がインタークーラコア67の外側へ湾曲する湾曲部113、及びスペーサ係合部101、102の湾曲部113の根元側に直線状の直線部115を有している。そして、その直線部115の長さが、インタークーラコア67を構成する上下の冷却水槽91間に設けられるコルゲートフィン97の高さより高く(長く)形成されている。
【0061】
インタークーラコア67にスペーサ71のスペーサ係合部101、102を組み込む際、または、インタークーラコア67にスペーサ71を組み込み、その後ケーシング65内部に収納して押し付ける際に、湾曲部113があることで、スペーサ係合部101、102が引っ掛かることなく円滑にインタークーラコア67に組付けることができる。
【0062】
さらに、
図8(B)のように、直線部115の長さが、インタークーラコア67の上下の冷却水槽91間に設けられるコルゲートフィン97の高さより高く(長く)形成されることによって、直線部115が上下の冷却水槽91間に嵌って、つかえて動かなくなる虞を解消できる。すなわち、冷気水槽91間に引っ掛かりスペーサ係合部101、102の組付けができなくなることを防止できる。
【0063】
本発明の幾つかの実施形態は、
図9に示されるように、
図5に示す実施形態の板バネ部111に代えて、付勢部が折曲板バネ部117によって構成されるとともに、スペーサ71の本体部99の下面に下方向に突出して、長手方向に沿って形成されている。
図9(A)、(B)に示すように、折曲板バネ部117の断面形状は、V字形状をしており、吸気流の上流に向かって開口するように形成されている。なお、
図9(A)、(B)は、
図6(A)、(B)に対応する図であり、インタークーラコア67の挿入時、挿入後の状態を示す。
【0064】
折曲板バネ部117の断面形状は、V字形状をしており、吸気流の上流に向かって開口するように形成されているため、吸気流に対して折曲部が吸気流体の当たる面としての吸気受け部109を構成することで、吸気受け部109に当たった吸気流体によって、折曲板バネ部117をケーシング65の底壁65aに押付ける作用も生じる。
さらに、折曲板バネ部117が、スペーサ71の下面に下方側に向けて設けられ、インタークーラコア67の収納後にインタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁65aとの間の隙間を塞いで吸気流方向に直交する方向に延在するため、遮蔽部73と同様の機能も有する。
【0065】
従って、本実施形態によると、折曲板バネ部117による構成は、遮蔽部73および付勢部75の両機能を有するため、より簡単な構造で、インタークーラコア67とケーシング65の底壁65aとの間の隙間を埋めることが可能になる。