(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スペーサは、前記インタークーラの下端面と前記ケーシングの底壁面との間の隙間に配置され、前記スペーサを前記ケーシングの底壁面へ押し付ける方向に摺動させる前記受圧部を構成する下受圧部を備えることを特徴とする請求項1に記載の吸気装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水冷インタークーラと該インタークーラを収納する収容物との間に隙間が存在ると、インタークーラを通過する吸気の一部が、隙間を通過して、冷却されることなく内燃機関に吸引されてしまう。その結果、インタークーラによる吸気の冷却効率が低下し、吸気の冷却が十分行われなくなり、燃焼温度の上昇によりNOxの増加や、ノッキングの発生等の問題が懸念される。
【0006】
特許文献1には、インタークーラとインタークーラを収納する収容物との間の隙間を塞ぐ技術については示されていない。
また、特許文献2には、インタークーラを内側に収容するサージタンクとの間の隙間を埋めるゴム製のガスケットについて開示されているが、一直線状のゴム製のシール部材を、インタークーラの外周に沿って巻き付けて、収容部のサージタンク内に組み込むものである。このため、シール部材をインタークーラに巻き付ける作業、及びそのシール部材を巻き付けた状態でインタークーラをサージタンク内に力を入れで押し入れる必要があるため、作業性に問題を生じる。
【0007】
さらに、シール部材の厚さを薄めに設定すると、エンジン運転時の熱によるサージタンク側の熱変形をシール部材によって吸収できずに熱変形によってインタークーラが破損する虞もある。さらに、インタークーラとサージタンクとの隙間のばらつきに対応するために、厚みの異なるシール部材を何種類か用意する必要も生じる等の問題も有する。
【0008】
そこで、上記技術的課題に鑑み、本発明の少なくとも一つの実施形態は、インタークーラとインタークーラを収納するケーシングとの間の隙間を埋めることができるともに、ケーシングへの取付け作業が容易なインタークーラを備える吸気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る吸気装置は、内燃機関の吸気通路上に設けられるケーシングと、前記ケーシングの内部に配置されるインタークーラと、を備える吸気装置において、前記ケーシングは前記インタークーラを挿入する開口部を有し、前記インタークーラは、前記インタークーラの一方の端面に形成されて、前記ケーシングの前記開口部の縁部に固定されると共に前記開口部を閉鎖する取付部を有し、前記インタークーラに取り付けられて、前記インタークーラの他方の端面と前記ケーシングの内壁面との間の隙間に配置されるスペーサを備え、前記スペーサは、前記吸気通路を流通する吸気の動圧力を受けて、前記スペーサを前記ケーシングの内壁面側へ摺動させる受圧部を有することを特徴とする。
【0010】
上記構成(1)によれば、インタークーラの他方の端面とケーシングの内壁面との間の隙間に配置されるスペーサを備え、スペーサは、吸気通路を流通する吸気の動圧力を受けて、スペーサをケーシングの内壁面側へ摺動させる受圧部を有するので、インタークーラとケーシングの内壁面との間に生じる隙間を、スペーサの摺動によって減少して吸気流体が漏れにくくできる。これによって、インタークーラによる冷却効率を向上できる。
【0011】
また、インタークーラは、一方の端面をケーシングの開口縁に固定し、他方の端面にスペーサを取り付けるので、インタークーラをケーシング内に収納する際には、インタークーラの他方の端面にスペーサを取り付けた状態で収納できるため、インタークーラ及びスペーサのケーシングへの組付け作業が容易である。
さらに、インタークーラとケーシングの内壁面との間の隙間に配置されるスペーサが、摺動構造であるため、ケーシングとインタークーラとの隙間のばらつきへの対応が容易であり、精度を高めた組み付けが要求されず、インタークーラ及びスペーサのケーシングへの組付け作業が容易となる。
【0012】
(2)幾つかの実施形態では、上記構成(1)において、前記スペーサは、吸気流に対して直角方向に左右に2分割する構造を有し、左右のスペーサのそれぞれに前記受圧部を構成する横受圧部が形成され、左右のスペーサは吸気流体の動圧力によって左右に広がるように摺動されることを特徴とする。
【0013】
上記構成(2)によれば、横受圧部によって、左右のスペーサがそれぞれケーシングの側壁面へ押し付ける方向に広がることで、インタークーラの側面とケーシングの側壁面との隙間が減少して吸気流体が漏れにくくなる。
【0014】
(3)幾つかの実施形態では、上記構成(2)において、前記スペーサは、前記インタークーラの下端面と前記ケーシングの底壁面との間の隙間に配置され、前記スペーサを前記ケーシングの底壁面へ押し付ける方向に摺動させる前記受圧部を構成する下受圧部を備えることを特徴とする。
【0015】
上記構成(3)によれば、下受圧部によって、スペーサをケーシングの底壁面へ押し付ける方向に摺動せしめることで、インタークーラの下端面とケーシングの底壁面との隙間が減少して吸気流体が漏れにくくなる。
【0016】
(4)幾つかの実施形態では、上記構成(3)において、前記下受圧部は、前記左右のスペーサに設けられるとともに、前記左右のスペーサが開いた場合でもオーバラップするように構成されることを特徴とする。
【0017】
上記構成(4)によれば、左右のスペーサが左右に開いた状態になっても、下受圧部はオーバラップすることで左右のスペーサ間で隙間が生じないため、吸気流体がインタークーラコアの下端面とケーシングの底壁面との間から漏れることが防止される。これによって、遮蔽性能が確保される。
【0018】
(5)幾つかの実施形態では、上記構成(1)から(4)のいずれか一の構成において、前記スペーサは板金製よって構成され、前記受圧部は吸気流方向に対して傾斜角度を有し前記インタークーラの吸気流上流端部分に設置されることを特徴とする。
【0019】
上記構成(5)によれば、スペーサが板金製からなり、さらに受圧部が吸気流方向に対して傾斜角度を有しインタークーラの吸気流上流端部分に設置されるので、吸気流体を受け止めて吸気流体の動圧力を効果的に発生させることができる。その結果、スペーサをケーシングの内壁面へ押し付ける方向に摺動して押付力を効果的に生起せしめて、スペーサの遮蔽機能を高めることができる。
【0020】
(6)幾つかの実施形態では、上記構成(5)において、前記スペーサはアルミ製であることを特徴とする。
上記構成(6)によれば、熱伝導性に優れたアルミを採用することで冷却効率をさらに向上することができる。
【0021】
(7)幾つかの実施形態では、上記構成(6)において、前記スペーサはマグネシウムで被覆されていることを特徴とする。
上記構成(7)によれば、アルミ製のスペーサを酸性溶液中においてアルミより溶け易いマグネシウムで被覆することで、母材のアルミを保護することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、インタークーラとインタークーラを収納するケーシングとの間の隙間を埋めることができるともに、ケーシングへの取付け作業が容易なインタークーラ及びスペーサを備える吸気装置を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、これらの実施形態に記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状及びその相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0025】
図1は、発明の一実施形態に係る水冷インタークーラが備えられた内燃機関の全体システム構成図である。車両に搭載される内燃機関としての多気筒ディーゼルエンジン(エンジン)1を例に説明する。エンジン1の排気通路3には排気浄化装置5が備えられている。エンジン1のシリンダブロック7のボア内にはピストン9が往復動自在に備えられ、ピストン9とシリンダヘッド11との間で燃焼室13が形成されている。ピストン9はコンロッド15を介してクランクシャフト17に接続され、ピストン9の往復運動によってクランクシャフト17が駆動される。
【0026】
シリンダヘッド11には吸気ポート19を介して吸気マニホールド21を含む吸気通路23が接続されている。吸気ポート19は吸気バルブ25により開閉される。また、シリンダヘッド11には排気ポート27を介して排気マニホールド29を含む排気通路3が接続されている。排気ポート27は排気バルブ31により開閉される。
【0027】
シリンダヘッド11には各気筒の燃焼室13に燃料を直接噴射する燃料噴射弁33が設けられ、燃料噴射弁33には高圧燃料ポンプ35によって加圧された燃料がコモンレール37を介して供給される。コモンレール37では燃料が所定の燃圧に調整され、燃料噴射弁33には所定の燃圧に制御された高圧燃料が供給されるようになっている。
【0028】
吸気通路23及び排気通路3の途中部には過給機としてターボチャージャ39が設けられ、ターボチャージャ39は排気通路3側にタービンが備えられ、タービンに連結されたコンプレッサが吸気通路23側に備えられ、吸気が過給されるようになっている。
【0029】
ターボチャージャ39の下流側の排気通路3には、排気浄化装置5として、ディーゼル酸化触媒43及び排気浄化用のディーゼルパティキュレートフィルタ45を備えている。
排気浄化装置5の下流側(ターボチャージャ39の下流側)の排気通路3には、低圧EGR通路47の一端が接続され、低圧EGR通路47の他端はターボチャージャ39の上流側の吸気通路23に連通している。低圧EGR通路47には低圧EGRクーラ49が設けられ、低圧EGR通路47の吸気通路23との接続部の近傍には低圧EGRバルブ51が設けられている。
【0030】
低圧EGRバルブ51を開くことで、ターボチャージャ39の下流側の排気通路3を流れる排気ガスの一部が低圧EGR通路47に導入され、低圧EGR通路47に導入された排気ガスは低圧EGRクーラ49で冷却されてターボチャージャ39の上流側の吸気通路23に供給される。
【0031】
また、吸気通路23を構成する吸気マニホールド21には、吸気装置52が設けられており、該吸気装置52は、吸気マニホールド21からなるケーシング65と、該ケーシング65の内部に配設された水冷インタークーラ(インタークーラ)53とを備えて構成されている。
【0032】
ターボチャージャ39で過給された吸気は水冷インタークーラ53で冷却されて燃焼室13に送られるようになっている。
図1に示すように、エンジン1には、水冷インタークーラ53を備えた水冷インタークーラシステム55が設けられている。この水冷インタークーラシステム55は、水冷インタークーラ53と、冷却媒体としての冷却水を循環させる冷却水回路57と、冷却水を圧送する循環ポンプ59と、冷却水を冷却するラジエータ61とを備えている。
【0033】
ケーシング65は、
図2に示すように、吸気マニホールド21に一体的に形成されており、上部に収納開口63を有し、収納開口63から下方向に挿入されて水冷インタークーラ53がケーシング65の内部に収納されるようになっている。
なお、ケーシング65に対して上部の収納開口63から下方向に挿入する例を説明するが、必ずしも、上から下方向に挿入する場合に限定されるものではない。
【0034】
水冷インタークーラ53は、
図2に示すように、熱交換部を構成するインタークーラコア67と、インタークーラコア67の一方の端面である上端面、ケーシング65の収納開口63の縁部に固定するインタークーラ取付部(取付部)69と、を備えている。
【0035】
また、吸気装置52は、インタークーラコア67の下部に摺動自在に支持されるように取り付けられて、インタークーラコア67の他方の端面である下端面とケーシング65の底壁面65bとの間の隙間に配置されるスペーサ71を備え、スペーサ71は、吸気通路23を流通する吸気の動圧力を受けて、スペーサ71をケーシング65の内壁面である側壁面65a側及び底壁面65b側へ摺動させて、側壁面65a及び底壁面65bへ押付力を生起する受圧部73を有している。
【0036】
また、インタークーラコア67の上端面には、インタークーラ取付部69を構成する天板76が設けられ、天板76の周囲には取付ボルト78が締結されている。
図2は、インタークーラコア67にスペーサ71が係合した状態が示されている。
【0037】
また、
図2に示すように、ケーシング65には、エンジン1に取り付けられた状態で吸気入口181が、紙面手前の下方部に位置し、吸気出口183が、紙面奥側に開口して形成されている。そして、吸気流れQの方向は、下方から上昇してインタークーラコア67に対して、紙面の手前側から奥側に向かって流れるようになっている。
吸気出口183は、エンジン1のシリンダヘッド11の側面に形成された吸気ポート19の開口に連結する。吸気出口183側には複数の取付ボルト孔185が設けられた取付フランジ187が形成されている。
【0038】
また、
図2に示すように、インタークーラコア67の熱交換部は、吸気が通過する空気層89と、冷却水が通過する冷却水層91とが交互に積層されて構成されている。
一方の冷却水通路93から導入され、他方の冷却水通路93から排出される冷却水が、複数の冷却水層91の内部を循環するようになっている。また、空気層89は、複数の冷却水層91相互間の間隙に設けられ、薄板を蛇行状に折り曲げ加工してなるコルゲートフィンを備えている。コルゲートフィンは、吸気が吸気入口181側から吸気出口183側へ通過するように形成されている。
【0039】
図3、4に示すように、スペーサ71は、吸気流に対して直角方向に左右に2分割する構造であり、またスペーサ71は、板金製で形成されている。板金材を折り曲げ、または折り曲げと接合によって形成されている。
このスペーサ71は、ステンレス製によって形成されており、より良くはアルミ製(アルミ合金を含む)を採用してもよい。アルミ製にすることで、ステンレスよりも熱伝導性に優れているため、冷却効率をさらに向上することができる。
また、アルミ製のスペーサ71に対してマグネシウムで被覆してもよい。アルミ製スペーサを、酸性溶液中においてアルミよりも溶け易いマグネシウムで被覆することで、母材のアルミを保護することができる。
【0040】
左右のスペーサ71a、71bのそれぞれには、左右の横受圧部73a、73bが設けられ、吸気流体の動圧力を受けて、左右のスペーサ71a、71bを、ケーシング65の側壁面65a側へ摺動可能になっている。
また、左右のスペーサ71a、71bは、オーバラップ部C(
図4参照)を除き、基本構造は同一であり左右は対称形状になっている。従って、
図3に示す吸気流上流側から見て左側の左スペーサ71aについて主に説明し、右スペーサ71bについては添文字bを付して示す。
【0041】
図3、4に示すように、左スペーサ71aは、インタークーラコア67の下端面に沿って移動する平面視形状が略四角形状に形成された本体部77(77a、77b)を有している。さらに、本体部77の吸気流の上流端側には、長手方向の全域にわたって上流側係合爪79(79a、79b)が立設されている。吸気流の下流側においても、下流側係合爪81(81a、81b)が長手方向の一部領域に立設されている。
この上流側係合爪79及び下流側係合爪81は、インタークーラコア67の下端部に形成されたレールフランジ80に係合して、左スペーサ71aを摺動自在に支持している。レールフランジ80と上流側係合爪79及び下流側係合爪81との係合状態の断面図を
図7、8に示す。
【0042】
左スペーサ71aの本体部77aの左端辺部には、略三角形状の左縦壁83aが立設され、その左側壁の上流端部であってインタークーラコア67の吸気流上流端部分には、平板状の左横受圧部73aが形成されている。左横受圧部73aは、その平面視形状が、
図5(A)、(B)に示されるように、吸気流れQの方向に対して傾斜角θ1の角度をもった傾斜面を形成している。このため、吸気流体の動圧力を受けると左スペーサ71aを左側にスライドする方向に分力が作用する。
【0043】
この左横受圧部73aは、平板状であり、上下方向の高さはインタークーラコア67の略全高に渡る高さを有している。また、幅は左縦壁83aから左側に突出して形成されている。
一方、左縦壁83aが左スペーサ71aとともに移動すると、左縦壁83aとインタークーラコア67の左壁面67aとの間に隙間が生じるので、そこから吸気流体が通過してしまう。この通過流体を防止又は抑制するために、左横受圧部73aに連続して右側に張り出した遮蔽板85aを備えている。
左縦壁83a、左横受圧部73a、遮蔽板85a、上流側係合爪79a、及び下流側係合爪81aは、左スペーサ71aの本体部77aと一体的でも溶接等で接合されていてもよい。
【0044】
また、
図6(A)、(B)に示すように、(A)に示すスライド前の状態では、インタークーラコア67の前面に遮蔽部85(85a、85b)が位置していても、(B)に示すスライド後の状態では、遮蔽部85(85a、85b)は、横受圧部73(73a、73b)とともに移動するため、インタークーラコア67の前面に位置しないようになるため、左右のスペーサ71a、71bが広がった後においては吸気抵抗とはならない。
【0045】
次に、左右のスペーサ71a、71bの開閉作動について説明する。
始動時及び低回転運転時においては、吸気流体の流速は上昇していないため、左右の横受圧部73a、73bによって、インタークーラコア67とケーシング65の左右の側壁間の隙間が狭められないが、始動時及び低回転運転時においては、大きな冷却要求はされないため冷却効果において問題は生じにくい。また、始動時においては、インタークーラコア67とケーシング65の左右の側壁間の隙間が狭められていないことから吸気流量かが確保され、始動性においても問題は生じにくい。
【0046】
一方、高負荷高回転時においては、ターボチャージャ39での圧縮によって上昇した吸気温度を冷却する水冷インタークーラ53による冷却能力は大きく要求される。従って、高負荷高回転時においては、吸気流体の流速は上昇しているため、左右のスペーサ71a、71bに設けられた左右の横受圧部73a、73bによって、吸気流体の動圧力を受けて、左右の横受圧部73a、73bの端部をケーシング65の側壁面65aへ押し付ける方向に摺動して、押付力が生起されて、左右の横受圧部73a、73bの端部とケーシング65の側壁面65aとの間の隙間が減少して吸気流体が漏れにくくなる。
【0047】
図5は上からの平面視図であり、
図5(A)はスペーサ71のスライドが閉じている状態を模式的に示し、
図5(B)はスペーサのスライドが開いている状態を模式的に示す。また、
図6は、
図5における吸気流上流側からの正面視図であり、
図6(A)はスペーサ71のスライドが閉じている状態を模式的に示し、
図6(B)はスペーサ71のスライドが開いている状態を模式的に示す。
【0048】
例えば、
図6に示すように、左右のスペーサ71a、71bが閉じている場合には、左右の横受圧部73a、73bの端部とケーシング65の側壁面との間には、隙間L1が存在し、吸気流体の動圧力を受けて、左右の横受圧部73a、73bによって左右のスペーサ71a、71bがスライドして開いた場合には、左右の横受圧部73a、73bの端部とケーシング65の側壁面65aとの間に存在する隙間は、隙間L2に減少することが示されている。
【0049】
以上のように、本実施形態によれば、インタークーラコア67の下端部とケーシング65の底壁面65bとの間の隙間に配置されるスペーサ71を備え、スペーサ71は、左右に分割され、左右のスペーサ71a、71bに設けられ左右の横受圧部73a、73bを備えることによって、吸気通路23を流通する吸気の動圧力を受けて、左右のスペーサ71a、71bをケーシング65の側壁面65a側へ摺動させて、側壁面65aへ押付力を生起するので、インタークーラコア67とケーシング65の側壁面65aとの間に生じる隙間を、スペーサ71a、71bの摺動によって減少して吸気流体を漏れにくくできる。これによって、水冷インタークーラ53による冷却効率を向上できる。
【0050】
本発明の幾つかの実施形態は、
図2から8に示されるように、左右のスペーサ71a、71bのそれぞれには、左右の横受圧部73a、73bに加えて、更に左右の下受圧部101a、101bを備えている。
左スペーサ71aについて主に説明するが、右スペーサ71bについても同様である。
左下受圧部101aは、前述した上流側係合爪79aによって構成される。すなわち、上流側係合爪79aの吸気流上流側の面は、
図7に示されるように、吸気流れQの方向に対して傾斜角θ2の角度をもって傾斜した傾斜面に形成されている。このため、吸気流体の動圧力を受けると上流側係合爪79aを下側にスライドする方向に分力が作用する。
【0051】
この上流側係合爪79aは、インタークーラコア67の下端部に形成されたレールフランジ80に係合して、左スペーサ71aをスライド可能に支持しているので、上流側係合爪79とレールフランジ80との間には、スライドを可能にするための隙間が存在する。このスライド機構内の上下方向の隙間を埋めるように、上流側係合爪79aを下方に摺動させて、左スペーサ71aの下端面をケーシング65の底壁面65b側へと押し付ける押付力を生起せしめ、左スペーサ71aの下端面とケーシング65の底壁面65bとの間の隙間が減少して吸気流体を漏れにくくしている。なお、右スペーサ71bの右下受圧部101bについても同様である。
【0052】
本実施形態によれば、下側の漏れに対しても遮蔽性を向上することができる。従って、左右のスペーサ71a、71bの左右側の隙間を狭める左右の横受圧部73a、73bに加えて、下側の隙間を狭める左右の下受圧部101a、101bを備えることで、更に吸気流体の漏れを減少させて、冷却効率を更に高めることができる。
【0053】
本発明の幾つかの実施形態は、
図4〜6、及び
図8に示すように、左右のスペーサ71a、71bのそれぞれの左右の下受圧部101a、101bは、互いに重なるオーバラップ構造となっている。
図5(A)に示すようにC領域は、
図8に示すように、左下受圧部101aの内側に右下受圧部101bが重なるように入り込む構造となっている。
【0054】
オーバラップ構造は、左右のスペーサ71a、71bが左右に開いた状態になっても、左右の下受圧部101a、101bはオーバラップを維持するようにC領域の長さが設定されている。これによって、左右の下受圧部101a、101b間で隙間が生じないので、吸気流体がインタークーラコア67の下端面とケーシング65の底壁面65bとの間から漏れることが防止される。これによって、遮蔽性能がさらに確保される。
【0055】
本発明の幾つかの実施形態は、
図2、3に示すように、水冷インタークーラ53をケーシング65内部に取り付ける手順は次のようになっている。
まず、吸気マニホールド21を構成するケーシング65をエンジン1のシリンダヘッド11にボルトで締結する。その後、
図3のように、インタークーラコア67の下端部に形成されたレールフランジ80に、左右のスペーサ71a、71bの上流側係合爪79a、79b、下流側係合爪81a、81bを引っ掛けて、左右両側から中央部に向けて左右のスペーサ71a、71bを摺動(スライド)する。これによって、インタークーラコア67に、左右のスペーサ71a、71bを組み付けられる。
その後、
図2のように上部の収納開口63から、インタークーラコア67に左右のスペーサ71a、71bが組み付いた状態のものを挿入して、ガスケット107を介して天板76を取付ボルト78で固定してケーシング65内部に収納して取り付ける。
【0056】
以上のように、インタークーラコア67は、天板76を介しての固定だけであり、ケーシング65の底壁面65bとインタークーラコア67の下端面との間には固定箇所はなく、インタークーラコア67は上部から吊り下げられた状態であり、ケーシング65の底壁面65bとインタークーラコア67の下端面との間には隙間が存在するように取り付けられる。
【0057】
すなわち、ケーシング65の底壁面65bとインタークーラコア67の下端面との隙間をなくして密着させるようにすると、ケーシング65及びインタークーラコア67の仕上がり寸法管理、及びインタークーラコア67のケーシング65内への組み付け時の位置合わせ精度を高める作業等を行わなければならず、作業の煩雑化が生じ、場合によっては組み付けできないことも生じる。従って、インタークーラコア67は上部から吊り下げ状態にして挿入してケーシング65の底壁面65bとインタークーラコア67の下端面との間に隙間が存在するように組み付けて、その隙間にスペーサ71を設けて隙間による冷却性能の悪化を解消している。
【0058】
従って、本実施形態によれば、左右のスペーサ71a、71bをインタークーラコア67に組付け、その後、上部の収納開口63から、インタークーラコア67に左右のスペーサ71a、71bが組み付いた状態のものを挿入することで、さらに、スペーサ71が摺動構造であることによって、部品の寸法公差の管理や組み付け位置合わせ等の煩雑な作業を伴わずにケーシング65への取付け作業を容易化することができる。
摺動構造であるため、ケーシング65とインタークーラコア67との隙間のばらつきへの対応が容易であり、精度を高めた組み付けが要求されず組付け作業が容易となる。