(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
油が封入されたシリンダと、一端が前記シリンダの内部に挿入され、他端が前記シリンダの外部に延出したピストンロッドと、前記ピストンロッドの前記一端に接続されて前記シリンダの内部で前記シリンダの中心軸方向に沿って摺動可能に設けられたピストンと、前記ピストンロッドの変位にともなって前記シリンダ内で前記ピストンが摺動することによって生じる前記油の流れを制御して減衰力を発生する減衰力発生部と、を備えた緩衝器であって、
前記減衰力発生部は、
前記ピストンによって押し出される油が流れ込むポートが形成されたバルブ本体と、
前記ポートの流出口を閉塞するよう設けられ、前記ポートに流れ込んだ前記油の圧力に応じて弾性変形することで減衰力を発揮する減衰バルブと、を備え、
前記ポートの流入口の開口断面積が、前記ポートの流路断面積よりも大きく、
前記流出口が拡径されていない
ことを特徴とする緩衝器。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、本発明による緩衝器を実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこの実施形態のみに限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る緩衝器の全体構成を示す正面図である。
図2は、緩衝器を異なる角度から見た側面図である。
図3は、緩衝器の全体構成を示す断面図である。
図4は、
図3に示した緩衝器の拡大断面図である。
【0013】
「緩衝器」
図1〜
図3に示すように、緩衝器10は、例えば自動二輪車の車体と後輪を支持する後輪支持部との間に設けられ、後輪から入力される衝撃や振動を緩衝する。以下の説明において、緩衝器10は、例えば上下方向に延び、その上端部に設けられた車体側取付部材10tが車体側に連結され、下端部に設けられた車軸側取付部材10bが後輪側に連結される。ただし、本発明は、緩衝器10を例えば横方向(略水平方向)に延びるように設ける場合を排除するものではない。
【0014】
緩衝器10は、シリンダ11と、ピストン12(
図3参照)と、ピストンロッド13と、リザーバ30と、減衰力発生装置(減衰力発生部)40と、スプリング14と、を備える。
【0015】
図3、
図4に示すように、シリンダ11は、同心状の二重管をなす内筒20と外筒21とによって構成されている。
内筒20の外径は、外筒21の内径よりも一定寸法小さく形成されている。これによって内筒20と外筒21との間には、円筒状の環状流路101が形成されている。
【0016】
緩衝器10の上端部側には、車体側取付部材10tが設けられたダンパーケース15が配置されている。ダンパーケース15には、シリンダ11側に延びる円筒状のシリンダ保持部16が設けられている。外筒21は、その上端部21tがシリンダ保持部16に挿入されて保持されている。
【0017】
図4に示すように、内筒20は、その上端部20tが、外筒21の上端部21tよりも上方に延び、ダンパーケース15に形成された内筒保持凹部18に挿入されて保持されている。内筒保持凹部18は、内筒20の上端部20tが挿入される内径を有している。内筒保持凹部18は、内筒20の上端部20tが突き当たる突き当たり面18tを有し、内筒20の上方(車体側取付部材10t側)への移動を拘束した状態で、内筒20を固定している。
【0018】
外筒21は、上端部21tが内筒20の上端部20tよりも下方のピストンロッド13側に位置している。
また、外筒21は、その下端部21bが内筒20の下端部20bよりも所定寸法下方に突出するように形成されている。
【0019】
外筒21の下端部21bの内側には、ロッドガイド25が設けられている。ロッドガイド25は、外筒21の内周面に接して外筒21の下端部21bの内側を閉塞するプレート部25pと、プレート部25pの上面からダンパーケース15側に向かって延びる筒状部25tと、を一体に有している。
ロッドガイド25の筒状部25tは、内筒20の下端部20bに挿入され、これによって内筒20の下端部20bを、その中心軸に交差する方向に移動しないよう保持している。
ロッドガイド25のプレート部25pは、内筒20の下端部20bと外筒21との間の環状流路101を閉塞している。
【0020】
また、ロッドガイド25は、プレート部25p及び筒状部25tを貫通してピストンロッド13が挿通される挿通孔25hを有しており、ピストンロッド13をその中心軸方向に摺動可能にガイドする。
さらに、ロッドガイド25の筒状部25tの内側には、ピストン12が衝突したときの衝撃を吸収するリバウンドラバー26が設けられている。
【0021】
ピストン12は、ピストンロッド13の上端部(一端)13aに、ナット27によって連結されている。ピストン12は、ピストンロッド13とともに、シリンダ11の内筒20の内側に、内筒20の中心軸方向(上下方向)に沿って摺動可能に設けられている。
このピストン12によって、シリンダ11の内筒20の内側空間は、ピストンロッド13側とは反対側のダンパーケース15側に形成されたピストン側油室S1と、ピストンロッド13側に形成されたロッド側油室S2とに区画されている。
【0022】
図3に示すように、上端部13aがピストン12に連結されたピストンロッド13は、内筒20の中心軸方向に沿って下方に延び、ロッドガイド25を貫通してシリンダ11の外方に突出している。ピストンロッド13の下端部(他端)13bに、車軸側取付部材10bが設けられている。車軸側取付部材10bにおけるシリンダ11側には、緩衝器10の底付きを防ぐためのバンプラバー28がピストンロッド13に挿通して設けられている。
【0023】
ダンパーケース15には、内筒20の上端部20tの開口に対向する位置に、圧側連通路102の一端が開口して形成されている。この圧側連通路102は、ピストン側油室S1と後述する減衰力発生装置40の第一油室S11(
図5参照)とを連通する。
【0024】
内筒20の下端部20bには、周方向に間隔をあけて複数の油孔103が形成されている。これらの油孔103により、ロッド側油室S2と環状流路101とが連通している。
【0025】
ダンパーケース15には、外筒21の上端部21tよりも上方に、伸側連通路105の一端が開口して形成されている。この伸側連通路105は、環状流路101と、後述する減衰力発生装置40の第三油室S13(
図5参照)とを連通する。
【0026】
「リザーバ」
リザーバ30は、ダンパーケース15と一体に形成され、例えば円筒状で、その内部に袋状のブラダ31を備えている。ブラダ31はゴム等の弾性体によって袋状に成形されたもので、膨張及び収縮が可能となっている。ブラダ31の内部には、エア等のガスが充填されている。また、リザーバ30内において、ブラダ31の外側の空間は、油溜室S3とされ、リザーバ連通路(連通路)107を介して、後述する減衰力発生装置40の第二油室S12(
図5参照)に連通している。
【0027】
上記したようなシリンダ11内のピストン側油室S1、ロッド側油室S2、内筒20と外筒21との間の環状流路101、リザーバ30内の油溜室S3、及び後述する減衰力発生装置40内には、流体であるオイルが充填されている。
【0028】
「減衰力発生装置」
図5は、ダンパーケースに設けられた減衰力発生装置を示す断面図である。
図5に示すように、減衰力発生装置40は、ダンパーケース15と一体に形成された有底筒状のダンパシリンダ29に対し、ダンパーユニット41が着脱可能に設けられた構成からなる。
ダンパーユニット41は、全体として円柱状をなし、ホルダ部材42と、アウターキャップ43と、メインダンパ60と、減衰調整部80と、を主に備えている。
【0029】
ホルダ部材42は、一端42a側の所定長部分に形成され、一定の外径を有した軸状部45と、他端42b側に形成され、軸状部45よりも外径が大きな大径部46と、を一体に備えている。大径部46には、他端42b側から一端42a側に窪んだ凹部47が形成されている。さらに、ホルダ部材42には、軸状部45の中心軸C方向に沿って連続し、一端42aと凹部47とに開口する中心孔48が形成されている。
また、大径部46には、径方向内側の凹部47と径方向外側とを連通する孔46hが、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0030】
アウターキャップ43は、円環状で、大径部46の外周面にねじ込まれて装着されている。このアウターキャップ43は、ダンパシリンダ29の開口部29aを塞ぐよう設けられ、開口部29aの内周面に装着されたCリング49によって、ダンパシリンダ29から抜け出る方向への移動が規制されている。
【0031】
メインダンパ60は、ホルダ部材42の大径部46側から一端42a側に向かって、圧側出口チェック弁(チェックバルブ)61、伸側ピストン(バルブ本体)62、伸側減衰バルブ(減衰バルブ)63、中間部材64、圧側減衰バルブ(減衰バルブ)65、圧側ピストン(バルブ本体)66、伸側出口チェック弁(チェックバルブ)67、及びストッパプレート68が順次配置されている。これらの、圧側出口チェック弁61、伸側ピストン62、伸側減衰バルブ63、中間部材64、圧側減衰バルブ65、圧側ピストン66、伸側出口チェック弁67、及びストッパプレート68は、それぞれ円環状に形成され、その中心部にホルダ部材42の軸状部45が挿通されている。
【0032】
伸側ピストン62には、複数の伸側入口ポート(伸側ポート)62tと圧側出口ポート62cとが、周方向に沿って交互に形成されている。伸側入口ポート62t、圧側出口ポート62cは、それぞれ、伸側ピストン62を中心軸C方向に貫通して形成されている。
伸側減衰バルブ63は、伸側入口ポート62tの中間部材64側の出口を塞ぐように設けられている。伸側減衰バルブ63は、複数枚のディスクバルブ63vを積層して構成されている。
圧側出口チェック弁61は、ディスクバルブ61vからなり、圧側出口ポート62cの大径部46側の出口を塞ぐように設けられている。
【0033】
圧側ピストン66には、複数の圧側入口ポート(ポート、圧側ポート)66cと伸側出口ポート66tとが、周方向に沿って交互に形成されている。圧側入口ポート66c、伸側出口ポート66tは、それぞれ、圧側ピストン66を中心軸C方向に貫通して形成されている。
圧側減衰バルブ65は、圧側入口ポート66cの中間部材64側の出口を塞ぐように設けられている。圧側減衰バルブ65は、複数枚のディスクバルブ65vを積層して構成されている。
伸側出口チェック弁67は、ディスクバルブ67vからなり、伸側出口ポート66tのストッパプレート68側の出口を塞ぐように設けられている。
【0034】
中間部材64は、伸側減衰バルブ63と圧側減衰バルブ65との間に配置されている。中間部材64は、径方向に連続し、径方向内側と径方向外側とを連通する流路64hが、周方向に間隔をあけて複数形成されている。ホルダ部材42の軸状部45には、中間部材64の各流路64hに連通する位置に、中心孔48から径方向外側に延びる流路70が形成されている。
【0035】
伸側減衰バルブ63、圧側減衰バルブ65は、通常時は圧側入口ポート66c、伸側入口ポート62tを閉塞してオイルの流れを遮断している。伸側減衰バルブ63、圧側減衰バルブ65は、圧側入口ポート66c、伸側入口ポート62tを通るオイルの圧力に応じて撓み変形し、圧側入口ポート66c、伸側入口ポート62tとの隙間をオイルが通るときに、減衰力を発生する。伸側減衰バルブ63、圧側減衰バルブ65は、ディスクバルブ63v、65vの枚数を調整することで、発生する減衰力を調整する。
圧側出口チェック弁61、伸側出口チェック弁67は、通常時は圧側出口ポート62c、伸側出口ポート66tを閉塞してオイルの流れを遮断し、圧側出口ポート62c、伸側出口ポート66tを通るオイルの圧力に応じて撓み変形し、オイルを流通させる。
【0036】
ストッパプレート68は、伸側出口チェック弁67に対して、ホルダ部材42の軸状部45の一端42a側に配置されている。
軸状部45の一端42aに形成されたネジ溝45nには、ナット部材69が螺着され、このナット部材69とホルダ部材42の大径部46との間に、圧側出口チェック弁61、伸側ピストン62、伸側減衰バルブ63、中間部材64、圧側減衰バルブ65、圧側ピストン66、伸側出口チェック弁67、及びストッパプレート68が挟持されている。
【0037】
減衰調整部80は、圧側調整弁81と、圧側アジャスタ82と、伸側調整弁83と、伸側アジャスタ84と、を備えている。
【0038】
圧側調整弁81は、先端部側がホルダ部材42の大径部46に形成された凹部47から中心孔48内に挿入され、基端部(他端42b)側には、凹部47内で円板状のエンドピース81bが結合されている。
【0039】
圧側調整弁81は、中心孔48の内径よりも小さな外径を有し、これによって、中心孔48の内周面と圧側調整弁81の外周面との間には、隙間流路85が形成されている。また、圧側調整弁81は、その先端部(一端42a)側に、先端に行くにしたがってその外径が漸次小さくなる弁部81vを備えている。中心孔48には、流路70よりもホルダ部材42の一端42a側に、内径が絞られた絞り部71が形成されており、弁部81vは、絞り部71に挿入されている。
【0040】
圧側アジャスタ82は、アウターキャップ43の内側に装着されたインナーキャップ87に、その中心軸回りに回動自在に保持されている。圧側アジャスタ82は、凹部47内に延び、エンドピース81bに螺合している。圧側アジャスタ82の基部82aは、インナーキャップ87から外方に露出している。これにより、ダンパーケース15の外側から圧側アジャスタ82を回転させると、圧側アジャスタ82に沿ってエンドピース81bが中心軸C方向に進退する。すると、圧側調整弁81の弁部81vが絞り部71に対して進退し、絞り部71と弁部81vとの間の隙間を増減する。
【0041】
伸側調整弁83は、凹部47内に設けられ、中心孔48の凹部47側における開口に向かって延びる筒状の弁部83vを一体に備えている。伸側調整弁83には、圧側調整弁81が挿通されている。
【0042】
伸側アジャスタ84は、アウターキャップ43の内側に装着されたインナーキャップ87に、その中心軸回りに回動自在に保持されている。伸側アジャスタ84は、凹部47内に延び、伸側調整弁83に螺合している。伸側アジャスタ84の基部84aは、インナーキャップ87から外方に露出している。これにより、ダンパーケース15の外側から伸側アジャスタ84を回転させると、伸側調整弁83が中心軸C方向に進退する。すると、伸側調整弁83の弁部83vが中心孔48の開口に対して進退し、弁部83vと隙間流路85との間の隙間を増減する。
【0043】
上記したような構成の減衰力発生装置40において、伸側ピストン62,圧側ピストン66は、それぞれ、以下に示すようなバルブ本体75によって形成されている。
図6は、伸側ピストン62、及び圧側ピストン66を形成するピストン部材を示す斜視図である。
図6に示すように、バルブ本体75は、内周壁75iと、内周壁75iの径方向外側に形成された外周壁75oと、周方向に間隔を開けて複数設けられ、それぞれ径方向に延びてこれら内周壁75iと外周壁75oとを連結する連結壁75wと、を一体に備えている。
内周壁75iの内側には、ホルダ部材42の軸状部45が挿通される挿通孔75hが形成されている。
外周壁75oの外周面には、径方向外側に突出した突出壁75mが周方向に連続して形成されている。突出壁75mの外周面には、ダンパシリンダ29の内周面に突き当たることで、バルブ本体75とダンパシリンダ29の内周面との間をシールするシールリング76が設けられている。
【0044】
バルブ本体75には、内周壁75iと外周壁75oとの間に、第一ポート77と第二ポート78とが、周方向に沿って交互に形成されている。第一ポート77、第二ポート78は、それぞれ、周方向において互いに隣り合う連結壁75w,75wの間に形成されている。第一ポート77、第二ポート78は、それぞれ、バルブ本体75の一端75a側と他端75bとを結ぶ方向に貫通している。第一ポート77は、例えば、伸側入口ポート62t又は圧側入口ポート66cを形成し、第二ポート78は、圧側出口ポート62c又は伸側出口ポート66tを形成する。
【0045】
第一ポート77は、一端75a側をポート入口77aとし、他端75b側をポート出口(ポートの流出口)77bとしている。第一ポート77は、一端75a側において、外周壁75oに一端(他方の端部)75a側から他端(一方の端部)75b側に向かって窪む切欠き(凹部)75kが形成され、径方向外側に開口するポート流入口(ポートの流入口)79Aが形成されている。
第二ポート78は、他端75b側をポート入口78aとし、一端75a側をポート出口78bとしている。第二ポート78は、他端75b側において、外周壁75oに切欠き75jが形成されることで、径方向外側に開口するポート流入口79Bが形成されている。
【0046】
図5、
図6に示すように、この実施形態において、圧側ピストン66を形成するバルブ本体75は、一端75a側に伸側出口チェック弁67が配され、他端75b側に圧側減衰バルブ65が配される。このバルブ本体75において、第一ポート77は、圧側入口ポート66cを形成し、第二ポート78は伸側出口ポート66tを形成する。
圧側入口ポート66cを形成するポート流入口79Aは、第一ポート77に形成された切欠き75kと伸側出口チェック弁67とに囲まれることで形成され、第一ポート77の中心軸に交差する径方向外方に向かって開口している。
ここで、
図5に示すように、ポート流入口79Aの開口断面積A1は、ポート流入口79Aよりも下流側における圧側入口ポート66c(第一ポート77)の流路断面積A0よりも大きく形成されている。
【0047】
また、圧側ピストン66を形成するバルブ本体75は、圧側入口ポート66c及びポート流入口79Aを、6以上10以下備えるようにするのが好ましい。本実施形態では、圧側入口ポート66c及びポート流入口79Aが、例えば周方向に略等間隔に8箇所形成されている。
【0048】
なお、上記の説明では、圧側ピストン66を形成するバルブ本体75において、圧側入口ポート66cを形成する第一ポート77に、第一ポート77よりも断面積が大きいポート流入口79Aを備えるようにしたが、伸側出口ポート66tを形成する第二ポート78においても、ポート流入口79Bの断面積を第二ポート78の断面積よりも大きくしてもよい。
さらに、伸側ピストン62を形成するバルブ本体75においても、ポート流入口79A、79Bの断面積を、第一ポート77、第二ポート78の断面積より大きくしてもよい。
【0049】
図5に示すように、上記したような減衰力発生装置40において、ダンパシリンダ29内は、圧側ピストン66を構成するバルブ本体75のシールリング76と、伸側ピストン62を構成するバルブ本体75のシールリング76とによって、第一油室S11、第二油室S12、第三油室S13に区画されている。
第一油室S11は、圧側ピストン66のシールリング76よりもホルダ部材42の一端42a側に形成され、圧側連通路102を介してピストン側油室S1(
図4参照)に連通している。
第二油室S12は、圧側ピストン66のシールリング76と伸側ピストン62のシールリング76との間に形成され、リザーバ連通路107を介して、リザーバ30の油溜室S3(
図4参照)に連通している。
第三油室S13は、伸側ピストン62のシールリング76とアウターキャップ43との間に形成され、伸側連通路105を介して、シリンダ11の環状流路101(
図4参照)に連通している。
【0050】
また、ホルダ部材42に形成された中心孔48は、ホルダ部材42の一端42aにおいて第一油室S11内に開口している。
中間部材64に形成された流路64hは、第二油室S12内に開口している。
また、ホルダ部材42の大径部46に形成された孔46hは、第三油室S13内に開口している。
【0051】
図7は、上記したような緩衝器の構成を模式的に示した図である。
(圧側動作)
図5、
図7に示すように、ピストン12がシリンダ11内で車体側に移動する圧側行程においては、ピストン側油室S1内のオイルがピストン12により圧縮される。すると、ピストン側油室S1内のオイルは、ダンパーケース15に形成された圧側連通路102から、第一油室S11に送り込まれる。
【0052】
第一油室S11に送り込まれたオイルは、メインダンパ60の圧側ピストン66に形成されたポート流入口79Aから圧側入口ポート66cに流れ込み、その出口側に設けられた圧側減衰バルブ65を押し開き、第二油室S12へと流出する。このとき圧側減衰バルブ65を押し開いて、圧側入口ポート66cの出口と圧側減衰バルブ65との間に形成された隙間をオイルが通ることで、減衰力が発生される。
【0053】
また、第一油室S11に送り込まれたオイルのうちの一部は、ホルダ部材42の一端42aに開口した中心孔48に流れ込み、圧側調整弁81の弁部81vと絞り部71との隙間を通って、軸状部45に形成された流路70、中間部材64に形成された流路64hを介し、第二油室S12に流出する。このとき、オイルの一部が、圧側調整弁81の弁部81vと絞り部71との隙間を通るときに、減衰力が発生される。また、圧側アジャスタ82で圧側調整弁81を進退させて圧側調整弁81の弁部81vと絞り部71との隙間を調整することで、圧側調整弁81の弁部81vと絞り部71との隙間をオイルが通るときに生じる減衰力を調整することができる。
【0054】
第二油室S12に流れ込んだオイルの一部は、ピストン12の移動にともなうシリンダ11内におけるピストンロッド13の容積変化を補償するため、ダンパーケース15に形成されたリザーバ連通路107を通り、油溜室S3に流れ込む。また、第二油室S12に流れ込んだオイルの残部は、伸側ピストン62のポート流入口79Bから圧側出口ポート62cに流れ込み、圧側出口チェック弁61を押し開いて第三油室S13へと流れ込む。
【0055】
第三油室S13に流れ込んだオイルは、伸側連通路105、シリンダ11の環状流路101、複数の油孔103を通してロッド側油室S2に流入する。
【0056】
(伸側行程)
車輪の上下動によってピストン12がシリンダ11内で車輪側に移動する伸側行程においては、ロッド側油室S2内のオイルがピストン12により圧縮される。すると、ロッド側油室S2内のオイルは、内筒20の下端部に形成された油孔103を通り、内筒20と外筒21との間に形成された円筒状の環状流路101へと流れ込む。この環状流路101を流れるオイルは、ダンパーケース15に形成された伸側連通路105を通り、減衰力発生装置40の第三油室S13へと送り込まれる。
【0057】
第三油室S13に送り込まれたオイルは、伸側ピストン62のポート流入口79Aから伸側入口ポート62tに流れ込み、その出口側に設けられた伸側減衰バルブ63を押し開くことで減衰力を発生する。伸側入口ポート62tと伸側減衰バルブ63との間に形成された隙間を通過したオイルは第二油室S12へと流れ込む。
【0058】
また、第三油室S13に送り込まれたオイルのうちの一部は、ホルダ部材42の大径部46に形成された孔46hから凹部47内に流れ込む。そして、オイルは、伸側調整弁83の弁部83vと隙間流路85との間の隙間を通って、隙間流路85,軸状部45に形成された流路70、中間部材64に形成された流路64hを介し、第二油室S12に流出する。このとき、オイルの一部が、伸側調整弁83の弁部83vと隙間流路85との隙間を通るときに、減衰力が発生される。また、伸側アジャスタ84で伸側調整弁83を進退させて伸側調整弁83の弁部83vと隙間流路85との隙間を調整することで、この隙間をオイルが通るときに生じる減衰力を調整することができる。
【0059】
また、ピストン12の移動にともなうシリンダ11内におけるピストンロッド13の容積変化を補償するため、ダンパーケース15に形成されたリザーバ連通路107を通り、油溜室S3から第二油室S12にオイルが流れ込む。
【0060】
第二油室S12に流れ込んだオイルは、圧側ピストン66のポート流入口79Bから伸側出口ポート66tを通り、伸側出口チェック弁67を押し開いて第一油室S11へと流れ込む。
【0061】
第一油室S11内のオイルは、ダンパーケース15に形成された圧側連通路102を通してピストン側油室S1に送り込まれる。
【0062】
本実施形態における緩衝器10、及び減衰力発生装置40においては、ポート流入口79Aの開口断面積A1を圧側入口ポート66cの流路断面積A0よりも大きくしている。圧側入口ポート66cには、モトクロス等の走行時に、例えば10m/sといった高い流速でオイルが流れこむ。このような場合等に、ポート流入口79Aの開口断面積A1を圧側入口ポート66cの流路断面積A0よりも大きくしておくことで、ポート流入口79Aで流路抵抗が増えるのを抑えることができる。したがって、本来減衰力を発揮すべき圧側入口ポート66cと圧側減衰バルブ65との間以外の部位で減衰力が発生するのを防ぎ、緩衝器10としての本来の減衰性能を確実に発揮することができる。
【0063】
また、ポート流入口79Aは、バルブ本体75の外周面に、圧側入口ポート66cの軸線方向に交差する外方を向いて開口しているので、その開口断面積A1を拡大しやすい。したがって、ポート流入口79Aの開口断面積A1を、圧側入口ポート66cの流路断面積A0よりも大きくするという構成を容易に実現することができる。
【0064】
また、ポート流入口79Aは、バルブ本体75の外周面において他端75b側から一端75a側に向かって窪んで圧側入口ポート66cに連通する切欠き75kと、伸側出口チェック弁67との間に開口して形成されている。
このような構成によれば、大入力時の高い流速で油が流れた場合等に、ポート流入口79Aで大きな圧力変動が生じて伸側出口チェック弁67のたわみ(逆反り)が生じるのを防ぐことができる。したがって、伸側出口チェック弁67の耐久性を向上させ、長期にわたって本来の減衰性能を確実に発揮することができる。
【0065】
また、バルブ本体75は、圧側入口ポート66c及びポート流入口79Aを、それぞれ6以上備えることで、それぞれの圧側入口ポート66cの流路断面積A0が小さくなる。これにより、圧側行程時に油が流通する複数の圧側入口ポート66cの総断面積を確保しつつ、各ポート流入口79Aの開口断面積A1を、圧側入口ポート66cの流路断面積A0に対し、容易かつ効果的に大きくすることができる。さらに、これによって油流入時の圧側減衰バルブ65の逆反りも有効に抑えることができる。
【0066】
また、減衰力発生装置40は、ピストン12が圧側に摺動したときに油が流れ込んで減衰力を発生する圧側入口ポート66cと、ピストン12が伸側に摺動したときに油が流れ込んで減衰力を発生する伸側入口ポート62tと、圧側入口ポート66cの圧側減衰バルブ65及び伸側入口ポート62tの伸側減衰バルブ63の下流側に設けられ、リザーバ30に連通したリザーバ連通路107と、を備える。
このような構成によれば、シリンダ11内へのピストンロッド13の進入体積に応じてシリンダ11内の油量が油溜室S3とのやりとりによって補償される。シリンダ11内におけるロッド側油室S2の圧力は、油溜室S3の圧力だけにほぼ依存するため、圧縮行程から伸長行程への移行時にロッド側油室S2の圧力が即座に上昇しないため所要の減衰力が正常に発生しない所謂「減衰力のさぼり」という現象を回避することができる。
【0067】
(その他の実施形態)
なお、本発明の緩衝器は、図面を参照して説明した上述の実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
例えば、減衰力発生装置40に備えた減衰調整部80は、その構成を何ら限定するものでもなく、減衰調整部80を省略する構成としてもよい。
また、上記実施形態では、伸側ピストン62と圧側ピストン66とを、それぞれバルブ本体75により形成するようにしたが、これに限らない。伸側ピストン62と圧側ピストン66のいずれか一方のみを、バルブ本体75により形成してもよい。また、圧側入口ポート66cのみを、径方向外側に開口するポート流入口79Aを備える構成としてもよい。
【0068】
また、緩衝器10の全体の構成は、適宜変更することが可能である。例えば、上記実施形態では、圧側入口ポート66cの圧側減衰バルブ65及び伸側入口ポート62tの伸側減衰バルブ63の下流側が、リザーバ連通路107によってリザーバ30に連通する構成としたが、これに限らない。例えば、リザーバ30自体を備えない構成とすることも可能である。
さらに、シリンダ11を内筒20と外筒21とを備えた二重管構造としたが、一重のシリンダ11のみを備える構成であってもよい。
また、伸側ピストン62、圧側ピストン66が備える構成は、固定的に設けられるピストンに限らず、シリンダ内で移動可能なピストン等にも適用することができる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。