特許第6642241号(P6642241)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642241
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】計器
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20200127BHJP
   H02M 7/06 20060101ALI20200127BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20200127BHJP
【FI】
   B60K35/00 Z
   H02M7/06 E
   B60R16/02 640D
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-87506(P2016-87506)
(22)【出願日】2016年4月25日
(65)【公開番号】特開2017-196944(P2017-196944A)
(43)【公開日】2017年11月2日
【審査請求日】2019年2月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067356
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 容一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100160004
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 憲雅
(74)【代理人】
【識別番号】100120558
【弁理士】
【氏名又は名称】住吉 勝彦
(74)【代理人】
【識別番号】100148909
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧澤 匡則
(74)【代理人】
【識別番号】100161355
【弁理士】
【氏名又は名称】野崎 俊剛
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 慎也
【審査官】 首藤 崇聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−242845(JP,A)
【文献】 特開平09−215320(JP,A)
【文献】 特開2005−263134(JP,A)
【文献】 特開2008−197403(JP,A)
【文献】 特開2009−067342(JP,A)
【文献】 特開昭64−016925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
H02M 7/06
B60R 16/02
B60R 16/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサに供給される電力を生成する電源部と、
前記センサへの前記電力の供給を有効化又は無効化可能なスイッチ部と、
前記スイッチ部の有効化又は無効化を制御するとともに、前記センサによって検知される値に基づき計測値を生成する制御部と、
を備え、
前記電源部は、オルタネータからの出力である交流を直流に変換する電源整流部と、前記電源整流部からの出力である前記直流の電圧とは異なる電圧を有する直流に変換するスイッチングレギュレータと、を有し、
前記スイッチ部が有効化される時に、前記スイッチ部は、前記センサへの前記電力として、前記異なる電圧を有する直流を前記センサに供給し、
前記電源整流部は、複数のダイオードと単一の定電圧ダイオードとが直列接続されたサージカット回路を含むことを特徴とする計器。
【請求項2】
センサに供給される電力を生成する電源部と、
前記センサへの前記電力の供給を有効化又は無効化可能なスイッチ部と、
前記スイッチ部の有効化又は無効化を制御するとともに、前記センサによって検知される値に基づき計測値を生成する制御部と、
を備え、
前記電源部は、オルタネータからの出力である交流を直流に変換する電源整流部と、前記電源整流部からの出力である前記直流の電圧とは異なる電圧を有する直流に変換するスイッチングレギュレータと、を有し、
前記スイッチ部が有効化される時に、前記スイッチ部は、前記センサへの前記電力として、前記異なる電圧を有する直流を前記センサに供給し、
前記スイッチングレギュレータは、前記電源整流部からの前記出力である前記直流の前記電圧よりも低い電圧である前記異なる電圧を出力する降圧型スイッチングレギュレータであり、
前記電源整流部には、前記オルタネータからの出力である交流だけでなく、バッテリからの直流も入力され、
前記降圧型スイッチングレギュレータの出力である前記低い電圧は、前記バッテリの出力である前記直流の電圧であって、前記制御部が動作可能な下限値であり、且つ前記電源整流部の入力である電圧から、前記電源整流部の前記出力での電圧ドロップ分を差し引いた値以下に設定されることを特徴とする計器。
【請求項3】
燃料センサに供給される電力を生成する電源部と、
前記燃料センサへの前記電力の供給を有効化又は無効化可能なスイッチ部と、
前記スイッチ部の有効化又は無効化を制御するとともに、前記燃料センサによって検知される値に基づき燃料残量を生成する制御部と、
を備え、
前記電源部は、オルタネータからの出力である交流を直流に変換する電源整流部と、前記電源整流部からの出力である前記直流の電圧とは異なる電圧を有する直流に変換するスイッチングレギュレータと、を有し、
前記スイッチ部が有効化される時に、前記スイッチ部は、前記燃料センサへの前記電力として、前記異なる電圧を有する直流を前記燃料センサに供給し、
前記燃料残量は、バッテリレス型のオートバイが走行可能な距離に関する残量又は発電機が発電可能な時間に関する残量であることを特徴とする計器。
【請求項4】
前記電源部は、前記センサ以外の他の負荷にも供給される前記電力を生成し、
前記他の負荷への前記電力の供給を有効化又は無効化可能な他のスイッチ部を更に備えることを特徴とする請求項1乃至の何れか1項に記載の計器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばオートバイ(二輪車)の燃料残量、車速等の計測値、又は例えば発電機の燃料残量、車速等の計測値を表示するための計器に関し、特に、電源部の発熱を抑制可能な計器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1は、車両用計器を開示し、その車両用計器は、電源部として、例えば1つの第1の電源回路と、複数の第2の電源回路と、を備えている。特許文献1の第1の電源回路は、例えば、特許文献1の図2に示されるように、例えばエミッタ・フォロワ回路で構成され、車両(バッテリレス型のオートバイ)に搭載されたオルタネータからの電源電圧を、ツェナーダイオードを介して入力し、車両用計器の制御手段(制御部)及び表示駆動回路(ドライバ)用の定電圧を生成することができる(特許文献1の段落[0014]参照)。特許文献1の第2の電源回路も、例えばエミッタ・フォロワ回路で構成され、速度センサ、燃料センサ等のセンサ用の定電圧を生成することができる(特許文献1の段落[0015]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−067342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の電源部では、制御部、ドライバ、センサ等の負荷の個数に応じて、複数の電源回路を備える必要がある。従って、特許文献1の電源部では、回路構成(回路面積)が大型化してしまう。他方、1つの電源回路で複数の負荷を共用することも考えられるが、この場合には、その1つの電源回路に流れる電流が大きくなってしまい、従って、大電流用の1つの電源回路(言い換えれば、高価な1つの電源回路)を備える計器の製造コストは、増加してしまう。
【0005】
また、本発明者は、オルタネータの種類によっては、オルタネータからの電源電圧のピーク値が大きくなってしまい、電源部の発熱量(消費電力)が多くなる可能性を認識した。同様に、本発明者は、負荷の個数及び/又は種類によっては、電源部の発熱量(消費電力)が多くなる可能性を認識した。
【0006】
本発明の1つの目的は、電源部の発熱を抑制可能な計器を提供することである。本発明の他の目的は、以下に例示する態様及び最良の実施形態、並びに添付の図面を参照することによって、当業者に明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、本発明の概要を容易に理解するために、本発明に従う態様を例示する。
【0008】
第1の態様において、計器は、
センサに供給される電力を生成する電源部と、
前記センサへの前記電力の供給を有効化又は無効化可能なスイッチ部と、
前記スイッチ部の有効化又は無効化を制御するとともに、前記センサによって検知される値に基づき計測値を生成する制御部と、
を備え、
前記電源部は、オルタネータからの出力である交流を直流に変換する電源整流部と、前記電源整流部からの出力である前記直流(第1直流)の電圧(第1電圧)とは異なる電圧(第2電圧)を有する直流(第2直流)に変換するスイッチングレギュレータと、を有し、
前記スイッチ部が有効化される時に、前記スイッチ部は、前記センサへの前記電力として、前記異なる電圧(第2電圧)を有する直流(第2直流)を前記センサに供給し、
前記電源整流部は、複数のダイオードと単一の定電圧ダイオードとが直列接続されたサージカット回路を含む
【0011】
本発明者は、オルタネータからの交流電圧が上昇する時に、単一の定電圧ダイオードだけ(比較例1)では、その交流電圧をサージカットしてしまうことを認識した。或いは、本発明者は、電源整流部が自己復帰型のヒューズを含む構成(比較例2)では、オルタネータからの交流電圧が上昇する時に、制御部が計測値を生成できない、即ち計器が実質的に機能しないことを認識した。
【0012】
そこで、第の態様では、オルタネータからの交流電圧が上昇する場合であっても、計器が機能し続けるために、電源整流部が単一の定電圧ダイオードだけでなく、複数のダイオードを含むことができる。従って、第の態様では、単一の定電圧ダイオードだけでは足りなかったサージカット電圧を、安価な回路構成である複数のダイオードでオフセットすることができる。
【0013】
の態様において、計器は、
センサに供給される電力を生成する電源部と、
前記センサへの前記電力の供給を有効化又は無効化可能なスイッチ部と、
前記スイッチ部の有効化又は無効化を制御するとともに、前記センサによって検知される値に基づき計測値を生成する制御部と、
を備え、
前記電源部は、オルタネータからの出力である交流を直流に変換する電源整流部と、前記電源整流部からの出力である前記直流(第1直流)の電圧(第1電圧)とは異なる電圧(第2電圧)を有する直流(第2直流)に変換するスイッチングレギュレータと、を有し、
前記スイッチ部が有効化される時に、前記スイッチ部は、前記センサへの前記電力として、前記異なる電圧(第2電圧)を有する直流(第2直流)を前記センサに供給し、
前記スイッチングレギュレータは、前記電源整流部からの前記出力である前記直流(第1直流)の前記電圧(第1電圧)よりも低い電圧(第2電圧<第1電圧)である前記異なる電圧(第2電圧)を出力する降圧型スイッチングレギュレータであってもよく、
前記電源整流部には、前記オルタネータからの出力である交流だけでなく、バッテリからの直流(第3直流)も入力されてもよく、
前記降圧型スイッチングレギュレータの出力である前記低い電圧(第2電圧<第1電圧)は、前記バッテリの出力である前記直流(第3直流)の電圧(第3電圧)であって、前記制御部が動作可能な下限値(第3電圧)であり、且つ前記電源整流部の入力である電圧(第3電圧)から、前記電源整流部の前記出力での電圧ドロップ分を差し引いた値以下に設定されてもよい。
【0014】
の態様では、降圧型スイッチングレギュレータの出力電圧が降圧型スイッチングレギュレータの入力電圧以下に設定されるので、降圧型スイッチングレギュレータの暗電流を抑制することができる。言い換えれば、仮に、降圧型スイッチングレギュレータの出力電圧が降圧型スイッチングレギュレータの入力電圧より大きく設定される場合には、暗電流が大きくなってしまう。
【0015】
3の態様において、計器は、
燃料センサに供給される電力を生成する電源部と、
前記燃料センサへの前記電力の供給を有効化又は無効化可能なスイッチ部と、
前記スイッチ部の有効化又は無効化を制御するとともに、前記燃料センサによって検知される値に基づき燃料残量を生成する制御部と、
を備え、
前記電源部は、オルタネータからの出力である交流を直流に変換する電源整流部と、前記電源整流部からの出力である前記直流の電圧とは異なる電圧を有する直流に変換するスイッチングレギュレータと、を有し、
前記スイッチ部が有効化される時に、前記スイッチ部は、前記燃料センサへの前記電力として、前記異なる電圧を有する直流を前記燃料センサに供給し、
前記燃料残量は、バッテリレス型のオートバイが走行可能な距離に関する残量又は発電機が発電可能な時間に関する残量である
【0018】
の態様では、バッテリレス型のオートバイが走行可能である時に、又は発電機が発電可能である時に、言い換えれば、計器が常に機能し続ける時に、電源部の発熱を抑制し続けることができる。
【0019】
第1乃至第の態様の何れか1つの態様に従属する第の態様において、
前記電源部は、前記センサ以外の他の負荷にも供給される前記電力を生成してもよく、
計器は、
前記他の負荷への前記電力の供給を有効化又は無効化可能な他のスイッチ部を更に備えてもよい。
【0020】
の態様では、負荷の個数が増える場合であっても、1つの電源部で、安価な回路構成であるスイッチングレギュレータで、複数の負荷用の電力を生成することができる。言い換えれば、第の態様では、複数の電源回路を備える必要がなく、電源部の大型化を抑制することができる。
【0021】
当業者は、例示した本発明に従う態様が、本発明の精神を逸脱することなく、さらに変更され得ることを容易に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明に従う計器の具体的構成例を示す。
図2図1の電源整流部の具体的構成例を示す。
図3図2の電源整流部の出力例及び入力例を示す。
図4図1の整流回路の具体的構成例を示す。
図5図4の整流回路の出力例及び入力例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に説明する最良の実施形態は、本発明を容易に理解するために用いられている。従って、当業者は、本発明が、以下に説明される実施形態によって不当に限定されないことを留意すべきである。
【0024】
図1は、本発明に従う計器の具体的構成例を示す。図1に示されるように、計器1は、センサ(例えば燃料センサ15c)に供給される電力を生成する電源部10と、例えば燃料センサ15cへの電力の供給を有効化又は無効化可能なスイッチ部16cと、スイッチ部16cの有効化又は無効化を制御する制御部14と、を備えている。制御部14(具体的には、マイクロコンピュータ)は、センサによって検知される値(具体的には、燃料センサ15cの抵抗値に基づく電圧)に基づき、計測値(具体的には、燃料残量)を生成することができる。計器1が例えば表示部80を更に備える時に、制御部14は、例えばドライバ70を介して、表示部80に例えば燃料残量に対応する表示を実行させることができる。言い換えれば、計器1は、例えば表示部80で燃料計機能を実現することができる。
【0025】
図1において、電源部10(具体的には、定電圧電源回路)は、オルタネータ4からの出力である交流を直流(第1直流)に変換する電源整流部50と、電源整流部50からの出力である直流(第1直流)の電圧(第1電圧)とは異なる電圧(第2電圧)を有する直流(第2電流)に変換するスイッチングレギュレータ60と、を有している。スイッチングレギュレータ60は、具体的には、降圧型スイッチングレギュレータであり、整流後の電流である直流の平均電圧(例えば25[V])よりも低い電圧(例えば8[V])を出力することができる。スイッチ部16cが有効化(ON)される時に、スイッチ部16cは、燃料センサ15cへの電力として、例えば8[V]を燃料センサ15cに供給することができる。なお、燃料残量に応じて燃料センサ15cの抵抗値が変化し、従って、燃料センサ15cに供給される電流値が変化することで、制御部14によって検知される燃料センサ15cの電圧値(出力値)も変化する。
【0026】
図1の電源部10は、出力段として、スイッチングレギュレータ60を有している。言い換えれば、図1の計器1では、電源部10は、出力段として、例えば特許文献1のエミッタ・フォロワ回路(バイポーラ型のリニアレギュレータ)等の発熱し易いリニアレギュレータを有する必要がないので、電源部10の発熱を抑制することができる。
【0027】
図1に示されるように、電源部10は、負荷である燃料センサ15c以外の他の負荷(具体的には、照明用光源15a及び残燃料警告灯15b)にも供給される電力を生成することができる。計器1は、照明用光源15a及び残燃料警告灯15bへの電力の供給を有効化又は無効化可能な他のスイッチ部(具体的には、スイッチ部16a及びスイッチ部16b)を更に備えることができる。
【0028】
図1の計器1では、負荷の個数が増える場合であっても、1つの電源部10で、安価な回路構成であるスイッチングレギュレータ60で、複数の負荷用の電力を生成することができる。言い換えれば、計器1では、複数の負荷用の複数の電源回路を備える必要がなく、電源部10の大型化を抑制することができる。
【0029】
図1では、計器1は、例えばバッテリレス型のオートバイ(二輪自動車)に搭載されている。従って、図1の例において、電源部10(具体的には、電源整流部50)には、オルタネータ4からの出力である交流電圧だけでなく、バッテリ(図示せず)からの直流電圧(典型的には12[V])も例えばバッテリ端子11(具体的には、コネクタ)を介して入力可能に形成されている。言い換えれば、バッテリからの直流電圧がバッテリ端子11に供給又は接続される時に、電源部10は、バッテリからの直流電圧を入力することができる。他方、バッテリからの直流電圧がバッテリ端子11に供給又は接続されない時に、電源部10は、バッテリからの直流電圧を入力することができない。バッテリレス型のオートバイには例えばキックスタータ(図示せず)が搭載されて、バッテリからの直流電圧がバッテリ端子11に供給又は接続されない時に、キックスタータによって起動するエンジン(図示)の回転を動力源としてオルタネータ4は、発電することができる。
【0030】
なお、オルタネータ4の出力が接続されるバッテリ端子11にバッテリが接続される時に、バッテリ端子11のノードは、直流電圧で安定化されることができる。他方、バッテリ端子11にバッテリが接続されない時に、バッテリ端子11のノードにおいて、オルタネータ4からの例えば半波交流で電源が構成される。また、例えばバッテリレス型のオートバイがスタータスイッチ(図示せず)を備え、且つバッテリ端子11にバッテリが接続される時に、スタータスイッチは、バッテリからの電力(電源)でエンジンを始動することもできる。
【0031】
加えて、図1の例において、イグニッションスイッチ3がONされる時に、オルタネータ4からの出力は、イグニッション端子12(具体的には、コネクタ)にも接続又は入力されている。計器1は、例えば整流回路13を備え、制御部14は、典型的には8[V]の出力を整流回路13から入力し、制御部14は、その値が閾値(例えば2[V])を超える時に、イグニッションスイッチ3のONを検知することができる。図1の制御部14は、イグニッションスイッチ3のON又はOFFを検知可能であり、イグニッションスイッチ3がOFFである時に、制御部14は、スイッチ部16を有効化(ON)しない。他方、イグニッションスイッチ3がONである時に、制御部14は、スイッチ部16を有効化(ON)することができる。
【0032】
なお、イグニッションスイッチ3がONされる時に、例えば制御部14は、エンジンの始動を許可することができる。また、イグニッションスイッチ3がON状態からOFF状態に変更される時に、例えば制御部14は、エンジンを停止させることができる。
【0033】
制御部14は、整流回路13からの出力電圧が閾値(例えば2[V])よりも常に高い時に、エンジンが始動したことを認識することができる。エンジンが始動したことを認識した後に、制御部14は、スイッチ部16aを有効化(ON)し、例えばTFT等の液晶素子で構成される表示部80のバックライトとして、照明用光源15aを点灯させることができる。制御部14は、燃料残量(図1において、バッテリレス型のオートバイが走行可能な距離に関する残量)が少ない時に、スイッチ部16bを有効化(ON)し、残燃料警告灯15bを点灯させることができる。
【0034】
図1の例において、計器1は、電源部10の後段に、例えばリニアレギュレータ90を更に備えることができ、リニアレギュレータ90は、典型的には、制御部14の動作電源(典型的には、5[V])を生成又は形成することができる。
【0035】
図2は、図1の電源整流部50の具体的構成例を示す。図2に示されるように、好ましくは、電源整流部50は、サージカット回路を持つ半波電源整流回路で構成される。半波電源整流回路のダイオード51のアノードは、バッテリ端子11に接続され、ダイオード51のカソードは、半波電源整流回路の電解コンデンサ53の+側に接続される。半波電源整流回路のダイオード52のアノードは、イグニッション端子12に接続され、且つダイオード52のカソードも、電解コンデンサ53の+側に接続されている。
【0036】
図3は、図2の電源整流部50(具体的には、半波電源整流回路)の出力例及び入力例を示す。図2のダイオード51、ダイオード52及び電解コンデンサ53によって電源整流部50の半波電源整流回路が構成される時に、電源整流前の電気的波形の1例は、例えば図3の破線(電源整流部50の入力50in)で表すことができる。加えて、電源整流後の電気的波形の1例は、例えば図3の実線(電源整流部50の出力50out)で表すことができる。図2の例において、半波電源整流回路は、ダイオード51,52及び電解コンデンサ53で構成されているが、これに限定されものではなく、交流電源を直流電源に整流する他の回路で構成されてもよい。
【0037】
図2の例において、電源整流部50のサージカット回路は、単一の定電圧ダイオード55(ツェナーダイオード)と複数のダイオード54a〜54dとを含み、定電圧ダイオード55と複数のダイオード54a〜54dとが直列接続されている。サージカット回路は、定電圧ダイオード55だけを含んでもよい(図2の例以外の実施例又は比較例1)が、好ましくは、複数のダイオード54a〜54dを更に含んでいる(図2の例)。本発明者は、オルタネータ4からの出力に起因する電圧が電解コンデンサ53の+側で定電圧ダイオード55のサージカット電圧よりも高くなる可能性を認識し、直列接続される複数のダイオード54a〜54dは、電解コンデンサ53と定電圧ダイオード55の間に配置されている。このような配置(図2の例)により、サージカット電圧は、意図的にオフセットされている。
【0038】
1例として、サージカット回路が例えば27[V]のサージカット電圧を有する定電圧ダイオード55だけを含み(図2の例以外の実施例又は比較例1)、且つサージカット電圧を超える電圧が例えば雷サージ電圧に起因して電解コンデンサ53の+側で存在する時に、電源整流部50は、非常動作として、バッテリ端子11のノードを無効化することができる(雷サージ電流が例えば制御部14に侵入することを防ぐことができる)。言い換えれば、オルタネータ4の電源電圧が低く、オルタネータ4からの出力に起因する電圧が電解コンデンサ53の+側で存在しない時に、電源整流部50(図2の例以外の実施例又は比較例1)は、通常動作として、バッテリ端子11のノードを有効化することができる。他方、オルタネータ4の種類によっては、オルタネータ4の電源電圧が高くなる可能性を本発明者は認識し、オルタネータ4からの出力に起因する電圧が電解コンデンサ53の+側で存在する時に、電源整流部50(図2の例以外の実施例又は比較例1)は、通常動作として、バッテリ端子11のノードを無効化してしまう。即ち、計器1が機能し続けるために、オルタネータ4の電源電圧が高い場合であっても、電源整流部50(図2の例)は、通常動作として、バッテリ端子11のノードを有効化することができる。具体的には、オルタネータ4の最大出力電圧に応じて、図2の例において、サージカット回路は、例えば4つのダイオード54a〜54dを更に含んでいる。
【0039】
ところで、図2の例以外の実施例又は比較例2として、電源整流部50のサージカット回路は、単一の定電圧ダイオード55と複数のダイオード54a〜54dとで構成されないで、例えば自己復帰型のヒューズ(図示せず)を含んでもよい。しかしながら、本発明者は、オルタネータ4からの交流電圧が上昇する時に、制御部14が計測値を生成できない、即ち計器1が実質的に機能しないことを認識した。
【0040】
加えて、図2の例以外の実施例又は比較例3として、電源整流部50のサージカット回路は、単一の定電圧ダイオード55と複数のダイオード54a〜54dとで構成されないで、例えば2個直列に接続される定電圧ダイオード(図示せず)を含んでもよい。しかしながら、電源整流部50のサージカット回路(図2の例以外の実施例又は比較例3)が例えば27[V]のサージカット電圧を有する定電圧ダイオード55を2個含んで構成される時に、サージカット電圧は、例えば54[V]となってしまう。電源部10の出力段に配置される例えば図1のスイッチングレギュレータ60の耐圧は、典型的には40[V]程度であるため、例えば45[V]の雷サージ電圧で後段のスイッチングレギュレータ60が壊れてしまう。これを防止するために、図2の例では、単一の定電圧ダイオード55と複数のダイオード54a〜54dとを直列に挿入している。
【0041】
一般に、スイッチングレギュレータは、昇降圧型スイッチングレギュレータが好ましいが、昇降圧型スイッチングレギュレータは高価であるため、図1のスイッチングレギュレータ60は、1例として、降圧型スイッチングレギュレータで構成されている。なお、図3の実線に示すようにスイッチングレギュレータ60に入力される電源整流後の電圧は、通常のバッテリの定格電圧(典型的には、12[V])よりもはるかに高い。従って、仮に、図1の電源部10がスイッチングレギュレータ60を備えない状態で、電源部10の出力段として例えば5[V]を生成するリニアレギュレータ90を使用する場合、リニアレギュレータ90自体の発熱が高くなってしまう。或いは、電源部10の出力段としてのリニアレギュレータ90には多く又は大型の放熱板を採用する必要がある。このような問題を解決するために、図1の電源部10は、その出力段として、スイッチングレギュレータ60を使用し、定電圧電源回路の発熱を十分に抑えることができる。
【0042】
加えて、例えば降圧型スイッチングレギュレータで構成されるスイッチングレギュレータ60の降圧後の電圧を例えば8[V]に設定することにより、言い換えれば、照明用光源15a、残燃料警告灯15b、燃料センサ15c等の負荷の供給電源を例えば8[V]に設定することにより、負荷自体の発熱も抑制することができ、このようなスイッチングレギュレータ60は、計器1全体の発熱量を削減することができる。
【0043】
スイッチングレギュレータ60は、バッテリレスで走行可能なオートバイの計器1に適用される時に、スイッチングレギュレータ60の暗電流は抑制されることが好ましい。同様に、スイッチングレギュレータ60は、図示されない発電機(例えばガソリンで発電可能であって、家庭用電源を生成可能な非常時用の発電機)の計器1(発電機が発電可能な時間に関する残量を計測又は表示可能である)にも適用することができ、この場合にも、スイッチングレギュレータ60の暗電流は抑制されることが好ましい。計器1が例えばバッテリレス型のオートバイに適用される時に、計器1は、例えば時計機能を有することが好ましい。また、バッテリレス型のオートバイであっても、バッテリがバッテリ端子11に接続される時に、計器1は、その時計機能を例えばバッテリからの直流電圧(電源)で常時作動させることが好ましい。この場合、バッテリの電源が浪費されないよう計器1の暗電流は抑制されることが好ましい。
【0044】
図1のスイッチングレギュレータ60が降圧型スイッチングレギュレータである時に、降圧型スイッチングレギュレータの出力電圧(第2電圧)は、バッテリの直流電圧(第3電圧)であって、制御部14が動作可能な下限値(例えば9[V]:第3電圧)であり、且つ電源整流部50の入力である電圧(ダイオード51のアノードの電圧:第3電圧)から、電源整流部50の出力(ダイオード51のカソードの電圧)での電圧ドロップ分(ダイオード51での電圧降下分である例えば0.8[V])を差し引いた値(例えば8.2[V]=9.0[V]−0.8[V])以下に設定されることが好ましい。具体的には、バッテリが衰弱して例えば9[V]であり、且つダイオード51での電圧降下が例えば0.8[V]である時に、降圧型スイッチングレギュレータの入力電圧は、8.2[V](=9.0[V]−0.8[V])である。
【0045】
バッテリが衰弱する場合であっても降圧型スイッチングレギュレータの出力電圧が降圧型スイッチングレギュレータの入力電圧以下に設定される時に(図1において、降圧型スイッチングレギュレータの出力電圧=8.0[V])、計器1は、降圧型スイッチングレギュレータの暗電流を抑制することができる。言い換えれば、仮に、バッテリが衰弱して降圧型スイッチングレギュレータの出力電圧が降圧型スイッチングレギュレータの入力電圧より大きく設定される場合には(降圧型スイッチングレギュレータの出力電圧>9.0[V])、降圧型スイッチングレギュレータの暗電流が大きくなってしまう。
【0046】
図4は、図1の整流回路13の具体的構成例を示す。図4に示されるように、整流回路13は、半波交流を充放電により整流する回路である。充電時には抵抗13bとコンデンサ13cとで構成される充電回路によりコンデンサ13cに電荷が充電される一方、放電時にはコンデンサ13cの電荷は、抵抗13dを経由してGNDに放電される。ダイオード13aは、コンデンサ13cの放電電流がイグニッション端子12側に逆流し放電が早まらないように、整流回路13の入力段に採用又は挿入されている。
【0047】
図5は、図4の整流回路13の出力例及び入力例を示す。図4のダイオード13a、抵抗13b、コンデンサ13c及び抵抗13dによって整流回路13が構成される時に、整流前の電気的波形の1例は、例えば図5の破線(整流回路13の入力13in)で表すことができる。加えて、整流後の電気的波形の1例は、例えば図5の実線(整流回路13の出力13out)で表すことができる。
【0048】
図1の整流回路13は、図4の例で構成可能であるが、図4の例に限定されものではなく、図1の整流回路13は、交流を直流に整流する他の回路で構成されてもよい。図1の整流回路13が図4の例で構成される時に、図5の破線で示される半波交流波形は、直流信号に近く、図5の実線で示される三角波に整流される。制御部14の持つ閾値(例えば2[V])よりも電圧が常に高くなるように、整流回路13の抵抗定数及びコンデンサ定数は、最適化されている。
【0049】
本発明は、上述の例示的な実施形態に限定されず、また、当業者は、上述の例示的な実施形態を特許請求の範囲に含まれる範囲まで、容易に変更することができるであろう。
【符号の説明】
【0050】
1・・・計器、3・・・イグニッションスイッチ、4・・・オルタネータ、10・・・電源部、11・・・バッテリ端子、12・・・イグニッション端子、13・・・整流回路、14・・・制御部、15a・・・照明用光源、15b・・・残燃料警告灯、15c・・・燃料センサ、16a,16b,16c・・・スイッチ部、50・・・電源整流部、54a,54b,54c,54d・・・ダイオード、55・・・定電圧ダイオード(ツェナーダイオード)、60・・・スイッチングレギュレータ、70・・・ドライバ、80・・・表示部、90・・・リニアレギュレータ。
図1
図2
図3
図4
図5