特許第6642376号(P6642376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642376
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】エアバッグカバー及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B60R 21/2165 20110101AFI20200127BHJP
   B60R 21/205 20110101ALI20200127BHJP
   B60K 37/00 20060101ALI20200127BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20200127BHJP
   B29C 44/02 20060101ALI20200127BHJP
   B29C 44/34 20060101ALI20200127BHJP
   B29C 44/58 20060101ALI20200127BHJP
   B29C 45/00 20060101ALI20200127BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20200127BHJP
   B29C 45/56 20060101ALI20200127BHJP
   B29K 23/00 20060101ALN20200127BHJP
   B29K 25/00 20060101ALN20200127BHJP
【FI】
   B60R21/2165
   B60R21/205
   B60K37/00 A
   B60K37/00 J
   B29C44/00
   B29C44/00 D
   B29C44/00 F
   B29C44/02
   B29C44/34
   B29C44/58
   B29C45/00
   B29C45/26
   B29C45/56
   B29K23:00
   B29K25:00
【請求項の数】2
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-206985(P2016-206985)
(22)【出願日】2016年10月21日
(65)【公開番号】特開2018-65531(P2018-65531A)
(43)【公開日】2018年4月26日
【審査請求日】2018年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】特許業務法人 共立
(72)【発明者】
【氏名】千田 真樹
(72)【発明者】
【氏名】戸谷 千春
(72)【発明者】
【氏名】小島 英司
(72)【発明者】
【氏名】松井 達也
【審査官】 瀬戸 康平
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−254919(JP,A)
【文献】 実公昭56−048606(JP,Y2)
【文献】 特開平05−057735(JP,A)
【文献】 特開2003−170785(JP,A)
【文献】 特開2014−121793(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 21/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1型と第2型との間に形成されるキャビティに発泡樹脂材料を注入して、カバー部と、前記カバー部を囲む基部と、前記カバー部に設けられているテアライン部と、を有するエアバッグカバーを製造する方法であって、
前記キャビティは、前記テアライン部を形成するテアラインキャビティと、前記テアライン部以外の前記カバー部を形成する一般カバーキャビティと、前記基部を形成する基キャビティと、で構成され、
前記発泡樹脂材料を前記キャビティに注入した後に、前記テアラインキャビティの厚さはそのままで、前記基キャビティの厚さを増大させる、エアバッグカバーの製造方法。
【請求項2】
第1型と第2型との間に形成されるキャビティに発泡樹脂材料を注入して、カバー部と、前記カバー部を囲む基部と、前記カバー部に設けられているテアライン部と、を有するエアバッグカバーを製造する方法であって、
前記キャビティは、前記テアライン部を形成するテアラインキャビティと、前記テアライン部以外の前記カバー部を形成する一般カバーキャビティと、前記基部を形成する基キャビティと、で構成され、
前記発泡樹脂材料を前記キャビティに注入した後に、
先ず、前記テアラインキャビティの厚さ、前記一般カバーキャビティの厚さ、及び、前記基キャビティの厚さを増大させ、
次いで、前記基キャビティの厚さはそのままで、前記テアラインキャビティの厚さを減少させる、エアバッグカバーの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエアバッグを覆うためのエアバッグカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の軽量化が望まれており、当該車両の一部を構成する樹脂成形体に関しても同様に軽量化が望まれている。
樹脂成形体を軽量化する方法の一つとして、発泡成形法が挙げられる。発泡成形法は、発泡樹脂材料を成形型のキャビティ内で発泡させる樹脂成形方法である。発泡成形法で得られた発泡樹脂成形体は、その内部に多くの細孔を有する。当該細孔には気体が入っているために、発泡樹脂成形体は比較的低密度であり軽量である。
【0003】
エアバッグカバーは、車両に搭載されるエアバッグを覆うための樹脂成形体である。一般的なエアバッグカバーは、カバー部と、カバー部を囲む基部と、カバー部に設けられているテアライン部とを有する。テアライン部は、一般に、カバー部におけるテアライン部以外の部分(一般カバー部と呼ぶ)よりも薄肉であり、急制動時等に展開するエアバッグに押圧されて破断する。テアライン部が破断しカバー部が変形することで、カバー部に覆われていたエアバッグが車室内に展開できるようになる。
【0004】
発泡成形法を用いてこの種のエアバッグカバーを製造する方法として、基体と表皮材とを成形型のキャビティ内にセットし、当該基体と表皮材との間に発泡樹脂材料を注入して発泡樹脂成形体からなる発泡部を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、当該エアバッグカバーの製造方法は、工数及び部品点数が比較的多いために、エアバッグカバーの製造コストを低減し難い問題があった。
【0005】
エアバッグカバーの製造コストを低減する方法として、発泡樹脂成形体のみでエアバッグカバーを構成する方法が考えられる。キャビティに注入された発泡樹脂材料のうち成形型の型面に接触する部分は、成形型によって冷却されるために発泡する前に固化して、非発泡部となる。キャビティに注入された発泡樹脂材料のその他の部分は発泡して、発泡部となる。非発泡部はスキン層とも呼ばれ、一般的な発泡樹脂成形体における表面の一部又は全部を構成する。このため、当該非発泡部を表皮材とみなせば、発泡樹脂成形体のみでエアバッグカバーを構成できる可能性がある。
【0006】
しかし乍ら、上記した発泡樹脂成形体のみで構成されるエアバッグカバーは、エアバッグカバーに要求される性能を発揮し得ない場合がある。特に、上記した発泡樹脂成形体のみで構成されるエアバッグカバーにおいては、エアバッグが展開されテアライン部が破断する際に、カバー部までもが破断してしまい、エアバッグカバーを狙い通りの位置で破断させるのが困難である。したがって、軽量なエアバッグカバーを低コストで製造し得る技術の更なる向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−104124号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、軽量なエアバッグカバーを低コストで製造し得る技術の更なる向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明のエアバッグカバーは、
エアバッグを覆う樹脂製のエアバッグカバーであって、
カバー部と、前記カバー部を囲む基部と、前記カバー部に設けられているテアライン部と、を有し、
前記テアライン部は前記基部に比べて薄肉でありかつ非発泡部で構成され、
前記基部は非発泡部と、発泡部とで構成されている、エアバッグカバーである。
【0010】
上記課題を解決する本発明のエアバッグカバーの製造方法は、
第1型と第2型との間に形成されるキャビティに発泡樹脂材料を注入して、カバー部と、前記カバー部を囲む基部と、前記カバー部に設けられているテアライン部と、を有するエアバッグカバーを製造する方法であって、
前記キャビティは、前記テアライン部を形成するテアラインキャビティと、前記テアライン部以外の前記カバー部を形成する一般カバーキャビティと、前記基部を形成する基キャビティと、で構成され、
前記発泡樹脂材料を前記キャビティに注入した後に、前記テアラインキャビティの厚さはそのままで、前記基キャビティの厚さを増大させる、エアバッグカバーの製造方法である。
【0011】
上記課題を解決する本発明のエアバッグカバーの製造方法の他の態様は、
第1型と第2型との間に形成されるキャビティに発泡樹脂材料を注入して、カバー部と、前記カバー部を囲む基部と、前記カバー部に設けられているテアライン部と、を有するエアバッグカバーを製造する方法であって、
前記キャビティは、前記テアライン部を形成するテアラインキャビティと、前記テアライン部以外の前記カバー部を形成する一般カバーキャビティと、前記基部を形成する基キャビティと、で構成され、
前記発泡樹脂材料を前記キャビティに注入した後に、
先ず、前記テアラインキャビティの厚さ、前記一般カバーキャビティの厚さ、及び、前記基キャビティの厚さを増大させ、
次いで、前記基キャビティの厚さはそのままで、前記テアラインキャビティの厚さを減少させる、エアバッグカバーの製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明の技術によると、軽量なエアバッグカバーを低コストで製造し得る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1のエアバッグカバーの外観を模式的に表す説明図である。
図2】実施例1のエアバッグカバーを図1におけるA−A位置で切断した様子を模式的に表す説明図である。
図3】実施例1のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。
図4】実施例1のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。
図5】実施例2のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。
図6】実施例2のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。
図7】実施例3のエアバッグカバーの外観を模式的に表す説明図である。
図8】実施例3のエアバッグカバーを図7におけるA−A位置で切断した様子を模式的に表す説明図である。
図9】実施例3のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。
図10】実施例3のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。
図11】実施例3のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、具体例を挙げて本発明のエアバッグカバー及びその製造方法を説明する。
【0015】
なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x〜y」は、下限xおよび上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値および下限値、ならびに実施形態中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで新たな数値範囲を構成し得る。さらにこれらの数値範囲内から任意に選択した数値を上限、下限の数値とすることができる。
【0016】
(実施例1)
実施例1のエアバッグカバーは、車両のインストルメントパネルを構成する。図1は実施例1のエアバッグカバーの外観を模式的に表す説明図であり、図2は実施例1のエアバッグカバーを図1におけるA−A位置で切断した様子を模式的に表す説明図である。図3及び図4は実施例1のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。詳しくは、図3は注入工程におけるキャビティ及びエアバッグカバーの中間体を表し、図4は発泡成形工程におけるキャビティ及びエアバッグカバーの中間体を表す。
【0017】
図1に示すように、実施例1のエアバッグカバー1は、車両のインストルメントパネルを構成する。エアバッグカバー1は、カバー部2と基部3とで構成され、カバー部2はテアライン部20と一般カバー部21とで構成されている。基部3はカバー部2を囲み、テアライン部20はカバー部2と基部3との境界の一部を構成している。基部3には、メータクラスタ、エアコンディショナーのレジスタ及びデフロスタ等、インストルメントパネルに配設される各種車両用内装品のための取り付け開口30が設けられている。
【0018】
図2に示すように、テアライン部20は一般カバー部21及び基部3に比べて薄肉である。具体的には、一般カバー部21及び基部3の最大厚さは3mmであり、テアライン部20の厚さは0.45mmである。なお、実施例1のエアバッグカバー1においては、テアライン部20の厚さは略一定である。
エアバッグカバー1は前面1aを車室内側に向けて車両に配設される。エアバッグカバー1の裏面1b側には図略のエアバッグが配設される。エアバッグカバー1の前面1a側において、テアライン部20、一般カバー部21及び基部3の表面は面一であり、エアバッグカバー1の裏面1b側においては、テアライン部20の表面は一般カバー部21の表面及び基部3の表面に対して陥没している。このような形状によって、テアライン部20はエアバッグカバー1のなかでも破断し易い部分となっているため、エアバッグが展開されるとテアライン部20が破断する。このとき一般カバー部21はエアバッグに押圧されて、基部3に対して車室内側にめくれるように変形する。したがってエアバッグカバー1にはエアバッグが通過し得る図略の開口が形成される。
なお、実施例1のエアバッグカバー1におけるテアライン部20は、略長方形の一般カバー部21の周囲を、一長辺2Lを残して略コ字状に囲んでいる。このため、テアライン部20が破断しても、当該一長辺2Lにおいてカバー部2と基部3との一体化は維持され、エアバッグカバー1からのカバー部2の脱離は抑制される。
【0019】
基部3及び一般カバー部21は、発泡部40と非発泡部41とで構成されている。非発泡部41は一般にスキン層と呼ばれる部分であり、発泡部40を覆う層状をなし、基部3及び一般カバー部21の表面を構成する。発泡部40は多くの細孔50を有する多孔質の部分であり、非発泡部41は細孔50を有さないか、発泡部40に比べて僅かな細孔50のみを有する部分である。ここで言う僅かな細孔50とは、発泡部40の細孔50に比べて小さな細孔50、又は、発泡部40の細孔50に比べて少数の細孔50を指す。発泡部40における細孔50は独泡型の細孔であっても良いし、連泡型の細孔であっても良い。基部3及び一般カバー部21が発泡部40を有するため、実施例1のエアバッグカバー1は軽量である。また、実施例1のエアバッグカバー1における基部3及び一般カバー部21は、発泡部40と非発泡部41とからなり従来必要とされていた基体等の質量の大きな部材を有さない。このため、実施例1のエアバッグカバー1は特許文献1に紹介されているような従来のエアバッグカバーに比べて遙かに軽量である。
【0020】
テアライン部20は基部3よりも薄肉であり、かつ、非発泡部41で構成されている。こうすることで、エアバッグの展開時つまりエアバッグカバー1の破断時に、テアライン部20が容易に破断し、かつ、発泡部40で構成されかつテアライン部20に隣接する部分(実施例1では基部3及び一般カバー部21)にテアライン部20の破断が伝達するのを抑制できる。したがって実施例1のエアバッグカバー1は、基体や表皮材等を用いず発泡樹脂成形体のみで構成されるにも拘わらず、狙い通りの位置つまりテアライン部20で破断する。
【0021】
テアライン部20は非発泡部41で構成され、基部3は発泡部40と非発泡部41とで構成される。
テアライン部20は、エアバッグ展開時における破断位置をコントロール可能とするために、厚さの薄い非発泡部41で構成される。一方、基部3はエアバッグカバー1の軽量化のための発泡部40と、発泡部40を覆うスキン層たる非発泡部41とで構成される。上記したように、発泡部40は多孔質であれば良く、非発泡部41は細孔50を有さないか、或いは、発泡部40の細孔50に比べて小さな細孔50を有するか、又は、発泡部40の細孔50に比べて少数の細孔50を有すれば良い。具体的には、非発泡部41と発泡部40とは、細孔径又は密度で定義可能である。
【0022】
先ず発泡部40及び非発泡部41を細孔径で定義する場合、発泡部40は孔径10μm以上の細孔50を有する部分とすることができる。これに対して、非発泡部41は孔径1μm以上の細孔50を有さない部分とすることができる。更に具体的には、エアバッグカバー1の断面を観察し、0.3mm×0.3mmの試験区画内に孔径1μm以上の細孔50が確認されない部分を非発泡部41とみなすことができる。同様に、エアバッグカバー1の断面を観察し、0.3mm×0.3mmの試験区画内に孔径10μm以上の細孔50が確認される部分を発泡部40とみなすことができる。エアバッグカバー1は、発泡部40及び非発泡部41以外の部分を有しても良い。なお、場合によっては、上記の試験区画内に確認される孔径1μm以上の細孔50の数が1以下である部分、2以下である部分、又は、3以下である部分を非発泡部41とみなすこともできる。
【0023】
テアライン部20は一般カバー部21及び基部3よりも薄肉であれば良いが、エアバッグ展開時に信頼性高く破断するために、テアライン部20の厚さは1mm以下であるのが好ましく、0.8mm以下であるのがより好ましく、0.6mm以下であるのが更に好ましく、0.5mm以下であるのが特に好ましい。一般カバー部21及び基部3における非発泡部41の厚さ(つまり、所謂スキン層の厚さ)は特に問わないが、一般的には、0.1mm以上1mm以下である。
【0024】
以下、実施例1のエアバッグカバーの製造方法を説明する。
【0025】
実施例1のエアバッグカバー1は、第1型61と第2型62とで構成される成形型6を用い、以下の準備工程、注入工程、保圧工程及び発泡成形工程を経て製造される。
【0026】
成形型6は、第1型61と第2型62とで構成される。第1型61は固定型であり、第2型62は可動型である。第2型62は一般可動型部70とコア部71とで構成されている。第2型62つまり一般可動型部70及びコア部71は、一体的に位置変化可能であり、第1型61に対して型開き及び型締めする方向に位置変化可能である。また、一般可動型部70は、コア部71に対しても相対移動可能であり、第1型61に対して型開き及び型締めする方向に移動可能である。第1型61の型面は主としてエアバッグカバー1の前面1aを成形し、第2型62の型面は主としてエアバッグカバー1の裏面1bを成形する。
【0027】
(準備工程)
準備工程においては、成形材料を図略の発泡樹脂成形機に入れて加熱し軟化させて、流体状の発泡樹脂材料を得る。実施例の製造方法で用いた発泡樹脂材料は、樹脂成分としてポリプロピレン及びABSを含有し、発泡剤として炭酸水素ナトリウムを含有する。炭酸水素ナトリウムは加熱分解されて炭酸ナトリウムと水と二酸化炭素を生じる。このうち二酸化炭素は発泡樹脂材料中の気泡を構成し得る。また、この分解反応速度は水の存在下で高まるために、上記の分解反応による発泡樹脂材料の発泡は連続的に進行し得る。
【0028】
(注入工程)
注入工程においては、図略の射出機を経て、成形型6のキャビティ8内に、上記の準備工程で得られた流体状の発泡樹脂材料85を注入する。図3に示すように、第1型61と第2型62との間に形成されるキャビティ8は、一般カバーキャビティ81、テアラインキャビティ82、及び基キャビティ83で構成されている。テアラインキャビティ82は、第1型61の型面と、第2型62のコア部71の型面と、で区画され、テアライン部20を形成する部分である。一般カバーキャビティ81は、第1型61の型面、第2型62の一般可動型部70の型面、及び、第2型62のコア部71の型面で区画され、一般カバー部21を形成する部分である。基キャビティ83は、第1型61の型面、第2型62の一般可動型部70の型面、及び、第2型62のコア部71の型面で区画され、基部3を形成する部分である。注入工程において、第2型62は図3に示す型締め位置に配置される。
【0029】
注入工程において、流体状の発泡樹脂材料85は、一般カバーキャビティ81、テアラインキャビティ82及び基キャビティ83に注入される。このとき可動型である第2型62は、発泡樹脂材料85による流体圧に抗してキャビティ8の大きさを維持するのに足る力で、第1型61に向けて型締めされる。換言すると、このとき第2型62は、発泡樹脂材料85による流体圧に抗して図3に示す型締め位置にあり続けるのに充分な力で、第1型61に向けて型締めされる。
【0030】
(保圧工程)
保圧工程では、上記の注入工程に引き続き、注入工程における型締め力を維持しつつ、キャビティ8内の圧を略一定に保った状態を0.5〜3秒間維持する。
なお、上記の注入工程及び保圧工程では、キャビティ8内に注入された発泡樹脂材料85のうち成形型6の型面に接する部分が、成形型6によって冷却され、次の発泡成形工程に先立って部分的に固化する。成形型6の型面から離れた発泡樹脂材料85は流体状のままである。
【0031】
(発泡成形工程)
発泡成形工程は、上記の保圧工程後に成形型6の一部を位置変化させてキャビティ8の厚さを変化させることで、発泡樹脂材料85を部分的に発泡させる工程である。
具体的には、図4に示すように、第1型61及び第2型62のコア部71を位置変化させず、第2型62の一般可動型部70のみを図中矢印で示す型開き方向に位置変化させる。こうすることで、テアラインキャビティ82の厚さはそのままで、基キャビティ83の厚さ及び一般カバーキャビティ81の厚さだけが増大する。すると、基キャビティ83及び一般カバーキャビティ81が負圧になって、基キャビティ83及び一般カバーキャビティ81の中央部分にある流体状の発泡樹脂材料85が発泡する。この状態で発泡樹脂材料85を冷却し固化することで、発泡した発泡樹脂材料85からなる発泡部40が形成される。成形型6の型面に接する発泡樹脂材料85は発泡前に固化して非発泡部41となるため、基キャビティ83及び一般カバーキャビティ81で形成される基部3及び一般カバー部21は、発泡部40と発泡部40を覆う非発泡部41とで構成される(図2)。
【0032】
一方、図4に示すように、発泡成形工程においてキャビティ8の厚さが変化するのは基キャビティ83及び一般カバーキャビティ81のみであり、テアラインキャビティ82の厚さは変わらない。したがって、テアラインキャビティ82内の発泡樹脂材料85は発泡成形工程においても発泡せず、そのまま冷却され固化する。よって、テアラインキャビティ82で形成されるテアライン部20は、非発泡部41のみで構成される(図2)。
【0033】
実施例1のエアバッグカバー1の製造方法では、表皮材や基体を用いずに発泡樹脂材料85だけでエアバッグカバー1を形成することで、軽量なエアバッグカバー1を安価に製造できる。
【0034】
実施例1のエアバッグカバー1の製造方法では、樹脂材料としてポリプロピレンを用い発泡剤として炭酸水素ナトリウムを用いたが、樹脂材料と発泡剤との組み合わせはこれに限定されない。樹脂材料は熱可塑性樹脂であるのが好ましい。ポリプロピレン以外の熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(所謂ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂(所謂AS樹脂)、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリアセタール、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、環状ポリオレフィン等が例示される。更には、これらの樹脂材料に繊維材を加えた繊維強化プラスチック(所謂FRP)を用いても良い。
【0035】
発泡剤もまた特に限定せず、使用する樹脂材料に応じて、適する発泡性能や発泡温度のものを適宜選択すれば良い。例えば発泡剤としては、熱分解されることで気体を生じる一般的なものを使用できる。或いは、熱により体積の増大するものを使用することも可能である。
【0036】
一般的な発泡剤としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム及び炭酸アンモニウム等の無機化合物、アゾジカルボンアミド、2,2’−アゾビス9イソブチロニトリル、アゾヘキサヒドロベンゾニトリル、及び、ジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物、ベンゼンスルフォニルヒドラジド、ベンゼン−1,3−スルフォニルヒドラジド、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルフォニルヒドラジド、ジフェニルオキシド−4,4’−ジスルフォニルヒドラジド、4,4’−オキシビス9(ベンゼンスルフォニルヒドラジド)、及び、パラトルエンスルフォニルヒドラジド等のスルフォニルヒドラジド化合物、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,及び、N’−ジメチルフタルアミド等のニトロソ化合物、テレフタルアジド、及び、p−t−ブチルベンズアジド等のアジド化合物が例示される。
【0037】
熱により体積の増大する発泡剤としては、カプセル発泡剤を挙げることができる。カプセル発泡剤は、熱可塑性樹脂からなる外殻に発泡剤が封入されたものを指す。外殻を構成する熱可塑性樹脂としては塩化ビニリデン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の共重合体が用いられ、発泡剤としてはイソブタン、ペンタン、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、低沸点ハロゲン化炭化水素、メチルシラン等の揮発性有機溶剤が用いられる。なお、当該揮発性有機溶剤は膨張剤とも呼ばれる。
【0038】
何れの場合にも、発泡剤が発泡すること、例えば、発泡剤から気体が生じること、発泡剤と発泡開始剤との化学反応で気体が生じること、或いは気体の体積が増大すること等で、発泡樹脂材料85中に気泡が形成される。そして、当該気泡が発泡成形工程において膨張又は成長することで、発泡部40が形成される。気泡は細孔として発泡部40に残存する。
【0039】
なお実施例1の製造方法により製造されたエアバッグカバー1のテアライン部20に、更に凹状の破断起点部を形成する後加工を施しても良い。この場合、エアバッグ展開時に当該破断起点部に応力が集中するため、エアバッグ展開時にテアラインがより容易に破断する。
【0040】
実施例1のエアバッグカバーの製造方法では、発泡成形工程においてテアラインキャビティ82の厚さはそのままで、基キャビティ83の厚さ及び一般カバーキャビティ81の厚さだけを増大させた。ここでいうそのままとはテアラインキャビティ82の厚さが不変であることを指すだけでなく、30%程度のテアラインキャビティ82の厚さの変化を許容し得る。テアラインキャビティ82の厚さが30%程度増大又は減少しても、非発泡部41で構成されたテアライン部20を形成できる。
【0041】
(実施例2)
実施例2のエアバッグカバーは、一般カバー部が発泡部を有しないこと以外は実施例1のエアバッグカバーと概略同じである。実施例2のエアバッグカバーの製造方法は、発泡成形工程以外は実施例1のエアバッグカバーの製造方法と概略同じである。図5及び図6は実施例2のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。詳しくは、図5は注入工程におけるキャビティ及びエアバッグカバーの中間体を表し、図6は発泡成形工程におけるキャビティ及びエアバッグカバーの中間体を表す。
【0042】
図5に示すように、実施例2のエアバッグカバーの製造方法で用いた成形型6は、第1型61と第2型62とで構成される。このうち第1型61は実施例1のエアバッグカバーの製造方法で用いた第1型61と同じであり、第2型62は実施例1のエアバッグカバーの製造方法で用いた第2型62と異なる。第1型61は固定型であり、第2型62は可動型である。
【0043】
第2型62は、一般可動型部70とコア部71とで構成されている。第1型61の型面と第2型62のコア部71の型面とによって、テアラインキャビティ82及び一般カバーキャビティ81が区画される。第1型61の型面、第2型62の一般可動型部70の型面、及びコア部71によって基キャビティ83が区画される。実施例1のエアバッグカバーの製造方法で用いた成形型と同様に、一般可動型部70及びコア部71は、一体的に位置変化可能であり、第1型61に対して型開き及び型締めする方向に位置変化可能である。また、一般可動型部70は、コア部71に対しても相対移動可能であり、第1型61に対して型開き及び型締めする方向に移動可能である。第1型61の型面は主としてエアバッグカバー1の前面1aを成形し、第2型62の型面は主としてエアバッグカバー1の裏面1bを成形する。
【0044】
実施例2のエアバッグカバーの製造方法は、発泡成形工程以外は実施例1のエアバッグカバーの製造方法と概略同じである。したがって、実施例2においては発泡成形工程のみを説明する。
【0045】
(発泡成形工程)
図6に示すように、発泡成形工程においては、第1型61、及び、第2型62のコア部71を位置変化させず、第2型62の一般可動型部70のみを図中矢印で示す型開き方向に位置変化させる。実施例2のエアバッグカバーの製造方法では、一般可動型部70が基キャビティ83を構成し、コア部71が主としてテアラインキャビティ82及び一般カバーキャビティ81を構成しているため、このとき、テアラインキャビティ82及び一般カバーキャビティ81の厚さはそのままで、基キャビティ83の厚さだけが増大する。したがって、基キャビティ83では流体状の発泡樹脂材料85が発泡し、基キャビティ83で形成される基部3は、発泡部40と発泡部40を覆う非発泡部41とで構成される(図略)。一方、テアラインキャビティ82内及び一般カバーキャビティ81内の発泡樹脂材料85は発泡成形工程においても発泡せず、そのまま冷却され固化する。よって、テアラインキャビティ82及び一般カバーキャビティ81で形成されるテアライン部20及び一般カバー部21は、非発泡部41のみで構成される(図略)。
【0046】
実施例2のエアバッグカバーにおいては、一般カバー部21が発泡部を有さないが、基部3が発泡部40を有する。このため実施例2のエアバッグカバーもまた軽量である。また、テアライン部20が薄肉の非発泡部41のみで構成されるため、実施例2のエアバッグカバーもまた、基体や表皮材等を用いず発泡樹脂成形体のみで構成されるにも拘わらず、エアバッグの展開時には狙い通りのテアライン部20で破断する。
【0047】
(実施例3)
実施例3のエアバッグカバーは、テアライン部の形状において実施例1のエアバッグカバーと異なる。実施例3のエアバッグカバーの製造方法は、発泡成形工程にかえて発泡工程と成形工程とを有する。図7は実施例3のエアバッグカバーの外観を模式的に表す説明図であり、図8は実施例3のエアバッグカバーを図7におけるA−A位置で切断した様子を模式的に表す説明図である。図9図11は実施例3のエアバッグカバーの製造方法を模式的に表す説明図である。詳しくは、図9は注入工程におけるキャビティ及びエアバッグカバーの中間体を表し、図10は発泡工程におけるキャビティ及びエアバッグカバーの中間体を表し、図11は成形工程におけるキャビティ及びエアバッグカバーの中間体を表す。
【0048】
図7に示すように、実施例3のエアバッグカバー1において、テアライン部20は略H字状をなしカバー部2の周縁部よりも内側に設けられている。したがって、実施例3のエアバッグカバー1においては、カバー部2と基部3との境界の殆どの部分は一般カバー部21で構成され、テアライン部20は一般カバー部21を4つの部分に区画している。エアバッグが展開されると、テアライン部20が破断し、当該テアライン部20の破断によって一般カバー部21が4つの部分に分断され、当該4つの部分の各々が基部3に対して車室内側にめくれるように変形する。したがって、実施例3のエアバッグカバー1においては、エアバッグ展開時にエアバッグが通過する開口は、カバー部2自体に形成される。
【0049】
図8に示すように、一般カバー部21は、発泡部40と非発泡部41とで構成されている。テアライン部20は薄肉の非発泡部41で構成されている。図示しないが、基部3もまた発泡部40と非発泡部41とで構成されている。したがって実施例3のエアバッグカバー1もまた、発泡樹脂成形体のみで構成されるにも拘わらず、テアライン部20で破断する。なお、図8に示すように、テアライン部20には凹溝状の破断起点部20aが形成されている。当該破断起点部20aは、後述するように、成形工程において型成形される。破断起点部20aは、テアライン部20が破断する際の起点となる。なお、破断起点部20aはテアライン部20の長手方向の全体に連続的に形成されても良いし、断続的に形成されても良い。
【0050】
実施例3のエアバッグカバー1においては、一般カバー部21の厚さ及び基部3の厚さは各々略一定であり、一般カバー部21と基部3との境界に段差はないが、一般カバー部21と基部3との境界に、一般カバー部21及び基部3よりも薄肉の部分を設けても良い。当該薄肉の部分は、一般カバー部21で構成しても良いし、基部3で構成しても良い。何れの場合にも、当該薄肉の部分を設けることで、エアバッグ展開時つまりテアライン部20の破断時に一般カバー部21が容易に変形できるようになる。なお、一般カバー部21と基部3との境界にある当該薄肉の部分は、テアライン部20よりも厚肉であるのが良く、厚さ1mmを超えるのがより好ましい。エアバッグの展開時における当該薄肉の部分の破断を回避する為である。
【0051】
実施例3のエアバッグカバー1は、第1型61と第2型62とで構成される成形型6を用い、準備工程、注入工程、保圧工程、発泡工程及び成形工程を経て製造される。準備工程、注入工程、及び保圧工程については実施例1のエアバッグカバーの製造方法と概略同じであるため、本実施例3においては発泡工程及び成形工程のみを説明する。
【0052】
図9に示すように、実施例3のエアバッグカバーの製造方法で用いた成形型6は、固定型である第1型61と可動型である第2型62とで構成される。第2型62は一般可動型部70とコア部71とで構成され、実施例1のエアバッグカバーの製造方法における成形型と同様に、第1型61の型面とコア部71の型面によってテアラインキャビティ82が区画され、第1型61の型面、一般可動型部70の型面及びコア部71の型面によって一般カバーキャビティ81及び基キャビティ83が区画される。
【0053】
(発泡工程)
発泡工程では、保圧工程後に第1型61を位置変化させず、第2型62の一般可動型部70及びコア部71を図10中矢印で示す型開き方向に位置変化させる。こうすることで、テアラインキャビティ82、基キャビティ83及び一般カバーキャビティ81の厚さが増大し、テアラインキャビティ82、基キャビティ83及び一般カバーキャビティ81にある流体状の発泡樹脂材料85が発泡する。
【0054】
(成形工程)
図11に示すように、成形工程においては、発泡工程後、つまり、テアラインキャビティ82、基キャビティ83及び一般カバーキャビティ81で発泡樹脂材料85が発泡した後に、基キャビティ83及び一般カバーキャビティ81の厚さはそのままでテアラインキャビティ82の厚さを減少させる。具体的には、第1型61及び第2型62の一般可動型部70を位置変化させず、第2型62のコア部71のみを図11中矢印で示す型締め方向に位置変化させる。
【0055】
発泡工程において、テアラインキャビティ82、基キャビティ83及び一般カバーキャビティ81では発泡樹脂材料85が発泡して細孔50が生じるが、テアラインキャビティ82の厚さを減少させることで、当該細孔50は消失する。この状態で発泡樹脂材料85を冷却し固化することで、テアラインキャビティ82で形成されるテアライン部20を、非発泡部41のみで構成できる。なお、テアラインキャビティ82を構成するコア部71の型面には、凸条71aが設けられている。当該凸条71aによって、テアライン部20には、凹溝状の破断起点部20aが型成形される。
【0056】
実施例3のエアバッグカバーの製造方法で製造されたエアバッグカバー1もまた、軽量であり、発泡樹脂成形体のみで構成されるにも拘わらずエアバッグの展開時には狙い通りのテアライン部20で破断する。
【0057】
なお、実施例3のエアバッグカバーの製造方法では、当該成形工程において一般カバーキャビティ81の厚さもそのままにしたが、必要に応じて、成形工程においてテアラインキャビティ82とともに一般カバーキャビティ81の厚さを減少させても良い。こうすることで、一般カバー部21を非発泡部41で構成することもできる。なお、この場合には、一般カバーキャビティ81の厚さがテアラインキャビティ82の厚さよりも厚いことが好ましい。つまり、一般カバー部21はテアライン部20よりも厚肉であるのが好ましい。エアバッグ展開時における一般カバー部21の破断を回避するためである。具体的には、当該一般カバーキャビティ81の厚さは1mmを超えるのが好ましい。
【0058】
(その他)
本発明は、上記し且つ図面に示した実施形態にのみ限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施できる。また、実施形態に示した各構成要素は、それぞれ任意に抽出し組み合わせて実施できる。
【0059】
本発明のエアバッグカバーは以下のように表現できる。
(1)エアバッグを覆う樹脂製のエアバッグカバー1であって、
カバー部2と、前記カバー部2を囲む基部3と、前記カバー部2に設けられているテアライン部20と、を有し、
前記テアライン部20は前記基部3に比べて薄肉でありかつ非発泡部41で構成され、
前記基部3は前記非発泡部41と、発泡部40とで構成されている、エアバッグカバー。
(2)前記発泡部40は孔径10μm以上の細孔50を有し、前記非発泡部41は孔径1μm以上の細孔50を有さない、(1)に記載のエアバッグカバー。
【0060】
本発明のエアバッグカバーの製造方法は、以下のように表現できる。
(3)第1型61と第2型62との間に形成されるキャビティ8に発泡樹脂材料85を注入して、カバー部2と、前記カバー部2を囲む基部3と、前記カバー部2に設けられているテアライン部20と、を有するエアバッグカバー1を製造する方法であって、
前記キャビティ8は、前記テアライン部20を形成するテアラインキャビティ82と、前記テアライン部20以外の前記カバー部2を形成する一般カバーキャビティ81と、前記基部3を形成する基キャビティ83と、で構成され、
前記発泡樹脂材料85を前記キャビティ8に注入した後に、前記テアラインキャビティ82の厚さはそのままで、前記基キャビティ83の厚さを増大させる、エアバッグカバーの製造方法。
【0061】
本発明のエアバッグカバーの製造方法の他の態様は、以下のように表現できる。
(4)第1型61と第2型62との間に形成されるキャビティ8に発泡樹脂材料85を注入して、カバー部2と、前記カバー部2を囲む基部3と、前記カバー部2に設けられているテアライン部20と、を有するエアバッグカバー1を製造する方法であって、
前記キャビティ8は、前記テアライン部20を形成するテアラインキャビティ82と、前記テアライン部20以外の前記カバー部2を形成する一般カバーキャビティ81と、前記基部3を形成する基キャビティ83と、で構成され、
前記発泡樹脂材料85を前記キャビティ8に注入した後に、
先ず、前記テアラインキャビティ82の厚さ、前記一般カバーキャビティ81の厚さ、及び、前記基キャビティ83の厚さを増大させ、
次いで、前記基キャビティ83の厚さはそのままで、前記テアラインキャビティ82の厚さを減少させる、エアバッグカバーの製造方法。
【符号の説明】
【0062】
1:エアバッグカバー 2:カバー部
20:テアライン部 21:一般カバー部 3:基部
41:非発泡部 40:発泡部 50:細孔
61:第1型 62:第2型 8:キャビティ
81:一般カバーキャビティ 82:テアラインキャビティ
83:基キャビティ 85:発泡樹脂材料
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11