(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前方に突出した施療子と、当該施療子を先端側に備えると共に基端側が左右方向を向く回転軸に支持されたアーム部材と、当該アーム部材の基端側に突出状に設けられた突片と、前記突片を往復揺動させることで、前記施療子による叩きマッサージを行う叩きマッサージ機構と、を備えたマッサージ装置であって、
前記突片が、前記回転軸より上方側または下方側に向けて突出するように形成されていて、前記叩きマッサージ機構が、前記突片を前後方向に揺動させる構成とされており、前記叩きマッサージ機構は、左右方向に長尺な棒状に形成されると共に左右方向の中途側が上下方向を向く軸回りに揺動可能に支持された揺動リンク部材を備えており、前記揺動リンク部材は、当該揺動リンク部材の左端側または右端側で前記突片を前後方向に揺動させる構成とされている
ことを特徴とするマッサージ装置。
前記叩きマッサージ機構は、駆動モータで発生した回転駆動力を伝達する動力伝達軸と、前記動力伝達軸に取り付けられると共に動力伝達軸に対して偏心状に取り付けられた偏心ボス部と、基端側が前記偏心ボス部に対して回動自在に外嵌し先端側が前記揺動リンク部材の軸心に沿って当該揺動リンク部材に摺動自在に嵌り込む連結体と、を備えている、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のマッサージ装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のマッサージ装置は、モータや駆動軸の配置を工夫することで、シート型やプレート型のマッサージ機にも対応できるような薄型の構造を実現したものとなっている。また、マッサージ感も非常に好適なものとなっている。
しかし、特許文献1のマッサージ装置では、マッサージ部材において施療子側に突出する方向とは反対の方向にも規制ピンが突出する構造となっており、回転軸を挟んで両側にマッサージ部材と規制ピンとが配備されるため、規制ピンから施療子までの距離はある程度長いものとなる。つまり、上述したような特許文献1の内部構造を採用した場合には、規制ピンを後方に向かって突出させた分だけマッサージ機の前後方向の厚みは厚くなるため、更なる薄型化に資するものとはなっていない。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、前後方向の厚みをより薄くでき、シート型やプレート型のマッサージ機に要求されるスリム化の要望にも十分に対応することができるマッサージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明のマッサージ装置は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のマッサージ装置は、前方に突出した施療子と、当該施療子を先端側に備えると共に基端側が左右方向を向く回転軸に支持されたアーム部材と、当該アーム部材の基端側に突出状に設けられた突片と、前記突片を往復揺動させることで、前記施療子による叩きマッサージを行う叩きマッサージ機構と、を備えたマッサージ装置であって、前記突片が、前記回転軸より上方側または下方側に向けて突出するように形成されていて、前記叩きマッサージ機構が、前記突片を前後方向に揺動させる構成とされて
おり、前記叩きマッサージ機構は、左右方向に長尺な棒状に形成されると共に左右方向の中途側が上下方向を向く軸回りに揺動可能に支持された揺動リンク部材を備えており、前記揺動リンク部材は、当該揺動リンク部材の左端側または右端側で前記突片を前後方向に揺動させる構成とされていることを特徴とする。
【0007】
なお、好ましくは、前記突片には、当該突片を左右方向に貫通する貫通孔が形成されており、前記貫通孔に、前記揺動リンク部材の左端側または右端側が遊嵌状に貫通しているとよい。
【0008】
なお、好ましくは、前記叩きマッサージ機構は、駆動モータで発生した回転駆動力を伝達する動力伝達軸と、前記動力伝達軸に取り付けられると共に動力伝達軸に対して偏心状に取り付けられた偏心ボス部と、基端側が前記偏心ボス部に対して回動自在に外嵌し先端側が前記揺動リンク部材の軸心に沿って当該揺動リンク部材に摺動自在に嵌り込む連結体と、を備えているとよい。
【0009】
なお、好ましくは、前記駆動モータは、前記動力伝達軸を正逆に回転可能とされており、偏心ボス部は、ワンウェイクラッチを介して動力伝達軸に連結されているとよい。
なお、好ましくは、前記連結体と揺動リンク部材との間であって前記揺動リンク部材の軸心方向に沿った方向には
、偏心カム部材と揺動リンク部材とを弾性的に連結することで、前記ワンウェイクラッチへの負荷を低減するバネ部材が設けられているとよい。
【0010】
なお、好ましくは、前記施療子を左右方向に揺動させて揉みマッサージを行う揉みマッサージ機構が設けられていて、前記揉みマッサージ機構は、前記回転軸と一体に回転すると共に回転軸の軸心に対して傾斜した軸回りを周回する傾斜カム面を備え、前記傾斜カム面に前記アーム部材の基端側が回動自在に嵌合する傾斜ボス部と、前記傾斜ボス部に対してアーム部材が供回りすることを規制する規制手段と、を有し、前記規制手段が、前記アーム部材の基端側に突出状に設けられた突片と、この突片を往復揺動させる揺動リンク部材と、で構成されているとよい。
【0011】
なお、好ましくは、前記叩きマッサージ機構及び揉みマッサージ機構を上下方向に昇降させる昇降機構を有しており、前記昇降機構は、昇降モータと、両端側に昇降ギヤが取り付けられた昇降軸と、前記昇降モータの回転駆動力を減速して前記昇降軸に伝達する減速部と、を有し、前記減速部は、前記昇降モータで発生する回転駆動力を減速して伝達する複数のギヤを備えており、前記複数のギヤのいずれか1つ以上が前記回転軸に対して回転自在に取り付けられているとよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のマッサージ装置によれば、前後方向の厚みをより薄くでき、シート型やプレート型のマッサージ機に要求されるスリム化の要望にも十分に対応することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明のマッサージ装置1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、本実施形態のマッサージ装置1を模式的に示したものである。
図1に示すように、本実施形態のマッサージ装置1は、「シート型のマッサージ機」、あるいは「プレート型のマッサージ機」と呼ばれるものであり、椅子やソファの背もたれ部に沿わせるように立て掛けられて使用されるものである。つまり、このマッサージ装置1は、椅子やソファの背もたれ部と、この背もたれ部にもたれかかる使用者との間に挟み込まれるように配備されて、内部に設けられたマッサージ機構2を用いて使用者の背中や腰などの施療部をマッサージする構成とされている。
【0015】
図1に示すように、このマッサージ装置1は、上述した背もたれ部に立て掛け可能なように上下に長く、また背もたれ部を全面に亘って覆えるように平坦な形状(プレート形状)となっている。また、マッサージ装置1の内部は中空となっており、この中空とされたマッサージ装置1の内部には上下方向に沿ってガイドレール3が形成されていて、ガイドレール3によってマッサージ機構2の位置を上下方向に調整可能とされている。
【0016】
具体的には、ガイドレール3は、マッサージ装置1の内部の左側と右側とに1本ずつ、左右で一対配備されている。それぞれのガイドレール3の前面には、上下方向に沿ってギヤ歯(ラックギヤ4)が形成されており、このギヤ歯にマッサージ装置1に設けられた昇降ギヤ5を噛み合わせることで、上述したマッサージ機構2は上下方向に位置変更できるようになっている。
【0017】
なお、
図1では内部が視認できるようにマッサージ装置1の前面中央は省略されているが、実際のマッサージ装置1の前面はカバーなどで覆われている。
以降の説明において、
図1及び
図2において矢印で示される前後方向・左右方向・上下方向をマッサージ装置1を説明する際の前後方向・左右方向・上下方向とする。これは椅子などの背もたれ部に立て掛けられたマッサージ装置1に着座した使用者から見た方向と一致する。さらに、これらの方向については、適宜、
図1及び
図2中に矢印を用いて示している。
【0018】
図2に仮想線で示すように、マッサージ機構2は、プラスチックで構成された板状のベース部材6を備えている。このベース部材6には、マッサージ機構2を動作させる駆動力を発生する駆動モータ7と、上述した昇降ギヤ5を回転駆動させる昇降用の回転駆動力を発生する昇降モータ8と、が設けられている。上述したマッサージ機構2には使用者の背側の施療部に対して揉みマッサージを行う揉みマッサージ機構9と、施療部に対して叩きマッサージを行う叩きマッサージ機構10と、が設けられており、一つの駆動モータ7の回転駆動力を用いて揉みマッサージ機構9と叩きマッサージ機構10との双方が動作可能とされている。
【0019】
具体的には、上述した駆動モータ7は、水平方向に駆動軸7aの軸心が向くように取り付けられており、ウォームギヤ及びウォームホイールを用いて動力伝達軸11に回転駆動力を伝達している。動力伝達軸11は、上下方向に軸心を向けるように配備された部材であり、マッサージ機構2における上下方向の中途側に設けられた回転軸12と、マッサージ機構2の下端側に設けられた揺動リンク部材13とに、回転駆動力を分けて伝達可能となっている。この回転軸12に伝達された回転駆動力は揉みマッサージ機構9を動作するために用いられ、揺動リンク部材13に伝達された回転駆動力は叩きマッサージ機構10を動作するために用いられる。
【0020】
一方、上述した昇降モータ8で発生した回転駆動力は、マッサージ機構2の右側に配備された減速部14で減速されて昇降軸15に伝達する。昇降軸15の左右両端側には上述した昇降ギヤ5が配備されており、昇降ギヤ5をガイドレール3のラックギヤ4に噛み合わせることでマッサージ機構2がマッサージ装置1の内部で上下方向に移動(昇降)する。すなわち、上述した昇降モータ8、減速部14、昇降軸15、及び昇降ギヤ5が、マッサージ機構2を昇降させる昇降機構を構成している。
【0021】
次に、本発明のマッサージ装置1に設けられる揉みマッサージ機構9、叩きマッサージ機構10、昇降機構について説明する。
図3に示すように、揉みマッサージ機構9は、前方に向かって突出するように設けられた左右一対のアーム部材16の先端側に使用者の施療部を施療する施療子17を有しており、それぞれの施療子17を左右方向に揺動させる(近接離反させる)ことで、施療部に対する揉みマッサージを行う構成になっている。
【0022】
揉みマッサージ機構9は、左右方向に軸心を向けるようにして配備された回転軸12と、回転軸12と一体に回転すると共に回転軸12の軸心に対して傾斜した軸回りを周回する傾斜カム面18を備えた傾斜ボス部19と、を備えている。また、この傾斜ボス部19の傾斜カム面18には、アーム部材16の基端側が回動自在に嵌合している。さらに、このアーム部材16の基端側には、上述した傾斜ボス部19に対してアーム部材16が供回りすることを規制する規制手段20が設けられている。つまり、上述した回転軸12、傾斜ボス部19、アーム部材16、施療子17、及び規制手段20が、本発明の揉みマッサージ機構9を構成している。
【0023】
具体的には、上述した回転軸12は、マッサージ機構2における上下方向の中途側に配備された軸であり、左右方向に軸心を向けるように配備されている。回転軸12の左右方向の中途側及び左端側には軸受21が配備されており、これらの軸受21により回転軸12は左右方向を向く軸回りに回転自在に支持されている。また、回転軸12の左端側には、上述した動力伝達軸11の回転駆動力がウォームギヤ及びウォームホイールを介して減速された状態で入力されている。
【0024】
上述した回転軸12の左端側と右端側とには(中央の軸受21の左側と右側とには)、それぞれ回転軸12に対して一体回転可能な傾斜ボス部19が配備されている。この傾斜ボス部19は回転軸12と同軸になるように設けられた円筒状の部材であり、それぞれの傾斜ボス部19の外周面には回転軸12の軸心に対して傾斜した軸回りを周回する傾斜カム面18が形成されている。
【0025】
上述した左右の傾斜カム面18については、左側の傾斜ボス部19に設けられる傾斜カム面18と、右側の傾斜ボス部19に設けられる傾斜カム面18とは、傾斜方向が逆となっている。つまり、左側の傾斜カム面18が左下がりに傾斜している場合は右側の傾斜カム面18は右下がりに傾斜し、左側の傾斜カム面18が右下がりに傾斜している場合は右側の傾斜カム面18は左下がりに傾斜するように、上述した傾斜ボス部19は回転軸12に取り付けられている。
【0026】
図5に示す如く、アーム部材16は、後方から前方に向かって突出した先端に、使用者の施療部を施療する施療子17を備えており、施療子17を左右方向に往復移動させることで、施療部に対する揉みマッサージを可能とする構成となっている。本実施形態の場合は、アーム部材16は、左右方向の側方から見た場合に略T字状となるように形成された部材であって、後方から前方に向かって突出した先端が上方と下方とに二股に分岐しており、分岐した上側の先端と下側の先端とにそれぞれ施療子17が取り付けられている。
【0027】
具体的には、
図5に詳しく説明するように、上述したアーム部材16は、傾斜ボス部19の傾斜カム面18に嵌合した基端側から、前方に向かって施療子17の厚み1個程度突出している。そして、前方に突出した突端から、上方と下方のそれぞれに向かってそれぞれ上下方向に延び、伸びた先端に上下方向を向く軸回りに回転自在に施療子17が取り付けられている。つまり、アーム部材16は、施療子17の厚み1個程度は前方突出しているものの、それ以上は前方に突出しておらず、前後方向に沿った厚みは最大でも施療子17の厚み2個程度以下に抑えられている。それゆえ、マッサージ装置1の前後方向に沿った厚みを薄くして、シート型やプレート型のマッサージ機に要求されるスリム化の要望にも十分に対応することが可能となる。
【0028】
上述した施療子17は、上下方向を向く軸回りに回転可能に取り付けられた略球状の部材であり、左右方向へ揺動させた際に転動しつつ施療部を刺激して、施療部に対する施療を可能としている。本実施形態の施療子17は、左側のアーム部材16の上側と下側とに1個ずつ、右側のアーム部材16の上側と下側とに1個ずつ、合わせて4個設けられている。
【0029】
また、上述した左右のアーム部材16の基端側には環状嵌合部22が形成されている。この環状嵌合部22は、左右方向に向かってアーム部材16を貫通すると共に円形に開口しており、上述した傾斜カム面18よりも大きな内径に形成されている。つまり、上述した傾斜ボス部19の傾斜カム面18にベアリング23を介してこの環状嵌合部22を外嵌させることで、アーム部材16が傾斜カム面18に沿って回動可能に外嵌されている。
【0030】
規制手段20は、アーム部材16が傾斜ボス部19と一体に回動することを規制する手段であり、アーム部材16の基端側から突出状に設けられた突片24と、この突片24に係合することで傾斜ボス部19に対してアーム部材16が一体回動することを規制する揺動リンク部材13と、で構成されている。なお、この規制手段20については、以降の叩きマッサージ機構10で詳しく説明する。
【0031】
上述した揉みマッサージ機構9では、動力伝達軸11の回転駆動力を伝達された回転軸12が、左右方向を向く軸回りに回転すると、回転軸12に一体回転するように取り付けられた傾斜ボス部19も左右方向を向く軸回りに回転する。このとき、傾斜ボス部19の外周面には、回転軸12の軸心に対して傾斜した軸回りを周回する傾斜カム面18が形成されており、傾斜カム面18にはベアリングを介してアーム部材16の基端側が回動自在に外嵌している。それゆえ、傾斜ボス部19を回転させると、傾斜ボス部19に同伴してアーム部材16も回転しようとする。しかし、アーム部材16の基端側には上述した規制手段20が設けられているため、アーム部材16が傾斜ボス部19に同伴して回転することはなく、傾斜ボス部19の傾斜カム面18に沿って左右方向にアーム部材16が揺動を繰り返す。
【0032】
なお、上述したように傾斜カム面18の傾斜方向は、左右の傾斜ボス部19で反対となっているため、左側のアーム部材16が左方に揺動した場合は右側のアーム部材16が右方に揺動し、左側のアーム部材16が右方に揺動した場合は右側のアーム部材16が左方に揺動して、左右のアーム部材16(施療子17)は互いに近接離反を繰り返す。それゆえ、揉みマッサージ機構9では、左右の施療子17の間に使用者の施療部を差し込めば、施療部に対する揉みマッサージを行うことが可能となる。
【0033】
一方、叩きマッサージ機構10は、上述した規制手段20の突片24を回転軸12の軸心に対して垂直となる方向に往復揺動させることで、アーム部材16を揉みマッサージの近接離反よりも短いピッチで往復揺動させ、アーム部材16の先端に設けられた施療子17によって施療部を叩く叩きマッサージを行う構成となっている。つまり、上述した叩きマッサージ機構10は、揉みマッサージ機構9に用いられる施療子17、アーム部材16、突片24、及びこの突片24を揺動させる揺動リンク部材13とで構成されるものとなっている。
【0034】
具体的には、突片24は、アーム部材16の基端側から、回転軸12の軸心の下方側に向けて突出するように形成された部材である。この突片24には突片24を左右方向に貫通する貫通孔25が形成されており、貫通孔25には揺動リンク部材13が遊嵌状に貫通して配備されている。また、揺動リンク部材13は左右方向に長尺な棒状に形成されると共に左右方向の中途側が上下方向を向く軸回りに揺動可能に支持されている。さらに、この揺動リンク部材13には、駆動モータ7で発生した回転駆動力が伝達されている。
【0035】
つまり、駆動モータ7で発生した回転駆動力は上下方向に軸心を向けるようにして配備された動力伝達軸11に伝達する。動力伝達軸11の下端側には、動力伝達軸11に対して偏心状に取り付けられた偏心ボス部26が設けられており、この偏心ボス部26には連結体27が外嵌されている。そして、連結体27は、基端側が偏心ボス部26に対してその外周面に回動自在に嵌り込んでおり、また先端側は揺動リンク部材13の軸心に沿って当該揺動リンク部材13に摺動自在に嵌り込むようにされている。
【0036】
それゆえ、
図4に示す如く、叩きマッサージ機構10では、駆動モータ7で発生した回転駆動力を偏心ボス部26を介して揺動リンク部材13に伝達すると、左右方向の中途側を基準に揺動リンク部材13が前後方向に揺動する。そうすると、前後方向に揺動する揺動リンク部材13が突片24を前後方向に揺動させ、突片24が前後方向に揺動することで施療子17で叩きマッサージを行うことが可能となる。
【0037】
次に、本実施形態の叩きマッサージ機構10を構成する突片24、揺動リンク部材13、偏心ボス部26、及び連結体27について詳しく説明する。
図2〜
図5に示すように、突片24は、アーム部材16の基端側から下方に向かって突出する部材であり、揺動リンク部材13の前後揺動によりアーム部材16を左右方向を向く軸回り(回転軸12回り)に往復揺動可能とされている。なお、本実施形態の突片24は、下方に向かって突出する構成とされているが、突片24の突出方向は上方に向かうものであっても良い。
【0038】
具体的には、本実施形態の突片24は、上述した揺動リンク部材13に対して、左右方向に移動可能に係合可能とされている。そして、この突片24は、下方に向かって突出する円柱状の第1突出体28と、第1突出体28の後側に距離をあけて配備されると共に下方に向かって突出する円柱状の第2突出体29と、第1突出体28の先端と第2突出体29の先端とを連結する抜け止め部30と、を備えている。この第1突出体28と第2突出体29とは、上述した揺動リンク部材13を挿通可能な程度の距離を上下方向にあけて配備されている。つまり、第1突出体28の先端と第2突出体29の先端とを抜け止め部30で繋げば、この突片24の中央を左右方向に貫通する貫通孔25が形成され、この貫通孔25に揺動リンク部材13を左右方向に挿通することが可能となる。
【0039】
つまり、上述した貫通孔25に揺動リンク部材13を左右方向に向かって挿通すれば、揺動リンク部材13が連結されていてもアーム部材16は左右方向に揺動自在となり、揺動リンク部材13によりアーム部材16の左右方向に沿った揺動が阻害されることはない。その一方で、揺動リンク部材13を前後方向に揺動させた場合には、前後方向に揺動する揺動リンク部材13に突片24の第1突出体28や第2突出体29が当接し、揺動リンク部材13の前後揺動に合わせてアーム部材16も前後方向に往復揺動するようになる。
【0040】
図4に示すように、揺動リンク部材13は、左右方向の中途側を中心に前後方向に揺動することで、この揺動リンク部材13に係合した突片24を前後方向に揺動させ、アーム部材16を前後揺動させる部材である。揺動リンク部材13は、左右方向の中途側に、上下方向を向く軸回りにこの揺動リンク部材13を回動自在に支持する枢支軸31を有している。この枢支軸31は、上下方向に軸心を向けるように取り付けられており、上述したケーシングに対して固定されている。つまり、揺動リンク部材13は、枢支軸31が設けられた中途側よりも左端側と、右端側とを交互に前後揺動させる構成とされており、これら左端側及び右端側の揺動リンク部材13が突片24に係合されている。
【0041】
図4に示すように、偏心ボス部26は、上下方向を向く軸心回りに円盤状に形成された部材であり、動力伝達軸11の軸心に対して偏心した状態となるように取り付けられていて、動力伝達軸11と一体に回動可能とされている。偏心ボス部26の外周側には、中央に円形に開口する環状連結孔を備えた連結体27が嵌め込まれている。この環状連結孔は、偏心ボス部26の外径より大きな内径を備えており、偏心ボス部26の外周面との間に配備されたベアリング32を介して、偏心ボス部26の外周面に対して連結体27は回動自在とされている。
【0042】
また、連結体27の上端側には、左右方向に貫通状にリンク部材案内孔33が形成されている。つまり、このリンク部材案内孔33に上述した揺動リンク部材13を挿通することで、揺動リンク部材13が左右方向へ移動することを許容した状態で連結体27が揺動リンク部材13に係合している。
なお、上述した偏心ボス部26と動力伝達軸11との間には、ワンウェイクラッチが設けられている。すなわち、駆動モータ7により動力伝達軸11を正逆に回転可能としておき、動力伝達軸11が正方向に回転した場合には動力伝達軸11の回転駆動力を偏心ボス部26に伝達し、動力伝達軸11が逆方向に回転した場合には動力伝達軸11の回転駆動力を偏心ボス部26に伝達しない、言い換えれば偏心ボス部26が動力伝達軸11に対して空転されるようにする。
【0043】
このようにすれば駆動モータ7(動力伝達軸11)が正方向に回転した場合には揉みマッサージ機構9と叩きマッサージ機構10との双方が動作し、駆動モータ7が逆方向に回転した場合には揉みマッサージ機構9のみが動作するようになり、駆動モータ7の回転方向を切り換えることでマッサージ動作を選択することが可能となる。
また、上述したワンウェイクラッチを用いるに際しては、連結体27と揺動リンク部材13との間に、揺動リンク部材13の軸心方向に沿った方向に偏心ボス部26と揺動リンク部材13とを弾性的に連結するバネ部材34を設けるのが好ましい。このようなバネ部材34を設ければ、ワンウェイクラッチへの負荷を低減することが可能となる。
【0044】
すなわち、連結体27の上端側は、枢支軸31を超える高さに上方に向かって突出しており、この上方に向かって突出した部分に上述したリンク部材案内孔33が形成されており、さらにこのリンク部材案内孔33に揺動リンク部材13が左右方向に貫通状に挿通されている。また、揺動リンク部材13におけるリンク部材案内孔33に挿通された部分から、左右方向に揺動リンク部材13の厚み2個程度離れた位置には、上述したバネ部材34を付勢状態に取り付けるためのバネ取付片35が設けられている。
【0045】
つまり、リンク部材案内孔33の右側と左側との双方には、付勢状態とされたバネ部材34がそれぞれ配備されており、揺動リンク部材13は付勢されたバネ部材34を介して連結体27に連結されている。それゆえ、上述したワンウェイクラッチに過大な力が加わった場合にも、加わった力が連結体27を介してバネ部材34に伝達し、バネ部材34が撓むなどして負荷を吸収するため、ワンウェイクラッチへの負荷を低減することが可能となる。
【0046】
つまり、上下方向を向く軸回りに動力伝達軸11を回転させると、この動力伝達軸11に同伴して、偏心ボス部26が動力伝達軸11の軸心の周りを偏心した状態で回転する。そうすると、偏心ボス部26の外周面に、ベアリング32を介して回動自在に嵌合した連結体27も偏心ボス部26に同伴して回動しようとする。しかし、連結体27は、リンク部材案内孔33を介して揺動リンク部材13に左右方向に移動可能に係合している。それゆえ、連結体27が偏心ボス部26に同伴して回動することはなく、連結体27は前後方向及び左右方向に往復移動をするようになる。
【0047】
なお、連結体27は、揺動リンク部材13の前後方向に沿った揺動を許容した状態で揺動リンク部材13の左端側に係合しており、連結体27が前後方向及び左右方向に往復移動をすると、揺動リンク部材13も左右方向の中途側を中心に前後方向に揺動を繰り返すようになる。
この揺動リンク部材13の左端側と右端側とには、上述した突片24が左右方向に移動を許容された状態で係合しているため、揺動リンク部材13が前後方向に揺動するとアーム部材16も前後に揺動し、施療子17が揉みマッサージの動作よりも速いピッチで施療部に接触し、施療部に対する叩きマッサージを行うことが可能となる。
【0048】
上述した昇降機構は、叩きマッサージ機構10及び揉みマッサージ機構9を上下方向に昇降させるものである。この昇降機構は、昇降モータ8と、昇降ギヤ5が取り付けられた昇降軸15と、昇降モータ8の回転駆動力を減速して昇降軸15に伝達する減速部14と、を有している。
具体的には、昇降モータ8は駆動モータ7の右側に配備されたモータであり、下方に駆動軸8aを向けて配備されている。この昇降モータ8の駆動軸8aにはウォームギヤが設けられており、昇降モータ8で発生した回転駆動力を左右方向に軸心を向けた第1減速軸36のウォームホイールに伝達している。
【0049】
減速部14は、昇降モータ8で発生する回転駆動力を減速して伝達するものであり、上述した第1減速軸36に加えて、第1減速軸36同様に左右方向に軸心を向けた第2減速軸37及び第3減速軸38を備えている。これらの第2減速軸37及び第3減速軸38には、平歯車から構成された減速機構がそれぞれ配備されており、昇降モータ8で発生した回転駆動力を減速された状態で昇降軸15に伝達している。
【0050】
ところで、上述した昇降モータ8の駆動軸8aのウォームギヤを受けるウォームホイールは、上述した回転軸12の右端側に遊嵌状態で回転自在に設けられている。つまり、本実施形態のマッサージ装置1では第1減速軸36の機能を揉みの駆動力を伝達する回転軸12が兼用している。このように昇降モータ8の回転駆動力を伝達する複数のギヤのいずれか1つ以上を回転軸12に設ければ、減速軸の設置本数を減らすことができ、マッサージ装置1の上下方向の長さを短いものとし、マッサージ装置1のスリム化に資することとなる。
【0051】
また、上述したベース部材6の左側の上部付近には、使用者が着座した際の衝撃がベース部材6に直接作用することがないように、衝撃を緩和する衝撃緩和部材39(バネ部材)が設けられている。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。