(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部が、前記容器の下部に、前記2つ以上の互いに異なる回転数のうち、最低回転数が1000〜5000rpmの範囲であり、且つ最高回転数が6000〜10000rpmの範囲である前記円運動をさせるように、前記駆動部を制御することを特徴とする請求項1に記載の検体の破砕装置。
前記連結手段が、前記回転部材に、前記回転軸から離れた位置に設けられた凹部または凸部と、前記容器の下端に直接または間接的に設けられた、前記凹部または凸部と嵌合する凸部または凹部とからなることを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の検体の破砕装置。
前記制御部が、前記複数の容器のうち、一部の前記容器を前記円運動させている間、残りの前記容器を前記一部の容器とは異なる回転数で前記円運動させるように、前記駆動部を制御することを特徴とする請求項11に記載の検体の破砕装置。
前記2つ以上の互いに異なる回転数のうち、最低回転数が1000〜5000rpmの範囲であり、最高回転数が6000〜10000rpmの範囲であることを特徴とする請求項13に記載の検体の破砕方法。
前記円運動により、前記大径ビーズを前記容器の下方の内周面上で転動させ、前記小径ビーズを、前記円運動の回転数の変化に応じて、前記容器内で上下方向に移動させることを特徴とする請求項13または14に記載の検体の破砕方法。
前記容器を複数用意し、各該容器に前記溶液、前記多数の小径ビーズおよび前記1個の大径ビーズを貯留させ、前記複数の容器を同時に前記円運動させることを特徴とする請求項13〜18のいずれか1項に記載の検体の破砕方法。
前記複数の容器を2つのグループに分け、一方のグループに属する前記容器の下部に前記円運動をさせている間、他方のグループに属する前記容器の下部に前記一方のグループとは異なる回転数で前記円運動をさせることを特徴とする請求項19に記載の検体の破砕方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、遺伝子診断においては、動物(主にヒト)や植物から採取した多数の検体を短時間に破砕し、診断効率を高めることも要求されている。特許文献3に提案される技術は、検体を破砕するために多数の小径ビーズと1個の大径ビーズを用いることを開示しているに過ぎず、これらのビーズを用いて如何に診断効率を向上させるかまでは何ら提言するものではない。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑み、検体、多数の小径ビーズおよび1つの大径ビーズ検体を貯留した容器を円運動させて検体を破砕する装置および方法であって、短時間且つ効率的に検体を破砕できる検体破砕装置およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を達成するため、本発明の検体の破砕装置は、検体を含む溶液、多数の小径ビーズおよび1個の大径ビーズを貯留させた容器の下部に円運動をさせる駆動部と、この駆動部を制御する制御部とを備え、制御部が、容器の下部に2つ以上の互いに異なる回転数間で連続的に変化する円運動をさせるように、駆動部を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明の検体の破砕方法は、検体を含む溶液、多数の小径ビーズおよび1個の大径ビーズを容器に貯留させ、この容器の下部に2つ以上の互いに異なる回転数の間で連続的に変化する円運動をさせて、ビーズにより検体を破砕することを特徴とする。
【0011】
ここで、上記「多数の小径ビーズ」とは、0.1〜1mm程度の粒子径を有するビーズが10〜50000個、好ましくは1000〜10000個、より好ましくは5000〜10000個程度存在することを意味する。上記「大径ビーズ」とは、小径ビーズの粒子径よりも10〜100倍程度大きい粒子径を有するビーズを意味し、その粒径は1〜10mm、好ましくは3〜8mmである。
【0012】
また、本発明の検体破砕装置およびその方法において、2つ以上の互いに異なる回転数のうち、最低回転数が1000〜4000rpmの範囲、最高回転数が5000〜9000rpmの範囲であることが望ましい。上記「rpm」とは、1分間あたりの回転数(revolution per minute)を意味する。
【0013】
また、本発明の検体破砕装置において、容器は、上方の内周面に、小径ビーズを内周面より跳ね上げるリブを備えることが望ましい。また、容器は、その下方の内周面が円運動中に大径ビーズを下方の内周面上で転動させるように、平坦であることが望ましい。
【0014】
また、本発明の検体破砕方法は、大径ビーズを容器の下方の内周面上で転動させ、小径ビーズを、円運動の回転数の変化に応じて、容器内で上下方向に移動させることが望ましい。
【0015】
また、本発明の検体破砕装置において、駆動部は、容器の上部を、容器が容器の中心軸まわりに回転不能な状態で、支持する支持部材と、所定の回転軸まわりに回転する回転部材と、中心軸が回転軸に対して交差した状態で、容器の下部を回転部材に直接または間接的に連結する連結手段とを備えることが望ましい。また、本発明の検体破砕方法において、容器の中心軸が円運動の回転軸と交差した状態で円運動をさせることが望ましい。
【0016】
また、本発明の検体破砕装置およびその方法において、中心軸と回転軸との交差する角度は2〜5度の範囲であることが望ましい。
【0017】
また、本発明の検体破砕装置において、支持部材は、容器の上部を挿通させる孔を有する可撓性部材からなるものであってもよい。
【0018】
また、本発明の検体破砕装置において、可撓性部材が、孔の周囲に容器の材質よりも硬質な環状部を備えていることが望ましい。
【0019】
また、本発明の検体破砕装置において、連結手段は、回転部材に、回転軸から離れた位置に設けられた凹部または凸部と、容器の下端に直接または間接的に設けられた、凹部または凸部と嵌合する凸部または凹部とからなることが望ましい。
【0020】
また、本発明の検体破砕装置において、支持部材が、可撓性部材の孔と連通する開口を有する有底筒状の容器収容部をさらに備え、容器収容部の底部に凸部と、容器収容器の内周面上に、容器の外周面上に形成されたリブと係合して容器の中心軸まわりの回転を防止する突起とが形成されていることが望ましい。
【0021】
また、本発明の検体破砕装置および方法において、複数の容器を同時に円運動させてもよい。また、本発明の検体破砕装置および方法においては、複数の容器のうち、一部の容器を円運動させている間、残りの容器を一部の容器とは異なる回転数で円運動させてもよい。
【発明の効果】
【0022】
本発明の検体破砕装置およびその方法は、検体を含む溶液、多数の小径ビーズおよび1個の大径ビーズを容器に貯留させ、この容器の下部に2つ以上の互いに異なる回転数間で連続的に変化する円運動をさせることにより、短時間に効率的に検体を破砕できる。
【0023】
また、本発明の検体破砕装置は、容器の上方の内周面に、小径ビーズを内周面より跳ね上げるリブを備えることにより、容器の上方に位置する小径ビーズを内周面より跳ね上げ、溶液内に分散させるため、より短時間で効率的に検体を破砕できる。
【0024】
また、本発明の検体破砕装置は、容器の下方の内周面を、大径ビーズが転動するように、平坦に形成することにより、転動する大径ビーズが溶液を撹拌して検体をより短時間で効率的に破砕できる。
【0025】
また、本発明の検体破砕方法は、大径ビーズを容器下方の内周面で転動させ、小径ビーズを、回転数の変化に応じて、容器内で上下方向に移動させることにより、小径ビーズが溶液内に分散され、且つ転動する大径ビーズが溶液を撹拌するため、検体をより短時間で効率的に破砕できる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態である検体破砕装置1の全体構成を示す。
図2は検体破砕装置1にカートリッジとして装着される容器2の斜視図を示す。
図3は容器2の断面図を示す。
【0028】
最初に容器2について説明する。容器2には、検体Kを含む溶液S、多数の小径ビーズSBおよび1個の大径ビーズBBを貯留させる。容器2には、複数個の大径ビーズBBを貯留させてもよい。さらに、容器2には、大径ビーズBBおよび小径ビーズSBのいずれのビーズとも粒径が異なるビーズを貯留させてもよい。
【0029】
容器2は、筒状本体21と蓋本体31とから構成される。筒状本体21は、略半球状の底部211と、底部211から連続する円柱状の下方部212と、下方部212から連続し上端に円形の開口を有する略逆円錐台状の上方部213とからなる。なお、上方部213は、円柱状であってもよい。
【0030】
筒状本体21について説明する。筒状本体21において、筒状本体21の中心軸AC方向の高さに対して、底部211が15パーセント程度の高さ、下方部212が25パーセント程度の高さ、上方部213が60パーセント程度の高さをそれぞれ占めている。なお、筒状本体21において、各部の占める割合は特に限定されるものではない。
【0031】
そして、筒状本体21は略均一な周壁214を有している。周壁214の内周面215は、底部211の近傍が略均一な曲率半径を有する凹半球面状、下方部212の近傍が中心軸ACと直交する断面が略均一な直径を有する円になる面状、上方部213の近傍が、中心軸ACと直交する断面が上方に向かう程に拡大する直径を有する円になる面状で形成されている。
【0032】
底部211の近傍において、内周面215には上方に突出する下リブ216が複数形成されている。下リブ216は溶液Sを撹拌するものである。下リブ216は中心軸ACに対して等しい角度間隔を空けて形成されているのが好ましく、下リブ216の中心軸ACと直交する断面は矩形状である。本実施形態において、3mm程度の高さを有する3つの下リブ216が、互いに120度の角度間隔を空けて形成されている。なお、下リブ216の高さ寸法および角度間隔は、検体Kの種類や貯留量に応じて適宜調整可能であり、特に限定されるものではないが、溶液Sを撹拌するもの、さらに容器2の円運動時に容器2内を転動中の小径ビーズSBまたは大径ビーズBBが衝突し、その軌道を不規則にさせるものが好ましい。
【0033】
下方部212の近傍において、内周面215は溝や突起等を有さない面状で形成されている。また、上方部213の近傍において、内周面215には、中心軸AC方向に突出する上リブ217が複数形成されている。上リブ217も溶液Sを撹拌するものである。上リブ217は、中心軸ACに対して等しい角度間隔を空けて形成されている。
【0034】
本実施形態において、3つの上リブ217が互いに120度の角度間隔を空けて形成されている。また、上リブ217は、下方部212との境界近傍より上方に延びている。また、上リブ217の中心軸ACと直交する断面は矩形状である。また、下方部212との境界近傍において、上リブ217の頂面は内周面215と略面一である。そして、上リブ217は、上方に延びる程、その頂面が連続的に高くなっている。なお、上リブの数、高さ寸法、角度間隔および断面形状も、溶液の種類や粘度や貯留量等に応じて適宜変更可能であり、特に限定されるものではないが、溶液Sを撹拌するもの、さらに容器2の円運動時に容器2内を転動中の小径ビーズSBが衝突し、その軌道を不規則にさせるものが好ましい。
【0035】
上方部213において、外周面220には、蓋本体と螺号するネジ山221が形成され、ネジ山221の下方には、環状のフランジ222が形成されている。蓋本体31は、蓋本体31の下端がフランジ222と近接する位置まで筒状本体21と螺号する。
【0036】
フランジ222より下方において、外周面220には外方に突出する外リブ223が複数形成されている。外リブ223は容器2を検体破砕装置1に係合させるために利用される。外リブ223は、フランジ222の近傍より底部211の下端まで下方に延びている。また、外リブ223は中心軸ACに対して互いに等しい角度間隔を空けて形成されている。
【0037】
本実施形態において、6つの外リブ223が互いに60度の角度間隔を空けて形成されている。外リブ223の中心軸ACと直交する断面は矩形状である。また、外リブ223の下端は、容器2を平坦面に載置したとき、容器2が起立姿勢を維持するように、平坦な面状になっている。これにより、ユーザによる作業性が向上する。
【0038】
外リブ223の上端において、外リブ223の頂面は外周面220と略面一である。そして、外リブ223は、下方に延びる程、その頂面が連続的に高くなっている。これにより、中心軸ACと外リブ223との頂面との距離は略一定になっている。なお、外リブ223の数、高さ寸法、角度間隔および断面形状は、検体破砕装置1の係合構造によって適宜変更可能であり、特に限定されるものではない。
【0039】
蓋本体31は、略円筒状の下蓋部311と略直方体状の上蓋部312とからなる。下蓋部311には、下端より略円形の凹部313が形成されている。そして、凹部313の側周面には、筒状本体21のネジ山221と螺号するネジ溝314が形成されている。また、凹部313には上蓋部312と連通する円形の開口315が形成されている。
【0040】
上蓋部312には、上端より略正方形の凹部316が形成されている。そして、凹部316には、開口315と連通する円形の開口317が形成されている。開口317は金属膜318で封止されている。金属膜318は、破砕処理後に抽出針等で穿孔できる程度の厚さを有している。なお、金属膜の材質は、アルミやステンレス等であるが、特に限定されるものではない。また、上記金属膜は、樹脂膜であってもよい。該樹脂膜の材質は、ポリプロピレン、ポリエチレン等であるが、特に限定されるものではない。
【0041】
これにより、破砕処理の溶液Sを回収するために、筒状本体21と蓋本体31との螺号を解除する必要がなくなり、作業性が向上する。さらに、螺号解除によるコンタミネーションの発生を低減することもできる。
【0042】
検体破砕装置1について説明する。検体破砕装置1には、カートリッジとして容器2が着される。そして、検体破砕装置1は溶液S内の検体を破砕する装置である。検体破砕装置1は、複数の容器2の上部をそれぞれ支持する支持フレーム11と、複数の容器2の下部をそれぞれ円運動させる複数の駆動部40と、複数の駆動部40をそれぞれ固定する固定フレーム13と、支持フレーム11と固定フレーム13を連結する連結フレーム14とを備えている。
【0043】
支持フレーム11は、
図1中のX軸方向に配列された4つの容器2を、所定間隔を空けて支持している。そして、容器2は、
図1中のZ軸方向に略起立した姿勢で装着される。なお、装着される容器2の数、配列方向、間隔は特に限定されるものではない。固定フレーム13は、4つの駆動部40が容器2の下方に位置するように、4つの駆動部40をそれぞれ固定する。
【0044】
図4は駆動部40の斜視図である。駆動部40は、容器2を収容する収容ユニット50と、収容ユニット50と連結して収容ユニット50を偏心回転運動させる偏心回転ユニット60とを備えている。
【0045】
収容ユニット50は、蓋本体31を露出させた状態で容器2を収容して回転させる収容回転部材51と、支持フレーム11との間で収容回転部材51を挟持する金属リング52とからなる。収容回転部材51は、その下端において、偏心回転ユニット60と連結している。また、金属リング52には不図示のネジの取り付け孔が形成されている。
【0046】
偏心回転ユニット60は、収容回転部材51と連結する回転板61と、回転板61に回転運動を伝達する回転シャフト62と、回転シャフト62の先端部を回転自在に保持して且つ偏心回転ユニット60を固定フレーム13に固定する上ブラケット63と、回転シャフト62を回転させるモータ64と、回転シャフト62の基端部を回転自在に保持し且つモータ64を固定する下ブラケット65と、上ブラケット63と下ブラケット65とを連結するポスト66を備えている。
【0047】
偏心回転ユニット60は、モータ64の駆動シャフトに取り付けられた不図示の駆動プーリと、回転シャフト62の基端部に取り付けられた不図示の従動プーリ、これらのプーリ間に巻き掛けられたベルト67を備えることにより、モータ64の回転運動を回転シャフト62に伝達している。
【0048】
そして、回転板61には円形の孔611が形成されている。孔611は、収容回転部材51との連結に利用される。孔611は、回転軸ARから所定の距離だけオフセットした位置に開口している。なお、回転板61の中心は回転軸ARの軸上にある。
【0049】
収容回転部材51について説明する。
図5は収容回転部材51の全体構成および分解状態を示す図である。収容回転部材51は、可撓性を有する容器支持部54と連結チューブ55とからなる。そして、容器支持部54は連結チューブ55に被覆されている。容器支持部54および連結チューブ55は互いに固定されている。容器支持部54はポリウレタン、連結チューブ55はポリプロピレンを一体成型したものである。容器支持部54の材質は可撓性を有するものであれば、特に限定されるものではない。また、連結チューブ55の材質も特に限定されるものではない。
【0050】
容器支持部54は、上端に円形の開口541、下端に円形の開口542を有する無底の円筒形状であり、上端にはフランジ543が形成されている。そして、フランジ543には、金属リング52の取付孔に対応する4つの取付孔543Aが形成されている。収容ユニット50と偏心回転ユニット60とは、開口541の中心541Aが回転軸AR上に位置するように、連結されている。
【0051】
連結チューブ55は上端に開口551および下端に底554を有する有底の円筒形状である。容器支持部54は開口551より挿通される。底554には下方に突出する突起552が形成されている。突起552は、回転板61の孔611に嵌挿され、連結チューブ55と回転板61とを連結するために利用される。突起552を孔611に直接嵌挿させてもよいが、例えば樹脂製チューブ553を介して間接的に嵌挿させてもよい。なお、底554に容器2が落下しない程度の孔を形成し、回転板61に上方に突出する突起を形成して連結してもよい。
【0052】
図6は容器支持部54の内側構造を示す図である。容器支持部54の内周面544には、容器支持部54の中心軸方向に向かって突出する係合リブ545が複数形成されている。係合リブ545は、係合リブ545の間の溝に筒状本体21の外リブ223を挿通させることにより、容器2を容器支持部54に係合する。これにより、容器2が容器支持部54に対して回転することを防止できる。
【0053】
本実施形態において、3mm程度の高さを有する12個の係合リブ545が、互いに30度の角度間隔を空けて形成されている。なお、係合リブ545の数、高さおよび角度間隔は、外リブ223の構造次第で適宜変更可能なものである。
【0054】
容器支持部54の上端近傍において、内周面544には、補強リング546が嵌め込まれている。補強リング546は、運転中に容器2と容器支持部54が直接接触することより、接触部分が摩耗することを防止するものである。補強リング546の材質は、容器支持部54よりも硬質であれば特に限定されるものではないが、アルミやステンレス等の金属材料が望ましい。
【0055】
容器2は、開口541より外リブ223と係合リブ545と係合させながら挿入され、底554に当接して収容される。また、容器2は、外リブ223と係合リブ545との係合により、収容ユニット50に対する回転が防止される。また、容器2は、中心541Aが容器2の略中心軸AC上にある状態で収容される。
【0056】
このように、容器支持部54は、中心541Aが略回転軸AR上に位置し、且つ突起552が回転軸ARよりオフセットした孔611と連結されている。したがって、収容された容器2は中心軸ACと回転軸ARとが交差した状態で円運動する。円運動中において、容器2の上部の微小な円運動は容器支持部54の可撓性によって吸収される。
【0057】
本実施形態において、中心541Aより底554までの距離は、容器2の中心軸AC方向の長さに対して70パーセント程度を占める。また、容器2の中心軸ACと回転板61の回転軸ARとのなす角度θは2〜5度の範囲が望ましい。
【0058】
次に検体破砕装置1の制御系について説明する。
図7は、検体破砕装置1の制御系のブロック図を示す。検体破砕装置1において、4つの駆動部40が1つの制御部70により独立して制御されている。そして、制御部70は、4つの駆動部40が容器2の下部を同時に円運動させるように、駆動部40を制御する。
【0059】
また、制御部70は、容器2の下部の回転数が低回転数と高回転数との間を繰り返すように、駆動部40を制御する。具体的に、制御部70は、回転板61の回転数が低回転数と高回転数との間を連続的に変化するように、モータ64をPWM(Pulse Width Modulation)方式で制御する。この場合、低回転数と高回転数との間に無回転となる時間がないように制御するのが好ましい。本実施形態において、モータ64は、直流モータであるが、その種類は特に限定されるものではない。
【0060】
低回転数は、1000rpm〜5000rpmの範囲が望ましく、1000rpm〜4000rpmの範囲がより望ましい。また、高回転数は、6000rpm〜10000rpmの範囲が望ましく、6000rpm〜9000rpmの範囲がより望ましく、7000rpm〜9000rpmの範囲が更に望ましく、7000rpm〜8000rpmの範囲が特に望ましい。また、高回転数と低回転数は、上記範囲であって且つ回転数差が、1000rpm〜9000rpmが望ましく、2000rpm〜8000rpmがより望ましく、3000rpm〜7000rpmが更に望ましく、4000rpm〜7000rpmが特に望ましい。
【0061】
また、制御部70は、低回転数および高回転数以外に、例えば中回転数等の3種類以上の回転数間を繰り返すように制御するものであってもよい。
【0062】
図8は時間軸に対する回転数の変化を示す図である。制御部70は、
図8の実線で示すように、回転数が、低回転数と高回転数との間を略一定の周期Tで所定の繰返数だけ変化するように、駆動部40を制御する。本実施形態では、制御部70は、回転数の変化を示す波形が略矩形波となるように、駆動部40を制御するものである。回転数の変化を示す波形は特に限定されるものではない。例えば正弦波や三角波等であってもよく、低回転数での波形と高回転数での波形が異なるものでもよい。なお、厳密な矩形である必要はなく、駆動部40の機械的なバックラッシュ等の影響による制御部70からの制御命令に対する遅れを含む、矩形に近い波形であってもよい。また、
図8においては、一例として、いずれの周期Tにおいても低回転数を3000rpmに高回転数を8000rpmに設定しているが、低速回転数を1000rpm〜5000rpmの範囲で、および/または高速回転数を6000rpm〜10000rpmの範囲で異なる値に設定してもよい。そして、周期毎に異なるように設定してもよく、少なくとも1つの周期が異なるように設定してもよい。
【0063】
また、周期Tや繰返数は、検体の種類や溶液の貯留量等によって適宜調整されるものであるが、周期Tが3〜10秒の範囲で、繰返数が4〜30回、好ましくは10〜20回の範囲であることが望ましい。また、制御部70は、4つの駆動部40を2つのグループに分け、一方のグループに属する駆動部40が容器の下部を高回転数で円運動させている間、他方のグループに属する駆動部40が低回転数で円運動させるように制御してもよい。
【0064】
本実施形態では、制御部70が、2つの駆動部40が2つの容器2を
図8の実線で示す波形に沿って円運動させている間、他の2つの駆動部40が2つの容器2を、実線の波形とは半周期T/2だけ位相の異なる破線の波形に沿って円運動させるように制御する。これにより、全ての駆動部40が同じ回転数で回転することによる共振を低減できる。
【0065】
次に検体破砕装置1による検体の破砕方法について、
図9のフローチャートを用いて説明する。最初に、筒状本体21に、溶液Sと、1つの大径ビーズBBと、多数の小径ビーズSBを貯留させる(ST1)。蓋本体31と筒状本体21とを螺号して容器2を装着する(ST2)。
【0066】
ユーザによる指示もしくは容器2の装着を確認するセンサからの信号を受け付け(ST3)、容器2を低回転数で半周期T/2だけ偏心回転させる(ST4)。次に、高回転数で半周期T/2だけ偏心回転させる(ST5)。なお、(ST4)を高回転数での偏心回転、(ST5)を低回転数での偏心回転としてもよい。
【0067】
周期Tの繰返数が、ユーザより受け付けた、もしくは予め設定されている所定回数に達したか否かを終了したかを確認し(ST6)、終了していない場合は再び(ST4)へ戻り、終了している場合は検体破砕装置1の運転を終了する(ST7)。容器2を検体破砕装置1より取り外し(ST8)、溶液Sを抽出して終了する。
【0068】
次に検体Kについて説明する。検体Kは、菌体やウィルスを含む可能性のあるものであれば、特に限定されるものではない。具体的に、動物(特にヒト)の体液(血液、血清、血漿、髄液、涙液、汗、尿、膿、鼻水、または喀痰等)、排泄物(糞便等)、臓器、組織、粘膜、皮膚、それらを含むと考えられる搾過検体(スワブ)、うがい液、培養液等を用いることができる。
【0069】
上記菌体やウィルスとしては、例えば結核菌、肺炎球菌、ジフテリア菌、髄膜炎菌、淋菌、ブドウ球菌、レンサ球菌、腸内細菌、大腸菌、ヘリコバクター・ピロリ等の細菌、ルベラウィルス、ヘルペスウィルス、肝炎ウィルス、ATLウィルス、AIDSウィルス、インフルエンザウィルス、アデノウィルス、エンテロウィルス、ポリオウィルス、EBウィルス、HAV、HBV、HCV、HIV、HTLV等のウィルス、例えばカンジダ,クリプトコッカス等の真菌等が挙げられる。
【0070】
検体Kは、そのままの状態で用いてもよいが、本実施形態においては、適当な希釈液で希釈した溶液Sとして用いる。なお、希釈液は、必要に応じて殺菌性を有してもよく、消化酵素や変性剤を含有させてもよい。
【0071】
上記希釈液としては、通常この分野で用いられる水、緩衝液等が挙げられ、該緩衝液としては、トリスヒドロキシルアミノメタン緩衝液、りん酸緩衝液、ほう酸緩衝液、Good's緩衝液等が挙げられ、該緩衝剤の濃度は、通常5mM〜500mMであり、好ましくは20mM〜200mMである。
【0072】
次に各ビーズについて説明する。大径ビーズBBおよび小径ビーズSBは、検体に物理的衝撃を与える硬度を有するものであれば、その材質は特に限定されるものではないが、ガラス、ガーネットおよび/またはジルコニアからなるビーズが望ましく、ジルコニアビーズがより望ましい。
【0073】
小径ビーズSBの形状も、溶液S内に分散しやすいものであれば、特に限定されるものではなく、大径ビーズBBの形状は、容器2の内周面215上を転動しやすいものであれば、特に限定されるものではないが、両ビーズともその形状は球状であることが望ましい。
【0074】
小径ビーズSBの粒子径は0.1mm〜1mm程度であることが望ましい。大径ビーズBBの粒子径は、小径ビーズSBの直径寸法の数十倍程度であることが望ましく、具体的には、1〜10mm、好ましくは3mm〜8mm程度であることが望ましい。
【0075】
次に、大径ビーズBB、小径ビーズSB、下リブ216および上リブ217の作用について説明する。
図10は、円運動中の大径ビーズBBの作用を説明する図である。なお、
図10においては、理解を容易にするため、小径ビーズSBの図示を省略している。
【0076】
図10に示すように、円運動中の大径ビーズBBには、図中矢印で示す遠心力Fが作用する。そして、遠心力Fの作用により、大径ビーズBBは、回転軸ARから最も離れた下方位置へ移動する。
【0077】
図10において、接触点TPは、大径ビーズBBと内周面215との接触する点、中心KPは大径ビーズBBの中心を示している。また、投影点PPは中心KPを回転軸ARに投影した点を示す。中心KPと投影点PPとを結ぶ線分が大径ビーズBBの回転半径Rとなる。
【0078】
回転半径Rは8〜12mm程度であることが望ましい。また、遠心力Fは、例えば回転半径Rが8mm、ジルコニアからなる大径ビーズBBの密度が5.68g/cm
3、粒子径が5mm、低回転数が3000rpm、高回転数が8000rpmの条件において、遠心低回転数時に0.29N程度、高回転数時には2.09N程度となる。
【0079】
接触点TP近傍の内周面215は、前述の通り、リブや溝等を有さない平坦面である。したがって、大径ビーズBBは、偏心回転中、略一定の回転半径Rとなる軌跡を描いて内周面215上を転動する。なお、接触点TPの位置は、内周面215の形状によって適宜調整可能である。
【0080】
溶液Sは、偏心回転中、下リブ216によって撹拌されるとともに、転動する大径ビーズBBによっても撹拌される。また、上リブ217に到達した溶液Sは上リブ217によっても撹拌される。
【0081】
図11は、低速回転時の溶液Sの撹拌態様を示す。
図11において、左図が低速回転時の撹拌態様、右図が高速回転時の撹拌態様を示す。溶液Sには、大径ビーズBB、下リブ216および上リブ217による撹拌により、液面に渦が発生する。
【0082】
低速回転時には、遠心力Fの作用により多数の小径ビーズSBが、容器2の下方位置に集まり、転動する大径ビーズBBと小径ビーズSBとの衝突、並びにこれらビーズと内周面215との衝突により、検体Kには物理的衝撃が付与される。
【0083】
そして、低速回転より高速回転に変化すると、溶液Sの渦が大きくなり、液面も内周面215に沿って上方する。そして、軽い小径ビーズSBも溶液Sとともに上方へ移動し始める。上方へ移動し始めた小径ビーズSBと大径ビーズBBとの衝突が発生し、検体Kに付与される物理的衝撃が増加する。小径ビーズSBがさらに上方へ移動すると、上リブ217により小径ビーズSBは内周面215より跳ね上げられ、溶液S内へ分散される。
【0084】
再び、高速回転より低速回転に変化すると、溶液S内に分散された小径ビーズSBが再び下方へ移動し始める。下方へ移動し始めた小径ビーズSBと大径ビーズBBとの衝突が発生し、検体Kに付与される物理的衝撃が増加する。このように、低速回転と高速回転とを繰り返し、小径ビーズSBを容器2内で上下移動させることにより、小径ビーズSBと大径ビーズBBとの衝突頻度が増加し、検体Kに効率よく物理的衝撃を付与することができる。
【0085】
本発明の破砕装置を用いた検体の破砕方法は、本発明に係る容器2内に、検体を含む溶液、多数の小径ビーズSBおよび1個の大径ビーズBBを入れ、該容器2を2つ以上の互いに異なる回転数間で連続的に変化させて円運動させることによりなされる。具体的には例えば100〜1000uLの検体を含む溶液、0.1〜1mmの小径ビーズSBを5000〜10000個、1〜10mmの大径ビーズBB1個を容器に入れ、1000〜5000rpmの低回転3〜10秒と6000〜10000rpmの高回転3〜10秒の組み合わせを1周期として10〜20回の円運動を繰り返すことによりなされる。
【0086】
以上に説明した通り、本実施形態によれば、検体Kを含む溶液S、多数の小径ビーズSBおよび1個の大径ビーズBBを容器2に貯留させ、その容器2の下部を、互いに異なる回転数間で連続的に変化する円運動をさせることにより、多数の小径ビーズSBと大径ビーズBBとの衝突頻度を増加させて検体Kを短時間で効率よく破砕できる。
【0087】
また、本実施形態によれば、上リブ217が小径ビーズSBを内周面215より跳ね上げ、小径ビーズSBを溶液Sへ分散し、転動する大径ビーズBBとの衝突頻度を増加させることができる。
【0088】
また、本実施形態によれば、容器2の下方の内周面215が平坦であるため、大径ビーズBBが、回転半径Rで一定の軌跡を描いて転動でき、小径ビーズSBとの衝突頻度を増加させることができる。
【0089】
また、本実施形態によれば、低速回転と高速回転との間で回転数を変化させることより、小径ビーズSBを容器2において上下移動させるため、大径ビーズBBとの衝突頻度を増加させることができる。
【0090】
また、本実施形態によれば、4つの駆動部40が4つの容器2の下部を同時に円運動させるため、1度に多量の検体Kを効率よく破砕できる。また、4つの駆動部40のうち、2つの駆動部40が容器2の下部を低速回転させている間、他の2つの駆動部40が容器2の下部を高速回転させるため、検体破砕装置1に発生する振動を低減させることもできる。
【実施例1】
【0091】
以下に示す実施例では、検体Kとして「胞子(SPORE)」を形成する「枯草菌(Bacillus subtillis)」等の「バチルス(Bacillus)属細菌」を用いた。溶液S(殺菌液含む)600uL中にはBacillus.spore(5×103ctu)が添加されている。また、容器2には、大径ビーズBBとして粒径5mmのジルコニアビーズを1個、小径ビーズSBとして粒径0.2mmのジルコニアビーズを0.4g(8000個程度)を貯留させた。
【0092】
破砕評価は、検体破砕装置1でBacillus.spore(5×103ctu)を破砕し、精製した後に核酸を回収した。次に、バクテリア計算盤(SLGC社製)を用いて顕微鏡下400倍でspore数を計測した。計算盤1マスあたりの細胞数を5.8,1.0,0.4,0.1となるように希釈してspore数を算出した。
【0093】
検量線は蒸留水を用いてB.subtilis spore ゲノムを段階希釈(0〜1×106/reaction)した。qPCRの反応試薬組成は、Syber Premix ExTaqII(10μL)、100nM of Bs-spo-F4-1/R4-1(amplicon=235-bp)、温度サイクルは、95℃(30sec)の初期状態より開始し、95℃(6sec)、62℃(20sec)、72℃(20sec)を1サイクルとして45回繰り返した。
【0094】
図12および
図13は添加したspore数に対するqPCR定量値(%)の値を示すデータ図である。
図12は低速回転数を3000rpmに設定し、高速回転数の設定を6000rpmより1000rpm毎に10000rpmまで変化させた場合のデータである。また、
図13は高速回転数を8000rpmに設定し、低速回転数の設定を1000rpmより1000rpm毎に5000rpmまで変化させたデータである。
【0095】
また、
図12には低速回転の設定を0rpm、高速回転の設定を3000rpmとした比較データ、
図13には低速回転の設定を0rpm、高速回転の設定を8000rpmとした比較データも示している。また、
図12および
図13において、高速回転および低速回転の回転時間はそれぞれ2.5秒であり、1周期を5秒として6回(30秒)、12回(60秒)、18回(90秒)、24回(120秒)を繰り返したデータを示している。
【0096】
図12の比較データは3000rpmの低速回転を2.5秒、回転停止2.5秒を1周期として、6回(30秒)、12回(60秒)、18回(90秒)、24回(120秒)でそれぞれ繰り返させたものであり、120秒の動作時間によりqPCR定量値(%)が最大で13%である。
【0097】
これに対し、本発明の実施例では、30秒、60秒、90秒および120秒の全てにおいて、上記3000rpmの低速回転と0rpmの繰り返しの場合の同秒数と比較して、高いqPCR定量値(%)を示している。また、30秒以上の動作時間において、3000rpmの低速回転と6000rpmの高速回転の繰り返しでqPCR定量値(%)が41%以上となり、3000rpmの低速回転と7000rpmの高速回転の繰り返しでqPCR定量値(%)が32%以上となり、3000rpmの低速回転と8000rpmの高速回転の繰り返しでqPCR定量値(%)が64%以上となり、3000rpmの低速回転と9000rpmの高速回転の繰り返しでqPCR定量値(%)が50%以上となり、3000rpmの低速回転と10000rpmの高速回転の繰り返しでqPCR定量値(%)が35%以上となり、いずれも3000rpmの低速回転と0rpmの繰り返しの最大qPCR定量値(13%)より、高いqPCR定量値(%)が短時間で実現されている。
【0098】
図13の比較データは8000rpmの高速回転を2.5秒、回転停止2.5秒を1周期として、6回(30秒)、12回(60秒)、18回(90秒)、24回(120秒)をそれぞれ繰り返させたものであり、120秒の動作時間によりqPCR定量値(%)が最大で54%である。
【0099】
これに対し、本発明の実施例では、30秒、60秒、90秒および120秒の全てにおいて、上記8000rpmの高速回転と0rpmの繰り返しの場合の同秒数と比較して、高いqPCR定量値(%)を示している。また、60秒以上の動作時間において、1000rpmの低速回転と8000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が56%以上となり、30秒以上の動作時間において、2000rpmの低速回転と8000rpmの高速回転の繰り返しでqPCR定量値(%)が67%以上となり、30秒以上の動作時間において、3000rpmの低速回転と8000rpmの高速回転の繰り返しでqPCR定量値(%)が64%以上となり、30秒以上の動作時間において、4000rpmの低速回転と8000rpmの高速回転の繰り返しでqPCR定量値(%)が62%以上となり、いずれも8000rpmの高速回転と0rpmの繰り返しの場合の最大qPCR定量値(54%)より、高いqPCR定量値(%)が短時間で実現されている。
【0100】
また、5000rpmの低速回転と8000rpmの高速回転の繰り返しでも、90秒以上の動作時間において、qPCR定量値(%)が62%以上となり、8000rpmの高速回転と0rpmの繰り返しの場合の最大qPCR定量値(54%)より、高いqPCR定量値(%)が短時間で実現されている。
【0101】
図14は、低速回転を1000rpmとし、高速回転数の設定を6000rpmより1000rpm毎に10000rpmまで変化させた場合のデータである。また、
図14には、低速回転の設定を1000rpm、高速回転の設定を5000rpmとした比較データも示している。高速回転および低速回転の回転時間はそれぞれ2.5秒であり、5秒間の周期を6回(30秒)、12回(60秒)、18回(90秒)、24回(120秒)を繰り返したデータを示している。
【0102】
図14の比較データは5000rpmの高速回転を2.5秒、回転停止2.5秒を1周期として、6回(30秒)、12回(60秒)、18回(90秒)、24回(120秒)で繰り返させたものであり、120秒の動作時間によりqPCR定量値(%)が最大で52%である。
図14の結果によれば、30秒、60秒、90秒および120秒の全てにおいて、上記1000rpmの低速回転と5000rpmの高速回転との繰り返しの場合の同秒数と比較して、高いqPCR定量値(%)を示している。そして、30秒以上の動作時間において、1000rpmの低速回転と6000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が57%以上となり、60秒以上の動作時間において、1000rpmの低速回転と7000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が87%以上となり、60秒以上の動作時間において、1000rpmの低速回転と8000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が56%以上となり、90秒以上の動作時間において、1000rpmの低速回転と9000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が55%以上となり、60秒以上の動作時間において、1000rpmの低速回転と10000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が59%以上となり、いずれも1000rpmの低速回転と5000rpmの高速回転との繰り返しによる最大qPCR定量値(52%)よりも、高いqPCR定量値(%)が短時間で実現されている。
【0103】
図15は、低速回転を5000rpmとし、高速回転数の設定を6000rpmより1000rpm毎に10000rpmまで変化させた場合のデータである。また、
図15には低速回転の設定を4000rpm、高速回転の設定を5000rpmとした比較データも示している。高速回転および低速回転の回転時間はそれぞれ2.5秒であり、5秒間の周期を6回(30秒)、12回(60秒)、18回(90秒)、24回(120秒)繰り返したデータを示している。
【0104】
図15の比較データは4000rpmの低速回転を2.5秒、回転停止2.5秒を1周期として、6回(30秒)、12回(60秒)、18回(90秒)、24回(120秒)でそれぞれ繰り返させたものであり、120秒の動作時間によりqPCR定量値(%)が最大で59%である。
図15の結果によれば、120秒における上記4000rpmの低速回転と5000rpmの高速回転との繰り返しの場合と比較して、90秒以上の動作時間において、5000rpmの低速回転と6000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が66%以上となり、120秒以上の動作時間において、5000rpmの低速回転と7000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が74%以上となり、90秒以上の動作時間において、5000rpmの低速回転と8000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が62%以上となり、120秒以上の動作時間において、5000rpmの低速回転と9000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が79%以上となり、120秒以上の動作時間において、5000rpmの低速回転と10000rpmの高速回転との繰り返しでqPCR定量値(%)が68%以上となり、いずれも4000rpmの低速回転と5000rpmの繰り返しによる最大qPCR定量値(59%)以上よりも、高いqPCR定量値(%)が短時間で実現されている。