(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一の実施形態について、図面を参照しながら詳述するが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではない。
【0014】
[含フッ素ポリマー製造工程から生じる水性流体を処理する方法]
本発明の一の実施形態に係る方法は、含フッ素ポリマー製造工程から生じる水性流体を処理する方法であって、ろ過助剤により水性流体を固体成分とろ液とに分離することを含む。本実施形態に係る方法は、ろ過助剤およびろ過助剤保持部材により水性流体を固体成分とろ液とに分離してもよい。
図1に、本実施形態に係る方法を概略的に示す。
【0015】
(固液分離)
図1に示すように、含フッ素ポリマー製造工程1から生じる水性流体10は、ろ過助剤およびろ過助剤保持部材により、固体成分20とろ液21とに分離される(固液分離2)。この固液分離2を行うろ過装置を、以下、「第1のろ過装置」ともよぶ。
【0016】
・水性流体
本実施形態に係る方法において処理可能な水性流体は、含フッ素ポリマー製造工程から生じるものであれば特に限定されるものではなく、種々の水性流体を処理することができる。水性流体の具体例については後述するが、代表的には、含フッ素ポリマーの製造において生じる廃液である。本明細書において、「水性流体」は、水溶液、分散液、およびガス(後述する乾燥工程等で生じる排ガス等)を液化して得られる液体を含む。水性流体は、水等の水性媒体を含む。本明細書において、「水性媒体」は、水、ならびに水および水に可溶な有機溶媒(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール、酢酸メチル等のエステル、アセトン等のケトン、ジメチルエーテル等のエーテル等)を含む混合媒体を意味する。
【0017】
本明細書において、「含フッ素ポリマー製造工程」は、含フッ素モノマーを含む1種類以上のモノマーを重合して含フッ素ポリマーを製造する工程全般を意味し、特定の製造工程に限定されるものではない。含フッ素ポリマーは一般に、含フッ素モノマーを乳化重合または懸濁重合することにより製造される。乳化重合および懸濁重合において、含フッ素界面活性剤が乳化剤として使用され得る。
【0018】
本明細書において、「含フッ素モノマー」は、少なくとも1つのフッ素またはフルオロアルキル基を有するモノマーであれば特に限定されるものではなく、例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)、フッ化ビニル(VF)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、ヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロアルキルエチレン、およびフルオロビニルエーテル(FVE)等を含んでよい。
【0019】
本明細書において、「含フッ素ポリマー」は、上述した1以上の含フッ素モノマーを含むモノマーを重合して得られるものであってよく、例えば以下に示す含フッ素ポリマーの1以上を含むものであってよいが、これに限定されるものではない。TFEの単独重合により得られるポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、TFEと、TFEと共重合可能な別のモノマー(フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等の含フッ素モノマー、エチレン、プロピレン、イソブテン等の炭化水素オレフィン、アルキルビニルエーテル等)とのコポリマー(例えばテトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(PFA)およびエチレン−テトラフルオロエチレンコポリマー(ETFE)等)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、およびエチレン−クロロトリフルオロエチレン(ECTFE)等のフッ素樹脂、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンコポリマー等のフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン−プロピレンゴム(FEPM)、およびテトラフルオロエチレン−パーフルオロメチルビニルエーテルゴム(FFKM)等のフッ素ゴム、ならびに含フッ素エラストマー等。本明細書において、「含フッ素ポリマー」には、分子量が約10000〜500000程度の低分子量ポリマー(例えば低分子量PTFE等)も含まれる。
【0020】
本明細書において、「含フッ素ポリマー製造工程」は、含フッ素ポリマーの製造プロセスに含まれる工程であれば特に限定されるものではなく、公知の含フッ素ポリマー製造プロセスを構成する1以上の工程を含んでよい。「含フッ素ポリマー製造工程」には、含フッ素モノマーを含む1以上のモノマーを重合する重合工程に加えて、重合工程前の前処理工程(例えば、所定濃度の乳化剤を調製する工程等)および重合工程後の後処理工程(例えば、固液分離工程、凝析工程、洗浄工程、脱水工程、乾燥工程、熱処理工程等)も含まれ得る。以下、「含フッ素ポリマー製造工程」の具体例について説明するが、本実施形態に係る方法は、以下の具体例に限定されるものではない。
【0021】
上述したように、含フッ素ポリマーは、含フッ素モノマーを含む1種類以上のモノマーを重合することにより製造される。含フッ素ポリマーは一般に乳化重合または懸濁重合により製造される。重合工程において、ポリマー粒子が水性媒体中に分散したエマルジョンが得られる。この重合工程の後、凝析工程において、エマルジョンに塩または酸を添加して、含フッ素ポリマーを凝集させる。次いで、固液分離工程において、凝集した含フッ素ポリマーを分離して回収する。含フッ素ポリマーを分離回収した後に残る排液(凝析排液)は、本明細書における「水性流体」に含まれ得る。
【0022】
固液分離工程で分離回収された含フッ素ポリマーは、洗浄工程において、水性媒体等の洗浄液で洗浄してよい。洗浄工程において使用した洗浄液(洗浄排液)は、本明細書における「水性流体」に含まれ得る。固液分離工程で分離回収された含フッ素ポリマーは、脱水工程において、機械的に脱水してよい。脱水工程において含フッ素ポリマーから除去された排液(脱水排液)は、本明細書における「水性流体」に含まれ得る。脱水後の含フッ素ポリマーを、洗浄液で洗浄してもよく、この洗浄工程で使用した洗浄液(洗浄排液)もまた、本明細書における「水性流体」に含まれ得る。
【0023】
上述の洗浄工程および/または脱水工程の後に得られる含フッ素ポリマーは、乾燥工程において加熱乾燥して、残留する水分や有機溶媒を排ガスとして除去してよい。乾燥工程で生じる排ガスを液化したものは、本明細書における「水性流体」に含まれ得る。乾燥工程で生じる排ガスには、水蒸気および有機溶媒に加えて、含フッ素ポリマーに同伴された含フッ素界面活性剤等の含フッ素化合物が気化したものが含まれ得る。そのため、この排ガスを、水またはアルカリ水溶液等の洗浄液で洗浄することが好ましい。排ガスの洗浄に用いた洗浄液(洗浄排液)もまた、本明細書における「水性流体」に含まれ得る。
【0024】
乾燥工程の後に得られる含フッ素ポリマーは、熱処理工程において、ペレット等の所望の形状に成形してよい。熱処理工程で生じる排ガスを液化したものは、本明細書における「水性流体」に含まれ得る。熱処理工程で生じる排ガスには、含フッ素ポリマーに同伴された含フッ素界面活性剤等の含フッ素化合物が気化したものが含まれ得る。そのため、この排ガスを、水またはアルカリ水溶液等の洗浄液で洗浄することが好ましい。排ガスの洗浄に用いた洗浄液(洗浄排液)もまた、本明細書における「水性流体」に含まれ得る。
【0025】
なお、乾燥工程で生じる排ガスおよび熱処理工程で生じる排ガスの両方を一緒に洗浄して単一の洗浄排水を得てもよい。
【0026】
水性流体は、1種類の含フッ素ポリマーの製造工程から生じる水性流体であってよく、あるいは複数の異なる種類の含フッ素ポリマーの製造工程から生じる水性流体を含んでもよい。例えば、水性流体は、フッ素ゴムの製造工程から生じる水性流体およびPTFE(低分子量PTFE等)の製造工程から生じる水性流体を含む混合物であってよく、本実施形態に係る方法によって、2種類の含フッ素ポリマーの製造工程から生じる廃液等の水性流体を同時に処理することができる。また、水性流体は、含フッ素ポリマーの製造プロセスに含まれる工程のうち1つの工程から生じる水性流体であってよく、あるいは複数の異なる工程から生じる水性流体を含んでもよい。
【0027】
・含フッ素界面活性剤
水性流体は、含フッ素ポリマー製造プロセスに由来する含フッ素化合物を含み得る。例えば、水性流体は、含フッ素界面活性剤を含んでよい。本明細書において、「含フッ素界面活性剤」は、フッ素原子を含む界面活性剤を意味する。含フッ素界面活性剤は、含フッ素ポリマー製造プロセスにおいて乳化剤として用いられた含フッ素界面活性剤と同じものであってよく、あるいは乳化剤として用いられた含フッ素界面活性剤の誘導体であってもよい。
【0028】
水性流体に含まれ得る含フッ素界面活性剤は特に限定されるものではない。含フッ素界面活性剤としては、例えば、含フッ素カルボン酸およびその塩、含フッ素スルホン酸およびその塩が挙げられる。
含フッ素カルボン酸としては、下記の式(i):
X−Rf−COOH (i)
[式中、Xは、H、FまたはClであり、Rfは、炭素数1〜20の直鎖または分枝状のフルオロアルキレン基、モノオキシフルオロアルキレン基を有する炭素数1〜20の基、またはポリオキシフルオロアルキレン基を有する炭素数1〜20の基である]
で表される化合物が挙げられる。
【0029】
上記Rf基における、炭素数1〜20の直鎖または分枝状のフルオロアルキレン基として、例えば、CF
2、C
2F
4、C
3F
6、C
4F
8、C
5F
10、C
6F
12、C
7F
14、C
8F
16、CHF、C
2F
3H、C
2F
2H
2、C
2FH
3、C
3F
5H、C
3F
4H
2、C
3F
3H
3、C
3F
2H
4、C
3F
1H
5、C
4F
7H、C
4F
6H
2、C
4F
5H
3、C
4F
4H
4、C
4F
3H
5、C
4F
2H
6、C
4FH
7、C
5F
9H、C
5F
8H
2、C
5F
7H
3、C
5F
6H
4、C
5F
5H
5、C
5F
4H
6、C
5F
3H
7、C
5F
2H
8、C
5FH
9、C
6F
11H、C
6F
10H
2、C
6F
9H
3、C
6F
8H
4、C
6F
7H
5、C
6F
6H
6、C
6F
5H
7、C
6F
4H
8、C
6F
3H
9、C
6F
2H
10、C
6FH
11、C
7F
13H、C
7F
12H
2、C
7F
11H
3、C
7F
10H
4、C
7F
9H
5、C
7F
8H
6、C
7F
7H
7、C
7F
6H
8、C
7F
5H
9、C
7F
4H
10、C
7F
3H
11、C
7F
2H
12、C
7F
1H
13、C
8F
15H、C
8F
14H
2、C
8F
13H
3、C
8F
12H
4、C
8F
11H
5、C
8F
10H
6、C
8F
9H
7、C
8F
8H
8、C
8F
7H
9、C
8F
6H
10、C
8F
5H
11、C
8F
4H
12、C
8F
3H
13、C
8F
2H
14、C
8FH
15が挙げられる。
【0030】
上記Rf基における、モノオキシフルオロアルキレン基を有する炭素数1〜20の基およびポリオキシフルオロアルキレン基を有する炭素数1〜20の基として、例えば、下記の式(a)〜(g):
(CF
2)
l−(CF
2OCF
2)
m−(CF
2OCF(CF
3))
n (a)
(CF
2)
l−(CHFOCF
2)
m−(CF
2OCF(CF
3))
n (b)
(CF
2)
l−(CF
2OCHF)
m−(CF
2OCF(CF
3))
n (c)
(CHF)
l−(CF
2OCF
2)
m−(CF
2OCF(CF
3))
n (d)
(CHF)
l−(CHFOCF
2)
m−(CF
2OCF(CF
3))
n (e)
(CHF)
l−(CF
2OCHF)
m−(CF
2OCF(CF
3))
n (f)
(CF
2OCF
2)
m−(CF
2)
l−(CF
2OCHFCF
2)
n (g)
[式中、l、mおよびnは、l≧0、m≧0、n≧0、および1≦l+2m+3n≦20を満たす整数である]
で表される基が挙げられる。なお、上記式中において、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意であることを条件とする。
【0031】
上記Rf基に含まれる炭素数は1〜8であることが好ましく、1〜6であることがより好ましい。例えば、上記Rf基は、炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜6)の直鎖または分枝状のフルオロアルキレン基、モノオキシフルオロアルキレン基を有する炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜6)の基、またはポリオキシフルオロアルキレン基を有する炭素数1〜8(好ましくは炭素数1〜6)の基であることが好ましい。
【0032】
一の態様において、上記Rf基に含まれる炭素数は3〜8であることが好ましく、3〜6であることがより好ましい。例えば、上記Rf基は、炭素数3〜8(好ましくは炭素数3〜6)の直鎖または分枝状のフルオロアルキレン基、モノオキシフルオロアルキレン基を有する炭素数3〜8(好ましくは炭素数3〜6)の基、またはポリオキシフルオロアルキレン基を有する炭素数3〜8(好ましくは炭素数3〜6)の基であることが好ましい。
【0033】
好ましい態様である含フッ素カルボン酸として、例えば、CF
3OCF(CF
3)CF
2OCF(CF
3)COOH、CF
3CF
2OCF
2CF
2OCF
2COOH、CF
3OCF
2CF
2CF
2OCHFCF
2COOH、CF
3(CF
2)
4COOH、CF
3(CF
2)
6COOH、CF
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COOH、H(CF
2)
6COOH、H(CF
2)
4COOH、CH
3CF
2CF
2OCF(CF
3)CF
2OCF(CF
3)COOH、CH
3CF
2CF
2OCF(CF
3)COOH等が挙げられる。
【0034】
上述の含フッ素スルホン酸として、炭素数1〜20のパーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロモノオキシアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルエタンスルホン酸等が挙げられる。含フッ素スルホン酸の好ましい例として、CF
3(CF
2)
nSO
3H(式中、n=2〜8)、CF
3CF
2OCF
2CF
2SO
3H、CF
3(CF
2)
nCH
2CH
2SO
3H(式中、n=2〜8)等が挙げられる。
【0035】
上述の含フッ素カルボン酸および含フッ素スルホン酸の塩としては、1価のカチオンを対イオンとして有する塩、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩などのアルカリ金属塩、アンモニウム塩およびアミン塩(例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどのアルキルアミン塩など)などが挙げられる。
【0036】
水性流体は、1種類の含フッ素界面活性剤を含んでよく、2種類以上の含フッ素界面活性剤を含んでもよい。
【0037】
本実施形態に係る方法において、水性流体中の含フッ素界面活性剤の濃度は特に限定されず、任意の含フッ素界面活性剤濃度の水性流体を処理することができる。水性流体中の含フッ素界面活性剤の濃度は、水性流体が生じる含フッ素ポリマー製造工程に応じて変化し得、約0.1ppm〜約10000ppm程度であってよく、例えば1ppm〜5000ppm、一例として50ppm〜500ppmであってよい。含フッ素ポリマー製造工程から生じる水性流体は、前処理をすることなくそのまま本実施形態に係る方法において処理することができるが、希釈等の前処理を適宜行ってもよい。なお、本明細書において、ppmは特に記載のない限り、質量換算で求めた値を意味する。
【0038】
水性流体は、含フッ素ポリマー等の固体成分を含有し得る。固体成分は、含フッ素ポリマー製造工程において製造される含フッ素ポリマーを分離回収した後の排液(水性流体)中に残存し得る成分である。例えば、上述した凝析排液は、固液分離工程で回収しきれなかった未凝析ポリマーおよび/または微粒子状ポリマーを含み得る。本明細書において、「未凝析ポリマー」とは、重合工程の後、凝集剤を添加し、固液分離工程を行って含フッ素ポリマーを分離回収した後に残る水性流体中に分散して存在するポリマー成分であって、フィルタ等のろ材の表面にゲル状物質となって堆積するものを意味する。また、水性流体に含まれ得る微粒子状ポリマーは、その粒径が特に限定されるものではないが、例えば粒径が約0.1μm〜0.2μm程度のポリマー粒子であってよい。水性流体は、未凝析ポリマーおよび微粒子状ポリマーのいずれか一方のみを含んでよく、あるいは未凝析ポリマーおよび微粒子状ポリマーの両方を含んでもよい。本実施形態に係る方法は、後述するように、固体成分が未凝析ポリマーを含む場合に特に有用である。また、水性流体が未凝析ポリマーおよび微粒子状ポリマーの両方を含む場合、微粒子状ポリマーが未凝析ポリマーを絡め取ることにより、後述のろ過助剤による固液分離をより一層効率よく行うことができる。
【0039】
本実施形態に係る方法において、水性流体中の固体成分の濃度は特に限定されず、任意の固体成分濃度の水性流体を処理することができる。水性流体中の固体成分の濃度は、水性流体が生じる含フッ素ポリマー製造工程に応じて変化し得、約0.1ppm〜約5000ppm程度、例えば1ppm〜500ppmであってよい。
【0040】
水性流体は、上述の含フッ素界面活性剤および/または固体成分に加えて、硝酸;硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等のアルミニウム塩;水酸化第一鉄、水酸化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、ポリ硫酸第二鉄等の鉄塩;水酸化カルシウム、塩化カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、フッ化カルシウム等のカルシウム塩;カオリナイト、モンモリロナイト、ゼオライト等の、2価以上の金属元素およびケイ素を含むケイ酸塩鉱物;アルギン酸ソーダ、キチン・キトサン系凝集剤、カチオン系高分子凝集剤、アニオン系高分子凝集剤、ノニオン系高分子凝集剤等の高分子凝集剤等の凝集剤を含み得る。これらの凝集剤は、含フッ素ポリマー製造工程において凝集剤として用いられたものであってよく、かつ/または、本実施形態に係る方法における固液分離を行う前に、水性流体に上述の凝集剤を更に添加してもよい。水性流体が微粒子状ポリマーを固体成分として含む場合、水性流体は凝集剤を含むことが好ましい。凝集剤を含むことで、後述のろ過助剤による固体成分の分離をより一層効率よく行うことができる。
【0041】
水性流体は酸性であることが好ましい。具体的には、水性流体のpHは5未満であることが好ましい。水性流体が酸性、好ましくはpHが5未満であると、水性流体中に存在し得る固体成分の溶解が促進され、水性流体の処理をより一層効率よく実施することができる。
【0042】
・ろ過助剤
上述した水性流体は、ろ過助剤およびろ過助剤保持部材により固体成分とろ液とに分離される。ろ過助剤は一般に、ろ過抵抗の低減やろ材の目詰まり防止等、ろ過特性向上を目的として用いられるものであり、通常は粒子状、粉状または繊維状の物質である。本実施形態に係る方法において、ろ過助剤は、水性流体中の固体成分を捕捉する働きをする。
【0043】
上述したように、含フッ素ポリマー製造工程から生じる水性流体は、含フッ素界面活性剤を含み得る。含フッ素界面活性剤は一般に高価であるため、水性流体から回収して含フッ素ポリマー製造工程等に再利用することが望ましい。また、含フッ素界面活性剤は、一般に生分解性が低く環境への影響が懸念されるので、水性流体から回収して周囲環境への排出を防止する必要がある。そのため、水性流体を処理して含フッ素界面活性剤を回収する方法が求められている。しかし、水性流体は上述したように固体成分を含み得、この固体成分は、水性流体を処理するシステムに悪影響を及ぼし得る。例えば、膜分離により含フッ素界面活性剤を回収する場合、固体成分がろ過膜の目詰まり(閉塞)を引き起こすおそれがある。したがって、水性流体の処理システムの閉塞等を防止するために、水性流体から固体成分を除去することが必要となる。
【0044】
固体成分を除去する方法としては、従来、中空繊維膜により固体成分を分離する方法があった(特許文献1)。しかし、本発明者らの研究により、中空繊維膜は固体成分によって容易に閉塞し得、処理効率が著しく低下するという問題を有することが判明した。これに対して、本実施形態に係る方法は、ろ過助剤を用いて水性流体から固体成分を分離することを特徴とするものである。本実施形態に係る方法は、ろ過助剤が水性流体中の固体成分を捕捉することにより、従来の方法では防ぐことができなかったろ過助剤保持部材やろ過膜の閉塞を防止することができ、その結果、水性流体の処理効率を向上させることができるという顕著な効果を奏するものである。ろ過助剤は、水性流体に含まれる未凝析ポリマーや微粒子状ポリマー等の固体成分を高い効率で捕捉・分離することができるので、水性流体中に含まれ得る含フッ素界面活性剤を膜ろ過により濃縮・回収する場合において、膜ろ過に対する負荷を低減することができ、ろ過膜の耐用期間(寿命)を長くすることができる。
【0045】
本実施態様によると、ろ過助剤を用いて固体成分とろ液とに分離することによって、水性流体中の固体成分除去率を例えば、90%以上、具体的には99.9%以上とすることができる。固体成分除去率は、以下の式に基づいて求めることができる。
固体成分除去率(%)=(1−(β/α))×100
式中、αは水性流体(ろ過助剤を用いた分離を行う前の原水)のろ液品質(mg/l)であり、βはろ液(ろ過助剤を用いた分離により得られた液)のろ液品質(mg/l)である。固体成分を高い効率で捕捉および分離することにより、固体成分の捕捉および分離後に、続けて膜ろ過等を行う場合に、ろ過膜等の閉塞に起因する処理効率の低下を抑制できる。
【0046】
本実施形態に係る方法において、ろ過助剤は水性流体に添加されてよい。このように、ろ過対象の液体にろ過助剤を直接添加しながらろ過を行うことを一般に「ボディフィード」とよぶ。固液分離が第1のろ過装置において行われる場合、ボディフィードは、第1のろ過装置に供給される前の水性流体にろ過助剤を添加することにより行うことができる。ボディフィードは、ろ過圧力の上昇を効果的に抑制し得るので、単位時間当たりの水性流体の処理量を増大させることができ、速いろ過速度を維持しつつ長時間のろ過操作を行うことができるという利点を有する。また、水性流体中の固体成分が未凝析ポリマーを含む場合、ボディフィードにより、固体成分の捕捉をより一層効果的に行うことができる。
【0047】
本実施形態に係る方法において、ろ過助剤保持部材の表面にろ過助剤の層が形成されていてもよい。このように、ろ過前に、ろ過助剤保持部材の表面にろ過助剤の層を形成することを、一般に「プレコート」とよぶ。プレコートは、ろ過助剤保持部材の目詰まりを効果的に防止し得るので、ろ過圧力の上昇を抑制することができ、その結果、単位時間当たりの水性流体の処理量を増大させることができる。
【0048】
本実施形態に係る方法において、ボディフィードまたはプレコートをそれぞれ単独で行ってよく、あるいはボディフィードおよびプレコートを組み合わせてもよい。ボディフィードとプレコートを組み合わせることにより、水性流体中の固体成分をより一層効率よく捕捉し得、さらに、ろ過圧力の上昇をより一層抑制し得るので、長時間にわたって高効率の固液分離を実現することができる。
【0049】
本実施形態に係る方法において使用可能なろ過助剤は特に限定されるものではなく、例えば、珪藻土、ろ過砂(マンガン砂、マンガンゼオライト、活性炭、アンスラサイト、セラミックサンド等)、パーライトおよびセルロースからなる群から選択される少なくとも1種を含んでよい。
【0050】
ろ過助剤は、硅藻土であることが好ましい。珪藻土は、含フッ素ポリマー製造工程から生じる水性流体に含まれる固体成分を効果的に捕捉し得るので、水性流体から固体成分を分離するのに特に有用である。
【0051】
ろ過助剤の粒径が大きいほどろ過圧力の上昇が抑制され、ろ過速度が速くなるので、単位時間当たりの水性流体の処理量は増大し得る。一方、ろ過助剤の粒径が小さいほど、固体成分を捕捉する効果が高くなるので、ろ液中の固体成分濃度をより一層低減することができる。
【0052】
ろ過助剤の平均粒径は、好ましくは1〜1000μm、より好ましくは1〜500μm、より一層好ましくは1〜200μm、更に好ましくは10〜100μm、特に好ましくは20〜60μmである。また、ろ過助剤の平均粒径が20μm以上、好ましくは40μm以上、より好ましくは60μm以上、更に好ましくは80μm以上であると、ろ過速度をより速くすることができ、単位時間当たりの水性流体の処理量をより増大させることができる。また、ろ過助剤の平均粒径が80μm以下、好ましくは60μm以下、より好ましくは40μm以下、更に好ましくは20μm以下であると、固体成分を捕捉する効果がより一層高くなり、固液分離(ろ過)により得られるろ液に含まれる固体成分の濃度をより一層低減することができる。なお、本明細書において、「平均粒径」は、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定した、体積基準の平均粒子径(体積平均粒子径)を意味する。
【0053】
ろ過助剤は、好ましくは、平均粒径が20〜60μmの珪藻土である。
【0054】
固液分離において用いられるろ過助剤の量は、処理される水性流体の種類や用いられるろ過助剤の種類等に応じて適宜設定することができ、特定の量に限定されるものではない。一例として、ボディフィードにおいて水性流体に添加されるろ過助剤の量は、水性流体におけるろ過助剤の濃度が1〜10000ppm、好ましくは10〜1000ppm、より好ましくは20〜100ppmになるような量であってよい。プレコートにおいて用いられるろ過助剤の量は、ろ過助剤保持部材の表面に形成されるろ過助剤の層の厚さが0.5〜10mm、好ましくは1〜7mmになるような量であってよい。
【0055】
・ろ過助剤保持部材
ろ過助剤保持部材は、ろ過助剤を保持することで、水性流体を、ろ過助剤に捕捉された固体成分とろ液とに分離(固液分離)する働きを有する。固液分離を第1のろ過装置において行う場合、第1のろ過装置はろ過助剤保持部材を備える。ろ過助剤保持部材は、例えば、ろ布、ろ紙および金属メッシュ等の布状の部材、焼結金属およびスポンジ等の多孔質体、砂利および砂等の充填物であってよい。使用するろ過助剤保持部材の種類は、処理する水性流体等の条件に応じて適宜選択することができる。
【0056】
ろ過助剤保持部材の孔径は、使用するろ過助剤の粒径に応じて適宜設定することができる。ろ過助剤保持部材の孔径は、例えば1〜1000μmであってよい。ろ過助剤保持部材の孔径が小さいほど、ろ過助剤をより確実に保持することができる。一方、ろ過助剤保持部材の孔径が大きいほど、ろ過を行う際の圧力損失を低減することができる。珪藻土をろ過助剤として用いる場合、ろ過助剤保持部材の孔径は、ろ過助剤の平均粒径より小さいことが好ましく、例えば、ろ過助剤の平均粒径の60%以下であることが好ましい。ろ過助剤保持部材を構成する材料は特に限定されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、塩化ビニリデン、ビニロン等の合成繊維、ガラス繊維、綿等であってよい。
【0057】
・固体成分
本実施形態に係る方法により、水性流体は固体成分と、水性流体と比較して固体成分濃度が低減したろ液とに分離される。固体成分の詳細は上述したとおりである。本実施形態に係る方法は、未凝析ポリマーおよび粒径が約0.01μm〜約5μm程度、例えば0.01〜1μm、一例として0.05〜0.5μmの微粒子状ポリマーを水性流体から分離することができる。なかでも、従来のろ過膜等を用いた方法では未凝析ポリマーの分離が極めて困難であったところ、本実施形態に係る方法では、ろ過助剤を用いることにより水性流体から未凝析ポリマーを除去・分離することができる。したがって、本実施形態に係る方法は、固体成分が未凝析ポリマーを含む場合に特に有用である。さらに、固体成分が未凝析ポリマーおよび微粒子状ポリマーの両方を含む場合、微粒子状ポリマーが未凝析ポリマーを絡め取ることにより、固体成分の分離をより一層効率よく行うことができる。
【0058】
・ろ液
本実施形態に係る方法により、水性流体と比較して固体成分濃度が低減したろ液を得ることができる。ろ液中の固体成分濃度は、好ましくは1.0mg/l以下であり、より好ましくは0.5mg/l以下であり、更に好ましくは0.05mg/l以下である。特に好ましくは、ろ液は固体成分を実質的に含まない。
【0059】
ろ液は酸性であることが好ましい。具体的には、ろ液のpHは5未満であることが好ましい。ろ液が酸性、好ましくはpHが5未満であると、ろ液中に固体成分が生じるのを抑制することができ、膜ろ過をより一層効率よく実施することができる。
【0060】
水性流体が含フッ素界面活性剤を含む場合、本実施形態に係る方法により、含フッ素界面活性剤を含むろ液を得ることができる。ろ液中の含フッ素界面活性剤濃度は、水性流体中の含フッ素界面活性剤濃度と実質的に同じであるとみなして差し支えない。ろ液に含まれる含フッ素界面活性剤は、後述する膜ろ過(および場合により吸着)により濃縮・回収してよい。
【0061】
本実施形態に係る方法において、水性流体は、加圧ろ過によって固体成分とろ液とに分離されることが好ましい。加圧ろ過を行うことで、本実施形態に係る方法による固液分離をより効率よく実施することができる。加圧ろ過により固液分離を行う場合、第1のろ過装置として加圧ろ過機を用いてよい。使用可能な加圧ろ過機の種類は特に限定されるものではなく、公知の装置を適宜使用することができる。例えば、キャンドル型フィルタを備える加圧ろ過機を用いて加圧ろ過を行ってよい。加圧ろ過装置を用いた場合、内圧をかけることにより、ろ過助剤保持部材の表面に形成されたケーキ層を定期的に剥がすことができ、長時間にわたって安定して水性流体の処理を行うことができる。別法として、水性流体は、減圧ろ過によって固体成分とろ液とに分離してもよい。加圧ろ過または減圧ろ過を行う場合、ろ過圧力は、処理対象の水性流体や使用するろ過助剤およびろ過助剤保持部材ならびにろ過装置の種類等に応じて適宜設定することができる。
【0062】
(膜ろ過)
本実施形態に係る方法は、場合により、ろ過膜によりろ液を透過液と濃縮液とに分離することを更に含んでよい。
図2に、ろ過膜によるろ液の濃縮を行う場合における、本実施形態の方法を概略的に示す。
【0063】
図2に示すように、上述の固液分離2で得られたろ液21は、ろ過膜により、透過液30と濃縮液31とに分離される(膜ろ過3)。この膜ろ過3を行うろ過装置を、以下、「第2のろ過装置」ともよぶ。
【0064】
・ろ過膜
ろ液をろ過膜に通すことにより、ろ液に含まれる成分を濃縮して濃縮液を得ることができる。膜ろ過を第2のろ過装置において行う場合、第2のろ過装置はろ過膜を備える。ろ過膜として、逆浸透膜、ナノろ過膜または限外ろ過膜を用いてよい。ろ過膜は、逆浸透膜であることが好ましい。逆浸透膜は含フッ素界面活性剤の透過を効果的に防ぐことができるので、ろ液が含フッ素界面活性剤を含む場合、逆浸透膜を用いることにより高濃度の含フッ素界面活性剤を含む濃縮液を得ることができる。
【0065】
本実施形態に係る方法において用いられるろ過膜の種類は特に限定されるものではなく、濃縮対象の成分(含フッ素界面活性剤等)や膜ろ過条件等に応じて適宜選択してよい。ろ過膜としては、逆浸透膜、ナノろ過膜または限外ろ過膜のいずれか1つを用いてよく、あるいは2種類以上のろ過膜を組み合わせて用いてもよい。具体的には、孔径が0.05nm〜0.5μmのろ過膜を本実施形態に係る方法において用いることができる。ろ過膜は、例えば10%以上のNaCl阻止率を有するものであってよい。なお、NaCl阻止率は、NaCl溶液(原水)をろ過膜で濾過して透過水を得て、原水および透過水のNaCl濃度を測定し、下記式で算出した値である。
NaCl阻止率(%)=(1−(透過水のNaCl濃度)/(原水のNaCl濃度))×100
ろ過膜の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、平膜であってよく、スパイラル状であってよく、あるいは管状であってよい。また、複数のろ過膜を組み合わせて用いる場合、単膜を直列に配置してよく、予め複数の膜が積層されたいわゆる複合膜を用いてもよい。膜ろ過において、ろ過圧力は、処理対象のろ液や使用するろ過膜の種類等に応じて適宜設定してよい。
【0066】
・透過液
上述のろ過膜を用いた膜ろ過により、ろ液に含まれる成分の少なくとも一部が除去された透過液が得られる。ろ液が含フッ素界面活性剤を含む場合、ろ液と比較して含フッ素界面活性剤の濃度が低減した透過液を得ることができる。この場合、透過液中の含フッ素界面活性剤の濃度は、好ましくは10.0mg/L以下であり、より好ましくは0.5mg/L以下である。更に好ましくは、透過液は含フッ素界面活性剤を実質的に含まない。透過液が、環境に対する影響が懸念される含フッ素界面活性剤を実質的に含まない場合、透過液を排水として周囲環境に排出することができる。あるいは、透過液を含フッ素ポリマー製造工程において再利用してもよい。例えば、透過液は、含フッ素ポリマー製造工程において洗浄液として使用することができる。
【0067】
・濃縮液
また、上述の膜ろ過により、ろ液に含まれる成分が濃縮された濃縮液が得られる。ろ液が含フッ素界面活性剤を含む場合、ろ液と比較して含フッ素界面活性剤の濃度が増加した濃縮液を得ることができる。濃縮液中の含フッ素界面活性剤の濃度は膜ろ過の条件を適宜設定することにより変更することができる。一例として、水性流体における含フッ素界面活性剤の濃度や膜ろ過条件等にもよるが、本実施形態に係る方法により、水性流体に含まれる含フッ素界面活性剤を約20倍の濃度に濃縮することが可能である。
【0068】
このようにして、本実施形態に係る方法により、水性流体に含まれる含フッ素界面活性剤を濃縮液の状態で回収することができる。濃縮液に含まれる含フッ素界面活性剤は、後述する吸着により回収してよい。尤も、含フッ素界面活性剤を含む濃縮液は、吸着等の後処理をすることなく、そのままの状態で含フッ素ポリマー製造工程において再利用してよく、あるいは濃縮液に含フッ素界面活性剤を更に添加したものを含フッ素ポリマー製造工程において再利用してもよい。
【0069】
本実施形態に係る方法においては、含フッ素界面活性剤における炭素数が9以下であることが好ましい。例えば、含フッ素界面活性剤が含フッ素カルボン酸およびその塩である場合には、該含フッ素界面活性剤における炭素数が2〜9であることが好ましく、2〜7であることがより好ましい。含フッ素界面活性剤が含フッ素スルホン酸およびその塩である場合には、該含フッ素界面活性剤における炭素数が2〜9であることが好ましく、3〜9であることがより好ましく、4〜9であることがさらに好ましい。
別の例によれば、含フッ素界面活性剤が含フッ素カルボン酸およびその塩である場合には、該含フッ素界面活性剤における炭素数が4〜9であることが好ましく、4〜7であることがより好ましい。含フッ素界面活性剤が含フッ素スルホン酸およびその塩である場合には、該含フッ素界面活性剤における炭素数が2〜7であることが好ましく、4〜7であることがより好ましい。
含フッ素界面活性剤における炭素数が上記の範囲にあることによって、濃縮液のゲル化を回避し得る。これは、濃縮液のゲル化が、含フッ素界面活性剤の親水性に起因するものであり、含フッ素界面活性剤の親水性が高くなるとゲル化が生じにくくなるとの知見に基づくものである。
【0070】
(吸着)
本実施形態に係る方法は、場合により、濃縮液を吸着材に接触させることを更に含んでよい。
図3に、吸着材との接触を行う場合における、本実施形態の方法を概略的に示す。
【0071】
図3に示すように、上述の膜ろ過3で得られた濃縮液31を、吸着材に接触させる(吸着4)。これにより、濃縮液31に含まれる成分(含フッ素界面活性剤等)が吸着材に吸着され、濃縮液31と比較して含フッ素界面活性剤等の成分の濃度が低減した排液40が得られる。この吸着4は、吸着装置において行ってよい。
【0072】
濃縮液が含フッ素界面活性剤を含む場合、上述の吸着により得られる排液中の含フッ素界面活性剤の濃度は、好ましくは10.0mg/L以下であり、より好ましくは0.5mg/L以下である。更に好ましくは、排液は含フッ素界面活性剤を実質的に含まない。排液が、環境に対する影響が懸念される含フッ素界面活性剤を実質的に含まない場合、排液を周囲環境に排出することが可能となる。あるいは、排液を含フッ素ポリマー製造工程において再利用してもよい。例えば、排液は、含フッ素ポリマー製造工程において洗浄液として使用することができる。
【0073】
また、排水が、含フッ素ポリマー製造工程において用いられた凝集剤に由来する硫酸アルミニウム等の成分を含む場合、排水から硫酸アルミニウム等の凝集剤を回収して、含フッ素ポリマー製造工程において再利用することもできる。
【0074】
一方、濃縮液に含まれる成分は、吸着材に吸着することで回収される。濃縮液が含フッ素界面活性剤を含む場合、本実施形態に係る方法により含フッ素界面活性剤を回収することができる。回収された含フッ素界面活性剤は、含フッ素ポリマーの製造工程において再利用することができる。
【0075】
本実施形態に係る方法によると、濃縮液が含フッ素界面活性剤を含む場合、濃縮液に含まれていた含フッ素界面活性剤の除去率は、例えば90%以上、具体的には99.9%以上とすることができる。含フッ素界面活性剤の除去率は、以下の式により求めることができる。
含フッ素界面活性剤の除去率(%)=(1−(y/x))×100
式中、xは、濃縮液中の含フッ素界面活性剤濃度(ppm)、yは、吸着装置から排出された排液中の含フッ素界面活性剤濃度(ppm)である。含フッ素界面活性剤を上記のように高い効率で除去することにより、排出液は、周囲環境に排出可能となり得、または、含フッ素ポリマー製造工程において再利用可能となり得る。
【0076】
・吸着材
本実施形態に係る方法において使用可能な吸着材は特に限定されるものではなく、イオン交換樹脂、活性炭、ゼオライト等の種々の吸着材を用いることができる。吸着工程において、1種類の吸着材を単独で用いてよく、2種類以上の吸着材を組み合わせて用いてもよい。吸着材は、イオン交換樹脂または活性炭であることが好ましい。濃縮液が含フッ素界面活性剤を含む場合、吸着材としてイオン交換樹脂または活性炭を使用することで、含フッ素界面活性剤の吸着率が向上し得る。吸着材として活性炭を用いる場合、活性炭は高賦活活性炭であることが好ましい。高賦活活性炭を用いることにより、通常の活性炭と比較して含フッ素界面活性剤の吸着率を高くすることができる。吸着材は、より好ましくはイオン交換樹脂である。イオン交換樹脂を用いることにより、含フッ素界面活性剤の吸着率を更に高くすることができる。
【0077】
イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂または陰イオン交換樹脂のいずれであってもよい。陰イオン交換樹脂としては、例えば、官能基としてアミノ基および/または四級アンモニウム基を有するイオン交換樹脂を用いることができる。イオン交換樹脂は、好ましくは強塩基性陰イオン交換樹脂である。陰イオン交換樹脂の塩基性度は、ポリマー骨格および/または官能基の種類によって種々設定することができる。陰イオン交換樹脂として市販品を用いてよく、例えば、三菱ケミカル株式会社製のダイヤイオン(商標)SAシリーズなど、ピュロライト株式会社製のA200など、オルガノ株式会社製のアンバーライト(商標)シリーズ等を用いることができる。陽イオン交換樹脂としては、例えば、官能基としてカルボン酸基および/またはスルホン酸基を有するイオン交換樹脂を用いることができる。陽イオン交換樹脂の酸性度は、ポリマー骨格および/または官能基の種類によって種々設定することができる。陽イオン交換樹脂として市販品を用いてよく、例えば、三菱ケミカル株式会社製のダイヤイオン(商標)SKシリーズなど、ピュロライト株式会社製のC100など、オルガノ株式会社製のアンバーライト(商標)シリーズ等を用いることができる。
【0078】
活性炭は、比表面積が500〜2000m
2/gである活性炭であるのが好ましく、比表面積が1000〜2000m
2/gである活性炭であるのがより好ましい。活性炭の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、ペレット状、顆粒状、粉末状、球状粒子の形状であってよい。活性炭は市販品であってもよい。活性炭の市販品としては、例えば、大阪ガスケミカル株式会社製の白鷺(商標)など、カルゴン・カーボン・ジャパン株式会社製のFiltrasorb(商標)CAL、ダイアホープ(商標)、ダイアソーブ(商標)など、水ing株式会社製のエバダイヤ(商標)シリーズなどが挙げられる。
【0079】
本実施形態に係る方法において使用可能な吸着装置は、上述した吸着材を備える吸着装置であれば特に限定されるものでなく、目的に応じて種々の吸着装置を適宜使用してよい。吸着装置は、例えば、吸着材が充填された充填塔であってよく、具体的にはイオン交換塔または活性炭塔であってよい。
【0080】
[含フッ素ポリマー製造工程から生じる水性流体を処理するシステム]
次に、本発明の一の実施形態に係るシステムについて説明する。本実施形態に係るシステムは、含フッ素ポリマー製造工程から生じる水性流体を処理するシステムであって、ろ過助剤により水性流体を固体成分とろ液とに分離する第1のろ過装置を含む、システムである。本実施形態に係るシステムは、ろ過助剤およびろ過助剤保持部材により水性流体を固体成分とろ液とに分離する第1のろ過装置を含んでもよい。
【0081】
本実施形態に係るシステムは、ろ過膜によりろ液を透過液と濃縮液とに分離する第2のろ過装置を更に含んでよい。
【0082】
本実施形態に係るシステムが第2のろ過装置を含む場合、システムは、吸着材を備える吸着装置であって、第2のろ過装置で得られる濃縮液を吸着材に接触させる、吸着装置を更に含んでよい。
【0083】
第1のろ過装置および第1のろ過装置における固液分離、第2のろ過装置および第2のろ過装置における膜ろ過、ならびに吸着装置および吸着装置における吸着の詳細は、水性流体を処理する方法に関連して上述したとおりである。
【実施例1】
【0084】
下記の試験1〜6において、種々のろ過助剤およびろ過助剤保持部材を用いて、含フッ素ポリマー製造工程から生じる水性流体の固液分離を行った。
【0085】
(試験1)
試験1において、フッ素ゴム製造工程から生じる排水5リットル、フッ素樹脂製造工程から生じる排水1リットルおよび希釈水4リットルを含む混合排液を水性流体として使用した。この水性流体は、pHが約3の酸性流体であり、含フッ素界面活性剤である炭素数6のフルオロアルキルカルボン酸(パーフルオロヘキサン酸)の濃度が約150ppmであった。水性流体は、固体成分として未凝析ポリマーを約24〜41ppm、および粒径0.1〜0.2μm程度の微粒子状ポリマーを約170ppm含有し、更に、フッ素樹脂製造工程に由来する凝集剤として硫酸アルミニウムを含有するものであった。固液分離を行う第1のろ過装置として、直径30mm、高さ300mmのろ過塔を用いた。このろ過塔に、目開きが20μmであるろ過助剤保持部材(ポリプロピレン製)を設置した。ろ過助剤として、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いて測定した体積平均粒子径(平均粒径)が13μmの珪藻土を用いた。ろ過助剤の使用形態として、ボディフィードおよびプレコートを併用した。ボディフィードとして、ろ過助剤濃度が60ppmとなるように水性流体にろ過助剤を添加した。ボディフィードは、混合排液をビーカーに入れて、スターラーで撹拌しながら、混合排液中のろ過助剤濃度が60ppmになる量のろ過助剤を添加した後、チューブポンプでろ過塔上部に送液することにより行った。プレコートとして、ろ過助剤保持部材の表面に厚さ5mm(1gに相当)のろ過助剤の層を形成した。
【0086】
上述の水性流体を一定速度でろ過塔に導入して、水性流体を固体成分とろ液とに分離した。固液分離の間、ろ過処理量(ろ過助剤およびろ過助剤保持部材を通過したろ液の容量)およびろ過圧力の経時変化を記録した。各試験について、水性流体の総ろ過量を総ろ過時間で除した値を算出して「平均ろ過速度」とした。結果を下記の表1に示す。また、得られたろ液を孔径0.2μmのフィルタに通して連続的にろ過し、フィルタに捕捉された固体成分の乾燥重量を測定した。固体成分の乾燥重量を、処理したろ液の量(体積)で除した値を、表1において「ろ液品質」として示す。
【0087】
(試験2〜5)
ろ過助剤およびろ過助剤保持部材の種類を表1に記載のものに変更した以外は試験1と同様の手順で、試験2〜5を行った。結果を表1に示す。
【0088】
(試験6)
試験6においては、ろ過助剤として硅藻土の代わりに表1に示すろ過砂を用いた。試験6において、ろ過助剤保持部材は使用せず、ろ過塔の内部に設けたろ過砂の層に水性流体を通して固液分離を行った。水性流体は、試験1において処理した水性流体と同じものを用いた。結果を表1に示す。試験6を実施した後にろ過砂層の表面を目視にて観察したところ、ろ過砂層表面にシート状のポリマーが形成されていた。このシート状のポリマーは、水性流体に含まれる未凝析ポリマーに由来するものであると考えられる。
【0089】
【表1】
【実施例2】
【0090】
次に、下記の試験7〜9において、ろ過助剤の使用形態をそれぞれ変更して、含フッ素ポリマー製造工程から生じる水性流体の固液分離を行った。
【0091】
(試験7)
試験7においては、試験1で使用した混合排液およびろ過塔と同様のものを水性流体および第1のろ過装置として用いた。ろ過助剤およびろ過助剤保持部材は、試験5と同じものを用いた。試験7においては、ろ過助剤の使用形態としてボディフィードのみを行った。ボディフィードとして、ろ過助剤濃度が100ppmとなるように水性流体にろ過助剤を添加した。ボディフィードは、混合排液をビーカーに入れて、スターラーで撹拌しながら、混合排液中のろ過助剤が100ppmになる量のろ過助剤を添加した後、チューブポンプでろ過塔上部に送液することにより行った。
【0092】
上述の水性流体を一定速度でろ過塔に導入して、水性流体を固体成分とろ液とに分離した。固液分離の間、ろ過処理量およびろ過圧力の経時変化を記録した。ろ過圧力の測定結果を
図4に示す。ろ過を開始してから70分後および170分後におけるろ過圧力の値を下記の表2に示す。試験1と同様の手順で、ろ液中の固体成分の含有量(ろ液品質)を求めた。結果を表2に示す。
【0093】
(試験8)
ろ過助剤の使用形態としてプレコートのみを行った以外は試験7と同様の手順で試験8を行った。試験8において、プレコートとしてろ過助剤保持部材の表面に厚さ5mm(1gに相当)のろ過助剤の層を形成した。結果を表2および
図4に示す。
【0094】
(試験9)
ろ過助剤の使用形態としてボディフィードおよびプレコートを併用した以外は試験7と同様の手順で試験9を行った。試験9において、ボディフィードとしてろ過助剤濃度が100ppmとなるように水性流体にろ過助剤を添加した。また、プレコートとしてろ過助剤保持部材の表面に厚さ5mm(1gに相当)のろ過助剤の層を形成した。結果を表2および
図4に示す。
【0095】
【表2】
【0096】
表2に示すように、ボディフィードおよびプレコートを併用した試験9は、ボディフィードのみを行った試験7およびプレコートのみを行った試験8と比較して、固液分離を行っている間のろ過圧力の上昇を効果的に抑制することができた。このことから、ボディフィードおよびプレコートの併用により、長時間にわたって非常に高い効率で水性流体の処理を行うことができることがわかった。なお、ボディフィードのみを行った試験7においては、ろ過時間が長くなるに従ってろ過助剤保持部材の目詰まりが生じたことによりろ過圧力が上昇したと考えられる。また、プレコートのみを行った試験8においては、ろ過時間が長くなるに従って、ろ過助剤保持部材の表面に形成したろ過助剤層の表面にシート状のポリマーが形成されたことによりろ過圧力が上昇したと考えられる。実施例2の結果より、ボディフィードおよびプレコートの併用により、ろ過助剤保持部材の目詰まりを防止し、かつシート状のポリマーの形成を抑制し得ることがわかった。
【実施例3】
【0097】
次に、下記の試験10〜12において、種々のろ過膜を用いてろ液の膜ろ過を行った。
【0098】
(試験10)
含フッ素界面活性剤である炭素数6のフルオロアルキルカルボン酸(パーフルオロヘキサン酸)の濃度が約150ppmであり、pHが約3の水溶液を調製した。この水溶液をろ液として使用して、クロスフロー型の平膜試験装置を用いて膜ろ過試験を行った。ろ過膜として、NaCl阻止率が99.7%の逆浸透膜を用いた。ろ液を供給液タンクにいれ、この供給液タンクからろ液を平膜試験装置に供給し、膜ろ過により透過液と濃縮液とに分離した。平膜(ろ過膜)で濃縮された濃縮液は供給液タンクに戻し、供給液がなくなるまで膜ろ過を行った。処理条件は、以下のとおりであった。
膜間圧力:0.6MPa
循環流量:0.6L/分
供給水量:1L
ろ液の供給開始から10分おきに、供給液、濃縮液および透過液を採取し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて含フッ素界面活性剤濃度を分析した。分析結果に基づいて、試験10における含フッ素界面活性剤の阻止率を下記式により算出した。式中、C
fは供給液に含まれる含フッ素界面活性剤の濃度(ppm)、C
bは濃縮液に含まれる含フッ素界面活性剤の濃度(ppm)、C
pは透過液に含まれる含フッ素界面活性剤の濃度(ppm)である。結果を下記の表3に示す。
【数1】
【0099】
(試験11および12)
ろ過膜として、表3に示すナノろ過膜を用いた以外は試験10と同様の手順で試験11および12を行った。結果を表3に示す。
【0100】
【表3】
【0101】
表3に示すように、ろ過膜として逆浸透膜を用いた試験10は、ナノろ過膜を用いた試験11および12と比較して、含フッ素界面活性剤の阻止率が高くなった。このことから、ろ過膜として逆浸透膜を用いることにより、含フッ素界面活性剤の濃縮および回収をより一層高い効率で行うことができることがわかった。なお、試験1〜9と同様の固液分離により得られたろ液を用いて試験10〜12と同様の膜ろ過試験を行った場合においても、試験10〜12と同等の含フッ素界面活性剤の阻止率を達成することができる。
【実施例4】
【0102】
次に、下記の試験13〜15において、種々の吸着材を用いて濃縮液に含まれる含フッ素界面活性剤の分離回収を行った。
【0103】
(試験13)
試験13において、吸着材として活性炭を使用した。濃縮液として、試験1で使用した混合排液と同じ混合排液を孔径1μmのフィルタで前処理して固体成分を除去し、次いで試験10で用いた逆浸透膜と同じ逆浸透膜を用いて約20倍に濃縮した液を用いた。充填塔に吸着材を40ml充填し、上述した濃縮液を塔底より流通した。流通は、含フッ素界面活性剤の出口濃度が入口濃度と同じになるまで行った。出口液の含フッ素界面活性剤濃度をHPLCで分析した。分析結果に基づいて、含フッ素界面活性剤濃度の減少量から吸着材に吸着された含フッ素界面活性剤の重量を求め、下記式により含フッ素界面活性剤の吸着率を算出した。式中、Aは吸着材に吸着された含フッ素界面活性剤の重量(g)、Bは吸着材の容量(ml)である。結果を下記の表4に示す。
吸着率(g/ml)=A/B
【0104】
(試験14および15)
吸着材として表4に示す吸着材を用いた以外は試験13と同様の手順で試験14および15を行った。結果を表4に示す。
【0105】
【表4】
【0106】
表4に示すように、吸着材として高賦活活性炭を用いた試験14は、通常の活性炭を用いた試験13と比較して含フッ素界面活性剤の吸着率が高くなった。更に、吸着材としてイオン交換樹脂を用いた試験15は、活性炭を用いた試験13および14と比較して含フッ素界面活性剤の吸着率が高くなった。このことから、吸着材としてイオン交換樹脂を用いることにより、より高い収率で含フッ素界面活性剤を分離回収し得ることがわかった。なお、試験1〜9と同様の固液分離で得られたろ液を用いて試験10〜12と同様の膜ろ過を行って得た濃縮液について、試験13〜15と同様の分離回収試験を行った場合においても、試験13〜15と同等の吸着率を達成することができる。
【実施例5】
【0107】
次に、下記の試験16〜18において、ろ過助剤により固体成分とろ液とに分離する固液分離、ろ過膜を用いてろ液を膜ろ過し、透過液と濃縮液とに分離すること、および吸着材を用いた濃縮液に含まれる含フッ素界面活性剤の分離回収を連続して行った。
【0108】
(試験16)
pHが約3の酸性流体であり、含フッ素界面活性剤である炭素数6のフルオロアルキルカルボン酸(パーフルオロヘキサン酸)の濃度が約160ppmであり、固体成分として未凝析ポリマーと微粒子状ポリマーとを合わせて約50ppm含有し、更に、凝集剤として用いられる硫酸アルミニウムを含有する水性流体を調製し、試験16における水性流体として用いた。
【0109】
平均粒径60μm以下のろ過助剤と目開き20μm以下のろ過助剤保持部材を用いた以外は試験9と同様の手順で固体成分とろ液との分離を行った。下記式により固体成分除去率を算出した。式中、αは水性流体(すなわち、ろ過助剤を用いた分離を行う前の原水)のろ液品質(mg/l)であり、βはろ液(ろ過助剤を用いた分離を行った後に得られたろ液)のろ液品質(mg/l)である。結果を表5に示す。
固体成分除去率(%)=(1−(β/α))×100
【0110】
(試験17)
試験16にて得られたろ液を膜ろ過試験に供給した以外は試験10と同様の手順で、ろ液の膜ろ過を行った。試験17における含フッ素界面活性剤の阻止率を算出した。結果を下記の表5に示す。
【0111】
(試験18)
試験17にて得られた濃縮液を使用したこと以外は試験14と同様の手順で、濃縮液に含まれる含フッ素界面活性剤の分離回収を行った。下記式により、含フッ素界面活性剤の除去率を算出した。式中、xは、濃縮液における含フッ素界面活性剤濃度(ppm)、yは、吸着材の充填された充填塔から排出された排液における含フッ素界面活性剤濃度(ppm)である。結果を表5に示す。
含フッ素界面活性剤の除去率(%)=(1−(y/x))×100
【0112】
【表5】