特許第6642648号(P6642648)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642648
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月5日
(54)【発明の名称】刈払い機吊下げ用腰ベルト
(51)【国際特許分類】
   A01D 34/90 20060101AFI20200127BHJP
【FI】
   A01D34/90 F
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2018-145440(P2018-145440)
(22)【出願日】2018年7月13日
(65)【公開番号】特開2020-10671(P2020-10671A)
(43)【公開日】2020年1月23日
【審査請求日】2018年7月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】518274836
【氏名又は名称】有限会社谷本鈩製作所
(72)【発明者】
【氏名】谷本 三千男
【審査官】 佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭53−071519(JP,U)
【文献】 実開昭62−175826(JP,U)
【文献】 特開2002−034317(JP,A)
【文献】 実開昭48−024927(JP,U)
【文献】 特開2010−075511(JP,A)
【文献】 実開昭48−050522(JP,U)
【文献】 実開昭52−148718(JP,U)
【文献】 実開昭49−143322(JP,U)
【文献】 実開昭57−026256(JP,U)
【文献】 米国特許第05620121(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 34/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰に巻付けて刈払機を保持する刈払機吊下げ用の腰ベルトであって、該腰ベルトの所定の第一位置から、一定の距離を空けた第二位置まで、この腰ベルトに沿ってロープ部材を張設し、且つこのロープ部材には、ロープ部材に沿って移動可能な係合部材が設けられ、さらに該係合部材に、刈払機の係止部材が取付けできるようになっており、且つ前記腰ベルトの第一位置から第二位置の間に張設されたロープの長さを自由に調節することが可能な機構を織込んだことを特徴とする刈払い機吊下げ用腰ベルト。
【発明の詳細な説明】
【提出日】
平成30年07月13日
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機を保持するための腰ベルト構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
刈払機は、雑草や灌木、あるいはそれらの枝葉を刈り取るために多用されている。そうした刈払機には、通常は図7に示すような両手ハンドル型と呼ばれるものや図8に示すようなループハンドル型と呼ばれるものがある。図9に示すようなツーグリップ型と呼ばれるものもあるが、握り部の形状が異なるだけで、刈払い機能はループハンドル型と全く同じである。従って以下でループハンドル型と記述した場合は、ツーグリップ型も含む。また、図10に示すような強力な動力を使用した背負い式刈払機もある。
【0003】
両手ハンドル型刈払機の使用は、図11に示すように、ほぼ平地の雑草を一定幅で帯状に刈り取っていくのに適している。ループハンドル型の場合は、図13に示すように平地だけでなく、傾斜面の雑草や立体的な形状物の刈払いも容易なようなハンドル構造となっている。背負い式は、エンジンが大きく重いため、背中全体でその重量を背負いながら、フレキシブルシャフトで動力をカッターに伝える構造となっている。大きめの雑草や灌木の刈払いに向いている。
【0004】
刈払い作業は、草木が伸びる春から秋にかけての暑い季節での作業が多い。そこで、最近は特に夏場に、図14に示すような空調ウェアを着用したいというニーズが高まっている。また、こうした刈払作業は広い場所などでの単独作業も多いため、その安全面を考慮し、一部の企業などでは、作業者に空調ウェアの着用を推奨する動きもある。
【0005】
ところが、空調ウェアの空気の流れは、体を冷却するために、図14に示すように、服の後ろ側下部に設けた空気取り入れ口41から導入し、空調上ウェアの下を通った空気は袖口及び襟口から噴出させるようになっている。そのため、図11図13のように刈払機を保持するための吊りベルトを用いると、空気の流れが遮断され、空調ウェアの機能が発揮できない。
【0006】
この改善策として、刈払機を吊るすための両肩ベルト20や片掛けベルト21を止め、腰ベルト25のみで刈払機を支持する方法を考案した。また、こうした空調ウェア対応への試みは先行技術文献からは見いだせなかった。
【0007】
ただ、「空調ウェア」とは関係していないが、腰ベルトで刈払機を支持しようとするアイデアそのものは、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4の4つが提出されている。
【0008】
特許文献1では、背負式の刈払機を対象に、腰ベルトでの保持構造を考案したものであるが、基本的なところは、腰ベルトに取り付けられたピンを固定軸として動力用エンジン部分が水平回転できるように考慮された支持方法である。
ただし、これは刈払機の操作桿8がフレキシブルシャフト7とつながっているために成立つ考えで、両手ハンドル型刈払機やループハンドル型刈払機では使えない構造である。
【0009】
また当出願は、背負式刈払機は対象としていない。背負式刈払機はエンジンが大きく重いため背中にしっかりと固定する必要があり、腰ベルトだけでの対応は無理であると考えている。
【0010】
特許文献2でも、背負式の刈払機を対象に腰ベルトを利用した吊り構造を提案しているが、やはり腰負式はエンジン部分が重いためか、肩掛け用のベルトも併用している。また、この提案構造も操作桿がフレキシブルであるために成立つ構造である。両手ハンドル型刈払機やループハンドル型刈払機では使えない構造である。
【0011】
特許文献3では、腰ベルトに付設された固定金具とそこに取り付けられた腕状金具の先端に刈払機の操作桿を取り付けたものであるが、その発明には、支点や固定点が多く、実際に刈払いをしたい位置や刈払いしたい角度へカッターを簡単に移行できない欠点があり実用的でないと考えられる。
【0012】
特許文献4は、傾斜地の刈払いを行いたい時に使用する独特のメカニズムを腰ベルトに取り付けたもので、片手で作業ができる構造としている。従って一般的な刈払い作業には向いていない。また、肩ベルトも併用しており、空調ウェア着用には向いていない構造である。
【先行技術文献】
【0013】
【特許文献1】実願 昭46−69724 「腰負式刈払機」
【0014】
【特許文献2】実願 昭46−97997 「腰負式刈払機」
【0015】
【特許文献3】実願 昭51−153257「刈払機用支持具」
【0016】
【特許文献4】実願 昭54−73819 「刈払機の支持装置」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
解決しようとする問題点は、先行技術文献に見られる案よりも進化した技術で、かつ空調ウェアの空気の流れを阻害しないように、しかも吊りベルトを一切使わず、腰ベルトのみで刈払機を使用できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本出願の発明は、両手ハンドル型及びループハンドル型の刈払機を腰ベルトに吊り下げられるようにし、肩掛け式吊りベルトを完全に省略したもので、図1図3に示すように、腰ベルトの所定の第一位置に環金具27右を取付け、それに吊り用ロープを付設し、該ロープのもう一方の端を第二位置の環金具27左に通して張設し、そのロープ上を自由に移動できる係合部材32を取付けた刈払機吊下げ用の腰ベルトである。
【0019】
また、この係合部材32には、刈払機の係止部材11を取り付けて、腰ベルトで刈払い機を吊下げるようにしている。係合部材32は、刈払機が簡単に取付け・取外しできるように、いわゆる「カラビナ」、「シャックル」、「スナップフック」、「ナスカン」と呼ばれるようなものを使う。つまり図1図3では「スナップフック」の絵を入れているが、これは、例えばナスカンなど他のものでもよい。
【0020】
刈払機の係止部材11は操作桿8に嵌合された穴開き部材である。図5図6に示すように、この穴に係合部材32を嵌めて吊下げる。
【0021】
さらに、そのロープの長さ調節が可能な機構、ロープ長さ調節ねじ33などを組入れて、ロープ長さやたるみを使用者の好みに合わせることで、より使いやすい腰ベルトとすることができる。
【0022】
そもそも、こうした腰ベルトに刈払機を吊下げるための最も単純な方法は、図5に示すように、刈払機の係止部材である吊り金具11を取付けるために、環金具27を腰ベルト25の特定の位置にセットし、これにカラビナ31などの係合部材を取付けたような方法である。ただ、この方法をトライした結果、実際には使えないことが分かった。その理由は、吊り金具の位置がある程度自由に前後、左右、及び上下に移動できないと刈払い作業が難しいためである。特に、両手ハンドル型に顕著であるが、ループハンドル型刈払機も似たような状況であった。
【0023】
そこで、図6に示すような構造もトライした。しかし、この方法も刈払機の作動範囲を広くとろうとするとロープ30の長さがどんどん長くなり、刈払機の吊下げ位置が下がってくることから、結局刈払機の重量を自分の手で支えるような形となり、本来の腰ベルト吊下げ機能が発揮できなくなってくる欠点がある。
【0024】
そこで、図1図3に示すように、腰ベルト25にロープ30を所定の間隔で取付け、このロープ上を摺動する係合部材のスナップフック32のようなものを設置し、そこへ刈払機の係止部材の吊金具11をセットできるようにした。
【0025】
また、図2図4に示しているように、両手ハンドル型の刈払機に対しては、腰ベルトの右側から右側前部にかけて、短めの吊り用ロープを設けること。ループハンドル型刈払機に関しては、腰ベルトの右前部から前部辺りに長めの吊り用ロープを設けると刈払機が使いやすい仕様となる。
【発明の効果】
【0026】
腰ベルトに刈払機を直接吊り下げるようにすることで、空調ウェアの空気の流れを阻害することが無くなり、高温下での刈払い作業が楽になる。
【0027】
腰ベルトに直接に係合部材を設け、そこへ刈払機を吊り下げる図5のような単純な構造では、作業性が非常に阻害される。これに対して、吊り用ロープを介することで、作業性の低下が避けられる。
【0028】
図11に見られるように、両手ハンドル型の刈払機を使用するときは両肩ベルト式で且つ胴部の回り止めを考慮した構造の吊りベルトが使用されることが多い。これは、吊り金具の移動がある程度制約されている方が、作業性が良いためである。こういう点を考慮し、本発明の吊りロープは短めでも問題ない。
【0029】
また、両手ハンドル型刈払機の時の吊り金具の位置は、右腰あるいはそれより少し前の辺りが適しているため、吊りロープもそれに対応した位置に設けてテストした。このように、環金具27を取付ける第一位置や第二位置は、必ずしも固定したものではない。使用する人の腹囲とか作業内容、作業姿勢の好みなどにも影響される。
【0030】
一方、図8に示したループハンドル型刈払機や、図9のツーグリップ型刈払機の場合は、図13に示すように片掛けの肩ベルトを使用し、作業を行うことが多い。この理由は、吊り金具の位置が自由に動く方が作業性が向上するためで、経験上こういう使い方が多い。従って、この場合は、吊りロープは長めとし、この長めの吊りロープが自由に変形すること、及びロープ上をフック類が自由に移動することで作業性を確保する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】ループハンドル型刈払機用の本発明のロープ装着腰ベルトの展開図
図2】ループハンドル型刈払機用の本発明のロープ装着腰ベルトの平面図
図3】両手ハンドル型刈払機用の本発明のロープ装着腰ベルトの展開図
図4】両手ハンドル型刈払機用の本発明のロープ装着腰ベルトの平面図
図5】ロープ無しの場合の刈払機吊下げ型腰ベルトの斜視図
図6】ロープを縦に使用した場合の刈払機吊下げ型腰ベルトの斜視図
図7】両手ハンドル型刈払機の斜視図
図8】ループハンドル型刈払機の斜視図
図9】ツーグリップ型刈払機の斜視図
図10】背負型刈払機の斜視図
図11】両手ハンドル型刈払機の使用状況の説明図
図12】両手ハンドル型刈払機の吊り構造部分拡大
図13】ループハンドル型刈払機の使用状況の説明図
図14】空調ウェアの使用状況の説明図
【発明を実施するための形態】
【0032】
肩掛け吊り式ベルトに代わる機能を、腰ベルトに付与するために、以下の二つの方法で実現した。実施例1はループハンドル型刈払機に対応したもの。実施例2は両手ハンドル型刈払機に対応したものである。
【実施例1】
【0033】
図1に示すようなベルト構造で、腰ベルトを作製した。実際に人が装着した時の上から見た図を図2に示す。
【0034】
腰ベルト25の素材はナイロン。腰ベルトの厚みは3mm、幅は5cm、全体の長さは、バックル金具28も含めて118cmを使用した。また、腰ベルトには、クッション26も付けている。サイズは70cm長さ、11cm幅、厚み10mmを使用。環金具27の第一位置は、バックル先端から26cm、第二位置はバックル端から26+55cmとした。これに取付ける吊り用ロープは金剛打ちロープφ6mm、全長65cmとした。
【0035】
上記の条件で、バックル先端から102cmの位置(5列の爪穴の3列め)の爪穴29にバックル金具を止めた時の腰ベルトの1周長さは98cmである。実際には厚さ1cmのベルトクッションがついているので、それらを勘案すると、腹囲90cmくらいでの試作となっている。
【0036】
また、この状態で、図2のb−c間の距離は35cmであった。ロープ長さ(カラビナ31と環金具27左との間)は43cmとした。従って、腰ベルトの中心線よりも12.5cm垂れた位置で係止部材、つまり吊り金具11を吊下げている状態となっている。
【0037】
この状態で、空調ウェア40を着用し、ループハンドル型刈払機で、実際に刈払い作業を実施したが、空調ウェアの作動を阻害することは無かった。また、刈払い作業も全く問題が無かった。図15に示す前進や逆の後退、回転作業、左右移動などはむしろ良好であった。
【実施例2】
【0038】
図3図4の使用での試作である。対応腰ベルト25の素材はナイロン。腰ベルトの厚みは3mm、幅は5cm、全体の長さは、バックル金具28も含めて121cmを使用した。また、腰ベルトには、クッション26も付けている。クッションのサイズは69cm長さ、11cm幅、厚み10mmを使用。環金具27の第一位置は、バックル先端から65cm、第二位置は65+25cmとした。これに取付ける吊り用ロープは金剛打ちロープφ6mm、全長46cmとした。この46cmはロープの端留め部の長さや余った部分も含み、実際に図3のb−c間のロープ長さは31cmとし、その時のロープの垂れ量は9.5cmであった。
【0039】
この試作仕様で空調ウェアと両手ハンドル型の刈払機を使用したが、空調ウェアの機能を阻害することは無かった。また、刈払い機能も問題なかった。むしろ、図11に示す刈取り幅wが広がる方向であった。これは非常に作業効率を高めるもので、広い原野などで、往復作業の回数が減らせるというメリットがある。
【0040】
ところで、図1図2図3図4とは、吊下げロープの端末の処理に若干の違いがある。つまり、図1図2では環金具27左と環金具27右とでそれぞれの端部が固定されているのに対し、図3図4では、そうなっていない。環金具27左は、ここでロープ端部が固定されているのに対し、環金具27右はロープが通過するだけで、実際の固定は環金具27左となっている。ただ、この場合も機能上は環金具27右で固定されたのとまったく同じである。従って、こうしたロープの取付け構造も、同じ発明と考えている。
【0041】
以上、二つの実施例を示したが、第一位置と第二位置との最適な間隔は、両手ハンドル型の場合には20±5cm、ループハンドル型の場合には35±10cm程度であるとみている。
【0042】
まら、最初に述べたように、本発明は両手ハンドル式とループハンドル式刈払機を対象としたものである。実施例もこの二つについて述べた。一方、背負い式は大きく重いため、背負子フレーム23がわざわざ設けられているなど、腰ベルトだけでは重量を支えきれない。従って、背負式刈払機は本発明の対対象としていない。
【符号の説明】
【0042】
1 両手ハンドル
2 ループハンドル
3 前握り
4 後握り
5 駆動エンジン
6 燃料タンク
7 フレキシブルシャフト
8 操作桿
9 安全カバー
10 カッター
11 吊り金具(係止部材)
11 フレキシブルシャフト
20 両肩ベルト
21 片掛けベルト
22 肩ベルトクッション
23 背負子フレーム
24 背当てクッション
25 腰ベルト
26 腰ベルトクッション
27 環金具
28 バックル金具と爪
29 爪穴
30 吊り用ロープ
31 カラビナ、シャックル類(係合部材の一種)
32 スナップフック、ナスカン類(係合部材の一種)
33 ロープ長さ調整ねじ
35 ロープ簡易固定
40 空調ウェア
41 空気取り入れ口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14