特許第6642696号(P6642696)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642696
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20200130BHJP
   H01M 2/20 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   H01M2/10 E
   H01M2/10 S
   H01M2/20 A
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-507135(P2018-507135)
(86)(22)【出願日】2017年2月20日
(86)【国際出願番号】JP2017006108
(87)【国際公開番号】WO2017163696
(87)【国際公開日】20170928
【審査請求日】2018年7月26日
(31)【優先権主張番号】特願2016-57944(P2016-57944)
(32)【優先日】2016年3月23日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100116078
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 浩希
(72)【発明者】
【氏名】小村 哲司
(72)【発明者】
【氏名】田嶋 光俊
【審査官】 田中 則充
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−082391(JP,A)
【文献】 特開2015−185415(JP,A)
【文献】 特開2015−138674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルを含む電池ブロックであって、前記複数の電池セルのそれぞれが端子を有しており、かつ、前記電池ブロックが前記複数の電池セルの端子が並ぶ端子面を有している、該電池ブロックと、
前記端子面に対して隣接する前記電池ブロックの側面に沿って延在する本体部を含むサイドプレートであって、前記サイドプレートが、前記本体部から前記電池ブロックに向かって突出する弾性部および保持部を有しており、かつ、前記弾性部が、前記電池ブロックの端子面と対向するとともに、前記保持部が、前記端子面に対して反対側にある前記電池ブロックの底面と対向している、該サイドプレートと、
前記弾性部と前記電池ブロックの間に配置される絶縁部であって、前記絶縁部が前記弾性部と対向する前記絶縁部の一面に設けられる位置決め領域および押圧領域を有しており、かつ、前記押圧領域が前記弾性部によって前記端子面に対して垂直な方向に押圧されており、かつ、前記位置決め領域が前記本体部側に位置する前記絶縁部の端部に設けられるとともに、前記端子面に対して垂直な方向において、前記押圧領域よりも前記弾性部から離間した位置に延在している、該絶縁部と、
を備える電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
前記位置決め領域は、前記押圧領域と連結される斜面を有するテーパー領域を含んでいる電源装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電源装置において、
前記弾性部は、前記複数の電池セルに対応して設けられる複数の弾性片と、隣接する弾性片の間にそれぞれ設けられる複数のスリットと、を有していることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電源装置において、
前記複数のスリットは、前記電池ブロックの側面と対向する位置まで延在していることを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項3に記載の電源装置において、
前記弾性部は、さらに、前記複数の弾性片の一端が連結される基部を含んでおり、
前記基部は、前記電池ブロックの端子面と対向する位置に延在していることを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項3に記載の電源装置において、
前記絶縁部は、前記弾性部と対向する前記絶縁部の一面から前記複数の弾性片のそれぞれに向かって突出する複数の突起を有しており、前記複数の突起のそれぞれに前記押圧領域が形成される電源装置。
【請求項7】
請求項1からのいずれかに記載の電源装置において、
前記電池ブロックは、さらに、複数の絶縁スペーサを含んでおり、
前記複数の絶縁スペーサの各々は、隣接する電池セルの間に配置されるとともに、前記隣接する電池セルの少なくとも一方の電池セルの前記端子が設けられる面を部分的に覆う上壁部を有しており、
前記絶縁部は、前記複数の絶縁スペーサの上壁部によって形成されることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載の電源装置において、
さらに、前記複数の電池セルのうちの少なくとも二つの電池セルを電気接続するバスバーと、
前記電池ブロックの端子面に配置されるバスバープレートであって、前記バスバーが配置されるバスバー収容部と、前記絶縁部と、を含んでいる、該バスバープレートと、を備えることを特徴とする電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電池セルを備えた電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、推進用の電源装置を使用する電気自動車が普及している。電気自動車は、様々な構成が知られており、例えば、駆動用のモータを搭載する車両(BEV:Battery Electric Vehicle)や、モータに加えてエンジンを搭載しているハイブリッドカー(HEV:Hybrid Electric Vehicle)などがある。これらの電気自動車に搭載される電源装置では、複数の電池セルが用いられる。各々の電池セルは、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等の充放電が可能な二次電池である。
【0003】
典型的な電気自動車用の電源装置は、複数の電池セルからなる電池ブロックを備えている。複数の電池セルを集合化して電池ブロックを形成することで、電源装置の組立作業性を向上させることができる。電池ブロックの電池セルの数は、組立作業性等を考慮して適宜決められる。
【0004】
一方、車両に搭載される電源装置の場合、車両の振動などによって、電池ブロックに対して比較的大きな負荷がかかることがある。このような状況に鑑みて、下記の特許文献1に記載されているような各々の電池セルを付勢する弾性体を有する電源装置が提案されている。
【0005】
具体的には、下記特許文献1に開示されている電源装置は、交互に積層される複数の電池セルと複数のスペーサを含む電池ブロックと、電池ブロックを保持する保持フレームを備えている。保持フレームは、上下方向における電池ブロックの両端に延在する保持部を含んでいる。一方の保持部と電池ブロックの間には、各々の電池セルを付勢する弾性体が介装される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2015−99650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の電源装置は、弾性体を変形させた状態で保持フレームを組み立てる必要がある。具体的には、特許文献1の電源装置において、保持フレームは、電池ブロックの両端に配置される一対のエンドプレートと、電池ブロックの側面に配置されるサイドプレートと、弾性体を有するロアプレートとで構成されている。また、サイドプレートは、電池ブロックとロアプレートを挾持できるように、サイドプレートの上下の端縁から突出し、電池ブロックの両端に延在する保持部を含んでいる。この構成の場合、弾性体によって電池セルを付勢した状態を維持しながら、サイドプレートの保持部の間に電池ブロックとロアプレートを嵌合させる必要があり、組立作業性が悪いという問題がある。
【0008】
本発明は、斯かる実情に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、電池ブロックを構成する複数の電池セルの変位を抑制すると共に、組立作業性を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電源装置は、電池ブロックとサイドプレートと、絶縁部と、を備える。電池ブロックは、端子を有する複数の電池セルを含んでおり、一面に複数の電池セルの端子が並ぶ端子面を有している。サイドプレートは、電池ブロックの端子面に隣接する面に沿って延在する本体部を含んでいる。また、サイドプレートは、本体部の端縁から電池ブロックに向けて突出する弾性部および保持部を有している。弾性部は、電池ブロックの端子面と対向している。保持部は、端子面に対して反対側にある電池ブロックの底面と対向している。絶縁部は、弾性部と電池ブロックの間に配置される。また、絶縁部は、弾性部と対向する絶縁部の一面に設けられる位置決め領域および押圧領域を有している。押圧領域は、弾性部によって端子面に対して垂直な方向に押圧されている。位置決め領域は、本体部側に位置する絶縁部の端部に設けられるとともに、端子面に対して垂直な方向において、押圧領域よりも弾性部から離間した位置に延在している。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成では、サイドプレートを電池ブロックに組み付ける際に、端子面に対して垂直な方向において、押圧領域よりも弾性部から離間した位置に延在している位置決め領域を利用して、サイドプレートと電池ブロックの位置決めをすることができるようになっている。そのため、サイドプレートと電池ブロックの位置決めの際に、弾性部の付勢力に起因する電池セルが位置ずれすることを防止できる。従って、上記構成を採用することで、振動に起因する複数の電池セルの変位を抑制する構成としながら、電源装置の組立作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態における電源装置の斜視図である。
図2図1の電池ブロックの斜視図である
図3図1の電池ブロックの上面図である。
図4図1の電池セルの斜視図である
図5図1の絶縁スペーサの斜視図である。
図6図1のサイドプレートの斜視図である。
図7】本発明の他の実施形態における電池ブロックの斜視図である。
図8図7の電池ブロックの上面図である。
図9図7のバスバープレートの斜視図である。
図10】本発明の変形例のサイドプレートを備えた電源装置の斜視図である。
図11】本発明の変形例の絶縁部を備えた電池ブロックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の実施の形態の一例である電源装置1の構成を示す図である。電源装置1は、複数の電池セル11を含む電池ブロック10と、複数の電池セル11を保持する保持フレーム2と、を備える。電池ブロック10は、複数の電池セル11の端子12が並ぶ端子面を有している。保持フレーム2は、端子面に対して隣接する電池ブロック10の側面に沿って延在する本体部21を含むサイドプレート20を備える。図6に示すように、サイドプレート20は、本体部21から電池ブロック10に向かって突出する弾性部24および保持部23を有している。弾性部24は、電池ブロック10の端子面と対向する位置に設けられている。保持部23は、端子面に対して反対側にある電池ブロック10の底面と対向する位置に設けられている。
【0013】
図1から図3に示すように、電源装置1は、さらに、弾性部24と電池ブロック10の間に配置される絶縁部50を備える。図2に示すように、絶縁部50は、弾性部24と対向する絶縁部50の一面に設けられる位置決め領域52および押圧領域51を有している。押圧領域51の少なくとも一部は、弾性部24によって、端子面に対して垂直な方向に押圧されている。位置決め領域52は、サイドプレート20の本体部21側に位置する絶縁部50の端部に設けられており、端子面に対して垂直な方向において、押圧領域51よりも弾性部24から離間した位置に延在している。
【0014】
以上の構成の電源装置1において、弾性部24は、電池ブロック10の上面側から保持部23へ向けて絶縁部50の押圧領域51を押圧し、絶縁部50を介して各々の電池セル11を付勢するようになっている。
【0015】
また、以上の構成の電源装置1は、弾性部24と保持部23の間に、絶縁部50および電池ブロック10を挿入して組み立てられる。このとき、サイドプレート20は、弾性部24の先端が絶縁部50の位置決め領域52上に位置する第1の姿勢を経て、弾性部24の先端が絶縁部50の押圧領域51と当接する位置となる第2の姿勢へ移行することになる。上述の通り、位置決め領域52は、端子面に対して垂直な方向において、押圧領域51よりも弾性部24から離間した位置に延在しているので、第1の姿勢では、弾性部24は変形しない、あるいはほとんど変形しないようになっている。従って、第1の姿勢では、各々の電池セル11が実質的に付勢されていない状態となる。そのため、電池ブロック10と絶縁部50の位置決めと、弾性部24による各々の電池セル11の付勢を別々に行うことが可能となり、電源装置1の組立作業性を向上させることができる。
【0016】
なお、サイドプレート20の弾性部24と保持部23の間に挿入される電池ブロック10や絶縁部50等を含む部材の寸法の合計値が、サイドプレート20の弾性部24の先端と保持部23の先端の間の寸法よりも小さくなるように構成することが好ましい。この構成によると、サイドプレート20を組み付ける際に、位置決め領域52と弾性部24とが当接せず、サイドプレート20が第2の姿勢となっている状態の場合には、各々の電池セル11に弾性部24による付勢力が働かないようにすることができる。
【0017】
一方で、必ずしも、サイドプレート20の弾性部24と保持部23の間に挿入される電池ブロック10や絶縁部50等を含む部材の寸法の合計値が、サイドプレート20の弾性部24の先端と保持部23の先端の間の寸法よりも小さくなるように構成しなくてもよい。この構成の場合、第1の姿勢であっても、各々の電池セルが保持部23へ向けて付勢されることになるが、第2の姿勢と比べると付勢力は弱い状態となる。組立作業性を向上させる効果は、付勢力を低減するだけであっても充分に期待できる。
【0018】
図4に示すように、電池セル11は、開口を有する金属性の外装缶13と、外装缶13の開口を封止する封口体14と、を有している。外装缶13は、一対の幅広面を有する扁平な直方体形状に形成されている。外装缶13内には、電解液や電極などの発電要素が配置される。封口体14は、外装缶13内の発電要素に接続される正負の端子12を有しており、正負の端子12を介して電池セル11の電力を出力できる。なお、絶縁性を高めるために、外装缶13を囲うように絶縁層を設けても良い。この種の絶縁層としては、熱収縮性を有する絶縁樹脂からなるシュリンクチューブや、外装缶13の表面に貼付される絶縁シートなどを用いることができる。以上の通り、電池セル11は、封口体14が位置する電池セル11の一面に正負の端子12が設けられている。封口体14が同一平面上に並ぶように、複数の電池セル11を配置することで、上述の電池ブロック10が構成される。
【0019】
なお、図1から図3に例示されている電池ブロック10は、一方向に沿って積層される複数の電池セル11によって構成されているが、図示されている複数の電池セル11の配列に限る必要はない。
【0020】
図2および図3に示すように、電池ブロック10は、複数の電池セル11に加えて、複数の絶縁スペーサ15を備えている。図5に示すように、それぞれの絶縁スペーサ15は、隣接する電池セル11の間に配置されており、隣接する電池セル11同士を絶縁している。絶縁スペーサ15は、隣接する電池セル11の外装缶の幅広面と対向する絶縁板16を含んでいる。絶縁板16の上端には、隣接する電池セル11の上面を覆う上壁部17が設けられている。複数の絶縁スペーサ15の上壁部17は、サイドプレート20の弾性部24と電池ブロック10の間に介在するようになっており、絶縁部50は複数の上壁部17によって構成されている。また、絶縁スペーサ15は、隣接する電池セル11の下面を覆う下壁部18を有している。複数の絶縁スペーサ15の下壁部18は、サイドプレート20の保持部23と電池ブロック10の間に介在するようになっている。
【0021】
絶縁板16は、外装缶13の幅広面よりも若干大きい寸法に形成されており、絶縁板16と上壁部17及び下壁部18によって囲まれた空間に外装缶13を挿入することができるようになっている。絶縁スペーサ15に係合させた状態の電池セル11は、上壁部17と下壁部18によって外装缶13の幅広面に隣接する面の少なくとも一部が覆われる。また、上壁部17や下壁部18を設けることで隣接する電池セル11同士の沿面距離が長くなる。電池セル11を冷却すると、外装缶13の表面に結露水が付着することがあるが、隣接する電池セル11同士の沿面距離を長くすることで、結露水に起因する短絡を防止することができる。
【0022】
また、図7から図9に示すように、絶縁部50は、絶縁スペーサ15以外の部材で構成してもよい。図7および図8に示す電池ブロック10は、複数の電池セル11の端子12が並ぶ端子面上に配置されるバスバープレート60を備えている。バスバープレート60は、絶縁性の樹脂で形成されており、複数のバスバー収容部62を有している。それぞれのバスバー収容部62には、隣接する電池セル11の端子12を電気接続するためのバスバー61が配置される。バスバープレート60は、電池ブロック10の上面の周縁に渡って延在しており、サイドプレート20の弾性部24と電池ブロック10の間に介在するように構成されている。以上の通り、絶縁部50は絶縁性のバスバープレート60によって構成してもよい。
【0023】
図1に示すように、保持フレーム2は、具体的には、一対のエンドプレート30と、一対のサイドプレート20とを含んでいる。図1に例示されている電源装置1において、複数の電池セル11は、互いの幅広面を対向させる姿勢で、一方向に沿って配置されている。一対のエンドプレート30は、電池ブロック10の積層方向におけるそれぞれの端面に沿って配置される。図6に示すように、サイドプレート20は、それぞれのエンドプレート30に固定される一対の連結部22を有している。なお、エンドプレート30とサイドプレート20とを固定する固定手段としては、ボルト止めや溶接などの周知の手段を利用することができる。また、図1等に例示されているように、サイドプレート20は、本体部21に開口を形成してもよい。開口を形成することでサイドプレート20を軽量化することができる。一方、本体部21に開口を形成しない構成の場合には、サイドプレート20の剛性を高めることができる。
【0024】
電池セル11は、充放電や劣化によって外装缶が膨張することがある。特に、扁平な直方体形状の外装缶を有する電池セル11は、外装缶の幅広面に対して垂直な方向に膨張する傾向がある。図1に例示するように、保持フレーム2を一対のエンドプレート30と、一対のエンドプレートに架設されるサイドプレート20で構成する場合、一対のエンドプレート30の間の寸法がサイドプレート20によって規制され、電池ブロック10の積層方向の膨張を抑制することができる。
【0025】
図6に示すように、サイドプレート20の弾性部24は、互いに独立に変位するように構成される複数の弾性片25を含む構成としてもよい。図6に例示されるサイドプレート20において、弾性部24は、サイドプレート20を構成する金属板をプレス加工して形成され、複数のスリット26が設けられることで、複数の弾性片25が形成されている。この構成によると、隣接する弾性片25の間にスリット26が設けられているので、複数の弾性片25は、互いに独立に変位するように構成することができる。
【0026】
図6に例示されるサイドプレート20は、弾性片25を形成するためのスリット26が本体部21まで延在している。つまり、図1に示すように、弾性片25を形成するためのスリット26が電池ブロック10の側面と対向する位置まで延在している。それぞれの弾性片25は、電池ブロック10の側面と対向する位置に配置される本体部21と連なっているため、弾性部24が押圧領域に当接して上方に変位すると、復元力によって上下方向だけでなく、左右方向(電池ブロック10の側面に対して垂直な方向)にも負荷がかかる。電池ブロック10の側面と対向する位置までスリット26が延在するように構成することで、本体部21側に位置する弾性片の端部の変形により、左右方向の負荷を吸収し、応力の集中を防止することができる。
【0027】
また、図10に例示されるサイドプレート20のように、弾性部24が、電池ブロック10の端子面と対向する位置に延在する基部27と、一端が基部27に連結される複数の弾性片28と、を備える構成としてもよい。この構成では、隣接する弾性片28の間に位置するスリット29は、電池ブロック10の側面と対向する位置までは延在していない。上述の通り、弾性部24が突起に当接して上方に変位すると、復元力によって上下方向だけでなく、左右方向(電池ブロック10の側面に対して垂直な方向)にも負荷がかかるが、その負荷に耐えられるように基部27を設計することで、電池ブロック10の側面に対して垂直な方向におけるサイドプレート20の変位を防止することができる。サイドプレート20の変位を防止することで、サイドプレート20の変位に伴う電源装置1の寸法の変化を考慮する必要がなくなる。
【0028】
図6および図10に示すように、サイドプレート20に設けられるそれぞれの弾性片25、28は、先端が徐々に細くなるような形状としてもよい。また、弾性片25および弾性片28は、それぞれ、先端に円弧状に湾曲する湾曲部25aおよび湾曲部28aを形成しても良い。これらの構成によると、容易に弾性部24を変形させることができるようになるので、サイドプレート20の組付作業の作業性が向上する。
【0029】
なお、図2および図7に示すように、絶縁部50は、それぞれの弾性片25と対向する位置に設けられる複数の突起を有する構成としてもよい。この構成では、複数の突起がそれぞれの弾性片25と当接し、保持部23へ向かって付勢される。つまり、突起の先端に上述の押圧領域51が形成され、上述の位置決め領域52および押圧領域51を有する絶縁部50を簡単な構成により実現することができる。
【0030】
また、図11に示すように、絶縁部50は、押圧領域51と連結される斜面を有するテーパー領域52aを含む位置決め領域52を備える構成としてもよい。ここで、位置決め領域52と押圧領域51が連続的な面で接続されるなど、位置決め領域52と押圧領域51の間に明確な境界がなくてもよい。本発明において重要なことは、位置決め領域52と押圧領域51とで、高低差が付けられていることにある。
【0031】
図1から図3図7から図9図11に示すように、絶縁部50は、サイドプレート20に設けられている各々の弾性片25に対応して、溝部53を形成しても良い。それぞれの溝部53は、溝部53の底面に位置決め領域52および押圧領域51が形成されている。また、それぞれの溝部53は、溝の底面から立設される一対の側壁53aを有している。以上の構成によると、サイドプレート20を電池ブロック10に組み付ける際、一対の側壁53aを介して各々の弾性部24を所定の位置に案内することができるようになっている。
【0032】
次に、図1に示す本発明の実施の形態の一例である電源装置1の組立工程について以下に説明する。まず、複数の電池セル11と複数の絶縁スペーサ15を用意し、電池セル11と絶縁スペーサ15が交互に積層されるように、複数の電池セル11と複数の絶縁スペーサ15を一方向に沿って並べて電池ブロック10を形成する。電池ブロック10の積層方向の両端にそれぞれのエンドプレート30を配置する。図示しない治具を用いて、両端に一対のエンドプレート30が配置された状態の電池ブロック10を、一対のエンドプレート30が近接する方向に両側から押圧する。電池ブロック10が圧縮された状態で、サイドプレート20を電池ブロック10に取り付ける。
【0033】
具体的には、サイドプレート20の端縁に設けられている複数の弾性部24と保持部23の間に電池ブロック10を挿入する。ここで、サイドプレート20は、上述の通り、弾性部24の先端が絶縁部50の位置決め領域52上に位置する第1の姿勢を経て、複数の弾性部24の先端が絶縁部50の押圧領域51と当接する位置となる第2の姿勢へ移行することになる。上述の通り、第1の姿勢において、実質的に各々の電池セル11に弾性部24による付勢力が働かない。そのため、第1の姿勢では、弾性部24による付勢力に起因して電池セル11の位置ずれすることがなく、サイドプレート20と電池ブロック10の位置決めを容易に行うことができるようになっている。サイドプレート20と電池ブロック10および絶縁部50の位置決めを行った後、サイドプレート20を第2の姿勢になるまで挿入する。第2の姿勢のサイドプレート20とそれぞれのエンドプレート30とを固定する。これにより、各々の電池セル11は、サイドプレート20の弾性部24と保持部23によって挾持される。
【0034】
以上の通り、図1に示す本発明の実施の形態の一例である電源装置1は、組立工程において、サイドプレート20と電池ブロック10および絶縁部50の位置決めと、弾性部24による付勢を別々に行うことができるようになっている。
【0035】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各々の構成要素や各々の処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0036】
1 電源装置、10 電池ブロック、11 電池セル、12 端子、13 外装缶、14 封口体、15 絶縁スペーサ、16 絶縁板、17 上壁部、18 下壁部、2 保持フレーム、20 サイドプレート、21 本体部、22 連結部、23 保持部、24 弾性部、25 弾性片、25a 湾曲部、26 スリット、27 基部、28 弾性片、28a 湾曲部、29 スリット、30 エンドプレート、50 絶縁部、51 押圧領域、52 位置決め領域、53 溝部、53a 側壁、60 バスバープレート、61 バスバー、62 バスバー収容部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11