【実施例】
【0064】
以下、本発明の実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、実施例では金属種として銀を用いているため、本発明で規定する金属ナノワイヤを便宜的に銀ナノワイヤと読み替えた。なお、実施例、比較例中の「部」および「%」は特に断らない限り質量基準である。実施例、比較例中において、構成成分としての水は純水を用いた。
【0065】
[銀ナノワイヤの直径]
走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子(株)製、JSM−5610LV)を用い、100個の銀ナノワイヤを観察し、その算術平均値から銀ナノワイヤの直径を求めた。
【0066】
[銀ナノワイヤの長軸長]
走査型電子顕微鏡(SEM;日本電子(株)製、JSM−5610LV)を用い、100個の銀ナノワイヤを観察し、その算術平均値から銀ナノワイヤの長軸長を求めた。
【0067】
[銀ナノワイヤ含有積層体の平均表面電気抵抗値]
銀ナノワイヤ含有積層体上の異なる10部位の表面電気抵抗値(Ω/□)を測定し、その算術平均値から銀ナノワイヤ含有積層体の平均表面電気抵抗値を求めた。表面電気抵抗値の測定には、非接触式表面抵抗測定器EC−80P(ナプソン(株)製)を用いた。
【0068】
[銀ナノワイヤ含有積層体による基板の全光線透過率変化量]
何も施されていない基板と、銀ナノワイヤ含有積層体を有する基板の全光線透過率を測定し、その差から銀ナノワイヤ含有積層体による基板の全光線透過率変化量を求めた。全光線透過率変化量は、その値が低い方が、銀ナノワイヤ含有積層体の透明性が高い。測定には、NDH5000(日本電色工業(株)製)を用いた。
【0069】
[銀ナノワイヤ含有積層体による基板のヘイズ変化量]
何も施されていない基板と、銀ナノワイヤ含有積層体を有する基板のヘイズを測定し、その差から銀ナノワイヤ含有積層体による基板のヘイズ変化量を求めた。ヘイズ変化量は、その値が低い方が、銀ナノワイヤ含有積層体の濁度が低い。測定には、NDH5000(日本電色工業(株)製)を用いた。
【0070】
[銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性]
PETフィルム上に形成された銀ナノワイヤ含有積層体上に、光学弾性樹脂(3M(株)製、商品名8146−2、膜厚50μm)を片面のセパレータを剥がして貼り合せた。さらに、貼り合わせた光学弾性樹脂の残る片面のセパレータを剥がした上からガラス基板を貼り合わせ、PETフィルム上に、銀ナノワイヤ含有積層体、光学弾性樹脂、ガラスが順に積層された積層体を調製した。この積層体の全面の半分を覆うように、ガラス面側に黒テープ(ニチバン(株)製、ビニールテープVT−50黒)を貼り付けて、光安定性試験用試料を調製した。
【0071】
調製された光安定性試験用試料について、そのPETフィルム面から表面電気抵抗値を測定した。表面電気抵抗値の測定には、非接触式表面抵抗測定器EC−80P(ナプソン(株)製)を用いた。表面電気抵抗値は、照射部(黒テープが貼り付けていない領域)、境界部(黒テープを貼り付けた領域と貼り付けていない領域の境界部)と遮光部(黒テープが貼り付けた領域)の3箇所について測定し、この表面電気抵抗値を各部の各々の初期値(Rp0)とした。
【0072】
次いで、光安定性試験用試料について、光安定性試験機(アトラス マテリアルテクノロジー社製、SUNTEST CPS+)を用いてキセノンランプを照射した。試験条件は、昼光フィルター装填、ブラックパネル温度70℃、照射強度750W/m
2(波長300nm〜800nmの分光放射照度の積算値)、試験槽内の温度は42℃、湿度は50%RH、試験時間500時間とした。キセノンランプは、光安定性試験用試料の黒テープ貼り付け面側から照射した。光安定性試験後、室温で1日静置してから、改めて照射部、境界部と遮光部の表面電気抵抗値を測定した。この表面電気抵抗値を光安定性試験後の表面電気抵抗値(Rp1)とした。
【0073】
銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性を、光安定性試験前後の表面電気抵抗値Rp0、Rp1に基づき、以下に従って評価した。
AA ; Rp1/Rp0 ≦ 1.1
A ; 1.1 < Rp1/Rp0 ≦ 1.2
BB ; 1.2 < Rp1/Rp0 ≦ 1.3
B ; 1.3 < Rp1/Rp0 ≦ 1.5
BC ; 1.5 < Rp1/Rp0 ≦ 2.0
C ; 2.0 < Rp1/Rp0
なお、光安定性の優劣の順序は以下の通りである。
光安定性: AA(優)→A→BB→B→BC→C(劣)
【0074】
[銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性]
銀ナノワイヤ含有積層体について、恒温恒湿器試験機(いすゞ製作所製、TPAV−48−20)を用いて、85℃85%RHの環境下で240時間静置することにより、高温高湿安定性試験を行った。高温高湿安定性試験前の表面電気抵抗値を測定し、この表面電気抵抗値を初期値(Rw0)とした。表面電気抵抗値の測定には、非接触式表面抵抗測定器EC−80P(ナプソン(株)製)を用いた。高温高湿安定性試験後、室温で1日静置してから、改めて表面電気抵抗値を測定した。この表面電気抵抗値を高温高湿安定性試験後の表面電気抵抗値(Rw1)とした。
【0075】
銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性を、高温高湿安定性試験前後の表面電気抵抗値Rw0、Rw1に基づき、以下に従って評価した。
AA ; Rw1/Rw0 ≦ 1.1
A ; 1.1 < Rw1/Rw0 ≦ 1.2
BB ; 1.2 < Rw1/Rw0 ≦ 1.3
B ; 1.3 < Rw1/Rw0 ≦ 1.5
C ; 1.5 < Rw1/Rw0 ≦ 2.0
CC ; 2.0 < Rw1/Rw0
なお、高温高湿安定性の優劣の順序は以下の通りである。
高温高湿安定性: AA(優)→A→BB→B→C→CC(劣)
【0076】
[銀ナノワイヤ分散液の調製]
遮光下において、攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた四口フラスコ(以下、「攪拌装置、温度計、窒素導入管を備えた四口フラスコ)を「四つ口フラスコ」と略する)に窒素を送入しながら、銀ナノワイヤ成長制御剤として重量平均分子量29万のN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド重合体1.00質量部と、1,2−プロパンジオール117.9質量部とを加え、120℃で攪拌し溶解させた。ここに、1,2−プロパンジオール9.0質量部と塩化アンモニウム0.0054質量部とを加え、140℃に昇温し、15分間攪拌した。さらに1,2−プロパンジオール40.0質量部と硝酸銀0.85質量部とを加え、140℃で45分間攪拌し、銀ナノワイヤを作成した。得られた銀ナノワイヤ分散液に大過剰の純水を加え、銀ナノワイヤ成分を濾別し、残渣を銀ナノワイヤ分散媒である水に再分散させた。この操作を複数回繰り返すことで銀ナノワイヤ成分を精製し、銀ナノワイヤ含有量12.5質量%の銀ナノワイヤ分散液を調製した。得られた銀ナノワイヤは平均長軸長14μm、平均直径41nmであった。
【0077】
[バインダー(a)の調製]
四つ口フラスコにヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学工業(株)品、製品名 メトローズ90SH15000)20質量部、純水950質量部を仕込んだ後、5質量%燐酸0.3質量部を添加し、50℃まで昇温した。続けて、N−メチロールアクリルアミド0.1質量部を添加し、6時間攪拌した。さらに、70℃まで昇温し、窒素ガスを通しながら、メチルメタクリレート15質量部、n−ブチルアクリレート5質量部、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液8質量部を添加し、3時間攪拌し、(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したヒドロキシプロピルメチルセルロース分散液である4.0質量%のバインダー(a)を合成した。
【0078】
[バインダー(b)の調製]
四つ口フラスコに、窒素ガスを通しながら、テレフタル酸ジメチル106質量部、イソフタル酸ジメチル78質量部、5-スルホイソフタル酸ジメチルナトリウム18質量部、エチレングリコール124質量部、無水酢酸ナトリウム0.8質量部を仕込んだ後、攪拌しながら150℃まで昇温した。生成するメタノールを反応系外に留去しながら、さらに180℃まで昇温し、3時間攪拌した。テトラ−n−ブチルチタネート0.2質量部を添加し、攪拌しながら230℃まで昇温し、10hPaの減圧下で、生成するエチレングリコールを反応系外に留去しながら、7時間攪拌した後、180℃まで冷却した。無水トリメリット酸1質量部を添加し、3時間攪拌した後、室温まで冷却することで、水性ポリエステル樹脂(b−1)を合成した。四つ口フラスコに、上記の水性ポリエステル樹脂(b−1)200質量部、純水298質量部を仕込んだ後、攪拌しながら60℃まで昇温し、水性ポリエステル樹脂を溶解させた。グリシジルメタクリレート2.5質量部を添加し、1時間攪拌した。さらに、純水279質量部を添加し、40℃まで攪拌しながら冷却し、メチルメタクリレート37.5質量部、n−ブチルアクリレート12.5質量部を添加し、70℃まで攪拌しながら昇温した。窒素ガスを通しながら、1質量%過硫酸アンモニウム4質量部を添加し、4時間攪拌した後、純水167部を添加し、10.0質量%の(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合した水性ポリエステル樹脂分散液であるバインダー(b)を合成した。
【0079】
[銀ナノワイヤ含有組成物(1)の調製]
四つ口フラスコに、12.5質量%の銀ナノワイヤ分散液0.48質量部、バインダーとして、バインダー(a)2.00質量部、分散媒として純水97.52質量部を仕込んだ後、均一な分散液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有組成物(1)を調製した。
【0080】
[銀ナノワイヤ含有組成物(2)の調製]
四つ口フラスコに、12.5質量%の銀ナノワイヤ分散液0.48質量部、バインダーとして、バインダー(a)2.00質量部、耐候性向上剤として3−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸(東京化成工業(株)品)0.006質量部、分散媒として純水97.514質量部を仕込んだ後、均一な分散液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有組成物(2)を調製した。
【0081】
[銀ナノワイヤ含有組成物(3)の調製]
四つ口フラスコに、12.5質量%の銀ナノワイヤ分散液0.48質量部、バインダーとして、バインダー(a)1.50質量部、バインダー(b)0.20質量部、分散媒として純水97.82質量部を仕込んだ後、均一な分散液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有組成物(3)を調製した。
【0082】
[銀ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物の調製]
四つ口フラスコに、重合性モノマーおよびマクロモノマーとしてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート15.00質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート5.00質量部、重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.80質量部、耐候性向上剤として2−メルカプトベンゾチアゾール(東京化成工業(株)品)0.40質量部、没食子酸(東京化成工業(株)品)0.40質量部、溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル80.00質量部を仕込んだ後、均一な溶液になるまで攪拌し、銀ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物(1)を調製した。
【0083】
銀ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物(1)の調整例の耐候性向上剤を以下の表1および表2のようにした以外は同様にして銀ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物(2)〜(34)を得た。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
なお、表中の耐候性向上剤は、以下のものを用いた。
2−メルカプトベンゾチアゾール:東京化成工業(株)品
2−メルカプトベンゾチアゾールメチルエーテル:東京化成工業(株)品
2−メルカプトチアゾリン:東京化成工業(株)品
3−(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸:東京化成工業(株)品
(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸:Hammond Group社品 (製品名 HALOX FLASH-X 350D)
没食子酸:東京化成工業(株)品
没食子酸プロピル:東京化成工業(株)品
没食子酸オクチル:東京化成工業(株)品
タンニン酸:関東化学(株)品
(Z)−2−(2−アミノ−4−チアゾリル)−2−(メトキシイミノ)酢酸エチル:東京化成工業(株)品
(Z)-t-ブチル 2-({[1-(2-アミノチアゾール-4-イル)-2-(ベンゾ[d]チアゾール-2-イルチオ)-2-オキソエチリデン]アミノ}オキシ)-2-メチルプロパノアート:Ark Pharm社品
(Z)−2−(2−アミノ−4−チアゾリル)−2−(メトキシイミノ)チオ酢酸 S−(2−ベンゾチアゾリル) :東京化成工業(株)品
5-メルカプト-1-フェニル-1H-テトラゾール:東京化成工業(株)品
トリス(2,4-ペンタンジオナト)アルミニウム(III) :東京化成工業(株)品
4-[[4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-2,6-ジ-tert-ブチルフェノール:BASFジャパン(株)品 (製品名 イルガノックス565)
2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール:BASFジャパン(株)品 (製品名 TINUVIN P)
3,3'-チオジプロピオン酸ジドデシル:三菱化学(株)品 (製品名 DLTP「ヨシトミ」)
メタクリル酸1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル:(株)アデカ品 (製品名 アデカスタブLA-82)
トリフェニルフォスフィン:東京化成工業(株)品
ジブチルヒドロキシトルエン:東京化成工業(株)品
α-テルピネオール:東京化成工業(株)品
D-ペニシラミン:東京化成工業(株)品
【0087】
[銀ナノワイヤ含有層(1)の調製]
銀ナノワイヤ含有組成物(1)を、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ(株)製、商品名「ルミラーU403」)上に24g/m
2で均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥し、銀ナノワイヤ含有層(1)を調製した。
【0088】
[銀ナノワイヤ含有層(2)の調製]
銀ナノワイヤ含有組成物(2)を、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ(株)製、商品名「ルミラーU403」)上に24g/m
2で均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥し、銀ナノワイヤ含有層(2)を調製した。
【0089】
[銀ナノワイヤ含有層(3)の調製]
銀ナノワイヤ含有組成物(3)を、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ(株)製、商品名「ルミラーU403」)上に24g/m
2で均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥し、銀ナノワイヤ含有層(3)を調製した。
【0090】
[銀ナノワイヤ含有層(4)の調製]
銀ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物(12)をプロピレングリコールモノメチルエーテルで40倍に希釈し、膜厚100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東レ(株)製、商品名「ルミラーU403」)上に24g/m
2で均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥した後、紫外線照射装置UV1501C-SZ(セルエンジニア(株)製)を用いて、PET基板上に、上方から500mJ/cm
2の条件でUV光を照射することで、銀ナノワイヤ層の保護層を形成した。この保護層上に、銀ナノワイヤ含有組成物(1)を24g/m
2で均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で1分間乾燥し、銀ナノワイヤ含有層(4)を調製した。
【0091】
[実施例1]
〈銀ナノワイヤ含有積層体(1)の調製〉
銀ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物(1)をプロピレングリコールモノメチルエーテルで40倍に希釈し、銀ナノワイヤ含有層(1)上に、に24g/m
2で均一に塗布し、120℃の熱風対流式乾燥機で5分間乾燥した後、紫外線照射装置UV1501C-SZ(セルエンジニア(株)製)を用いて、PET基板上に、上方から500mJ/cm
2の条件でUV光を照射することで、銀ナノワイヤ含有積層体(1)を調製した。表3に実施例1の銀ナノワイヤ含有積層体の各構成成分、評価結果を示す。
【0092】
[実施例2〜21]
銀ナノワイヤ含有積層体(1)の調製例の銀ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物と金属ナノワイヤ含有層を以下の表3、表4のようにした以外は同様にして銀ナノワイヤ含有積層体(2)〜(23)を調製した。表3、表4に実施例2〜21の銀ナノワイヤ含有積層体の各構成成分、評価結果を示す。
【0093】
【表3】
【0094】
【表4】
【0095】
[比較例1〜14]
銀ナノワイヤ含有積層体(1)の調整例の銀ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物を以下の表5のようにした以外は同様にして銀ナノワイヤ含有積層体(24)〜(37)を得た。表5に比較例1〜14の銀ナノワイヤ含有積層体の各構成成分、評価結果を示す。
【0096】
【表5】
【0097】
得られた銀ナノワイヤ含有積層体の平均表面電気抵抗値は、いずれも60Ω/□以下であり、良好な平均表面電気抵抗値を確保できていた。
【0098】
得られた銀ナノワイヤ含有積層体による基板の全光線透過率変化量は、いずれも1%以下であり、高い透明性を確保できていた。
【0099】
得られた銀ナノワイヤ含有積層体による基板のヘイズ変化量は、いずれも1%以下であり、低い濁度を確保できていた。
【0100】
比較例1、5〜14は、耐候性向上剤として化合物(A)、化合物(B)、化合物(C)の何れも含有しないため、実施例1に比べ、銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性と高温高湿安定性が低いことがわかる。
【0101】
比較例2は、耐候性向上剤として化合物(B)、化合物(C)を含有しないため、実施例1に比べ、銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性が低いことがわかる。
【0102】
比較例3、4は、耐候性向上剤として化合物(A)を含有しないため、実施例1に比べ、銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性と高温高湿安定性が低いことがわかる。
【0103】
実施例1は、金属ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物における耐候性向上剤の合計含有量が、金属ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物の不揮発性分に対して、1質量%以上5質量%以下であることから、その範囲外にある実施例2、3に比べて、銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性と高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0104】
実施例1、5、7、8は、化合物(A)の質量と、化合物(B)と化合物(C)の合計質量の比が、1/80≦化合物(A)/[化合物(B)+化合物(C)]≦80/1であるため、実施例4、6に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0105】
実施例9〜13は、化合物(A)として3−(2−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)プロピオン酸、(1,3−ベンゾチアゾール−2−イルチオ)コハク酸が含まれるため、実施例1に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性が高いことがわかる。
【0106】
実施例14〜16は、化合物(B)としてタンニン酸が含まれるため、実施例9〜13に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性が高いことがわかる。
【0107】
実施例17〜19は、化合物(C)として(Z)−2−(2−アミノ−4−チアゾリル)−2−(メトキシイミノ)チオ酢酸 S−(2−ベンゾチアゾリル)が含まれるため、実施例9〜13に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の光安定性が高いことがわかる。
【0108】
実施例20は、化合物(B)としてタンニン酸が、化合物(C)として(Z)−2−(2−アミノ−4−チアゾリル)−2−(メトキシイミノ)チオ酢酸 S−(2−ベンゾチアゾリル)が含まれるため、実施例14〜19と同様に銀ナノワイヤ含有積層体は高い光安定性を示すことがわかる。
【0109】
実施例21は、銀ナノワイヤ含有層に耐候性向上剤として化合物(A)が含まれるため、実施例14に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0110】
実施例22は、銀ナノワイヤ含有層にポリエステル樹脂が含まれるため、実施例14に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性が高いことがわかる。
【0111】
実施例23は、銀ナノワイヤ含有層の両面に銀ナノワイヤ含有層被膜用樹脂組成物による保護層が積層されているため、実施例14に比べて銀ナノワイヤ含有積層体の高温高湿安定性が高いことがわかる。