(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記外側ケースの上記開口面となる側面に取り付けられて、当該外側ケースの上記開口面と上記内側ケースとの間を覆う枠状のカバーをさらに備えてなる、請求項2に記載のコンデンサ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構成では、コンデンサのケースと冷却水流路を有する壁部とが別部材であることからコンデンサ素子と冷却水との間の伝熱経路における熱抵抗が大きく、しかもコンデンサが一方から冷却されるだけであるので、冷却性能が低い。また、冷却水流路を有する壁部と接する面以外は、周囲の雰囲気温度に晒されるので、雰囲気温度が高い場合には十分な冷却は期待できない。
【0007】
特許文献2の構成では、金属製の冷却管がコンデンサケースの中を通して配置されているが、コンデンサ素子と冷却管との間の絶縁距離の確保のために冷却管の位置が制約されるので、コンデンサケースが大型化する。また、冷却管から離れた部位の熱の回収は十分に行えず、全体的に冷却することができない。そのため、周囲の雰囲気温度が高い場合に、冷却管から離れた部位でコンデンサ素子が局部的に熱を受け易い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るコンデンサは、
一つの側面が開口面をなす箱状の内側ケースと、
上記内側ケースの上記開口面以外の面の外側を囲み、該内側ケースとの間に冷媒流路となる隙間を構成するとともに、冷媒入口と冷媒出口とを備えた外側ケースと、
上記開口面を通して上記内側ケースの中に配置され、端子が上記開口面に位置するコンデンサ素子と、
上記コンデンサ素子が上記端子を残して埋まるように上記内側ケースの中に充填された熱伝導性ポッティング材と、
を備えて構成されている。
【0009】
このような構成では、冷媒入口から流入した冷媒は、端子が位置する開口面を除いた全ての面を囲む冷媒流路を通して流れる。これにより、コンデンサ素子の周囲が冷媒流路で囲まれた形となり、コンデンサ素子が効果的に冷却される。熱伝導性ポッティング材がコンデンサ素子ならびに内側ケースの内壁面に密着しており、内側ケースを介して冷媒に確実に熱が伝達されるので、効果的な熱の回収がなされる。
【0010】
そして、周囲の雰囲気温度が高い場合には、周囲から熱を受ける外側ケースと内側ケースとの間が、冷媒流路を流れる冷媒によって断熱されることとなり、コンデンサ素子への熱伝達が抑制される。特に、端子が位置する開口面を除いてコンデンサ素子のほぼ全体を囲むように冷媒流路が存在するので、周囲の雰囲気温度が高い場合にコンデンサ素子の一部が局部的に高温となることが抑制される。
【0011】
冷媒としては、例えば、水を主たる成分とする冷却水や、絶縁性を有する冷却油(例えば鉱油)などの液相冷媒を用いることができるが、ガス状の冷媒や気液混合型の冷媒などであってもよい。
【0012】
好ましい一つの態様では、
上記内側ケースおよび上記外側ケースは、それぞれ直方体形状の箱状をなし、
上記外側ケースは、上記内側ケースの上記開口面に対応した一つの側面が開口面をなすとともに、この外側ケースの上記開口面を通して上記内側ケースが上記外側ケースの中に組付可能であり、
上記外側ケースの長手方向の一端部に上記冷媒入口が、他端部に上記冷媒出口が、それぞれ設けられている。
【0013】
従って、冷媒は直方体形状をなす内側ケースおよび外側ケースの長手方向に沿って流れ、効率よく熱交換がなされる。そして、直方体形状の6つの面の中で端子が位置する開口面を除く5つの面が冷媒流路で囲まれた形となる。
【0014】
また一つの態様では、この発明のコンデンサは、上記外側ケースの上記開口面となる側面に取り付けられて、当該外側ケースの上記開口面と上記内側ケースとの間を覆う枠状のカバーをさらに備えている。外側ケースの開口面は内側ケースを内部に組付可能なように内側ケースよりも大きなものとなるが、外側ケースと内側ケースとの間を枠状のカバーが覆っており、このカバーによって冷媒流路が密閉された形となる。
【0015】
上記冷媒流路に接する上記内側ケースの外側面の少なくとも一部に、冷却フィンが設けられていてもよい。この冷却フィンによって熱交換面積が拡大する。
【0016】
さらに本発明の一つの態様では、ポッティング材を用いずに、内側ケースの中に冷媒となる絶縁油が充填される。
【0017】
すなわち、コンデンサは、
一つの側面が開口面をなす箱状をなし、冷媒となる絶縁油が充填されるとともに該絶縁
油が通流可能な連通口を有する内側ケースと、
上記内側ケースの上記開口面以外の面の外側を囲み、該内側ケースとの間に冷媒流路となる隙間を構成するとともに、冷媒入口と冷媒出口とを備えた外側ケースと、
上記開口面を通して上記内側ケースの中に配置され、端子が上記開口面に位置するコンデンサ素子と、
上記端子が導出された状態で上記開口面を覆う蓋部材と、
を備えて構成されている。
【0018】
この構成では、連通口を介して内側ケースの中に絶縁油が充填された状態となり、この絶縁油によって、コンデンサが絶縁されると同時に、コンデンサから内側ケースへの熱の伝達がなされる。そして、内側ケースと外側ケースとの間の冷媒流路を流れる絶縁油によって、内側ケースひいてはコンデンサが冷却される。なお、この冷媒流路と内側ケース内部とは、内側ケース内部が絶縁油で満たされるように連通口を介して互いに連通していればよく、内側ケースの中で必ずしも絶縁油が積極的に流動する必要はない。
【0019】
また、本発明の一つの態様では、上記外側ケースの外側面に他の電子部品が取り付けられている。外側ケースの外側面に取り付けられた上記の電子部品は、外側ケースを介して冷媒の冷却作用を受ける。
【0020】
また、本発明の他の一つの態様では、上記コンデンサ素子に接続された放電抵抗が、上記コンデンサ素子とともに上記内側ケースの中に配置されている。
【0021】
この構成では、発熱部品である放電抵抗がコンデンサ素子とともに周囲の冷媒の流れによって効果的に冷却される。また、内側ケースの内部でコンデンサ素子と放電抵抗との結線が可能である。
【発明の効果】
【0022】
この発明に係るコンデンサによれば、コンデンサ素子を収容した内側ケースの端子が位置する開口面以外の全ての面が冷媒流路によって囲まれており、コンデンサ素子が効果的に冷却される。特に、ポッティング材ないし絶縁油が内側ケースの中に充填されており、内側ケースの内壁面に密着しているので、冷媒に確実に熱が回収される。また周囲の雰囲気温度が高い場合に、コンデンサ素子を囲むように設けられる冷媒流路を流れる冷媒によって外側ケースから内側ケースが断熱され、コンデンサ素子の局部的な高温化が抑制される。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、この発明に係るコンデンサ1の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
【0025】
図1は、例えば電気自動車やハイブリッド型自動車におけるインバータの構成部品として用いられるコンデンサ1の第1実施例を示す斜視図である。
図2は第1実施例のコンデンサ1の平面図、
図3は正面図、
図4は
図3のA−A線に沿った断面図、である。このコンデンサ1は、直方体形状をなす外側ケース2と、
図4に示すように、外側ケース2の中に収容された同じく直方体形状をなす内側ケース3と、内側ケース3の中に配置されたコンデンサ素子4と、このコンデンサ素子4を埋め込むように内側ケース3の中に充填されて固化したポッティング材5と、を備えている。
図5は、外側ケース2と内側ケース3とコンデンサ素子4とを分解して示した分解斜視図である。このように車両に搭載されるコンデンサ1にあっては、コンデンサ素子4が発熱することに加えて、コンデンサ1が配置されるエンジンルーム内等の雰囲気温度が比較的に高温(一例では100°以上)となり得ることから、冷媒を用いた強制的な冷却が必要である。第1実施例では、冷媒として、例えば、水を主たる成分とする冷却水が用いられる。
【0026】
外側ケース2は、金属好ましくは熱伝導に優れた金属から形成されており、例えば、アルミニウム合金母材の切削加工あるいはアルミニウムダイキャストによって一体に形成されている。外側ケース2は、直方体を構成する6面の中の一つの側面が開口した箱状をなす。すなわち、外側ケース2は、長手方向の両端の端面を構成する一対の端部壁11と、相対的に広い幅(W1)を有する側面を構成する一対の側壁12と、相対的に狭い幅(W2)を有する側面を構成する一つの底壁13と、この底壁13に対向する相対的に狭い幅(W2)の側面に相当する開口面14と、を備えている。上記開口面14には、さらに、矩形の枠状をなすカバー6が取り付けられている。
【0027】
一対の端部壁11の中心部には、一方が冷媒入口となり他方が冷媒出口となる冷媒配管コネクタ15がそれぞれ接続されている。これらの冷媒配管コネクタ15は、外側ケース2の長手方向に沿って延びた円管状をなしており、図示せぬポンプを含む冷却水循環系に接続されている。
【0028】
内側ケース3は、外側ケース2と同様に金属好ましくは熱伝導に優れた金属から形成されており、例えば、アルミニウム合金母材の切削加工あるいはアルミニウムダイキャストによって一体に形成されている。内側ケース3は、外側ケース2とほぼ相似形でかつ外側ケース2よりも小さな直方体形状をなし、外側ケース2と同じく直方体を構成する6面の中の一つの側面が開口した箱状に形成されている。すなわち、内側ケース3は、
図5の分解斜視図に示すように、長手方向の両端の端面を構成する一対の端部壁21と、相対的に広い幅(W3)を有する側面を構成する一対の側壁22と、相対的に狭い幅(W4)を有する側面を構成する一つの底壁23と、この底壁23に対向する相対的に狭い幅(W4)の側面に相当する開口面24と、を備えている。一対の側壁22および底壁23の表面には、内側ケース3の長手方向に沿って直線状に延びた冷却フィン25が多数形成されている。例えば、側壁22および底壁23の全面に、等ピッチで多数の冷却フィン25が並んで形成されている。
【0029】
内側ケース3の開口面24は、外側ケース2の開口面14に対応した面にある。つまり、外側ケース2と内側ケース3とが組み合わされた状態では、外側ケース2の開口面14の中に内側ケース3の開口面24が位置する。そして、この開口面14,24を除く5面においては、内側ケース3と外側ケース2との間に、冷媒流路27となる隙間が構成されている。換言すれば、外側ケース2が内側ケース3の開口面24以外の5面の外側を囲っており、それぞれの面に冷媒流路27を構成している。
図4に示すように、内側ケース3のフィン25は外側ケース2の内壁面に近付くように突出しているが、冷却フィン25先端は外側ケース2の内壁面に接しておらず、冷却水が冷却フィン25を横切って流れ得るように僅かな隙間が残存している。
【0030】
枠状のカバー6は、外側ケース2の開口縁と内側ケース3の開口縁とに跨って設けられており、両者間に形成された冷媒流路27の開口面を閉塞している。例えば、一つの例では、カバー6は、外側ケース2および内側ケース3と同様の材質の金属板からなり、外周縁が外側ケース2の開口縁に溶接(あるいはロー付け)され、かつ内周縁が内側ケース3の開口縁に溶接(あるいはロー付け)されている。これにより、冷媒流路27が密閉されていると同時に、内側ケース3と外側ケース2とが堅固に一体化されている。あるいは、カバー6を外側ケース2ならびに内側ケース3に対してネジ等で固定し、各々の接合面を、例えば、液体ガスケット等のシール材でもってシールするようにしてもよい。あるいはカバー6に相当する部分を内側ケース3と一体に形成し、外側ケース2の開口縁に溶接(あるいはロー付け)もしくはネジ止めするようにしてもよい。
【0031】
内側ケース3内に収容されるコンデンサ素子4は、
図5に示すように、内側ケース3の横断面形状に対応して長円形に偏平化した巻回型のフィルムコンデンサからなる。例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムを誘電体とし、金属箔ないし樹脂フィルムにコーティングにより形成される金属層を電極として、偏平なロール状に巻回した一般的な構成のフィルムコンデンサが用いられる。図示例では、2個のフィルムコンデンサが一列に並んだ形に予め一体化されており、その両端に端子4a,4bを備えている。つまり、2つの端子4a,4bは、全体として細長い形に構成されたコンデンサ素子4の長手方向両端部に互いに離れて位置しており、かつ互いに平行に延びている。
【0032】
ここで、上記コンデンサ素子4としては、例えば巻回したフィルムの外周面に沿った金属等からなる円筒形ケースを具備する構成であってもよいが、図示例では、放熱性を高めるために、コンデンサ素子4は、ケースを具備していない。つまり、フィルムを巻回して端子4a,4b等を付加したフィルムコンデンサが、円筒形ケース内に収容されることなく内側ケース3の中に格納されている。なお、フィルムコンデンサにおけるフィルムの巻回の中心軸線は、内側ケース3の長手方向に沿っている。
【0033】
上記コンデンサ素子4は、一対の端子4a,4bが開口面24から突出した姿勢でもって内側ケース3の中に配置されている。そして、内側ケース3の中には、上記コンデンサ素子4が端子4a,4bを残して埋まるように熱伝導性ならびに絶縁性を有するポッティング材5が充填されている。このポッティング材5は、内側ケース3の内容積のほぼ全体に充填されている。
【0034】
ポッティング材5としては、例えば回路基板用ポッティング材として一般に市販されているエポキシ系ポッティング材等を用いることができる。このポッティング材5は、未硬化時に適宜な流動性を有する液状をなし、充填ないし注入後に加熱炉等で加熱することにより硬化する。ポッティング材5として、主剤と硬化剤とを混合して用いる二液混合型のものであってもよい。
【0035】
なお、ケース2,3の組立とポッティング材5の充填の2つの工程の順序は任意である。つまり、外側ケース2と内側ケース3とを組み立てた後に内側ケース3の中にコンデンサ素子4を配置するとともにポッティング材5の充填を行ってもよく、あるいは、内側ケース3内にコンデンサ素子4を配置してポッティング材5の充填を行った後に、この内側ケース3と外側ケース2とを組み立てるようにしてもよい。外側ケース2と内側ケース3とをカバー6の溶接ないしロー付けを介して一体化するようにした実施例の場合には、外側ケース2と内側ケース3とを一体化した後に、コンデンサ素子4の挿入およびポッティング材5の充填が行われる。
【0036】
上記のように構成されたコンデンサ1にあっては、外側ケース2の冷媒配管コネクタ15の一方を冷媒入口とし他方を冷媒出口として図外のポンプにより冷却水が強制的に通流する。
図6は、コンデンサ1内部の冷却水の流れを矢印で示した説明図であり、図示するように、冷媒入口から流入した冷却水は外側ケース2の端部壁11と内側ケース3の端部壁21との間の冷媒流路27において放射状に拡がり、さらに、外側ケース2の側壁12ならびに底壁13と内側ケース3の側壁22ならびに底壁23との間の冷媒流路27をこれらケース2,3の長手方向に沿って流れる。そして、他方の外側ケース2の端部壁11と内側ケース3の端部壁21との間の冷媒流路27を介して冷媒出口へと流れ出る。つまり、冷却水は、端子4a,4bが位置する開口面14,24を除いた5面に沿って流れ、これら5面に囲まれたコンデンサ素子4をポッティング材5とともに効果的に冷却する。特に、熱伝導性に優れたポッティング材5がコンデンサ素子4の表面および内側ケース3の内壁面にそれぞれ密着しており、内側ケース3を介して冷却水に確実に熱が伝達されるので、効果的な熱の回収がなされる。さらに内側ケース3が冷却フィン25を備えることで内側ケース3と冷却水との間の熱交換面積が大きくなり、内側ケース3から冷却水への熱伝達が向上する。
【0037】
ここで、ポッティング材5は、熱伝導に加えて、コンデンサ素子4と内側ケース3との間の絶縁にも寄与する。換言すれば、コンデンサ素子4と内側ケース3との間を絶縁しつつ熱伝導性が向上する。フィルムコンデンサからなるコンデンサ素子4は、上述したように円筒形ケースを具備することなく内側ケース3の中に収容されており、ポッティング材5によって絶縁され、かつ保護されている。従って、冷却水との間で熱抵抗となる中間の部材が最小限であり、耐熱性が問題となるフィルムコンデンサからなるコンデンサ素子4の熱を冷却水に効果的に回収できる。
【0038】
一方、コンデンサ1が配置されるエンジンルーム内等の雰囲気温度が例えば100℃程度と高くなった場合には、雰囲気温度によって外側ケース2が熱を受けることとなるが、このような雰囲気温度に対しては、コンデンサ素子4のほぼ全体が冷媒流路27および外側ケース2によって囲まれていることから、コンデンサ素子4に対する雰囲気温度による熱的影響が少なくなる。雰囲気温度によって外側ケース2の温度が高くなっても、外側ケース2と内側ケース3との間が冷媒流路27によって実質的に断熱されることから、内側ケース3の温度ひいてはコンデンサ素子4の温度が低く維持される。特に、開口面14,24を除く5面においてコンデンサ素子4が冷媒流路27によって囲まれているので、コンデンサ素子4の全体が熱的に保護され、周囲の雰囲気温度によってコンデンサ素子4が局部的に高温となってしまうことが回避される。つまり、耐熱性が問題となるフィルムコンデンサでは、部分的にでも耐熱温度を越えると熱的損傷が懸念されるが、上記の構成では、このような部分的な高温化を効果的に抑制できる。
【0039】
ここで、上記実施例では、直方体の長手方向に沿った4つの側面の中で相対的に幅の狭い側面が開口面14,24となっているため、冷媒流路27を具備しない面積が最小限となる。つまり、逆に冷媒流路27で覆われる面積が最大限に大きくなっており、コンデンサ素子4が効果的に冷却される。そして、車両用のコンデンサ1等として周囲の雰囲気温度が高温であるときに、広い面積に冷却水が流れることで、コンデンサ素子4がより低い温度に維持されるとともに、冷媒流路27を具備しない開口面14,24の面積が小さいことから、開口面14,24を通してコンデンサ素子4へ与えられる熱量も少なくなる。
【0040】
なお、図示例では内側ケース3の外側面である側壁22および底壁23の計3面に冷却フィン25が設けられているが、1面もしくは2面に冷却フィン25を設けるようにしてもよく、あるいは、圧力損失と流量とのバランスや加工コスト低減等のために冷却フィン25を具備しない構成であってもよい。
【0041】
また、図示例では外側ケース2の端部壁11の中央部に冷媒入口および冷媒出口となる冷媒配管コネクタ15がそれぞれ取り付けられているが、外側ケース2の端部壁11と内側ケース3の端部壁21との間に形成される冷媒流路27(つまり長手方向の両端部の冷媒流路27)に冷媒入口および冷媒出口が連通していればよく、他の構成も可能である。例えば、冷媒配管コネクタ15と他の部品との干渉を回避するために、端部壁11の面と平行に延びた冷媒配管コネクタ15が外側ケース2の側壁12ないし底壁13の端部(具体的には端子4a,4bの外側面よりも外側ケース2の長手方向で外側となる領域)に接続された構成であってもよい。
【0042】
次に
図7は、コンデンサ1の第2実施例を示している。この第2実施例では、外側ケース2の外側面に、冷却することが好ましい相対的に小型の他の電子部品31が取り付けられている。電子部品31としては、抵抗等の発熱部品であってもよく、あるいは、それ自身は大きな発熱はしないものの比較的に耐熱性が低く雰囲気温度に対して冷却が必要な適当な電子部品であってもよい。例えば、インバータの動作停止後に残留電荷を放電するためにコンデンサ1と組み合わせて用いられる放電抵抗31が、外側ケース2に支持されている。図示例では、内側の冷媒流路27が最も広い面積を有することとなる側壁12に電子部品つまり放電抵抗31が取り付けられている。特に、外側ケース2の長手方向の中で、冷却水温度が相対的に低い冷媒入口に近い側に放電抵抗31が配置されている。
【0043】
前述したように、外側ケース2は、熱伝導性に優れたアルミニウム合金等の金属から形成されているため、この外側ケース2を介して冷却水と放電抵抗31との間で熱の授受が可能であり、冷却水の通流によって内部のコンデンサ素子4とともに外側の放電抵抗31が冷却される。特に、周囲の雰囲気温度が例えば100℃にも達するような使用環境下では、冷却水温度の方が雰囲気温度よりも低くなるので、冷却水によって放電抵抗31を同時に冷却することが可能である。従って、発熱部品である放電抵抗31用の冷却器が不要となり、車載されるインバータのシステム全体の小型化が図れる。
図7では、1個の電子部品31(放電抵抗)を図示しているが、必要に応じて複数個の電子部品31を外側ケース2に取り付けることも可能である。
【0044】
なお、
図7の第2実施例のように外側ケース2を一種の冷却プレートとして利用する場合には外側ケース2を熱伝導性に優れた材料から形成することが好ましいが、それ以外の場合には、外側ケース2は必ずしも熱伝導性に優れた部材でなくてもよい。従って、例えば硬質合成樹脂等から外側ケース2を形成することも可能である。あるいは、金属製の外側ケース2の外表面に断熱塗装を施すなどして雰囲気温度に対する断熱性を高めるようにしてもよい。
【0045】
次に、
図8〜
図10は、外側ケース2の中に放電抵抗41が収容されたコンデンサ1の第3実施例を示している。すなわち、放電抵抗41は、予めコンデンサ素子4に図示せぬ配線を介して接続されており、コンデンサ素子4とともに内側ケース3の中に配置されている。そして、前述したように、内側ケース3の中に、熱伝導性ならびに絶縁性を有するポッティング材5が充填されており、このポッティング材5の中に放電抵抗41が埋設されている。
【0046】
図示例では、放電抵抗41は、細長い角柱状に構成されており、内側ケース3の一方の側壁22と底壁23とが交わる隅部の内側に、これらの側壁22ならびに底壁23と接するようにして配置されている。すなわち、
図10に示すように、コンデンサ素子4は長円形に巻回されていることから、断面四角形の内側ケース3の中にコンデンサ素子4を収容したときに、隅部に比較的大きな空間(ポッティング材5で埋められる空間)が残存する。上記放電抵抗41は、この隅部の空間を利用して内側ケース3の内壁面とコンデンサ素子4との間に収容される。従って、内側ケース3や外側ケース2を大型化することなく放電抵抗41が内蔵されている。
【0047】
このような構成では、発熱部品である放電抵抗41がコンデンサ素子4とともに冷媒流路27を流れる冷却水によって効果的に冷却される。従って、放電抵抗41用の冷却器が不要となり、車載されるインバータのシステム全体の小型化が図れる。また、放電抵抗41が内蔵された構成となることから、インバータシステムのレイアウトや配線の簡素化の上で有利である。
【0048】
次に、コンデンサ1の第4実施例を説明する。第4実施例のコンデンサ1の基本的な構造は、前述した第1実施例のコンデンサ1と同様であるので、図示は省略するが、第4実施例においては、冷媒流路27を流れる冷媒として、絶縁性を有する冷却油つまり絶縁油が用いられる。例えば、鉱油を主たる成分とする絶縁油が用いられ、オイルポンプによって外側ケース2と内側ケース3との間の冷媒流路27を通して強制的に流れる。
【0049】
このような絶縁油を冷媒として用いる構成によれば、水を主成分とする冷媒を用いる場合に比較して、油の方が水よりも熱伝導性に優れることからコンデンサ素子4に対する冷却効果が高くなる。また外側ケース2や内側ケース3が金属製である場合に、冷媒との接触面の腐食が生じにくくなる。
【0050】
次に、
図11および
図12に基づいて、コンデンサ1の第5実施例を説明する。この第5実施例は、前述した第1実施例等におけるポッティング材5に代えて、冷媒となる絶縁油でもって内側ケース3の内部を満たすようにしたものである。すなわち、前述した各実施例と同様に、コンデンサ1は、直方体形状をなす外側ケース2と、外側ケース2の中に収容された同じく直方体形状をなす内側ケース3と、内側ケース3の中に配置されたコンデンサ素子4と、を備えている。また、前述した枠状のカバー6に代えて、長方形の板状をなす蓋部材51を備えている。
【0051】
外側ケース2は、金属好ましくは熱伝導に優れた金属から形成されており、例えば、アルミニウム合金母材の切削加工あるいはアルミニウムダイキャストによって一体に形成されている。外側ケース2は、直方体を構成する6面の中の一つの側面が開口した箱状をなす。すなわち、外側ケース2は、長手方向の両端の端面を構成する一対の端部壁11と、相対的に広い幅を有する側面を構成する一対の側壁12と、相対的に狭い幅を有する側面を構成する一つの底壁13と、この底壁13に対向する相対的に狭い幅の側面に相当する開口面14と、を備えている。上記開口面14には、上記蓋部材51が取り付けられている。
【0052】
一対の端部壁11の中心部には、一方が冷媒入口となり他方が冷媒出口となる冷媒配管コネクタ15がそれぞれ接続されている。これらの冷媒配管コネクタ15は、外側ケース2の長手方向に沿って延びた円管状をなしており、図示せぬオイルポンプを含む絶縁油循環系に接続されている。
【0053】
内側ケース3は、外側ケース2と同様に金属好ましくは熱伝導に優れた金属から形成されており、例えば、アルミニウム合金母材の切削加工あるいはアルミニウムダイキャストによって一体に形成されている。内側ケース3は、外側ケース2とほぼ相似形でかつ外側ケース2よりも小さな直方体形状をなし、外側ケース2と同じく直方体を構成する6面の中の一つの側面が開口した箱状に形成されている。すなわち、内側ケース3は、長手方向の両端の端面を構成する一対の端部壁21と、相対的に広い幅を有する側面を構成する一対の側壁22と、相対的に狭い幅を有する側面を構成する一つの底壁23と、この底壁23に対向する相対的に狭い幅の側面に相当する開口面24と、を備えている。なお、図示例では、前述した第1実施例のような冷却フィン25は具備していないが、第1実施例と同様に一対の側壁22および底壁23の表面に冷却フィン25を形成してもよい。
【0054】
一対の端部壁21には、絶縁油の通流が可能な連通口52がそれぞれ開口形成されている。連通口52は、例えば円形の孔であり、端部壁21のほぼ中心となる位置にそれぞれ形成されている。
【0055】
内側ケース3の開口面24は、外側ケース2の開口面14に対応した面にある。つまり、外側ケース2と内側ケース3とが組み合わされた状態では、外側ケース2の開口面14の中に内側ケース3の開口面24が位置する。そして、この開口面14,24を除く5面においては、内側ケース3と外側ケース2との間に、冷媒流路27となる隙間が構成されている。換言すれば、外側ケース2が内側ケース3の開口面24以外の5面の外側を囲っており、それぞれの面に冷媒流路27を構成している。
【0056】
蓋部材51は、外側ケース2の開口縁と内側ケース3の開口縁とにそれぞれ接合(例えば溶接ないしロー付け)されており、内側ケース3の開口面24を覆うとともに、外側ケース2の開口面つまり冷媒流路27の上端の開口部を覆っている。例えば、一つの例では、蓋部材51は、外側ケース2および内側ケース3と同様の材質の金属板からなり、内側ケース3の開口縁に蓋部材51を溶接(あるいはロー付け)した後に、内側ケース3を外側ケース2内に組み込み、最後に外側ケース2の開口縁と蓋部材51を溶接(あるいはロー付け)してある。これにより、内側ケース3内部および冷媒流路27が密閉されると同時に、内側ケース3と外側ケース2とが堅固に一体化されている。
【0057】
蓋部材51は、一対の端子用開口部53を備えている。この一対の端子用開口部53は、例えば矩形状にそれぞれ開口形成されている。
【0058】
内側ケース3内に収容されるコンデンサ素子4は、上述した第1実施例等のものと同様に、内側ケース3の横断面形状に対応して長円形に偏平化した巻回型のフィルムコンデンサからなる。例えば、ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレート等の樹脂フィルムを誘電体とし、金属箔ないし樹脂フィルムにコーティングにより形成される金属層を電極として、偏平なロール状に巻回した一般的な構成のフィルムコンデンサが用いられる。図示例では、2個のフィルムコンデンサが一列に並んだ形に予め一体化されており、その両端に端子4a,4bを備えている。
【0059】
ここで、各々の端子4a,4bの基部には、蓋部材51の端子用開口部53に嵌合するシールキャップ54がそれぞれ設けられている。シールキャップ54は、適宜な弾性を有するゴムもしくは合成樹脂材料から成形されており、端子用開口部53に圧入可能な角柱部54aと蓋部材51の内側面に圧接するフランジ部54bと、を備えている。なお、シールキャップ54は、端子4a,4bをインサートした状態で成形してもよく、成形後に端子4a,4bを挿入して取り付けてもよい。シールキャップ54が蓋部材51の端子用開口部53に密に取り付けられることで、蓋部材51を貫通して導出される端子4a,4bと蓋部材51との間がシールされる。
【0060】
上記のように構成された第5実施例のコンデンサ1にあっては、外側ケース2の冷媒配管コネクタ15の一方を冷媒入口とし他方を冷媒出口として図外のポンプにより冷媒となる絶縁油が強制的に通流する。この絶縁油は、
図6に示した第1実施例の流れと同様に、冷媒流路27を流れ、内側ケース3を冷却する。また同時に、絶縁油は、一対の連通口52を介して内側ケース3の内部に流れ込み、コンデンサ素子4を収容した内側ケース3の内部空間に充填される。絶縁油は、前述した第1実施例のポッティング材5と同様に、絶縁性ならびに熱伝導性を有するので、コンデンサ素子4を絶縁しつつコンデンサ素子4の熱を内側ケース3へ伝達する。これにより、コンデンサ素子4が効果的に冷却される。そのほか、第1実施例等で述べた前述の作用効果が同様に得られる。内側ケース3の内部に流入した絶縁油は、該内側ケース3の内部と冷媒流路27とが連通口52を介して連通しているため、滞留して劣化してしまうようなことはない。但し、内側ケース3の内部を満たす絶縁油は、基本的には第1実施例のポッティング材5の代替物であり、冷媒流路27を流れる絶縁油のように十分な流速で流れる必要はない。
【0061】
この第5実施例では、前述した第1実施例におけるポッティング材5の充填工程が不要となる利点がある。
【0062】
なお、内側ケース3の開口面24を閉塞する蓋部材と、その外周側において冷媒流路27の上端開口を覆う第1実施例のカバー6と同様の枠状のカバーと、を個別に設けるようにしてもよい。
【解決手段】箱状をなす外側ケース2の中に同じく箱状をなす内側ケース3が収容されており、両者間の隙間によって、開口面14,24以外の5面に冷媒流路が形成されている。外側ケース2の開口縁と内側ケース3の開口縁との間は、枠状のカバー6によって覆われている。フィルムコンデンサからなるコンデンサ素子4が内側ケース3の中に配置された上で、端子4a,4bを残してコンデンサ素子4が埋まるように、熱伝導性を有するポッティング材が充填される。冷媒配管コネクタ15の一方を冷媒入口、他方を冷媒出口として、外側ケース2の長手方向に沿って冷却水が通流する。コンデンサ素子4を囲む5面に沿って冷却水が通流するので、効果的に冷却される。周囲の雰囲気温度が高くてもコンデンサ素子4が局部的に耐熱温度を越えるようなことがない。