特許第6642755号(P6642755)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6642755
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】音声処理装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 11/00 20060101AFI20200130BHJP
   A63F 13/85 20140101ALI20200130BHJP
   G10L 25/51 20130101ALI20200130BHJP
【FI】
   A63F11/00 B
   A63F13/85
   G10L25/51
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-67371(P2019-67371)
(22)【出願日】2019年3月29日
【審査請求日】2019年6月3日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000132471
【氏名又は名称】株式会社セガゲームス
(74)【代理人】
【識別番号】110002273
【氏名又は名称】特許業務法人インターブレイン
(72)【発明者】
【氏名】大塚 公二
(72)【発明者】
【氏名】高橋 剛
(72)【発明者】
【氏名】西木 淳郎
(72)【発明者】
【氏名】浅野 裕紀
【審査官】 前地 純一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2019−036190(JP,A)
【文献】 特開2019−036191(JP,A)
【文献】 特表2006−515721(JP,A)
【文献】 特開2019−036201(JP,A)
【文献】 特開2019−000532(JP,A)
【文献】 特開2007−105313(JP,A)
【文献】 服部 佑哉 外3名,連続環境音の繰り返し構造の認識,第66回(平成16年)全国大会講演論文集(2) 人工知能と認知科学,2004年 3月 9日,2-279〜2-280
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F13/00−13/98
A63F 9/00−11/00
G10L15/00−17/26
G10L13/00−13/10
G10L19/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部音声を検出する音声検出部と、
前記外部音声に、コンピュータゲームのゲーム音が含まれるか否かを判定する音声判定部と、
前記ゲーム音に基づいて、コンピュータゲームのプレイ時間の累計推定値を計算する時間推定部と、
前記累計推定値が第1の閾値を超えるとき、プレイヤに第1のメッセージを報知する報知部と、を備え、
前記音声判定部は、前記外部音声から所定の音声パターンが繰り返し検出されるとき、前記外部音声にゲーム音が含まれると判定することを特徴とする音声処理装置。
【請求項2】
前記時間推定部は、第1のコンピュータゲームにおける第1のゲーム音に続いて第2のコンピュータゲームにおける第2のゲーム音が検出されたときには、前記第1のゲーム音に基づく第1の累計推定値と前記第2のゲーム音に基づく第2の累計推定値の双方に基づいて、コンピュータゲームのプレイ時間全体としての累計推定値を計算することを特徴とする請求項1に記載の音声処理装置。
【請求項3】
前記時間推定部は、前記音声パターンの長さに前記音声パターンの検出回数を乗じることにより累計推定値を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の音声処理装置。
【請求項4】
前記時間推定部は、ゲーム音が検出されてから次にゲーム音が検出されるまでのインターバルが第2の閾値を超えるときには、累計推定値をリセットした上で、次のゲーム音に基づいてプレイ時間の累計推定値を再計算することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の音声処理装置。
【請求項5】
前記音声判定部は、更に、前記外部音声からゲーム音とともにプレイヤによる発話音声を検出し、前記発話音声に所定単語が含まれているか否かを判定し、
前記報知部は、前記所定単語の発話がなされているときには、プレイヤに対して第2のメッセージを報知することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の音声処理装置。
【請求項6】
外部音声を検出する音声検出部と、
前記外部音声から所定の音声パターンが繰り返し検出されるとき、前記外部音声にゲーム音が含まれると判定する音声判定部と、
前記音声パターンの連続検出回数が第3の閾値を超えるとき、プレイヤに第1のメッセージを報知する報知部と、を備えることを特徴とする音声処理装置。
【請求項7】
外部音声を検出する機能と、
前記外部音声から所定の音声パターンが繰り返し検出されるとき、前記外部音声にゲーム音が含まれると判定する機能と、
前記ゲーム音に基づいて、コンピュータゲームのプレイ時間の累計推定値を計算する機能と、
前記累計推定値が第1の閾値を超えるとき、プレイヤに第1のメッセージを報知する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とする音声処理プログラム。
【請求項8】
外部音声を検出する機能と、
前記外部音声から所定の音声パターンが繰り返し検出されるとき、前記外部音声にゲーム音が含まれると判定する機能と、
前記音声パターンの連続検出回数が第3の閾値を超えるとき、プレイヤに第1のメッセージを報知する機能と、をコンピュータに発揮させることを特徴とする音声処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータゲームにおける音声認識技術、に関する。
【背景技術】
【0002】
さまざまなゲーム機の普及にともない、コンピュータゲームは大人から子どもまで幅広く楽しめる娯楽として定着した感がある。その一方、ゲームに夢中になりすぎてしまい、プレイヤ本人も気づかないうちに思わぬ長時間をプレイに費やしてしまうことも多い。以下、想定以上に長くゲームをプレイし続けてしまう事象を「超過プレイ」とよぶ。
【0003】
超過プレイ対策として、特許文献1は、ゲーム画像が所定時間以上連続表示されたときゲームを中断させることで、プレイヤに休憩を促す技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−005448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在、1つの家庭に複数台のゲーム機があることも珍しくない。プレイヤは、複数のゲームを次々にプレイすることもある。したがって、ゲームごと、あるいは、ゲーム機ごとにプレイ時間を計測したとしても、超過プレイをうまく検出できない可能性がある。
【0006】
本発明は、上記課題認識に基づいて完成された発明であり、その主たる目的は、ゲーム機そのものの機能に過度に依存することなく、超過プレイを効果的に検出するための技術、を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある態様における音声処理装置は、外部音声を検出する音声検出部と、外部音声に、コンピュータゲームのゲーム音が含まれるか否かを判定する音声判定部と、ゲーム音に基づいて、コンピュータゲームのプレイ時間の累計推定値を計算する時間推定部と、累計推定値が第1の閾値を超えるとき、プレイヤに第1のメッセージを報知する報知部と、を備える。
【0008】
本発明の別の態様における音声処理装置は、外部音声を検出する音声検出部と、外部音声から所定の音声パターンが繰り返し検出されるとき、外部音声にゲーム音が含まれると判定する音声判定部と、音声パターンの連続検出回数が第3の閾値を超えるとき、プレイヤに第1のメッセージを報知する報知部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、超過プレイを効果的に検出しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態において想定されるシステム構成図である。
図2】音声処理装置の機能ブロック図である。
図3】ゲームのプレイ時間を判定する過程を示すタイムチャートである。
図4】検出モードにおける処理過程を示すフローチャートである。
図5】計測モードにおける処理過程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本実施形態において想定されるシステム構成図である。
図1に示すゲーム装置104aとゲーム装置104b(以下、まとめていうときや特に区別しないときには「ゲーム装置104」とよぶ)は、いずれもゲームを実行するための一般的な装置である。ゲーム装置104aの機種とゲーム装置104bの機種は同一である必要はない。ゲーム装置104は、ゲームを実行するとき、内蔵するスピーカから「ゲーム音」を出力する。ここでいうゲーム音は、ゲームのバック・グラウンド・ミュージック(以下、「ゲーム背景音楽」とよぶ)のほか、爆発音や撃墜音などのいわゆる効果音も含む。
【0012】
音声入力装置102は、スマートスピーカなどの既知の装置である。音声入力装置102は、マイクとスピーカを内蔵する。音声入力装置102は、各ゲーム装置104から出力されるゲーム音やプレイヤの発話を検出する。ゲーム音の検出・認識方法の詳細は後述する。
【0013】
音声入力装置102には音声処理装置100が接続される。音声処理装置100は、音声入力装置102によるゲーム音の検出結果に基づいて、いずれかのゲーム装置104において、プレイヤがゲームをプレイ中であるか否かを判断する。音声処理装置100は、後述の方法により超過プレイになっていると判断したとき、音声入力装置102から警告または注意のためのメッセージ(第1のメッセージ)を音声出力させる。なお、音声処理装置100の機能は音声入力装置102の一部として組み込まれてもよいが、本実施形態においては音声処理装置100と音声入力装置102は別々の装置であるとして説明する。
【0014】
音声入力装置102は、ゲーム装置104と有線・無線に関わらず通信回線にて接続される必要はない。音声入力装置102はゲーム装置104のゲーム音を検出し、音声処理装置100は音声入力装置102がゲーム音を検出しているときゲームのプレイ中であると判断する。音声入力装置102は、ゲーム音に基づいて、ゲームのプレイが長引いていないか判断する。したがって、プレイヤが複数種類のゲーム装置104を取り替えながらゲームをプレイしたとしても、あるいは、複数種類のゲームを順番にプレイしたとしても、音声処理装置100はプレイヤがゲームを続けていることを認識できる。音声処理装置100は、音声入力装置102の機種あるいはゲームの種類に依存することなく超過プレイを効果的に検出できる。
【0015】
図2は、音声処理装置100の機能ブロック図である。
音声処理装置100の各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)および各種コプロセッサなどの演算器、メモリやストレージといった記憶装置、それらを連結する有線または無線の通信線を含むハードウェアと、記憶装置に格納され、演算器に処理命令を供給するソフトウェアによって実現される。コンピュータプログラムは、デバイスドライバ、オペレーティングシステム、それらの上位層に位置する各種アプリケーションプログラム、また、これらのプログラムに共通機能を提供するライブラリによって構成されてもよい。以下に説明する各ブロックは、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。
【0016】
音声入力装置102は、ゲーム音等の音声を取得する。また、音声入力装置102は、プレイヤの発話時における音声を解釈し、発話内容を文字情報に変換することもできる。音声入力装置102は、音声処理装置100から指定された文字情報を音声情報として出力する。
【0017】
音声処理装置100は、音声検出部110、報知部112、データ処理部114およびデータ格納部116を含む。
音声検出部110は、音声入力装置102から音声情報を取得する。報知部112は、音声入力装置102にメッセージ(文字情報)を送信することにより、音声入力装置102からメッセージを音声出力させる。データ格納部116はプログラム等の各種データを格納する。データ処理部114は、音声検出部110により取得されたデータおよびデータ格納部116に格納されているデータに基づいて各種処理を実行する。データ処理部114は、音声検出部110、報知部112およびデータ格納部116のインタフェースとしても機能する。
【0018】
データ処理部114は、音声判定部118と時間推定部120を含む。
音声判定部118は、音声検出部110が取得した音声がゲーム音であるか否かを判定する。また、音声判定部118は、ゲーム音のほか、プレイヤの発話内容についても認識する。音声入力装置102は発話音声を文字情報に変換し、音声検出部110は発話音声の文字情報を音声入力装置102から取得する。118は、この発話内容を示す文字情報から後述するエキサイト条件が成立するか否かを判定する。時間推定部120は、プレイヤがゲームを実質的に連続してプレイしている時間を推定する。以下、この推定値のことを「累計推定値」とよぶ。
【0019】
図3は、ゲームのプレイ時間を判定する過程を示すタイムチャートである。
ゲーム背景音楽には、同一の音声パターン(フレーズ)が繰り返し実行されるという一般的な特徴がある。そこで、音声処理装置100は、所定の音声パターンが繰り返し検出されるときに、ゲーム背景音楽が流れていると判定する。いいかえれば、繰り返される音声パターンを検出している時間をゲームのプレイ時間として判定(推定)する。
【0020】
音声処理装置100は、「検出モード」と「計測モード」の2種類のモードを有する。
検出モードはゲーム背景音楽の始まりを認識するためのモードである。計測モードはゲーム背景音楽の継続とその終了タイミングを認識するためのモードである。
音声処理装置100は、まず、検出モードに初期設定される。検出モードにおいて、所定回数以上、たとえば、3回以上同じ音声パターンが繰り返し検出されたとき、音声処理装置100は検出モードから計測モードに移行する。図3においては時刻t0からゲームG1の音声パターンP1が検出されている。3回目の音声パターンP1が確認された時刻t1において、音声処理装置100は検出モードから計測モードに移行する。検出モードに対応する時刻t0から時刻t1までの期間を「検出期間」とよぶ。
【0021】
音声パターンP1は、時刻t1以降も繰り返し検出され、時刻t3において途切れている。このとき、音声処理装置100は、計測モードから検出モードに移行する。計測モードに対応する時刻t1から時刻t3までの期間を「計測期間」とよぶ。
【0022】
時間推定部120は、検出期間および計測期間における音声パターンP1の繰り返し回数n1と、音声パターンP1の1回分の演奏時間tm1を乗じた時間(n1×tm1)をゲームG1の連続プレイ時間の推定値、すなわち、累計推定値T1として算出する。累計推定値T1が所定の閾値V1(第1の閾値)以上となったとき、音声処理装置100は音声入力装置102から「少し休憩しましょう」のような注意を促すメッセージ(以下、「注意メッセージ」とよぶ)(第1のメッセージ)を出力させる。
【0023】
図3においては、時刻t3から時刻t4までは音声パターンは検出されていない。時刻t4からは別のゲームG2の音声パターンP2が検出される。検出モードにある音声処理装置100は、音声パターンP2の3回連続検出が確認された時刻t5において、計測モードに移行する。
【0024】
時間推定部120は、ゲームG2についても音声パターンP2に基づいて累計推定値T2を計算する。累計推定値T2が閾値V1以上となったとき、音声処理装置100は注意メッセージを出力させる。
【0025】
時刻t3から時刻t4までのインターバルTXは、プレイヤがゲームをプレイしていない時間である。インターバルTXが閾値V2(第2の閾値)よりも長いとき、いいかえれば、プレイヤがゲームG1をプレイしたあとに十分に休息してから、次のゲームG2をプレイしたときには、時間推定部120はゲームG1の累計推定値をいったんリセットした上で、ゲームG2の累計推定値を計算する。一方、インターバルTXが閾値V2以下のとき、いいかえれば、プレイヤがゲームG1のあと立て続けにゲームG2をプレイしたときには、音声処理装置100は累計推定値T1(ゲームG1)と累計推定値T2(ゲームG2)の合計値をゲームのプレイ時間についての累計推定値として算出する。このように、プレイヤが十分な休息をとらずに立て続けにゲームをプレイした状況においても超過プレイを検出できる。なお、プレイヤは、閾値V1、V2を任意に設定可能である。
【0026】
図4は、検出モードにおける処理過程を示すフローチャートである。
図4に示すフローチャートは、検出モードにおいて、音声入力装置102が音声パターンを検出したときに実行される。音声検出部110は、検出された音声パターンを記憶しておく。2回以上続けて同一の音声パターンを検出したとき(S10のY)、音声判定部118はカウント変数iをインクリメントする(S12)。カウント変数iが2以下であれば(S14のN)、あるいは、1回目の音声パターンの検出時においては(S10のN)、次の音声パターンが検出されるまで特段の処理は実行されない。
【0027】
カウント変数iが2以上であれば(S14のY)、いいかえれば、検出モードにおいて同一の音声パターンを3回続けて検出したときには、音声判定部118は検出モードから計測モードに移行させる(S16)。また、音声判定部118はカウント変数iをリセットする(S18)。
【0028】
図5は、計測モードにおける処理過程を示すフローチャートである。
図5に示すフローチャートは、計測モードにおいて、音声入力装置102が前回と同一の音声パターンを検出したときに実行される。時間推定部120は、上述の方法により累計推定値TYを更新する(S20)。累計推定値TYが閾値V1以上となったとき(S22のY)、報知部112は注意メッセージを音声入力装置102に出力させる(S24)。また、注意メッセージの出力後、時間推定部120は累計推定値TYをリセットする(S26)。一方、累計推定値が閾値V1未満のときには、S24以降の処理はスキップされる。
【0029】
上述したように、計測モードにおいて、音声パターンの検出が途切れたとき、音声判定部118は計測モードから検出モードに移行させる。また、音声パターンが検出されない期間、すなわち、インターバルの長さが閾値V2以上となったとき、時間推定部120は累計推定値TYをリセットする。一方、インターバルの長さが閾値V2未満のときに新たに音声パターンが検出されたときには、前回のゲームのプレイ時間(累計推定値)に対して、新たなゲームのプレイ時間(累計推定値)を加算していく。
【0030】
音声入力装置102は、ゲームのプレイ中におけるプレイヤの発話も検出する。音声処理装置100は、ゲーム背景音楽の検出中にプレイヤから所定の発話が検出されたとき、「エキサイト条件」が成立したと判定する。エキサイト条件は、プレイヤの過度の興奮が推測される発話が検出されたときに成立する。たとえば、「クソ」「畜生」「ボケ」などの暴力的な所定単語の発話が検出されたとき、エキサイト条件が成立するとしてもよい。エキサイト条件の設定は任意である。たとえば、子どものけんかする声や泣き声が検出されたときにもエキサイト条件が成立したと判定してもよい。
【0031】
報知部112は、エキサイト条件が成立したとき、プレイヤをたしなめるメッセージ(以下、「鎮静メッセージ」とよぶ)(第2のメッセージ)を音声入力装置102に出力させる。鎮静メッセージは、たとえば、「おちついて」「ドンマイ」「深呼吸しよう」のような任意のメッセージであればよい。また、報知部112は、音声入力装置102からブザー音などを発生させてもよいし、プレイヤを落ち着かせるためにクラシック音楽を流してもよい。
【0032】
以上、実施形態に基づいて、音声処理装置100を説明した。
音声処理装置100は、ゲームの連続プレイ時間をゲーム音に基づいて累計推定値として算出する。このため、ゲーム装置104の種類に関わらず、実質的なプレイ時間を計測できる。また、音声入力装置102および音声処理装置100をゲーム装置104と通信接続する必要がない。既存のゲーム装置104に特段の機能追加をする必要がないため、簡単にシステムを導入できる。また、音声処理装置100は、インターバルが短いときには、プレイヤが実質的に連続してゲームをプレイしているとして超過プレイを合理的に認識できる。
【0033】
一般的な音楽の演奏期間は固定時間であり、数分程度で完結するものが多い。繰り返しのフレーズがあるとしても、同じフレーズを延々と繰り返すことは少ない。一方、ゲーム背景音楽は、プレイヤがゲームを中断したときが終期となるため、演奏時間は可変長となる。ゲーム背景音楽は、完結しない音楽であるため、同一フレーズ(音声パターン)を延々と繰り返すことが多い。このため、音声パターンの繰り返しを手がかりとすることでゲーム背景音楽かそれ以外の一般的な音楽であるかを比較的簡易に見分けることができる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態や変形例に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。上記実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることにより種々の発明を形成してもよい。また、上記実施形態や変形例に示される全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。
【0035】
音声入力装置102と音声処理装置100によりシステムが構成されるとして説明したが、音声処理装置100の機能の一部は音声入力装置102により実現されてもよいし、音声処理装置100および音声入力装置102以外の第3の装置が、これらの装置の機能の一部を担ってもよい。
【0036】
[変形例]
本実施形態においては、注意メッセージや鎮静メッセージ等の各種メッセージを音声入力装置102から音声出力するとして説明した。変形例として、音声処理装置100は内蔵のモニタ、または、外付けのモニタに対して、メッセージを文字または画像により表示してもよい。音声処理装置100は、ランプを点灯させることで、プレイヤの注意を喚起してもよい。メッセージは言語である必要はなく、ブザーなどの非言語音声であってもよい。
【0037】
音声処理装置100は通信部(図示せず)を備えてもよい。音声処理装置100の通信部は、超過プレイを検出したとき、ゲーム装置104に制御信号を送信し、ゲーム装置104はこの制御信号を受信したときにゲームを中止させてもよい。また、ゲーム装置104は、この制御信号を受信したときにコントローラのバイブレータを振動させることでプレイヤに注意を促してもよい。音声処理装置100の通信部は、プレイヤ以外のユーザの通信端末にメッセージを送信してもよい。たとえば、プレイヤが子どものときには、その親の携帯端末に注意メッセージを送信してもよい。
【0038】
累計推定値の長さに応じて、注意メッセージの内容や報知方法を変化させてもよい。たとえば、報知部112は累計推定値が1時間を超えたときには「ちょっと休もうよ」という提案型の注意メッセージを音声出力させ、2時間を超えたときには叱りつけるような注意メッセージを音声出力させてもよい。また、3時間を超えたときには、音声処理装置100はコントローラのバイブレータを起動させる制御信号を送信してもよいし、高周波音などの不快音を出力させてもよい。
【0039】
本実施形態においては、音声パターンの繰り返しに基づいてゲーム背景音楽を検出するとして説明した。変形例として、音声処理装置100は、複数種類のゲーム背景音楽をあらかじめデータ格納部116に登録しておいてもよい。音声判定部118は、既知のゲーム背景音楽と同一のゲーム背景音楽を検出したとき、ゲームのプレイ中であると判定してもよい。
【0040】
音声検出部110は衝撃音や破裂音等のゲームに特有の効果音を検出し、音声判定部118はゲームの効果音の発生時に流れている音楽をゲーム背景音楽として判定してもよい。また、音声判定部118は、このときの背景音楽をゲーム背景音楽としてデータ格納部116に登録してもよい。ゲームの効果音に限らず、プレイヤのゲーム中における典型的な発話を検出し、このときに流れている音楽をゲーム背景音楽として判定してもよい。典型的な発話としては「よし」「くそ」「もー」といった発話が考えられる。このような効果音あるいは発話を単位時間内において所定回数以上検出したとき、この単位時間において継続して流れている背景音楽をゲーム背景音楽として登録してもよい。
【0041】
本実施形態においては、音声パターンとその繰り返し回数を乗ずることでプレイ時間の累計推定値を算出するとして説明した。変形例として、音声パターンの繰り返し回数にもとづいて超過プレイを判定してもよい。時間推定部120は、音声パターンの繰り返し回数をカウントし、このカウント値が所定の閾値以上となったとき、超過プレイになっていると判定してもよい。
【0042】
音声パターンの繰り返し回数やプレイ時間の累積推定値に基づいて、プレイヤによってプレイ中のゲームの攻略情報を音声入力装置102が出力してもよい。たとえば、音声検出部110がゲームオーバー時の効果音を繰り返し検出した場合に、報知部112は、ゲームの攻略情報を音声入力装置102に出力させてもよい。
【0043】
本実施形態においては、音声処理装置100は、音声入力装置102がゲーム背景音楽の音声パターンを検出したときに駆動される。変形例として、音声処理装置100は、定期的にゲーム背景音楽を検出してもよい。たとえば、音声処理装置100は、5分に1回のペースで駆動されるとしてもよい。そして、駆動後、30秒間が計測期間となる。音声処理装置100の音声判定部118は計測期間において音声パターンが検出されたときにはカウント値をインクリメントし、音声パターンが検出されなければカウント値をリセットする。すなわち、プレイヤがゲームをプレイし続けるとカウント値は徐々に大きくなる。時間推定部120は、このカウント値が所定の閾値を超えたとき、超過プレイになっていると判定する。報知部112は、カウント値が閾値を超えたときに注意メッセージを音声入力装置102から音声出力してもよい。
【0044】
本実施形態においては、ゲームの実質的な連続プレイ時間の推定値として累計推定値を算出するとして説明した。変形例として、連続プレイ時間ではなく、所定期間における合計のプレイ時間を累計推定値としてもよい。たとえば、1日あたりのゲームのプレイ時間を2時間に制限したとする。このとき、時間推定部120は、1日あたりのゲームのプレイ時間の合計値を累計推定値として計算し、この累計推定値が2時間を超過したとき、報知部112は注意メッセージを音声出力させてもよい。
【0045】
本実施形態においては、音声入力装置102はスマートスピーカであるとして説明した。変形例として、音声処理装置100および音声入力装置102の機能はマイクおよびスピーカを備える任意の装置により実現されてもよい。たとえば、スマートフォンのアプリケーションとして音声処理装置100の機能を実装し、スマートフォンのマイクおよびスピーカを利用して同様の機能を実現してもよい。
【符号の説明】
【0046】
100 音声処理装置、102 音声入力装置、104 ゲーム装置、110 音声検出部、112 報知部、114 データ処理部、116 データ格納部、118 音声判定部、120 時間推定部
【要約】
【課題】ゲーム機そのものの機能に過度に依存することなく、超過プレイを効果的に検出する。
【解決手段】音声処理装置は、外部音声を検出する音声検出部と、外部音声に、コンピュータゲームのゲーム音が含まれるか否かを判定する音声判定部と、ゲーム音に基づいて、コンピュータゲームのプレイ時間の累計推定値を計算する時間推定部と、累計推定値が第1の閾値を超えるとき、プレイヤに第1のメッセージを報知する報知部を備える。時間推定部は、音声パターンの長さに音声パターンの検出回数を乗じることにより累計推定値を算出してもよい。
【選択図】図3
図1
図2
図3
図4
図5