特許第6642758号(P6642758)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6642758通信抑止装置を備えた乗客コンベア及び乗客コンベアの組合せ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642758
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】通信抑止装置を備えた乗客コンベア及び乗客コンベアの組合せ
(51)【国際特許分類】
   B66B 29/08 20060101AFI20200130BHJP
   B66B 31/00 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   B66B29/08 Z
   B66B31/00 B
   B66B31/00 C
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-82711(P2019-82711)
(22)【出願日】2019年4月24日
(62)【分割の表示】特願2015-248470(P2015-248470)の分割
【原出願日】2015年12月21日
(65)【公開番号】特開2019-116389(P2019-116389A)
(43)【公開日】2019年7月18日
【審査請求日】2019年5月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001438
【氏名又は名称】特許業務法人 丸山国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小村 章
【審査官】 有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−051386(JP,A)
【文献】 特開2002−128446(JP,A)
【文献】 特開2015−182837(JP,A)
【文献】 特開2013−129524(JP,A)
【文献】 特開2005−272067(JP,A)
【文献】 特開2012−019494(JP,A)
【文献】 特開2010−159155(JP,A)
【文献】 特開2009−274795(JP,A)
【文献】 特開2005−051820(JP,A)
【文献】 特開平11−112476(JP,A)
【文献】 特開平11−178054(JP,A)
【文献】 特開2000−309483(JP,A)
【文献】 特開2010−004208(JP,A)
【文献】 特開2000−032557(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3056813(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3044061(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0327795(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 21/00─31/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状に連結されて移動する複数の踏み板と、搭乗する乗客を検知する乗客検知手段と、通信妨害電波を空間に放射して移動通信端末の通信機能を抑制する通信抑止手段とを備える乗客コンベアであって、
前記通信抑止手段は、前記乗客検知手段を用いて乗客の有無を判定し、乗客が存在していると判定されている間、前記通信妨害電波を放射し、
前記通信妨害電波によって移動通信端末の通信機能が抑制される範囲には、前記複数の踏み板のうち、乗客を載置可能なように露出している踏み板の列の上方に位置する領域が含まれており
乗客が存在していると判定されている間、移動通信端末が使用できない旨を乗客に視覚的に示す報知手段を更に備えている、乗客コンベア。
【請求項2】
前記乗客検知手段を用いて乗客の有無を判定し、乗客の有無に応じて前記複数の踏み板の動作状態が変更する、請求項1に記載の乗客コンベア。
【請求項3】
前記通信妨害電波によって移動通信端末の通信機能が抑制される範囲は、前記乗客コンベアの乗り場及び/又は降り場に及んでいる、請求項1又は請求項2に記載の乗客コンベア。
【請求項4】
各乗客コンベアが無端状に連結されて移動する複数の踏み板を備えている複数の乗客コンベアの組合せであって、
各乗客コンベアに搭乗する乗客を検知する乗客検知手段と、
通信妨害電波を空間に放射して移動通信端末の通信機能を抑制する通信抑止手段と、を備えており
前記通信妨害電波によって移動通信端末の通信機能が抑制される範囲には、各乗客コンベアが備える複数の踏み板のうち、乗客を載置可能なように露出している踏み板の列の上方に位置する領域が含まれており
前記通信妨害電波によって移動通信端末の通信機能が抑制される範囲は、各乗客コンベアの乗り場及び/又は降り場に及んでおり、
前記乗客検知手段は、各乗客コンベアに設けられた人感センサを含んでおり、
何れかの人感センサによって乗客が検知されてから、前記複数の乗客コンベアの少なくとも1つの乗客コンベアで踏み板の循環走行が行われている間、前記通信抑止手段が前記通信妨害電波を放射する、複数の乗客コンベアの組合せ。
【請求項5】
前記複数の乗客コンベアの少なくとも1つの乗客コンベアで踏み板の循環走行が行われている間、移動通信端末の通信機能が抑止される旨を乗客に報知する報知手段を更に備える、請求項4に記載の複数の乗客コンベアの組合せ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗客コンベアに関しており、より具体的には、乗客が所持する移動通信端末が行う通信を抑止する通信抑止機能を有する乗客コンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やスマートフォンなどの移動通信端末の操作を歩きながら行うことや、移動通信端末に表示された電子メールやホームページなどの情報を見ることを歩きながら行うことは、事故を引き起こす可能性をもたらすことから、一般にマナー違反とされている(以下では、移動通信端末を操作すること、及び、移動通信端末に表示されている情報を見ることをまとめて、移動通信端末の「使用」と称する)。
【0003】
例えば、歩きながら移動通信端末を使用することで、その使用者が、駅のホームで電車の入線に気付かずにその電車と接触する事故や、知らず知らずのうちに踏み切りに進入して電車にはねられる事故が起こっている。歩きながらの移動通信端末の使用に代表される所謂「ながら使用」に起因する事故は、鉄道事故に限られない。エスカレーターや動く歩道などの乗客コンベアでは、搭乗中の乗客が移動通信端末を使用していると、例えば、その乗客が段差につまずいて転倒する事故や他の乗客と接触する事故が発生する虞がある。特に、エスカレーターでは、搭乗中に移動通信端末を使用している乗客は、ハンドレールを手で掴むことをしないので、安全な状態で搬送されないことになる。乗車中にハンドレールを掴んでいないと、例えば、安全装置の動作や停電等に起因してエスカレーターが急停止した場合に、乗客が転倒や転落する事態が起こってしまう。
【0004】
混雑時などにおける事故を防止するために、乗客に注意を喚起する放送を行う乗客コンベアが存在している(特許文献1参照)。このような乗客コンベアでは、乗客に注意を喚起する放送に加えて、搭乗中にて移動通信端末の使用を中止する又は見合わせることを乗客に要請する放送を流すことで、乗客の移動通信端末の使用に起因した事故の発生を抑制することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−305673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、乗客コンベアの搭乗中にて移動通信端末の使用を中止すること又は見合わせることを乗客に要請する放送を流したとしても、このような要請を無視して移動通信端末の使用を中止しない乗客や搭乗中に移動通信端末の使用を開始する乗客は、かなりの割合で存在するであろう。
【0007】
本発明は、以上に説明した問題を解決するものであって、乗客コンベアの搭乗中における乗客による移動通信端末の使用を実効的に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の乗客コンベアは、無端状に連結されて移動する複数の踏み板と、搭乗する乗客を検知する乗客検知手段と、通信妨害電波を空間に放射して移動通信端末の通信機能を抑制する通信抑止手段を備える乗客コンベアであって、前記通信抑止手段は、前記乗客検知手段を用いて乗客の有無を判定し、乗客が存在していると判定されている間、前記通信妨害電波を放射し、前記通信妨害電波によって移動通信端末の通信が抑制される範囲には、前記複数の踏み板のうち送り側に位置する踏み板の列の上方に位置する領域が含まれることを特徴とする。
【0009】
本発明の乗客コンベアは、乗客が存在していると判定されている間、移動通信端末の通信機能を抑止される旨を乗客に報知する報知手段を更に備えてよい。
【0010】
本発明の乗客コンベアは、前記乗客検知手段を用いて乗客の有無を判定し、乗客の有無に応じて前記複数の踏み板の動作状態を変更してもよい。
【0011】
本発明の複数の乗客コンベアの組合せは、各乗客コンベアが無端状に連結されて移動する複数の踏み板を備えている複数の乗客コンベアの組合せであって、各乗客コンベアに搭乗する乗客を検知する乗客検知手段と、通信妨害電波を空間に放射して移動通信端末の通信機能を抑制する通信抑止手段と、を備えており、前記通信抑止手段は、前記乗客検知手段を用いて、少なくとも何れかの乗客コンベアに乗客が存在していると判定されている間、前記通信妨害電波を放射し、前記通信妨害電波によって移動通信端末の通信機能が抑制される範囲には、各乗客コンベアが備える複数の踏み板のうち送り側に位置する踏み板の列の上方に位置する領域が含まれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、乗客コンベアに乗客が搭乗している間、送り側に位置する全ての踏み板の上方に位置する領域にて、移動通信端末の通信機能が通信妨害電波によって抑制されることから、搭乗中の乗客による、通信機能に関連した又は通信機能を作動させる移動通信端末の利用(例えば、通話、電子メールの送信、ホームページの更新や変更など)が実効的に抑制される。本発明によって、移動通信端末が利用できなくなることで、移動通信端末の「ながら使用」に起因する事故が乗客コンベアで抑制されるが、特にエスカレーターに本発明が適用される場合には、搭乗客がハンドレールを掴まずに搭乗する事態が抑制される点でより効果的である。
【0013】
報知手段を設けることで、所持している移動通信端末が通信できなくなることに起因して乗客が混乱する事態が防止される。
【0014】
乗客の有無に応じて複数の踏み板の動作状態が変更されるタイプの乗客コンベアに対して本発明を適用することで、このタイプの乗客コンベアが有する乗客検知手段を用いて、本発明を効率的に実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の第1実施形態であるエスカレーターの概要を示す説明図である。
図2】本発明の第1実施形態であるエスカレーターに係るエスカレーター本体の概要を示す平面図である。
図3】本発明の第1実施形態であるエスカレーターの概要を示す説明図であって通信抑止装置が作動している模様を示している。
図4】本発明の第1実施形態であるエスカレーターにおける通信抑止処理の流れを示すフローチャートである。
図5】本発明の乗客コンベアの第1実施形態であるエスカレーターの概要を示す説明図であって、当該エスカレーターに係る通信抑止装置が作動している模様を示している。
図6】本発明の第2実施形態である併設された2つのエスカレーターの組合せの概要を示す平面図である。
図7】本発明の第2実施形態である併設された2つのエスカレーターの組合せにおける通信抑止処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明の乗客コンベアの第1実施形態であるエスカレーター1の概要を示している。エスカレーター1は、エスカレーター本体11、電動機21、制動装置23、及び制御装置25を備えており、駅や百貨店等の施設の下階Aから上階Bへと乗客を搬送するために設置されている。
【0017】
エスカレーター本体11は、無端状に連結されて移動する複数の踏み板13と、これら踏み板13が取り付けられたチェーン15と、手摺りとして使用されるハンドレール17等を備えている。電動機21は、商用電源等(図示せず)から電力の供給を受けて作動し、電動機21の出力は、ギア等から構成された減速機27を介してエスカレーター本体11に伝達される。これによって、踏み板13やハンドレール17が循環走行することで、下階Aから上階Bへと乗客を搬送するようにエスカレーター1が運転される。図1では、チェーン15に設けられた踏み板13のうち、送り側又は搬送側に位置しており(つまり、乗客の搬送方向に移動し)、乗客を載置可能なように上側に露出している踏み板13の列のうち3つの踏み板13のみが図示されている(図2図3図5及び図6でも同様)。
【0018】
制動装置23は、例えば、電動機21の出力軸等に設けられたブレーキディスクと、これに適宜摺接させられるブレーキパッドとを含んでいる(何れも図示せず)。電動機21及び制動装置23は、エスカレーター本体11用の制御装置25によって制御される。制御装置25は、例えばマイクロコンピュータを用いて構成されている。
【0019】
エスカレーター1は、乗客検知手段を用いて乗客の有無を判定し、乗客の有無に応じて複数の踏み板13の動作状態を変更する。本実施形態では、乗客検知手段は、エスカレーター1の乗り場側に設置された人感センサ31であって、人感センサ31は、乗客を検知すると、その旨の通知を制御装置25に送る。乗客がいないと判断される場合に、踏み板13は走行しておらず、休止又は停止状態にある。乗客を検知した旨の通知を人感センサ31から受信すると、制御装置25は、電動機21を駆動させることで、休止状態にあった踏み板13の循環走行を開始又は再開する。
【0020】
図2は、エスカレーター本体11を模式的に示す平面図である。一対のポール33、33が、エスカレーター本体11の機械幅方向に離間して、エスカレーター1の乗り場側に立設されており、人感センサ31は、これらポール33、33に設けられている。人感センサ31は、一方のポール33に設けられた投光部35と、他方のポール33に設けられた受光部37とを備えている。投光部35から受光部37に向けて、例えば赤外線Lが常時放射されており、乗客の通過により赤外線Lが一時的に遮断されることで、ポール33、33間を通過して、搭乗する乗客の存在が検知される。
【0021】
制御装置25は、エスカレーター1の乗客がいないと判断すると、制動装置23を作動させることで、踏み板13の循環走行を停止する。例えば、人感センサ31が乗客の侵入を検知した時から、更なる乗客の侵入を検知することなく所定の時間を経過した場合に、制御装置25は、エスカレーター1の乗客が存在しないと判定する。当該所定の時間は、エスカレーター1の乗り場のポール33、33間を通過した乗客が、エスカレーター1に搭乗し、その乗客をエスカレーター1が上階Bの降り場まで搬送するまでの時間を踏まえて設定される。
【0022】
本発明の乗客コンベアの特徴は、通信妨害電波を空間に放射して移動通信端末の通信機能を抑制する通信抑止手段を備えている点にある。そして、通信抑止手段は、乗客検知手段を用いて乗客の有無を判定し、乗客コンベアの乗客が存在していると判定されている間、通信妨害電波を放射する。
【0023】
本実施形態のエスカレーター1は、本発明に係る通信抑止手段に対応する通信抑止装置51を備えており、エスカレーター1の乗客が、携帯電話やスマートフォンなどの移動通信端末を所有している場合に、搭乗中における当該移動通信端末の通信を抑止することで、乗客による移動通信端末の使用を抑制する。通信抑止装置51は、制御部53と、制御部53に接続された妨害電波発生部55a−f及び報知部57a−bとを備えている。
【0024】
妨害電波発生部55a−fの各々は、エスカレーター本体11の付近又は近傍に配置されており、乗客が所有する移動通信端末を収容する移動通信網(移動電話網或いは移動パケット通信網)の基地局(図示せず)から発信される通信信号と同一の周波数の通信妨害電波を空間に放射する。妨害電波発生部55a−fの各々に対応して、その妨害電波発生部55a−fから放射された通信妨害電波を所定の閾値以上の電界強度で受信可能なエリア(以下、通信抑止エリア)が形成される。これら通信抑止エリアの何れかの範囲内に乗客の移動通信端末が配置されていると、当該移動通信端末は、基地局の発する通信信号に加えて通信妨害電波も受信する。通信妨害電波が混在することで、移動通信端末は、通信信号に含まれており、基地局との通信に必要な各種情報を特定できなくなって、移動通信端末と基地局の間で通信が不可能となる。
【0025】
移動通信網の基地局から放射される通信信号の周波数は、移動通信網の運営事業者毎に異なることから、妨害電波発生部55a−fの各々は、乗客が所有する移動通信端末について想定される全ての移動通信網の(基地局から発信される)周波数に夫々対応した複数の周波数で通信妨害電波を放射するのが好ましい。なお、全ての移動通信網の周波数ではなく、利用者数が上位である幾つかの移動通信網の周波数に夫々対応した複数の周波数で通信妨害電波が放射されても、エスカレーター1の乗客による移動通信端末の利用は、本発明によって、(通信妨害電波が対応していない移動通信端末の通信機能を抑止できない事態がまれに生じるものの)効果的に抑制されるであろう。
【0026】
図3は、エスカレーター1の乗客が人感センサ31で検知されて、妨害電波発生部55a−fの各々から通信妨害電波Rが放射されている模様を示している。本実施形態では、妨害電波発生部55a−fの各々は、指向性アンテナを備えており、当該指向性アンテナから通信妨害電波Rが空間に放射されて、妨害電波発生部55a−fの各々に対応した通信抑止エリアが生じる。本実施形態では、妨害電波発生部55a−fは、エスカレーター1の乗り場及び降り場とエスカレーター本体11の上方にて、水平方向に離間して、夫々異なる高さで配置されており、各妨害電波発生部55a−fからは下向きに通信妨害電波Rが放射される。エスカレーター本体11の上方に配置された妨害電波発生部55b−e(の指向性アンテナ)は、エスカレーター本体11の傾斜を踏まえて、エスカレーター1の乗り場の上方にある妨害電波発生部55a(の指向性アンテナ)に対して傾けられた姿勢で配置されている。
【0027】
妨害電波発生部55a−fは、妨害電波発生部55a−fの通信抑止エリアが、部分的に重畳するように配置及び構成されている。それら通信抑止エリアは全体として、エスカレーター本体11の複数の踏み板13のうち送り側に位置する踏み板13の列の上方(或いは、送り側に位置しており、上側に露出している踏み板13の列の上方)に位置する領域を含むように構成されており、当該領域は、本実施形態では、エスカレーター1の乗客が所持する移動通信端末が存在すると想定される想定領域Zを含むように構成されている。
【0028】
図2図3及び図5にて、想定領域Zが一点鎖線で示されている。想定領域Zは、例えば、踏み板13が走行している間の任意の時点にて、送り側に位置しており、上側に露出している踏み板13の列を構成する踏み板13の各々について、上向きに露出している各矩形又は略矩形の上面を鉛直方向に第1距離H1から第2距離H2まで平行移動させることで規定される直方体状の空間Yを含むように定められる(図3参照)。第1距離H1及び第2距離H2は、踏み板13に載っている乗客が所持する移動携帯端末がその踏み板13に対応した空間Y内に存在するように規定され、例えば、第1距離H1は20乃至30cm程度に、第2距離H1は180乃至200cm程度にされる、想定領域Zは、エスカレーター本体11の機械幅方向について、踏み板13の上面Wの幅よりも若干大きくされる(図2参照)。なお、本実施形態では、図2及び図3等に示すように、想定領域Zは、エスカレーター1の乗り場(より具体的には、ポール31,31の近傍)と、エスカレーター1の降り場の近傍とにまで及ぶように決定されている。
【0029】
妨害電波発生部55a−fの数と、各妨害電波発生部55a−fにおける通信妨害電波の出力、通信抑止エリアの範囲、並びに、エスカレーター1の乗り場及び降り場やエスカレーター本体11に対する相対位置とは、想定領域Zに加えて、エスカレーター本体11の構造やエスカレーター1が設けられる施設の構造を踏まえて定められる。
【0030】
制御部53は、例えばプログラマブルロジックコントローラであり、例えば、制御部53は、CPU、揮発性メモリ、及び不揮発性メモリを含んでいる(何れも図示せず)。制御部53の不揮発性メモリは、例えば、EPROM、EEPROM或いはフラッシュROMであってよい。
【0031】
不揮発性メモリには、エスカレーター本体11へ搭乗する乗客が人感センサ31によって検出されたことを契機として、移動通信端末の通信機能の抑止を開始し、エスカレーター本体11に乗客が存在しないと判断されるとその抑止を解除する通信抑止装置51の通信抑止処理を、通信抑止装置51の制御部53に実行させる通信抑止プログラムが予め記憶されている。
【0032】
制御部53の揮発性メモリは、例えば、RAMである。当該揮発性メモリは、通信抑止プログラムを実行する際のワークエリアとして利用されると共に、通信抑止プログラムの実行過程で参照及び/又は更新されるデータが格納される。制御部53のCPUは、例えば、通信抑止装置51の電源投入を契機として不揮発性メモリから揮発性メモリへ通信抑止プロフラムを読み出して実行を開始する。通信抑止プログラムに従って制御部53が実行する通信抑止処理については、後述する。
【0033】
本実施例では、通信抑止装置51は、本発明の報知手段に相当する2つの報知部57a−bを備えており、報知部57aは、エスカレーター1の乗り場の上方に配置され、報知部57bは、エスカレーター本体11の上方にて、エスカレーター1の降り場側に配置されている。報知部57a−bの各々は、例えば、制御部53から送られたデジタル音声データをアナログ音声信号に変換するA/D変換器と、アナログ音声信号を増幅する増幅器と、増幅器で増幅されたアナログ音声信号を音声に変換して拡声するスピーカとを備えている。
【0034】
報知部57a−bの各々は、エスカレーター1の乗客に対して、搭乗中において移動通信端末の使用ができない旨を音声で通知する。制御部53の不揮発性メモリには、例えば、「エスカレーターにお乗りになっている間は、携帯電話やスマートフォン等の移動通信端末の通信はできません」なる音声の音声データが記憶されている。ポール33、33の間を通過する乗客が人感センサ31で検知されると、制御部53は、当該音声データを報知部57a−bに周期的に送信し、妨害電波発生部55a−fが作動している間、上記の音声が、報知部57a−bのスピーカから周期的に再生される。
【0035】
次に、エスカレーター1における通信抑止装置51を用いた通信抑止処理について、具体的に説明する。図4は、通信抑止装置51の制御部53が実行する通信抑止処理の流れを示すフローチャートである。まず、制御部53(のCPU)は、人感センサ31でエスカレーター1に搭乗する乗客が検知された否かを判定する(ステップS010)。エスカレーター1の乗り場のポール33、33に設けられた人感センサ31が、ポール33、33間を乗客が通過することで、人感センサ31(より詳細には、人感センサ31の受光部37)から受光部37で受信している投光部35からの赤外線が途切れた旨の通知、つまり乗客を検知した旨の通知を受けると、人感センサ31で乗客が検知されたと判定する。ステップS010の判定結果がNoである間は、当該ステップS010が繰り返される。
【0036】
ステップS010の判定結果がYesになると、エスカレーター1では移動通信端末が使用できない旨の乗客への報知が開始される(ステップS020)。ステップS020では、制御部53は、報知部57a−bを作動させると共に、不揮発性メモリに記憶されている上述した報知用の音声データを報知部57a−bに送る。そして、報知部57a−bによって、「エスカレーターにお乗りになっている間は、携帯電話やスマートフォン等の移動通信端末の通信はできません」なる音声が再生される。当該音声の再生は、所定の周期で繰り返し行われる。
【0037】
ステップS010の判定結果がYesになると、通信抑止装置51の制御部53では、ステップS020が実行されるが、その一方で、人感センサ31からの通知を受けてエスカレーター1の制御装置25は、踏み板13の循環走行を開始する。
【0038】
ステップS020の後、制御部53は、妨害電波発生部55a−fを作動させる(ステップS030)。ステップS030が実行されることで、妨害電波発生部55a−fの各々から通信妨害電波Rが放射される。制御部53には、時間計測用カウンタが設けられており(図示せず)、ステップS030の後、制御部53は、カウンタの値Tmを0にリセットして(ステップS040)、カウンタに計時を開始させる(ステップS050)。
【0039】
ステップS050の後、制御部53は、ステップS010と同様にして、人感センサ31でエスカレーター1に搭乗する乗客が検知された否かを判定する(ステップS060)。ステップS060の判定結果がYesである場合、ステップS040及びステップS050が再度実行される。ステップS060の判定結果がNoである場合、制御部53は、カウンタの値Tmが所定の閾値を超えたか否かを判定する(ステップS070)。ステップS070の判定結果がNoである場合、ステップS060が再度実行される。
【0040】
所定の閾値は、乗客がポール33、33を通過して、エスカレーター本体11に搭乗して、降り場まで搬送されるのに要すると想定される時間を考慮して決定され、例えば、当該時間と同じ時間に、或いは、当該時間よりも若干長めの時間に設定される。また、当該閾値は、エスカレーター1の制御装置25がエスカレーター1に乗客がいないと判定する上述の所定の時間と同じ値又はそれに近い値となる。
【0041】
ステップS070でYesと判定されると、エスカレーター1に搭乗中の乗客、及び、ポール33、33を通過してエスカレーター1に搭乗しようとしている乗客は存在していないと判断できるので、制御部53は、カウンタによる計時を終了すると共に(ステップS080)、妨害電波発生部55a−fの動作を停止させる(ステップS090)。ステップS090の後、制御部53は、報知部57a−bの動作を停止させて、音声による乗客への報知を停止する(ステップS100)。ステップS100の後、ステップS010及びそれ以降のステップが再度実行される。
【0042】
ステップS070の判定結果がYesになると、通信抑止装置51の制御部53では、ステップS080乃至S100が実行されるが、その一方で、エスカレーター1の制御装置25は、妨害電波発生部55a−fや報知部57a−bの停止と同じタイミングで或いはそれと多少前後して踏み板13の循環走行を停止させる。
【0043】
ステップS010で乗客が検知された後、ステップS050が実行されてから所定の閾値内に次の乗客が人感センサ31で検知されないケースでは、ステップS010乃至ステップS100が、ステップS060からステップS040に戻ることなく実行される。ステップS010で乗客が検知された後、所定の閾値内に次の乗客が人感センサ31で検知されるケースでは、ステップS060からステップS040に戻って、カウンタの値Tmが0にリセットされて、ステップS050で計時が開始される。その後、所定の閾値内にさらに次の乗客が人感センサ31で検知されない場合、ステップS060乃至S100が、ステップS060からステップS040に戻ることなく実行される。所定の閾値内にさらに次の乗客が人感センサ31で検知された場合には、ステップS060からステップS040に戻って、カウンタの値Tmが0にリセットされて、ステップS050及びそれ以降のステップが実行される。
【0044】
例えば、図1にて、エスカレーター1の乗り場のポール33、33の左側に示されている移動通信端末Xを有する乗客Pが、ポール33、33の間を通過すると、乗客Pが人感センサ31で検知されて、図4に示したステップS010乃至S050が実行される。報知部57a−bからは、搭乗中において移動通信端末の使用ができない旨を乗客Pに報知する音声が繰り返し再生される。妨害電波発生部55a−fが動作することで、図3に示すように、エスカレーター本体11へと進む乗客Pの移動通信端末Xが少なくとも上記想定領域Z内に入ると、妨害電波発生部55aから放射された通信妨害電波Rを受信することで移動通信端末Xの通信が抑制される。また、人感センサ31による乗客Pの検知を受けて、エスカレーター1が運転を開始して、踏み板13が循環走行を開始する。
【0045】
移動通信端末Xを有する乗客Pは、ある踏み板13に載って、踏み板13の走行に伴って、下階Aから上階Bへと移動する。図5は、乗客Pがエスカレーター1で搬送される途中の模様を示している。図5に示すように、搭乗又は搬送中、乗客Pの移動通信端末Xは、想定領域Z内に入っており、妨害電波発生部55a−fの少なくとも何れかから放射された通信妨害電波Rを受信することで、移動通信端末Xの通信機能は抑止される。
【0046】
例えば、次の乗客が人感センサ31で検知されずに乗客Pがエスカレーター1の降り場に到達すると、ステップS060にてNoと判定され、さらには、ステップS070にて、カウンタの値Tmが所定の閾値を超えたと判定されて、ステップS080、さらにはステップS090が実行される。これによって妨害電波発生部55a−fが停止して通信妨害電波Rの放射が終了し、ステップS100が実行されて報知部57a−bが停止して音声の再生が終了する。また、エスカレーター1の制御装置25は、踏み板13の循環走行を停止させる。
【0047】
このようにして、本発明の本実施形態では、人感センサ31を用いて乗客を検知して運転状態を変更するエスカレーター1の動作と連動して、搭乗中における乗客による移動通信端末の使用が実効的に抑制される。
【0048】
上記実施形態では、妨害電波発生部55a−fは、指向性アンテナを介して通信妨害電波を放射しているが、エスカレーター1が設置される施設の構成等の関係で許容される場合(例えば、エスカレーター1の周囲に広いデッドスペースがある場合)、等方的に通信妨害電波を放射する妨害電波発生部が、本発明の実施形態にて使用されてよい。また、指向性と等方性の妨害電波発生部が組み合わされて使用されてもよい。
【0049】
上記実施形態では、妨害電波発生部55a−fは、エスカレーター1の乗り場及び降り場の上方とエスカレーター本体11の上方とに配置されているが、先にも述べたように、本発明において、妨害電波発生部の配置場所は上記実施形態に限定されない。例えば、エスカレーター本体11の左右に対向配置された妨害電波発生部の対が、エスカレーター本体11の搬送方向に沿って複数設けられてもよい。
【0050】
上記実施形態では、報知部57a−bは、搭乗中において移動通信端末の使用ができない旨を音声で乗客に告げているが、報知部57a−bは表示手段を有しており、その旨を(文字を表示して)視覚的に乗客に示してもよい。また、音声で報知する報知部と、視覚的に報知する報知部とが組み合わされて使用されてもよい。
【0051】
上記実施形態では、人感センサ31による乗客の検知に基づいて踏み板13の循環走行を開始又は停止するエスカレーター1の動作と連動して、妨害電波発生部55a−fと報知部57a−bが作動しているが、踏み板13が常時循環走行しているエスカレーターや、乗客が搭乗していないと判断される場合には低速運転を行うようなエスカレーターに本発明が適用されてもよい。
【0052】
上記実施形態では、ポール33、33に設けられており、投光部35及び受光部37を備える人感センサ31を用いてエスカレーター1に搭乗する乗客を検知しているが、インレット部に設けられた人感センサであってもよい。また、本発明における乗客の検知手段は、この種の人感センサに限定されず、乗客を検知可能な任意の手段が使用されてよい。例えば、エスカレーターの乗り場の乗降板の下に設けた重量センサが乗客の検知に使用されてよく、エスカレーターを駆動する電動機の電流の変動に基づいて乗客が検知されてもよい。
【0053】
上記実施形態のエスカレーター1は、上りエスカレーターへの本発明の適用例を説明するものであるが、本発明は、下りエスカレーターにも適用できることは明らかである。また、本発明は、複数のエスカレーターの組合せに適用されてよく、この場合、本発明に係る通信抑止手段は、複数のエスカレーターの少なくとも何れかのエスカレーターに乗客が存在していると判定されている間、通信妨害電波を放射し、当該通信妨害電波によって移動通信端末の通信が抑制される範囲には、各乗客コンベアが備える複数の踏み板のうち送り側に位置する踏み板の列の上方に位置する領域が含まれてよい。
【0054】
図6は、本発明の第2実施形態であって、併設された2つのエスカレーターの概要を示す平面図である。本発明の第2実施形態では、先の実施例で説明した上りエスカレーター1の横に、上階Bから下階Aへと乗客を搬送する下りエスカレーター1’が設けられている。下りエスカレーター1’は、無端状に連結されて移動する複数の踏み板13’と、これらの踏み板13'が取り付けられたチェーン(図示せず)や手摺りとして使用されるハンドレール17’等を備えているエスカレーター本体1’と、エスカレーター1’を運転するために使用される電動機、制動装置及び制御装置(何れも図示せず)等を備えており、当該制御装置によって、上りエスカレーター1と同様に運転制御される。
【0055】
一対のポール33’、33’が、エスカレーター本体11’の機械幅方向に離間して、エスカレーター1’の乗り場側に立設されており、人感センサ31’が、これらポール33’、33’に設けられている。人感センサ31’は、一方のポール33’に設けられた投光部35と、他方のポール33’に設けられた受光部37’とを備えており、投光部35’から受光部37’に向けて、例えば赤外線L’が常時放射されている。
【0056】
本発明の第2実施形態でも、本発明の第1実施形態と同様な通信抑止装置51が設けられており、通信抑止装置51は、制御部53と、制御部53に接続された妨害電波発生部55a−f及び報知部57a−bとを備えている(図1参照)。しかしながら、第2実施形態では、人感センサ31’(の受光部37’)が制御部53に接続され、さらには、妨害電波発生部55a−f及び報知部57a−bの配置や構成の変更や制御部53が行う通信抑止処理の変更がなされている。
【0057】
本発明の第2実施形態では、上りエスカレーター1に対して上述した想定領域Zが設定されると共に、下りエスカレーター1’に対しても、下りエスカレーター1’の乗客が所持する移動通信端末が存在すると想定される想定領域Z’が設定されている。想定領域Z’は、想定領域Zと同様にして決定されてよく、例えば、エスカレーター本体11’踏み板13’が走行している間の任意の時点にて、送り側に位置しており、上側に露出している踏み板13'の列を構成する踏み板13’の各々について、上向きに露出している各矩形又は略矩形の上面を鉛直方向に、想定領域Zに関して先に言及したように第1距離H1から第2距離H2まで平行移動させることで規定される直方体状の空間(空間Yに相当)を含むように定められる。想定領域Z’は、エスカレーター本体11’の機械幅方向について、踏み板13’の上面W’の幅よりも若干大きくされる。また、第2実施形態では、図6に示すように、想定領域Zは、下りエスカレーター1’の乗り場(より具体的には、ポール31’,31’の近傍)と、下りエスカレーター1’の降り場の近傍とにまで及ぶように決定されている。
【0058】
第1実施形態と同様に、妨害電波発生部55a−fは、妨害電波発生部55a−fの通信抑止エリアが、部分的に重畳するように配置及び構成されている。それら通信抑止エリアは全体として、エスカレーター本体11の複数の踏み板13のうち送り側に位置する踏み板13の列の上方に位置する第1領域と、エスカレーター本体11’の複数の踏み板13’のうち送り側に位置する踏み板13’の列の上方に位置する第2領域とを含むように構成されており、第1領域は想定領域Zを、第2領域は想定領域Z’を含んでいる。
【0059】
図7は、本発明の第2実施形態において、通信抑止装置51の制御部53が実行する通信抑止処理の流れを示すフローチャートである。図7に示されているステップS110乃至S200は、図4に示したステップS010乃至S100に夫々対応しているが、ステップS110とステップS160では、エスカレーター1の人感センサ31とエスカレーター1’の人感センサ31’の何れかで搭乗する乗客を検知したか否かについて制御部53で判定される点で、第1実施形態における通信抑止処理と異なっている。このように構成されることで、本発明の第2実施形態では、通信抑止装置51の制御部53にて、上りエスカレーター1と下りエスカレーター1’の少なくとも何れかに乗客が搭乗していると判定されている間、妨害電波発生部55a−fと報知部57a−bが動作する。
【0060】
上りエスカレーター1の制御装置25は、第1実施形態に関連して述べたように、人感センサ31で乗客が検知されると、踏み板13の循環走行を開始又は再開し、エスカレーター1の乗客がいないと判断すると、踏み板13の循環走行を停止する。また、下りエスカレーター1’の制御装置(図示せず)も、上りエスカレーター1と同様にして、人感センサ31’で乗客が検知されると、踏み板13’の循環走行を開始又は再開し、エスカレーター1’の乗客がいないと判断すると、踏み板13’の循環走行を停止する。従って、第2実施形態では、上りエスカレーター1及び下りエスカレーター1’の少なくとも一方で踏み板の循環走行が継続して行われている期間にほぼ対応した期間、妨害電波発生部55a−fと報知部57a−bが動作する。
【0061】
上りエスカレーター1と下りエスカレーター1’の各々に、通信抑止装置51を設けることも可能であるが、第2実施形態は、上りエスカレーター1と下りエスカレーター1’の両方の乗客の移動通信端末の通信を、1つの通信抑止装置51で抑制しており、コスト低減の点で好ましい。
【0062】
図1図2図3図5及び図6は、本発明を説明するためのものであって、踏み板13や妨害電波発生部55a−fなどの実施形態のエスカレーター1の各種構成要素祠や領域Zの形状、相対位置、寸法比などが厳密に反映されたものではない。また、図4及び図7のフローチャートに示した通信抑止処理では、幾つかのステップの順番が変更されてもよいことに留意のこと(例えば、ステップS030の後にステップS040が実行されてよい)。
【0063】
本発明の適用対象となる乗客コンベアは、エスカレーターに限定されず、例えば、動く歩道に本発明が適用されてもよい。また、本発明の適用対象となる複数の乗客コンベアの組合せは、複数のエスカレーターの組合せに限定されず、例えば、複数の動く歩道の組合せに本発明が適用されてもよい。
【0064】
上記の実施形態の説明では、本発明により通信が抑制される移動通信端末の例として携帯電話とスマートフォンを例示したが、本発明によって通信を抑制される移動通信端末はこれらには限定されず、通信機能を備えたタブレット端末や通信機能を備えたPDA(Personal Digital Assistant)、通信機能を備えた携帯型ゲーム機であってもよい。また、乗客コンベアが設置されている施設に無線LANの無線アクセスポイント装置が設けられている場合には、乗客コンベアの乗客の移動通信端末と当該無線アクセスポイント装置との間の通信を抑制するために、無線アクセスポイント装置からの通信信号と同一の周波数の通信妨害電波を妨害電波発生部に発信又は放射させるようにすればよい。
【0065】
上記説明は、本発明を説明するためのものであって、特許請求の範囲に記載の発明を限定し、或は範囲を減縮する様に解すべきではない。又、本発明の各部構成は上記実施形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0066】
1 エスカレーター
1’ エスカレーター
11 エスカレーター本体
11’エスカレーター本体
13 踏み板
13’踏み板
31 人感センサ
31’人感センサ
51 通信抑止装置
55a−f 妨害電波発生部
57a−b 報知部
P 乗客
R 通信妨害電波
X 移動通信端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7