特許第6642871号(P6642871)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642871
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】放射線検出器
(51)【国際特許分類】
   G01T 7/00 20060101AFI20200130BHJP
   G01T 1/24 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   G01T7/00 A
   G01T1/24
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-48147(P2016-48147)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-161444(P2017-161444A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2019年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】710002462
【氏名又は名称】セイコー・イージーアンドジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(72)【発明者】
【氏名】板津 英輔
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−279977(JP,A)
【文献】 特開平04−256886(JP,A)
【文献】 特開平07−084058(JP,A)
【文献】 特開2015−175658(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0202174(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01T 7/00
G01T 1/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出部と、
前記検出部に熱的に接続される伝熱部と、
前記検出部および前記伝熱部を収容するクライオスタットと、
前記クライオスタットにおいて前記検出部が収容される部位と前記部位を取り囲むように配置される遮蔽体において前記部位が挿入される孔部との間に装着される振動吸収部材と、
を備える、
ことを特徴とする放射線検出器。
【請求項2】
検出部と、
前記検出部に熱的に接続される伝熱部と、
前記検出部および前記伝熱部を収容するクライオスタットと、
前記クライオスタットにおいて前記伝熱部が収容される第1部位と前記クライオスタットにおいて前記検出部が収容される第2部位を取り囲むように配置される遮蔽体において前記第1部位が挿入される孔部との間に装着される振動吸収部材と、
を備える、
ことを特徴とする放射線検出器。
【請求項3】
検出部と、
前記検出部に熱的に接続される伝熱部と、
前記検出部および前記伝熱部を収容するクライオスタットと、
前記クライオスタットにおいて前記伝熱部が収容される部位に設けられる固定部材と、
前記伝熱部を冷却する冷却部において前記固定部材を支持する支持部と、
前記固定部材と前記支持部との間に装着される振動吸収部材と、
を備える、
ことを特徴とする放射線検出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、放射線検出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体窒素または冷凍機による冷却が必要な放射線検出器において、液体窒素の沸騰または冷凍機の作動に起因する振動を伝達する部位を合金の制振材料により形成することで、マイクロフォニックノイズを低減する放射線検出器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−260261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係る放射線検出器によれば、放射線検出器において振動を伝達する部位を、汎用の材料から換えて特別な制振材料により形成する必要があり、構成に要する費用が嵩むという問題が生じる。また、放射線検出器を形成する材料には、振動減衰性に加えて、真空保持性、形状多様性、加工容易性、および溶接容易性などが必要とされることから、制振材料として合金を用いているので、振動減衰性を向上させることが難しいという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、振動減衰性を簡易に向上させることによって、マイクロフォニックノイズを低減することが可能な放射線検出器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明は以下の態様を採用した。
(1)本発明の一態様に係る放射線検出器は、検出部と、前記検出部に熱的に接続される伝熱部と、前記検出部および前記伝熱部を収容するクライオスタットと、前記クライオスタットにおいて前記検出部が収容される部位と前記部位を取り囲むように配置される遮蔽体において前記部位が挿入される孔部との間に装着される振動吸収部材と、を備える。
【0007】
(2)本発明の一態様に係る放射線検出器は、検出部と、前記検出部に熱的に接続される伝熱部と、前記検出部および前記伝熱部を収容するクライオスタットと、前記クライオスタットにおいて前記伝熱部が収容される第1部位と前記クライオスタットにおいて前記検出部が収容される第2部位を取り囲むように配置される遮蔽体において前記第1部位が挿入される孔部との間に装着される振動吸収部材と、を備える。
【0008】
(3)本発明の一態様に係る放射線検出器は、検出部と、前記検出部に熱的に接続される伝熱部と、前記検出部および前記伝熱部を収容するクライオスタットと、前記クライオスタットにおいて前記伝熱部が収容される部位に設けられる固定部材と、前記伝熱部を冷却する冷却部において前記固定部材を支持する支持部と、前記固定部材と前記支持部との間に装着される振動吸収部材と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
上記(1)に記載の態様に係る放射線検出器によれば、クライオスタットにおいて検出部が収容される部位は、周辺環境からの振動の影響を受け難い遮蔽体と振動吸収部材によって結合されるので、検出部に音響的振動が伝達されることを抑制することができる。例えば、クライオスタットに収容される伝熱部を冷却する液体窒素の沸騰または冷凍機の作動に起因する振動、もしくは周辺環境の振動などが検出部に伝達されることを抑制して、検出部の分解能を向上させることができる。
振動吸収部材は、クライオスタットにおいて検出部が収容される部位と遮蔽体の孔部との間に装着されるので、既存の放射線検出器の内部構成および遮蔽体の構成を変更すること無しに、所望の振動減衰性を確保することができる。
【0011】
上記(2)に記載の態様に係る放射線検出器によれば、クライオスタットにおいて伝熱部が収容される第1部位は、周辺環境からの振動の影響を受け難い遮蔽体と振動吸収部材によって結合されるので、検出部に音響的振動が伝達されることを抑制することができる。例えば、クライオスタットに収容される伝熱部を冷却する液体窒素の沸騰または冷凍機の作動に起因する振動、もしくは周辺環境の振動などが検出部に伝達されることを抑制して、検出部の分解能を向上させることができる。
振動吸収部材は、クライオスタットにおいて伝熱部が収容される第1部位と遮蔽体の孔部との間に装着されるので、既存の放射線検出器の内部構成および遮蔽体の構成を変更すること無しに、所望の振動減衰性を確保することができる。
【0012】
上記(3)に記載の態様に係る放射線検出器によれば、クライオスタットにおいて伝熱部が収容される部位は、振動源である冷却部と振動吸収部材によって結合されるので、検出部に音響的振動が伝達されることを抑制することができる。例えば、クライオスタットに収容される伝熱部を冷却する液体窒素の沸騰または冷凍機の作動に起因する冷却部の振動、もしくは周辺環境の振動などが検出部に伝達されることを抑制して、検出部の分解能を向上させることができる。
振動吸収部材は、クライオスタットの固定部材と冷却部の支持部との間に装着されるので、既存の放射線検出器の内部構成および冷却部の構成を変更すること無しに、所望の振動減衰性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る放射線検出器の構成図である。
図2図1に示す放射線検出器のクライオスタットにおいて検出部を収容する部位を拡大して示す図である。
図3図1に示す放射線検出器のクライオスタットにおいて伝熱部を収容する部位を拡大して示す図である。
図4】本発明の実施形態の第1変形例に係る放射線検出器の構成図である。
図5図4に示す放射線検出器のクライオスタットにおいて伝熱部を収容する部位を拡大して示す図である。
図6】本発明の実施形態の第2変形例に係る放射線検出器の構成図である。
図7】本発明の実施形態の第3変形例に係る放射線検出器の構成図である。
図8図7に示す放射線検出器のデュワーにおいて冷凍機の冷却部を収容する部位を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る放射線検出器について添付図面を参照しながら説明する。
本実施形態による放射線検出器10は、図1および図2に示すように、箱型の放射線遮蔽体11の内部において試料または線源から放出される放射線を検出する。
放射線検出器10は、例えばゲルマニウム半導体検出器またはシリコン半導体検出器などの半導体検出器である。
【0016】
放射線検出器10は、例えば垂直型のクライオスタット21を備えている。クライオスタット21の先端部には、放射線の入射窓を有するエンドキャップハウジング21aが設けられている。エンドキャップハウジング21aの内部の真空領域には、放射線に対して有感なゲルマニウム結晶またはシリコン結晶などの半導体結晶22が保持されている。半導体結晶22は、放射線検出器10の検出部10aを構成している。
半導体結晶22に形成された結晶電極は、保護カバー23によって覆われた電荷型前置増幅器24に接続されている。電荷型前置増幅器24は、半導体結晶22に入射した放射線のエネルギーに対応する波高値を有する出力信号パルスを、外部に露出した出力端子から出力する。
【0017】
放射線遮蔽体11は、放射線検出器10のエンドキャップハウジング21aと、測定対象である試料または線源を保持する容器を内部に収容して、放射線検出器10の検出部10aをバックグラウンド放射線から遮蔽する。放射線遮蔽体11の形状は、複数の部材によって構成された箱型に形成されている。放射線遮蔽体11は、例えば、鉛を有する鉛遮蔽部と、鉛遮蔽部の表面を被覆するように設けられた鋼材からなる鋼材遮蔽部と、鋼材遮蔽部の表面を被覆する腐食防止用などの非導電性の塗膜と、を備えている。放射線遮蔽体11は、例えば、無酸素銅からなる第1内張と、アクリルなどの樹脂からなる第2内張とを、内面上に備えている。
放射線遮蔽体11には、放射線検出器10のエンドキャップハウジング21aが挿入される貫通孔11aが形成されている。
【0018】
放射線検出器10は、エンドキャップハウジング21aおよび保護カバー23に装着される第1振動吸収部材25を備えている。第1振動吸収部材25は、エンドキャップハウジング21aおよび保護カバー23の各外面と放射線遮蔽体11の貫通孔11aの内面との間に配置される。第1振動吸収部材25は、例えばゲル状のシリコン樹脂などである。第1振動吸収部材25の針入度は、例えば50から300程度である。
【0019】
放射線検出器10のクライオスタット21は、検出部10aに熱的に接続される伝熱部10bを内部に収容している。伝熱部10bは、デュワー26の内部に貯溜される液体窒素に浸漬される銅からなる冷却棒および伝熱部材などを備えている。伝熱部10bは、検出部10aを熱的な接触により冷却する。伝熱部10bは、例えば鉛直方向に伸びるクライオスタット21の内部において、検出部10aから鉛直方向下方に向かい伸びるように配置されている。
【0020】
デュワー26は、図3に示すように、デュワー26の内部に通じる開口部27aが形成されたデュワーフランジ27を備えている。デュワーフランジ27の開口部27aには、クライオスタット21において伝熱部10bを収容する部位の少なくとも一部が挿入されている。
デュワーフランジ27には、クライオスタット21を支持するための支持部28が、例えばボルトなどの締結部材28aによって固定されている。支持部28の形状は、例えば円環状に形成されている。支持部28の内周面と、支持部28に挿入されるクライオスタット21との間には、デュワー26の内部とクライオスタット21との間の気密を封止するためのガスケット29が配置されている。ガスケット29は、例えば、所望の振動吸収性を有する材質によって形成されてもよい。
【0021】
支持部28は、クライオスタット21において伝熱部10bを収容する部位21bに設けられる固定部材30を支持する。クライオスタット21において伝熱部10bを収容する部位21bは、エンドキャップハウジング21aよりも細く形成されている。固定部材30は、例えば円環状に形成された金具などである。クライオスタット21は、伝熱部10bを収容する部位21bの少なくとも一部が支持部28およびデュワーフランジ27の開口部27aに挿入された状態で固定部材30が支持部28に載置されることによって支持される。
【0022】
放射線検出器10は、クライオスタット21の固定部材30と、デュワーフランジ27に固定された支持部28との間に第2振動吸収部材31を備えている。第2振動吸収部材31は、例えばゲル状のシリコン樹脂などである。第2振動吸収部材31の針入度は、例えば50から300程度である。第2振動吸収部材31の針入度は、例えば第1振動吸収部材25の針入度と同等または第1振動吸収部材25の針入度よりも小さく設定されてもよい。
【0023】
放射線遮蔽体11は、架台41に載置されている。架台41は、腐食防止用などの非導電性の塗膜によって被覆された表面を有する鋼材などによって箱型に形成されている。架台41は、デュワー26を内部に収容している。
架台41は、ベース42に載置されている。ベース42の形状は、腐食防止用などの非導電性の塗膜によって被覆された表面を有する鋼材などによって板状に形成されている。ベース42は、表面上に載置された架台41を支持する。
【0024】
架台41の内部において、アルミニウムなどの金属によって板状に形成された検出器台43は、表面上に載置された振動吸収部材44および遮蔽部材45を介してデュワー26を支持する。第3振動吸収部材44は、例えばゲル状のシリコン樹脂などである。第3振動吸収部材44の針入度は、例えば50から300程度である。遮蔽部材45は、電気的な絶縁性と放射線に対する遮蔽性とを有するシート状に形成されている。
高さ調整機構46は、検出器台43の鉛直方向の高さ位置を調整可能である。
スライド機構47は、検出器台43の水平方向のスライド移動によって、放射線検出器10のデュワー26を架台41の内部に搬入および内部から搬出する。
【0025】
上述したように、本実施の形態による放射線検出器10によれば、クライオスタット21において検出部10aが収容されるエンドキャップハウジング21aは、周辺環境からの振動の影響を受け難い放射線遮蔽体11と第1振動吸収部材25によって結合されるので、検出部10aに音響的振動が伝達されることを抑制することができる。例えば、クライオスタット21に収容される伝熱部10bを冷却する液体窒素の沸騰などに起因する振動、もしくは周辺環境の振動などが検出部10aに伝達されることを抑制して、検出部10aの分解能を向上させることができる。
第1振動吸収部材25は、エンドキャップハウジング21aおよび保護カバー23と放射線遮蔽体11の貫通孔11aとの間に装着されるので、既存の放射線検出器10の内部構成および放射線遮蔽体11の構成を変更すること無しに、所望の振動減衰性を確保することができる。
【0026】
クライオスタット21において伝熱部10bが収容される部位21bは、振動源であるデュワー26と第2振動吸収部材31によって結合されるので、検出部10aに音響的振動が伝達されることを抑制することができる。例えば、クライオスタット21に収容される伝熱部10bを冷却する液体窒素の沸騰に起因するデュワー26の振動、もしくは周辺環境の振動などが検出部10aに伝達されることを抑制して、検出部10aの分解能を向上させることができる。
第2振動吸収部材31は、クライオスタット21の固定部材30とデュワー26の支持部28との間に装着されるので、既存の放射線検出器10の内部構成およびデュワー26の構成を変更すること無しに、所望の振動減衰性を確保することができる。
【0027】
なお、上述した実施の形態において、放射線検出器10は、エンドキャップハウジング21aおよび保護カバー22aに装着される第1振動吸収部材25を備えるとしたが、これに限定されない。
上述した実施形態の第1変形例において、放射線検出器10は、図4および図5に示すように、クライオスタット21において伝熱部10bを収容する部位21bに装着される第4振動吸収部材51を備えてもよい。放射線検出器10のエンドキャップハウジング21aおよび保護カバー22aは、放射線遮蔽体11の貫通孔11aから放射線遮蔽体11の内部に突出するように配置されている。クライオスタット21において伝熱部10bを収容する部位21bは、放射線遮蔽体11の貫通孔11aに挿入されている。第4振動吸収部材51は、クライオスタット21において伝熱部10bを収容する部位21bの外面と放射線遮蔽体11の貫通孔11aの内面との間に配置される。第4振動吸収部材51は、例えばゲル状のシリコン樹脂などである。第4振動吸収部材51の針入度は、例えば50から300程度である。
保護カバー23の下面23aと放射線遮蔽体11の内側底面11bとの間には、所定の間隔が設けられていることによって、エンドキャップハウジング21aに試料の容器が載置された場合などにおけるエンドキャップハウジング21aおよび保護カバー23の所定の沈み込みを許容している。
【0028】
第1変形例によれば、クライオスタット21において伝熱部10bが収容される部位21bは、周辺環境からの振動の影響を受け難い放射線遮蔽体11と第4振動吸収部材51によって結合されるので、検出部10aに音響的振動が伝達されることを抑制することができる。第4振動吸収部材51は、クライオスタット21において伝熱部10bが収容される部位21bと放射線遮蔽体11の貫通孔11aとの間に装着されるので、既存の放射線検出器10の内部構成および放射線遮蔽体11の構成を変更すること無しに、所望の振動減衰性を確保することができる。
【0029】
なお、上述した実施の形態において、デュワー26の内部に貯溜される液体窒素は、クライオスタット21に収容される伝熱部10bを冷却するとしたが、これに限定されない。
上述した実施形態の第2変形例において、デュワー26の内部に貯溜される液体窒素は、電気冷却装置60によって冷却されてもよい。電気冷却装置60は、図6に示すように、液体窒素が貯留されるデュワー26の本体と、デュワーフランジ27との間に配置されている。クライオスタット21において伝熱部10bを収容する部位21bの少なくとも一部は、順次、支持部28、デュワーフランジ27、および電気冷却装置60を介して、デュワー26の本体の内部に挿入されている。
第2変形例によれば、クライオスタット21において伝熱部10bが収容される部位21bは、振動源であるデュワー26および電気冷却装置60と第2振動吸収部材31によって結合されるので、検出部10aに音響的振動が伝達されることを抑制することができる。例えば、クライオスタット21に収容される伝熱部10bを冷却する液体窒素の沸騰または電気冷却装置60の作動に起因する振動、もしくは周辺環境の振動などが検出部10aに伝達されることを抑制して、検出部10aの分解能を向上させることができる。
【0030】
なお、上述した実施の形態において、放射線検出器10は、デュワー26の内部に貯溜される液体窒素を冷却する冷凍機70を備える場合には、冷凍機70とデュワー26との間に配置される第5振動吸収部材71を備えてもよい。
上述した実施形態の第3変形例において、放射線検出器10は、図7および図8に示すように、デュワー26の上部に装着される冷凍機70を備えている。冷凍機70は、例えば、スターリング型パルス管冷凍機である。冷凍機70は、架台72に載置されている。架台72は、放射線遮蔽体11とともにベース42に載置されている。架台72は、デュワー26を内部に収容している。
冷凍機70の冷却部73は、支持部28の貫通孔28bおよびデュワーフランジ27の開口部27aに挿入されることによってデュワー26の内部に収容されている。冷却部73は、コールドヘッドおよび蓄冷器などを備えている。
第5振動吸収部材71は、冷凍機70の冷却部73の外面と、支持部28の貫通孔28bおよびデュワーフランジ27の開口部27aの各々の内面との間に配置されている。第5振動吸収部材71は、例えばゲル状のシリコン樹脂などである。第5振動吸収部材71の針入度は、例えば50から300程度である。
第3変形例によれば、デュワー26は振動源である冷凍機70と第5振動吸収部材71によって結合されるので、デュワー26を介して検出部10aに音響的振動が伝達されることを抑制することができる。
【0031】
なお、図7に示す第3変形例の放射線検出器10では、クライオスタット21において伝熱部10bを収容する部位21bは、水平方向に伸びて、放射線遮蔽体11の側面に設けられた貫通孔11cに挿入されている。伝熱部10bを収容する部位21bは、デュワー26の側面に設けられた開口部からデュワー26の内部に収容されている。クライオスタット21のエンドキャップハウジング21aは、放射線遮蔽体11の内部において鉛直方向の上方に向かって伸びるように配置されている。クライオスタット21において伝熱部10bを収容する部位21bの外面と放射線遮蔽体11の貫通孔11cの内面との間には、第4振動吸収部材51が配置されている。
【0032】
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0033】
10…放射線検出器、10a…検出部、10b…伝熱部、11…放射線遮蔽体、11a…貫通孔、21…クライオスタット、21a…エンドキャップハウジング、23…保護カバー、25…第1振動吸収部材、26…デュワー、27…デュワーフランジ、28…支持部、29…ガスケット、30…固定部材、31…第2振動吸収部材、41…架台、43…検出器台、44…第3振動吸収部材、45…遮蔽部材、51…第4振動吸収部材、60…電気冷却装置、70…冷凍機、71…第5振動吸収部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8