(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ロータリバルブは、一端が前記ロータリバルブの外周面に開口するとともに他端が前記流出用貫通穴へ開口する第1排出穴と、一端が前記ロータリバルブの外周面に開口するとともに他端が前記流入用貫通穴へ開口する第2排出穴とを有し、
前記開閉機構が前記ロータリバルブを前記閉状態とした場合、前記第1排出穴が前記流出用貫通穴の下方で前記第2液体流出流路と連通し、前記第2排出穴が前記流入用貫通穴の下方で前記第2液体流入流路と連通する請求項1に記載のコネクタ。
前記ソケット本体は、前記開閉機構が前記ロータリバルブを前記閉状態とした場合に前記流出用貫通穴と前記流入用貫通穴とを連通させる連通穴を有する請求項2に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されるソケットは、ソケットに設けた弁体とプラグに設けた弁座の接触または離間により液体の流通状態を切り換える構造となっており、流路断面積が局所的に小さくなる箇所が存在するとともに弁体を閉状態に付勢する付勢機構を備えている。そのため、液体が研磨材等を含むスラリー(固体粒子が分散した懸濁液)である場合には、流路断面積が局所的に小さくなる箇所に固体粒子が付着し、液体の流通性を悪化させてしまう。また、弁体の付勢機構に固体粒子が付着して凝固すると、弁体の開閉が円滑に行われなくなる。
また、特許文献1に開示されるソケットは、内部に形成される液体戻り流路を開閉する機構を備えていない。そのため、ソケットをプラグから取り外す際に、液体戻り流路に存在する液体が外部へ流出してしまう。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、液体収納容器に収納される液体が固体粒子を含むスラリーであっても液体の流通性を悪化させず、かつプラグから取り外す際に液体が外部へ流出することを抑制したソケットおよびそれを備えたコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明の一態様にかかるコネクタは、第1軸線回りに円筒形状に形成された開口部が上面に設けられた液体収納容器に取り付けられ、前記開口部に固定されるプラグと、前記プラグに着脱可能に取り付けられるソケットと、を備え、前記プラグは、前記液体収納容器に収容された液体を取り出す第1液体流出流路と、前記液体収納容器の外部から流入する液体を前記液体収納容器の内部へ導く第1液体流入流路と、前記液体収納容器の内部空間と前記液体収納容器の外部空間との間で外気を流通させる第1気体流路が内部に形成されたプラグ本体を有し、前記ソケットは、前記第1液体流出流路から取り出される液体を外部へ流出させる第2液体流出流路と、前記液体収納容器の外部から流入する液体を前記第1液体流入流路へ導く第2液体流入流路と、前記第1気体流路に連結されるとともに前記内部空間と前記外部空間との間で外気を流通させる第2気体流路とが内部に形成され、前記第2液体流出流路および前記第2液体流入流路を貫通するように前記第1軸線と交差する第2軸線に沿って円柱状の挿入穴が形成されたソケット本体と、前記第2軸線上の前記第2液体流出流路が配置される位置に流出用貫通穴が形成されるとともに前記第2軸線上の前記第2液体流入流路が配置される位置に流入用貫通穴が形成され、前記挿入穴に挿入される円柱状のロータリバルブと、前記ロータリバルブを前記第2軸線回りに回転させ
ることにより、前記流出用貫通穴と前記第2液体流出流路とが連通しかつ前記流入用貫通穴と前記第2液体流入流路とが連通した開状態と、前記流出用貫通穴と前記第2液体流出流路とが連通せずかつ前記流入用貫通穴と前記第2液体流入流路とが連通しない閉状態とを切り替える開閉機構と、
前記ソケット本体を前記液体収納容器の前記開口部に固定するロック機構と、を有
し、前記開閉機構は、前記開状態において前記ロック機構により前記ソケット本体が前記開口部に固定された状態を解除不能とし、前記閉状態において前記ロック機構により前記ソケット本体が前記開口部に固定された状態を解除可能とするロック部材を有する。
【0007】
本発明の一態様にかかるコネクタによれば、例えば、ソケットがプラグに取り付けられた状態で、外部のポンプにより液体を吸入することにより、プラグの第1液体流出流路から取り出される液体がソケットの第2液体流通流路を介して外部へ流出する。また、外部のポンプにより循環する液体が、ソケットの第2液体流入流路を介してプラグの第1液体流入流路から液体収納容器の内部へ導かれる。また、液体収納容器に収容される液体の減少分を置換する量の外気が、ソケットの第2気体流路およびプラグの第1気体流路を介して、液体収納容器の外部空間から内部空間へ導かれる。
このように、本発明の第1態様にかかるコネクタは、液体収納容器に収容される液体の外部への流出と、外部へ流出して循環した液体の液体収納容器への流入と、液体収納容器に収容される液体の減少分に応じた外気の導入とが可能な構造となっている。
【0008】
ソケットに設けた弁体とプラグに設けた弁座の接触または離間により液体の流通状態を切り換える構造の場合、流路断面積が局所的に小さくなる箇所が存在するとともに弁体を閉状態に付勢する付勢機構を備える。そのため、液体が研磨材等を含むスラリー(固体粒子が分散した懸濁液)である場合には、流路断面積が局所的に小さくなる箇所に固体粒子が付着し、液体の流通性を悪化させてしまう。また、弁体の付勢機構に固体粒子が付着して凝固すると、弁体の開閉が円滑に行われなくなる可能性がある。
【0009】
それに対して、本発明の一態様にかかるコネクタによれば、ロータリバルブを開閉機構により開状態または閉状態に切り替えることにより、流出用貫通穴および流入用貫通穴を介して第2液体流出流路および第2液体流入流路に液体が流通する開状態と、流出用貫通穴および流入用貫通穴を介して第2液体流出流路および第2液体流入流路に液体が流通しない閉状態とを切り替えることができる。
そのため、流路断面積が局所的に小さくなる箇所に固体粒子が蓄積し、液体の流通性を悪化させてしまう不具合や、弁体の付勢機構に固体粒子が付着して弁の開閉が円滑に行われない不具合を抑制することができる。
また、開閉機構によりロータリバルブが閉状態とされるため、ソケットをプラグから取り外す際に、ソケットの内部に残存する液体が外部へ流出することを抑制することができる。
【0010】
本発明の一態様にかかるコネクタにおいて、前記ロータリバルブは、一端が前記ロータリバルブの外周面に開口するとともに他端が前記流出用貫通穴へ開口する第1排出穴と、一端が前記ロータリバルブの外周面に開口するとともに他端が前記流入用貫通穴へ開口する第2排出穴とを有し、前記開閉機構が前記ロータリバルブを前記閉状態とした場合、前記第1排出穴が前記流出用貫通穴の下方で前記第2液体流出流路と連通し、前記第2排出穴が前記流入用貫通穴の下方で前記第2液体流入流路と連通する構成であってもよい。
【0011】
本構成のコネクタによれば、開閉機構がロータリバルブを閉状態とした場合、流出用貫通穴に残存した液体が第1排出穴を介して第2液体流出流路へ導かれ、プラグを介して液体収納容器へ導かれる。また、流入用貫通穴に残存した液体が第2排出穴を介して第2液体流入流路へ導かれ、プラグを介して液体収納容器へ導かれる。そのため、液体収納容器に収納される液体が固体粒子を含むスラリーであっても、固体粒子が流出用貫通穴および流入用貫通穴に残存して凝固する不具合を抑制することができる。
【0012】
上記構成のコネクタにおいて、前記ソケット本体は、前記開閉機構が前記ロータリバルブを前記閉状態とした場合に前記流出用貫通穴と前記流入用貫通穴とを連通させる連通穴を有するものであってもよい。
このようにすることで、ソケットをプラグから取り外した後に第2液体流出流路、流出用貫通穴、連通穴、流入用貫通穴、第2液体流入流路の順に連通した液体流路が形成される。この液体流路に純水等の洗浄用の液体を流通させることにより、ソケットの内部に残存する固体粒子等を洗浄することができる。
【0013】
本発明の一態様にかかるソケットは、第1軸線回りに円筒形状に形成された開口部が上面に設けられた液体収納容器に取り付けられるソケットであって、前記開口部に固定されるプラグから取り出される液体を外部へ流出させる液体流出流路と、前記液体収納容器の外部から流入する液体を前記プラグへ導く液体流入流路と、前記液体収納容器の内部空間と前記液体収納容器の外部空間との間で外気を流通させる気体流路とが内部に形成され、前記液体流出流路および前記液体流入流路を貫通するように前記第1軸線と交差する第2軸線に沿って円柱状の挿入穴が形成されたソケット本体と、前記第2軸線上の前記液体流出流路が配置される位置に形成される流出用貫通穴と前記第2軸線上の前記液体流入流路が配置される位置に形成される流入用貫通穴とを有し、前記挿入穴に挿入される円柱状のロータリバルブと、前記ロータリバルブを前記第2軸線回りに回転させ
ることにより、前記流出用貫通穴と前記液体流出流路とが連通しかつ前記流入用貫通穴と前記液体流入流路とが連通した開状態と、前記流出用貫通穴と前記液体流出流路とが連通せずかつ前記流入用貫通穴と前記液体流入流路とが連通しない閉状態とを切り替える開閉機構と、
前記ソケット本体を前記液体収納容器の前記開口部に固定するロック機構と、を備え
、前記開閉機構は、前記開状態において前記ロック機構により前記ソケット本体が前記開口部に固定された状態を解除不能とし、前記閉状態において前記ロック機構により前記ソケット本体が前記開口部に固定された状態を解除可能とするロック部材を有する。
【0014】
本発明の一態様にかかるソケットによれば、プラグに取り付けられた状態で外部のポンプにより液体を吸入することにより、プラグから取り出される液体が液体流通流路を介して外部へ流出する。また、外部のポンプにより循環する液体が、液体流入流路を介してプラグから液体収納容器の内部へ導かれる。また、液体収納容器に収容される液体の減少分を置換する量の外気が、気体流路およびプラグを介して、液体収納容器の外部空間から内部空間へ導かれる。
このように、本発明の一態様にかかるソケットは、液体収納容器に収容される液体の外部への流出と、外部へ流出して循環した液体の液体収納容器への流入と、液体収納容器に収容される液体の減少分に応じた外気の導入とが可能な構造となっている。
【0015】
ソケットに設けた弁体とプラグに設けた弁座の接触または離間により液体の流通状態を切り換える構造の場合、流路断面積が局所的に小さくなる箇所が存在するとともに弁体を閉状態に付勢する付勢機構を備える。そのため、液体が研磨材等を含むスラリー(固体粒子が分散した懸濁液)である場合には、流路断面積が局所的に小さくなる箇所に固体粒子が付着し、液体の流通性を悪化させてしまう。また、弁体の付勢機構に固体粒子が付着して凝固すると、弁体の開閉が円滑に行われなくなる可能性がある。
【0016】
それに対して、本発明の一態様にかかるソケットによれば、ロータリバルブを開閉機構により開状態または閉状態に切り替えることにより、流出用貫通穴および流入用貫通穴を介して第2液体流出流路および第2液体流入流路に液体が流通する開状態と、流出用貫通穴および流入用貫通穴を介して第2液体流出流路および第2液体流入流路に液体が流通しない閉状態とを切り替えることができる。
そのため、流路断面積が局所的に小さくなる箇所に固体粒子が蓄積し、液体の流通性を悪化させてしまう不具合を抑制することができる。また、開閉機構により第2液体流入流路が閉状態とされるため、ソケットをプラグから取り外す際に、液体戻り流路に存在する液体が外部へ流出することを抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、液体収納容器に収納される液体が固体粒子を含むスラリーであっても液体の流通性を悪化させず、かつプラグから取り外す際に液体が外部へ流出することを抑制したソケットおよびそれを備えたコネクタを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態の液体供給システムについて図面を参照して説明する。
図1に示す本実施形態の液体供給システムは、液体収納容器400に収容される液体をポンプ600により吸引して複数の供給先装置700へ供給するシステムである。
各供給先装置700への液体の供給量は、供給先装置700に設けられた流量調整弁により調整される。ポンプ600により吸引された液体のうち、供給先装置700に供給されなかった残りの分は、循環量調整弁800を経由して再び液体収納容器400に戻される。
【0020】
このように、本実施形態の液体供給システムは、液体収納容器400から取り出された液体の一部を供給先装置700へ供給し、残りの液体を再び液体収納容器400に戻して循環させるようになっている。これは、液体収納容器400に収容される液体が、固体粒子が分散した懸濁液であるスラリーであるため、固体粒子が液体収納容器400の底部に沈殿しないようにするためである。
なお、液体供給システムが循環させる液体の流量は、循環量調整弁800の開度により調整される。
【0021】
ここで、本実施形態における液体として用いられるスラリーとは、例えば、半導体製造におけるウエハ研磨方法であるケミカル・メカニカル・ポリッシングに用いられるシリカ系あるいはセリア系の研磨材を含む液体である。
図1に示すように、本実施形態の液体供給システムが備える液体収納容器400は、液体を収容する容器本体420と、容器本体420の上面に設けられ軸線X1(第1軸線)回りに円筒形状に形成された開口部410とを備える。
【0022】
図1に示すように、本実施形態の液体供給システムは、液体収納容器400の開口部410に取り付けられるコネクタ300を備えている。コネクタ300は、液体収納容器400に収容される液体を取り出してポンプ600まで送る液体流出流路と、循環量調整弁800を経由した液体を液体収納容器400へ戻す液体流入流路と、液体収納容器400から減少した液体量に応じた外気を導入する気体流路とを備えた装置である。本実施形態のコネクタ300は、液体の流出と、液体の流入と、減少した液体量に応じた外気の置換とを、1箇所の開口部410に取り付けた1つの装置で実現するものである。
【0023】
以下、本実施形態のコネクタ300について、図面を参照して説明する。
図2および
図3に示すように、本実施形態のコネクタ300は、液体収納容器400の上面に設けられた開口部410の内周面に形成された雌ねじ411aに固定されるプラグ200と、プラグ200に着脱可能に取り付けられるソケット100とを備える。
図2はソケット100がプラグ200から離間した状態を示し、
図3はソケット100がプラグ200に装着された状態を示す。
【0024】
以下、本実施形態のコネクタ300が備えるプラグ200について説明する。
図2に示すように、プラグ200は、プラグ本体210と、プラグ本体210の下方に取り付けられるとともに軸線X1回りに円筒状に形成される内側管220と、プラグ本体210に取り付けられる円筒状の外側管230と、外側管230と内側管220の間を封止する封止部材240とを有する。
プラグ200を構成する各部材は、PFA(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)等のフッ素樹脂材料あるいはHDPE(高密度ポリエチレン)等の結晶性の熱可塑性樹脂により形成されている。
【0025】
プラグ本体210は、軸線X1回りに略円筒状に形成されるとともに上端部の外周面に雄ねじ210aが形成された部材である。プラグ本体210の雄ねじ210aを開口部410の内周面に形成される雌ねじ411aに締結することにより、プラグ本体210が開口部410の内周面に固定される。
【0026】
また、プラグ本体210の内部には、第1液体流出流路211と、第1液体流入流路212と、第1気体流路213とが形成されている。
第1液体流出流路211は、液体収納容器400に収納された液体を取り出して流出ポート10へ導く流路である。第1液体流入流路212は、液体収納容器400の外部から流入ポート20を介して流入する液体を液体収納容器400の内部へ導く流路である。第1気体流路213は、液体収納容器400の内部空間S1と液体収納容器400の外部空間S2との間で外気を流通させる流路である。
【0027】
内側管220は、軸線X1に沿って円筒状に形成される部材である。
図1に示すように、プラグ200が液体収納容器400の開口部410に取り付けられた状態で、内側管220の下端部(第1下端部)220aは、液体収納容器400の底部近傍に配置される。
内側管220は、プラグ本体210の下端に熱溶着により取り付けられるとともに液体収納容器400に収容される液体をプラグ本体210の第1液体流出流路211へ導く。
【0028】
外側管230は、軸線X1に沿って円筒状に形成される部材である。
図1および
図2に示すように、プラグ200が液体収納容器400の開口部410に取り付けられた状態で、外側管230の下端部(第2下端部)230aは、内側管220の下端部220aの上方に配置される。
外側管230は、プラグ本体210の下方の外周面に圧入により取り付けられるとともに内側管220の外側に配置される。外側管230の内周面は、内側管220の外周面との間に、プラグ本体210の第1液体流入流路212へ導かれた液体を液体収納容器400の内部へ導く環状流路214を形成する。
外側管230の下端部230aには、軸線X回りの複数箇所(例えば、90°間隔で4箇所)に、環状流路214から液体収納容器400の内部へ液体を流出させる複数の流出孔231が形成されている。
【0029】
封止部材240は、外側管230の下端部230aの内周面と内側管220の外周面との間を封止する部材である。封止部材240は、環状流路214から流入する液体が軸線X1に沿ってそのまま液体収納容器400の底面へ導かれることを防止する。環状流路214の下端が封止部材240により封止されているため、環状流路214の下端に到達した液体は、
図2に矢印で示すように、流出孔231を介して液体収納容器400の内部へ流出する。
【0030】
環状流路214を沿って上方から下方へ向けて落下する液体が複数の流出孔231から水平方向(軸線X1に直交する方向)に流出するため、複数の流出孔231が開口する複数の方向に液体が流出し、液体収納容器400の底面付近の液体が良好に流動する。そのため、液体が研磨材等を含むスラリー(固体粒子が分散した懸濁液)である場合には、液体収納容器400の底面付近において固体粒子と液体とが良好に混合した状態が維持される。
以上の説明においては、外側管230の下端部230aに複数の流出孔231が形成されるものとしたが、外側管230の下端部230aに単一の流出孔231を形成するようにしてもよい。
【0031】
以下、本実施形態のコネクタ300が備えるソケット100について説明する。
図2に示すように、ソケット100は、ソケット本体110と、ソケット本体110に取り付けられるボールロック機構120と、ソケット本体110に形成された円筒状の挿入穴114に挿入される円柱状のロータリバルブ130と、ロータリバルブ130を軸線X2(第2軸線)回りに回転させる開閉機構140とを有する。
【0032】
ソケット本体110は、軸線X1回りに略円筒状に形成される部材であり、上端に流出ポート10および流入ポート20が取り付けられる第1本体部110aと、下端にプラグ200が挿入される第2本体部110bとを有する。また、ソケット本体110は、後述する
図10および
図11に示すように、連通部材110cと、板状部材110dと、板状部材110eとを有する。
第2本体部110bは、第1本体部110aの下端に挿入された状態で、後述するボールロック機構120のソケット部材122により固定される。
【0033】
ソケット本体110の内部には、第2液体流出流路111と、第2液体流入流路112と、第2気体流路113とが形成されている。
第2液体流出流路111は、流出ポート10を介して第1液体流出流路211から取り出される液体を外部へ流出させる流路である。第2液体流入流路112は、液体収納容器400の外部から流入ポート20を介して流入する液体を第1液体流入流路212へ導く流路である。第2気体流路113は、第1気体流路213に連結されるとともに液体収納容器400の内部空間S1と液体収納容器400の外部空間S2との間で通気ポート30を介して外気を流通させる流路である。
【0034】
ボールロック機構120は、液体収納容器400の開口部410の外周面に軸線X回りの周方向に沿って形成された係合溝411に複数のロックボール121を係合させてから複数のロックボール121を係合溝411に固定する機構である。ボールロック機構120を用いてソケット本体110を液体収納容器400の開口部410に固定することにより、ソケット100とプラグ200とが装着された状態に固定される。
【0035】
ボールロック機構120は、
図2に示すように、複数のロックボール121と、ソケット部材(第1円筒状部材)122と、スリーブ(第2円筒状部材)123と、スプリング(付勢力発生部)124と、回転規制ピン(回転規制機構)125と、ストップリング126と、スプリング受け部材127とを有する。
【0036】
ソケット部材122は、軸線X1回りに円筒状に形成されるとともに球状のロックボール121の外径よりも小径の複数の開口穴122aを有する部材である。
図2および
図3に示すように、複数のロックボール121は、ソケット部材122の複数の開口穴122aに収容される。ただし、開口穴122aの径よりもロックボール121の外径が大きいため、ロックボール121が開口穴122aからソケット部材122の内周側へ完全に抜けることはない。
ソケット部材122は、内周面に形成された雌ねじ122bをソケット本体110の第1本体部110aの外周面に形成された雄ねじに締結することにより、ソケット本体110に固定される。
【0037】
スリーブ123は、軸線X1回りに円筒状に形成されるとともにソケット部材122の外周側に配置される部材である。スリーブ123は、ソケット部材122により上端位置が規制され、ソケット部材122の下端側の外周面に取り付けられた環状のストップリング126により下端位置が規制される。スリーブ123は、軸線X1に沿って上端位置と下端位置との間でソケット部材122に対して相対的に移動可能となっている。
スリーブ123は、開口穴122aに収容される複数のロックボール121を開口部410の係合溝411に係合した状態に規制する規制部123aを有する。
【0038】
スプリング124は、軸線X1に沿った上端(一端)がソケット部材122に固定されるとともに軸線X1に沿った下端(他端)がスプリング受け部材127を介してスリーブ123に固定される弾性部材である。スプリング124は、弾性変形による付勢力を発生し、スリーブ123の規制部123aがロックボール121に接触する下端位置に向けてスリーブ123を付勢する。スプリング124は、軸線X1回りの周方向に均等の間隔で複数箇所(例えば、60°間隔の6箇所)に配置される。スプリング124を均等の間隔で複数箇所に配置することにより、スリーブ123に均等な付勢力が与えられる。
【0039】
ここで、スプリング受け部材127は、軸線X1回りに環状に形成される部材であり、スプリング124を収容するための開口穴が複数箇所に形成された部材である。
ここでは、スプリング124を軸線X1回りの周方向に均等の間隔で複数箇所に設けるものとしたが、軸線X1を中心としスプリング受け部材127と同径の単一のスプリングを設けるようにしても良い。
【0040】
回転規制ピン125は、ソケット部材122に対してスリーブ123が軸線X1回りに回転することを規制する部材である。回転規制ピン125は、一端がソケット部材122の外周面に固定され、他端がスリーブ123の内周面に軸線X1に沿って形成された回転規制溝(回転規制機構)123bに挿入される。回転規制ピン125と回転規制溝123bとにより構成される回転規制機構は、ソケット部材122に対してスリーブ123が軸線X1回りに回転することを規制しつつ、ソケット部材122に対してスリーブ123が軸線X1に沿って移動することを許容する。
【0041】
ここで、ボールロック機構120を用いてソケット100を液体収納容器400の開口部410に固定する動作について説明する。
図4に示すように、液体収納容器400の開口部410にソケット100を取り付ける際に、作業者は、外側に配置されるスリーブ123を軸線X1に沿った上方に引き寄せてスリーブ123の規制部123aがロックボール121に接触しないように退避させる。この場合、ロックボール121は開口穴122aから突出しない実線の位置に配置される。作業者は、スリーブ123を軸線X1に沿った上方に引き寄せた状態でソケット100をプラグ200および開口部410へ挿入することにより、
図4に示す状態とする。
【0042】
図4に示すように、開口部410の先端部412は、上方から下方に向けて軸線X1を中心とした外径が一定の勾配で大きくなるテーパ形状となっている。そのため、ソケット100を開口部410に取り付ける際にロックボール121が開口穴122aから内側に突出している場合であっても、ロックボール121がテーパ形状の開口部410の先端部412に沿って外側に案内される。よって、ロックボール121と開口部410の先端部412との接触によりソケット100の開口部410への取り付けに不具合が生じることが抑制される。
【0043】
作業者は、ソケット100をプラグ200に挿入して
図4に示す状態とした後にスリーブ123から手を離すことにより、ロックボール121が開口部410の係合溝411に係合し、ソケット100が開口部410の外周面に固定された状態とすることができる。これは、スリーブ123を離すことによりスリーブ123にスプリング124から下向きの付勢力が与えられ、スリーブ123がストップリング126に突き当てられる下端位置に移動するからである。
図5に示すように、スリーブ123が下端位置に移動することにより、規制部123aがロックボール121に接触する位置に移動し、複数のロックボール121が係合溝411に固定された状態となる。
【0044】
次に、ボールロック機構120を用いてソケット100を液体収納容器400の開口部410に固定する動作の他の態様について説明する。この態様は、作業者がスリーブ123に触れずにソケット100をプラグ200に押し込むことにより、ソケット100をワンタッチでプラグ200に取り付けるものである。
【0045】
内周面にプラグ200が固定された液体収納容器400の開口部410にソケット100を取り付ける際に、作業者は、スリーブ123に触れずにソケット100をプラグ200に押し込むことにより、ロックボール121がスプリング124の付勢力に対抗してスリーブ123が上方へ押されてロックボール121が退避した状態とする。そして、作業者は、ロックボール121が係合溝411の位置に到達するまでソケット100をプラグ200に押し込むことにより、スプリング124の付勢力によってロックボール121が係合溝411に固定された状態とする。このように、作業者は、煩雑な作業を必要とせずにソケット100が開口部410の外周面に固定された状態とすることができる。
【0046】
図6(
図3に示すソケットのA−A矢視断面図)に示すように、複数のロックボール121が係合溝411に固定された状態においては、複数のロックボール121が開口穴122aから内側に突出した状態となる。複数のロックボール121の開口穴122aから内側に突出した部分が、係合溝411に係合する部分となる。
【0047】
開閉機構140は、後述するロータリバルブ130に連結される機構であり、ロータリバルブを軸線X2回りに回転させることにより、ロータリバルブ130を開状態または閉状態のいずれかの状態に切り替える機構である。
ここで、ロータリバルブ130の開状態とは、
図3に示すように、ロータリバルブ130に形成される流出用貫通穴131とソケット本体110の第2液体流出流路111とが連通し、かつロータリバルブ130に形成された流入用貫通穴132とソケット本体110の第2液体流入流路112とが連通した状態をいう。
また、ロータリバルブ130の閉状態とは、
図2に示すように、ロータリバルブ130に形成される流出用貫通穴131とソケット本体110の第2液体流出流路111とが連通せず、かつロータリバルブ130に形成された流入用貫通穴132とソケット本体110の第2液体流入流路112とが連通しない状態をいう。
【0048】
開閉機構140は、ロータリバルブ130の両端部に連結される一対のロックカム(ロック部材)141と、一対のロックカム141を連結するとともに作業者による開閉動作を受け付ける開閉アーム142とを有する。
作業者は、プラグ200を開口部410の内周面に固定し、ソケット100を開口部410の外周面に取り付けた後、
図7に示す開閉アーム142の先端部を把持して軸線X2回りに時計回り(
図7中に矢印で示す方向)に回転させる。これにより、ロータリバルブ130は、
図7に示す閉状態から
図8に示す開状態に切り替わる。
一方、作業者は、
図8に示す開閉アーム142の先端部を把持して軸線X2回りに反時計回り(
図8中に矢印で示す方向)に回転させる。これにより、ロータリバルブ130は、
図8に示す開状態から
図7に示す閉状態に切り替わる。
【0049】
作業者は、開閉アーム142を、
図7に示す状態から
図8に示す状態へ切り替えることにより、ロックカム141がスリーブ123の上面123cに接触しないロック解除状態を、ロックカム141がスリーブ123の上面123cに接触するロック状態へ切り替える。
なお、ロック状態においては、必ずしもロックカム141がスリーブ123の上面123cに接触している必要はない。ロック状態は、ロックカム141の下端がスリーブ123の上面123cに近接した位置に配置され、スリーブ123の上方への移動が規制される状態を含む。
【0050】
作業者は、ロック状態においては、スリーブ123を上方へ引き寄せてボールロック機構120が開口部410に固定された状態を解除することができない。これは、スリーブ123の上面123cがロックカム141に接触しており、スリーブ123が軸線X1に沿って上方へ移動することが規制されるからである。
このように、本実施形態のソケット100は、ロータリバルブ130が開状態となっている場合には、スリーブ123が軸線X1に沿って上方へ移動することが規制されるため、誤操作等による液体の外部への流出を確実に防止することができる。
【0051】
ロータリバルブ130は、
図3に示すように、軸線X1に直交する軸線X2上に沿って円柱状に形成される部材である。ロータリバルブ130は、軸線X2上の第2液体流出流路111が配置される位置に形成される流出用貫通穴131と、軸線X2上の第2液体流入流路112が配置される位置に形成される流入用貫通穴132とを有する。
【0052】
ロータリバルブ130は、軸線X2回りに回転可能な状態で、ソケット本体110に形成される挿入穴114に挿入されている。挿入穴114は、第2液体流出流路111を貫通するように軸線X2に沿って形成されている。第2液体流出流路111は、挿入穴114により、上流側流出流路111bと下流側流出流路111aとに分断されている。また、挿入穴114は、第2液体流入流路112を貫通するように軸線X2に沿って形成されている。第2液体流入流路112は、挿入穴114により、上流側流入流路112aと下流側流入流路112bとに分断されている。
【0053】
ここで、ロータリバルブ130を閉状態とした場合のソケット100の各流路の流通状態について説明する。
図9および
図10に示すように、ロータリバルブ130は、一端がロータリバルブ130の外周面に開口するとともに他端が流出用貫通穴131へ開口する排出穴(第1排出穴)133と、一端がロータリバルブ130の外周面に開口するとともに他端が流入用貫通穴132へ開口する排出穴(第2排出穴)134とを有する。
【0054】
排出穴133は、ロータリバルブ130が開状態から閉状態に切り替えられた場合に、流出用貫通穴131に残留する液体を上流側流出流路111bへ排出するための穴である。同様に、排出穴134は、ロータリバルブ130が開状態から閉状態に切り替えられた場合に、流入用貫通穴132に残留する液体を下流側流入流路112bへ排出するための穴である。
【0055】
図9および
図10に示すOリング135は、ロータリバルブ130が閉状態の場合に、下流側流出流路111aから、ロータリバルブ130の外周面と挿入穴114の内周面との間に液体が流入しないように封止するシール部材である。Oリング135は、ロータリバルブ130の外周面に形成された環状溝に圧入されている。
同様に、
図9に示すOリング136は、ロータリバルブ130が閉状態の場合に、上流側流入流路112aから、ロータリバルブ130の外周面と挿入穴114の内周面との間に液体が流入しないように封止するシール部材である。Oリング136は、ロータリバルブ130の外周面に形成された環状溝に圧入されている。
【0056】
図10に示すように、第1本体部110aには、連通部材110cが取り付けられている。また、第1本体部110aと連通部材110cを挟み込むように、板状部材110dと板状部材110eが配置されている。第1本体部110aと連通部材110cを締結具(図示略)が貫通した状態で、板状部材110dと板状部材110eとを締結具により締結することにより、第1本体部110aに対して連通部材110cが固定される。板状部材110dと板状部材110eと締結具とは、ステンレス等の金属部材で構成するのが好ましい。
【0057】
図10および
図11に示すように、連通部材110cは、内部に形成された連通穴115を有する。連通穴115は、ロータリバルブ130が閉状態の場合に、流出用貫通穴131と流入用貫通穴132とを連通させる穴である。連通穴115を設けることにより、ロータリバルブ130が閉状態の場合に、上流側流出流路111bと排出穴133と流出用貫通穴131と流入用貫通穴132と排出穴134と下流側流入流路112bとが連通した状態となる。
【0058】
次に、ロータリバルブ130を開状態とした場合のソケット100の各流路の流通状態について説明する。
図12および
図13に示すように、ロータリバルブ130を開状態とした場合、流出用貫通穴131と上流側流出流路111bと下流側流出流路111aとが連通し、かつ流入用貫通穴132と上流側流入流路112aと下流側流入流路112bとが連通した状態となる。
図12および
図13に示すように、ロータリバルブ130を開状態とした場合、流出用貫通穴131と連通穴115が連通しない状態となる。同様に、ロータリバルブ130を開状態とした場合、流入用貫通穴132と連通穴115が連通しない状態となる。
【0059】
次に、
図14を用いて本実施形態のソケット100を洗浄するソケット洗浄装置500について説明する。
ソケット洗浄装置500は、ロータリバルブ130を閉状態としたソケット100の内部に残留する液体を洗浄する装置である。ソケット洗浄装置500は、本体部510と、流入ポート520と、流出ポート530とを有する。
【0060】
本体部510は、ソケット100が取り付けられる開口部511と、ソケット100が取り付けられた状態で第2液体流出流路111と連通する流入流路512と、ソケット100が取り付けられた状態で第2液体流入流路112と連通する流出流路513とを有する。
開口部511の外周面には係合溝が形成されており、ソケット100のボールロック機構120が固定可能となっている。
【0061】
ソケット100をソケット洗浄装置500の開口部511に取り付け、ロータリバルブ130を閉状態とすると、
図9に示すように、連通穴115を介して第2液体流出流路111と第2液体流入流路112とが連通した状態となる。ロータリバルブ130を閉状態としたままでポンプ900により供給源から洗浄用の液体(例えば、純水)を流入ポート520へ供給すると、流入流路512から第2液体流出流路111へ液体が流入する。第2液体流出流路111へ流入した液体は、連通穴115を介して第2液体流入流路112へ流入し、流出流路513へ導かれる。流出流路513へ導かれた液体は流出ポート530から流出して再び供給源へ戻される。
【0062】
ソケット洗浄装置500は、以上のようにしてソケット100の内部に洗浄液を循環させることにより、ソケット100の上流側流出流路111b,排出穴133,流出用貫通穴131,流入用貫通穴132,排出穴134,下流側流入流路112b,連通穴115を洗浄することができる。
【0063】
以上説明した本実施形態のコネクタ300が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態のコネクタ300によれば、ソケット100がプラグ200に取り付けられた状態で、ポンプ600により液体を吸入することにより、プラグ200の第1液体流出流路211から取り出される液体がソケット100の第2液体流出流路111を介して外部へ流出する。また、外部のポンプ600により循環する液体が、ソケット100の第2液体流入流路を112介してプラグ200の第1液体流入流路212から液体収納容器400の内部へ導かれる。また、液体収納容器400に収容される液体の減少分を置換する量の外気が、ソケット100の第2気体流路113およびプラグ200の第1気体流路213を介して、液体収納容器400の外部空間S2から内部空間S1へ導かれる。
【0064】
このように、本実施形態のコネクタ300は、液体収納容器400に収容される液体の外部への流出と、外部へ流出して循環した液体の液体収納容器400への流入と、液体収納容器400に収容される液体の減少分に応じた外気の導入とが可能な構造となっている。
【0065】
また、本実施形態のコネクタ300によれば、ロータリバルブ130を開閉機構140により開状態または閉状態に切り替えることにより、流出用貫通穴131および流入用貫通穴132を介して第2液体流出流路111および第2液体流入流路112に液体が流通する開状態と、流出用貫通穴131および流入用貫通穴132を介して第2液体流出流路111および第2液体流入流路112に液体が流通しない閉状態とを切り替えることができる。
そのため、流路断面積が局所的に小さくなる箇所に固体粒子が蓄積し、液体の流通性を悪化させてしまう不具合や、弁体の付勢機構に固体粒子が付着して弁の開閉が円滑に行われない不具合を抑制することができる。
また、開閉機構140によりロータリバルブ130が閉状態とされるため、ソケット100をプラグ200から取り外す際に、ソケット100の内部に残存する液体が外部へ流出することを抑制することができる。
【0066】
本実施形態のコネクタ300によれば、開閉機構140がロータリバルブ130を閉状態とした場合、流出用貫通穴131に残存した液体が排出穴133を介して上流側流出流路111bへ導かれ、プラグ200を介して液体収納容器400へ導かれる。また、流入用貫通穴132に残存した液体が排出穴134を介して下流側流入流路112bへ導かれ、プラグ200を介して液体収納容器400へ導かれる。そのため、液体収納容器400に収納される液体が固体粒子を含むスラリーであっても、固体粒子が流出用貫通穴131および流入用貫通穴132に残存して凝固する不具合を抑制することができる。
【0067】
本実施形態のコネクタ300において、ソケット本体110は、開閉機構140がロータリバルブ130を閉状態とした場合に流出用貫通穴131と流入用貫通穴132とを連通させる連通穴115を有する。
このようにすることで、ソケット100をプラグ200から取り外した後に第2液体流出流路111、流出用貫通穴131、連通穴115、流入用貫通穴132、第2液体流入流路112の順に連通した液体流路が形成される。この液体流路に純水等の洗浄用の液体を流通させることにより、ソケット100の内部に残存する固体粒子等を洗浄することができる。