(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記羽根の前記前縁の空気流方向への凹状量(+表示)は、ファン外径Dに対して、0.0091D〜0.0153Dの範囲とされ、反空気流方向への凸状量(−表示)は、ファン外径Dに対して、−0.0438Dとされていることを特徴とする請求項2に記載のターボファン。
前記羽根の前記前縁は、前記羽根のスパン方向の中央部分が該スパン方向の25%〜75%の範囲で、前記の通り空気流方向に凹状もしくは反空気流方向に凸状とされていることを特徴とする請求項2または3に記載のターボファン。
前記羽根の前記ハブに対する結合部は、反回転方向に滑らかな湾曲面とされており、前記羽根の前記シュラウドに対する結合部は、回転方向に滑らかな湾曲面とされていることを特徴とする請求項1に記載のターボファン。
前記羽根の前記ハブに対する結合部の反回転方向への湾曲面の角度(+表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、0.0563θ〜0.0972θの範囲とされ、前記シュラウドに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0154θ〜−0.0972θの範囲とされていることを特徴とする請求項5に記載のターボファン。
前記羽根の前記ハブに対する結合部は、回転方向に滑らかな湾曲面とされており、前記羽根の前記シュラウドに対する結合部は、反回転方向に滑らかな湾曲面とされていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のターボファン。
前記羽根の前記ハブに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0768θとされ、前記シュラウドに対する結合部の反回転方向への湾曲面の角度(+表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、0.0031θとされていることを特徴とする請求項7に記載のターボファン。
前記羽根の前記ハブに対する結合部は、回転方向に滑らかな湾曲面とされており、前記羽根の前記シュラウドに対する結合部は、回転方向に滑らかな湾曲面とされていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載のターボファン。
前記羽根の前記ハブに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0154θとされ、前記シュラウドに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0461θとされていることを特徴とする請求項9に記載のターボファン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記ターボファンやそれを用いた空気調和機において、ターボファンの駆動力であるファン入力を評価パラメータとしたとき、ターボファンには、まだまだ改善する余地があった。つまり、ファン入力を低減することは、永遠の課題であり、かかる観点から、ターボファンを有限体積法により流体解析したところ、現状のターボファンにおいては、羽根の外周側(後縁側)の負圧面において、羽根に沿う空気流が翼面から剥離しやすい傾向がある一方、羽根の圧力面側において、高静圧領域が発生しており、それによって羽根に沿う空気流が減速(駆動力の損失が発生)し、ファン効率が低下していることが判明した。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、羽根の外周側(後縁側)の負圧面での空気流の剥離を抑えるとともに、羽根の圧力面側での空気流の減速を抑制することにより、ファン効率を向上し、ファンの駆動力であるファン入力を低減し得るターボファンおよびそれを用いた空気調和機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するために、本発明のターボファンおよびそれを用いた空気調和機は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明にかかるターボファンは、モータ駆動軸に連結されて回転駆動されるハブと、前記ハブに対向して配置され、空気吸込み口を形成する環状のシュラウドと、前記ハブおよび前記シュラウド間に両端部が結合され、内周側の前縁が外周側の後縁に対して、回転方向側に配置されている複数枚の羽根と、を備え、前記複数枚の羽根は、前記後
縁が前記ハブおよび前記シュラウドに対する結合部に対して反空気流方向に凹状とされ
、前記羽根の前記ハブに対する結合部は、回転方向または反回転方向に滑らかな湾曲面が空気流方向の全体にわたって形成されているを特徴とする。
【0009】
本発明によれば、複数枚の羽根の後縁
(後縁ラインともいう。)が、ハブおよびシュラウドに対する結合部に対して反空気流方向に凹状とされているため、羽根の後
縁を直線状としたものや空気流方向に凸状としているものに比べ、羽根の負圧面側での空気流の剥離を改善し、空気流の乱れを抑制することができるとともに、羽根の正圧面側で発生する高静圧領域を減少し、空気流の減速(駆動力の損失)を抑制することによりファン効率を向上させ、ファンの駆動力(ファン入力)を低減することができる。つまり、羽根の後
縁を反空気流方向に凹状とすることにより、凹状とした領域の半径が元の形状よりも小さくなり、同一回転数でファンを回転させた場合、ファンを通過する空気流の圧力上昇を減少させることができ、これによって、負圧面の特にシュラウド側の剥離し易い箇所において、羽根後縁付近の圧力(静圧)が減少するため、空気流としては流れ易くなり、剥離を抑制することができる一方、正圧面においては、ファンを通過する空気流がハブ側に偏る影響が顕著であり、羽根表面の圧力もハブ側に向って急激に上昇する分布を示すが、後
縁を凹状とすることにより、羽根後縁付近の圧力(静圧)を減少し、正圧面での静圧を低減することができ、ファン効率を向上させ、ファン入力を低減できるためである。従って、ターボファンの一層の高効率化、低騒音化を図ることができる。
【0010】
また、本発明のターボファンは、上記のターボファンにおいて、前記羽根の前記後
縁は、前記羽根のスパン方向の中央部分が該スパン方向の25%〜75%の範囲で、前記の通り反空気流方向に凹状とされていることを特徴とする。
【0011】
本発明によれば、羽根の後
縁の中央部分が、羽根のスパン方向の25〜75%の範囲で反空気流方向に凹状とされているため、羽根のハブおよびシュラウドに対する結合部の機能、性能に影響を及ぼすことなく、羽根をハブおよびシュラウドに結合することができる。従って、羽根のハブ側結合部およびシュラウド側結合部において空気流を乱すことがなく、低騒音化、高効率化を図ることができる。
【0012】
さらに、本発明のターボファンは、上述のいずれかのターボファンにおいて、前記羽根の前記後
縁の反空気流方向への凹状量(−表示)は、ファン外径Dに対して、−0.0142D〜−0.0153Dの範囲とされていることを特徴とする。
【0013】
本発明によれば、羽根の後
縁の反空気流方向への凹状量(−表示)が、ファン外径Dに対して、−0.0142D〜−0.0153Dの範囲とされているため、ターボファンの駆動力であるファン入力を好ましい範囲に低減することができる。従って、ターボファンを高効率化、低騒音化することができる。
【0014】
さらに、本発明のターボファンは、上述のいずれかのターボファンにおいて、前記羽根の前記前
縁は、前記ハブおよび前記シュラウドに対する結合部に対して空気流方向に凹状もしくは反空気流方向に凸状とされていることを特徴とする。
【0015】
本発明によれば、羽根の前縁
(前縁ラインともいう。)が、ハブおよびシュラウドに対する結合部に対して空気流方向に凹状もしくは反空気流方向に凸状とされているため、前
縁を空気流方向に凹状に変位することにより、羽根の負圧面で空気流に僅かな乱れが生じる場合もあるが、正圧面側での高静圧領域を小さくして空気流の減速を抑制することができる一方、前
縁を反空気流方向に凸状に変位することにより、正圧面側での高静圧領域が僅かに大きくなり空気流の減速抑制効果がやや低下する場合もあるが、負圧面での空気流の乱れを抑制して剥離を抑えることができる。つまり、羽根の前
縁を空気流方向に凹状とすることによって羽根の空気流方向長さが短くなり、空気流と羽根表面との摩擦損失を低減し、ファン入力を低減することができる。但し、凹状にし過ぎると、隣接する羽根間の距離に対する空気流方向の羽根長さが短くなり過ぎ、羽根性能が悪化する。また、羽根の前
縁を反空気流方向に凸状とすることにより、一般的には空気流と羽根表面との摩擦損失が増加する一方、羽根の空気流方向長さが実質的に長くなるため、羽根上流側から流入する流れを下流側に安定して導くことで、羽根表面での静圧のピーク値を抑制して流れを剥離し難くし、ファン入力を低減することができるとともに、ファン騒音を低減することができる。従って、この場合もファン入力を十分低減し、ターボファンの高効率化および低騒音化を図ることができる。
【0016】
さらに、本発明のターボファンは、上記のターボファンにおいて、前記羽根の前記前
縁の空気流方向への凹状量(+表示)は、ファン外径Dに対して、0.0091D〜0.0153Dの範囲とされ、反空気流方向への凸状量(−表示)は、ファン外径Dに対して、−0.0438Dとされていることを特徴とする。
【0017】
本発明によれば、前縁ラインの空気流方向への凹状量(+表示)が、ファン外径Dに対して、0.0091D〜0.0153Dの範囲とされ、反空気流方向への凸状量(−表示)が、ファン外径Dに対して、−0.0438Dとされているため、ターボファンの駆動力であるファン入力を好ましい範囲に低減することができ、これによって、ターボファンを高効率化、低騒音化することができる。
【0018】
さらに、本発明のターボファンは、上述のいずれかのターボファンにおいて、前記羽根の前記前縁ラインは、前記羽根のスパン方向の中央部分が該スパン方向の25%〜75%の範囲で、前記の通り空気流方向に凹状もしくは反空気流方向に凸状とされていることを特徴とする。
【0019】
本発明によれば、羽根の前縁ラインの中央部分が、羽根のスパン方向の25%〜75%の範囲で、空気流方向に凹状もしくは反空気流方向に凸状とされているため、羽根のハブおよびシュラウドに対する結合部の機能、性能に影響を及ぼすことなく、羽根をハブおよびシュラウドに結合することができる。従って、羽根のハブ側結合部およびシュラウド側結合部において空気流を乱すことがなく、低騒音化、高効率化を図ることができる。
【0020】
さらに、本発明のターボファンは、上述のいずれかのターボファンにおいて、前記羽根の前記ハブに対する結合部は、反回転方向に滑らかな湾曲面とされており、前記羽根の前記シュラウドに対する結合部は、回転方向に滑らかな湾曲面とされていることを特徴とする。
【0021】
本発明によれば、羽根のハブに対する結合部が、反回転方向に滑らかな湾曲面とされ、羽根のシュラウドに対する結合部が、回転方向に滑らかな湾曲面とされているため、羽根のハブに対する結合部を反回転方向に滑らかな湾曲面とすることにより、結合部を左右非対称とし、結合部での空気流の淀みを抑制することができる一方、羽根のシュラウドに対する結合部を回転方向に滑らかな湾曲面とすることにより、翼力で負圧面側での流れの剥離を抑制し、空気流をスムーズにすることができる。従って、羽根性能を向上し、ファン入力を更に低減して高効率化を図ることができるとともに、空気流の乱れを抑制し、低騒音化を図ることができる。
【0022】
さらに、本発明のターボファンは、上記のターボファンにおいて、前記羽根の前記ハブに対する結合部の反回転方向への湾曲面の角度(+表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、0.0563θ〜0.0972θの範囲とされ、前記シュラウドに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0154θ〜−0.0972θの範囲とされていることを特徴とする。
【0023】
本発明によれば、羽根のハブに対する結合部の反回転方向への湾曲面の角度(+表示)が、羽根の1ピッチ角度θに対して、0.0563θ〜0.0972θの範囲とされ、シュラウドに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)が、羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0154θ〜−0.0972θの範囲とされているため、ハブ側結合部での空気流の淀みを抑制することができるとともに、負圧面側での空気流の剥離を翼力により抑制し、羽根性能を更に向上することができる。従って、ターボファンの駆動力であるファン入力を好ましい範囲に低減し、ターボファンを高効率化、低騒音化することができる。
【0024】
さらに、本発明のターボファンは、上述のいずれかのターボファンにおいて、前記羽根の前記ハブに対する結合部は、回転方向に滑らかな湾曲面とされており、前記羽根の前記シュラウドに対する結合部は、反回転方向に滑らかな湾曲面とされていることを特徴とする。
【0025】
本発明によれば、羽根のハブに対する結合部が、回転方向に滑らかな湾曲面とされ、羽根のシュラウドに対する結合部が、反回転方向に滑らかな湾曲面とされているため、羽根のハブに対する結合部
を回転方向に滑らかな湾曲面とすることによって、結合部を左右非対称とし、結合部での空気流の淀みを抑制することができる。また、羽根のシュラウドに対する結合部を
反回転方向に滑らかな湾曲面とすることによって、シュラウド近傍の負圧面側での空気流をスムーズにし、剥離を抑制にすることができる。従って、羽根性能を向上し、ファン入力を更に低減して高効率化を図ることができるとともに、空気流の乱れを抑制し、低騒音化を図ることができる。
【0026】
さらに、本発明のターボファンは、上記のターボファンにおいて、前記羽根の前記ハブに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0768θとされ、前記シュラウドに対する結合部の反回転方向への湾曲面の角度(+表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、0.0031θとされていることを特徴とする。
【0027】
本発明によれば、羽根の前記ハブに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)が、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0768θとされ、前記シュラウドに対する結合部の反回転方向への湾曲面の角度(+表示)が、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、0.0031θとされているため、ハブ側結合部での空気流の淀みを抑制することができるとともに、シュラウド近傍の負圧面側での空気流の剥離を抑制し、羽根性能を更に向上することができる。従って、ターボファンの駆動力であるファン入力を好ましい範囲に低減し、ターボファンを高効率化、低騒音化することができる。
【0028】
また、本発明のターボファンは、上述のいずれかのターボファンにおいて、前記羽根の前記ハブに対する結合部は、回転方向に滑らかな湾曲面とされており、前記羽根の前記シュラウドに対する結合部は、回転方向に滑らかな湾曲面とされていることを特徴とする。
【0029】
本発明によれば、羽根のハブに対する結合部が、回転方向に滑らかな湾曲面とされ、羽根のシュラウドに対する結合部が、回転方向に滑らかな湾曲面とされているため、羽根のハブに対する結合部
を回転方向に滑らかな湾曲面とすることにより、結合部を左右非対称とし、結合部での空気流の淀みを抑制することができる一方、羽根のシュラウドに対する結合部を回転方向に滑らかな湾曲面とすることによって、翼力で負圧面側での流れの剥離を抑制し、空気流をスムーズにすることができる。従って、羽根性能を向上し、ファン入力を更に低減して高効率化を図ることができるとともに、空気流の乱れを抑制し、低騒音化を図ることができる。
【0030】
さらに、本発明のターボファンは、上記のターボファンにおいて、前記羽根の前記ハブに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0154θとされ、前記シュラウドに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)は、前記羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0461θとされていることを特徴とする。
【0031】
本発明によれば、羽根のハブに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)が、羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0154θとされ、シュラウドに対する結合部の回転方向への湾曲面の角度(−表示)が、羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0461θとされているため、ハブ側結合部での空気流の淀みを抑制することができるとともに、負圧面側での空気流の剥離を翼力によって抑制し、羽根性能を更に向上することができる。従って、ターボファンの駆動力であるファン入力を好ましい範囲に低減し、ターボファンを高効率化、低騒音化することができる。
【0032】
さらに、本発明にかかる空気調和機は、室内空気を吸込んで吹出す送風機と、前記送風機の吸込み側または吹出し側のいずれかに配置され、前記室内空気を冷却または加熱する熱交換器と、を備え、前記送風機が、上述のいずれかのターボファンとされていることを特徴とする。
【0033】
本発明によれば、室内空気を吸込んで熱交換器により冷却または加熱し、その温調風を室内に吹出す送風機が、上述のいずれかのターボファンとされているため、ターボファンの駆動力であるファン入力を低減し、ターボファンを高効率化、低騒音化を図ることができる。従って、空気調和機をより高性能化および低騒音化することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明のターボファンによると、羽根の負圧面側での空気流の剥離を改善し、空気流の乱れを抑制することができるとともに、羽根の正圧面側で発生する高静圧領域を減少し、空気流の減速(駆動力の損失)を抑制することによりファン効率を向上させ、ファンの駆動力(ファン入力)を低減することができるため、ターボファンの一層の高効率化、低騒音化を図ることができる。
【0035】
本発明の空気調和機によると、ターボファンの駆動力であるファン入力を低減し、ターボファンを高効率化、低騒音化を図ることができるため、空気調和機をより高性能化および低騒音化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の一実施形態について、
図1ないし
図20を用いて説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る空気調和機の分解斜視図が示されている。
本実施形態に係る空気調和機1は、天井埋め込み型空気調和機1とされているが、本発明は、かかる天井埋め込み型空気調和機1に限定されるものではなく、他型式の空気調和機1に適用してもよいことはもちろんである。
【0038】
この天井埋め込み型空気調和機1は、天井内にボルト等により吊下げ設置される略四方形状のユニット本体2と、そのユニット本体2の下面に設けられる室内空気吸込み口4および温調空気吹出し口5を備えた四辺形状の天井パネル3と、天井パネル3の
室内空気吸込み口4に対向するようにユニット本体2内に配置されるベルマウス6と、ベルマウス6と対向するようにユニット本体2の天板に固定設置されるターボファン(送風機)7と、ターボファン(送風機)7を取囲むようにユニット本体2内に設置される四角形状の熱交換器8等々を備えている。
【0039】
ターボファン7は、ユニット本体2の天板に固定設置されるモータ9と、モータ9の回転軸9Aに結合され、モータ9により回転駆動されるハブ(主板)10と、ハブ(主板)10と対向して配置される環状のシュラウド(側板)11と、ハブ(主板)10およびシュラウド(側板)11に各々両端部が結合されて配設される複数枚の羽根12と、を備えたケーシングレス構造のファンである。このターボファン7の複数枚の羽根12は、内周側の前縁(前縁ラインと称する場合もある。)13が外周側の後縁(後縁ラインと称する場合もある。)14に対して、回転方向N側に位置するように配置されている。
【0040】
本実施形態のターボファン7は、
図2(A)に示すように、羽根12の形状を後述の通り工夫したもので、それによって、羽根12の負圧面15側での空気流を、
図2(B)に示す限界流線(羽根表面の流れを線状に可視化したもの)のように、間隔の急変化が少ない(剥離のない)綺麗な流線とするとともに、羽根12の正圧面16側での静圧を、
図2(C)に示す静圧コンタ図のように、高静圧領域を無くする、あるいは極力小さくして空気流の減速(損失)を抑制し、ターボファン7の駆動力であるファン入力を低減するようにしたものである。
【0041】
本実施形態では、ターボファン7の性能をターボファン7の駆動力であるファン入力をパラメータとして評価すべく、ターボファン7を空気調和機1に装着した状態で有限体積法により解析し、それに基づいて羽根12の形状を設定したものである。この流体解析を行うため、
図14(A)に示すように、(1)羽根12の前縁13の変位(移動量)、(2)羽根12の後縁14の変位(移動量)、(3)羽根12のハブ側結合部17の湾曲(回転角)および(4)羽根12のシュラウド側結合部18の湾曲(回転角)、の4つを設計変数として用い、41ケースのパラメータスタディについて評価を行った。更に、そのパラメータスタディでの第1位の形状(No.31)をベースにして、最適形状(No.59)を求めた。
【0042】
図2(A)および
図3(A)ないし(E)は、最適形状のファン(No.59)と、パラメータスタディで評価した41ケースのうち、評価が1位(No.31)、2位(No.32)、3位(No.06)のファンと、評価基準としたオリジナル形状のファン(No.0)と、評価が最下位(41位)のファン(No.14)の形状を示したものである。
図2(A)および
図3(A)ないし(E)に示したファンの詳細形状は、後述するが、オリジナル形状のファンは、
図3(D)に示すように、羽根12の断面が軸方向に一様な二次元形状、羽根12の前縁ライン13および後縁ライン14が互いに平行な直線、羽根12の両端をハブ10およびシュラウド11に対して結合するハブ側結合部17およびシュラウド側結合部18が、ハブ10およびシュラウド11に対して略直角に結合された構成とされている。
【0043】
また、評価が41位と最も低かったケースNo.14のファン形状は、
図3(E)に示すように、
図3(D)に示したオリジナルのファン形状に対して、羽根12の前縁ライン13を空気流方向に凹状13Aとし、後縁ライン14を空気流方向に凸状14Bとするとともに、ハブ側結合部17を反回転方向に湾曲した湾曲面17Aとし、シュラウド側結合部18を反回転方向に湾曲した湾曲面18Aとした構成とされている。
更に、
図4の(A)ないし(E)および
図5の(A)ないし(E)には、
図3の(A)ないし(E)に示したファン形状に対応する各ファンの限界流線および静圧コンタを比較した図が示されている。
【0044】
ここで、上記した4つ
の設計変数(1)〜(4)の形状、構成を、
図6ないし
図9に基づいて、詳しく説明する。
(1)羽根12の前縁13の変位(移動量)とは、
図6に示すように、羽根12の前縁13を直線状としている
図6(A)に示すオリジナル形状に対して、
図6(B)に示すように、前縁ライン13をハブ10およびシュラウド
11への結合部
17および18に対して空気流方向にへこました凹状13A(移動量を+表示)、あるいは
図6(C)に示すように、反空気流方向に膨らました凸状13B(移動量を−表示)としていることを意味する。
【0045】
(2)羽根12の後縁14の変位(移動量)とは、
図7に示すように、羽根12の後縁14を直線状としている
図7(A)に示すオリジナル形状に対して、
図7(B)に示すように、後縁ライン14をハブ10およびシュラウド
11への結合部
17および18に対して反空気流方向にへこました凹状14A
(移動量を−表示)、あるいは
図7(C)に示すように、空気流方向に膨らました凸状14B(移動量を+表示)としていることを意味する。
【0046】
(3)羽根12のハブ側結合部17の湾曲(回転角)とは、
図8に示すように、羽根12のハブ側結合部17をハブ10側に略直角に結合している
図8(A)に示すオリジナル形状に対して、
図8(B)に示すように、羽根12のハブ側結合部
17を反回転方向(反時計回り方向)に湾曲した湾曲面17Aとしたときのハブ10に対する回転角(回転角を+表示)、あるいは
図8(C)に示すように、回転方向(時計回り方向)に湾曲した湾曲面17Bとしたときのハブ10に対する回転角(回転角を−表示)を意味している。
【0047】
(4)羽根12のシュラウド側結合部18の湾曲(回転角)とは、
図9に示されるように、羽根12のシュラウド側結合部18をシュラウド11側に略直角に結合している
図9(A)に示すオリジナル形状に対して、
図9(B)に示すように、羽根12のシュラウド側結合部18を反回転方向(反時計回り方向)に湾曲した湾曲面18Aとしたときのシュラウド11に対する回転角(回転角を+表示)、あるいは
図9(C)に示すように、回転方向(時計回り方向)に湾曲した湾曲面18Bとしたときのシュラウド11に対する回転角(回転角を−表示)を意味している。
【0048】
なお、羽根12のハブ10およびシュラウド11に対する結合部17,18は、
図10に示すように、羽根12と空気流との角度が変わらないように、羽根全体を回転軸9Aの中心Oに対して、反回転方向(反時計回り方向)あるいは回転方向(時計回り方向)に湾曲させている。
【0049】
更に、羽根12の前縁13および後縁14の変位(移動量)は、
図11に示すように、羽根12の外径方向を+方向とし、羽根(翼)12のそり線(キャンバライン)およびその延長線上において、凹状または凸状に変位させるようにしている。つまり、羽根12の前縁13および後縁14の変位は、
図12に示されるように、前縁13側および後縁14側の双方において、スパン方向(回転軸方向)の羽根高さの略25%〜75%の範囲でそり線(キャンバライン)に沿って同じ量だけ移動され、凹状または凸状とされている。そして、ハブ10およびシュラウド11には、各々滑らかな曲線で接続される構成とされている。
【0050】
また、
図13には、ターボファン7の翼力BFについての図解がされている。
ターボファン7の翼力BFは、複数枚の翼(羽根12)間に働く圧力勾配に相当し、翼が流体である空気流に及ぼす力であり、
図13に示すように、翼(羽根12)を傾斜させることによって、翼面と直角方向に翼力BFが作用することとなる。この翼力BFは、空気流を壁面(
図13では、シュラウド11の壁面)に押し付けることにより、負圧面側の剥離を抑制する作用をなすものとなる。
【0051】
以下に、上述した事項に基づいて、ターボファン7のファン入力を低減すべく設定した羽根12の形状、構成を詳しく説明する。
[最適形状ファン(ケースNo.59)]
図2(A)は、ケースNo.59の最適形状とされた羽根12を備えたターボファン7の斜視図である。
この羽根12は、前縁ライン13が空気流方向に凹状13A(
図6(B)参照)とされるとともに、後縁ライン14が反空気流方向に凹状14A(
図7(B)参照)とされた構成とされている。
【0052】
また、羽根12のハブ
10に対する結合部(ハブ側結合部)17は、反回転方向(反時計回り方向)に湾曲する湾曲面17A(
図8(B)参照)とされるとともに、羽根12のシュラウド11に対する結合部(シュラウド側結合部)18は、回転方向(時計回り方向)に湾曲する湾曲面18B(
図9(C)参照)とされた構成とされている。なお、このハブ側結合部17およびシュラウド側結合部18は、
図10に示されるように、羽根12と空気流れとの角度が変わらないように、羽根全体が回転軸中心Oに対して湾曲されている。
【0053】
更に、上記前縁ライン13および後縁ライン14は、
図11、
図12に示すように、羽根12のスパン方向(回転軸方向)の中央部分がスパン方向寸法の25〜75%の範囲において、羽根(翼)12のそり線(キャンバライン)およびその延長線上に同じ量移動されることにより、前縁ライン13が空気流方向に凹状13A、後縁ライン14が反空気流方向に凹状14Aとされた構成とされている。
【0054】
この最適形状の羽根12において、ターボファン7の外径をD[m](
図10、
図12を参照)、羽根12の1ピッチ角度をθ[°](
図10参照)としたとき、上記設計変数(1)ないし(4)は、
図15の表に示すように、(1)羽根12の前縁(pull−LE)13の変位(移動量)は、空気流方向(+表示)に対して、0.0153D相当の凹状13Aとされ、(2)羽根12の後縁(pull−TE)14の変位(移動量)は、反空気流方向(−表示)に対して、−0.0153D相当の凹状14Aとされている。
【0055】
また、(3)羽根12のハブ側結合部17の湾曲(回転角)は、反回転方向(反時計回り方向、+表示)に、0.0972θの湾曲面17Aとされ、(4)羽根12のシュラウド側結合部18の湾曲(回転角)は、回転方向(時計回り方向、−表示)に、−0.0972θの湾曲面18Bとされている。
【0056】
[ケースNo.31(1位)のファン形状]
図3(A)には、ケースNo.31(1位)の羽根形状を備えたターボファン7の斜視図が示されている。
この羽根12は、最適形状の羽根12と同じく、前縁ライン13が空気流方向に凹状13A(
図6(B)参照)とされるとともに、後縁ライン14が反空気流方向に凹状14A(
図7(B)参照)とされた構成とされている。
【0057】
また、羽根12のハブ
10に対する結合部(ハブ側結合部)17は、反回転方向(反時計回り方向)に湾曲する湾曲面17A(
図8(B)参照)とされるとともに、羽根12のシュラウド11に対する結合部(シュラウド側結合部)18は、回転方向(時計回り方向)に湾曲する湾曲面18B(
図9(C)参照)とされた構成とされている。なお、このハブ側結合部17およびシュラウド側結合部18は、
図10に示されるように、羽根12と空気流との角度が変わらないように、羽根全体が回転軸中心Oに対して湾曲されている。
【0058】
更に、前縁ライン13および後縁ライン14は、
図11および
図12に示すように、羽根12のスパン方向(回転軸方向)の中央部分がスパン方向寸法の25〜75%の範囲において、羽根(翼)12のそり線(キャンバライン)およびその延長線上に同じ量移動されることにより、前縁ライン13が空気流れ方向に凹状13A、後縁ライン14が反空気流れ方向に凹状14Aとされた構成とされている。
【0059】
このケースNo.31(1位)の羽根12において、上記設計変数(1)ないし(4)は、
図15の表に示すように、(1)羽根12の前縁(pull−LE)13の変位(移動量)は、空気流方向(+表示)に対し、0.0153D相当の凹状13Aとされ、(2)羽根12の後縁(pull−TE)14の変位(移動量)は、反空気流方向(−表示)に対して、−0.0153D相当の凹状14Aとされている。
【0060】
また、(3)羽根12のハブ側結合部17の湾曲(回転角)は、反回転方向(反時計回り方向、+表示)に、0.0563θの湾曲面17Aとされ、(4)羽根12のシュラウド側結合部18の湾曲(回転角)は、回転方向(時計回り方向、−表示)に、−0.0154θの湾曲面18Bとされている。
【0061】
[ケースNo.32(2位)のファン形状]
図3(B)には、ケースNo.32(2位)の羽根形状を備えたターボファン7の斜視図が示されている。
この羽根12は、最適形状の羽根12と同じく、前縁ライン13が空気流方向に凹状13A(
図6(B)参照)とされるとともに、後縁ライン14が反空気流方向に凹状14A(
図7(B)参照)とされた構成とされている。
【0062】
一方、羽根12のハブ
10に対する結合部(ハブ側結合部)17は、回転方向(時計回り方向)に湾曲する湾曲面17B(
図8(C)参照)とされるとともに、羽根12のシュラウド11に対する結合部(シュラウド側結合部)18は、反回転方向(反時計回り方向)に湾曲する湾曲面18A(
図9(B)参照)とされた構成とされている。なお、このハブ側結合部17およびシュラウド側結合部18は、
図10に示されるように、羽根12と空気流との角度が変わらないように、羽根全体が回転軸中心Oに対して湾曲されている。
【0063】
更に、前縁ライン13および後縁ライン14は、
図11および
図12に示すように、羽根12のスパン方向(回転軸方向)の中央部分がスパン方向寸法の25〜75%の範囲において、羽根(翼)12のそり線(キャンバライン)およびその延長線上に同じ量移動されることにより、前縁ライン13が空気流方向に凹状13A、後縁ライン14が反空気流方向に凹状14Aとされた構成とされている。
【0064】
このケースNo.32(2位)の羽根12において、上記設計変数(1)ないし(4)は、
図15の表に示すように、(1)羽根12の前縁(pull−LE)13の変位(移動量)は、空気流方向(+表示)に対し、0.0091D相当の凹状13Aとされ、(2)羽根12の後縁(pull−TE)14の変位(移動量)は、反空気流方向(−表示)に対して、−0.0142D相当の凹状14Aとされている。
【0065】
また、(3)の羽根12のハブ側結合部17の湾曲(回転角)は、回転方向(時計回り方向、−表示)に、−0.0768θの湾曲面17Bとされ、(4)の羽根12のシュラウド側結合部18の湾曲(回転角)は、反回転方向(反時計回り方向、+表示)に、0.0031θの湾曲面18Aとされている。
【0066】
[ケースNo.06(3位)のファン形状]
図3(C)には、ケースNo.06(3位)の羽根形状を備えたターボファン7の斜視図が示されている。
この羽根12は、前縁ライン13が反空気流方向に凸状13B(
図6(C)参照)とされるとともに、後縁ライン14が反空気流方向に凹状14A(
図7(B)参照)とされた構成とされている。
【0067】
一方、羽根12のハブ
10に対する結合部(ハブ側結合部)17は、回転方向(時計回り方向)に湾曲する湾曲面17B(
図8(C)参照)とされるとともに、羽根12のシュラウド11に対する結合部(シュラウド側結合部)18は
、回転方向
(時計回り方向)に湾曲する湾曲面18B(
図9(C)参照)とされた構成とされている。なお、このハブ側結合部17およびシュラウド側結合部18は、
図10に示されるように、羽根12と空気流との角度が変わらないように、羽根全体が回転軸中心Oに対して湾曲されている。
【0068】
更に、前縁ライン13および後縁ライン14は、
図11および
図12に示すように、羽根12のスパン方向(回転軸方向)の中央部分がスパン方向寸法の25〜75%の範囲において、羽根(翼)12のそり線(キャンバライン)およびその延長線上に同じ量移動されることにより、前縁ライン13が反空気流方向に凸状13
B、後縁ライン14が反空気流方向に凹状14Aとされた構成とされている。
【0069】
このケースNo.06(3位)の羽根12において、上記設計変数(1)ないし(4)は、
図15の表に示すように、(1)羽根12の前縁(pull−LE)13の変位(移動量)は、反空気流方向(−表示)に、−0.0438D相当の凸状13Bとされ、(2)羽根12の後縁(pull−TE)14の変位(移動量)は、反空気流方向(−表示)に対して、−0.0153D相当の凹状14Aとされている。
【0070】
また、(3)の羽根12のハブ側結合部17の湾曲(回転角)は、回転方向(時計回り方向、−表示)に、−0.0154θの湾曲面17Bとされ、(4)の羽根12のシュラウド側結合部18の湾曲(回転角)は、回転方向(時計回り方向、−表示)に、−0.0461θの湾曲面18Bとされている。
【0071】
ちなみに、ケースNo.0のオリジナルの羽根形状は、
図15の表に示すように、4つの設計変数(1)ないし(4)は、いずれも0とされている。また、評価が最も低かった(41位)ケースNo.14の羽根形状は、(1)羽根12の前縁(pull−LE)13の変位(移動量)を、空気流方向(+表示)に、0.0153D相当の凹状13Aとするとともに、(2)後縁(pull−TE)14の変位(移動量)を、空気流方向(+表示)に対して、0.0438D相当の凸状14Bとし、(3)羽根12のハブ側結合部17の湾曲(回転角)を、反回転方向(+表示)に、0.0563θの湾曲面17Aとするとともに、(4)シュラウド側結合部18の湾曲(回転角)を、反回転方向(+表示)に、0.0358の湾曲面18Aとしている。
【0072】
以上に説明の構成により、本実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
上記ターボファン7および空気調和機1において、ターボファン7の回転により天井パネル3の
室内空気吸込み口4から吸込まれた室内空気は、ベルマウス6を介してターボファン7のシュラウド11側の開口部から軸方向に吸込まれる。ターボファン7に吸込まれた空気流は、複数枚の羽根12によりラジアル方向に向きを変えて吹出され、ターボファン7を取囲むように配設されている熱交換器8を通過する過程で冷却または加熱されることにより、温調風として天井パネル3の四辺に設けられている4つの
温調吹出し口5から室内へと吹出され、室内の空調に供される。
【0073】
ターボファン7の場合、軸方向に吸込んだ空気流をラジアル方向(遠心方向)に向きを変えるため、特に吸込み口の外縁付近(シュラウド11側)から吸込んだ空気流は慣性力によって曲がり切れずに、ファン内部でハブ10側に偏った流れとなり、シュラウド11に近い側で羽根12が有効に機能せず、効率が低下するとともに、吹出し側で気流の偏りにより高速噴流が発生したり、吸込み側で逆流が発生したりして、空力騒音が大きくなり易かった。また、空気調和機1に用いた場合、四角形状の風路から空気を吸込み、四角形状の熱交換器8で囲まれた非軸対称の圧力場で作動される場合が多く、ファンのスパン方向全体に亘って、一様な流れを実現することは困難であった。
【0074】
そうした中、本実施形態に係るターボファン7は、
図14(A)に示した上記(1)ないし(4)の4項目を設計変数として、有限体積法による流体解析をパラメトリックに行い、その設計変数の値に基づいて、羽根12の形状を設定したものである。なお、
図14(B)には、目的関数D’の定義が示されている。また、
図15の一覧表には、有限体積法による解析結果における設計変数の値が纏められている。
【0075】
上記
図15の一覧表には、ケースNo.59の最適形状のファンと、41ケースのパラメータスタディにおいて評価が高かった1位(ケースNo.31)、2位(ケースNo.32)および3位(ケースNo.06)の3つのファンと、評価基準としたオリジナルファン(ケースNo.0)と、最も評価が低かった41位(ケースNo.14)のファンの計6ケースの結果のみが表示されている。
【0076】
更に、
図16には、上記目的関数D’について、上記6ケースの値を比較した棒グラフが示され、
図17ないし
図20には、目的関数D’と設計変数(1)、目的関数D’と設計変数(2)、目的関数D’と設計変数(3)、目的関数D’と設計変数(4)の相関関係を示すグラフが示されている。
【0077】
これらの解析結果から明らかなように、本実施形態のターボファン7は、複数枚の羽根12の後縁ライン14の中央部分が、
図2(A)あるいは
図3(A)ないし(C)に示すように、スパン方向(回転軸方向)の25〜75%の範囲において、反空気流方向に凹状14Aとされた構成とされているため、羽根12の負圧面15側の空気流を、
図2(B)あるいは
図4(A)ないし(C)に示す限界流線(羽根表面の流れを線状に可視化したもの)のように、間隔の急変化が少ない(剥離のない)綺麗な流線とすることができる。
【0078】
つまり、ケースNo.0のオリジナル形状や評価が最下位となったケースNo.14のものでは、羽根12の負圧面15側の空気流が、
図4(D)および(E)に示す限界流線のように、乱れている箇所Xが見られ、空気流に剥離が発生しているが、
図2(A)あるいは
図3(A)ないし(C)に示したケースNo.59の最適形状あるいは評価が1〜3位とされたケースNo.31、ケースNo.32およびケースNo.6のものでは、いずれも負圧面15の限界流線に乱れている箇所Xはなく、負圧面15での剥離が改善されていることが判る。
【0079】
また、ターボファン7の回転により羽根12の正圧面16には、静圧(翼面圧力)が分布するが、その静圧が高い程あるいは高静圧領域が大きい程、羽根12に沿う空気流が減速しており、その損失によってファン効率が低下していることを意味する。本実施形態のターボファン7では、この高静圧領域を、
図2(C)あるいは
図5(A)ないし(C)に示す静圧コンタ図のように、
図5(D)および(E)に示すものに比べ、圧力を低くあるいは領域を小さくすることができる。
【0080】
つまり、ケースNo.0のオリジナル形状や評価が最下位となったケースNo.14のものでは、羽根12の正圧面16で発生する高静圧領域Yが、
図5(D)および(E)に示すように、比較的大きい領域Yで発生しているが、
図2(C)あるいは
図5(A)ないし(C)に示したケースNo.59の最適形状あるいは評価が1〜3位とされたケースNo.31、ケースNo.32およびケースNo.6のものでは、高静圧領域Yが発生していないか、非常に小さい領域Yとされており、空気流の減速が発生せず、減速による損失でファン効率が低下していないことが判る。
【0081】
このように、羽根12の後縁ライン14を反空気流方向に凹状14Aとすることによって、羽根12の負圧面15側での空気流の剥離を改善し、空気流の乱れを抑制することができるとともに、正圧面16側で分布する高静圧領域Yを減少し、空気流の減速を抑制することによってファン効率を向上させ、
図16および
図18に示す通り、ターボファン7の駆動力であるファン入力を低減することができる。
【0082】
これは、羽根12の後縁ライン14を反空気流方向に凹状14Aとすることにより、凹状とした領域の半径が元の形状よりも小さくなり、同一回転数でターボファン7を回転させた場合、ターボファン7を通過する空気流の圧力上昇を減少させることができ、これによって、負圧面15の特にシュラウド11側の剥離し易い箇所において、羽根12の後縁14付近の圧力(静圧)が減少するため、空気流としては流れ易くなり、剥離を抑制することができるということである。
【0083】
一方、正圧面16においては、ターボファン7を通過する空気流がハブ10側に偏る影響が顕著であって、羽根12の表面の圧力もハブ10側に向って急激に上昇する分布を示すが、後縁ライン14を凹状14Aとすることによって、羽根12の後縁14付近の圧力(静圧)を減少し、正圧面16での静圧を低減できるため、ターボファン7のファン効率を向上させ、ファン入力を低減できるということであり、従って、ターボファン7の一層の低騒音化、高効率化を図ることができる。
【0084】
また、後縁ライン14を反空気流方向に凹状14Aとするのは、スパン方向の中央部分の25〜75%の範囲でよく、ハブ10およびシュラウド11に対する結合部17,18の機能、性能に影響を及ぼすことなく、羽根12をハブ10およびシュラウド11に対して結合することができる。このため、ハブ側結合部17およびシュラウド側結合部18において空気流を乱すことがなく、低騒音化、高効率化を図ることができる。
【0085】
さらに、羽根12の後縁ライン14の反空気流方向への凹状量(−表示)を、ターボファン7の外径をDとしたとき、−0.0142D〜−0.0153Dの範囲とすることにより、
図16および
図18に示す通り、ターボファン7の駆動力であるファン入力を好ましい範囲に低減することができる。
【0086】
一方、本実施形態のターボファン7は、羽根12の前縁ライン13が、
図2(A)あるいは
図3(A),(B)に示すように、中央部分をスパン方向(回転軸方向)の25〜75%の範囲において、ハブ10およびシュラウド11に対する結合部
17および18に対して空気流方向に凹状13Aとされるか、もしくは
図3(C)に示すように、反空気流方向に凸状13Bとされている。
【0087】
このように、前縁ライン13を空気流方向に凹状13Aに変位することで、
図2に示した最適形状の羽根12に比べ、
図4(B)に示すように、羽根12の負圧面15側で空気流に僅かな乱れが発生する場合もあるが、正圧面16側での高静圧領域を、
図5(B)に示す如く、小さくして空気流の減速を抑制することができる一方、前縁ライン13を反空気流方向に凸状13Bに変位することで、
図5(C)に示すように、正圧面16側での高静圧領域が僅かに大きくなり、空気流の減速抑制効果がやや低下する場合もあるが、
図4(C)に示す如く、負圧面15での空気流の乱れを抑制して剥離を抑えることができる。
【0088】
これは、羽根12の前縁ライン13を空気流方向に凹状13Aとすることにより、羽根12の空気流方向長さが短くなり、空気流と羽根12の表面との摩擦損失を低減し、ファン入力を低減することができるためである。但し、凹状13Aにし過ぎると、隣接する羽根12間の距離に対する空気流方向の羽根長さが短くなり過ぎ、羽根12の性能が悪化する虞がある。また、羽根12の前縁ライン13を反空気流方向に凸状13Bとすることによって、一般的には空気流と羽根12の表面との摩擦損失が増加する一方、羽根12の空気流方向長さが実質的に長くなるため、羽根上流側から流入する流れを下流側に安定して導くことで、羽根12の表面での静圧のピーク値を抑制して流れを剥離し難くし、ファン入力を低減することができるとともに、ファン騒音を低減することができる。
【0089】
従って、この実施形態においても、
図16および
図17、
図18に示すように、ターボファン7の駆動力であるファン入力を好ましい範囲に低減することができ、ターボファン7の高効率化および低騒音化を図ることができる。
【0090】
また、この場合も、羽根12の前縁ライン13の中央部分をスパン方向(回転軸方向)の25〜75%の範囲において、
図2(A)あるいは
図3(A)ないし(C)に示されるように、ハブ10およびシュラウド11に対する結合部
17および18に対して空気流方向に凹状13Aとするか、もしくは反空気流方向に凸状13Bとしているため、ハブ10およびシュラウド11に対する結合部17,18の機能、性能に影響を及ぼすことなく、羽根12をハブ10およびシュラウド11に結合することができる。従って、ハブ側結合部17およびシュラウド側結合部18において空気流を乱すことがなく、低騒音化、高効率化を図ることができる。
【0091】
また、上記した羽根12の前縁ライン13において、空気流方向への凹状13Aの凹状量(+表示)をファン外径Dに対して、0.0091D〜0.0153Dの範囲とし、反空気流方向への凸状13Bの凸状量(−表示)をファン外径Dに対して、−0.0438Dとしているため、
図16および
図18に示す通り、ターボファン7の駆動力であるファン入力を好ましい範囲に低減することができる。これによって、ターボファン7を低騒音化、高効率化することができる。
【0092】
さらに、本実施形態のターボファン7は、
図2(A)および
図3(A)に示すように、羽根12のハブ10に対する結合部(ハブ側結合部)17が、反回転方向に滑らかな湾曲面17Aとされ、羽根12のシュラウド11に対する結合部(シュラウド側結合部)18が、回転方向に滑らかな湾曲面18Bとされた構成とされている。
【0093】
このように、羽根12のハブ10に対する結合部17を反回転方向に滑らかな湾曲面17Aとすることによって、ハブ10との結合部17を左右非対称とし、当該結合部17での空気流の淀みを抑制することができるとともに、羽根12のシュラウド11に対する結合部を回転方向に滑らかな湾曲面18Bとすることにより、翼力BFで流れの剥離を抑制し、空気流をスムーズにすることができる。同時に、
図2(B)および
図4(A)に示すように、羽根12の負圧面15側での空気流の乱れを抑制することができるとともに、
図2(C)および
図5(A)に示すように、羽根12の正圧面16側での高静圧領域を減少することで空気流の減速(駆動力の損失)を抑制することができる。
【0094】
従って、ターボファン7の羽根性能を向上し、
図16および
図19、
図20に示すように、ターボファン7の駆動力であるファン入力を低減して高効率化を図ることができるとともに、空気流の乱れを抑制し、低騒音化を図ることができる。
【0095】
また、本実施形態では、羽根12のハブ10に対する結合部(ハブ側結合部)17の反回転方向への湾曲面17Aの角度(+表示)、羽根12の1ピッチ角度θに対して、0.0563θ〜0.0972θの範囲とし、シュラウド11に対する結合部(シュラウド側結合部)18の回転方向への湾曲面18Bの角度(−表示)を、羽根の1ピッチ角度θに対して、−0.0154θ〜−0.0972θの範囲とした構成としている。
【0096】
このため、羽根12のハブ側結合部17での空気流の淀みを抑制することができるとともに、負圧面15側での空気流の剥離を翼力により抑制し、羽根12の性能を更に向上することができ、これによっても、
図16および
図19、
図20に示すように、ターボファン7の駆動力であるファン入力を好ましい範囲に低減することにより、ターボファン7を高効率化、低騒音化することができる。
【0097】
なお、本発明は、上記実施形態にかかる発明に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、適宜変形が可能である。例えば、上記実施形態では、ターボファン7の吹出し側に熱交換器8を配設した天井埋め込み型の空気調和機1に適用した例について説明したが、これに限定されるものではなく、平面形状の熱交換器を通して熱交換した温調空気を吸引し、遠心方向に上下の吹出し口から室内に吹出すようにした空気調和機等にも適用できることはもちろんである。また、ターボファン7自体は、空気調和機以外の機器に適用してもよいことは云うまでもない。