(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、上記特許文献2では、特許文献1と同様に、外側通路体の通路部が、所定の通路位置と、所定の通路位置よりも下方の通路外位置との間を移動することによって、隣り合う通路体の隣接部分において、通路の段差を解消する技術が開示されている。
一方、特許文献2では、支持ロッドが、付勢バネによって、板状床部材から延出する方向に付勢され、かつ、逆方向にも収縮可能とされており、支持ロッドは、内側トンネル(第一トンネル)及び外側トンネル(第二トンネル)それぞれに固定されたガイドレールの壁面に対して、伸縮する。その結果、個々の板状床部材が複雑な構造を有している。
【0006】
また、特許文献2では、可動通路を構成する板状床部材の辺縁側から支持ロッドが延出され、支持ロッドが内側トンネルに設けられたガイドレールに沿って移動する。すなわち、外側トンネルの移動に伴って、個々の板状床部材に設けられた支持ロッドがガイドレール上をスライドする。そのため、支持ロッドとガイドレールとの間の摩擦を低減する必要があり、運用上、支持ロッドには回転可能なローラを設けなければならない。
【0007】
さらに、特許文献2では、板状床部材は、板状床部材の短辺の中央部分で、支持ロッドによってスライドレール上に支持されているが、板状床部材は、支持ロッドの軸回りに回動するため、不安定であり、ボーディングブリッジ内の通行者は歩行しづらい。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、簡素な構造で、所定の通路位置と下方の通路外位置との間を安定して通路部を移動させることが可能なボーディングブリッジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のボーディングブリッジは以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係るボーディングブリッジは、筒状をした複数の通路体が入れ子式に嵌合され、長手方向に相互に相対移動して伸縮するボーディングブリッジであって、隣り合う前記通路体のうち一方の第一通路体に設けられ、所定の高さ位置に設定された通路位置と、前記通路位置に対して下方に位置する通路外位置との間を移動する通路部と、前記通路部が前記通路位置に設置されるように、前記第一通路体の長手方向に沿って設けられ、前記通路部の幅方向端部を支持できる複数の支持部とを備え、前記支持部は、前記通路部を上昇させたり下降させたりすることができる空間が形成されるように前記通路部の外側に移動可能であ
り、前記支持部は、前記通路部を支持するプレート材と、前記プレート材を前記通路部側に移動させるばね材とを有する。
【0011】
本発明の参考例に係るボーディングブリッジは、筒状をした複数の通路体が入れ子式に嵌合され、長手方向に相互に相対移動して伸縮するボーディングブリッジであって、隣り合う前記通路体のうち一方の第一通路体に設けられ、所定の高さ位置に設定された通路位置と、前記通路位置に対して下方に位置する通路外位置との間を移動する通路部と、前記通路部が前記通路位置に設置されるように、前記第一通路体の長手方向に沿って設けられ、前記通路部の幅方向端部を支持でき、かつ、前記通路部の幅方向に移動可能な複数の支持部と、前記支持部を前記通路部の幅方向外側に移動させる突起部を有し、前記突起部によって、前記支持部の支持から外れた前記通路部を前記通路位置と前記通路外位置との間で案内する、隣り合う前記通路体のうち他方の第二通路体に固定された移行レールとを備える。
【0012】
この構成によれば、支持部は、第一通路体の長手方向に沿って設けられ、通路部が所定の高さ位置に設定された通路位置に設置されるように、通路部の幅方向端部を支持する。支持部は、通路部の幅方向に移動可能であり、移行レールの突起部が支持部を通路部の幅方向外側に移動させる。そして支持部が通路部の幅方向外側に移動することによって、通路部は、支持部の支持から外れる。
また、支持部が通路部の幅方向外側に移動することによって、移行レールに沿って上昇してきた通路部を、移行レールから支持部に移動させたり、支持部に載置されている通路部を、支持部から移行レールに移動して、移行レールに沿って通路部を下降させたりすることができる空間が形成される。
その結果、第一通路体が第二通路体に対して長手方向に相対移動する際、第二通路体に固定された移行レールの突起部が、第一通路体に設けられた支持部を順次通路部の幅方向外側に移動させる。したがって、通路部が通路外位置から通路位置へ移動することで、第一通路体における通路部の通行可能な領域が長くなり、反対に通路部が通路位置から通路外位置へ移動することで、第一通路体における通路部の通行可能な領域が短くなる。
【0013】
また、本発明の参考例に係るボーディングブリッジは、筒状をした複数の通路体が入れ子式に嵌合され、長手方向に相互に相対移動して伸縮するボーディングブリッジであって、隣り合う前記通路体のうち一方の第一通路体に設けられ、所定の高さ位置に設定された通路位置と、前記通路位置に対して下方に位置する通路外位置との間を移動する通路部と、前記通路部が前記通路位置に設置されるように、前記第一通路体の長手方向に沿って設けられ、前記通路部の幅方向端部を支持する複数の支持部とを備え、前記通路部は、前記第一通路体の下面又は前記第一通路体に固定された部材に載置されて、前記通路外位置に設置される。
【0014】
この構成によれば、支持部は、第一通路体の長手方向に沿って設けられ、通路部が所定の高さ位置に設定された通路位置に設置されるように、通路部の幅方向端部を支持する。通路部が通路外位置から通路位置へ移動することで、第一通路体における通路部の通行可能な領域が長くなり、反対に通路部が通路位置から通路外位置へ移動することで、第一通路体における通路部の通行可能な領域が短くなる。
通路外位置に設置される通路部は、第一通路体の下面又は第一通路体に固定された部材に載置される。したがって、通路外位置にある通路部は、第二通路体と接触しないため、ボーディングブリッジの伸縮時に第一通路体と第二通路体が相対移動した場合であっても、通路外位置にある通路部は、第二通路体との関係で長手方向の摺動が生じない。
【0015】
また、本発明の参考例に係るボーディングブリッジは、筒状をした複数の通路体が入れ子式に嵌合され、長手方向に相互に相対移動して伸縮するボーディングブリッジであって、隣り合う前記通路体のうち一方の第一通路体に設けられ、所定の高さ位置に設定された通路位置と、前記通路位置に対して下方に位置する通路外位置との間を移動する通路部と、前記通路部が前記通路位置に設置されるように、前記第一通路体の長手方向に沿って設けられ、前記通路部の幅方向端部を支持する複数の支持部とを備え、前記通路部は、前記長手方向に複数に分割された板状部材と、前記板状部材の一辺の中間部分以外にて、前記板状部材から突出して形成され、前記支持部に支持される第一突出部とを有する。
【0016】
この構成によれば、支持部は、第一通路体の長手方向に沿って設けられ、通路部が所定の高さ位置に設定された通路位置に設置されるように、通路部の幅方向端部を支持する。通路部が通路外位置から通路位置へ移動することで、第一通路体における通路部の通行可能な領域が長くなり、反対に通路部が通路位置から通路外位置へ移動することで、第一通路体における通路部の通行可能な領域が短くなる。
通路部は、長手方向に複数に分割された板状部材が連結していることから、屈曲可能である。また、通路部を支持部に支持するための第一突出部が、板状部材から突出して形成されており、板状部材の一辺の中間部分以外に設けられる。そのため、通路部の板状部材が一辺の中間部分以外(例えば端部又は端部近傍など)で支持されるため、歩行によって板状部材が第一突出部の軸周りに回動することを防止できる。その結果、板状部材が安定化するため、歩行者が通路上を歩き易い。
【0017】
上記発明において、前記板状部材の一辺の中間部分にて、前記板状部材から突出して形成され、前記支持部に支持される第二突出部を更に有してもよい。
【0018】
この構成によれば、通路部を支持部に支持するための第二突出部が、板状部材の一辺の中間部分にて板状部材から突出して形成される。また、第一突出部によって、通路部の板状部材が一辺の中間部分以外の端部又は端部近傍で支持されている。したがって、第二突出部が板状部材の一辺の中間部分に設けられる場合でも、歩行によって板状部材が突出部の軸周りに回動することを防止できる。
【0019】
また、本発明の参考例に係るボーディングブリッジは、筒状をした複数の通路体が入れ子式に嵌合され、長手方向に相互に相対移動して伸縮するボーディングブリッジであって、隣り合う前記通路体のうち一方の第一通路体に設けられ、所定の高さ位置に設定された通路位置と、前記通路位置に対して下方に位置する通路外位置との間を移動する通路部と、前記通路部が前記通路位置に設置されるように、前記第一通路体の長手方向に沿って設けられ、前記通路部の幅方向端部を支持する複数の支持部と、一端が前記第一通路体に固定され、他端が前記通路部の長手方向端部に固定されたテンション部とを備える。
【0020】
この構成によれば、支持部は、第一通路体の長手方向に沿って設けられ、通路部が所定の高さ位置に設定された通路位置に設置されるように、通路部の幅方向端部を支持する。通路部が通路外位置から通路位置へ移動することで、第一通路体における通路部の通行可能な領域が長くなり、反対に通路部が通路位置から通路外位置へ移動することで、第一通路体における通路部の通行可能な領域が短くなる。
テンション部は、一端が第一通路体に固定され、他端が通路部の長手方向端部に固定され、通路部を引っ張って、通路部に張力が掛かった状態とする。テンション部は、一端が第一通路体に固定されることから、通路部が通路位置と通路外位置との間を移動する場合でも、テンション部の第一通路体との接続点と通路部の長手方向端部との接続点の間の距離は、ほぼ一定である。そのため、テンション部の一端が第二通路体に固定される場合に比べて、テンション部を簡素な構造とすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、簡素な構造で、所定の通路位置と下方の通路外位置との間を安定して通路部を移動させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明に係る実施形態について、図面を参照して説明する。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態に係るボーディングブリッジ1について、
図1〜
図19を用いて説明する。
ボーディングブリッジ1は、空港のターミナルビルと航空機10との間に乗客の通行路を形成して、ターミナルビルと航空機10とを連絡し、乗客の直接の乗り降りを可能にする。
ボーディングブリッジ1は、ターミナルビルへ通じる固定橋11に固定して設けられるロタンダ2と、ロタンダ2に対して水平方向及び垂直方向に回動可能に接続されている基端トンネル3(通路体、第二通路体)と、基端トンネル3の先端側(航空機10側)で、入れ子式に基端トンネル3の外側に嵌合され、移動可能な先端トンネル4(通路体、第一通路体)と、先端トンネル4の先端部に固定されたヘッド5などを備える。
【0024】
ロタンダ2の下部には、固定脚6が地面に固定して設置される。先端トンネル4の長手方向先端側には、可動脚7が設けられる。ボーディングブリッジ1は、固定脚6と可動脚7とによって支持される。
【0025】
基端トンネル3及び先端トンネル4は、それぞれ中空の長四角柱形状を有している。基端トンネル3及び先端トンネル4は、四角柱の各辺に鋼製の構造梁8(
図3及び
図4参照)が配置され、両側面及び上下面に、構造梁8を連結するように例えば鉄板製のパネル9(
図3及び
図4参照)が取付けられて、筒状に形成されている。パネル9は、鋼製の構造体の外面にアルミ製、合成樹脂製、透明材料(合成樹脂、ガラス等)等の材料で壁を構成するようにしてもよい。
【0026】
先端トンネル4の中空部の横断面積は、基端トンネル3の横断面積よりも大きい。先端トンネル4は、基端トンネル3の外周面に沿って移動する。基端トンネル3の下面には車輪部39が設けられ、基端トンネル3の先端部は、車輪部39を介して先端トンネル4に支持される。車輪部39は、先端トンネル4の構造梁8上を移動する。先端トンネル4は、可動脚7が駆動し移動することによって、長手方向Nに移動し、ボーディングブリッジ1全体の長さを伸縮させる。このようにボーディングブリッジ1が伸縮するため、航空機10の駐機位置によって、ターミナルビルに固定されているロタンダ2と航空機10との間に生じる様々な間隔に対応できる。
【0027】
ヘッド5は、先端側が航空機10の乗降口に接続される。ヘッド5の内部には、ボーディングブリッジ1の可動脚7を駆動し操作する操作部(図示せず。)が設けられている。
【0028】
ボーディングブリッジ1内部では、乗客が通行する通路が、ロタンダ2からヘッド5に向けて、固定通路12、13、開閉通路部17、通行可能域15及び固定通路16によって構成される。固定通路12、13、開閉通路部17、通行可能域15及び固定通路16の上面は、略一定の高さ位置(通路高さH
1)である。これにより、ボーディングブリッジ1内部に生じる段差を少なく抑えることができる。
固定通路12は、ロタンダ2の内部に設けられ、固定通路13は、基端トンネル3の内部に、その略全長にわたって設けられる。
【0029】
先端トンネル4の内部には、可動通路部14(通路部)が設けられている。可動通路部14は、先端トンネル4の先端側で通路高さH
1に位置し、ヘッド5の固定通路16の後端に固定される。また、可動通路部14は、先端トンネル4の後端側で通路高さH
1よりも低い通路外高さH
2に位置し、テンション部36及びアンカー部35を介して先端トンネル4に固定される。ここで、通路高さH
1及び通路外高さH
2は、先端トンネル4の下面から可動通路部14の上面までの高さである。
【0030】
アンカー部35は、
図10及び
図11に示すように、例えば梁状部材であり、両端が先端トンネル4の構造梁8に固定される。テンション部36は、例えば引張りばね37と調整部38を備える。テンション部36は、一端がアンカー部35に固定され、他端が可動通路部14の長手方向端部に固定される。引張りばね37は、可動通路部14を引っ張って、可動通路部14に張力が掛かった状態とする。引張りばね37が弾性を有することで、引張りばね37を用いない場合に比べて、テンション部36にかかる力の変化を低減できる。調整部38は、可動通路部14に適切な張力が掛かるように、アンカー部35と可動通路部14との間の距離を調整する。調整部38は、例えばターンバックルである。
【0031】
テンション部36は、一端がアンカー部35を介して先端トンネル4に固定されることから、可動通路部14が通路高さH
1と通路外高さH
2との間を移動する場合でも、テンション部36の先端トンネル4との接続点(アンカー部35との接続点)と可動通路部14の長手方向端部との接続点の間の距離は、ほぼ一定である。そのため、テンション部36の一端が基端トンネル3に固定される場合に比べて、テンション部36を簡素な構造とすることができる。
【0032】
通路高さH
1に位置する可動通路部14が、乗客が通行する通行可能域15となる。先端トンネル4が移動することによって、可動通路部14は、基端トンネル3の先端側近傍で通路高さH
1に移動したり、通路外高さH
2に移動したりする。これにより、通行可能域15の長さが伸縮する。
【0033】
固定通路16は、ヘッド5の内部に設けられる。ヘッド5の固定通路16の後端には、先端トンネル4の可動通路部14の先端が固定されている。
開閉通路部17は、基端トンネル3の先端、すなわち先端トンネル4側に設けられる。開閉通路部17は、駆動装置(図示せず。)によって、ボーディングブリッジ1の通路の幅方向に延在する軸線を中心として上下方向に揺動し、先端側が可動通路部14と接触可能である。開閉通路部17は、基端トンネル3の固定通路13を先端トンネル47の通行可能域15に接続し、ボーディングブリッジ1内部に連続した通路を形成する。
【0034】
次に、可動通路部14について、
図2から
図9を参照して説明する。
可動通路部14は、板状部分を有するステップ18と、ステップ18を支持するスライドプレート23等の支持部22などを備える。
一つのステップ18は、通路の幅方向に長く奥行き方向に短い部材であり、複数のステップ18が連結することによって、可動通路部14が構成される。隣り合うステップ18が連結部分で相対的に回動可能に連結されることによって、可動通路部14は、屈曲可能となる。その結果、可動通路部14は、所定の高さ位置に設定された通路高さH
1と、通路高さH
1に対して下方に位置する通路外高さH
2との間を移動できる。
【0035】
ステップ18は、可動通路部14の幅方向端部で、ステップ18から延設して形成された突出部19を有する。ステップ18は、突出部19によって、スライドプレート23上に支持されたり、移行レール30上に支持されたりする。
【0036】
支持部22は、スライドプレート23、ブラケット24及びコイルばね25などからなる。
一つのスライドプレート23は、
図6及び
図7に示すように、長手方向の長さがステップ18の複数枚分の長さを有しており、両端部でそれぞれ異なるブラケット24に載置されている。
ブラケット24は、先端トンネル4の長手方向に沿って等間隔に設けられる。
コイルばね25は、圧縮ばねであって、スライドプレート23と先端トンネル4のパネル9の内壁面との間に設置される。コイルばね25は、例えばスライドプレート23の端部近傍に1本ずつ設置される。なお、一つのスライドプレート23において、2本のコイルばね25の代わりに1枚の板ばねが設けられてもよい。
【0037】
スライドプレート23は、ブラケット24上で可動通路部14の幅方向に移動可能である。スライドプレート23は、移行レール30に形成された突起部32によって押圧されることで、可動通路部14の外側方向に移動し、コイルばね25によって付勢されることで、可動通路部14側に移動する。
【0038】
スライドプレート23は、突出部19が載置される平板27と、平板27に対して垂直方向に設けられる立上がり板28などを有する。立上がり板28は、移行レール30に設けられた突起部32と接触する。
【0039】
立上がり板28の端部には、連結部33が設けられる。連結部33は、隣りのスライドプレート23の立上がり板28を両側から挟むように形成された2枚の板状部材からなる。これにより、複数のスライドプレート23が連結部33を介して連結するため、突起部32によって一つのスライドプレート23が移動すると、他のスライドプレート23も連なって移動可能となる。
【0040】
移行レール30は、ステップ18の突出部19が摺動するレール部31と、スライドプレート23の立上がり板28を押圧する突起部32などからなる。
移行レール30は、基端トンネル3に固定されている。移行レール30のレール部31は、可動通路部14の通路高さH
1と通路外高さH
2との間を結ぶ傾斜面を有する。突起部32は、スライドプレート23が設置されている位置とほぼ同一高さに形成される。
【0041】
基端トンネル3が先端トンネル4に対して相対移動することによって、突起部32とスライドプレート23との接触位置が変化する。突起部32によってスライドプレート23が可動通路部14の外側に移動すると、スライドプレート23とステップ18との間隔が広がる。また、コイルばね25の付勢力によってスライドプレート23が可動通路部14側に移動すると、スライドプレート23とステップ18との間隔が狭くなる。
【0042】
したがって、突起部32とスライドプレート23との接触位置が変化することによって、レール部31の一端部31aで、ステップ18の突出部19がスライドプレート23上に移ったり、移行レール30のレール部31上に移ったりする。また、スライドプレート23の他端部31bで、ステップ18の突出部19が移行レール30上に移ったり、先端トンネル4の固定レール34(
図2及び
図8参照)に移ったりする。さらに、移行レール30がボーディングブリッジ1の長手方向に相対移動することによって、移行レール30上に位置するステップ18は、傾斜面に沿って、上下方向に移動する。
【0043】
固定レール34は、可動通路部14が通路外高さH
2となる位置で先端トンネル4に設置される。固定レール34上にステップ18が載置されると、ステップ18は、通路外高さH
2に位置する。ステップ18は、基端トンネル3に載置されるのではなく、先端トンネル4に設置された固定レール34に載置される。したがって、通路外高さH
2にあるステップ18は、基端トンネル3と接触しないため、ボーディングブリッジ1の伸縮時に先端トンネル4と基端トンネル3が相対移動した場合であっても、通路外高さH
2にあるステップ18は、基端トンネル3との関係で長手方向の摺動が生じない。なお、先端トンネル4に固定レール34を設けず、ステップ18を先端トンネル4の下面に直接載置してもよい。この場合も、ステップ18は、基端トンネル3との関係で長手方向の摺動が生じない。
また、本発明は、上述した例に限定されず、ステップ18の長手方向の摺動が生じるが、ステップ18を先端トンネル4ではなく、基端トンネル3に載置するようにしてもよい。
【0044】
スライドプレート23の長手方向両端には、外側方向に突出した支持板29を有する。支持板29は、ブラケット24上で固定部26との間に挟みこまれている。固定部26は、ブラケット24に対して固定されている。これにより、ステップ18に荷重がかかったときに、固定部26が支持板29を支持するため、ステップ18がスライドプレート23と共に転倒することを防止できる。なお、固定部26とブラケット24との間には、支持板29が摺動可能な隙間が設けられており、スライドプレート23はブラケット24上で摺動可能である。
【0045】
次に、ステップ18に設けられる突出部19について説明する。
突出部19は、
図6及び
図7に示すように、例えば、ローラ19Aを有する。突出部19は、ステップ18の自重やステップ18にかかる荷重を支持する。
ローラ19Aが設けられる位置は、隣り合うステップ18の連結部分であって、ローラ19Aの中心軸は、二つのステップ18の回動軸と一致する。このように、荷重を支持する突出部19が二つのステップ18の連結部分18Aに設けられることによって、板状のステップ18が端部で支持されるため、歩行によってステップ18がローラの中心軸周りに回動することを防止できる。そのため、ステップ18が安定化するため、歩行者が通路上を歩き易い。
【0046】
本実施形態では、ローラ19Aを支持する中心軸は、隣り合うステップ18を連結し、かつ、ステップ18の回動軸となるピン19Bと兼用される。本実施形態の突出部19は、上記特許文献2の支持ロッドと異なり、伸縮機能を有さない。特許文献2の支持ロッドは、伸縮機能を発揮させるため、荷重が加わる連結ピンに設けることは困難である。一方、本実施形態では、ステップ18同士を連結するピン19Bにローラ19Aが取り付けられたとしても、突出部19の伸縮が不要であるため、不具合が生じない。
【0047】
以下、突出部19の変形例について説明する。
図12〜
図15に示すように、突出部19のローラ19A及びピン19Bが設けられる位置は、隣り合うステップ18の連結部分18Aではなく、連結部分18Aの近傍でもよい。このとき、
図12及び
図13に示すように、ローラ19Aは、1枚のステップ18の1辺に対して、2箇所に設けられてもよいし、
図14及び
図15に示すように、ローラ19Aは、1枚のステップ18の1辺に対して、1箇所に設けられてもよい。いずれの場合でも、連結部分18Aの近傍に突出部19が設けられることによって、ステップ18の回動を抑制でき、安定化するため、歩行者が通路上を歩き易い。
【0048】
さらに、他の変形例に係る突出部19は、
図16及び
図17に示すように、ステップ18の短辺部分の中央部分にローラ19Aを設け、ローラ19Aの両脇に板状部分19Cを設けている。この場合、ローラ19Aと板状部分19Cからなる突出部19が、移行レール30上やスライドプレート23上に位置して、ステップ18を支持する。これにより、ステップ18がローラ19Aの中心軸周りに回動したとしても、板状部分19Cがスライドプレート23に当接することによって、ステップ18が傾く範囲を抑制できる。そして、ローラ19Aの接地面とステップ18の下面とが、同一面又はほぼ同一面内に収まるように形成することで、さらにステップ18の回動を抑制できる。
【0049】
上述した突出部19のローラ19Aは、移行レール30上において、ステップ18を滑らかに移動させることができる。一方、ステップ18や移行レール30の形状や材質によって摩擦係数を低減できる場合は、
図18及び
図19に示すように、突出部19にローラを設けなくてもよい。この場合、板状部分19Cが、移行レール30上やスライドプレート23上に位置して、ステップ18を支持する。この構成では、そもそもローラがないため、ステップ18は回動せず、安定化する。
【0050】
次に、上述した本実施形態に係るボーディングブリッジ1の動作について説明する。
ボーディングブリッジ1は、先端トンネル4が
図1の二点鎖線で示されるように基端トンネル3と大きく嵌合された状態、すなわち収縮された状態で待機している。
航空機10が所定の位置に到着すると、可動脚7を作動させて、先端トンネル4が航空機10に向かって移動する。すなわち、ボーディングブリッジ1全体が伸長されていく。
【0051】
先端トンネル4が航空機10に向かって移動すると、通路外高さH
2に載置されているステップ18は、移行レール30の他端部30bから移行レール30のレール部31に移り、移行レール30上のステップ18は、移行レール30のレール部31の斜面に沿って通路高さH
1まで上昇する。通路高さH
1では、突起部32と接触したスライドプレート23が、突起部32によって通路の幅方向外側へ移動し、突起部32と接触していないスライドプレート23も、連結部33によって連動して移動する。これにより、スライドプレート23とステップ18との間隔が広がるため、ステップ18の突出部19が移行レール30に沿って上昇可能なスペースが生じる。
【0052】
また、先端トンネル4が航空機10に向かって移動すると、通路高さH
1にて移行レール30上に載置されているステップ18の突出部19は、移行レール30の一端部31aからスライドプレート23上に移動する。これにより、可動通路部14の後端側のステップ18が通路高さH
1に順次移動していくので、通行可能域15の長手方向Nにおける長さは、先端トンネル4が移動した距離だけ長くなる。
なお、このとき、開閉通路部17が移動するステップ18をこすって傷付けないように、開閉通路部17は駆動機器によって上方に退避させられている。
【0053】
そして、ヘッド5が航空機10に接続されると、開閉通路部17を下降させて、通行可能域15と固定通路13とを連続した通路とする。
可動通路部14は、テンション部36によって適切な張力で引っ張られているので、通行可能域15に位置するステップ18にも長手方向Nに向かう張力が作用し、安定した通路が形成される。
【0054】
通行者の通行が終了すると、ヘッド5を航空機10から離脱させ、先端トンネル4をロタンダ2側へ移動させる。このとき、開閉通路部17は上記と同様に退避させておく。
【0055】
先端トンネル4がロタンダ2に向かって移動すると、スライドプレート23上に載置されているステップ18の突出部19は、スライドプレート23から移行レール30の一端部31aに移動する。通路高さH
1では、突起部32と接触したスライドプレート23は、突起部32によって通路の幅方向外側へ移動し、突起部32と接触していないスライドプレート23も、連結部33によって連動して移動する。これにより、スライドプレート23とステップ18との間隔が広がるため、ステップ18の突出部19が移行レール30に沿って下降可能なスペースが生じる。
【0056】
また、先端トンネル4がロタンダ2に向かって移動すると、移行レール30上のステップ18は、移行レール30のレール部31の斜面に沿って下降する。通路外高さH
2にて移行レール30上に載置されているステップ18の突出部19は、移行レール30の他端部31bから固定レール34上に移動する。これにより、可動通路部14の先端側のステップ18が通路外高さH
2に順次移動していくので、通行可能域15の長手方向Nにおける長さは、先端トンネル4が移動した距離だけ短くなる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るボーディングブリッジについて、
図20〜
図25を用いて説明する。
上述した第1実施形態では、一つのスライドプレート23の長手方向の長さがステップ18の複数枚分の長さを有しているとしたが、本実施形態で説明するとおり、本発明は、ステップ18に設けられる一つの突出部19に対して、スライドプレート53を一つずつ設けてもよい。なお、本実施形態において、第1実施形態と重複する構成については説明を省略する。
【0058】
可動通路部14は、複数のステップ18と、ステップ18を支持するスライドプレート53等の支持部52などを備える。
【0059】
本実施形態に係る支持部52は、スライドプレート53、ブラケット54及びコイルばね55などからなる。
スライドプレート53は、ブラケット54上に載置されている。ブラケット54は、先端トンネル4の長手方向に沿って等間隔に設けられる。
コイルばね55は、圧縮ばねであって、スライドプレート53と先端トンネル4のパネル9の内壁面との間に設置される。コイルばね55は、例えばスライドプレート53の中央部に1本設置される。なお、コイルばね55の代わりに板ばねが設けられてもよい。
【0060】
スライドプレート53は、ブラケット54上で可動通路部14の幅方向に移動可能である。スライドプレート53は、移行レール60に形成された突起部62によって押圧されることによって、可動通路部14の外側方向に移動し、コイルばね55によって付勢されることで、可動通路部14側に移動する。
【0061】
スライドプレート53は、突出部19が載置される平板57と、平板57に対して垂直方向に設けられる立上がり板58などを有する。立上がり板58は、移行レール60に設けられた突起部62と接触する。
【0062】
移行レール60は、ステップ18の突出部19が摺動するレール部61と、スライドプレート53の立上がり板58を押圧する突起部62などからなる。
移行レール60は、基端トンネル3に固定されている。移行レール60は、可動通路部14が設置される通路高さH1と通路外高さH2との間を結ぶ傾斜面を有する。突起部62は、スライドプレート53が設置されている位置とほぼ同一高さに形成される。
【0063】
基端トンネル3が先端トンネル4に対して相対移動することによって、突起部62とスライドプレート53との接触位置が変化する。突起部62によってスライドプレート53が可動通路部14の外側に移動すると、スライドプレート53とステップ18との間隔が広がる。また、コイルばね55の付勢力によってスライドプレート53が可動通路部14側に移動すると、スライドプレート53とステップ18との間隔が狭くなる。
【0064】
したがって、突起部62とスライドプレート53との接触位置が変化することによって、レール部61の一端部61aで、ステップ18の突出部19がスライドプレート53上に移ったり、移行レール60のレール部61上に移ったりする。また、スライドプレート53の他端部61bで、ステップ18の突出部19が移行レール60上に移ったり、先端トンネル4の固定レール34(
図20及び
図24参照)に移ったりする。さらに、移行レール60がボーディングブリッジ1の長手方向に相対移動することによって、移行レール60上に位置するステップ18は、傾斜面に沿って、上下方向に移動する。
【0065】
本実施形態では、一つの突出部19に対して1枚のスライドプレート53が設けられるため、第1実施形態と異なり、複数のスライドプレート53を連動させるための連結部が不要である。
【0066】
スライドプレート53は、外側方向に突出した支持板59を有する。支持板59は、ブラケット54上で固定部56との間に挟みこまれている。固定部56は、ブラケット54に対して固定されている。これにより、ステップ18に荷重がかかったときに、固定部56が支持板59を支持するため、ステップ18がスライドプレート53と共に転倒することを防止できる。なお、固定部56とブラケット54との間には、支持板59が摺動可能な隙間が設けられており、スライドプレート53はブラケット54上で摺動可能である。
【0067】
次に、上述した本実施形態に係るボーディングブリッジの動作について説明する。
先端トンネル4が航空機10に向かって移動すると、通路外高さH
2に載置されているステップ18は、移行レール60の他端部60bから移行レール60のレール部61に移り、移行レール60上のステップ18は、移行レール60のレール部61の斜面に沿って通路高さH
1まで上昇する。通路高さH
1では、突起部62と接触したスライドプレート53が、突起部62によって通路の幅方向外側へ移動する。これにより、スライドプレート53とステップ18との間隔が広がるため、ステップ18の突出部19が移行レール60に沿って上昇可能なスペースが生じる。
【0068】
また、先端トンネル4が航空機10に向かって移動すると、通路高さH
1にて移行レール60上に載置されているステップ18の突出部19は、移行レール60の一端部61aからスライドプレート53上に移動する。これにより、可動通路部14の後端側のステップ18が通路高さH
1に順次移動していくので、通行可能域15の長手方向Nにおける長さは、先端トンネル4が移動した距離だけ長くなる。
なお、このとき、開閉通路部17が移動するステップ18をこすって傷付けないように、開閉通路部17は駆動機器によって上方に退避させられている。
【0069】
一方、先端トンネル4がロタンダ2に向かって移動すると、スライドプレート53上に載置されているステップ18の突出部19は、スライドプレート53から移行レール60の一端部61aに移動する。通路高さH
1では、突起部62と接触したスライドプレート53は、突起部62によって通路の幅方向外側へ移動する。これにより、スライドプレート53とステップ18との間隔が広がるため、ステップ18の突出部19が移行レール60に沿って下降可能なスペースが生じる。
【0070】
また、先端トンネル4がロタンダ2に向かって移動すると、移行レール60上のステップ18は、移行レール60のレール部61の斜面に沿って下降する。通路外高さH
2にて移行レール60上に載置されているステップ18の突出部19は、移行レール60の他端部61bから固定レール34上に移動する。これにより、可動通路部14の先端側のステップ18が通路外高さH
2に順次移動していくので、通行可能域15の長手方向Nにおける長さは、先端トンネル4が移動した距離だけ短くなる。
【0071】
本発明は、上述した第1及び第2実施形態のボーディングブリッジに限定されず、例えば、基端トンネル3と先端トンネル4との間に中間トンネルが備えられているボーディングブリッジにも適用することができる。
この場合、中間トンネルにも、第1実施形態における可動通路部14と略同一構造の可動通路部14が備えられる。中間トンネルの可動通路部14の一端は、先端トンネル4の他端部に近接する位置に固定されている。先端トンネル4の可動通路部14は、他端が中間トンネルの先端部の近傍から通路外位置へ下降する。なお、中間トンネルは、複数備えられてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、可動通路部14の通路を長手方向に分割されたステップ18で構成しているが、本発明は、この例に限定されない。例えば、ステップ18の代わりに幅広のベルト部材を用いてもよい。ベルト部材は、内部に補強材が備えられ、強度が増強される。また、ベルト部材は、長手方向Nに沿って所定の間隔を開けて配置されたローラ等の突出部によって、支持部22、移行レール30及び固定レール34に支持される。