(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642947
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】デジタルコントローラを使用してマイクロ波発生器の1つ以上の動作を調節するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
A61B 18/18 20060101AFI20200130BHJP
A61B 90/90 20160101ALI20200130BHJP
【FI】
A61B18/18 100
A61B90/90
【請求項の数】18
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-510876(P2017-510876)
(86)(22)【出願日】2015年7月28日
(65)【公表番号】特表2017-525492(P2017-525492A)
(43)【公表日】2017年9月7日
(86)【国際出願番号】US2015042446
(87)【国際公開番号】WO2016032666
(87)【国際公開日】20160303
【審査請求日】2018年5月11日
(31)【優先権主張番号】62/041,402
(32)【優先日】2014年8月25日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512269650
【氏名又は名称】コヴィディエン リミテッド パートナーシップ
(74)【代理人】
【識別番号】100107489
【弁理士】
【氏名又は名称】大塩 竹志
(72)【発明者】
【氏名】ブラナン, ジョセフ ディー.
【審査官】
北川 大地
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−082462(JP,A)
【文献】
特開2001−314411(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0324548(US,A1)
【文献】
特表2013−511348(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/192553(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12、18/18、90/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外科手術用システムであって、
複数の抵抗チャネルを有する抵抗識別コネクタを含むマイクロ波発生器であって、各抵抗チャネルは、抵抗値のそれぞれの範囲内にある複数の抵抗値を中継可能である、マイクロ波発生器と、
デバイス識別子要素を有するマイクロ波アプリケータであって、前記マイクロ波アプリケータは、再使用可能ケーブルを介して前記マイクロ波発生器に接続されるように構成されており、前記デバイス識別子要素は、複数の要素を含み、前記複数の要素のうちの各要素は、抵抗値を有し、前記複数の要素の各抵抗値は、抵抗値の第1の範囲内にある、マイクロ波アプリケータと、
前記マイクロ波発生器の前記抵抗識別コネクタに接続されるように構成されているデジタルコントローラと
を備え、
前記マイクロ波アプリケータの前記デバイス識別子要素の前記複数の要素の抵抗値は、前記抵抗識別コネクタの前記複数の抵抗チャネルのうちの1つの抵抗チャネルを介して前記デジタルコントローラに中継され、前記1つの抵抗チャネルは、抵抗値の前記第1の範囲に対応する抵抗値の範囲を中継可能であり、それによって、前記デジタルコントローラが前記マイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節することによって前記マイクロ波アプリケータを制御することを可能にする、
外科手術用システム。
【請求項2】
前記デバイス識別子要素は、前記マイクロ波アプリケータの電力限界、時間限界、温度限界、および反射電力限界のうちの少なくとも1つに関連する情報を含む、請求項1に記載の外科手術用システム。
【請求項3】
前記複数の抵抗チャネルは、5つのチャネルであり、前記5つのチャネルの各々は、前記マイクロ波発生器に接続される異なるマイクロ波アプリケータに対応するように構成されている、請求項1に記載の外科手術用システム。
【請求項4】
放射測定検出器が、前記マイクロ波発生器と前記再使用可能ケーブルとの間に接続されている、請求項1に記載の外科手術用システム。
【請求項5】
前記放射測定検出器は、前記マイクロ波アプリケータに近い組織からの放出を感知する、請求項4に記載の外科手術用システム。
【請求項6】
フットスイッチが、前記マイクロ波発生器に接続されている、請求項1に記載の外科手術用システム。
【請求項7】
遠隔温度プローブが、前記マイクロ波発生器に接続されている、請求項1に記載の外科手術用システム。
【請求項8】
複数のディップスイッチが、前記マイクロ波発生器上に組み込まれ、前記複数のディップスイッチは、カットオフ温度をユーザが選択することを可能にするように構成されており、前記カットオフ温度が前記遠隔温度プローブによって感知されると、前記マイクロ波発生器がシャットオフされる、請求項7に記載の外科手術用システム。
【請求項9】
前記デジタルコントローラは、前記マイクロ波アプリケータのデバイス識別子要素内に記憶された情報を継続的に、かつリアルタイムで読み取り、前記マイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節する、請求項1に記載の外科手術用システム。
【請求項10】
マイクロ波アプリケータを動作させる方法であって、前記方法は、
再使用可能ケーブルを介して、前記マイクロ波アプリケータをマイクロ波発生器に接続することであって、前記マイクロ波発生器は、複数の抵抗チャネルを有する抵抗識別コネクタを含み、各抵抗チャネルは、抵抗値のそれぞれの範囲内にある複数の抵抗値を中継可能である、ことと、
前記マイクロ波アプリケータをデバイス識別子要素に関連付けることであって、前記デバイス識別子要素は、複数の要素を含み、前記複数の要素のうちの各要素は、抵抗値を有し、前記複数の要素の各抵抗値は、抵抗値の第1の範囲内にある、ことと、
デジタルコントローラを前記マイクロ波発生器の前記抵抗識別コネクタに接続することと、
前記抵抗識別コネクタの複数の抵抗チャネルのうちの1つの抵抗チャネルを用いて、前記マイクロ波アプリケータの前記デバイス識別子要素の前記複数の要素の抵抗値を前記デジタルコントローラに中継することであって、前記1つの抵抗チャネルは、抵抗値の前記第1の範囲に対応する抵抗値の範囲を中継可能である、ことと、
前記デジタルコントローラが前記マイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節することによって前記マイクロ波アプリケータを制御することを可能にすることと
を含む、方法。
【請求項11】
前記デバイス識別子要素は、前記マイクロ波アプリケータの電力限界、時間限界、温度限界、および反射電力限界のうちの少なくとも1つに関連する情報を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の抵抗チャネルは、5つのチャネルであり、前記5つのチャネルの各々は、前記マイクロ波発生器に接続される異なるマイクロ波アプリケータに対応するように構成されている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
放射測定検出器を前記マイクロ波発生器と前記再使用可能ケーブルとの間に接続することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記放射測定検出器を介して、前記マイクロ波アプリケータに近い組織からの放出を感知することをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
フットスイッチを前記マイクロ波発生器に接続することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
遠隔温度プローブを前記マイクロ波発生器に接続することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
複数のディップスイッチを前記マイクロ波発生器上に組み込むことをさらに含み、前記複数のディップスイッチは、カットオフ温度をユーザが選択することを可能にするように構成されており、前記カットオフ温度が前記遠隔温度プローブによって感知されると、前記マイクロ波発生器がシャットオフされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記デジタルコントローラが前記マイクロ波アプリケータのデバイス識別子要素内に記憶された情報を継続的に、かつリアルタイムで読み取り、前記マイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節することを可能にすることをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、米国仮出願第62/041,402号(2014年8月25日出願)の利益、およびそれに対する優先権を主張し、上記出願の全内容は、参照により本明細書に引用される。
【0002】
(技術分野)
本開示は、マイクロ波発生器に関し、より具体的には、デジタルコントローラを使用して、マイクロ波発生器の1つ以上の動作を調節するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
電磁場は、腫瘍細胞を加熱および破壊するために使用されることができる。治療は、アブレーションプローブを癌性腫瘍が識別された組織の中に挿入することを伴い得る。アブレーションプローブが適切に位置付けられると、アブレーションプローブは、アブレーションプローブを包囲する組織内に電磁場を誘発する。
【0004】
癌等の疾患の治療において、あるタイプの腫瘍細胞は、健康な細胞に対して通常傷害となる温度を若干下回る高温で変性することが見出されている。発熱療法等の公知の治療方法は、隣接する健康な細胞を不可逆的細胞破壊が生じる温度より下に維持しながら、罹患細胞を41℃より上の温度まで加熱する。これらの方法は、電磁場を印加し、組織を加熱またはアブレーションすることを伴う。
【0005】
電磁場を利用するデバイスが、種々の使用および用途のために開発されている。典型的には、アブレーション手技における使用のための装置は、電力発生源(例えば、エネルギー源として機能するマイクロ波発生器)と、エネルギーを標的組織に向かわせるための外科手術用器具(例えば、アンテナアセンブリを有するマイクロ波アブレーションプローブ)とを含む。発生器と外科手術用器具とは、典型的には、エネルギーを発生器から器具に伝送し、かつ制御、フィードバック、および識別信号を器具と発生器との間で通信するために、複数の導体を有するケーブルアセンブリによって動作可能に結合される。
【0006】
例えば、組織アブレーション用途において使用され得る、モノポール、ダイポール、および螺旋等のいくつかのタイプのマイクロ波プローブおよび導波路が、使用されている。モノポールおよびダイポールアンテナアセンブリでは、マイクロ波エネルギーは、概して、導体の軸から垂直に放射する。モノポールアンテナアセンブリは、典型的には、単一の伸長い導体を含む。典型的ダイポールアンテナアセンブリは、線形に整列させられ、互いに対して端と端とを合わせて位置付けられる2つの伸長い導体を含み、電気絶縁体がそれらの間に設置される。螺旋アンテナアセンブリは、種々の寸法、例えば、直径および長さの螺旋形状の導体構成を含む。螺旋アンテナアセンブリの主要動作モードは、螺旋によって放射される場が螺旋軸に垂直な平面において最大である通常モード(ブロードサイド)と、最大放射が螺旋軸に沿う軸方向モード(エンドファイア)とである。
【0007】
熱アブレーションのための組織の加熱は、種々のアプローチを通して遂行され、その種々のアプローチは、印加される表面または要素からの熱の伝導と、電極から接地パッドに流動する電流、光学波長吸収、または、マイクロ波アブレーションの場合、印加される電磁場内の水分子の誘電緩和によるイオン撹拌とを含む。アプローチにもかかわらず、概念上熱的にアブレーション性のデバイスは、2つの固有の加熱ゾーン(すなわち、能動的加熱ゾーンおよび受動的加熱ゾーン)を有する組織を凝固および壊死させる。
【0008】
能動的アブレーションゾーンは、アブレーションデバイスに最も近く、大血管または気道の周囲およびその中等の非常に急速に流動する流体のエリアを除き、所与の印加時間で熱組織破壊を確実にする十分に高いエネルギー吸収を受ける組織のボリュームを包含する。能動的アブレーションゾーンのサイズおよび形状は、アブレーションデバイス設計によって決定される。能動的アブレーションゾーンは、したがって、組織の所与の形状およびボリュームにわたって予測可能なアブレーション性効果を生成するために使用されることができる。
【0009】
受動的アブレーションゾーンは、能動的ゾーンを包囲し、より低い強度のエネルギー吸収を被る組織のボリュームを包含する。受動的アブレーションゾーン内の組織は、所与の印加時間で組織破壊を被ることも、被らないこともある。生理学的冷却は、低レベルのエネルギー吸収からの加熱に対抗し、したがって、組織を死滅させる十分な加熱が受動的ゾーン内で生じることを可能にしないこともある。受動的ゾーン内の罹患または低灌流組織は、他の組織より加熱されやすくあり得、アブレーションゾーン内のより高温のエリアから熱伝導をより受けやすくもあり得る。これらの場合の受動的ゾーンは、予想外に大きいアブレーションゾーンをもたらし得る。標的生理学内の空間にわたるこれらの様々なシナリオに起因して、受動的ゾーンを信頼して熱アブレーションを行うことは、予測不能転帰を伴い挑戦的である。
【0010】
電磁場が、マイクロ波プローブによってある距離に誘発されることができるので、マイクロ波アブレーションは、大規模な能動的ゾーンを生成する潜在性を有し、その形状は、設計によって決定され、一定に保持されることができる。さらに、形状およびサイズは、特定の医療用途に適合するように設計を通して決定されることができる。不確定の受動的アブレーションゾーンに頼らずに、所定の能動的ゾーンを利用し、予測可能アブレーションゾーンを生成することによって、マイクロ波アブレーションは、他のアブレーション性技法を用いて可能ではないあるレベルの予測精度および手技適合性を提供することができる。
【0011】
アンテナの周りの能動的ゾーンの形状は、動作の周波数、アンテナの幾何学形状、アンテナの材料、およびアンテナを包囲する媒体によって決定される。加熱組織等、動的に変化する電気特性の媒体内でアンテナを動作させることは、電磁場の形状変化、したがって、能動的ゾーンの変化をもたらす。マイクロ波アンテナの周りの能動的ゾーンの形状を維持するために、周囲媒体の電気特性の電磁場に及ぼす影響の程度は、低減させられる。
【0012】
アンテナの周りの能動的ゾーンのサイズは、マイクロ波発生器からアンテナに送達され得るエネルギーの量によって決定される。より多くのエネルギーがアンテナに送達されると、より大きい能動的ゾーンが生成され得る。マイクロ波発生器から導波管を通してマイクロ波アンテナまでのエネルギー伝達を最大化することは、各システム構成要素が、同一インピーダンスを有するか、またはインピーダンス整列させられることを要求する。発生器および導波管のインピーダンスは、典型的には、固定されるが、マイクロ波アンテナのインピーダンスは、動作の周波数、アンテナの幾何学形状、アンテナの材料、およびアンテナを包囲する媒体によって決定される。加熱組織内等の動的に変化する電気特性の媒体内でアンテナを動作させることは、アンテナインピーダンスの変化およびアンテナへの可変エネルギー送達をもたらし、その結果、能動的ゾーンのサイズの変化をもたらす。マイクロ波アンテナの周りの能動的ゾーンのサイズを維持するために、周囲媒体の電気特性のアンテナインピーダンスに及ぼす影響の程度は、低減させられなければならない。
【0013】
マイクロ波アブレーションでは、能動的ゾーンのサイズおよび形状の変化の主要原因は、電磁波の伸長である。波長伸長は、組織脱水に起因して、加熱組織内に生じる。脱水は、プローブの周りの組織の誘電定数を低下させ、マイクロ波場の波長を長くする。波長伸長は、組織タイプ間の可変誘電定数に起因して、マイクロ波デバイスが種々の組織タイプにわたって使用されるときにも引き起こされる。例えば、電磁波は、肝臓組織内よりも肺組織内で有意に長くなる。
【0014】
波長伸長は、標的組織上へのマイクロ波エネルギーの集束を損なわせる。大きなボリュームのアブレーションの場合、略球状の能動的ゾーンが、エネルギーを略球状組織標的上に集束させるために好ましい。波長伸長は、デバイスの長さに沿って発生器に向かって電磁場が伸びることを引き起こし、略彗星または「ホットドック」形状の能動的ゾーンをもたらす。
【0015】
波長伸長は、米国出願第13/835,283号および第13/836,519号(それぞれの開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる)に説明されるように、不変誘電定数を有する材料を用いてアンテナ幾何学形状を誘電的にバッファリングすることによって、医療マイクロ波アンテナ内で有意に低減させられることができる。不変誘電定数の材料は、アンテナを包囲し、アンテナ波長に及ぼす組織電気特性の影響を低減させる。誘電バッファリングを通して波長伸長を制御することによって、アンテナインピーダンス整合および場形状は、維持され、所定のロバストな形状を伴う大規模な能動的アブレーションゾーンを可能にすることができる。
【0016】
生理食塩水または水等の循環流体を用いて誘電バッファリングを提供することによって、これらの材料の高誘電定数は、アンテナ幾何学形状設計において活用されることができ、さらに、循環流体は、同時に、同軸供給線およびアンテナを含むマイクロ波構成要素を冷却するために使用されることができる。マイクロ波構成要素の冷却は、より多くのエネルギーをアンテナに送達し、より大きい能動的ゾーンを生成するために使用され得る構成要素のより高い電力取り扱う量をも可能にする。
【0017】
現在市場にある、いくつかのマイクロ波発生器は、デジタル回路が制御のために要求されないように、開発および精緻化されている。代わりに、デバイスの機能は全て、アナログ制御システムによって制御される。これは、反射電力測定、増幅器制御回路、およびその他を含む。確かに、いくつかの事例において、これらのマイクロ波発生器のデジタル側面のみを有する、もしくはタイマおよび/または電力設定のデジタルディスプレイに関連する。
【0018】
しかしながら、マイクロ波外科手術用器具は、常に、これらの既存の電気外科手術用発生器と適合性がないこともある新しい機能でアップグレードされる。しかしながら、新しいマイクロ波外科手術用器具と相互作用する目的のために、電気外科手術用発生器を再プログラミングまたはアップグレードすることは、煩雑かつその独自の短所を有する。故に、既存のマイクロ波発生器の動作または機能性を追加または改変もしくは調節するシステムおよび方法の必要性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国出願第13/835,283号明細書
【特許文献2】米国出願第13/836,519号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0020】
本開示のある側面では、複数の抵抗チャネルを含む抵抗識別コネクタを有するマイクロ波発生器を含み、各抵抗チャネルは、複数の抵抗値を有する外科手術用システムが、提示される。外科手術用システムはさらに、デバイス識別子を有するマイクロ波アプリケータを含み、マイクロ波アプリケータは、再使用可能ケーブルを介して、マイクロ波発生器に接続されるように構成される。外科手術用システムはまた、マイクロ波発生器の抵抗識別コネクタに接続されるように構成されているデジタルコントローラを含む。マイクロ波アプリケータのデバイス識別子は、抵抗識別コネクタの複数の抵抗チャネルのうちの1つの抵抗チャネルを介して、デジタルコントローラに中継され、デジタルコントローラがマイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節することによってマイクロ波アプリケータを制御することを可能にする。
【0021】
いくつかの側面では、デバイス識別子は、マイクロ波アプリケータの電力限界、時間限界、温度限界、および反射電力限界のうちの少なくとも1つに関連する情報を含む。
【0022】
ある側面では、複数の抵抗チャネルは、5つのチャネルであり、5つのチャネルの各々は、マイクロ波発生器に接続される異なるマイクロ波アプリケータに対応するように構成される。
【0023】
側面では、放射測定検出器が、マイクロ波発生器と再使用可能ケーブルとの間に接続され得る。放射測定検出器は、マイクロ波アプリケータに近い組織からの放出を感知する。
【0024】
いくつかの側面では、フットスイッチが、マイクロ波発生器に接続され得る。さらに、遠隔温度プローブが、マイクロ波発生器に接続され得る。
【0025】
本開示の別の側面では、複数のディップスイッチが、マイクロ波発生器上に組み込まれ、複数のディップスイッチは、高温カットオフ選択可能性を可能にするように構成される。
【0026】
側面では、デジタルコントローラは、マイクロ波アプリケータのデバイス識別子内に記憶された情報を継続的に、かつリアルタイムで読み取り、マイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節する。
【0027】
いくつかの側面では、マイクロ波発生器は、少なくとも1つのデジタルパススルーラインを含み、マイクロ波アプリケータとデジタルコントローラとの間の直接通信を可能にする。
【0028】
他の本開示のさらに他の側面では、マイクロ波アプリケータを動作させる方法が、提示される。方法は、再使用可能ケーブルを介して、マイクロ波アプリケータをマイクロ波発生器に接続することであって、マイクロ波発生器は、複数の抵抗チャネルを有する抵抗識別コネクタを含み、各抵抗チャネルは、複数の抵抗値を有する、ことと、マイクロ波アプリケータとデバイス識別子を関連付けることと、デジタルコントローラをマイクロ波発生器の抵抗識別コネクタに接続することとを含む。方法はさらに、抵抗識別コネクタの複数の抵抗チャネルのうちの1つの抵抗チャネルを介して、マイクロ波アプリケータのデバイス識別子をデジタルコントローラに中継することと、デジタルコントローラがマイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節することによってマイクロ波アプリケータを制御することを可能にすることとを含む。
【0029】
本開示のさらなる可用性の範囲は、以下に与えられる発明を実施するための形態から明白となるであろう。しかしながら、発明を実施するための形態および特定の実施例は、本開示の例証的実施形態を示すが、所与の例証として与えられるにすぎず、本開示の精神および範囲内の種々の変更および修正は、本発明を実施するための形態から当業者に明白となるであろうことを理解されたい。
例えば、本願は以下の項目を提供する。
(項目1)
外科手術用システムであって、
複数の抵抗チャネルを有する抵抗識別コネクタを含むマイクロ波発生器であって、各抵抗チャネルは、複数の抵抗値を有する、マイクロ波発生器と、
デバイス識別子を有するマイクロ波アプリケータであって、前記マイクロ波アプリケータは、再使用可能ケーブルを介して前記マイクロ波発生器に接続されるように構成されている、マイクロ波アプリケータと、
前記マイクロ波発生器の前記抵抗識別コネクタに接続されるように構成されているデジタルコントローラと
を備え、
前記マイクロ波アプリケータのデバイス識別子は、前記抵抗識別コネクタの前記複数の抵抗チャネルのうちの1つの抵抗チャネルを介して前記デジタルコントローラに中継され、それによって、前記デジタルコントローラが前記マイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節することによって前記マイクロ波アプリケータを制御することを可能にする、
外科手術用システム。
(項目2)
前記デバイス識別子は、前記マイクロ波アプリケータの電力限界、時間限界、温度限界、および反射電力限界のうちの少なくとも1つに関連する情報を含む、項目1に記載の外科手術用システム。
(項目3)
前記複数の抵抗チャネルは、5つのチャネルであり、前記5つのチャネルの各々は、前記マイクロ波発生器に接続される異なるマイクロ波アプリケータに対応するように構成されている、項目1に記載の外科手術用システム。
(項目4)
放射測定検出器が、前記マイクロ波発生器と前記再使用可能ケーブルとの間に接続されている、項目1に記載の外科手術用システム。
(項目5)
前記放射測定検出器は、前記マイクロ波アプリケータに近い組織からの放出を感知する、項目4に記載の外科手術用システム。
(項目6)
フットスイッチが、前記マイクロ波発生器に接続されている、項目1に記載の外科手術用システム。
(項目7)
遠隔温度プローブが、前記マイクロ波発生器に接続されている、項目1に記載の外科手術用システム。
(項目8)
複数のディップスイッチが、前記マイクロ波発生器上に組み込まれ、前記複数のディップスイッチは、高温カットオフ選択可能性を可能にするように構成されている、項目1に記載の外科手術用システム。
(項目9)
前記デジタルコントローラは、前記マイクロ波アプリケータのデバイス識別子内に記憶された情報を継続的に、かつリアルタイムで読み取り、前記マイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節する、項目1に記載の外科手術用システム。
(項目10)
前記マイクロ波発生器は、少なくとも1つのデジタルパススルーラインを含み、前記マイクロ波アプリケータと前記デジタルコントローラとの間の直接通信を可能にする、項目1に記載の外科手術用システム。
(項目11)
マイクロ波アプリケータを動作させる方法であって、前記方法は、
再使用可能ケーブルを介して、前記マイクロ波アプリケータをマイクロ波発生器に接続することであって、前記マイクロ波発生器は、複数の抵抗チャネルを有する抵抗識別コネクタを含み、各抵抗チャネルは、複数の抵抗値を有する、ことと、
前記マイクロ波アプリケータをデバイス識別子に関連付けることと、
デジタルコントローラを前記マイクロ波発生器の前記抵抗識別コネクタに接続することと、
前記抵抗識別コネクタの複数の抵抗チャネルのうちの1つの抵抗チャネルを用いて、前記マイクロ波アプリケータの前記デバイス識別子を前記デジタルコントローラに中継することと、
前記デジタルコントローラが前記マイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節することによって前記マイクロ波アプリケータを制御することを可能にすることと
を含む、方法。
(項目12)
前記デバイス識別子は、前記マイクロ波アプリケータの電力限界、時間限界、温度限界、および反射電力限界のうちの少なくとも1つに関連する情報を含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
前記複数の抵抗チャネルは、5つのチャネルであり、前記5つのチャネルの各々は、前記マイクロ波発生器に接続される異なるマイクロ波アプリケータに対応するように構成されている、項目11に記載の方法。
(項目14)
放射測定検出器を前記マイクロ波発生器と前記再使用可能ケーブルとの間に接続することをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目15)
前記放射測定検出器を介して、前記マイクロ波アプリケータに近い組織からの放出を感知することをさらに含む、項目14に記載の方法。
(項目16)
フットスイッチを前記マイクロ波発生器に接続することをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目17)
遠隔温度プローブを前記マイクロ波発生器に接続することをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目18)
複数のディップスイッチを前記マイクロ波発生器上に組み込むことをさらに含み、前記複数のディップスイッチは、高温カットオフ選択可能性を可能にするように構成されている、項目11に記載の方法。
(項目19)
前記デジタルコントローラが前記マイクロ波アプリケータのデバイス識別子内に記憶された情報を継続的に、かつリアルタイムで読み取り、前記マイクロ波発生器の少なくとも1つの動作を調節することを可能にすることをさらに含む、項目11に記載の方法。
(項目20)
少なくとも1つのデジタルパススルーラインを前記マイクロ波発生器内に含み、前記マイクロ波アプリケータと前記デジタルコントローラとの間の直接通信を可能にすることをさらに含む、項目11に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0030】
種々の本開示の側面は、図面を参照して本明細書に後述される。
【0031】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による、外科手術用システムのブロック図である。
【0032】
【
図2】
図2は、本開示のある実施形態による、
図1の外科手術用システムの抵抗識別コネクタを描写する。
【0033】
【
図3】
図3は、本開示のある実施形態による、高温カットオフ選択可能性を可能にするように構成されている、複数のディップスイッチを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図は、本開示の例証的実施形態を描写し、排他的であることを意図するものではない。当業者は、本明細書に図示される構造および方法の代替実施形態が、本開示の原理から逸脱することなく、採用され得る、以下の発明を実施するための形態から容易に認識するであろう。
【0035】
本開示は、概して、デジタルコントローラ(または外部アダプタまたはドングル)と通信するように構成されているマイクロ波発生器にデジタル出力を追加することを対象とし、デジタルコントローラは、マイクロ波発生器に接続されるマイクロ波アプリケータを操作/制御するために、マイクロ波発生器の1つ以上の動作を調節するように構成される。
【0036】
本開示の一実施形態は、概して、マイクロ波発生器に、デジタルコントローラと動作可能に通信するように構成されている抵抗識別回路を提供することを対象とする。マイクロ波アプリケータがマイクロ波発生器に接続されると、マイクロ波アプリケータのデバイスIDは、マイクロ波アプリケータに関連付けられた抵抗情報を抵抗識別回路に送信または伝送もしくは通信し、抵抗識別回路は、抵抗情報を抵抗チャネルと一致させ、マイクロ波発生器に取り付けられるマイクロ波アプリケータのタイプを識別する。デジタルコントローラは、次いで、マイクロ波発生器の1つ以上の動作を調節し、マイクロ波発生器に接続されるマイクロ波アプリケータを制御するために、マイクロ波発生器に接続されることを可能にされる。
【0037】
マイクロ波アブレーションシステムおよび構成要素の実施形態は、付随の図面を参照して、説明される。類似参照番号は、図の説明全体を通して、類似または同じ要素を指し得る。図面に示され、本説明において使用される場合、用語「近位」は、ユーザにより近い装置または装置の構成要素の部分を指し、用語「遠位」は、ユーザからより遠い装置または装置の構成要素の部分を指す。
【0038】
図1は、本開示の実施形態による、外科手術用システムのブロック図である。
図1に示されるように、外科手術用システム100は、マイクロ波発生器110を含む。マイクロ波発生器110は、複数の抵抗チャネル121、123、125、127、129を有する抵抗識別コネクタ120を含み、各抵抗チャネルは、複数の抵抗値を有する(
図2参照)。
【0039】
マイクロ波発生器110は、マイクロ波アプリケータ180に接続されるように構成される。マイクロ波発生器110とマイクロ波アプリケータ180との間の接続は、再使用可能ケーブル160を通して可能にされる。一例示的実施形態では、放射測定検出器150が、再使用可能ケーブル160とマイクロ波発生器110との間に位置付けられる。さらに、マイクロ波アプリケータ180は、デバイスID170(またはデバイス識別子170)に関連付けられる。デバイスID170は、マイクロ波アプリケータ180内に組み込まれ得るか、または、例えば、再使用可能ケーブル160のコネクタと嵌合するように構成されるコネクタ内に形成される別個の構成要素であり得る。したがって、再使用可能ケーブル160は、デバイスID170に接続し、それは、順に、マイクロ波アプリケータ180に接続される。類似したデバイスID構成要素が、再使用可能ケーブル160および放射測定検出器150内に含まれ得る。マイクロ波発生器110はまた、フットスイッチ140に接続され得、それも、デバイスIDを含み得る。
【0040】
外科手術用システム100の使用の間、外科手術を行うときに使用される外科手術用機器および種々の異なるサブシステムの制御が、要求され得る。典型的には、サブシステムの動作は、マイクロプロセッサ駆動コンソール(例えば、マイクロ波発生器110)によって制御される。マイクロプロセッサは、外科手術用システム100のオペレータまたは助手のいずれかから機械的入力を受信する。フットスイッチ140等の制御入力デバイスは、多くの場合、機械的入力を受け取るために使用される。これらの機械的入力は、オペレータの足の移動から発生し、外科手術用システム100内のサブシステムの動作を統制する。オペレータの足の移動からの機械的入力は、電気信号に変換され、それは、マイクロプロセッサ制御にフィードされる。電気信号は、次いで、外科手術用システム100内のサブシステムの動作特性を制御するために使用される。
【0041】
図1に示されるように、マイクロ波発生器110は、遠隔温度プローブ190に接続される。遠隔温度プローブ190は、熱電対またはサーミスタ等の温度センサであり得、デバイスIDを同様に含み得る。温度プローブ190は、外科手術部位における組織の温度を測定するように動作可能である。一実施形態では、温度プローブ190は、温度信号をマイクロ波発生器110に継続的に出力し、ユーザが、温度を観察すること、またはマイクロ波発生器110を制御することを可能にするように構成され得る。
【0042】
一実施形態では、以下により詳細に説明される、ディップスイッチ112が、カットオフ温度の設定を可能にし、その温度が遠隔温度プローブ190によって感知されると、マイクロ波発生器110は、シャットオフされる。温度の監視に関して、マイクロ波発生器110は、温度プローブ190から出力される温度信号を表示するビデオ画面(図示せず)を含み得る。温度信号の表示は、視覚的(グラフまたは複数の着色LED等)、数値的、またはその他であり得る。他のバージョンでは、ビデオ画面が、マイクロ波アプリケータ180に搭載され得る。なおもさらに、遠隔温度プローブ190から感知される温度は、以下により詳細に説明されるであろうように、デジタル信号に変換され、デジタルコントローラ130に伝送され得る。デジタル信号への変換は、本開示の範囲から逸脱することなく、マイクロ波発生器110またはデジタルコントローラ130内で生じ得る。
【0043】
前述のように、マイクロ波発生器110はさらに、デジタルコントローラ130と接続および通信するように構成される。デジタルコントローラ130は、外部アダプタまたはドングルとも称され得る。デジタルコントローラ130は、マイクロ波発生器110の抵抗識別コネクタ120と、1つ以上のアナログもしくはデジタルコネクタ128とに接続されるように構成される。抵抗識別コネクタ120は、複数の抵抗チャネル121、123、125、127、129を含む。マイクロ波アプリケータ180のデバイス識別子170は、デジタルコントローラ130がマイクロ波アプリケータ180およびシステム100に接続される他の構成要素に関する情報を受信することを可能にするために、抵抗識別コネクタ120の複数の抵抗チャネル121、123、125、127、129の抵抗チャネル(例えば、121)のうちの1つに関連付けられた識別情報を含む。抵抗識別コネクタ120を介して受信されるこの情報は、コントローラ130が、アルゴリズムを実行し、マイクロ波発生器110およびマイクロ波アプリケータ180を制御することを可能にする。
【0044】
図2に示されるように、抵抗識別コネクタ120は、複数の抵抗チャネル121、123、125、127、129を有し、各抵抗チャネルは、複数の抵抗値を中継可能であり、複数の抵抗値の各々は、外科手術用システム100の異なる側面に関連し得る。例として、マイクロ波アプリケータ170のデバイスID170は、情報を抵抗識別コネクタ120に伝送、送信、または通信する。この情報は、マイクロ波アプリケータ180に関連付けられた少なくとも抵抗または抵抗値を含み、抵抗または抵抗値は、マイクロ波アプリケータ180の属性、その機能特性、マイクロ波アプリケータ180を通してエネルギーが印加されるべき方法、および他の特徴をコントローラ130に知らせるために使用されることができる。
【0045】
抵抗値情報は、抵抗識別コネクタ120の抵抗チャネル121、123、125、127、129のうちの1つと一致させられる。例えば、マイクロ波発生器110に接続されるマイクロ波アプリケータ180の抵抗値情報は、第2の抵抗チャネル、すなわち、チャネル123の抵抗値に対応し得る。抵抗の一致が成功すると、デジタルコントローラ130は、マイクロ波アプリケータ180のタイプを決定可能である。例えば、マイクロ波アプリケータ180は、単一モードアプリケータ、マルチモードアプリケータ、針アプリケータ、螺旋アプリケータ、コイルアプリケータ、またはある他のタイプのアプリケータであり得る。デジタルコントローラ130がマイクロ波発生器110に取り付けられるマイクロ波アプリケータのタイプを識別すると、デジタルコントローラ130は、マイクロ波発生器110の少なくとも1つの動作を制御することができる。
【0046】
マイクロ波発生器110の1つ以上の動作もしくは機能は、デジタルコントローラ130によって改変、変更、調節、または操作され得る。マイクロ波発生器110の抵抗識別コネクタ120は、マイクロ波発生器110に取り付けられる外科手術用器具またはマイクロ波アプリケータのタイプを識別することができる。したがって、マイクロ波アプリケータのタイプの識別は、マイクロ波アプリケータおよびシステム100の他の構成要素の特性の抵抗識別コネクタ120の抵抗チャネル121、123、125、127、129に対する抵抗一致によって生じる。一例示的実施形態では、5つの抵抗または抵抗チャネルが、抵抗識別コネクタ120によって提供され得る。しかしながら、当業者は、任意の数の抵抗チャネルを使用することを想定し得る。抵抗チャネルの詳細は、
図2に関して詳細に以下に説明される。
【0047】
図2の例示的実施形態では、抵抗識別コネクタ120は、5つのチャネル121、123、125、127、129を含む。各チャネルは、複数の抵抗値201、203、205、207、209を含む。抵抗値201は、R
1A、R
1B、R
1C、およびR
1Dとして指定される抵抗値の範囲であり得る。この抵抗値201の範囲は、例えば、0〜50オーム内であり得る。抵抗値203は、R
2A、R
2B、R
2C、およびR
2Dとして指定される抵抗値の範囲であり得る。この抵抗値203の範囲は、例えば、0〜10オーム内であり得る。抵抗値205は、R
3A、R
3B、R
3C、およびR
3Dとして指定される抵抗値の範囲であり得る。この抵抗値205の範囲は、例えば、10〜100オーム内であり得る。抵抗値207は、R
4A、R
4B、R
4C、およびR
4Dとして指定される抵抗値の範囲であり得る。この抵抗値207の範囲は、例えば、100〜1000オーム内であり得る。抵抗値209は、R
5A、R
5B、R
5C、およびR
5Dとして指定される抵抗値の範囲であり得る。この抵抗値209の範囲は、例えば、1000〜10,000オーム内であり得る。各抵抗チャネル121、123、125、127、129は、異なるタイプの外科手術用器具に専用である。その結果、どの抵抗帯がアクティブであるかに応じて、デジタルコントローラ130は、特定の外科手術用器具を識別し、外科手術用器具の1つ以上のパラメータの限界または機能を決定する(かつ調節する)。加えて、各チャネル内の抵抗値の範囲のため、複数のパラメータは、抵抗値の単一の組によって設定され得る。したがって、値がR
1Aで検出される場合、これは、電力設定を示し得、R
2Aにおける値は、最大印加時間設定を示し得る。R
3Aにおける値は、最大電力設定等を示し得る。広範囲の抵抗値が利用可能であることにより、広範な設定および変数と、マイクロ波アプリケータ180、システム100の他の構成要素、およびマイクロ波発生器の予期される機能性についての情報とが、コントローラ130に伝達されることができる。
【0048】
この抵抗IDスキームの使用は、マイクロ波発生器110から取り外し可能であるコントローラ130が、ソフトウェア、ファームウェア、またはハードウェアアップグレードを行うために、マイクロ波発生器110を運転休止にすることなく、異なるタイプまたは新世代のマイクロ波アプリケータ180、遠隔温度プローブ190、および他の構成要素に対応するように切り替えられることを可能にするという点において、さらなる効果を有する。
【0049】
コントローラ130はまた、マイクロ波発生器110に接続されるデバイスの全てについての情報を確認および保持可能であり得る。この態様において、再使用可能ケーブル160等のデバイスの使用時間が、監視されるにつれて収集され得る。さらに、老朽化したアブレーションプローブ180は、使用を防止され得、またはさらに、その抵抗ID情報がすでにコントローラ130上のオンボードメモリ内に記憶されている個々のアブレーションプローブ180が、再使用されることを防止され得る。
【0050】
例えば、再使用可能ケーブル160およびマイクロ波アプリケータ180は両方とも、使い捨てであり得る。再使用可能ケーブル160およびマイクロ波アプリケータ180は、1回のみ使用され得るか、または所定の回数だけ使用され得る。デジタルコントローラ130内のカウンタが、再使用可能ケーブル160またはマイクロ波アプリケータ180のいずれかもしくは両方に関連付けられ得る。カウンタは、特定の抵抗ID構成を有する再使用可能ケーブル160および/またはマイクロ波アプリケータ180が使用された回数をカウントし得る。所定の使用回数後、カウンタは、インジケータ(例えば、視覚的または聴覚的インジケータ)をトリガし、ユーザに、再使用可能ケーブルおよび/またはマイクロ波アプリケータを交換するように促し得る。外科手術用システム100およびそこに接続される構成要素の使用に関するこのデータおよび他のデータは、本開示の範囲から逸脱することなく、デジタルコントローラ内のメモリにローカルで記憶され得、後の評価および分析のために、外部メモリにダウンロードされ得る。
【0051】
さらに、3つ以上の別個の抵抗値が、デバイスID170において使用され得る。デジタルコントローラ130は、パススルーを介して、全ての値を読み取り、それらをマトリクス識別に一致させ、デバイスタイプおよび製造日を決定するであろう。これは、使用され得るデバイスIDの数、および、デバイス使用監視を可能にし得るデバイスIDの数を増加させる。例えば、消耗品がロット内で追跡されるように、3つの読み取り可能な要素がデバイスID170内で使用され、各要素が20個の抵抗値選択肢を有する場合(20×20×20個の値、すなわち、8,000個の固有の組み合わせ)、これは、デジタルコントローラ130が、期限切れロットの使用を制限することを可能にし得る。
【0052】
したがって、
図1に戻って参照すると、接続がマイクロ波アプリケータ180とマイクロ波発生器110との間に確立されると、マイクロ波発生器110の抵抗識別コネクタ120は、マイクロ波アプリケータ180のデバイスID170と直接通信し、マイクロ波発生器110に接続されるマイクロ波アプリケータ180のタイプを識別する。これは、デバイスID170内に組み込まれ、マイクロ波アプリケータ180に関連付けられた抵抗値を、抵抗識別コネクタ120に直接通信することによって遂行される。例えば、デバイスID170は、10〜100オーム範囲内にある、マイクロ波アプリケータ180に関連付けられた種々の抵抗値を通信し得る。抵抗識別コネクタ120は、そのような値を抵抗識別コネクタ120の第2のチャネル、例えば、チャネル123と対応させる。抵抗識別コネクタ120の第2のチャネル123は、例えば、マルチモードマイクロ波アブレーションアプリケータに対応する。したがって、抵抗識別コネクタ120は、この情報をコントローラ130に伝達し、コントローラ130は、マイクロ波アプリケータ180をマルチモードマイクロ波アブレーションアプリケータとして識別する。
【0053】
続いて、一致がマイクロ波アプリケータ180のデバイスID170によって提供される抵抗値間に生じると、デジタルコントローラ130は、マイクロ波発生器110の1つ以上の動作を調節することによって、マルチモードマイクロ波アブレーションアプリケータを制御可能である。したがって、デバイスID170が、マイクロ波アプリケータ180をデジタルコントローラ130に登録すると、デジタルコントローラ130は、マイクロ波発生器110およびマイクロ波アプリケータ180の機能性を調節可能である。
【0054】
したがって、マイクロ波発生器110(既存の既製の発生器であり得る)は、外科手術用システム100内のその発生器を交換する必要なく、追加の機能性を提供されることができる。デジタルコントローラ130は、既存のマイクロ波発生器110によって提供される動作または機能を向上させるために、スマート周辺デバイスとしての役割を果たす。
【0055】
別の本開示の側面は、放射計150の使用である。放射計150は、例えば、組織等の物質からの放出を検出する。マイクロ波エネルギーの印加前および後の両方において放射計150によって検出される放出は、サンプリングされ、アナログ電圧またはデジタル信号のいずれかに変換され、デジタルコントローラ130に転送されることができる。
【0056】
この情報を用いて、デジタルコントローラ130は、マイクロ波アプリケータ180によって引き起こされる組織特性に基づいて、マイクロ波発生器110によって送達されるエネルギーを変更、改変、修正、または調節し得る。例えば、マイクロ波アプリケータ180によって接触させられ、放射計150によって感知される組織が、健康な組織であるとき、デジタルコントローラは、マイクロ波発生器110がエネルギーを組織に印加することを防止し得る。一方、マイクロ波アプリケータ180が腫瘍組織に接近する場合、デジタルコントローラ130は、マイクロ波発生器110に、エネルギーを伝送し、腫瘍組織を焼灼するように促し得る。腫瘍組織(または健康な組織)の検出は、最初に、マイクロ波発生器110からマイクロ波アプリケータ180を通して非治療用信号(例えば、非常に低い電力または持続時間)を当該組織に伝送し、照会に対して放出された応答を評価することによって可能にされ得る。デジタルコントローラは、次いで、アルゴリズムおよびプロトコルを採用し、組織のタイプを確認し、マイクロ波発生器上の接続されるディスプレイまたは出力もしくはデジタルコントローラ130自体を介して、これらの結果をユーザに提示することができる。
【0057】
さらに、エネルギーの印加の間の放射測定読み取り値の変化を検出し続けることによって、デジタルコントローラ130は、腫瘍組織の治療の中止または充足に関する決定を行うことができる。放射計150によって生成される信号は、デジタルコントローラ130が、マイクロ波アプリケータ180から受信されるフィードバックに基づいて、マイクロ波発生器110の動作を調節することを可能にする。放射測定検出器150は、組織温度を示す組織によって放出される周波数および信号強度の電磁波を検出することによって、組織の加熱の放射測定検出を可能にする。好ましくは、放射測定検出器150は、マイクロ波範囲内の周波数で動作する。放射測定検出器150は、外科手術用システム100の随意の構成要素である。
【0058】
放射計150は、電圧/周波数コンバータ114(
図1参照)と電気連通する。電圧/周波数コンバータ114は、デジタルコントローラ130が、放射計150によって受信された放出のアナログ電圧またはデジタル表現のいずれかを受信することを可能にし得る。放射計出力のデジタル表現は、限定ではないが、向上された帯域幅および雑音耐性を含む、デジタル信号通信に共通の進歩を有する。
【0059】
デジタルコントローラ130とアブレーションプローブの周りの組織状態の放射計測定との組み合わせられた使用を用いて、システムは、液体から気体への生理学的流体の高速位相変化等、高速加熱の間に生じる一定の望ましくない生理学的応答を動的に回避し得る。コントローラ130は、この場合、プローブへのマイクロ波電力をパルス化すること/低減させることによって、放射計によって測定される場合、100dCを超えることを回避するであろう。アブレーション進行の他の動的制御も、想定され、本実施例に限定されない。
【0060】
本開示のさらなる実施形態によると、マイクロ波アプリケータ180のデバイスID170によって通信される情報は、デジタルパススルーライン195によって、デジタルコントローラ130に直接送信され、マイクロ波アプリケータ180(またはシステム100の他の構成要素)とデジタルコントローラ130との間の直接通信を可能にし得る。少なくとも1つのデジタルパススルーライン195は、電気絶縁を含む。したがって、マイクロ波発生器110が任意のプログラマブル論理を使用せず、マイクロ波発生器110内で実施されるコンピュータ処理が存在しない事例でも、デジタルパススルーライン195の使用は、マイクロ波アプリケータ180(またはシステム100の他の構成要素)とデジタルコントローラ130との間の全デジタル通信を可能にする。
【0061】
図3は、本開示のある実施形態による、高温カットオフ選択可能性を可能にするように構成されている、複数のディップスイッチを描写する。
【0062】
ディップスイッチ構成400は、3つのディップスイッチのための5つのディップスイッチ構成を描写し、各々が異なる温度(または温度範囲)に関連付けられる。当然ながら、当業者は、各々が異なる温度または温度範囲に関連付けられた異なる数のディップスイッチを想定し得る。例えば、本例示的実施形態では、第1のディップスイッチ構成410は、40°度のシャットオフ温度を表し得、第2のディップスイッチ構成420は、45°度のシャットオフ温度を表し得、第3のディップスイッチ構成430は、50°度のシャットオフ温度を表し得、第4のディップスイッチ構成440は、55°度のシャットオフ温度を表し得、第5のディップスイッチ構成450は、60°度のシャットオフ温度を表し得る。各ディップスイッチ構成410、420、430、440、450に対する温度シャットオフは、
図3に図示されるように、バイナリ形態で表され得る。したがって、ユーザは、遠隔温度プローブ190によって感知されるべきマイクロ波アプリケータ180(
図1参照)に関連するシャットオフ温度を手動で選択することを可能にされる。選択されたディップスイッチ構成温度が、遠隔温度プローブによって感知されると、マイクロ波発生器110は、自動的に、外科手術部位で測定される組織温度に基づいて、シャットオフし、追加のエネルギーがマイクロ波アプリケータ180に提供されることを防止することができる。これは、マイクロ波発生器110内のアナログ回路を介して、またはそれ自体が発生器をシャットオフする制御信号を生成するデジタルコントローラ130に信号を送信することによって行われ得る。
【0063】
本開示の特徴および側面は、任意の好適な方式で、例えば、外科手術用システム100のハードウェアおよびソフトウェア構成を介して、または任意の他の好適なソフトウェア、ファームウェア、および/またはハードウェアを使用して、外科手術用システム100内に実装され得る。
【0064】
例えば、実行可能命令を介して実装されるとき、本開示の種々の要素は、本質的に、そのような種々の要素の動作を定義するコードである。実行可能命令またはコードは、読み取り可能な媒体(例えば、ハードドライブ媒体、光学媒体、EPROM、EEPROM、テープ媒体、カートリッジ媒体、フラッシュメモリ、ROM、メモリスティック、および/または同等物)から得られるか、または通信媒体(例えば、インターネット)からのデータ信号を介して通信され得る。実際、読み取り可能な媒体は、情報を記憶または転送し得る任意の媒体を含み得る。
【0065】
コンピュータ手段またはコンピューティング手段もしくは処理手段は、アセンブリと動作可能に関連付けられ得、ソフトウェアによって、第1の出力信号を第1の制御画像と比較し、第2の出力信号を第2の制御画像と比較するように指示される。ソフトウェアはさらに、コンピュータに、診断出力を産生するように指示する。さらに、診断出力を検証デバイスのオペレータに伝送する手段も含まれる。したがって、本開示の多くの用途は、定式化され得る。本明細書に開示される例示的ネットワークは、インターネット、イントラネット、エクストラネット、WAN(広域ネットワーク)、LAN(ローカルエリアネットワーク)、衛星通信、および/または同等物等、データを交換するため、もしくは業務を行うための任意のシステムを含み得る。ネットワークは、他のタイプのネットワークとして実装され得ることに留意されたい。
【0066】
加えて、本明細書で使用される場合の「コード」または本明細書で使用される場合の「プログラム」は、コンピュータまたは実行デバイスによってタスクを行うために使用され得る任意の複数のバイナリ値または任意の実行可能、解釈もしくはコンパイルコードであり得る。コードまたはプログラムは、いくつかの公知のコンピュータ言語のうちの任意の1つで書かれ得る。本明細書で使用される場合の「コンピュータ」は、データを記憶、処理、ルーティング、操作、またはそれに所望の動作を実施する任意のデバイスを意味し得る。「コンピュータ」は、1つ以上のトランスポンダ認識および収集システムまたはサーバ内に組み込まれ、1つ以上のプロセッサを動作させ、トランスポンダ認識アルゴリズムを起動し得る。さらに、コンピュータ実行可能命令は、例えば、汎用コンピュータ、特殊目的コンピュータ、または特殊目的処理デバイスにある機能または機能群を行なわせる命令およびデータを含む。コンピュータ実行可能命令はまた、独立型またはネットワーク環境内でコンピュータによって実行され得るプログラムモジュールを含む。概して、プログラムモジュールは、特定のタスクを行うか、または特定の抽象データタイプを実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、構成要素、およびデータ構造等を含む。
【0067】
デジタルコントローラ130は、概して、自動的に、マイクロ波発生器110の1つ以上の機能を制御または調節もしくは動作させるように、本明細書に説明されるが、ユーザはまた、マイクロ波発生器110の1つ以上の動作を手動で調節し得ると理解されたい。
【0068】
本開示の例示的実施形態に関して、マイクロ波アプリケータは、剛体のアプリケータまたは可撓性アプリケータであり得る。当業者は、任意のタイプのアプリケータを使用することを想定し得る。
【0069】
本説明は、語句「ある実施形態では」、「実施形態では」、「いくつかの実施形態では」、または「他の実施形態では」を使用し得、各々は、本開示による同一または異なる実施形態のうちの1つ以上のものを指し得る。
【0070】
電磁エネルギーは、概して、エネルギーを増加させること、または波長を減少させることによって、電波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線、およびガンマ線に分類される。本説明で使用される場合、「マイクロ波」は、概して、周波数範囲300メガヘルツ(MHz)(3×10
8サイクル/秒)〜300ギガヘルツ(GHz)(3×10
11サイクル/秒)内の電磁波を指す。本説明で使用される場合、「アブレーション手技」は、概して、例えば、マイクロ波アブレーション、高周波(RF)アブレーション、またはマイクロ波もしくはRFアブレーション補助切除等の任意のアブレーション手技を指す。
【0071】
本説明で使用される場合、「エネルギーアプリケータ」は、概して、エネルギーをマイクロ波またはRF電気外科手術用発生器等の電力発生源から組織に伝達するために使用され得る任意のデバイスを指す。本開示の目的のために、用語「エネルギーアプリケータ」は、用語「エネルギー送達デバイス」と同じ意味である。本説明で使用される場合、「伝送ライン」は、概して、ある点から別の点への信号の伝搬のために使用され得る任意の伝送媒体を指す。
【0072】
本説明で使用される場合、用語「コントローラ」は、デジタルおよび/またはアナログ構成要素を採用し、デジタルおよび/またはアナログ信号を発生させ、別のデバイスを制御または駆動する、任意の電気デバイスを指す。用語「コントローラ」は、本明細書に説明される方法のうちのいくつかを実施するために、プロセッサ、メモリ、および入力/出力ポートを有する、デジタル信号プロセッサ、マイクロコントローラ、またはコンピュータを指し得る。
【0073】
単語「例示的」は、「実施例、事例、または例証としての役割を果たす」ことを意味するために本明細書で使用される。「例示的」として本明細書に説明される任意の実施形態は、必ずしも、他の実施形態より好ましいまたは有利であるものとして解釈されるべきではない。単語「実施例」は、用語「例示的」と同じ意味で使用され得る。
【0074】
当業者は、本明細書で具体的に説明され、添付図面で図示されるデバイスおよび方法は、非限定的な例示的実施形態であることを理解するであろう。一例示的実施形態に関連して図示および説明される特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせられ得る。そのような修正および変形例は、本開示の範囲内に含まれることを目的としている。
【0075】
前述の実施例は、本開示の種々の側面および本開示の方法の実践を例証する。実施例は、本開示の多くの異なる実施形態の包括的説明を提供することを意図するものではない。したがって、前述の本開示は、明確性および理解の目的のために、例証および実施例として、ある程度詳細に説明されたが、当業者は、多くの変更および修正が、本開示の精神または範囲から逸脱することなく、そこに行われ得ることを容易に認識するであろう。
【0076】
本開示のいくつかの実施形態が、図面に示されるが、本開示をそれらに限定することを意図するものではなく、本開示は、当分野が許容するであろう広範な範囲であり、明細書も同様に読まれるべきであることが意図される。前述の実施形態の任意の組み合わせもまた、想定され、添付の請求項の範囲内である。したがって、前述の説明は、限定としてではなく、単に、特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者は、添付の請求項の範囲および精神内の他の修正を想定するであろう。