(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6642953
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】患者固有画像法及び薬物送達のモデル化のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/10 20180101AFI20200130BHJP
【FI】
G16H20/10
【請求項の数】20
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-509546(P2018-509546)
(86)(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公表番号】特表2018-525748(P2018-525748A)
(43)【公表日】2018年9月6日
(86)【国際出願番号】US2016052301
(87)【国際公開番号】WO2017049197
(87)【国際公開日】20170323
【審査請求日】2018年2月19日
(31)【優先権主張番号】62/219,490
(32)【優先日】2015年9月16日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】513030879
【氏名又は名称】ハートフロー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】チョイ, ギルウー
(72)【発明者】
【氏名】グラディー, レオ
(72)【発明者】
【氏名】テイラー, チャールズ エー.
(72)【発明者】
【氏名】ハンリー, スタンリー シー.
【審査官】
山本 雅士
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2009/0210209(US,A1)
【文献】
特表2013−534154(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/085276(WO,A1)
【文献】
特表2007−507774(JP,A)
【文献】
特開2012−024582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 − 80/00
G16Q 10/00 − 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的組織における薬物送達を推定するコンピュータ実装方法であって、前記方法は、
患者の少なくとも1つの血管と薬物が供給される標的組織との患者固有の解剖学的モデルを受信すること、
薬物の前記投与を規定する患者固有情報を受信すること、
薬物送達データが計算される前記標的組織の1つまたは複数の位置を識別すること、
前記患者固有の解剖学的モデル及び/または前記患者から患者固有データを導出することであって、前記患者固有データは、1つまたは複数の生理学的条件を含む、こと、
前記患者固有の解剖学的モデル、薬物の前記投与を規定する患者固有情報、及び1つまたは複数の生理学的条件を含む前記患者固有データを利用して、薬物送達データが計算される前記標的組織の前記1つまたは複数の位置につながる血管網における1つまたは複数の個別化された血流特性を判定すること、
輸送を記述する1つまたは複数の式、前記薬物の薬物粒子の大きさ及び量を含む前記薬物の前記投与を規定する前記患者固有情報、ならびに前記判定された1つまたは複数の個別化された血流特性を利用して前記血管網の1つまたは複数の位置における前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布を判定することであって、前記薬物の前記薬物粒子の前記量は、薬物の処方された投薬量に基づいて判定される、こと、及び
前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布並びに前記患者固有の解剖学的モデルから導出される前記患者固有データを利用して、前記患者固有の解剖学的モデルの前記標的組織の前記1つまたは複数の位置で個別化された薬物送達データを計算すること
を含む、方法。
【請求項2】
薬物の前記投与を規定する前記患者固有情報が、薬物投与量、薬物の濃度、投与の位置、投与頻度、薬物投与経路、投与の時間、治療の種類、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記患者固有データは、血管の解剖学的画像特徴、標的組織画像特性、前記標的組織における推定潅流領域、前記標的組織への推定血液供給、推定血流データ、患者の特徴、疾患負荷特徴、電気機械的測定、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記薬物送達データが、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置に送達される薬物の前記量の推定、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置に送達される薬物粒子の前記濃度の推定、
前記薬物送達位置で放出された前記薬物粒子の前記標的組織への循環先確率であって、前記循環先確率は、放出された薬物粒子の総数に対する前記標的組織に到達する薬物粒子の前記量の比に基づく、循環先確率、
前記薬物の前記輸送、空間的及び/または時間的分布、
推定血流データ、または
それらの組み合わせ
の1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記血流特性が、
前記患者の脈管構造における血流の速度場、
前記患者の脈管構造における推定血液供給、または
前記血管網に沿った薬物粒子の前記分布に影響を及ぼす任意の患者固有の血行力学的特徴
の1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記解剖学的モデルが、
罹患したか癌性の組織または器官に血液を供給する血管、または
狭窄に罹患している領域に血液を供給する血管、または
血栓症に罹患している領域に血液を供給する血管
の1つまたは複数を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記標的組織が、
脳、乳房、前立腺、子宮頸部、肺、皮膚、結腸、または胃の1つまたは複数を含む腫瘍の増殖に罹患した組織または器官、
血管及び/または微小血管網内の狭窄に罹患した組織または器官、または
血管及び/または微小血管網内の血栓症に罹患した組織または器官
の1つまたは複数である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記標的組織の1つまたは複数の位置で所望の薬物送達データを受信すること、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における実際の薬物送達データを、前記標的組織における前記1つまたは複数の位置での前記所望の薬物送達データと比較することによって、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記実際の薬物送達データが、前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記所望の薬物送達データに一致するか、その範囲内にあるように前記薬物投与を再構成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記薬物投与を前記再構成することが、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために、薬物量、薬物の濃度、薬物投与位置、薬物投与頻度、薬物投与経路、投与の時間、治療の種類、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数を体系的に調整することを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
患者の1つまたは複数の医用画像を異なる時点で受信すること、
前記1つまたは複数の医用画像から患者固有データを抽出すること、
前記2つの画像から抽出された前記患者固有データを比較することによって、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために前記薬物投与を再構成すること
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記現在の薬物送達システムの前記有効性が、前記1つまたは複数の医用画像を比較し、腫瘍または病変が退行した程度を判定することによって評価される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記薬物投与を前記再構成することは、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために、薬物量、薬物の濃度、薬物投与位置、薬物投与頻度、薬物投与経路、投与の時間、治療の種類、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数を体系的に調整することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
標的組織における薬物送達を推定するためのシステムであって、前記システムは、
標的組織における薬物送達を推定するための命令を記憶するデータ記憶装置と、
前記命令を実行して方法を実行するように構成されたプロセッサと
を備え、前記方法は、
患者の少なくとも1つの血管と薬物が供給される標的組織との患者固有の解剖学的モデルを受信すること、
薬物の前記投与を規定する患者固有情報を受信すること、
薬物送達データが計算される前記標的組織の1つまたは複数の位置を識別すること、
前記患者固有の解剖学的モデル及び/または前記患者から患者固有データを導出することであって、前記患者固有データは、1つまたは複数の生理学的条件を含む、こと、
前記患者固有の解剖学的モデル、薬物の前記投与を規定する患者固有情報、及び1つまたは複数の生理学的条件を含む前記患者固有データを利用して、薬物送達データが計算される前記標的組織の前記1つまたは複数の位置につながる血管網における1つまたは複数の個別化された血流特性を判定すること、
輸送を記述する1つまたは複数の式、前記薬物の薬物粒子の大きさ及び量を含む前記薬物の前記投与を規定する前記患者固有情報、ならびに前記判定された1つまたは複数の個別化された血流特性を利用して前記血管網の1つまたは複数の位置における前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布を判定することであって、前記薬物の前記薬物粒子の前記量は、薬物の処方された投薬量に基づいて判定される、こと、及び
前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布並びに前記患者固有の解剖学的モデルから導出される前記患者固有データを利用して、前記患者固有の解剖学的モデルの前記標的組織の前記1つまたは複数の位置で個別化された薬物送達データを計算すること
を含む、システム。
【請求項14】
前記血流特性が、
前記患者の脈管構造における血流の前記速度場、
前記患者の脈管構造における前記推定血液供給、または
前記血管網に沿った薬物粒子の前記分布に影響を及ぼす任意の患者固有の血行力学的特徴
の1つまたは複数を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記プロセッサが、さらに、
前記標的組織の1つまたは複数の位置で所望の薬物送達データを受信すること、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における実際の薬物送達データを、前記標的組織における前記1つまたは複数の位置での前記所望の薬物送達データと比較することによって、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記実際の薬物送達データが、前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記所望の薬物送達データに一致するか、その範囲内にあるように前記薬物投与を再構成すること
のために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記プロセッサが、さらに、
患者の1つまたは複数の医用画像を異なる時点で受信すること、
前記1つまたは複数の医用画像から患者固有データを抽出すること、
前記2つの画像から抽出された前記患者固有データを比較することによって、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために前記薬物投与を再構成すること
のために構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
標的組織における薬物送達を推定するためのコンピュータ実行可能なプログラミング命令を含むコンピュータシステムで利用するための非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
患者の少なくとも1つの血管と薬物が供給される標的組織との患者固有の解剖学的モデルを受信すること、
薬物の前記投与を規定する患者固有情報を受信すること、
薬物送達データが計算される前記標的組織の1つまたは複数の位置を識別すること、
前記患者固有の解剖学的モデル及び/または前記患者から患者固有データを導出することであって、前記患者固有データは、1つまたは複数の生理学的条件を含む、こと、
前記患者固有の解剖学的モデル、薬物の前記投与を規定する患者固有情報、及び1つまたは複数の生理学的条件を含む前記患者固有データを利用して、薬物送達データが計算される前記標的組織の前記1つまたは複数の位置につながる血管網における1つまたは複数の個別化された血流特性を判定すること、
輸送を記述する1つまたは複数の式、前記薬物の薬物粒子の大きさ及び量を含む前記薬物の前記投与を規定する前記患者固有情報、ならびに前記判定された1つまたは複数の個別化された血流特性を利用して前記血管網の1つまたは複数の位置における前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布を判定することであって、前記薬物の前記薬物粒子の前記量は、薬物の処方された投薬量に基づいて判定される、こと、及び
前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布並びに前記患者固有の解剖学的モデルから導出される前記患者固有データを利用して、前記患者固有の解剖学的モデルの前記標的組織の前記1つまたは複数の位置で個別化された薬物送達データを計算すること
を含む、非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記血流特性が、
前記患者の脈管構造における血流の前記速度場、
前記患者の脈管構造における前記推定血液供給、または
前記血管網に沿った薬物粒子の前記分布に影響を及ぼす任意の患者固有の血行力学的特徴
の1つまたは複数を含む、請求項17に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項19】
前記標的組織の1つまたは複数の位置で所望の薬物送達データを受信すること、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における実際の薬物送達データを、前記標的組織における前記1つまたは複数の位置での前記所望の薬物送達データと比較することによって、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記実際の薬物送達データが、前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記所望の薬物送達データに一致するか、その範囲内にあるように前記薬物投与を再構成すること
をさらに含む、請求項17に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【請求項20】
患者の1つまたは複数の医用画像を異なる時点で受信すること、
前記1つまたは複数の医用画像から患者固有データを抽出すること、
前記2つの画像から抽出された前記患者固有データを比較することによって、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために前記薬物投与を再構成すること
をさらに含む、請求項17に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2015年9月16日に出願された米国仮特許出願第62/219,490号の優先権を主張し、その開示全体は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示の様々な実施形態は、概して、薬物送達評価、治療計画及び関連する方法に関する。より具体的には、本開示の特定の実施形態は、例えば化学療法のための、患者固有画像法及び薬物送達のモデル化のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌は、世界中の何百万という者たちが罹患し、極めて一般的な死因の1つである。化学療法は、患者に標準的なレジメンの一部として1つまたは複数の薬物を投与する癌治療の一形態である。化学療法の有効性は、患者の標的器官への薬物送達の有効性によって影響され得る。薬物送達の有効性は、薬物量、薬物の濃度、投与位置、投薬頻度、治療の種類、及び/または患者の特徴を含むがこれらに限定されない因子によって形成され得る。例えば、過剰投与は薬物毒性による重篤な副作用を引き起こす場合があり、投与量が少ないと治療の有効性が低下する場合があるので、薬剤の最適用量の判定は重要であることがある。
【0004】
体表面積(BSA)を利用するものをはじめとした薬物送達の現在の方法は、患者間の多様性を考慮していないため正確性がない。例えば、遺伝的要因と環境的要因に関連する薬物排除プロセスの異なる活性に起因して、個体間の細胞傷害性薬物のクリアランスには4倍から10倍の差異がある。そのため、患者間の多様性を考慮すべく個別化し、また毒性を最小限に抑えて化学療法の治療の結果がより良好になるよう促すべく正確性を備えた、薬物送達システム及び方法が所望されている。
【0005】
さらに、個別化されて正確性のある効果的な薬物送達システム及び方法があることで、他の病の治療を改善することもできる。冠動脈疾患は一般的な病であり、心臓に血液を供給する血管により狭窄(血管が異常に狭まること)などの病変が生じることもある。狭窄、血栓症及び他の循環状態が存在していることまたは存在していないことは、薬物送達パターンと共に血流特性に影響し得る。冠動脈疾患の治療の1つ、経皮的冠動脈インターベンションは、心臓の狭窄した(狭まった)冠動脈を治療することに関与している。経皮的冠動脈インターベンションは狭窄の再発(再狭窄)のリスクを伴うが、経皮的冠動脈インターベンションのための薬剤の効果的な送達は、再狭窄の率の低下を促すことができる。したがって、血流特性に基づいて循環系全体の対流、拡散及び/または代謝速度を評価することによって、薬物送達の有効性を評価するシステム及び方法が所望されている。
【0006】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は、例示的及び説明的なものに過ぎず、本開示を限定するものではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の特定の態様によれば、計算式流体力学、及び/または血管解剖学的モデルに由来する機械学習を利用することによって、個別化化学療法及び薬物送達を提供するためのシステム及び方法が開示されている。
【0008】
1つの方法は、患者の少なくとも1つの血管と薬物が供給される標的組織との患者固有の解剖学的モデルを受信すること、薬物の投与を規定する患者固有情報を受信すること、薬物送達データが推定または測定される標的組織の1つまたは複数の位置を識別すること、患者固有の解剖学的モデル及び/または患者から患者固有データを導出すること、患者固有の解剖学的モデル及び患者固有データを利用して、薬物送達データが推定または測定される標的組織の1つまたは複数の位置につながる血管網における1つまたは複数の血流特性を判定すること、薬物の投与を規定する患者固有情報を利用して血管網の1つまたは複数の位置における薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布を判定すること、及び薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布を利用して、標的組織の1つまたは複数の位置で薬物送達データを計算することを含む。
【0009】
別の実施形態によれば、標的組織における薬物送達を推定するためのシステムが開示される。このシステムは、標的組織における薬物送達を推定するための命令を記憶するデータ記憶装置と、患者の少なくとも1つの血管と薬物が供給される標的組織との患者固有の解剖学的モデルを受信すること、薬物の投与を規定する患者固有情報を受信すること、薬物送達データが推定または測定される標的組織の1つまたは複数の位置を識別すること、患者固有の解剖学的モデル及び/または患者から患者固有データを導出すること、患者固有の解剖学的モデル及び患者固有データを利用して、薬物送達データが推定または測定される標的組織の1つまたは複数の位置につながる血管網における1つまたは複数の血流特性を判定すること、薬物の投与を規定する患者固有情報を利用して血管網の1つまたは複数の位置における薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布を判定すること、及び薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布を利用して、標的組織の1つまたは複数の位置で薬物送達データを計算することのために構成されたプロセッサとを含む。
【0010】
さらに別の実施形態によれば、標的組織における薬物送達を推定するためのコンピュータ実行可能なプログラミング命令を含むコンピュータシステムで利用するための非一時的なコンピュータ可読媒体が提供される。この方法は、患者の少なくとも1つの血管と薬物が供給される標的組織との患者固有の解剖学的モデルを受信すること、薬物の投与を規定する患者固有情報を受信すること、薬物送達データが推定または測定される標的組織の1つまたは複数の位置を識別すること、患者固有の解剖学的モデル及び/または患者から患者固有データを導出すること、患者固有の解剖学的モデル及び患者固有データを利用して、薬物送達データが推定または測定される標的組織の1つまたは複数の位置につながる血管網における1つまたは複数の血流特性を判定すること、薬物の投与を規定する患者固有情報を利用して血管網の1つまたは複数の位置における薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布を判定すること、及び薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布を利用して、標的組織の1つまたは複数の位置で薬物送達データを計算することを含む。
本明細書は、例えば、以下の項目も提供する。
(項目1)
標的組織における薬物送達を推定するコンピュータ実装方法であって、
患者の少なくとも1つの血管と薬物が供給される標的組織との前記患者固有の解剖学的モデルを受信すること、
薬物の前記投与を規定する患者固有情報を受信すること、
薬物送達データが推定または測定される前記標的組織の1つまたは複数の位置を識別すること、
前記患者固有の解剖学的モデル及び/または前記患者から患者固有データを導出すること、
前記患者固有の解剖学的モデル及び前記患者固有データを利用して、薬物送達データが推定または測定される前記標的組織の前記1つまたは複数の位置につながる血管網における1つまたは複数の血流特性を判定すること、
前記薬物の前記投与を規定する前記患者固有情報を利用して前記血管網の1つまたは複数の位置における前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布を判定すること、及び
前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布を利用して、前記標的組織の前記1つまたは複数の位置で薬物送達データを計算すること
を含む、前記方法。
(項目2)
薬物の前記投与を規定する前記患者固有情報が、薬物投与量、薬物の濃度、投与の位置、投与頻度、薬物投与経路、投与の時間、治療の種類、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数を含む、項目1に記載の方法。
(項目3)
前記患者固有データは、血管の解剖学的画像特徴、標的組織画像特性、標的組織における推定潅流領域、前記標的組織への推定血液供給、推定血流データ、患者の特徴、疾患負荷特徴、電気機械的測定、またはそれらの組み合わせを含む、項目1に記載の方法。
(項目4)
前記薬物送達データが、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置に送達される薬物の前記量の推定、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置に送達される薬物粒子の前記濃度の推定、
前記薬物送達位置で放出された前記薬物粒子の前記標的組織への循環先確率であって、放出された薬物粒子の総数に対する前記標的組織に到達する薬物粒子の前記量の比に基づく循環先確率、
前記薬物の前記輸送、空間的及び/または時間的分布、
推定血流データ、または
それらの組み合わせ
の1つまたは複数を含む、項目1に記載の方法。
(項目5)
前記血流特性が、
前記患者の脈管構造における血流の速度場、
前記患者の脈管構造における推定血液供給、または
前記血管網に沿った薬物粒子の前記分布に影響を及ぼす任意の患者固有の血行力学的特徴
の1つまたは複数を含む、項目1に記載の方法。
(項目6)
前記解剖学的モデルが、
罹患したか癌性の組織または器官に血液を供給する血管、または
狭窄に罹患している領域に血液を供給する血管、または
血栓症に罹患している領域に血液を供給する血管
の1つまたは複数を含む、項目1に記載の方法。
(項目7)
前記標的組織が、
脳、乳房、前立腺、子宮頸部、肺、皮膚、結腸、または胃の1つまたは複数を含む腫瘍の増殖に罹患した組織または器官、
血管及び/または微小血管網内の狭窄に罹患した組織または器官、または
血管及び/または微小血管網内の血栓症に罹患した組織または器官
の1つまたは複数である、項目1に記載の方法。
(項目8)
前記標的組織の1つまたは複数の位置で所望の薬物送達データを受信すること、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における実際の薬物送達データを、前記標的組織における前記1つまたは複数の位置での前記所望の薬物送達データと比較することによって、前記現在の薬物送達システムの有効性を評価すること、及び
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記実際の薬物送達データが、前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記所望の薬物送達データに一致するか、その範囲内にあるように前記薬物投与を再構成すること
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目9)
前記薬物投与を前記再構成することが、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために、薬物量、薬物の濃度、薬物投与位置、薬物投与頻度、薬物投与経路、投与の時間、治療の種類、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数を体系的に調整することを含む、項目8に記載の方法。
(項目10)
患者の1つまたは複数の医用画像を異なる時点で受信すること、
前記1つまたは複数の医用画像から患者固有データを抽出すること、
前記2つの画像から抽出された前記患者固有データを比較することによって、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために前記薬物投与を再構成すること
をさらに含む、項目1に記載の方法。
(項目11)
前記現在の薬物送達システムの前記有効性が、前記1つまたは複数の医用画像を比較し、腫瘍または病変が退行した程度を判定することによって評価される、項目10に記載の方法。
(項目12)
前記薬物投与を前記再構成することは、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために、薬物量、薬物の濃度、薬物投与位置、薬物投与頻度、薬物投与経路、投与の時間、治療の種類、またはそれらの組み合わせの1つまたは複数を体系的に調整することを含む、項目10に記載の方法。
(項目13)
標的組織における薬物送達を推定するためのシステムであって、
標的組織における薬物送達を推定するための命令を記憶するデータ記憶装置と、
前記命令を実行して、
前記患者の少なくとも1つの血管と薬物が供給される標的組織との患者固有の解剖学的モデルを受信すること、
薬物の前記投与を規定する患者固有情報を受信すること、
薬物送達データが推定または測定される前記標的組織の1つまたは複数の位置を識別すること、
前記患者固有の解剖学的モデル及び/または前記患者から患者固有データを導出すること、
前記患者固有の解剖学的モデル及び前記患者固有データを利用して、薬物送達データが推定または測定される前記標的組織の前記1つまたは複数の位置につながる血管網における1つまたは複数の血流特性を判定すること、
前記薬物の前記投与を規定する前記患者固有情報を利用して前記血管網の1つまたは複数の位置における前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布を判定すること、及び
前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布を利用して、前記標的組織の前記1つまたは複数の位置で薬物送達データを計算すること
を含む方法を実行するように構成されたプロセッサと
を含む、前記システム。
(項目14)
前記血流特性が、
前記患者の脈管構造における血流の前記速度場、
前記患者の脈管構造における前記推定血液供給、または
前記血管網に沿った薬物粒子の前記分布に影響を及ぼす任意の患者固有の血行力学的特徴
の1つまたは複数を含む、項目13に記載のシステム。
(項目15)
前記プロセッサが、さらに、
前記標的組織の1つまたは複数の位置で所望の薬物送達データを受信すること、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における実際の薬物送達データを、前記標的組織における前記1つまたは複数の位置での前記所望の薬物送達データと比較することによって、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記実際の薬物送達データが、前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記所望の薬物送達データに一致するか、その範囲内にあるように前記薬物投与を再構成すること
のために構成される、項目13に記載のシステム。
(項目16)
前記プロセッサが、さらに、
患者の1つまたは複数の医用画像を異なる時点で受信すること、
前記1つまたは複数の医用画像から患者固有データを抽出すること、
前記2つの画像から抽出された前記患者固有データを比較することによって前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために前記薬物投与を再構成すること
のために構成される、項目13に記載のシステム。
(項目17)
標的組織における薬物送達を推定するためのコンピュータ実行可能なプログラミング命令を含むコンピュータシステムで利用するための非一時的なコンピュータ可読媒体であって、前記方法が、
前記患者の少なくとも1つの血管と薬物が供給される標的組織との患者固有の解剖学的モデルを受信すること、
薬物の前記投与を規定する患者固有情報を受信すること、
薬物送達データが推定または測定される前記標的組織の1つまたは複数の位置を識別すること、
前記患者固有の解剖学的モデル及び/または前記患者から患者固有データを導出すること、
前記患者固有の解剖学的モデル及び前記患者固有データを利用して、薬物送達データが推定または測定される前記標的組織の前記1つまたは複数の位置につながる血管網における1つまたは複数の血流特性を判定すること、
前記薬物の前記投与を規定する前記患者固有情報を利用して前記血管網の1つまたは複数の位置における前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布を判定すること、及び
前記薬物粒子の前記輸送、空間的及び/または時間的分布を利用して、前記標的組織の前記1つまたは複数の位置で薬物送達データを計算すること
を含む、前記非一時的なコンピュータ可読媒体。
(項目18)
前記血流特性が、
前記患者の脈管構造における血流の前記速度場、
前記患者の脈管構造における前記推定血液供給、または
前記血管網に沿った薬物粒子の分布に影響を及ぼす任意の患者固有の血行力学的特徴
の1つまたは複数を含む、項目17に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(項目19)
前記標的組織の1つまたは複数の位置で所望の薬物送達データを受信すること、
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における実際の薬物送達データを、前記標的組織における前記1つまたは複数の位置での前記所望の薬物送達データと比較することによって、前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記実際の薬物送達データが、前記標的組織の前記1つまたは複数の位置における前記所望の薬物送達データに一致するかその範囲内にあるように前記薬物投与を再構成すること
をさらに含む、項目17に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
(項目20)
患者の1つまたは複数の医用画像を異なる時点で受信すること、
前記1つまたは複数の医用画像から患者固有データを抽出すること、
前記2つの画像から抽出された前記患者固有データを比較することによって前記現在の薬物送達システムの前記有効性を評価すること、及び
前記現在の薬物送達システムの前記有効性を高めるために前記薬物投与を再構成すること
をさらに含む、項目17に記載の非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0011】
開示している実施形態のさらなる目的及び利点は、以下の説明に一部記載しており、部分的に記載から明らかになるか、開示している実施形態を実施することによって習得できる。開示している実施形態の目的及び利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘された要素及び組み合わせにより実現及び達成させるものである。
【0012】
前述の一般的な説明及び以下の詳細な説明は両方共、例示的で説明的なものに過ぎず、特許請求される詳細な実施形態を限定するものではないことを理解されたい。
【0013】
添付の図面は、本明細書の一部に組み込まれて、本明細書の一部を構成するものであり、様々な例示的な実施形態を示し、記載と共に、開示された実施形態の原理を説明する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の例示的な実施形態による、個別化化学療法及び薬物送達を提供するための例示的なシステム及びネットワークのブロック図である。
【
図2】標的組織における薬物送達を推定する例示的な方法のブロック図である。
【
図3】計算式流体力学を利用して、患者固有データを用いて標的組織の1つまたは複数の位置で薬物送達データを判断する例示的な方法のブロック図である。
【
図4】患者固有データを利用して機械学習アルゴリズムを訓練することによって、標的組織の1つまたは複数の位置で薬物送達データを判断する例示的な方法のブロック図である。
【
図5】実際の薬物送達データが所望の薬物送達データと一致するかその範囲内に入るまで薬物投与を調節するため、方法200に記載のシステム及び方法を利用する例示的な方法のブロック図である。
【
図6】薬物送達の有効性を評価することによって標的組織への薬物送達の変化をシミュレートするため、方法200に記載のシステム及び方法を利用する例示的な方法のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
ここで、本開示の例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を添付の図面に示す。可能な限り、図面全体にわたって同一または同様の部分を示すために同じ参照番号を利用している。
【0016】
化学療法の有効性は、患者の標的器官への薬物送達の有効性によって影響され得る。開示の目的に対し、「患者」は、薬物送達の有効性が評価される任意の個人または人物、あるいは1人または複数の個人の薬物送達評価に関連する任意の個人または人物を示すことが可能である。薬剤の最適用量を判定することは重要な場合がある。しかし、薬物の処置において患者間に多様性があり、正確性のある方法が欠如していることで、最適用量を判定するための課題が提起されることがある。血漿の薬物レベルをモニタし、用量を調整することによる個別化アプローチは、毒性を最小限に抑えることができ、化学療法の治療の結果をより良好にするのに役立つ。さらに、経皮的冠動脈インターベンションのための薬剤の効果的な送達は、再狭窄の率の低減を促すことができる。
【0017】
この問題及び有用性の範囲が潜在的に広いことを所与であるとすると、薬物送達の有効性を評価することは、流れの特徴に基づいて循環系全体の対流、拡散、及び/または代謝速度と共に薬物送達パターンを評価することによって、臨床医が患者の治療戦略を決定するのに寄与し得る。本開示は、計算式流体力学及び血管/解剖学的モデルから得る機械学習による医用画像法を利用して、個別化化学療法及び薬物送達のモデル化を提供するためのシステム及び方法を記載している。以下の実施形態は、脳腫瘍及び冠動脈の病変を対象とし得るが、同じシステム及び方法を、他の腫瘍学的疾患、例えば乳癌、前立腺癌、肝臓癌、結腸癌、肺癌、及び/または子宮頸癌における化学療法及び薬物送達の患者固有モデルを作成するために適用することができる。さらに、このフレームワークは、ナノ粒子やヒドロゲルを含む、移植可能な薬物送達装置の患者固有モデルを評価するために拡張することができる。いくつかの場合において、「粒子」は、患者の血流に放出され得る、または標的組織に輸送され得る薬物の小さな単位(例えば、分子)を示すことができる。
【0018】
諸方法に記載されているステップは、任意の順序で、または任意の他のステップと併せて実行してもよい。また、本開示に記載している方法を実行するために、1つまたは複数のステップを省略できることが企図されている。概して、
図1は、本開示のシステム及びネットワークの概要の描写を示す。
図2は、標的組織における薬物送達を推定するための方法の全体的な実施形態を示す。
図3及び
図4は、より詳細に、
図2に開示された方法200のステップ210を示す。また、
図5及び
図6は、
図2の全体的な実施形態を、個別化化学療法及び薬物送達システム及び方法に拡大している。
【0019】
ここで図面を参照すると、
図1は、例示的な実施形態による、個別化化学療法及び薬物送達を提供するための例示的なシステム100及びネットワークのブロック図を示す。具体的には、
図1は複数の医師102及び第三者プロバイダ104を示しており、そのいずれかが1つまたは複数のコンピュータ、サーバ、及び/またはハンドヘルドモバイルデバイスを介して、インターネットなどの電子ネットワーク101に接続できる。医師102及び/または第三者プロバイダ104は、1つまたは複数の患者の解剖学的構造部の画像を作成、さもなければ取得することができる。また、医師102及び/または第三者プロバイダ104は、医用画像特徴、解剖学的特徴、潅流領域、標的組織への血液供給、血流特性、患者の特徴、疾患負荷特徴、及び/または電気機械的測定などの患者固有データの特性の任意の組み合わせを取得し得る。医師102及び/または第三者プロバイダ104は、患者固有データを、電子ネットワーク101を介してサーバシステム106に送信することができる。サーバシステム106は、医師102及び/または第三者プロバイダ104から受信した画像及びデータを記憶する記憶装置を含むことができる。また、サーバシステム106は、記憶装置に記憶された画像及びデータを処理するための処理装置を含むことができる。開示の目的に対し、「電子記憶装置」または「電子記憶媒体」は、ハードドライブ、ネットワークドライブ、クラウドドライブ、携帯電話、タブレットなどを含むことができるが、それらに限定されるものではなく、それらは表示画面に取り付けても取り付けなくてもよい。
【0020】
図2は、標的組織における薬物送達を推定するための例示的な方法200の全体的な実施形態を示す。方法200の1つまたは複数のステップは、サーバシステム106のプロセッサが実行してもよい。一実施形態では、ステップ202は、サーバシステム106の電子記憶媒体において患者固有の血管解剖学的モデルを受信することを含み得る。具体的には、患者固有の解剖学的モデルを受信することは、サーバシステム106で患者固有の解剖学的モデルを生成すること、または電子ネットワーク(例えば電子ネットワーク100)を介して受信することを含み得る。患者固有の血管解剖学的モデルは、患者の脳血管系、心臓血管系、及び/または胸部、前立腺、肝臓、結腸、肺及び/または子宮頸部を潅流する脈管構造を含み得るが、これらに限定されない。一実施形態では、血管解剖学的モデルが、1つまたは複数の利用可能な画像法またはスキャン用モダリティ(例えば、コンピュータ断層撮影(CT)のスキャン、磁気共鳴(MR)画像法、マイクロコンピュータ断層撮影(μCT)のスキャン、マイクロ磁気共鳴(μMR)画像法、二重エネルギーコンピュータ断層撮影のスキャン、超音波画像法、単一光子放出型コンピュータ断層撮影法(SPECT)のスキャン、または陽電子放射型断層撮影法(PET)のスキャン)を利用して取得された人物の画像に由来していてもよい。血管解剖学的モデルは、画像検査のセグメント化によって得ることができ、限定されるものではないが、1つまたは複数の前述の利用可能な画像化またはスキャン用モダリティから得られた画像を含む。
【0021】
ステップ204は、電子記憶媒体の標的組織の患者固有モデルを受信することを含み得る。開示の目的に対し、「標的組織」は、血液供給及び/または薬物送達データが推定され得る組織及び/または器官を示すことができる。一実施形態では、標的組織は、脳、1つまたは複数の乳房、前立腺、肝臓、結腸、肺及び/または子宮頸部が挙げられるが、これらに限定されない癌性増殖に冒されている器官で見出すことができる。一実施形態で、標的組織は血栓症に罹患した脈管構造に見出すことができ、冠動脈、大動脈、または脳血管系、1つまたは複数の筋肉を潅流する末梢血管系、腎臓に供給する腎血管系、及び/または腸、肝臓、及び/または脾臓に供給する内臓の脈管構造を含むが、これらに限定されない。一実施形態で、標的組織の患者固有モデルは、画像化検査のセグメント化によって得ることができ、1つまたは複数の前述の利用可能な画像化またはスキャン用モダリティから得られた画像を含むが、これらに限定されない。
【0022】
ステップ206は、患者固有の薬物投与情報を受信することを含み得る。一実施形態では、薬物投与情報は、1つまたは複数の薬物投与位置、及び1つまたは複数の薬物投与位置に挿入された各薬物の量を含むことができる。別の実施形態では、薬物投与情報は、投与される薬物の濃度、投与頻度、投与の時間、治療の種類、及び/または1つまたは複数の薬物投与経路を含むことができ、前述の経路は、経口投与、静脈内投与または腫瘍及び/または病変への直接的な投与を含むが、これらに限定されない。
【0023】
ステップ208は、患者固有データの1つまたは複数の要素を受信または計算することを含み得る。一実施形態では、1つまたは複数の患者固有データ要素は、患者固有の血管解剖学的モデル及び/または標的組織の患者固有のモデルから抽出することができる。一実施形態では、患者固有データは、血管モデル及び/または標的組織モデルの1つまたは複数の解剖学的特徴、例えば大きさ(容積、表面積、質量など)、形状、蛇行性、長さ、厚さ、分岐の数及び長さ、ネットワークトポロジーなどの推定を含むことができるが、これらに限定されない。一実施形態では、患者固有データは、1つまたは複数の生理学的状態下で標的組織の各領域へ供給される血液の推定、及び/または1つまたは複数の血流特性、例えば血流予備比(FFR)、流れの大きさ及び方向などを含むことができるが、これらに限定されない。血流特性は、いくつかの手段、例えば、侵襲的測定(例えば、侵襲的FFR、心筋梗塞における血栓溶解(TIMI)、マイクロスフェアなどによる)、血流シミュレーション(例えば、3Dまたは1D流体シミュレーションモデルを利用する計算、経時的減衰流符号化(TAFE)など)を利用する計算、画像法の特徴(例えば、経動脈勾配(TAG)、補正された冠動脈不明瞭化(CCO)など)を利用する計算、及び/または解剖学的または画像法の特性に基づく血液供給の機械学習推定を利用する計算により判定できる。
【0024】
患者固有データは、血管モデルに関連する標的組織の潅流または拡散領域の推定を含むことができるが、これに限定されない。この推定は、例えば、血管モデルにおいて最も近傍である供給血管に標的組織の位置を割り当てる最近傍(ボロノイ)のアプローチ、解剖学的モデルに由来する微小血管の推定技術の計算、例えば構造的制約付き最適化を利用して判定できる。
【0025】
さらに、患者固有データは、粒子の血流への放出に関連する薬物送達装置の潅流または拡散領域の推定を含むことができるが、これらに限定されない。潅流または拡散領域の推定は、エネルギー保存、または拡散についてのフィックの法則を含む熱力学モデル及び大量輸送モデルを利用して、イオン平衡を仮定した薬物放出をシミュレートする例示的な方法によって、判断してもよい。一実施形態では、潅流または拡散領域の推定は、多相混合論を利用して、せん断、圧縮または膨張流に応答する機械的、化学的または電気化学的ポテンシャルによって駆動される薬物放出をシミュレートする例示的な方法によって、判断してもよい。
【0026】
さらに、患者固有データは、装置の大きさ、粒子特性(例えば、大きさ、濃度、分子量など)、ヒドロゲルポリマー材料特性(例えば、弾性率、架橋密度、溶解性、空隙率、マトリックス膨潤など)、および/または動作パラメータ(例えば、温度、溶媒の性質、pH、電荷密度など)などを含むが、これらに限定されない薬物送達装置の特徴を含み得る。
【0027】
さらに、患者固有データは、血管モデルによって表される標的組織及び/または血管の1つまたは複数の生理学的状態(例えば、安静、ストレスなど)での医用画像(例えば、CT、MR、μCT、μMR、二重エネルギーCT、超音波、PET、SPECTなど)を含むことができるが、これらに限定されない。標的組織または血管の画像の特性は、1つまたは複数の位置で受信または計算でき、1つまたは複数の解像度での局所的な平均強度、平均強度の違い(例えば、ハールなどのウェーブレットベースを利用して計算される)、テクスチャの特徴(例えば、Haralickテクスチャ特性)、任意の標準的な画像特性、例えば勾配のヒストグラム、SIFT、ステアラブルフィルタなどを含むが、これらに限定されない。
【0028】
さらに、患者固有データは、年齢、性、喫煙歴、身長、体重、体表面積(BSA)、糖尿病の状態、高血圧の状態、民族性、家族歴、及び/または遺伝情報などの患者の特徴を含むことができるが、これらに限定されない。
【0029】
さらに、患者固有データは、血管または標的組織の疾患の特徴、例えば腫瘍の大きさ、悪性度、脳における腫瘍の位置、腫瘍の血流、酸素輸送、血管内皮増殖因子の分布、細胞外pH、間質液圧、間質液の速度、血管透過性、組織輸送特性、血管原性パラメータ(例えば、腫瘍血液量)、プラーク負荷、有害プラーク特性の存在(例えば、微小石灰化、低吸収プラーク、ナプキンリングサイン、ポジティブリモデリング、血栓形成など)、カルシウムスコア(患者レベルまたは血管レベル)、潅流情報、駆出率、壁運動、壁厚、壁の形態、壁の組織学などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
さらに、患者固有データは、ECGの測定や侵襲的なEPの測定を含む電気機械的測定を含むことができるが、これらに限定されない。
【0031】
ステップ210は、患者固有データの1つまたは複数を用いて、標的組織の1つまたは複数の位置で、1つまたは複数の薬物送達データを判断することを含み得る。一実施形態では、薬物送達データは、標的組織の1つまたは複数の位置での薬物送達の推定を含むことができる。薬物送達データの判断は、腫瘍血管系の血行動態の計算シミュレーション(例えば
図3)及び/または既知の薬物送達に関する患者のデータベースを利用した機械学習アルゴリズムの訓練(例えば
図4)によって行うことがきる。
【0032】
ステップ212は、推定薬物送達データを電子記憶媒体及び/または表示媒体に出力することを含み得る。一実施形態では、薬物送達推定は、グレースケールまたはカラー、2Dまたは3Dで表示し、標的組織の解剖学的モデルに重ね、及び/または標的組織の画像に重ね合わせることができる。
【0033】
図3は、
図2のステップ210を実行する方法300の例示的な実施形態を示す。これは、患者固有データに対する腫瘍血管系の血行動態の計算によるシミュレーションを実行することによって、標的組織の1つまたは複数の位置で薬物送達データを判断することを含み得る。一実施形態では、方法300は、血流特性を判定するためにナビエ・ストークス方程式、計算式流体力学(またはそれと類似しているもの)、及び/または反応−移流−拡散方程式を利用し、次いで薬物の輸送、空間的及び/または時間的分布を推定するために薬物投与情報及び血流特性を利用することを含み得る。開示の目的に対し、「薬物投与情報」は、患者への薬物の投与または療法に関する詳細を示すことができ、薬物投与量、投与した薬物の濃度、投与位置、投与頻度、薬物投与経路、投与の時間、治療の種類などを含むがこれらに限定されない。方法300の1つまたは複数のステップは、サーバシステム106のプロセッサが実行してもよい。
【0034】
一実施形態で、標的組織の1つまたは複数の位置における薬物送達データは、薬物の輸送、空間的及び/または時間的分布から推定または計算してもよい。別の実施形態では、薬物の輸送、空間的及び/または時間的分布を利用して、標的組織の1つまたは複数の位置における薬物送達データを推定または計算するための機械学習アルゴリズムを訓練できる。
図3の方法は、電子ネットワーク100を介して医師102及び/または第三者プロバイダ104から受信した患者固有データに基づいて、サーバシステム106が実行してもよい。開示の目的に対し、「薬物送達データ」は、標的組織の1つまたは複数の位置に送達される薬物の量の推定、標的組織の1つまたは複数の位置に送達される薬物粒子の濃度の推定、放出された薬物粒子の総数に対する標的組織に到達する薬物粒子の量の比として定義できる、薬物送達位置で放出される薬物粒子の標的組織への循環先確率、薬物の輸送、空間的及び/または時間的分布、血流データの推定、またはそれらの組み合わせを示すことができる。
【0035】
ステップ302は、患者固有の血管の解剖学的構造部における血流特性を計算することを含み得る。一実施形態では、血流データを計算することは、患者の生理学的条件(例えば、充血性または休止状態、間質液圧、腫瘍増殖状態など)下で数値的に、ナビエ・ストークス方程式、または多孔性の媒体を通る流れに関するダルシーの法則の項に関する修正版ナビエ・ストークス方程式を解くことを含み得る。一実施形態では、血流データは、心臓、冠動脈、大脳、頸動脈の脈管構造、大動脈弓、または任意の他の血管網における血流の速度場を含むことができる。一実施形態では、血流データは、静脈循環及び/または微小循環ならびに動脈循環の速度場を含むことができる。
【0036】
ステップ304は、受信した1つまたは複数の薬物投与位置に薬物量を挿入することを含み得る。一実施形態では、薬物送達をシミュレートするように薬物量を仮想上投与することができる。
【0037】
ステップ306は、薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布を判定することを含み得る。一実施形態では、薬物粒子分布を判定することは、適切な数値的方法を用いてx・(t)=u(x,t)、x(t
0)=x
0の形態の特性の常微分方程式を利用することができる。式中u(x,t)は速度場であってよく、x(t)は時間tにおける粒子の位置であってよい。粒子の大きさ及び量は、投与される薬物の処方された投薬量として判定され得る。別の実施形態では、薬物粒子分布を判定することは、薬物輸送を記述する式を利用することができ、それを
【化1】
と記載することが可能であり、式中
【化2】
は流体の薬物の濃度であってもよく、tは時間で、
【化3】
は流体速度で、Dは流体の薬物の有効拡散係数を有する拡散テンソルであり得る。一実施形態では、様々な機械的特性及び輸送特性を、血管壁の3つの層(例えば、内膜、中膜、外膜)の各々に割り当てることができる。また、非ニュートンのレオロジー的特性を、腫瘍の微小血管系の血行動態について考慮できる。
【0038】
ステップ308は、標的組織の1つまたは複数の位置における薬物送達データを判断することを含み得る。一実施形態では、薬物送達データは、ステップ306で判定されるように、薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布から判定する場合がある。一実施形態で、薬物送達データは、薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布を利用する機械学習アルゴリズムを訓練する(例えば方法400)ことから判断できる。一実施形態で、薬物送達データは、1つまたは複数の位置における薬物分子の循環先確率を含むことができる。循環先確率は、放出された粒子の総数に対する標的組織のある位置に到達する粒子の量の比から計算することができる。一実施形態では、ステップ308は、プロセッサが実行してもよい。
【0039】
ステップ310は、推定薬物送達データを電子記憶媒体及び/または表示媒体に出力することを含み得る。一実施形態において、薬物送達データは、薬物の輸送、空間的及び/または時間的分布を含み得る。一実施形態では、薬物送達推定は、グレースケールまたはカラー、2Dまたは3Dで表示し、標的組織の解剖学的モデルに重ね、及び/または標的組織の画像に重ね合わせることができる。
【0040】
図4は、
図2のステップ210を実行する方法400の例示的な実施形態を示す。これは、患者固有データに関する機械学習アルゴリズムを訓練することによって、標的組織の1つまたは複数の位置で薬物送達データを判断することを含み得る。別法として、方法400は、
図2のステップ210を完了する手段として方法300に続いて実行してもよい。これは、薬物送達データを判断するために、腫瘍血管系の血行動態の計算によるシミュレーションを利用すること、及び患者固有データに対する機械学習アルゴリズムを訓練することを含み得る。
【0041】
一実施形態では、方法400は、患者固有データに関する機械学習アルゴリズムを訓練することによって、標的組織の1つまたは複数の位置で薬物送達データを判断することを含み得る。
図4の方法400は、電子ネットワーク100を介して医師102及び/または第三者プロバイダ104から受信した患者固有データに基づいて、サーバシステム106が実行することができる。方法400の1つまたは複数のステップは、プロセッサが実行することができる。
【0042】
一実施形態では、ステップ402は、1つまたは複数の位置における患者固有データの1つまたは複数を含むデータベースを、それらの位置における測定された薬物送達データで組み立てることを含み得る。例えば、ステップ402は、既知の患者固有データ及び既知の薬物送達データで患者のデータベースを組み立てることを含み得る。1つまたは複数の患者固有データは、患者の生理学的または表現型パラメータの数値的な記述、及び/または1つまたは複数の位置における局所的な幾何形状及び生物物理学的な特徴の記述を含むことができる。一実施形態で、1つまたは複数の患者固有データは、血流データ、薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布、及び/または方法300から得られた薬物粒子の循環先確率を含むことができる。1つまたは複数の位置における測定されたまたは既知の薬物送達データは、例えば、MR画像、フルオロデオキシグルコースポジトロン断層法(FDG−PET)の画像、負荷エコー/MRI収縮予備、多検出器CT、二重エネルギーCT、μCT、μMRなどの1つまたは複数の組み合わせを含むことができる。
【0043】
ステップ404は、機械アルゴリズムを訓練して、1つまたは複数の位置に関する患者固有データをそれらの位置の薬物送達データにマッピングすることを含み得る。一実施形態では、患者固有データ及び薬物送達データは、既知の患者固有データ及び既知の薬物送達データを有する患者のデータベースから得ることができる。1つまたは複数の患者固有データは、患者の生理学的または表現型パラメータの数値的な記述、及び/または1つまたは複数の位置における局所的な幾何形状及び生物物理学的な特徴の記述を含むことができる。さらに、1つまたは複数の患者固有データは、血流データ、薬物粒子の輸送、空間的及び/または時間的分布、及び/または方法300から得られた薬物粒子の循環先確率を含むことができる。機械学習アルゴリズムは、例えば、多層パーセプトロン、ディープラーニング、サポートベクタマシン、ランダムフォレスト、k近傍法、ベイズネットワークなどを実装する、1つまたは複数のアルゴリズムの多くの形態をとることができる。
【0044】
ステップ406は、訓練された機械学習アルゴリズムを新しい患者固有データに適用して、標的組織の1つまたは複数の位置で薬物送達データを推定することを含み得る。一実施形態では、機械学習アルゴリズムは、既知の患者固有データ及び既知の薬物送達データを有する患者のデータベースで訓練され、新しい患者の患者固有データに適用されて、新しい患者の身体の1つまたは複数の位置で薬物送達データを推定する。
【0045】
一実施形態では、ステップ408は、標的組織の1つまたは複数の位置で推定薬物送達データを電子記憶媒体及び/または表示画面に出力することを含み得る。薬物送達データは、標的組織の1つまたは複数の位置に送達される薬物の量を含み得る。出力薬物送達データは、グレースケールまたはカラー、2Dまたは3Dで表示し、標的組織の解剖学的モデルに重ね、及び/または標的組織の画像に重ね合わせることができる。出力モデルで、標的組織の1つまたは複数の位置は、薬物粒子の循環先確率と関連させることができ、これは放出された薬物粒子の総数に対する標的組織に到達する薬物粒子の量の比として定義され得る。一実施形態では、標的組織の1つまたは複数の位置は、送達される薬物の輸送、空間的及び/または時間的分布と関連させることができる。
【0046】
図5は、送達される薬物の量が所望の薬物送達量に一致するか、その範囲内に入るまで薬物投与を調節する、方法200に記載のシステム及び方法を利用するための方法500の例示的な実施形態を示す。方法500の1つまたは複数のステップは、サーバシステム106のプロセッサを利用して実行することができる。
【0047】
一実施形態では、ステップ502は、標的組織の1つまたは複数の位置について所望の薬物送達データに関する情報を受信することを含み得る。例えば、ステップ502は、腫瘍または病変の1つまたは複数の位置に送達される所望の薬物量に関する情報を受信することを含み得る。
【0048】
ステップ504は、患者固有の薬物投与情報を受信することを含み得る。例えば、薬物投与情報は、1つまたは複数の薬物投与位置、及び1つまたは複数の薬物投与位置に挿入された各薬物量を含むことができる。また、別の例では、薬物投与情報は、投与された薬物の濃度、投与頻度、投与の時間、治療の種類、及び/または1つまたは複数の薬物投与経路のうちの1つまたは複数を含み得、前述の経路は、経口投与、静脈内投与、または腫瘍及び/または病変への直接投与を含むが、これらに限定されない。
【0049】
ステップ506は、腫瘍血管系の血行動態の計算されたシミュレーション(例えば
図3)を利用することによって、及び/または訓練した機械学習アルゴリズム(例えば
図4)を適用することによって、標的組織の1つまたは複数の位置で、薬物送達データを判断することを含み得る。例えば、ステップ506は、標的組織の1つまたは複数の位置に送達される薬物の量を判定することを含み得る。一実施形態で、ステップ506は、プロセッサが実行してもよい。
【0050】
一実施形態で、ステップ506に続いて、ステップ508は、標的組織の1つまたは複数の位置における薬物送達データが、それらの位置における所望の薬物送達データと一致するか、その範囲内にあるかどうかを判定することを含み得る。例えば、ステップ508は、標的組織の位置に送達される薬物の量が、その位置に送達される薬物の所望の量と一致しているかどうか判定することを含み得る。ステップ508は、プロセッサが実行してもよい。
【0051】
ステップ508に続いて、実際の薬物送達データが、標的組織の1つまたは複数の位置に関する所望の薬物送達データに一致せず、またその範囲内にない場合、一実施形態でステップ510は、それに応じて薬物投与を調整すること、及びステップ504を繰り返すことを含み得る。例えば、送達される薬物の量が、送達されるべき薬物の所望量よりも多い場合、投与量を減少または維持できる。別の例では、送達される薬物の量が、送達されるべき薬物の所望量よりも少ない場合、投与量を増加または維持することができる。一実施形態では、送達される薬物の量が送達されるべき薬物の所望量に一致せず、またその範囲内にない場合、投与量以外の因子を調整することができる。これらの前述の因子には、薬物投与の1つまたは複数の位置、薬物の濃度、薬物投与経路、治療の種類、及び/または薬物挿入の頻度などが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0052】
ステップ508に続いて、送達される薬物の量が、送達されるべき薬物の所望量に一致するかその範囲内にある場合、一実施形態で、ステップ512は、薬物送達データを電子記憶媒体及び/または表示媒体に出力することを含み得る。一実施形態では、薬物送達データは、標的組織の1つまたは複数の位置に送達される薬物の量を含み得る。出力される薬物送達データは、グレースケールまたはカラー、2Dまたは3Dで表示し、標的組織の解剖学的モデルに重ね、及び/または標的組織の画像に重ね合わせることができる。
【0053】
図6は、薬物送達または療法の有効性を評価することによって、腫瘍の血流の変化をシミュレートするため、方法200に記載のシステム及び方法を利用するための方法600の例示的な実施形態を示す。方法600の1つまたは複数のステップは、サーバシステム106のプロセッサを利用して実行してもよい。
【0054】
ステップ602は、所与の時間t1において1つまたは複数の医用画像を受信することを含み得る。1つまたは複数の医用画像は、1つまたは複数の利用可能なスキャン用モダリティからのものであってもよい。一実施形態では、1つまたは複数の前述の利用可能な画像法またはスキャン用モダリティから得られた画像を含むが、これに限定されない画像法検査のセグメント化を利用して、1つまたは複数の医用画像を取得することができる。
【0055】
ステップ604は、所与の時間t2において1つまたは複数の医用画像を受信することを含み得る。1つまたは複数の医用画像は、1つまたは複数の利用可能なスキャン用モダリティからのものであってもよい。一実施形態では、1つまたは複数の前述の利用可能な画像法またはスキャン用モダリティから得られた画像を含むが、これに限定されない画像法検査のセグメント化を利用して、1つまたは複数の医用画像を取得することができる。画像のセグメント化は、プロセッサが実行してもよい。
【0056】
ステップ606は、異なる時間に得た1つまたは複数の医用画像から抽出された腫瘍、病変、患者固有データ、及び/または薬物送達データを比較することを含み得る。例えば、比較は、異なる時間に得た医用画像間の強度勾配が所定の閾値内の差異を有するかどうかを判定することを含み得る。
【0057】
ステップ608は、ステップ606における比較に続いて、現在の薬物送達システムの有効性を評価することを含み得る。一実施形態では、現在の薬物送達システムの有効性に関する評価は、腫瘍または病変の状態変化を判定することを含み得る。例えば、腫瘍または病変の状態変化は、1つまたは複数のレベルの進行及び退行に分類でき、薬物送達システムの有効性は、腫瘍または病変における退行のレベルと相関していることがある。状態変化は、ステップ602及びステップ604で受信した画像を比較することによって判定できる。また、腫瘍または病変の状態変化を判定することは、患者固有データ及び/または薬物送達データが補助し得る。
【0058】
ステップ608に続いて、現在の薬物送達システムが十分有効ではないと考えられる場合、及び/または腫瘍または病変の状態が進行した場合、一実施形態で、ステップ610は、方法200に記載のシステムを利用して薬物投与量を増加または維持し、次いでステップ602を繰り返すことを含み得る。一実施形態で、ステップ610は、薬物投与量以外の因子を調節することを含むことができる。これらの前述の因子には、薬物投与の1つまたは複数の位置、薬物の濃度、薬物投与経路、治療の種類、及び/または薬物挿入の頻度などが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0059】
ステップ608に続いて、現在の薬物送達システムが有効であると考えられる場合、及び/または腫瘍または病変の状態が退行した場合、一実施形態で、ステップ612は、方法200に記載のシステムを利用して薬物投与量を維持または減少させ、次いでステップ602を繰り返すことを含み得る。一実施形態で、ステップ612は、薬物投与量以外の因子を調節することを含むことができる。これらの前述の因子には、薬物投与の1つまたは複数の位置、薬物の濃度、薬物投与経路、治療の種類、及び/または薬物挿入の頻度などが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0060】
一実施形態では、ステップ608に続いて、ステップ614は、1つまたは複数の医用画像、腫瘍または病変の状態、及び/または薬物送達データを電子記憶媒体及び/またはディスプレイに出力することを含み得る。一実施形態では、1つまたは複数の医用画像、腫瘍または病変の状態、及び/または薬物送達データは、グレースケールまたはカラー、2Dまたは3Dで表示し、標的組織の解剖学的モデルに重ね、及び/または標的組織の画像に重ね合わせることができる。
【0061】
本発明の他の実施形態は、本明細書を考察すること、及び本明細書に開示された本発明を実施することから当業者に明らかになるであろう。本明細書及び例は、例示的なものとしてのみ考慮されることが意図され、本発明の真の範囲及び精神は、添付の特許請求の範囲によって示される。