特許第6643003号(P6643003)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643003
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】伸縮脚装置
(51)【国際特許分類】
   E06C 7/04 20060101AFI20200130BHJP
   E06C 7/42 20060101ALI20200130BHJP
   E06C 7/44 20060101ALI20200130BHJP
   E06C 7/46 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   E06C7/04
   E06C7/42
   E06C7/44
   E06C7/46
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-159335(P2015-159335)
(22)【出願日】2015年8月12日
(65)【公開番号】特開2017-36624(P2017-36624A)
(43)【公開日】2017年2月16日
【審査請求日】2018年8月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】393018130
【氏名又は名称】長谷川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】木下 佳彦
【審査官】 五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第02599117(US,A)
【文献】 米国特許第01729033(US,A)
【文献】 米国特許第05678656(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 1/00− 9/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右1対の支柱間に複数の踏み桟が渡し止められてなる梯子体における少なくともいずれか一方の支柱の下部に支柱の長さ方向に沿ってスライド自在に取り付けられかつ下端に接地部を有している伸縮脚部材と、伸縮脚部材を所要のスライド位置において支柱にロックするロック装置とを備えている伸縮脚装置であって、
伸縮脚部材が、支柱の長さ方向に沿ってのびる中空状のものであり、
支柱の左右方向外側面の下部に、支柱の長さ方向に沿うようにガイドレールが取り付けられており、
ガイドレールは、支柱の左右方向外側面と向かい合うベース壁と、ベース壁の前後両縁から左右方向外方に突出した前後ガイド壁とを有しており、
伸縮脚部材およびガイドレールの前後ガイド壁に、互いに長さ方向にスライド可能に嵌め合わせられる嵌合部が設けられており、
ロック装置は、ガイドレールのベース壁の左右方向外側面に設けられかつガイドレールの長さ方向に沿って並んだ多数の歯を有するラックと、伸縮脚部材に前後方向にのびる揺動軸を中心として揺動自在に組み込まれかつ先端部にラックの歯と噛み合わせられる歯を有しているロック爪と、伸縮脚部材内に収容されかつロック爪をその歯がラックの歯と噛み合わせられる方向に向かって付勢する弾性部材と、ロック爪の基端部に連なってロック爪と反対方向にのびるように設けられかつ伸縮脚部材の左右方向外側面に形成された操作窓を通じて左右方向内方に押圧することにより弾性部材の弾性力に抗してロック爪をその歯がラックの歯から外れる方向に揺動させる操作レバーとを備えており、
操作レバーは、伸縮脚部材の左右方向外側面から突出しないように操作窓に配された押圧部を有している、伸縮脚装置。
【請求項2】
伸縮脚部材が、略方形の横断面を有する中空状の基部を有しており、基部の左右方向外側壁の所定箇所に孔が形成されているとともに、同孔の周囲に枠状のカバーが被せられており、同カバーの中央開口部によって前記操作窓が構成されている、請求項1記載の伸縮脚装置。
【請求項3】
ラックの歯は、その頂面が平坦な垂直面となされ、その上下両側面における頂面側の部分が平坦な水平面となされ、残りの部分が付け根に向かうにつれて次第に歯が細くなるように傾斜したテーパ面となされており、
ロック爪の歯は、互いに形状および大きさの異なる上側の歯および下側の歯を有しており、上側の歯は、その頂面が平坦な垂直面となされ、その上側面が平坦な水平面となされ、その下側面のうち頂面側の部分が付け根に向かうにつれて次第に歯が細くなるように傾斜したテーパ面となされ、下側面の残りの部分が平坦な水平面となされており、上側の歯の最大厚みは、ラックの歯どうしの間に入り込めるような大きさとなされており、下側の歯は、その頂面が平坦な垂直面となされ、その上下両側面が平坦な水平面となされており、下側の歯の厚みは、上側の歯の最大厚みよりも小さいものとなされており、
梯子体に対して伸縮脚部材が縮む方向に外力が作用した際、ロック爪の上側の歯および下側の歯の上側面が、対応するラックの歯の下側面の水平面部分とそれぞれ係り合わせられ、
梯子体に対して伸縮脚部材が伸長する方向に外力が作用した際、ロック爪の上側の歯の下側面のテーパ面部分が、対応するラックの歯の上側面のテーパ面部分と係り合わせられるが、ロック爪の下側の歯の下側面は、対応するラックの歯の下側面と係り合わせられない、請求項1または2記載の伸縮脚装置。
【請求項4】
梯子体に対して伸縮脚部材が伸長する方向に外力が作用した際に互いに係り合わせられるラックの歯の上側面のテーパ面部分およびロック爪の上側の歯の下側面のテーパ面部分よりなる係合面が、同係合面からロック爪の揺動中心に向かってのびる直線が同係合面の垂線と一致するかまたは垂線に対して10°以内の角度でラック側に傾くように形成されている、請求項記載の伸縮脚装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、左右1対の支柱間に複数の踏み桟が渡し止められてなる梯子体を備えた梯子、脚立、作業台等において、梯子体の支柱の下部に設けられた伸縮脚装置に関する。
【背景技術】
【0002】
梯子、脚立、作業台等にあっては、梯子体の左右1対の支柱が、これらの下端を接地させることにより、全体を支える脚として機能するものである。
ここで、一般的な梯子体の支柱は、アルミニウム形材等の単一材によって構成されており、その長さを変更することはできない。
しかしながら、このような支柱を備えた梯子等の場合、段差地や傾斜地に設置すると、傾いたり、ぐらついたりして不安定な状態となるため、安全に使用することができないという問題があった。
【0003】
そこで、梯子体の支柱の下部に伸縮脚装置を設けた梯子等が提案されている(例えば、下記の特許文献1参照)。
伸縮脚装置は、梯子体の中空状支柱の下部にスライド自在に挿入されかつ下端に接地部を有している伸縮脚部材と、伸縮脚部材を所要のスライド位置において支柱にロックするロック装置とを備えている。
ロック装置は、伸縮脚部材の左右方向内側面に設けられかつ伸縮脚部材の長さ方向に沿って並んだ多数の歯を有するラックと、梯子体の最下段の踏み桟に前後方向にのびる揺動軸を中心として揺動自在に組み込まれかつ先端部にラックの歯と噛み合わせられる歯を有しているロック爪と、ロック爪をその歯がラックの歯と噛み合わせられる方向に向かって付勢する弾性部材と、ロック爪の長さ中間から左右方向内方に向かって分岐するように設けられかつ踏み桟の下面に形成された操作窓を通じて上方に押圧することにより弾性部材の弾性力に抗してロック爪をその歯がラックの歯から外れる方向に揺動させる操作レバーとを備えている。
上記の伸縮脚装置を備えた梯子等によれば、段差地や傾斜地に設置する場合であっても、梯子体の一方または両方の支柱下部の伸縮脚部材を所要スライド位置でロック装置によりロックすることにより、水平面に設置した場合と同様に、ほぼ垂直に立った安定状態で、安全に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−193780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の伸縮脚装置にあっては、ロック装置の操作レバーが梯子体の最下段の踏み桟に組み込まれているため、伸縮脚部材の伸縮を行う場合、片手で操作レバーを上方に押圧してロック解除しながら、他方の手で伸縮脚部材を持って所要方向にスライドさせる必要があった。
そのため、例えば、梯子等を立てたまま状態で伸縮脚部材の伸縮作業を行う場合、作業者は深くしゃがむ必要があって、作業し難い上、同作業によって両手が塞がるため、梯子等が不安定な状態となり、倒れる危険性もあった。
【0006】
この発明の目的は、伸縮脚部材の伸縮作業をより楽な姿勢で簡単に行うことができ、また、伸縮作業中に梯子等が倒れたりするおそれがなく、安全性に優れた伸縮脚装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の目的を達成するために、以下の態様からなる。
【0008】
1)左右1対の支柱間に複数の踏み桟が渡し止められてなる梯子体における少なくともいずれか一方の支柱の下部に支柱の長さ方向に沿ってスライド自在に取り付けられかつ下端に接地部を有している伸縮脚部材と、伸縮脚部材を所要のスライド位置において支柱にロックするロック装置とを備えている伸縮脚装置であって、
伸縮脚部材が、支柱の左右方向外側面の下部にスライド自在に取り付けられており、ロック装置の操作部が、伸縮脚部材に設けられている、伸縮脚装置。
【0009】
2)支柱の左右方向外側面の下部に、支柱の長さ方向に沿うようにガイドレールが取り付けられており、
ガイドレールは、支柱の左右方向外側面と向かい合うベース壁と、ベース壁の前後両縁から左右方向外方に突出した前後ガイド壁とを有しており、
伸縮脚部材およびガイドレールの前後ガイド壁に、互いに長さ方向にスライド可能に嵌め合わせられる嵌合部が設けられており、
ロック装置は、ガイドレールのベース壁の左右方向外側面に設けられかつガイドレールの長さ方向に沿って並んだ多数の歯を有するラックと、伸縮脚部材に前後方向にのびる揺動軸を中心として揺動自在に組み込まれかつ先端部にラックの歯と噛み合わせられる歯を有しているロック爪と、ロック爪をその歯がラックの歯と噛み合わせられる方向に向かって付勢する弾性部材と、ロック爪の基端部に連なってロック爪と反対方向にのびるように設けられかつ伸縮脚部材の左右方向外側面に形成された操作窓を通じて左右方向内方に押圧することにより弾性部材の弾性力に抗してロック爪をその歯がラックの歯から外れる方向に揺動させる操作レバーとを備えている、上記1)の伸縮脚装置。
【0010】
3)ガイドレールが、支柱を貫通して支柱の左右方向外側面にカシメ止めされた中空状踏み桟の端部と干渉しないように、スペーサを介して支柱の左右方向外側面の下部に取り付けられている、上記2)の伸縮脚装置。
【0011】
4)伸縮脚部材が伸長する方向に外力が作用した際に互いに係り合わせられるラックの歯およびロック爪の歯の係合面が、同係合面からロック爪の揺動中心に向かってのびる直線が同係合面の垂線と一致するかまたは垂線に対して10°以内の角度でラック側に傾くように形成されている、上記2)または3)の伸縮脚装置。
【発明の効果】
【0012】
上記1)の伸縮脚装置にあっては、伸縮脚部材を伸縮させる場合、同部材を片手で持ってロック装置の操作部を操作しながら所要方向にスライドさせればよい。
したがって、上記1)の伸縮脚装置によれば、例えば梯子等を立てたままの状態でも、伸縮脚部材の伸縮作業を片手で楽に行うことができ、また、他方の手で梯子等を支えて倒れるのを防止することができるので、安全に作業を行うことができる。
なお、ロック装置の操作部は、より好ましくは、伸縮脚部材の上部の表面に設けられる。このようにすれば、伸縮脚部材の伸縮作業の際に深くしゃがむ必要がなく、より楽な姿勢で作業を行うことができる。
【0013】
上記2)の伸縮脚装置によれば、伸縮脚部材がガイドレールを介して支柱の左右方向外側面の下部に取り付けられているため、支柱に複雑な取付構造を設ける必要がなく、支柱として一般的なものを使用することができ、また、伸縮脚部材の取付も容易に行いうる。
また、上記2)の伸縮脚装置によれば、伸縮脚部材の左右方向外側面に形成された操作窓を通じて、操作レバーを手指で押圧することにより、ロック装置のロック解除を簡単に行うことができ、また、上記ロック解除を行いながら、伸縮脚部材のスライドを楽に行うことができるので、優れた操作性が得られる。
【0014】
上記3)の伸縮脚装置によれば、中空状踏み桟の端部が支柱にカシメ止めされている梯子体を備えた梯子等であっても、ガイドレールを支柱の左右方向外側面の下部に支障なく簡単に取り付けることができ、適用対象が広げられる。
【0015】
上記4)の伸縮脚装置によれば、以下のような問題を回避することができる。
すなわち、伸縮脚部材が伸長する方向に外力が作用した際に互いに係り合わせられるラックの歯およびロック爪の歯の係合面が、同係合面からロック爪の揺動中心に向かってのびる直線が同係合面の垂線に対してラック側に10°を超える角度で傾くように形成されていると、伸縮脚部材が伸長する方向に外力が作用した際、ロック爪をロック方向に付勢している弾性部材の弾性力を上回って、ロック爪をロック解除方向に揺動させる力が発生しやすくなる。そうすると、例えば、梯子等を持ち上げて運搬している際に、ロック装置が不用意にロック解除されて、伸縮脚部材が伸びてしまうおそれがある。
一方、上記の係合面が、係合面からロック爪の揺動中心に向かってのびる直線が同係合面の垂線に対してロック爪側に傾くように形成されていると、伸縮脚部材が伸長する方向に外力が作用した際、ロック爪をロック方向に揺動させる力が発生するため、ロック装置のロックが不意に解除されるおそれはないが、ロック解除時に操作レバーを強い力で押圧する必要が生じ、操作性が損なわれるおそれがある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の第1の実施形態に係る梯子の斜視図である。
図2】上記梯子の下部に設けられた伸縮脚装置を拡大して示す正面図である。
図3図2のIII−III線に沿う拡大断面図である。
図4図2のIV−IV線矢視図である。
図5図4のV−V線に沿う部分拡大断面図である。
図6】上記伸縮脚装置の分解斜視図である。
図7】(a)は、上記伸縮脚装置におけるロック装置のロック爪等のユニットの分解斜視図であり、(b)は、同ユニットの組立状態を示す斜視図である。
図8】上記ロック装置のロック状態を示すものであって、(a)は、伸縮脚部材が縮む方向の外力が作用した際におけるロック爪およびラックの歯どうしの係合状態を示す垂直断面図であり、(b)は、伸縮脚部材が伸びる方向の外力が作用した際におけるロック爪およびラックの歯どうしの係合状態を示す垂直断面図である。
図9】上記ロック装置のロック状態において同装置に作用する力を示すものであって、(a)は、伸縮脚部材が縮む方向の外力が作用した際に、ロック爪およびラックの歯どうしの係合面に発生する力を示す垂直断面図であり、(b)(c)は、伸縮脚部材が伸びる方向の外力が作用した際に、ロック爪およびラックの歯どうしの係合面に発生する力を示す垂直断面図である。
図10】この発明の第2の実施形態に係る脚立の左側面図である。
図11図10のXI−XI線に沿う部分拡大水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図1図9は、この発明の第1の実施形態を示すものである。
第1の実施形態は、この発明による伸縮脚装置を2連式梯子に適用したものである。
以下の説明において、「左右」とは図2の左右をいい、「前」とは図4の右側をいい、「後」とは図4の左側をいうものとする。
【0018】
図1に示すように、2連式梯子(1)は、上下2つの梯子体(2A)(2B)を伸縮自在に連結してなる。
上下各梯子体(2A)(2B)は、左右2本の支柱(3)と、両支柱(3)間に上下方向に等間隔おきに渡し止められた複数本の踏み桟(4)とを備えている。
そして、下梯子体(2B)における左右各支柱(3)の下部に、この発明による伸縮脚装置(5)が設けられている。
【0019】
図2図6は、下梯子体(2B)の下部の詳細構造を示すものである。
下梯子体(2B)の左右各支柱(3)は、アルミニウム等の形材よりなる。左支柱(3)は、垂直な左側壁(31)と、左側壁(31)の前後縁から右方にのびた前後壁(32)とを備えた横断面略コ字形のものである(図3参照)。右支柱(3)は、左支柱(3)と左右対称形であって、右側壁(31)および前後壁(32)を備えた横断面略コ字形のものである。
下梯子体(2B)の各踏み桟(4)は、中空状のアルミニウム等の形材よりなり、その上部が平坦状となされ、残りの部分が下方凸弧状となされている。踏み桟(4)は、その左端部が、左支柱(3)の左側壁(31)にあけられた挿通孔(図示略)に通されてバルジ加工により左支柱(3)の左側壁(31)にカシメ止めされ、その右端部が、右支柱(3)の右側壁(31)にあけられた挿通孔(図示略)に通されてバルジ加工により右支柱(3)の右側壁(31)にカシメ止めされている。そのため、踏み桟(4)のカシメ止めされた左端部(41)は、左支柱(3)の左側壁(31)外面から突出しており(図5参照)、同右端部(41)は、右支柱(3)の右側壁(31)外面から突出している。
最下段の踏み桟(4)は、左支柱(3)の左側壁(31)および右支柱(3)の右側壁(31)における下端からやや上方に距離をおいた部分間に渡し止められている。最下段の踏み桟(4)の下面と、左支柱(3)の左側壁(31)および右支柱(3)の右側壁(31)の下端部との間には、それぞれ金属板片よりなる補強金具(21)が斜めに渡し止められている。
【0020】
下梯子体(2B)の左右支柱(3)の下部に設けられた伸縮脚装置(5)は、完全な左右対称形である。したがって、以下では、左支柱(3)の下部に設けられた伸縮脚装置(5)を図面に基づいて詳しく説明し、もう一方の伸縮脚装置(5)の説明は省略することとする。
伸縮脚装置(5)は、左支柱(3)の左側壁(31)外面の下部に左支柱(3)の長さ方向に沿ってスライド自在に取り付けられかつ下端に接地部(60)を有している伸縮脚部材(6)と、伸縮脚部材(6)を所要のスライド位置でロックするロック装置(7)とを備えている。
左支柱(3)の左側壁(31)外面の下部に、左支柱(3)の長さ方向に沿うようにガイドレール(8)が取り付けられている。ガイドレール(8)は、左支柱(3)の左側壁(31)外面から突出した踏み桟(4)の左端部(41)と干渉しないように、スペーサ(9)を介して左支柱(3)の左側壁(31)外面の下部に取り付けられている。そして、このガイドレール(8)に、伸縮脚部材(6)が、長さ方向にスライド自在に取り付けられている。
【0021】
ガイドレール(8)は、左支柱(3)の左側壁(31)外面と向かい合うベース壁(81)と、ベース壁(81)の前後縁から左方に突出した前後ガイド壁(82)とを有している横断面略U形のものである。前後ガイド壁(82)の先端部には、前後方向外方に折れ曲がった嵌合凸部(83)が設けられている。前後ガイド壁(82)の対向面の左右幅中間に、互いに向かい合うように短く突出した垂直凸条が設けられ、これらの凸条とベース壁(81)との間に内部拡大溝(84)が形成されている。ベース壁(81)の右側面には、その前後縁寄りの部分に右方に向かって短くのびかつ先端が前後方向外方に折れ曲がった垂直な嵌合凸部(85)が形成されている。
スペーサ(9)は、図6に示すように、計3つ用いられており、ガイドレール(8)が取り付けられる左支柱(3)の左側壁(31)外面部分の上端、下端および長さ中間に、踏み桟(4)の左固定端部(41)を避けて配されている。これらのスペーサ(9)は、垂直な金属板片よりなり、下端のスペーサ(9)は、他の2つのスペーサ(9)と比べて、やや上下に長いものとなされている。各スペーサ(9)は、同一の水平横断面を有しており、左支柱(3)の左側壁(31)外面に重ねられて、その前後端部が、ボルト(B)およびナット(N)によって左側壁(31)に接合固定されている。各スペーサ(9)の外面(左側面)の前後幅中間部には、横断面台形状の隆起部(91)が形成されている。そして、この隆起部(91)に、ガイドレール(8)の前後2つの嵌合凸部(85)がそれぞれ上下方向にスライド自在に嵌め入れられる垂直な前後2つの嵌合凹部(92)が形成されている。
ガイドレール(8)は、その上下端部において、スペーサ(9)を間に挟んだ状態で、ボルト(B)およびナット(N)により、左支柱(3)の左側壁(31)外面に接合固定されている(図6参照)。
ガイドレール(8)の上端部には、その上端面およびスペーサ(9)の上端面を覆うように、キャップ(11)が装着されている。キャップ(11)は、例えば合成樹脂製であって、障害物との接触時にその力を逃がすように、片流れ屋根形の形状を有するものとなされている。
【0022】
伸縮脚部材(6)は、例えばアルミニウム等の形材よりなり、前後に長い略方形の横断面を有する中空状基部(61)と、基部(61)の右側壁の前後縁部分から右方に突出しかつ横断面略方形の中空状となされた前後2つの凸部(62)とを備えている。
基部(61)の前壁およびこれに連なる前側凸部(62)の前壁は、全体として右方に向かって斜め前方にのびている。同様に、基部(61)の後壁およびこれに連なる後側凸部(62)の後壁は、全体として右方に向かって斜め後方にのびている。
前側凸部(62)の右側壁は、後方に向かって斜め右方にのびているとともに、その後端縁部が後壁よりも後方に突出させられている。そして、前側凸部(62)の後壁および右側壁の後端縁部、ならびに同後端縁部と向かい合う基部(61)の右側壁部分によって、前嵌合凹部(63)が形成され、この前嵌合凹部(63)が、ガイドレール(8)の前嵌合凸部(83)に長さ方向スライド自在に嵌め入れられている。
同様に、後側凸部(62)の右側壁は、前方に向かって斜め右方にのびているとともに、その前端縁部が前壁よりも前方に突出させられている。そして、後側凸部(62)の前壁および右側壁の前端縁部、ならびに同前端縁部と向かい合う基部(61)の右側壁部分によって、後嵌合凹部(63)が形成され、この後嵌合凹部(63)が、ガイドレール(8)の後嵌合凸部(83)に長さ方向スライド自在に嵌め入れられている。
以上の嵌合構造により、伸縮脚部材(6)が、ガイドレール(8)にその長さ方向に沿ってスライド自在に取り付けられている。
伸縮脚部材(6)の上端部には、基部(61)および前後2つの凸部(62)の上端開口を塞ぐように上キャップ(64)が装着されている。上キャップ(64)は、例えば合成樹脂製であって、障害物との接触時にその力を逃がすように、切妻屋根形の形状を有するものとなされている。
伸縮脚部材(6)の下端部には、下キャップ(65)が装着されている。下キャップ(65)は、例えば合成樹脂製であって、伸縮脚部材(6)の基部(61)および前後2つの凸部(62)の下端開口を塞ぐ水平板部(651)と、水平板部(651)から上方に突出して基部(61)内に嵌め込まれる嵌入部(652)とを備えている。
また、伸縮脚部材(6)の下端部には、略円板状の接地部材(60)が、U形のブラケット(66)を介して、ボルトおよびナットにより、前後方向揺動自在に取り付けられている。この接地部材(60)により、伸縮脚部材(6)下端の接地部が構成されている。接地部材(60)の下面には、例えばゴム製の滑り止めシート(60a)が貼り付けられている。
【0023】
ロック装置(7)は、ガイドレール(8)のベース壁(81)左側面に設けられかつガイドレール(8)の長さ方向に沿って並んだ多数の歯(711)を有するラック(71)と、伸縮脚部材(6)に前後方向にのびる揺動軸を中心として揺動自在に組み込まれかつ先端部にラック(71)の歯(711)と噛み合わせられる歯(721)(722)を有しているロック爪(72)と、ロック爪(72)をその歯(721)(722)がラック(71)の歯(711)と噛み合わせられる方向に向かって付勢する弾性部材(73)と、ロック爪(72)の基端部に連なってロック爪(72)と反対方向にのびるように設けられかつ伸縮脚部材(6)の表面に形成された操作窓(672)を通じて押圧されることにより弾性部材(73)の弾性力に抗してロック爪(72)をその歯(721)(722)がラック(71)の歯(711)から外れる方向に揺動させる操作レバー(74)(操作部)とを備えている。
ラック(71)は、歯(711)を有する面が左方を向くようにガイドレール(8)の内部拡大溝(84)に嵌め込まれて、その上下両端部がリベット等によりガイドレール(8)のベース壁(81)に接合固定されている。
図5および図7に示すように、ロック爪(72)、弾性部材(73)および操作レバー(74)は、ブラケット(75)内に組み込まれて、1つのユニットを構成している。
ブラケット(75)は、左方に開口した略U形の水平横断面を有する折り曲げ金属片よりなる。ブラケット(75)の右側壁(751)の上部は、ロック爪(72)の先端部を露出させるために切除されている。ブラケット(75)の右側壁(751)の下端部には、左方に向かって直角に折れ曲った底壁部(752)が連設されている。ブラケット(75)の前後壁(753)の高さ中間部には、挿通孔(753a)が対向状にあけられている。ブラケット(75)の前壁(753)の上端部には、後壁(753)に向かって後方に直角に折れ曲がった上取付部(754)が連設されている。ブラケット(75)の前後壁(753)の下端部には、前後方向外方に向かって直角に折れ曲がった下取付部(755)が連設されている。
ロック爪(72)および操作レバー(74)は、1つの揺動片(70)によって構成されている。揺動片(70)は、その長さの中央部に前後貫通状の挿通孔(701)を有している。そして、揺動片(70)がブラケット(75)内に挿入されて、揺動片(70)の挿通孔(701)およびブラケット(75)の前後壁(753)の挿通孔(753a)にまたがってピン(76)が挿通されることにより、揺動片(70)がピン(76)を中心としてブラケット(75)に揺動自在に取り付けられている。ロック爪(72)は、揺動片(70)の上側部分によって構成され、操作レバー(74)は、揺動片(70)の下側部分によって構成されている。
ロック爪(72)の先端部には、上下に間隔をおいて並んだ4つの歯(721)(722)が、ラック(71)側、すなわち右方を向くように形成されている。
操作レバー(74)の先端部には、右方に向かってほぼ直角に折れ曲った2つの屈曲部(741)が、上下にやや間隔をおいて形成されている。
操作レバー(74)の左側面は、ロック解除時に手指で押される押圧部(74a)を構成している。押圧部(74a)には、手指の滑りを防止するために、横断面凹弧状をした複数本の水平溝(742)が、上下方向に等間隔おきに形成されている。
弾性部材(73)は、圧縮コイルばねよりなり、ブラケット(75)の右側壁(751)と揺動片(70)の下側部分の操作レバー(74)との間に介在されて、揺動片(70)を、その上側部分のロック爪(72)の歯(721)(722)がラック(71)の歯(711)に噛み合わせられるロック方向に向かって付勢している。
【0024】
上記ユニットは、伸縮脚部材(6)における基部(61)の左側壁の上部に形成された略方形状の孔(611)を通じて、伸縮脚部材(6)内に収容され、ブラケット(75)の上下取付部(754)(755)がリベット等で基部(61)の左側壁に接合されることにより、伸縮脚部材(6)に固定されている。
ブラケット(75)の右側部分およびロック爪(72)の先端部は、伸縮脚部材(6)における基部(61)の右側壁の上部に形成された縦長方形状の孔(612)を通じて、伸縮脚部材(6)の裏面側に突出させられている。
伸縮脚部材(6)における基部(61)の左側壁外面(左側面)には、孔(611)および上記ユニットの一部を覆うように、略方形枠状のカバー(67)が被せられている。カバー(67)の上縁部には、伸縮脚部材(6)の基部(61)の左側壁内面における孔(611)の上縁部に係り合わせられる前後2つのフック(671)が形成されている。そして、カバー(67)の下縁部が、リベット等によって、伸縮脚部材(6)の基部(61)の左側壁に接合固定されている。
カバー(67)の中央開口部(672)には、揺動片(70)の操作レバー(74)の押圧部(74a)が、カバー(67)の表面側に突出しないように配されており、同中央開口部が操作窓(672)を構成している。このカバー(67)により、操作レバー(74)の押圧部(74a)が不用意に押圧されてロック解除されるのが防止される。
【0025】
伸縮脚部材(6)を伸長方向にスライドさせていくと、ブラケット(75)の底壁部(752)が、ガイドレール(8)を左支柱(3)の下端部に固定しているボルト(B)の頭部に当接し、それによって、伸縮脚部材(6)がガイドレール(8)の下方に抜けるのが阻止される(図2参照)。この時、伸縮脚部材(6)の下方突出部分が最も長くなる最大伸縮状態となる。
一方、伸縮脚部材(6)を縮める方向にスライドさせていくと、伸縮脚部材(6)の下端部に装着された下キャップ(65)の嵌入部(652)の上端が、ガイドレール(8)の下端面に当接し、それによって、伸縮脚部材(6)がガイドレール(8)の上方に突き抜けるのが阻止される(図2参照)。この時、伸縮脚部材(6)の下方突出部分が最も短くなる最小伸縮状態となる。
【0026】
上記の梯子(1)を、例えば図2に示すように、右側の設置面(G1)が左側の設置面(G2)よりも高くなっている段差地に設置する場合、左側の伸縮脚装置(5)の伸縮脚部材(6)を所要長さだけ伸長させることにより、平坦な水平面に設置する場合と同様に、ほぼ垂直に立った安定状態で、安全に使用することができる。
ここで、伸縮脚部材(6)の伸長に際しては、伸縮脚部材(6)の上部の表面に設けられたロック装置(7)の操作レバー(74)を片手の手指で押してロック解除しながら、同じ片手で伸縮脚部材(6)を持って伸長方向にスライドさせればよいので、もう一方の手で梯子(1)の支柱(3)や踏み桟(4)を支えながら、安全に作業を行うことができる。
【0027】
図8は、伸縮脚装置(5)のロック装置(7)において、ロック爪(72)の歯(721)(722)とラック(71)の歯(711)とが噛み合ったロック状態を示すものである。
ラック(71)の多数の歯(711)は、所定のピッチで上下方向に並んでいる。歯(711)は、すべて同形同大であって、略逆等脚台形状の横断面を有している。より詳しく言うと、歯(711)の頂面(711a)は、平坦な垂直面となされている。歯(711)の上下両側面は、これらの頂面側の半部が平坦な水平面(711b)となされ、残りの半部が付け根に向かうにつれて次第に歯(711)が細くなるように傾斜したテーパ面(711c)となされている。
これに対して、ロック爪(72)の場合、上側の2つの歯(721)と、下側の2つの歯(722)とで、形状および大きさが異なっている。
ロック爪(72)の上側の2つの歯(721)は、略逆不等脚台形状の横断面を有するものであって、その頂面が平坦な垂直面(721a)よりなり、その上側面が平坦な水平面(721b)よりなり、その下側面のうち頂面側の半部が付け根に向かうにつれて次第に歯(721)が細くなるように傾斜したテーパ面(721c)よりなり、下側面の残りの半部が平坦な水平面(721d)よりなる。上側の2つの歯(721)の最大厚みは、ラック(71)の歯(711)どうしの間に入り込めるように、ラック(71)の歯(711)の最大厚みよりもやや小さいものとなされている。
ロック爪(72)の下側の2つの歯(722)は、略方形状の横断面を有するものであって、その頂面が平坦な垂直面(722a)よりなり、その上下両側面が平坦な水平面(722b)よりなる。また、下側の2つの歯(722)の厚みは、上側の2つの歯(721)の最大厚みよりもやや小さいものとなされている。
【0028】
梯子(1)を壁や屋根等に立て掛けた設置状態では、梯子(1)に対して伸縮脚部材(6)が縮む方向に外力が作用する。この場合、図8(a)に示すように、ロック爪(72)は上方向へ、ラック(71)は下方向へ移動しようとする。そして、ロック爪(72)の4つの歯(721)(722)の上側面(721b)(722b)(係合面)が、対応するラック(71)の4つの歯(711)の下側面の水平面部分(711b)(係合面)とそれぞれ係り合わせられる。
図9(a)は、梯子(1)の設置状態において、ロック爪(72)の最上位の歯(721)の係合面(721b)に発生する力を示したものである。この係合面(721b)には、ロック爪(72)の揺動中心(C)から係合面(721b)を通ってのびる半径方向外向きの力(P1)が作用する。この力(P1)を、ロック爪(72)を揺動させる方向に作用する力、すなわち、係合面(721b)の接線方向の力(P2)と、ロック爪(72)の歯(721)の係合面(721b)がラック(71)の歯(711)の係合面(711b)を垂直に押す力、すなわち、係合面(721b)の垂線方向の力(P3)とに分ける。すると、係合面(721b)の接線方向の力(P2)は、図9(a)の時計回り方向、すなわち、ロック爪(72)の歯(721)をさらにラック(71)に押し付けようとするロック方向を向いていることが判る。なお、図示は省略したが、ロック爪(72)の上から2番目以降の歯(721)(722)の係合面(721b)(722b)にも、上記と同様の方向の力が作用する。また、図9には示していないが、上記係合面(721b)(722b)には、圧縮コイルばねよりなる弾性部材(73)の弾性力もロック方向に作用している。したがって、梯子(1)を壁等に立て掛けた設置状態では、ロック装置(7)によるロック状態が確実に維持され、不用意にロック解除されるおそれはない。
【0029】
次に、梯子(1)を例えば運搬等の際に伸縮脚部材(6)以外の箇所を支えて持ち上げた状態では、梯子(1)に対して伸縮脚部材(6)が伸びる方向に外力が作用する。この場合、図8(b)に示すように、ロック爪(72)は下方向へ、ラック(71)は上方向へ移動しようとする。そして、ロック爪(72)の4つの歯(721)(722)のうち上側の2つの歯(721)の下側面のテーパ面部分(721c)(係合面)が、対応するラック(71)の2つの歯(711)の上側面のテーパ面部分(711c)(係合面)とそれぞれ係り合わせられる。しかし、下側の2つの歯(722)の下側面(722b)については、対応するラック(71)の2つの歯(711)の上側面とは係り合わせられない。
図9(b)は、上記梯子(1)の持ち上げ状態において、ロック爪(72)の最上位の歯(721)の係合面(721c)に発生する力を示したものである。この係合面(721c)には、ロック爪(72)の揺動中心(C)から係合面(721c)を通ってのびる半径方向内向きの力(P1)が作用する。この力(P1)を、ロック爪(72)を揺動させる方向に作用する力、すなわち、係合面(721c)の接線方向の力(P2)と、ロック爪(72)の歯(721)の係合面(721c)がラック(71)の歯(711)の係合面(711c)を垂直に押す力、すなわち、係合面(721c)の垂線方向の力(P3)とに分ける。すると、係合面(721c)の接線方向の力(P2)は、図9(a)の逆時計回り方向、すなわち、ロック爪(72)の歯(721)がラック(71)から離れるロック解除方向を向いている。この力(P2)が、ロック方向に作用する弾性部材(73)の弾性力よりも大きくなると、ロック爪(72)の歯(721)の係合面(721c)およびラック(71)の歯(711)の係合面(711c)の係合が外れて、ロック爪(72)の歯(721)がラック(71)の歯(711)から外れるロック解除状態となり、伸縮脚部材(6)が不用意に伸びてしまう事態が生じる。
そこで、この発明による伸縮脚装置(5)では、伸縮脚部材(6)が伸長する方向に外力が作用した際に互いに係り合わせられるロック爪(72)の歯(721)およびラック(71)の歯(711)の係合面(721c)(711c)を、同係合面(721c)(711c)からロック爪(72)の揺動中心(C)に向かってのびる直線(L1)が同係合面(721c)(722c)の垂線(L2)と一致するかまたは垂線(L2)に対して10°以内の角度(A1)でラック(72)側に傾くように形成している。
この実施形態では、ロック爪(72)の上側の2つの歯(721)の下側面のテーパ面部分(721c)、およびラック(71)の歯(711)の上側面のテーパ面部分(711c)が、上記係合面に相当する。ロック爪(72)の最上位の歯(721)およびこれに対応するラック(71)の歯(711)の係合面(721c)(711c)の場合、図9(b)に示すように、上記角度(A1)が約3°となる。また、ロック爪(72)の上から2番目の歯(721)およびこれに対応するラック(71)の歯(711)の係合面(721c)(711c)の場合、図9(c)に示すように、上記角度(A1)が約9.5°となる。いずれの場合も、係合面(721c)(711c)に対してロック解除方向に作用する力(P2)は、ロック方向に作用する弾性部材(73)の弾性力よりも十分小さくなる。また、上記角度(A1)は、ロック爪(72)の歯の位置が下になるほど大きくなり、それに応じて、係合面に対してロック解除方向に作用する力(P2)も大きくなってしまうが、ロック爪(72)の下側2つの歯(722)の下側面(722b)は、前述した通り、ラック(71)の歯(711)の上側面と係り合わせられないようになっている。
以上の構成により、この実施形態の伸縮脚装置(5)では、伸縮脚部材(6)が伸長する方向に外力が作用した場合でも、ロック爪(72)に対してロック解除方向に大きな力が作用しないため、弾性部材(73)の弾性力によってロック状態が確実に維持され、伸縮脚部材(6)が不用意に伸びるといった不具合が生じない。
また、この実施形態の伸縮脚装置(5)によれば、弾性部材(73)として必要以上に大きな弾性力を備えたものを使用しなくてもよいので、ロック装置(5)をロック解除するために操作レバー(74)の押圧部(74a)を押圧する力もそれ程大きくならず、操作性が損なわれない。
【0030】
(第2の実施形態)
図10および図11は、この発明の第2の実施形態を示すものである。
第2の実施形態は、この発明による伸縮脚装置を脚立に適用したものである。
以下の説明において、「前」とは図9の右側をいい、「後」とは図9の左側をいい、また、「左右」は前から見た場合の左右をいうものとする。
【0031】
図10に示すように、脚立(10)は、前後2つの梯子体(20A)(20B)の上端部どうしを、ヒンジ金具(201)により開閉自在に連結してなる。
前後各梯子体(20A)(20B)は、左右2本の支柱(30)と、両支柱(30)間に上下方向に等間隔おきに渡し止められた複数本の踏み桟(図示略)とを備えている。
前後各梯子体(20A)(20B)の支柱(30)および踏み桟は、以下の点を除いて、第1の実施形態の梯子(1)における上下各梯子体(2A)(2B)の支柱(3)および踏み桟(4)と実質的に同一である。
すなわち、各踏み桟の左右端部は、左右支柱(30)の前後壁(32)にリベット(図示略)等によって固定されており、各支柱(30)の側壁(31)を貫通して、その外面に突出した部分を有していない。
【0032】
前後各梯子体(20A)(20B)の左右支柱(30)の下部には、それぞれ伸縮脚装置(50)が設けられている。
伸縮脚装置(50)は、以下の点を除いて、第1の実施形態の伸縮脚装置(5)と実質的に同一の構造を有しており、同装置(5)と実質的に同一の作用効果を奏するものである。
すなわち、この実施形態の伸縮脚装置(5)の場合、ガイドレール(80)は、図11に示すように、スペーサを介さずに、支柱(30)の側壁(31)外面に直接取り付けられている。より詳細には、ガイドレール(80)のベース壁(81)の左右方向内面には、嵌合凸部が形成されておらず、これに代えて、ガイドレール(80)のベース壁(81)の前後縁部から左右方向内方に向かってのびかつ先端側が前後方向外方に直角に折れ曲った前後取付部(86)が形成されている。そして、これらの前後取付部(86)が、ボルト(B)およびナット(N)により、支柱(30)の側壁(31)に固定されている。
【0033】
なお、上記の各実施形態はあくまでも例示にすぎず、特許請求の範囲に記載された要旨を逸脱しない範囲内で適宜に変更を加えた形態として、この発明を実施することも勿論可能である。
【符号の説明】
【0034】
(1):2連式梯子
(2A):上梯子体
(2B):下梯子体
(3):支柱
(4):踏み桟
(41):(踏み桟の)端部
(5):伸縮脚装置
(6):伸縮脚部材
(60):接地部材(接地部)
(63):嵌合凹部
(672):操作窓
(7):ロック装置
(71):ラック
(711):(ラックの)歯
(711c):(歯の)上側面のテーパ面部分(係合面)
(72):ロック爪
(721):(ロック爪の)上側2つの歯
(721c):(歯の)下側面のテーパ面部分(係合面)
(722):(ロック爪の)下側2つの歯
(73):弾性部材
(74):操作レバー(操作部)
(8):ガイドレール
(83):嵌合凸部
(9):スペーサ
(L1):係合面からロック爪の揺動中心に向かってのびる直線
(L2):係合面の垂線
(10):脚立
(20A):前梯子体
(20B):後梯子体
(30):支柱
(50):伸縮脚装置
(80):ガイドレール
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11