特許第6643042号(P6643042)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643042
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】採尿用容器
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/10 20060101AFI20200130BHJP
   G01N 33/48 20060101ALI20200130BHJP
   G01N 33/493 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   G01N1/10 V
   G01N33/48 F
   G01N33/493 Z
【請求項の数】1
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-210141(P2015-210141)
(22)【出願日】2015年10月26日
(65)【公開番号】特開2017-83239(P2017-83239A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年9月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】502023170
【氏名又は名称】株式会社アトレータ
(73)【特許権者】
【識別番号】000206185
【氏名又は名称】大成化工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宇川 博明
(72)【発明者】
【氏名】森元 一郎
(72)【発明者】
【氏名】宮武 論
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−040788(JP,A)
【文献】 米国特許第04753249(US,A)
【文献】 特開2009−047537(JP,A)
【文献】 特開2003−215121(JP,A)
【文献】 特開平01−209369(JP,A)
【文献】 特開2005−219788(JP,A)
【文献】 米国特許第05352410(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44
G01N 33/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端が閉塞され、他端が開口端に形成されて尿を収容するための細長い筒状の収容筒と、
一端が閉塞端に形成され、他端が上記収容筒の開口端部の取り付け及び取り外しが自在な開口端に形成されると共に、側面に採尿口が形成されて採尿するための細長い筒状の採尿筒と、
一端が閉塞され、他端が開口された細長い筒状に形成されると共に、上記採尿筒の挿入及び抜き取りが自在に成るように該採尿筒より僅かに大径に形成され、上記採尿口を覆うためのカバー筒とを備えた採尿用容器であって、
上記採尿筒は、人間の体温に相当する第1温度と該第1温度よりも低い第2温度とで異なる色を呈する変色性材料で形成され、
上記収容筒は、透明材料または有色半透明材料により形成され、
上記採尿筒は、第2温度において非着色状態であり、採尿時に上記第2温度から第1温度になると、非着色状態から着色状態に変化することを特徴とする採尿用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院や検査センター等で実施されている尿検査のために使用される採尿用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、病院や検査センターなどにおいては、数多くの尿検査が実施されている。
【0003】
この尿検査に使用される採尿用容器には、従来、特許文献1に開示されているように、尿を収容する収容筒と、該収容筒の開口端に取り付けられ、側面に採尿口が形成されて採尿するための採尿筒と、該採尿筒が挿入自在に成るように上記採尿口を覆うカバー筒とより構成されているものがある。
【0004】
上記採尿用容器は、収容筒に採尿筒を取り付けた組み立て状態とする。そして、被検査者は、採尿筒を下方に向けて収容筒を把持する。該被検査者が採尿口に尿を掛けることにより、該尿が収容筒に溜まり、尿の採取が終了する。
【0005】
続いて、上記採尿筒を下方に向けたままカバー筒に挿入する。この結果、汚れ部分である採尿筒が覆われる。上記採尿用容器は、その後、例えば上下を逆にし、収容筒を下側に向けて容器立て等に挿入して検査室等に搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−040788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の採尿用容器では、例えば採尿をする部屋が暗い状況だと、採尿口に尿をかけても採尿筒に尿が溜まったかどうかがはっきりと分からずに、採尿量が不足したり、逆に十分な量を採尿できているのに尿を必要以上に採尿筒にかけてしまったりするおそれがあった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、暗い環境であっても、採尿用容器で必要な量の尿を採取できたかどうかを被検査者が確実に認識できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の発明は、一端が閉塞され、他端が開口端に形成されて尿を収容するための細長い筒状の収容筒と、一端が閉塞端に形成され、他端が上記収容筒の開口端部の取り付け及び取り外しが自在な開口端に形成されると共に、側面に採尿口が形成されて採尿するための細長い筒状の採尿筒と、一端が閉塞され、他端が開口された細長い筒状に形成されると共に、上記採尿筒の挿入及び抜き取りが自在に成るように該採尿筒より僅かに大径に形成され、上記採尿口を覆うためのカバー筒とを備えた採尿用容器を前提としている。
【0010】
そして、この際尿用容器は、上記採尿筒が、人間の体温に相当する第1温度と該第1温度よりも低い第2温度とで異なる色を呈する変色性材料で形成され、上記収容筒は、透明材料または有色半透明材料により形成され、上記採尿筒は、第2温度において非着色状態であり、採尿時に上記第2温度から第1温度になると、非着色状態から着色状態に変化することを特徴としている。
【0011】
この第1の発明では、採尿時に採尿筒に尿をかけると、採尿筒が尿の温度(ほぼ体温に相当する)の影響で変色する。従来であれば周囲が暗い環境などであれば採尿が完了したかどうかわかりにくい場合があったのに対して、この発明では、採尿筒が変色することにより、被検査者は採尿が完了したことを認識できる。
【発明の効果】
【0016】
上記第1の発明によれば、採尿時に採尿筒に尿をかけると、それまでは温度が低かった採尿筒が尿の温度(ほぼ体温)の影響で変色する。従来であれば周囲が暗い環境などであれば採尿が完了したかどうかわかりにくい場合があったのに対して、この第1の発明では、採尿筒が変色することにより、被検査者に採尿が完了したことを確実に認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の実施形態1を示し、カバー筒を仮想線で示した採尿用容器の正面図である。
図2図2は、カバー筒を取り付けた採尿用容器の縦断面図である。
図3図3は、収容筒の縦断面図である。
図4図4は、採尿筒の縦断面図である。
図5図5は、カバー筒の縦断面図である。
図6図6は、採尿用容器の要部拡大断面図である。
図7図7は、カバー筒の平面図である。
図8図8は、カバー筒の正面図である。
図9図9は、熱変色性材料の温度変化域を示すグラフである。
図10図10は、本発明の実施形態2を示し、カバー筒を省略した採尿用容器の正面図である。
図11図11は、カバー筒を取り付けた採尿用容器の縦断面図である。
図12図12は、収容筒の縦断面図である。
図13図13は、採尿筒の縦断面図である。
図14図14は、カバー筒の縦断面図である。
図15図15は、採尿用容器の要部拡大断面図である。
図16図16は、カバー筒の平面図である。
図17図17は、カバー筒の正面図である。
図18図18は、図16の部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。
【0020】
図1及び図2に示した採尿用容器1は、病院等で行われる尿検査の際に尿を採取するための容器である。
【0021】
上記採尿用容器1は、採取した尿を収容する収容筒2と、採尿を行うとともに計量を行う採尿筒3と、上記採尿筒3に着脱自在に取り付けられるカバー筒4とから構成されている。
【0022】
該収容筒2は、図3に示すように、一端が閉塞され、他端が開口された細長い円筒体に形成されている。該収容筒2は、合成樹脂などの透明材料より形成されている。なお、上記収容筒2の材料は、透明材料に限られず、有色半透明材料など各種の材料であってもよい。
【0023】
上記収容筒2は、図3の下側のほぼ半部の本体部21と、図3の上側のほぼ半部の先細部22とを備えている。そして、上記収容筒2は、尿検査装置にセット可能な外径及び長さのスピッツに構成されている。
【0024】
上記収容筒2の本体部21は、先細部22に向かって僅かに細くなるテーパ状に形成され、開口端部の外周面には、収容筒2を採尿筒3に装着した状態に保持するための保持機構11を構成する円周状凸部23として第1円周状凸部23aと第2円周状凸部23bとが形成されている。上記収容筒2の先細部22は、本体部21に連続し、閉塞端に向かって細くなるテーパ状に形成されている。上記収容筒2の先細部22は、本体部21のテーパ角度より大きく形成されている。
【0025】
上記収容筒2の先細部22の先端部には、第1の標線2aと第2の標線2aとが形成されている。上記第1の標線2a及び第2の標線2aは、採取した尿を遠心分離して上澄みを捨て、尿沈渣試験用のサンプル(15μl;マイクロリットル)を採取するための残尿量を表示するものであって、それぞれ0.1ml(ミリリットル)及び0.2ml(ミリリットル)の収納量を表示するように設定されている。
【0026】
上記収容筒2には、採尿量を示す採尿目盛り2bが付されている。該採尿目盛り2bは、収容筒2の長手方向に付され、採尿量が識別できるように構成されている。
【0027】
なお、上記採尿用容器1は、収容筒2のキャップ25を備えている。該キャップ25は、上記収容筒2の本体部21に嵌め込まれ、収容筒2を完全に閉鎖するように形成されている。
【0028】
上記採尿筒3は、図4に示すように、一端が閉塞され、他端が開口された細長い円筒体に形成されている。該採尿筒3は、合成樹脂の熱変色性材料により形成されている。熱変色性材料は、例えば発色(有色)状態と非発色(消無色)状態とに可逆的に変化する材料である。発色状態には、淡紅色、赤色、オレンジ色、青色、緑色、黒色などが含まれ、非発色状態には薄白色が含まれる。
【0029】
上記熱変色性材料の変色温度域は、例えば−5℃〜+55℃の範囲で任意に選定することができる。例えば、図9に示すように、人間の体温に近い第1温度(約35℃)に近づくと非発色状態になり、該第1温度よりも低い第2温度(25℃前後)に近づくと発色状態になるものがある。なお、図9において、◆で表しているのは温度が20℃から40℃へ上昇するときの変色の様子を表し、□で表しているのは温度が40℃から20℃へ低下する時の変色の様子を表している。
【0030】
上記採尿筒3は、上記とは逆に、第2温度において非着色状態で、採尿時に上記第2温度から第1温度になると、非着色状態から着色状態に変化する変色性材料で形成されている。
【0031】
上記熱変色性材料は、例えば透明の合成樹脂に熱変色性インクの粉末(マイクロカプセル)を練り込んだものを用いることができる。この熱変色インクの粉末は、重金属(ヒ素、鉛、カドミウム、水銀、セレン、アンチモン、クロム、バリウムなど)のような有害物質を含んでいないものである。
【0032】
上記採尿筒3は、本体部3aと開口端に形成された大径部3bとを備えている。上記本体部3aは、図4の下側のほぼ半部の計量部31と、図4の上側のほぼ半部の採尿部32とより形成されている。上記計量部31は、一端が閉塞され、尿検査に必要な尿を計量するように構成されている。例えば、上記採尿筒3の計量部31は、10ml(ミリリットル)の収容容積に構成されている。なお、この計量部31の収容容積は、15ml(ミリリットル)や20ml(ミリリットル)であってもよい。要するに、上記計量部31の収容容積は、検査等の要望に対応して10ml(ミリリットル)以上であってもよい。また、上記計量部31の収容容積は、逆に10ml(ミリリットル)未満であってもよい。
【0033】
上記採尿筒3の採尿部32は、一端が計量部31に連続し、他端が開口された円筒体に形成されている。そして、上記採尿部32は、採尿口33と補助口34とが形成されている。該採尿口33は、尿の採取時に該尿が注入される開口であって、採尿筒3の外周面から内周面に貫通して形成されている。上記採尿口33は、採尿筒3の円周方向の過半部を切り欠いて形成されている。
【0034】
上記採尿口33における計量部31の側の一端は、採尿筒3の径方向に一致する直交面33aに形成され、他端は、開口端に向かって傾斜する傾斜面33bに形成されている。そして、上記採尿口33の直交面33aから採尿筒3の閉塞端までが上記計量部31に形成されている。
【0035】
上記補助口34は、採尿口33と反対側の採尿筒3の外周面から内周面に貫通して形成されている。なお、上記補助口34の個数は、2つ以上であってもよい。また、上記補助口34を形成した理由は、採尿時の空気抜き作用を行うようにして採尿の容易化を図るようにするとともに、成形時の変形を防止するようにするためである。
【0036】
上記大径部3bは、採尿部32の開口端部に連続して形成され、該採尿部32の外径より大径に形成され、上記収容筒2の開口端部が挿入自在に形成されている。
【0037】
この採尿用容器1の要部拡大断面図である図6に示すように、上記大径部3bの内周面には、収容筒2の円周状凸部23である第1円周状凸部23aと第2円周状凸部23bに係合する円周溝35が形成されている。この円周溝35は、上記収容筒2の開口端側に位置する第1円周状凸部23aに上記収容筒2の開口端側から当接して係合する第1肩部35aと、第1円周状凸部23aよりも上記収容筒2の閉塞端側に位置する第2円周状凸部23bに上記収容筒2の閉塞端側から当接して係合する第2肩部35bとを備え、上記円周状凸部23とともに上記保持機構11を構成している。この保持機構11は、上記採尿筒3とカバー筒4とが重なって一体化する結合部14から外れた位置に形成されている。
【0038】
そして、上記収容筒2の円周状凸部23と採尿筒3の円周溝35とによって収容筒2と採尿筒3とが取り付け及び取り外し自在に構成されている。上記収容筒2の円周状凸部23と採尿筒3の円周溝35とは、収容筒2と採尿筒3とを相対的に回転させずに抜き差しするだけで、収容筒2と採尿筒3とを互いに取り付けたり取り外したりできるように構成されている。
【0039】
上記大径部3bにおける採尿部32側の端面は、本体部3aとの間の段差面3dに形成され、該段差面3dは、採尿筒3の径方向に一致する直交面に形成されている。また、上記大径部3bの外周端部には、抜け止め機構15を構成する鍔部36が一体形成されている。該鍔部36は、カバー筒4の端部に挿入されるように形成され、鍔部36の下面が上記段差面3dになっている。
【0040】
また、上記採尿筒3における本体部3aの外周面の一部であって開口端と採尿口33との間には、カバー筒4を固定する固定ねじ37が形成されている。該固定ねじ37は、採尿筒3をカバー筒4に挿入した状態において、カバー筒4の取り付けが行われるように構成されている。
【0041】
上記カバー筒4は、図5に示すように、一端が閉塞され、他端が開口された細長い円筒体に形成されている。該カバー筒4は、合成樹脂などの着色材料より形成されている。なお、上記カバー筒4の材料は、着色材料に限られず、その他の各種の材料であってもよい。
【0042】
上記カバー筒4は、採尿筒3が挿入及び抜き取り可能に嵌合するように該採尿筒3より僅かに大径に形成されている。
【0043】
上記カバー筒4は、採尿口33を閉鎖して採尿筒3の本体部3aの全体が挿入される長さに形成されている。上記カバー筒4は、一端が閉塞され且つ他端が開口されて採尿口33を閉鎖する本体部41と、該本体部41の開口端部に形成された大径部42とより構成されている。上記大径部42は、上記結合部14において採尿筒3と嵌合するように形成されている。上記大径部42の内周面には、採尿筒3の固定ねじ37にねじ込まれる固定ねじ43が形成されている。
【0044】
上記採尿筒3とカバー筒4との間には、上記抜け止め機構15と端面シール手段12と側面シール手段13とが設けられている。
【0045】
上記抜け止め機構15は、採尿筒3とカバー筒4の開口端側に設けられ、上記採尿筒3をカバー筒4に挿入して嵌合した状態で該採尿筒3からカバー筒4が外れるのを阻止するものである。上記抜け止め機構15は、上記採尿筒3の外周面の全周に形成された上記鍔部36と、該採尿筒3の鍔部36が挿入されるようにカバー筒4に形成された係止筒部44とを備えている。該係止筒部44の内周面には、上記鍔部36と係止するように径方向内方へ突出する係止突起(アンダーカット部)45が対向する2箇所に形成されている。また、係止突起45の内周面は、上記係止筒部44の開口端から奥へ離れるほど突出量が大きくなる傾斜面45aで形成されている。さらに、上記係止筒部44には、上記鍔部36の径方向外方の位置にスリット44aが形成され、スリット44a内に鍔部36が位置するようになっている。
【0046】
この抜け止め機構15では、図1の仮想線のカバー筒4を採尿筒3に固定ねじ37,43で締め込んでいくと、鍔部36が係止筒部44の中を奥へ向かって進んでいき、該鍔部36が係止突起45を乗り越えて鍔部36と係止突起45が係止する図6の状態になると、カバー筒4を逆向きに回しても採尿筒3からカバー筒4が抜けなくなる。
【0047】
上記端面シール手段12は、カバー筒4の開口部と採尿筒3との間をシールするものであり、カバー筒4のスリットの下側の端面4aと採尿筒3の鍔部36の端面3dとによって構成されている。つまり、上記端面シール手段12は、図6に示すように、採尿筒3にカバー筒4を締め付けた際、カバー筒4におけるスリットの端面4aが採尿筒3における鍔部の端面3dに密着するように構成されている。
【0048】
上記側面シール手段13は、カバー筒4の開口端部と採尿筒3の開口端部との間を側面でシールするものであり、カバー筒4に形成された摺り合わせ面4bと、採尿筒3に形成された摺り合わせ面3eとによって構成されている。上記カバー筒4の摺り合わせ面4bは、カバー筒4における本体部41の内周面の一部であって開口端の周縁に形成されている。上記採尿筒3の摺り合わせ面3eは、採尿筒3における本体部3aの外周面の一部であって開口端と固定ねじ37との間に形成されている。そして、上記カバー筒4の摺り合わせ面4bと採尿筒3の摺り合わせ面3eとは、図6に示すように、カバー筒4に採尿筒3を挿入すると、互いに密着するように構成されている。そして、カバー筒4と採尿筒3が重なった部分と固定ねじ37,43を含む部分が結合部14になる。
【0049】
上記収容筒2には、キャップ25を固定するための固定用凸部27が形成されている。上記固定用凸部27は、収容筒2の本体部21における開口端部の内周面に環状に形成されている。一方、上記キャップ25には、収容筒2の本体部21に嵌め込まれる嵌合部2eが形成され、該嵌合部2eの外周面には、リング状の凸部2fが形成されている。そして、上記固定用凸部27は、キャップ25を収容筒2に嵌め込んだ際、キャップ25の凸部2fが乗り越えて、「カチン」などの嵌め込み完了音が発するように構成されている。
【0050】
〈採尿用容器の使用方法〉
次に、上述した採尿用容器1の使用方法について説明する。
【0051】
先ず、採尿する前の未使用の状態において、採尿用容器1は、採尿筒3の開口端部に収容筒2の開口端部が挿入されて収容筒2と採尿筒3とが連結されるとともに、図1に仮想線で示すように該採尿筒3をカバー筒4に軽く差し込んだだけで該採尿筒3からカバー筒4がすぐに外れる状態で組まれ、包装袋に入れられている。
【0052】
次に、採尿時において、被検査者は、包装袋より採尿用容器1を取出し、カバー筒4を採尿筒3より抜き取る。採尿筒3はカバー筒4に軽く差し込まれた状態なので、カバー筒4を採尿筒3から抜き取るのは容易である。そして、収容筒2に採尿筒3が取り付けられた状態で、被検査者は、採尿筒3を下方に向けて収容筒2を把持する。次に、該被検査者が採尿口33に尿を掛けることにより、該尿が採尿口33より採尿筒3に流入して計量部31に溜まり、尿の採取が終了する。この採尿時において、所定量(例えば、10ml)の尿が計量部31に注入されると、採尿口33より採尿筒3の外に漏れるので、尿検査に必要な量が確実に採取され、余剰の尿が採取されることがない。また、採尿時は収容筒2と採尿筒3の肉厚の差が小さく、剛性の差も小さいので、収容筒2と採尿筒3は容易には分離しない。
【0053】
この尿の採取が終了すると、採尿用容器1を検査室等に搬送する。
【0054】
搬送の際は、図2に示すように、上記採尿筒3を下方に向けたままカバー筒4に挿入し、汚れ部分である採尿筒3が覆われるようにする。その際、上記カバー筒4に採尿筒3を挿入すると、採尿口33がカバー筒4によって閉鎖される。続いて、上記カバー筒4に対して採尿筒3を回して固定ねじ37,43を締めると、鍔部36が係止突起45を乗り越えて両者が係止する。このとき、固定ねじ37,43によって上記カバー筒4と採尿筒3とが結合して固定され、かつ図2図6に示すように、鍔部36と係止突起45によって固定ねじ37,43を逆向きに回すことが阻止されるので、カバー筒を逆向きに回そうとしてもカバー筒4と採尿筒3は外れなくなる。
【0055】
また、上記カバー筒4と採尿筒3とを結合すると、図2図6に示すように、カバー筒4の開口端面4aが採尿筒3の大径部3bの段差面3dに当接して密着し、カバー筒4と採尿筒3との間がシールされる(端面シール手段12)。更に、上記カバー筒4に採尿筒3を挿入すると、カバー筒4の摺り合わせ面4bと採尿筒3の摺り合わせ面3eとが密着し、カバー筒4と採尿筒3との間がシールされる(側面シール手段13)。したがって、採尿の漏れが防止される。
【0056】
続いて、上記採尿用容器1は、上下を逆にし、収容筒2を下側に向けて容器立て等に挿入して検査室等に搬送される。その際、上記採尿筒3の上下を逆にすると、採尿が収容筒2に流れ、該尿が収容筒2に収納される。
【0057】
その後、検査室等において、検査を行う人が、一体になった採尿筒3とカバー筒4に対して収容筒2をその結合部で「く」の字形に折り曲げると、保持機構11が外れる。採尿時とは違って、一体になった採尿筒3とカバー筒4の剛性が収容筒2の剛性よりも大きく、収容筒2が変形しやすいためである。このことにより、収容筒2が採尿筒3及びカバー筒4より外れる。そして、上記尿が収容された収容筒2のみを検査装置にセットする。
【0058】
なお、本実施形態では、採尿が終了した後、上記採尿筒3を下方に向けたまま該採尿筒3をカバー筒4に挿入し、採尿口33がカバー筒4によって閉鎖されてから上記採尿用容器1を上下逆にして尿を収容筒2に収容し、さらに該収容筒2を採尿筒3及びカバー筒4から外した後、収容筒2の開口端にキャップ25を嵌め込み、容器立て等に立てて検査室等に搬送して検査装置にセットすることもできる。
【0059】
尿検査においては、収容筒2が遠心分離器に装着され、液体成分と固体成分とが分離された後、デカンテーションを行い、上澄みの液体成分を捨てる。そして、上記収容筒2を反転させて液体成分を除去し、収容筒に残った沈殿物を検査に用いる。
【0060】
−実施形態1の効果−
本実施形態によれば、採尿時に採尿筒3に尿をかけると、それまでは常温で温度の低かった採尿筒3が尿の温度(ほぼ体温)の影響で変色する。従来であれば周囲が暗い環境などであれば採尿が完了したかどうかわかりにくい場合があったのに対して、この実施形態では、採尿筒3が変色することにより、被験者に採尿が完了したことを確実に認識させることができる。
【0061】
《発明の実施形態2》
図10図18に示す本発明の実施形態2について説明する。
【0062】
本発明の実施形態2は、上記実施形態1とは抜け止め機構15の構成が異なるものである。
【0063】
この実施形態では、図13図15に示すように、上記採尿筒3の大径部3bにおける上記段差面3dの位置に第1回り止めリング38が形成され、上記カバー筒4の大径部42に第2回り止めリング46が形成されている。第1回り止めリング38と第2回り止めリング46は互いに係合するように形成されている。
【0064】
また、図15図18に示すように、上記採尿筒3の第1回り止めリング38には外周面に第1係止凸部38aが形成され、上記カバー筒4の第2回り止めリング46には内周面に第2係止凸部46aが形成されている。第1係止凸部38aと第2係止凸部46aは、採尿筒3がカバー筒4にねじ結合された状態で互いに係止して、固定ねじ37,43を緩める方向への回転を禁止するように構成されている。そして、この第1係止凸部38aと第2係止凸部46aにより、上記抜け止め機構15が構成されている。
【0065】
この抜け止め機構15では、カバー筒4に採尿筒3をねじ込んで結合する構成が前提であり、その構成において、図15に示すように第1係止凸部38aと第2係止凸部46aが互いに噛み合うと、カバー筒4を逆向きに回しても採尿筒3からカバー筒4が抜けなくなる。
【0066】
また、上記端面シール手段12は、カバー筒4の開口端と採尿筒3との間をシールするように、カバー筒4の開口端面4aと採尿筒3の段差面3dとによって構成されている。実施形態1と実質的に同じ構成である。つまり、上記端面シール手段12は、拡大図である図15に示すように、採尿筒3にカバー筒4をねじ込んだ際、カバー筒4における大径部42の開口端面4aが採尿筒3における大径部3bの段差面3dに密着するように構成されている。
【0067】
採尿筒3を変色性材料で形成していることを含め、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0068】
この実施形態においても、採尿時に採尿筒3に尿をかけると、それまでは温度の低かった採尿筒3が尿の温度(ほぼ体温)の影響で変色する。従来であれば周囲が暗い環境などであれば採尿が完了したかどうかわかりにくい場合があったのに対して、この実施形態では、採尿筒3が変色することにより、被検査者に採尿が完了したことを確実に認識させることができる。
【0069】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0070】
上記実施形態では、採尿筒3にカバー筒4を装着した状態でカバー筒4を抜けなくするための抜け止め機構15を設けているが、本発明において抜け止め機構15は必ずしも採用しなくてもよい。
【0071】
また、収容筒2,採尿筒3,及びカバー筒4の具体的な構成も上記実施形態の構成に限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0073】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0074】
以上説明したように、本発明は、尿検査のための採尿用容器について有用である。
【符号の説明】
【0075】
1 採尿用容器
2 収容筒
3 採尿筒
4 カバー筒
33 採尿口
図1
図2
図3
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