特許第6643064号(P6643064)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6643064同軸ケーブルコネクタ、キャリア付き同軸ケーブルコネクタ及び同軸ケーブルコネクタの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643064
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】同軸ケーブルコネクタ、キャリア付き同軸ケーブルコネクタ及び同軸ケーブルコネクタの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/38 20110101AFI20200130BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20200130BHJP
   H01R 43/048 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   H01R24/38
   H01R43/00 B
   H01R43/048 Z
【請求項の数】17
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-235464(P2015-235464)
(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公開番号】特開2017-84751(P2017-84751A)
(43)【公開日】2017年5月18日
【審査請求日】2018年10月19日
(31)【優先権主張番号】特願2015-212611(P2015-212611)
(32)【優先日】2015年10月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敦宏
(72)【発明者】
【氏名】伝法谷 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 義仁
(72)【発明者】
【氏名】木村 和彦
【審査官】 高橋 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−153557(JP,A)
【文献】 特開平05−166568(JP,A)
【文献】 特開2013−045575(JP,A)
【文献】 特開2005−032516(JP,A)
【文献】 特開2010−108719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 3/00− 3/08
H01R 4/00− 4/22
H01R 9/03− 9/11
H01R12/00−12/91
H01R24/00−24/86
H01R43/00−43/02
H01R43/027−43/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端子と、
前記端子を支持するハウジングと、
前記ハウジングの少なくとも一部と同軸ケーブルの少なくとも一部を覆う外部導体シェルと、
同軸ケーブルと
を含み、
前記外部導体シェルは、前記同軸ケーブルを固定するためのカシメ部を後端部分に備え、
前記外部導体シェルは、前記ハウジングの円筒部を収容するための平面を有するハウジング収容部を前記カシメ部よりも先端側に備え、
前記ハウジング収容部は、前記平面から延びて凸状に形成された切断部を備え、
前記切断部は、前記外部導体シェルを前記ハウジング収容部の前記平面から延びたキャリア連結部を介して連結したコネクタキャリアから切断された跡であること
を特徴とする同軸ケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記外部導体シェルの縁部分に壁部を備え、
前記切断部は前記壁部がない前記外部導体シェルの縁部分に形成されたこと
を特徴とする請求項に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記外部導体シェルの先端側に相手コネクタと接続するための略円筒部を含み、
前記切断部は前記略円筒部の外周よりも外側に形成されたこと
を特徴とする請求項に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記外部導体シェルの先端に前記略円筒部の一部を構成する折曲部を含み、
前記切断部は前記折曲部の端部に形成されたこと
を特徴とする請求項に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項5】
前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備えた前記切断部に加えて、前記カシメ部の端部に別の切断部を備えることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の同軸ケーブルコネクタ。
【請求項6】
端子と、前記端子を支持するハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一部と同軸ケーブルの少なくとも一部を覆う外部導体シェルとを備える同軸ケーブルコネクタを1以上含み、
前記外部導体シェルは、同軸ケーブルを固定するためのカシメ部を備え、
前記外部導体シェルは、前記ハウジングの円筒部を収容するための平面を有するハウジング収容部を前記カシメ部よりも先端側に備え、
前記ハウジング収容部は、前記平面から延びたキャリア連結部を備え、
前記外部導体シェルは、前記ハウジング収容部の前記平面から延びたキャリア連結部を介してコネクタキャリアと連結していること
を特徴とするコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタ。
【請求項7】
前記同軸ケーブルコネクタは、前記外部導体シェルの縁部分に壁部を備え、
前記キャリア連結部は前記壁部がない前記外部導体シェルの縁部分に設けられたこと
を特徴とする請求項に記載のコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタ。
【請求項8】
前記同軸ケーブルコネクタは、前記外部導体シェルの先端側に相手コネクタと接続するための略円筒部を含み、
前記キャリア連結部は前記略円筒部の外周よりも外側に設けられたこと
を特徴とする請求項6又は7に記載のコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタ。
【請求項9】
前記同軸ケーブルコネクタは、前記外部導体シェルの先端に前記略円筒部の一部を構成する折曲部を含み、前記キャリア連結部は前記折曲部の端部に形成されたこと
を特徴とする請求項に記載のコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタ。
【請求項10】
前記同軸ケーブルコネクタは、前記コネクタキャリアから延出した連結片を介して前記キャリア連結部で結合されたことを特徴とする請求項からのいずれか1項に記載のコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタ。
【請求項11】
前記キャリア連結部には、ノッチ又はハーフカットが形成されたこと
を特徴とする請求項から10のいずれか1項に記載のコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタ。
【請求項12】
前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備えた前記キャリア連結部に加えて、前記カシメ部の端部に別のキャリア連結部を備え、
前記別のキャリア連結部は、前記外部導体シェルの前記カシメ部を支持するサブキャリアと連結され、
前記コネクタキャリアは、前記サブキャリアから延出した支持片の先端の支持部と結合されたことを特徴とする請求項から11のいずれか1項に記載のコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタ。
【請求項13】
請求項から11のいずれか1項に記載のコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタから、前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備えた前記キャリア連結部を切断することで、前記コネクタキャリアを切離す工程を少なくとも含むこと
を特徴とする同軸ケーブルコネクタの製造方法。
【請求項14】
請求項12に記載のコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタから、前記カシメ部の端部に備えた前記別のキャリア連結部を切断し、前記コネクタキャリアと前記支持部との間の切断位置で切断することで前記サブキャリアを前記コネクタキャリアから切離す工程と、
前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備えた前記キャリア連結部を切断することで、前記コネクタキャリアを切離す工程とを少なくとも含むこと
を特徴とする同軸ケーブルコネクタの製造方法。
【請求項15】
前記カシメ部は、被覆カシメ部と、外部導体カシメ部とを含み、
前記同軸ケーブルコネクタの前記外部導体シェルは、芯線カシメ部をさらに備え、
前記コネクタキャリアを切離す工程の前に、
前記端子を支持する前記ハウジングを前記外部導体シェルに組み込む工程と、
前記外部導体シェルの縁部分から延出した前記芯線カシメ部を折り曲げることで、前記端子の芯線接続部に配置された前記同軸ケーブルの芯線を、前記芯線カシメ部の内側にある絶縁性の芯線固定部で、前記芯線接続部に圧着して接続するとともに、前記外部導体シェルの後端部分に設けられた前記外部導体カシメ部及び前記被覆カシメ部で、前記同軸ケーブルの外部導体及び被覆をそれぞれかしめて固定する工程を含むこと
を特徴とする請求項13又は14に記載の同軸ケーブルコネクタの製造方法。
【請求項16】
前記カシメ部は、被覆カシメ部と、外部導体カシメ部とを含み、
前記同軸ケーブルコネクタの前記外部導体シェルは、芯線カシメ部をさらに備え、
前記コネクタキャリアを切離す工程の前に、
前記ハウジングに支持された前記端子芯線接続部に、前記同軸ケーブルの芯線を接続する工程と、
前記同軸ケーブルの芯線が前記芯線接続部に結線された前記端子を支持する前記ハウジングを前記外部導体シェルに組み込む工程と、
前記外部導体シェルの縁部分から延出した前記芯線カシメ部を折り曲げることで、前記端子を支持する前記ハウジングを前記外部導体シェルに固定するとともに、前記外部導体シェルの後端部分に設けられた前記外部導体カシメ部及び前記被覆カシメ部で、前記同軸ケーブルの外部導体及び被覆をかしめて固定する工程とを含むこと
を特徴とする請求項13又は14に記載の同軸ケーブルコネクタの製造方法。
【請求項17】
前記カシメ部は、被覆カシメ部と、外部導体カシメ部とを含み、
前記同軸ケーブルコネクタの前記外部導体シェルは、芯線カシメ部をさらに備え、
前記コネクタキャリアを切離す工程の前に、
端子を支持していない絶縁性のハウジングを組み込む工程と、
前記同軸ケーブルの芯線が芯線接続部に接続された端子を、前記ハウジングに組み込む工程と、
前記外部導体シェルの縁部分から延出した前記芯線カシメ部を折り曲げることで、前記端子を支持する前記ハウジングを前記外部導体シェルに固定するとともに、前記外部導体シェルの後端部分に設けられた前記外部導体カシメ部及び前記被覆カシメ部で、前記同軸ケーブルの外部導体及び被覆をかしめて固定する工程とを含むこと
を特徴とする請求項13又は14に記載の同軸ケーブルコネクタの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルコネクタに関する。具体的には、キャリアから切離した切断部を備える同軸ケーブルコネクタ、及び、1以上の同軸ケーブルコネクタを連結したキャリア付き同軸ケーブルコネクタ、及び、少なくともキャリア連結部で連結されたキャリアから外部導体シェルを切離す工程を含む同軸ケーブルコネクタの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルコネクタ等のコネクタの従来の製造工程では、コネクタの外部導体シェルの後端を連結片で連結したコネクタキャリアと、一体形成等によりハウジングに収容又は内蔵された端子の後端を連結片で連結したハウジングキャリアとが同じ側にあり、同じ側にあるコネクタキャリア及びハウジングキャリアをそれぞれ位置決めして、外部導体シェルに絶縁性のハウジングを収容する等の組み立てが行われる。ここで、外部導体シェルの後端とは、外部導体シェルに接続される同軸ケーブルの延伸方向に対して後方の端部のことであり、端子の後端も同様に、同軸ケーブルの延伸方向に対して後方の端部のことである。また、外部導体シェルの先端及び端子の先端とは、それぞれ同軸ケーブルの延伸方向に対して前方の端部のことである。
【0003】
例えば、特開2011−181518号公報(特許文献1)に記載されたコネクタは、連結片を介してコネクタの外部導体シェルを連結したキャリア(コネクタキャリア)と、連結片を介してハウジングに内蔵された中心コンタクトを連結したキャリア(ハウジングキャリア)とが同じ側にあり、同じ側にあるキャリア同士を重ねて位置決めすることで、外部導体シェルにハウジングを装着する等の工程によって組み立てられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−181518号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来例のように、同軸ケーブルコネクタ等のコネクタの一般的な製造工程では、コネクタキャリアとハウジングキャリアが同じ側にあるため、それぞれのキャリアを支持する治具(又は機構)の位置決め等による移動の妨げにならないように、治具の構造を設計する必要がある。このように、同じ側にある2つのキャリアをそれぞれ支持する治具は、キャリア同士の位置関係や移動範囲等を考慮しつつ設計しなればならないことから、単に1つのキャリアを支持する治具の構造に比べて、治具の構造は複雑なものとなる。
【0006】
また、コネクタの外部導体シェルの後端が連結片を介してコネクタキャリアに連結されているので、外部導体シェルの後端部分に同軸ケーブルを圧着して接続する際には、コネクタキャリアは接続の妨げとなるため、同軸ケーブルコネクタの製造工程において、外部導体シェルの後端部分に同軸ケーブルを圧着して接続する前に、コネクタキャリアを外部導体シェルの後端から切離し、コネクタキャリアから切離された同軸ケーブルコネクタを挟み込んで固定するためのクランプ等の治具が必要となる。そのため、同軸ケーブルコネクタを製造する装置は、そのようなクランプ等の治具を備えた複雑な構成となる。さらに、同軸ケーブルコネクタはコネクタキャリアに連結されていた時に比べて、クランプ等の治具で挟み込まれて固定されているだけなので、同軸ケーブルを圧着して接続する際に同軸ケーブルコネクタの固定位置が不安定となり得る。
【0007】
そこで、従来例のコネクタの外部導体シェルの後端を連結片で連結することに代えて、又は、外部導体シェルの後端を連結片で連結することに加えて、同軸ケーブルコネクタを構成する外部導体シェルのカシメ部よりも先端側の任意の位置に設けられたキャリア連結部によって、外部導体シェルとコネクタキャリアを連結し、コネクタキャリアを外部導体シェルの先端側(すなわち、絶縁性のハウジングに内蔵された端子の後端に連結されたハウジングキャリアとは反対側)に配置することで、各々のキャリアを支持する治具等を含む同軸ケーブルコネクタの製造装置の構成を簡略化し、同軸ケーブルコネクタの後端部分に同軸ケーブルを圧着して接続する際に、コネクタキャリアから同軸ケーブルコネクタを切離さずに、コネクタキャリアに連結したままで同軸ケーブルコネクタの固定位置を安定させて、同軸ケーブルコネクタに同軸ケーブルを結線できるように構成された、同軸ケーブルコネクタ、コネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタ及び同軸ケーブルコネクタの製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1つの実施形態に係る同軸ケーブルコネクタは、端子と、前記端子を支持するハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一部と同軸ケーブルの少なくとも一部を覆う外部導体シェルと、同軸ケーブルとを含み、
前記外部導体シェルは、前記同軸ケーブルを固定するためのカシメ部を後端部分に備え、
前記外部導体シェルは、切断部を少なくとも前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備え、
前記切断部はコネクタキャリアから切断された跡であることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、
前記切断部は、前記カシメ部よりも先端側の縁部分に形成されたことを特徴とする。
【0010】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記同軸ケーブルコネクタは、前記外部導体シェルの縁部分に壁部を備え、前記切断部は前記壁部がない前記外部導体シェルの縁部分に形成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記同軸ケーブルコネクタは、前記外部導体シェルの先端側に相手コネクタと接続するための略円筒部を含み、前記切断部は前記略円筒部の外周よりも外側に形成されたことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記切断部は、前記外部導体シェルの縁部分から凸状に形成されたことを特徴とする。
【0013】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記同軸ケーブルコネクタは、前記外部導体シェルの先端に前記略円筒部の一部を構成する折曲部を含み、前記切断部は前記折曲部の端部に形成されたことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記同軸ケーブルコネクタは、前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備えた前記切断部に加えて、前記カシメ部の端部に別の切断部を備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の係る1つの実施形態に係るコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタは、端子と、前記端子を支持するハウジングと、前記ハウジングの少なくとも一部と同軸ケーブルの少なくとも一部を覆う外部導体シェルとを備える同軸ケーブルコネクタを1以上含み、
前記外部導体シェルは、同軸ケーブルを固定するためのカシメ部を備え、
前記外部導体シェルは、コネクタキャリアと連結したキャリア連結部を少なくとも前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備えることを特徴とする。
【0016】
本発明に係るコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記キャリア連結部は、前記カシメ部よりも先端側の縁部分に設けられたことを特徴とする。
【0017】
本発明に係るコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記同軸ケーブルコネクタは、前記外部導体シェルの縁部分に壁部を備え、前記キャリア連結部は前記壁部がない前記外部導体シェルの縁部分に設けられたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係るコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記同軸ケーブルコネクタは、前記外部導体シェルの先端側に相手コネクタと接続するための略円筒部を含み、前記キャリア連結部は前記略円筒部の外周よりも外側に設けられたことを特徴とする。
【0019】
本発明に係るコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記キャリア連結部は、前記外部導体シェルの縁部分から凸状に形成されたことを特徴とする。
【0020】
本発明に係るコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記同軸ケーブルコネクタは、前記外部導体シェルの先端に前記略円筒部の一部を構成する折曲部を含み、前記キャリア連結部は前記折曲部の端部に形成されたことを特徴とする。
【0021】
本発明に係るコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記同軸ケーブルコネクタは、前記コネクタキャリアから延出した連結片を介して前記キャリア連結部で結合されたことを特徴とする。
【0022】
本発明に係るコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記キャリア連結部には、ノッチ又はハーフカットが形成されたことを特徴とする。
【0023】
本発明に係るコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタの好ましい実施形態として、前記同軸ケーブルコネクタは、前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備えた前記キャリア連結部に加えて、前記カシメ部の端部に別のキャリア連結部を備え、前記別のキャリア連結部は、前記外部導体シェルの前記カシメ部を支持するサブキャリアと連結され、前記コネクタキャリアは、前記サブキャリアから延出した支持片の先端の支持部と結合されたことを特徴とする。
【0024】
本発明の1つの実施形態に係る同軸ケーブルコネクタの製造方法は、前記コネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタから、前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備えた前記キャリア連結部を切断することで、前記コネクタキャリアを切離す工程を少なくとも含むことを特徴とする。
【0025】
本発明の1つの実施形態に係る同軸ケーブルコネクタの製造方法は、前記コネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタから、前記カシメ部の端部に備えた前記別のキャリア連結部を切断し、前記コネクタキャリアと前記支持部との間の切断位置で切断することで、前記サブキャリアを前記コネクタキャリアから切離す工程と、
前記カシメ部よりも先端側の任意の位置に備えた前記キャリア連結部を切断することで、前記コネクタキャリアを切離す工程とを少なくとも含むことを特徴とする。
【0026】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタの製造方法の好ましい実施形態として、前記カシメ部は、被覆カシメ部と、外部導体カシメ部とを含み、
前記同軸ケーブルコネクタの前記外部導体シェルは、芯線カシメ部をさらに備え、
前記コネクタキャリアを切離す工程の前に、
前記端子を支持する前記ハウジングを前記外部導体シェルに組み込む工程と、
前記外部導体シェルの縁部分から延出した前記芯線カシメ部を折り曲げることで、前記端子の芯線接続部に配置された前記同軸ケーブルの芯線を、前記芯線カシメ部の内側にある絶縁性の芯線固定部で、前記芯線接続部に圧着して接続するとともに、前記外部導体シェルの後端部分に設けられた前記外部導体カシメ部及び前記被覆カシメ部で、前記同軸ケーブルの外部導体及び被覆をそれぞれかしめて固定する工程を含むことを特徴とする。
【0027】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタの製造方法の好ましい実施形態として、前記カシメ部は、被覆カシメ部と、外部導体カシメ部とを含み、
前記同軸ケーブルコネクタの前記外部導体シェルは、芯線カシメ部をさらに備え、
前記コネクタキャリアを切離す工程の前に、
前記ハウジングに支持された前記端子の前記芯線接続部に、前記同軸ケーブルの芯線を接続する工程と、
前記同軸ケーブルの芯線が芯線接続部に結線された前記端子を支持する前記ハウジングを前記外部導体シェルに組み込む工程と、
前記外部導体シェルの縁部分から延出した前記芯線カシメ部を折り曲げることで、前記端子を支持する前記ハウジングを前記外部導体シェルに固定するとともに、前記外部導体シェルの後端部分に設けられた前記外部導体カシメ部及び前記被覆カシメ部で、前記同軸ケーブルの外部導体及び被覆をかしめて固定する工程とを含むことを特徴とする。
【0028】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタの製造方法の好ましい実施形態として、前記カシメ部は、被覆カシメ部と、外部導体カシメ部とを含み、
前記同軸ケーブルコネクタの前記外部導体シェルは、芯線カシメ部をさらに備え、
前記コネクタキャリアを切離す工程の前に、
端子を支持していない絶縁性のハウジングを組み込む工程と、
前記同軸ケーブルの芯線が芯線接続部に接続された端子を、前記ハウジングに組み込む工程と、
前記外部導体シェルの縁部分から延出した前記芯線カシメ部を折り曲げることで、前記端子を支持する前記ハウジングを前記外部導体シェルに固定するとともに、前記外部導体シェルの後端部分に設けられた前記外部導体カシメ部及び前記被覆カシメ部で、前記同軸ケーブルの外部導体及び被覆をかしめて固定する工程とを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0029】
同軸ケーブルコネクタを構成する外部導体シェルの中央部分に設けられた、同軸ケーブルの芯線を固定するための芯線カシメ部から外部導体シェルの先端までの間にある縁部分の任意の位置に設けられたキャリア連結部によって、外部導体シェルとコネクタキャリアを連結し、コネクタキャリアを外部導体シェルの先端側に配置することで、コネクタキャリアはハウジングキャリアとは反対側に配置することができ、各々のキャリアの移動範囲、位置関係等を考慮する必要がなくなり、治具等を含む製造装置の構成を簡略化することができる。
【0030】
また、同軸ケーブルコネクタの後端部分に同軸ケーブルを圧着して接続する際に、コネクタキャリアから同軸ケーブルコネクタを切離さないので、コネクタキャリアに連結したままで同軸ケーブルコネクタの固定位置を安定させて、同軸ケーブルコネクタに同軸ケーブルを結線することができる。これにより、同軸ケーブルコネクタを挟み込んで固定するためのクランプ等の機構を省略することができる。さらに、同軸ケーブルコネクタをコネクタキャリアに連結した状態で取り扱うことできるので、同軸ケーブルを結線した後の検査工程等を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の一実施形態に係る同軸ケーブルコネクタを構成する絶縁性のハウジングと外部導体シェルがそれぞれキャリアに連結された状態を示す斜視図である。
図2図1に示す絶縁性のハウジングと外部導体シェルを上からみた上面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る同軸ケーブルコネクタを連結したキャリアを示す図である。
図4】本発明に係る同軸ケーブルコネクタを連結したキャリアの別の実施形態を示す図である。
図5】同軸ケーブルコネクタに同軸ケーブルを配置した状態を示す図である。
図6図5に示す状態から同軸ケーブルをかしめた状態を示す図である。
図7】コネクタキャリアから切離された同軸ケーブルコネクタを示す図である。
図8】本発明の別の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタを構成する絶縁性のハウジングと外部導体シェルがそれぞれキャリアに連結された状態を示す斜視図である。
図9図8に示す絶縁性のハウジングと外部導体シェルを上からみた上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下に図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、実施の形態を説明するための全ての図において、同一部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0033】
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係る同軸ケーブルコネクタを構成する絶縁性のハウジングと外部導体シェルがそれぞれキャリアに連結された状態を示す。図1は、コネクタキャリア10とハウジングキャリア20の斜視図であり、図2は、図1に示すコネクタキャリア10とハウジングキャリア20を上からみた上面図である。説明の都合上、図1及び図2に示されるコネクタキャリア10は、同軸ケーブルコネクタを構成する外部導体シェル30を3つ連結しているが、当然のことながら、3つに限定されるものではなく、1つ以上連結されていればよい。同様に、ハウジングキャリア20も、ハウジング40を3つ連結しているが、3つに限定されるものではなく、1つ以上連結されていればよい。図3から6,8及び9に示されるコネクタキャリア及びハウジングキャリアについても同様である。
【0034】
コネクタキャリア10は、外部導体シェル30を支持するように延出した連結片11を介してキャリア連結部12で外部導体シェル30を連結する。コネクタキャリア10には、同軸ケーブルコネクタを製造する際に、外部導体シェル30の位置を決める目印となる位置決めパイロット13を必要に応じて設けることができる。図1及び図2に示される位置決めパイロット13は、コネクタキャリア10を貫通した孔であるが、貫通した孔以外に、突起、凹部など目印になるものであればよい。
【0035】
同軸ケーブルコネクタの製造工程では、キャリア連結部12を切断することで、コネクタキャリア10から外部導体シェル30を分離することができる。コネクタキャリア10から外部導体シェル30を切離し易くするために、キャリア連結部12には、切り欠きなどのノッチ、半分程度切込みを入れたハーフカットを形成することができる。
【0036】
ハウジング40は、端子を支持するように一体形成することができ、端子の中央部分を覆って、端子を内蔵する。ハウジングキャリア20は、ハウジング40に含まれる端子を支持するように延出した連結片24を介してキャリア連結部23でハウジング40に含まれる端子を連結する。つまり、ハウジングキャリア20は、ハウジング40に内蔵された端子の後端側(すなわち、同軸ケーブルが接続される側)に設けられた芯線接続部22の後端を、連結片24を介してキャリア連結部23で連結することで、ハウジング40を支持することができる。
【0037】
ハウジングキャリア20は、同軸ケーブルコネクタを製造する際に、ハウジング40の位置を決める目印となる位置決めパイロット25を必要に応じて設けることができる。図1及び図2に示される位置決めパイロット25は、コネクタキャリア10の位置決めパイロット13と同様に、ハウジングキャリア20を貫通した孔であるが、貫通した孔以外に、突起、凹部など目印になるものであればよい。
【0038】
同軸ケーブルコネクタの製造工程では、キャリア連結部23を切断することで、ハウジングキャリア20からハウジング40に内蔵された端子を分離することができる。ハウジングキャリア20からハウジング40に内蔵された端子を切離し易くするために、外部導体シェル30のキャリア連結部12と同様に、キャリア連結23には、切り欠きなどのノッチ、半分程度切込みを入れたハーフカットを形成することができる。
【0039】
外部導体シェル30は、ハウジング40の円筒基部41を収容するように構成されたハウジング収容部31を先端側(すなわち、同軸ケーブルの先端側)に備え、同軸ケーブルの外部導体及び被覆を結線するように構成されたカシメ部(結線部)32を後端側に備える。外部導体シェル30の縁部分には、ハウジング収容部31の平面に対して垂直な壁部33が設けられる。壁部33は、例えば、外部導体シェル30の先端から芯線カシメ部36が延出する位置までの間の縁を垂直に折り曲げて形成することができる。
【0040】
また、外部導体シェル30は、ハウジング40の円筒部43の周囲を取り囲み、円筒基部41の側面から突出した突起44を押さえて、ハウジング40を固定するように構成された略円筒部34を備える。折曲部35は、外部導体シェル30の先端部分に設けられ、略円筒部34の一部を構成する。同軸ケーブルコネクタの製造工程において、折曲部35は、突起45を基準にして、ハウジング収容部31の平面に対して垂直に折り曲げられ、折曲部35の両側から延出する略円筒部34は、ハウジング40の円筒部43を囲むように折曲部35との境目で折り曲げられる。
【0041】
さらに、外部導体シェル30は、後端部分に同軸ケーブルとの固定のためのカシメ部を備える。カシメ部は、被覆カシメ部38及び外部導体カシメ部37を含む。これら被覆カシメ部38及び外部導体カシメ部37とは別に、外部導体シェル30の中央の縁部分には、壁部33から延出した芯線カシメ部36が設けられる。芯線カシメ部36は、壁部33との境目で箱状に折り曲げることで、内側にあるハウジング40の芯線固定部46で、芯線接続部22に配置された同軸ケーブルの芯線を間接的に圧着して接続するように構成される。外部導体シェル30の後端部分には、固定のための外部導体カシメ部37と被覆カシメ部38を備える。外部導体カシメ部37は、カシメ部32に配置された同軸ケーブルの外部導体を円筒状に直接かしめて外部導体シェル30に固定するように構成され、被覆カシメ部38は、同軸ケーブルの被覆を円筒状に直接かしめて外部導体シェル30に固定するように構成される。外部導体シェル30の中央の平面部分(すなわち、芯線カシメ部36が延出した壁部33に挟まれた平面部分)には、当該平面部分を切起こすことで突出した切起こしバネ39が設けられ、切起こしバネ39は、ハウジング40の本体部42と係合するように構成される。
【0042】
ハウジング40は、同軸ケーブルコネクタの先端側に円筒基部41を備え、後端側に本体部42を備える。円筒基部41は、相手コネクタと接続する側に延出した円筒部43を備え、円筒部43に対して垂直方向に延出した突起44,45を側面に備える。突起44は、同軸ケーブルコネクタの製造工程において、外部導体シェル30の略円筒部34により押さえられて、ハウジング収容部31に置かれた円筒基部41を固定することができる。本体部42は、外部導体シェル30の切起こしバネ39に係合するように構成された穴(図示せず)を備える。ハウジング40を外部導体シェル30に組み込んだ際には、本体部42は切起こしバネ39と係合することで、ハウジング40を固定することができる。
【0043】
円筒部43は、相手コネクタと接続する側から端子の接触部21を露出する。ハウジング40の後端側の本体部42は、同軸ケーブルの芯線を接続する側から端子の芯線接続部22を露出し、同軸ケーブルの芯線を接続する側に延出した芯線固定部46を備える。芯線固定部46は、芯線接続部22の側部両側にある、本体部42の縁部分から延出し、外部導体シェル30にハウジング40が組み込まれた際に、芯線固定部46が芯線カシメ部36の内側に配置されるように構成される。
【0044】
図2に示されているように、キャリア連結部12は、ハウジング収容部31の板面から延長するように設けられている。例えば、外部導体シェル30の壁部33が途切れた先端側の位置に、ハウジング収容部31の板面から延長するようにキャリア連結部12を設けることで、コネクタキャリア10は外部導体シェル30の先端側に配置することでき、コネクタキャリア10は、ハウジング40が内蔵する端子の後端を、連結片24を介してキャリア連結部23で連結するハウジングキャリア20とは、反対側に配置することができる。
それにより、コネクタキャリア10とハウジングキャリア20は、各々のキャリアの移動範囲、位置関係等を考慮する必要がなくなり、治具等を含む製造装置の構成を簡略化することができる。
【0045】
図1及び図2に示される本発明の一実施形態では、キャリア連結部12は、略円筒部34の外周よりも外側に設けられ、外部導体シェル30の先端側の縁部分に2つ設けられているが、外部導体シェル30におけるキャリア連結部12の位置は、コネクタキャリア10とハウジングキャリア20とが反対側に配置可能な位置であればよい。例えば、同軸ケーブルを外部導体シェル30(同軸ケーブルコネクタ)に固定するためには強く直接かしめる必要があるため、同軸ケーブルの被覆及び外部導体を直接かしめる被覆カシメ部38及び外部導体カシメ部37といったカシメ部を除いた部分から先端までの間の一部の縁部分に備えることができる。キャリア連結部12が形成される位置には、壁部33を形成しないように構成することができる。例えば、芯線カシメ部36が延出する壁部33の一部を形成しない代わりに、キャリア連結部12を形成することができる。また、キャリア連結部12の位置は、外部導体シェル30のカシメ部を除いた部分から先端までの間の一部の縁部分に限定されるものではなく、任意の位置とすることができる。
【0046】
図3は、本発明の一実施形態に係る同軸ケーブルコネクタを連結したキャリアを示す図である。コネクタキャリア10と連結された状態のキャリア付き同軸ケーブルコネクタ50は、例えば、同軸ケーブルコネクタの製造工程において、外部導体シェル30の真上にハウジング40が配置されるように、コネクタキャリア10及びハウジングキャリア20が位置決めされた状態(図2で示される状態)から、キャリア連結部23を切断して外部導体シェル30にハウジング40を収容し、略円筒部34及び切起こしバネ39で円筒基部41及び本体部42をそれぞれ固定し、キャリア連結部23を切断してハウジングキャリア20を分離することで製造される。
【0047】
このような工程で、コネクタキャリア10と連結された状態のキャリア付き同軸ケーブルコネクタ50を製造することができ、複数の同軸ケーブルコネクタ50は、コネクタキャリア10から切り離さずに連結された状態で、リールに巻いて出荷することができる。
【0048】
図4は、本発明に係る同軸ケーブルコネクタを連結したキャリアの別の実施形態を示す図である。図4に示される実施形態は、図1から3に示される同軸ケーブルコネクタ50の先端側に連結されたコネクタキャリア10に加えて、同軸ケーブルコネクタ50の後端側のカシメ部(図4の例では、被覆カシメ部38であるが、外部導体カシメ部37でもよい)にサブキャリア14を連結したものである。サブキャリア14は、連結片15を介してキャリア連結部16で、同軸ケーブルコネクタ50の端部、例えば、カシメ部32の端部と連結することで、コネクタキャリア10と共に、外部導体シェル30をしっかりと支持することができる。好ましくは、サブキャリア14のキャリア連結部16は、被覆カシメ部38の2つの爪を延出する根元部分の平面(被覆カシメ部38の背の部分に相当する平面)、すなわち、ハウジング収容部31の平面が後端側に延伸された平面に形成することで、外部導体シェル30の板面、コネクタキャリア10の板面、サブキャリア14の板面の各表面が同一平面(面一の平面)となるので、外部導体シェル30を各キャリアに更に安定的に支持することができる。
【0049】
また、サブキャリア14は、同軸ケーブルコネクタ50の側部を通って延出した支持片17と、支持片17から扇状に拡がった板状の支持部18とを備え、支持片17を介して支持部18でコネクタキャリア10と結合する。例えば、サブキャリア14の支持部18は、コネクタキャリア10の連結片11の支持部18に面した縁部と結合することができる。支持部18は、扇形状とすることで、コネクタキャリア10(又は連結片11)を幅広く支持できるので、同軸ケーブルコネクタ製造の際に、外部導体シェル30のぐらつきを抑制することができる。つまり、同軸ケーブルコネクタの製造工程において、ハウジング40を外部導体シェル30に組み込む際に、外部導体シェル30は支持部18によりしっかりと固定されるので、ハウジング40の組み込みを容易に行うことができる。切断位置19は、サブキャリア14をコネクタキャリア10及び同軸ケーブルコネクタ50から分離する際に、切断する位置である。
【0050】
図4に示すキャリア付き同軸ケーブルコネクタの製造工程は、図1から3に示す実施形態と同様である。コネクタキャリア10及びサブキャリア14に連結された状態のキャリア付き同軸ケーブルコネクタ50は、コネクタキャリア10のキャリア連結部12で先端側を連結し、サブキャリア14のキャリア連結部16で後端側を連結することで、コネクタキャリア10及びサブキャリア14によって支持された外部導体シェル30の真上にハウジング40が配置されるように、コネクタキャリア10及びハウジングキャリア20が位置決めされた状態(図2で示される状態と同様の状態)から、キャリア連結部23を切断して外部導体シェル30にハウジング40を収容し、略円筒部34及び切起こしバネ39で円筒基部41及び本体部42をそれぞれ固定され、キャリア連結部23を切断してハウジングキャリア20を分離することで製造される。
【0051】
このような工程で、コネクタキャリア10及びサブキャリア14に連結された状態のキャリア付き同軸ケーブルコネクタ50を製造することができ、図1から3に示す実施形態と同様に、複数の同軸ケーブルコネクタ50は、コネクタキャリア10及びサブキャリア14から切り離さずに連結された状態で、リールに巻いて出荷することもできる。
【0052】
コネクタキャリア10及びサブキャリア14に連結された状態のキャリア付き同軸ケーブルコネクタ50から、キャリア連結部16及び切断位置19を切断することで、サブキャリア14を除去することができ、図3に示すようなネクタキャリア10と連結された状態のキャリア付き同軸ケーブルコネクタ50を得ることができる。サブキャリア14を除去した後の製造工程、例えば、図5から図7に示すような同軸ケーブル60を結線する工程等は、図1から3に示す実施形態と同じである。
【0053】
図4に示す本発明の別の実施形態では、キャリア連結部12の他に、被覆カシメ部38及び外部導体カシメ部37といったカシメ部と連結したキャリア連結部16を備えているが、コネクタキャリア10と連結したキャリア連結部12を少なくともカシメ部よりも先端側の任意の位置に備えることができる。
【0054】
図5から図6は、同軸ケーブルコネクタ50に、同軸ケーブル60を結線する工程を示す。図5は、同軸ケーブルコネクタに同軸ケーブルを配置した状態を示す図である。同軸ケーブル60は、絶縁被覆61、外部導体62、絶縁体63及び芯線64から構成される。絶縁被覆61は、外部導体62を被覆し、外部導体62は絶縁体63を取り囲み、絶縁体63は芯線64を取り囲む。同軸ケーブル60の芯線64は、端子の芯線接続部22上に配置され、外部導体62及び絶縁被覆61は、カシメ部32上に配置される。
【0055】
図6は、図5に示す状態から同軸ケーブルをかしめた状態を示す図である。芯線64は、芯線カシメ部36をかしめることで、内側にあるハウジング40の芯線固定部46で、芯線接続部22に圧着されて接続される。外部導体62は、外部導体カシメ部37をかしめることで固定される。絶縁被覆61は、被覆カシメ部38をかしめることで固定される。
【0056】
図2から図6に示される本発明の一実施形態に係る同軸ケーブルコネクタの製造工程では、外部導体シェル30にハウジング40を組み込んでから同軸ケーブル60の結線を行っているが、製造工程の順序は図2から図6に示す順序に限定されるものではない。最終的に、図6の状態にできればよい。例えば、同軸ケーブルコネクタの製造工程の別の実施形態として、ハウジング40に含まれる端子の芯線接続部22に、同軸ケーブルコネクタ50の芯線64を接続した後、芯線64が接続されたハウジング40を、コネクタキャリア10に連結されたままの外部導体シェル30に組み込むことも可能である。また、製造工程のさらに別の実施形態として、コネクタキャリア10に連結されたままの外部導体シェル30に、端子を支持(又は内蔵)していない絶縁性のハウジングを組み込んだ後に、絶縁性のハウジングに組み込むための端子の芯線接続部に予め芯線が接続された同軸ケーブルを、同軸ケーブル付端子としてハウジングに組み込むこともできる。
【0057】
同軸ケーブルコネクタ50を構成する外部導体シェル30は、コネクタキャリア10に連結されたままであるから、同軸ケーブルを結線する際に、コネクタキャリア10を治具等で押さえることで、コネクタキャリア10に連結された同軸ケーブルコネクタ50の固定位置を安定させることができる。それにより、同軸ケーブルコネクタ50自体を挟み込んで固定するためのクランプ等の機構を省略することができる。また、図6に示すように同軸ケーブルコネクタ50をコネクタキャリア10に連結した状態で取り扱うことができるので、同軸ケーブル60を結線した後の検査工程等を容易に行うことができる。
【0058】
図7は、コネクタキャリアから切離された同軸ケーブルコネクタを示す図である。つまり、図7は、同軸ケーブルコネクタ50に同軸ケーブル60が結線された状態(図6に示す状態)から、キャリア連結部12を切断することで、連結片11を介して連結されたコネクタキャリア10が取り除かれた状態を示す。
【0059】
図7に示す同軸ケーブルコネクタ50は、外部導体シェル30の壁部33が途切れた先端側の位置に、キャリア連結部12を切断したことにより、外部導体シェル30の縁部分に凸状に形成された切断部51を備える。切断部51は外部導体シェル30がコネクタキャリア10から切断された跡であり、切断部51が形成される位置は、キャリア連結部12の位置に対応する。例えば、外部導体シェル30の被覆カシメ部38及び外部導体カシメ部37といったカシメ部を除いた部分から先端までの間の一部の縁部分に設けられるキャリア連結部12の位置に、切断部51は形成される。図4に示される本発明の別の実施形態では、キャリア連結部12で切断した跡である切断部51の他に、キャリア連結部16で切断された跡である切断部(図示せず)がカシメ部の端部に形成されるが、切断部51は、少なくともカシメ部よりも先端側の任意の位置に備えることができる。キャリア連結部12が略円筒部34の外周よりも外側に設けられている場合には、切断部51も略円筒部34の外周よりも外側に形成される。
【0060】
図8及び図9は、本発明の別の実施形態を示す。図8は、本発明の別の実施形態に係る同軸ケーブルコネクタを構成する絶縁性のハウジングと外部導体シェルがそれぞれキャリアに連結された状態を示す斜視図であり、図9は、図8に示す絶縁性のハウジングと外部導体シェルを上からみた上面図である。
【0061】
コネクタキャリア10と連結するキャリア連結部12は、図1から6に示す実施形態では、外部導体シェル30の先端側の縁部分に設けられているが、上述のとおり、キャリア連結部の位置は、コネクタキャリアとハウジングキャリアとが反対側に配置可能な位置であればよい。例えば、キャリア連結部の位置は、外部導体シェル30の被覆カシメ部38及び外部導体カシメ部37といったカシメ部を除いた部分から先端までの間の任意の位置とすることができる。図8及び図9に示す本発明の別の実施形態では、コネクタキャリア70は、連結片71を介してキャリア連結部72で、同軸ケーブルコネクタ50の折曲部35の上端部に連結される。連結片71は、コネクタキャリア70の端部から、コネクタキャリア70の平面に対して垂直な方向に延出して、同軸ケーブルコネクタ50の折曲部35の上端部に連結される。コネクタキャリア70には、同軸ケーブルコネクタを製造する際に、外部導体シェル30の位置を決める目印となる位置決めパイロット73を必要に応じて設けることができる。
【0062】
図8及び9に示されるように、キャリア連結部72を折曲部35の上端部との境目に設けた場合でも、コネクタキャリア70は、ハウジングキャリア20とは反対側の位置に配置することできる。それにより、コネクタキャリア70及びハウジングキャリア20の各々の移動範囲、位置関係等を考慮する必要がなくなり、治具等を含む製造装置の構成を簡略化することができる。
【0063】
本発明の個々の実施例は、独立した実施例ではなく、それぞれ組み合わせて適宜実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係る同軸ケーブルコネクタを1以上連結したコネクタキャリア付き同軸ケーブルコネクタ及び同軸ケーブルコネクタの製造方法は、同軸ケーブルコネクタの製造工程において利用することができ、製造された同軸ケーブルコネクタは、小型電子機器内の電気信号伝送等に用いることができる。
【符号の説明】
【0065】
10 コネクタキャリア
11 連結片
12 キャリア連結部
13 位置決めパイロット
14 サブキャリア
15 連結片
16 キャリア連結部
17 支持片
18 支持部
19 切断位置
20 ハウジングキャリア
21 接触部
22 芯線接続部
23 キャリア連結部
24 連結片
25 位置決めパイロット
30 外部導体シェル
31 ハウジング収容部
32 カシメ部
33 壁部
34 略円筒部
35 折曲部
36 芯線カシメ部
37 外部導体カシメ部
38 被覆カシメ部
39 切起こしバネ
40 ハウジング
41 円筒基部
42 本体部
43 円筒部
44、45 突起
46 芯線固定部
50 同軸ケーブルコネクタ
51 切断部
60 同軸ケーブル
61 絶縁被覆
62 外部導体
63 絶縁体
64 芯線
70 コネクタキャリア
71 連結片
72 キャリア連結部
73 位置決めパイロット

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9