特許第6643067号(P6643067)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 松本 良三の特許一覧

特許6643067鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置
<>
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000002
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000003
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000004
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000005
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000006
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000007
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000008
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000009
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000010
  • 特許6643067-鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643067
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法及び包装装置
(51)【国際特許分類】
   B65B 13/10 20060101AFI20200130BHJP
   B65B 13/22 20060101ALI20200130BHJP
   B65B 11/58 20060101ALI20200130BHJP
   B65B 25/14 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   B65B13/10
   B65B13/22
   B65B11/58
   B65B25/14 B
【請求項の数】4
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-239144(P2015-239144)
(22)【出願日】2015年12月8日
(65)【公開番号】特開2017-105484(P2017-105484A)
(43)【公開日】2017年6月15日
【審査請求日】2018年10月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】593041206
【氏名又は名称】松本 良三
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100065189
【弁理士】
【氏名又は名称】宍戸 嘉一
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 良三
【審査官】 蓮井 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−263321(JP,A)
【文献】 特開平11−227707(JP,A)
【文献】 特公昭56−35571(JP,B2)
【文献】 米国特許第8037661(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 13/10
B65B 11/58
B65B 13/22
B65B 25/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定枠に設けられた枠軌道半部と、可動枠に設けられ、可動枠とともに移動する開閉可能な軌道半部と、を有する環状楕円軌道を含み、移動台に設けられた一対の回転支持ローラに載せられて移動台の移動により運ばれてきた鉄鋼線材又は帯材コイルの中に開閉可能な軌道半部の一部を入り込ませて閉鎖した前記環状楕円軌道を形成し、回転支持ローラの回転によるコイルの転動中、包装材の巻きロールを装着した自走シャットルを環状楕円軌道に沿ってコイルの内外に周回させ、それによって包装材の巻きロールからテンション装置を経て引き出される包装材でコイルの内外を螺旋状に巻く、鉄鋼線材又は帯材コイル包装方法において、前記巻きロールの包装材、内側の非伸縮性包装帯材と、幅が該包装帯材よりも大きくその両側縁からはみ出すような幅寸法の外側のストレッチフィルムとからなり、前記包装材がコイルに巻かれたとき、前記ストレッチフィルムがその収縮傾向により非伸縮性包装帯材に密着するとともにストレッチフィルムのはみ出し部分で包装帯材をコイルに対して保持する、鉄鋼線材又は帯材コイルの包装方法。
【請求項2】
固定枠に設けられた枠軌道半部と、可動枠に設けられ、可動枠とともに移動する開閉可能な軌道半部とを有する環状楕円軌道を含み、移動台に設けられた一対の回転支持ローラに載せられて移動台の移動により運ばれてきた鉄鋼線材又は帯材コイルの中に開閉可能な軌道半部の一部を入り込ませて閉鎖した前記環状楕円軌道を形成し、回転支持ローラの回転によるコイルの転動中、包装材の巻きロールを装着した自走シャットルを環状楕円軌道に沿ってコイルの内外に周回させ、それによって包装材の巻きロールからテンション装置を経て引き出される包装材でコイルの内外を螺旋状に巻く、鉄鋼線材又は帯材コイル包装装置において、自走シャットルに装着された巻きロールの包装材は、内側の非伸縮性包装帯材と幅が該包装帯材よりも大きくその両側縁からはみ出すような幅寸法の外側のストレッチフィルムとからなり、シャットルに設けられたテンションローラ及び該テンションローラを巻きロールに圧接かつ追従させる手段を含み、前記テンションローラは、自走シャットルの環状楕円軌道に沿う周回により巻きロールから引き出される包装材に回転抵抗を与えるべく、モータの回転によりテンションブレーキ装置を作動して高トルクの回転出力で逆回転され、それによって巻きロールから引き出される包装材に一定の張力を付与し、包装材に弛みが生じたときテンションブレーキ装置の回転トルクの減少によりテンションローラの逆回転が加速して包装材を巻きロールに巻き戻前記テンションローラは、シャットルの左右一対の側板に回動可能に設けられた作動軸に下端が固着され、前記作動軸の回動により揺動するリンクの上端に固定して取り付けられた連結ロッドの両端に固定されたほぼL形のブラケットとほぼ三角形のブラケットに回転自在に取り付けられ、巻きロールにテンションローラを追従させる手段は、前記リンクを揺動させるべく前記作動軸を回動させるように作動するアクチエータを含む、鉄鋼線材又は帯材コイルの包装装置。
【請求項3】
前記テンションブレーキ装置は、作動軸に固着された支持板で回転自在に軸支された回転入力軸及び前記リンクを貫いて延びて前記三角形のブラケットで回転自在に軸支された出力軸を有し、前記モータは、作動軸に固着されたもう1つの取付板の下部に取り付けられ、モータの回転をテンションブレーキ装置の回転軸に伝達するための伝動装置及びテンションブレーキ装置の出力軸の回転をテンションローラに伝達する伝動装置を含む、請求項2に記載の鉄鋼線材又は帯材コイルの包装装置。
【請求項4】
受板部材と、熱接着部材とを含む接着装置が支持枠に装着され、包装材による螺旋巻きの最終段階において、回転支持ローラによるコイルの転動を停止させた状態で、前記受板部材が、コイルに巻かれた包装材の上に伏すように倒され、前記熱接着部材が、受板部材の上に重ね巻きされた包装材部分を互いに熱接着するように倒される、請求項2に記載の鉄鋼線材又は帯材コイルの包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,鋼線や帯鋼などのコイルを包装材でゲートル巻き、すなわち螺旋状に巻く方法及びその包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル状に巻かれた鋼線や帯鋼は、むき出しのままでは外気に触れることにより錆が発生し、或いは何かに触れて傷が付き、製品としての価値を損ねることがある。このような弊害を防止するために、帯状の包装材でコイルの内外を螺旋状に巻くことが良く知られている。帯状包装材は、同じ幅の防錆フィルムと外装フィルムとからなり、第一段階として、防錆フィルムをコイルの内外に螺旋状に巻き、巻き終わったら、次の段階で、外装フィルムを、それに幾分張力をかけながら、その上に同じように螺旋状にしっかりと巻くようになっている。このような包装の仕方では、2台の包装設備が必要であり、また包装を完了するまでにかなり時間がかかると言った欠点を有していた。
【0003】
螺旋巻きは、一般的には、一部を開閉可能とした楕円軌道を設け、移動台に設けられた一対の回転支持ローラに載せられて移動台の移動により運ばれてきたコイルの、回転支持ローラの回転による転動中、帯状包装材の巻きロールを装着したシャットルをコイルの内外に周回させ、それによって包装材をその巻きロールからテンション装置を経て引き出されることによって行われる(特許文献1及び2)。この種の包装設備には、大別すると3種類の方式が採用されている。すべてに共通なのは、コイルの中に入り込ませることができるように一部が開閉移動できる環状楕円軌道と、この環状楕円軌道上に設けられたシャットルと、シャットルを楕円軌道に沿って周回させるための駆動装置と、を含む。
【0004】
シャットルの駆動装置としては、第一の方式は、シャットルにモータと集電装置を搭載するとともに、環状楕円軌道に沿って導電軌条を配置し、この導電軌条から集電装置を介してモータへ給電することによりシャットルを自走させるように構成していることである(特許文献1)。
【0005】
第二の方式としては、環状楕円軌道に沿って走行する歯付ベルトから回転動力を得て回転する、シャットルに設けられたピニオンと、これまた楕円軌道に沿って固定して設けられたラックと回転する前記ピニオンとのかみ合わせによってシャットルを走行させるように構成されていることである(特許文献1)。
【0006】
第三の方式は、環状楕円軌道に沿って設けられたリンクチエーンを、外部駆動装置から回転動力を得て駆動し、これに連結されたフィルム供給装置であるシャットルを楕円軌道に沿って周回させるものである(特許文献2)。
【0007】
特許文献1にはまた、包装中コイルと環状楕円軌道を周回するシャットルとの距離が変動することから、シャットル上の包装材巻きロールから引き出される包装材を弛ませないよう、シャットル上に設けられたテンション装置が記載されている。このテンション装置は、複数の定置ガイドローラと、複数のダンサーローラとを配置してこれらダンサーローラを定置ガイドローラから離反する方向に付勢し、コイルとシャットルとの距離の変動で包装材に弛みが生じるとダンサーローラが離反移動して包装材に一定の張力を付与するようになっている。特許文献1にはさらにまた、シャットル上の包装材巻きロールから引き出される包装材に一定の張力を付与するために、包装材の巻きロールの支軸とテンション調整ローラの支軸の両方にトルクリミッターを装着し、これらトルクリミッターに前記ピニオンからの回転動力を伝達するようにし、弛みかけた包装材を巻きロールの逆回転により巻き戻すようになっている。特許文献2の場合には、一対のピンチローラの一方にトルクリミッターを設け、弛みかけた包装材は、付設の巻き戻し装置によって巻きロールに巻き戻され、それによって包装材に一定の張力が維持されるようになっている。
【0008】
以上特許文献1及び2に記載の螺旋巻き設備は、環状楕円軌道に沿ってシャットルを周回させる機構及びテンション装置のいずれにおいても構造が複雑であるといった欠点を有している。上記の自走シャットルは構造が簡単になり、理想的なものではあるが、シャットルに装備されるテンション機構に難がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−227707号公報
【特許文献2】特開2004−168410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、環状楕円軌道に沿って周回する自走シャットルを用いて鋼線や帯鋼などのコイルに、内側に非伸縮性包装帯材を、外側に該包装帯材の幅よりも大きくその両側縁からはみ出すような幅寸法のストレッチフィルムを有する包装材をゲートル巻き、すなわち螺旋状に巻き付けるようにしたコイルの包装方法を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、内側の非伸縮性包装帯材と幅が該包装帯材よりも大きくその両側縁からはみ出すような幅寸法の外側のストレッチフィルムの包装材巻きロールを自走シャットルに装着し、自走シャットルの環状楕円軌道に沿う周回により巻きロールから引き出される包装材に回転抵抗を与えて包装材に一定の張力を付与し、包装材に弛みが生じたとき包装材を巻きロールに巻き戻す、コイルの包装装置を提供することにある。
【0012】
本発明の上記の目的は、固定枠に設けられた軌道半部と、可動枠に設けられ、可動枠とともに移動する開閉可能な軌道半部とを有する環状楕円軌道を含み、移動台に設けられた一対の回転支持ローラに載せられて移動台の移動により運ばれてきた鉄鋼線材又は帯材コイルの中に開閉可能な軌道半部の一部を入り込ませて閉鎖した前記環状楕円軌道を形成し、回転支持ローラの回転によるコイルの転動中、包装材の巻きロールを装着した自走シャットルを環状楕円軌道に沿ってコイルの内外に周回させ、それによって包装材の巻きロールからテンション装置を経て引き出される包装材でコイルの内外を螺旋状に巻く、包装方法において、前記包装材が、内側の非伸縮性包装帯材と幅が該包装帯材よりも大きくその両側縁からはみ出すような幅寸法の外側のストレッチフィルムの包装材からなり、コイルに巻かれたとき前記ストレッチフィルムがその収縮傾向により非伸縮性包装帯材に密着するとともにストレッチフィルムのはみ出し部分で包装帯材をコイルに対して保持する、包装方法を提供することによって達成される。
【0013】
本発明の他の目的は、固定枠に設けられた軌道半部と、可動枠に設けられ、可動枠とともに移動する開閉可能な軌道半部とを有する環状楕円軌道を含み、移動台に設けられた一対の回転支持ローラに載せられて移動台の移動により運ばれてきた鉄鋼線材又は帯材コイルの中に開閉可能な軌道半部の一部を入り込ませて閉鎖した前記環状楕円軌道を形成し、回転支持ローラの回転によるコイルの転動中、包装材の巻きロールを装着した自走シャットルを環状楕円軌道に沿ってコイルの内外に周回させ、それによって包装材の巻きロールからテンション装置を経て引き出される包装材でコイルの内外を螺旋状に巻く、鉄鋼線材又は帯材コイル包装装置において、自走シャットルに装着された巻きロールの包装材は、内側の非伸縮性包装帯材と幅が該包装帯材よりも大きくその両側縁からはみ出すような幅寸法の外側のストレッチフィルムとからなり、シャットルに設けられたテンションローラ及び該テンションローラを巻きロールに圧接かつ追従させる手段を含み、前記テンションローラは、自走シャットルの環状楕円軌道に沿う周回により巻きロールから引き出される包装材に回転抵抗を与えるべく、モータの回転によりテンションブレーキ装置を作動して高トルクの回転出力で逆回転され、それによって巻きロールから引き出される包装材に一定の張力を付与し、包装材に弛みが生じたときテンションブレーキ装置の回転トルクの減少によりテンションローラの逆回転が加速して包装材を巻きロールに巻き戻す、鉄鋼線材又は帯材コイルの包装装置を提供することによって達成される。
【0014】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記テンションローラは、シャットルの左右一対の側板に回動可能に設けられた作動軸に下端が固着され、前記作動軸の回動により揺動するリンクの上端に固着された連結ロッドの両端に固定して取り付けられたL形のブラケットと三角形のブラケットで回転自在に支持され、巻きロールにテンションローラを追従させる手段は、前記リンクを揺動させるべく前記作動軸を回動させるように作動するアクチエータを含む。
【0015】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、前記テンションブレーキ装置は、作動軸に固着された取付板で回転自在に軸支された回転入力軸及び前記リンクを貫いて延びて前記三角形のブラケットで回転自在に軸支された出力軸を有し、前記モータは、作動軸に固着されたもう1つの取付板の下部に取り付けられ、モータの回転をテンションブレーキ装置の回転軸に伝達するための伝動装置及びテンションブレーキ装置の出力軸の回転をテンションローラに伝達する伝動装置を含む。
【0016】
本発明のさらに好ましい実施形態によれば、倒したり、起き上がらせたり作動することのできる受板部材及び熱接着部材を含む接着装置をさらに具備し、包装材による螺旋巻きの最終段階において、回転支持ローラによるコイルの転動を停止させた状態で、前記受板部材が、コイルに巻かれた包装材の上に伏すように倒され、前記熱接着部材が、受板部材の上に重ね巻きされた包装材部分を互いに熱接着するように倒されるようになっている。
【0017】
[作用]
巻きロールの包装材は、先に述べたように、内側の非伸縮性包装帯材と幅が該包装帯材よりも大きくその両側縁からはみ出すような幅寸法の外側のストレッチフィルムとからなっているため、コイルに螺旋状に巻き付けられた状態では、隣り合う非伸縮性包装帯材間にストレッチフィルムが介在し、しかもストレッチフィルムの伸縮性により非伸縮性包装帯材を上から押さえる働きをするため、外部空気のコイルへの進入を防ぐばかりでなく、非伸縮性包装帯材の左右への滑りをも防止することができ、コイルに対してゲートル巻きによる確実な包装を確保することができる。非伸縮性包装帯材は、単層でもよいし、防錆保護シートとの二層でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による鉄鋼線材又は帯材コイルの包装装置の全体側面図である。
図2】シャットルの側面図である。
図3】シャットルの概略平面図である。
図4】シャットルの正面図である。
図5図5(a)は、シャットルのテンション装置の拡大側面図であって、テンションローラを包装材巻きロールに圧接させた状態で示す図であり、図5(b)は、テンションローラを包装材巻きロールから引き離した状態の図5(a)と同様な図である。
図6図5のテンション装置の正面図である。
図7図7(a)は、クランプ支持枠及び電熱切断装置の背面から見た図であり、図7(b)は、図7(a)のクランプ支持枠及び電熱切断装置の側面図である。
図8】接着装置の概略斜視図である。
図9】包装材ロールの斜視図である。
図10】包装材による螺旋巻きの概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照すると、本発明によるコイルの包装装置1は、固定枠に取り付けられた軌道半部2と、可動枠に取り付けられ、可動枠とともに移動する開閉可能な軌道半部3とを有する環状楕円軌道4を含む。環状楕円軌道4は、一対のレール5と、レール間に配置された導電軌条6とからなる。環状楕円軌道4の開閉可能な軌道半部3には、自走シャットル7が設置される。自走シャットル7は、図2乃至4に示すように、左右2つの前駆動輪8と左右2つの後駆動輪9とを含み、これら駆動輪は、それぞれ、シャットル7の各側板10、10に回転自在に軸支された車軸11を有し、かつレール5に接して位置している。側板10に取り付けられたモータ12の回転が、歯付プーリと歯付ベルトとからなる伝動装置13によって車軸11に、したがって各駆動輪8、9に伝達され、それによってシャットルは環状楕円軌道に沿って走行する。モータ12への給電は、導電軌条6から、シャットル7の前方に設けられた集電装置14を介して行われるようになっている。シャットル7をレール5上に保持するために、保持用フランジ付ローラ15が、側板10に枢着されたアーム16に回動自在に支持されて、レール5の下面に引っ張りバネ17により圧接される。
【0020】
シャットルのほぼ中間部には、側板から固定的に支持されたブラケット18に一端が固定された片持ち支持軸19が設けられ、これに包装材の巻きロール20が回転自在に装着されるようになっている。巻きロール20の包装材21は、図9から明らかなように、内側に、例えばプラスチッククロスシートのような非伸縮性包装帯材22と、外側に、幅が該包装帯材よりも大きくその両側縁からはみ出すような幅寸法の外側のストレッチフィルム23とからなる。非伸縮性包装帯材は、単層であっても、防錆保護シートとの二層ものものであってもよい。ストレッチフィルム23は、各種プラスチックフィルムからなり、包装材形成設備の延伸装置(図示せず)により約三倍に延伸、すなわち引き伸ばされ、延伸された状態で、非伸縮性包装帯材22と合わせてロールに巻かれている。
【0021】
自走シャットル7は、包装材のロール20に隣接してテンション装置24を備え、該テンション装置は、図5及び6から明らかなように、テンションローラ25を含み、該テンションローラ25は、シャットル7の左右一対の側板10、10に回動可能に設けられた作動軸26に固着され、該作動軸26の回動により揺動するリンク27の上端にある連結ロッド28の両端に固定して取り付けられたほぼL形のブラケット29とほぼ三角形のブラケット30で回転自在に支持されている。25aは、ブラケット29、30で両端が回転自在に支持された、包装材21のための案内ローラである。作動軸26と連結ロッド28との間にはこれらに固定的に取り付けられた取付板31が設けられ、取付板31は、テンションブレーキ装置32の回転入力軸33を軸支し、またその出力軸34はリンク27及び三角形のブラケット30で回転自在に支持されている。もう1つの取付板31aにはその下部にモータ35が取り付けられ、モータの回転は、歯付プーリと歯付ベルトからなる伝動装置36によってテンションブレーキ装置32の回転入力軸33に伝達される。テンションブレーキ装置32の出力軸34の回転は、歯付プーリと歯付ベルトからなる伝動装置37によってテンションローラ25に伝達される。テンションローラ25は、巻きロール20の包装材21に接してこれに回転抵抗を与えるべく、テンションブレーキ装置32の出力軸34により高トルクで逆回転される。かくして、包装材に一定の張力が付与されるようになっている。包装材に弛みが生じたときテンションブレーキ装置の回転トルクの減少によりテンションローラ25の逆回転が加速して包装材を巻きロール20に巻き戻すようになっている。
【0022】
テンションローラ25の巻きロール20に対する追従は、側板の外側で取付軸26に固定して取り付けられたレバー38を、これに連結された電動アクチエータのようなアクチエータ39のストロークによって回動させ、作動軸26の回動で、これに固定されている取付板及びブラケット全体を、作動軸26を中心に揺動させることによって行われる。したがって、包装材巻きロール20は包装材の消費に伴って外形が小さくなっていくことから、アクチエータ39は絶えずテンションローラ25を巻きロールに追従かつ押しつけるように作動される。
【0023】
本発明による包装装置の作動について以下説明する。テンション装置を実線で示す位置にして包装材巻きロール20を、シャットル7の支持軸19に回転可能に装着する。図1から明らかなように、可動枠に取り付けられ、可動枠とともに移動するようになっているクランプ支持枠43が、軌道半部3の側に倒され、包装材巻きロール20からテンションローラ25、案内ローラ31を経て導かれる包装材をクランプ支持枠43にその下から引っ掛け、包装材の先端を、クランプ支持枠43に設けられた一対のクランプ44で保持する(図7参照)。クランプ支持枠43は、それに固定され、可動枠の軸受け54で支承された枢軸55を有し、該軸から延びるアーム56が、可動枠から枢動可能に支持されたアクチエータ57のプランジャー58に連結され、アクチエータ57のプランジャー58の伸長によりクランプ支持枠43を、枢軸55を中心に倒すことができ、またプランジャー58の引っ込みによりクランプ支持枠43を、枢軸55を中心に起き上がらせることができる。クランプ44は、それらの枢軸59によりクランプ支持枠43に取り付けられ、アクチエータ60の作動によりクランプ44を、包装材の保持又は開放のために枢軸59を中心に開閉させることができるようになっている。
【0024】
クランプ44による包装材の保持後クランプ支持枠43はその起き上がりにより軌道半部3の領域から遠ざかる(図1の状態)。包装されるべき鋼線や帯鋼などのコイル40が移動台41の一対の回転支持ローラ42に載せられて移動台の移動により軌道半部2内に運ばれ、軌道半部3を可動枠とともに、図1でみて左方向に移動させてその一部を、運ばれたコイルの中へ入り込ませ、固定枠に設けられた軌道半部2と結合させ、それによって環状楕円軌道4を形成する。可動枠の移動により軌道半部3の一部がコイルの中に入り込んだ状態では、シャットル7もコイルの中にある。アクチエータ39の作動によりテンションローラ25を巻きロール20に圧接させ、また回転支持ローラ42を時計まわりに回転させてコイル40を反時計まわりに転動させる。シャットル7をその駆動輪の回転により環状楕円軌道に沿ってコイルの内外に周回させ、それによって包装材がその巻きロール20からテンションローラ25を経て引き出され、コイルの内外をゲートル巻き、すなわち螺旋巻きする。シャトル7の環状楕円軌道に沿う周回中、モータ35の回転が、伝動装置36によってテンションブレーキ装置32の回転入力軸33に伝達され、テンションブレーキ装置の出力軸34の高トルクの回転が、伝動装置37によってテンションローラ25に逆回転として伝達されるから、テンションローラ25は、巻きロールから引き出される包装材21に回転抵抗を与え、そのことによって、包装材に一定の張力を付与する。シャットル7の周回中、包装材巻きロールとコイルへの巻き付け位置との距離が周期的に変動する。そのため、引き出される包装材が短い距離から長い距離に変化する過程では包装材の張力は一定に維持されるが、長い距離から短い距離に変化する箇所では、包装材に弛みが生じ、それにより包装材の張力が弱まる。すると、テンションブレーキ装置の回転トルクが減少し、それによりテンションローラ25の逆回転が加速して弛んだ包装材を巻きロールに巻き戻す。そのため、包装材には一定の張力が瞬時に回復されることになる。
【0025】
包装材がコイルに数回(例えば5回)巻かれる過程で、クランプ44が開かれて包装材の保持を開放する。開放された包装材の先端部分は、引き続く包装材の螺旋巻きによりそこに巻き込まれ、そのまま外部にはみ出すことはない。包装材による螺旋巻きの最終段階において、シャットル7は初期位置であるコイル内で停止する。同時に回転支持ローラ42の回転が停止してコイルの転動を停止させる。
【0026】
受板部材46と、熱接着部材47とを含む接着装置45が昇降可能な支持枠45aに装着されている(図1参照)。図8から明らかなように、接着装置45の受板部材46は、その両側端に取付板49を備え、支持枠45aから軸支された連結軸50が取付板49に固定して取り付けられ、また熱接着部材47は、下端が連結軸50に回転自在に取り付けられた支持アーム51を有し、かくして、受板部材46及び熱接着部材47は、それぞれ連結軸50を中心に倒れることができる。倒す動作は、支持枠45aに揺動可能に連結され、先端が取付板49に、また支持アーム51にそれぞれ回動可能に連結されたプランジャー52を有するアクチエータ53によって行われる。図8は、受板部材が倒され、熱接着部材が起き上がっている状態で示されているが、常態では、共に起き上がりの状態にあることを理解すべきである。
【0027】
コイルに対する支持枠45aの所定位置において、受板部材46が倒されて、巻かれた包装材の上に伏すようにする。次いでシャットル7を一回周回させて包装材21を受板部材の上から巻き付ける。クランプ支持枠43が倒され、クランプ44が開かれる。この状態において、シャットル7をもう一度一回周回させ、これにより引き出された包装材は、先に巻き付けられた受板上の包装材部分の上を通り越してクランプ支持枠43ないしクランプ44に掛けられ、クランプが閉じて包装材を保持する。受板部材上で重ね巻きになった包装材部分は、倒される熱接着部材47によって互いに熱接着される。コイルの外周面は、鋼線の場合にはでこぼこしておりそのままでは包装材部分同士を熱接着することは難しい。本発明では、受板部材を下敷きにして包装材部分に熱接着部材を当てるため、熱接着を確実に行うことができる。
【0028】
クランプ支持枠43に隣接して、可動枠に設けられた電熱切断装置48が倒されて、その切断バー62により、クランプ支持枠43に掛けられ、かつクランプ44で保持された包装材をぴんと張った状態で切断する。電熱切断装置48の熱切断バー62は、図7(a)及び7(b)に詳細に示すように、可動枠から枢軸63aにて枢動可能に支持された切断アーム63を備え、該切断アーム62は、可動枠から枢動可能に支持されたアクチエータ64のプランジャー65に連結され、アクチエータのプランジャー65の伸縮により熱切断バー62を、枢軸63aを中心に倒したり起き上がらせたりすることができる。
【0029】
包装材が切断されてから、可動枠の後退移動により軌道半部3をコイルの中から退出させ、その後、移動台を後退移動させる。移動台の後退移動により、コイルは運び出され、その過程で、受板部材46は熱接着された包装材から抜け出す。
【0030】
図10に示すように、包装材は、コイルに螺旋巻きされた状態では、非伸縮性包装帯材22の上にそれよりも幅広のストレッチフィルム23が位置するため、隣接した非伸縮性包装帯材間にストレッチフィルムが介在し、しかもストレッチフィルムが非伸縮性包装帯材を上からはみ出して押さえる。その結果、外部空気のコイルへの進入を防ぐばかりでなく、非伸縮性包装帯材の左右への滑りをも防止することができ、コイルに対してゲートル巻きによる確実な包装を確保することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 コイルの包装装置
2 軌道半部
3 軌道半部
4 環状楕円軌道
7 自走シャットル
10 側板
12 モータ
20 包装材の巻きロール
21 包装材
22 非伸縮性包装帯材
23 ストレッチフィルム
24 テンション装置
25 テンションローラ
26 作動軸
27 リンク
28 連結ロッド28
29 L形のブラケット
30 三角形のブラケット
31 取付板
32 テンションブレーキ装置
33 回転軸
34 出力軸
35 モータ
36 伝動装置
37 伝動装置
39 アクチエータ
43 クランプ支持枠
44 クランプ
45 接着装置
46 受板部材
47 熱接着部材47
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10