特許第6643078号(P6643078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6643078ガラス板の孔あけ方法及び太陽電池モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643078
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】ガラス板の孔あけ方法及び太陽電池モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C03B 33/04 20060101AFI20200130BHJP
   B23K 26/388 20140101ALI20200130BHJP
   H01L 31/0392 20060101ALI20200130BHJP
   B23K 26/00 20140101ALI20200130BHJP
【FI】
   C03B33/04
   B23K26/388
   H01L31/04 284
   B23K26/00 H
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-252207(P2015-252207)
(22)【出願日】2015年12月24日
(65)【公開番号】特開2017-114726(P2017-114726A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】513009668
【氏名又は名称】ソーラーフロンティア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】西島 好哉
【審査官】 和瀬田 芳正
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−517624(JP,A)
【文献】 特開2013−115233(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03B 33/02 − 33/04
B23K 26/00 − 26/70
H01L 31/0392
H01L 31/0445
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス板の孔形成予定部の外周にレーザを照射し、前記孔形成予定部の外周のガラスを除去して中子を取り除き、前記孔形成予定部に孔をあけるガラス板の孔あけ方法であって、
前記孔形成予定部の外周の所定位置へレーザを周状照射する第1ステップと、前記第1ステップで前記レーザを周状照射した位置に隣接又は一部重複する位置へ前記レーザを周状照射する第2ステップと、を繰り返して掘削溝を形成する掘削溝形成ステップを有し、
少なくとも前記中子が除去される直前の前記掘削溝形成ステップでは、前記第2ステップで前記レーザを周状照射する位置が、前記第1ステップで前記レーザを周状照射する位置の外側であり、
前記掘削溝の深さが、前記中子が除去される深さに至るまでは、前記第2ステップで前記レーザを周状照射する位置が、前記第1ステップで前記レーザを周状照射する位置の内側であることを特徴とする、ガラス板の孔あけ方法。
【請求項2】
前記孔形成予定部にあけた孔の断面形状が台形であって、前記台形の上辺に相当する側の内壁の角部に面取りを設けることを特徴とする、請求項に記載のガラス板の孔あけ方法。
【請求項3】
前記ガラス板の表面に光電変換部を形成する第1工程と、
請求項1又は2に記載のガラス板の孔あけ方法を用いて、前記ガラス板に孔をあける第2工程と、を有することを特徴とする、太陽電池モジュールの製造方法。
【請求項4】
前記第1工程と前記第2工程との間に、前記光電変換部に、前記ガラス板の表面を露出する開口部を形成する第3工程を有し、
前記第2工程では、前記開口部内に露出する前記ガラス板に、前記ガラス板の表面側から前記レーザを照射して前記孔をあけることを特徴とする、請求項に記載の太陽電池モジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板の孔あけ方法及び太陽電池モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガラス板に孔をあける方法として、レーザによる孔あけが知られている。レーザによる孔あけは、加工精度が高いことから様々な用途に適用されている。一例としては、ガラス板上に製膜された太陽電池において、発電した電気を取り出すための配線リボンを外部に引き出すために、ガラス板に孔をあけて、この孔に配線リボンを通して、発電した電気を外部に取り出す構造等が知られている。
【0003】
一般的に、ガラス板に孔をあける場合、孔形成予定部の外周外端にレーザを照射し、孔形成予定部の外周のガラスを除去して中子を取り除き、孔をあける。ここで、中子とは、レーザにより孔形成予定部の外周外端に掘削溝を形成したときに、掘削溝によってガラス板から切り離されたガラス片(掘削溝の内側に存在していたガラス板の片)である。
【0004】
図1を参照して、ガラス板に孔をあける具体的な方法について説明する。まず、図1(a)に示すように、ガラス板1において、孔形成予定部の外周外端にレーザLを周状に照射する。例えば、円形の孔をあける場合には、孔形成予定部の外周のガラスを掘削するにあたり、レーザLを円運動させる。そして、図1(b)に示すように、レーザLを周状照射する位置を、孔形成予定部の外周外端から内周側に向かって(矢印A方向に)移動させて、孔形成予定部の外周に所定幅の掘削溝を形成する。
【0005】
なお、ガラス板1の厚みにもよるが、レーザLの1回の照射でガラス板1の厚み方向全てを掘削できるわけではなく、レーザLの照射を同一箇所に複数回行い、図1(c)に示すように、徐々にガラス板1の厚み方向に掘削を進めていく。
【0006】
そして、最後に、図1(d)に示すように、自重による落下や外力によって、ガラス板1から中子2が除去されて、ガラス板1に孔3が形成される。
【0007】
ここで、図1においてレーザLを周状照射する位置を外周側から内周側に向かって移動させる理由は、レーザLによる熱を中子2の方向に誘導することにより、掘削効率を高めるためである。仮に、レーザLを周状照射する位置を内周側から外周側に向かって移動させると、レーザLによる熱は、孔形成予定部の外側に位置するガラス板1に伝わりやすくなり、掘削効率が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特表2015−516352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図1に示した孔あけ方法では、孔の外周にチッピングと呼ばれるガラスの欠けが発生する場合がある。
【0010】
すなわち、図1(c)に示したように、レーザLによる掘削の終期において、中子が掘削の途中で自重又は外力により除去されてしまう場合がある。このとき、掘削途中のため、ガラス板1の孔形成予定部の外周近辺と中子2が繋がった状態から除去されるため、中子2が除去された影響によって、図1(d)のB部のように、ガラス板1側にチッピング(ガラスの欠け)が生じる。
【0011】
このように、ガラス板にチッピングが生じた場合、製品となった後に、ガラスにヒビや割れが発生し不良品となってしまう。
【0012】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、孔周辺のガラス板へのチッピング発生を低減可能な、レーザによるガラス板の孔あけ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本ガラス板の孔あけ方法は、ガラス板の孔形成予定部の外周にレーザを照射し、孔形成予定部の外周のガラスを除去して中子を取り除き、孔形成予定部に孔をあけるガラス板の孔あけ方法であって、孔形成予定部の外周の所定位置へレーザを周状照射する第1ステップと、第1ステップでレーザを周状照射した位置に隣接又は一部重複する位置へレーザを周状照射する第2ステップと、を繰り返して掘削溝を形成する掘削溝形成ステップを有し、少なくとも中子が除去される直前の掘削溝形成ステップでは、第2ステップでレーザを周状照射する位置が、第1ステップでレーザを周状照射する位置の外側であり、掘削溝の深さが、中子が除去される深さに至るまでは、第2ステップでレーザを周状照射する位置が、第1ステップでレーザを周状照射する位置の内側であることを要件とする。

【発明の効果】
【0014】
開示の技術によれば、孔周辺のガラス板へのチッピング発生を低減可能な、レーザによるガラス板の孔あけ方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】従来のガラス板の孔あけ方法について説明する図である。
図2】第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法について説明する図(その1)である。
図3】第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法について説明する図(その2)である。
図4】第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法について説明する図(その3)である。
図5】第1の実施の形態の変形例に係るガラス板の孔あけ方法について説明する図である。
図6】第2の実施の形態に係る太陽電池モジュールを例示する平面図である。
図7】太陽電池モジュールのガラス板に孔をあける第1の方法を説明する図である。
図8】太陽電池モジュールのガラス板に孔をあける第2の方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。なお、各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
【0017】
〈第1の実施の形態〉
図2図4は、第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法について説明する図であり、図2(b)は平面図、その他は断面図である。
【0018】
第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法では、孔形成予定部(最終的に孔が形成される部分)の外周の所定位置へレーザを周状照射する第1ステップと、第1ステップでレーザを周状照射した位置に隣接又は一部重複する位置へレーザを周状照射する第2ステップと、を繰り返して掘削溝を形成する(掘削溝形成ステップ)。最終的に、孔形成予定部の外周のガラスが除去され、中子が取り除かれて孔が形成される。
【0019】
ここで、周状照射とは、例えば、円形の孔を形成する場合には、レーザLを所定の直径の円周に沿って1周照射することである。円形以外の孔を形成する場合には、レーザLを孔の形状に沿って1周照射することである。但し、ここでいう周状とは、大よそ周状であればよく、例えば、照射の開始位置と1周して戻ってきた照射位置とは完全に一致していなくてもよい。又、周状照射は、一筆書きのように連続的に1周照射してもよいし、複数回に分けて1周照射してもよい。又、第1ステップと第2ステップとを連続的に繰り返して渦状に一筆でレーザLを照射し、掘削溝形成ステップを行ってもよい。
【0020】
又、レーザLを周状照射した位置とは、レーザLを周状照射した場合の軌跡である。例えば、図2(a)及び図2(b)に示すP、P、及びPが、夫々レーザLを周状照射した位置となる。連続してレーザLを周状照射する位置は、互いに隣接してもよいし一部重複してもよい。例えば、図2(a)及び図2(b)に示すPとPが互いに隣接してもよいし、一部重複してもよい。PとPについても同様である。
【0021】
本実施の形態では、図2(a)及び図2(b)に示すように、少なくとも中子が除去される直前の掘削溝形成ステップ(掘削溝形成ステップの終期)では、第2ステップでレーザLを周状照射する位置が、第1ステップでレーザLを周状照射する位置の外側となるようにする。つまり、レーザLを周状照射する位置を掘削溝の内周側から外周側に向かって(矢印C方向に)移動させて(走査して)掘削を行う。
【0022】
例えば、円形の孔を形成する場合には、図2(a)及び図2(b)のP→P→Pのように、レーザLを周状照射する位置を、半径を徐々に大きくしながら、掘削溝の内周側から外周側に向かって(矢印C方向に)移動させる。レーザLをP、P、及びPのような同心円状の位置に順次照射するのではなく、渦状に一筆で照射してもよい。
【0023】
レーザLを周状照射する位置を掘削溝の内周側から外周側に向かって移動させることにより、図3(a)に示すように、中子が取れる直前の掘削溝の底部(掘削されていない箇所)において、内側の厚みが外側の厚みに比べて薄くなる。そのため、図3(b)に示すように、掘削溝の内側に亀裂が生じて中子2が取れて孔3が形成され、チッピングはガラス板1側ではなく、中子2側(例えば、D部)に発生する。
【0024】
このように、第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法では、チッピングを中子2側(例えば、D部)に発生させることで、ガラス板1側へのチッピングの発生を抑制することが可能となる。
【0025】
なお、図3(b)において、中子2が取れた直後において、ガラス板1の端部(掘削溝の底部外周側)には、チッピングが発生しない代わりに、ガラスが残った状態になる場合がある(例えば、E部)。しかし、この場合には、レーザLを周状照射する位置を内周側から外周側に向かって移動させることで、E部等に残ったガラスをレーザで除去可能であるため、問題とはならない。
【0026】
掘削溝形成ステップにおいて、掘削溝の深さが、中子2が除去される深さに至るまでは(掘削溝形成ステップの初期及び中期では)、第2ステップでレーザを周状照射する位置と、第1ステップでレーザを周状照射する位置との関係は任意である。つまり、レーザLを周状照射する位置を、内周側から外周側に向かって移動させてもよいし、外周側から内周側に向かって移動させてもよい。
【0027】
しかし、図4(a)に示すように、掘削溝形成ステップにおいて、掘削溝の深さが、中子2が除去される深さに至るまでは(掘削溝形成ステップの初期及び中期では)、言い換えるならば、中子2が除去されることがない深さにおいては、第2ステップでレーザLを周状照射する位置が、第1ステップでレーザLを周状照射する位置の内側であることが好ましい。
【0028】
つまり、図4(a)のP→P→Pのように、レーザLを周状照射する位置を、半径を徐々に小さくしながら、掘削溝の外周側から内周側に向かって(矢印A方向に)移動させることが好ましい。その理由としては、レーザLを周状照射する位置を外周側から内周側に向かって移動させることにより、レーザLによるガラス板1への熱が、中子に向かって伝わりやすくなるからである。これにより、中子側に熱が溜まりやすくなり、掘削効率が向上する。
【0029】
この場合、図4(b)に示すように、少なくとも中子が除去される直前の掘削溝形成ステップでは、第2ステップでレーザLを周状照射する位置が、第1ステップでレーザLを周状照射する位置の外側となるようにする。つまり、図4(b)のP→P→Pのように、レーザLを周状照射する位置を、半径を徐々に大きくしながら、掘削溝の内周側から外周側に向かって(矢印C方向に)移動させる。これにより、図3(b)の場合と同様に、チッピングはガラス板1側ではなく中子側に発生するため、ガラス板1側へのチッピングの発生を抑制することが可能となる。
【0030】
なお、図2図4では、ガラス板1にあける孔が円形の場合を例にして説明したが、これに限定されず、ガラス板1にあける孔は楕円でもよいし、三角形や四角形等の多角形でもよい。
【0031】
又、ガラス板1の孔の断面形状についても、図2図4では掘削溝をガラス板1の表面に対して垂直に形成した場合を例にして説明したが、図5(a)及び図5(b)に示すように、孔3の断面形状が台形(孔が台形錘)であってもよい。
【0032】
又、図5(a)に示すように、掘削溝形成の際に生じるガラス粉を除去するために、エアーブローFを外部から吹き付けてもよい。このとき、エアーブローFの風圧によって、中子を除去してもよい。
【0033】
又、孔の断面形状が台形(孔が台形錘)である場合には、孔の内壁の下部(台形の上辺に相当する側の内壁の角部)が鋭角になって欠けやすいため、図5(b)に示すように、孔3の内壁の下部に環状の面取り部4を設けると、欠けを防止できて好適である。面取り部4は、例えば、レーザやブラスト処理等によって形成することができる。
【0034】
第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法によって孔をあけることが可能なガラス板としては、例えば、青板ガラス、高歪点ガラス、白板強化ガラス、無アルカリガラス等を挙げることができるが、これには限定されない。
【0035】
又、第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法によって孔をあけることが可能なガラス板の厚さとしては、例えば、1.0mm〜5.0mm程度を挙げることができるが、これには限定されない。
【0036】
又、第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法に用いるレーザの種類としては、固体レーザ、ファイバーレーザ、半導体レーザ等を挙げることができるが、これには限定されない。又、第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法に用いるレーザは、パルスレーザであっても連続発振のレーザであってもよい。
【0037】
又、第1の実施の形態に係るガラス板の孔あけ方法に用いるレーザの波長としては、例えば、SHG(Second Harmonic Generation)やUV(Ultraviolet)を挙げることができるが、これには限定されない。
【0038】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、ガラス板に光電変換部が形成された太陽電池モジュールにおいて、ガラス板に孔をあける例を示す。なお、第2の実施の形態において、既に説明した実施の形態と同一構成部についての説明は省略する場合がある。
【0039】
図6は、第2の実施の形態に係る太陽電池モジュールを例示する平面図である。又、図7及び図8は、太陽電池モジュールのガラス板に孔をあける方法を説明する図である。なお、太陽電池モジュールを構成するガラス板に孔をあける工程は、太陽電池モジュールの製造方法における1つの工程である。
【0040】
図6図8を参照するに、太陽電池モジュール10は、ガラス板11上に光電変換部12が形成されたサブストレート構造の太陽電池モジュールである。光電変換部12は、第1の電極121、光電変換層122及び第2の電極123が、ガラス板11側から順に積層された構造とされている。
【0041】
第1の電極121及び第2の電極123には、発電した電気を取り出すための配線13が接続されている。ガラス板11の外縁部の所定領域には、配線13を外部に引き出すための孔20が設けられており、孔20に配線13を通して、発電した電気を外部に取り出す構造とされている。配線13は、例えば、銅箔等の金属箔から形成されたリボンである。
【0042】
光電変換部12が形成されたガラス板11に孔20をあけるには、大きく分けて2つの方法がある。第1の方法は、ガラス板11の光電変換部12が形成された側からレーザを照射する方法である。第2の方法は、ガラス板11の光電変換部12が形成された側とは反対側(裏面側)からレーザを照射する方法である。
【0043】
図7は、第1の方法を具体的に示している。第1の方法では、まず、図7(a)に示す工程では、周知の方法により、ガラス板11の表面に光電変換部12を形成する。
【0044】
次に、図7(b)に示す工程では、孔20をあける箇所(孔形成予定部)よりも広い領域の光電変換部12を除去して、光電変換部12にガラス板11の表面を露出する開口部12xを形成する。
【0045】
例えば、孔20が円形である場合には、孔20よりも直径の大きい円形の開口部12xを形成する。開口部12xは、例えば、レーザ照射等の光学的な方法や、サンドブラスト等の機械的な方法により形成することができる。
【0046】
次に、図7(c)に示す工程では、第1の実施の形態で説明したガラス板の孔あけ方法により、開口部12x内に露出するガラス板11に、ガラス板11の表面側からレーザLを照射して孔をあける。この際、少なくとも中子が除去される直前の掘削溝形成ステップでは、第2ステップでレーザLを周状照射する位置が、第1ステップでレーザLを周状照射する位置の外側となるようにする。つまり、レーザLを周状照射する位置を掘削溝の内周側から外周側に向かって(矢印C方向に)移動させる。これにより、図3(b)の場合と同様に、チッピングはガラス板11側ではなく中子側に発生するため、ガラス板11側へのチッピングの発生を抑制することが可能となる。
【0047】
図8は、第2の方法を具体的に示している。第2の方法では、まず、図8(a)に示す工程では、周知の方法により、ガラス板11の表面に光電変換部12を形成する。そして、ガラス板11を上側に向けて配置する。
【0048】
次に、図8(b)に工程では、第1の実施の形態で説明したガラス板の孔あけ方法により、ガラス板11に裏面側からレーザLを照射して孔をあける。この際、少なくとも中子が除去される直前の掘削溝形成ステップでは、第2ステップでレーザLを周状照射する位置が、第1ステップでレーザLを周状照射する位置の外側となるようにする。つまり、レーザLを周状照射する位置を掘削溝の内周側から外周側に向かって(矢印C方向に)移動させる。これにより、図3(b)の場合と同様に、チッピングはガラス板11側ではなく中子側に発生するため、ガラス板11側へのチッピングの発生を抑制することが可能となる。
【0049】
なお、第2の方法では、ガラス板11の裏面側からレーザLを照射してガラス板11に孔をあけることができるため、図7(b)で説明したように光電変換部12をガラス板11から予め除去する必要はない。
【0050】
以上、好ましい実施の形態等について詳説したが、上述した実施の形態等に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態等に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0051】
例えば、本発明は、ガラス板を用いたスーパーストレート構造の太陽電池モジュールにおいて、ガラス板に孔をあける場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1 ガラス板
2 中子
3、20 孔
4 面取り部
10 太陽電池モジュール
11 ガラス板
12 光電変換部
12x 開口部
13 配線
121 第1の電極
122 光電変換層
123 第2の電極
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8