(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1固定部は、前記複数のコイルのいずれか1つ以上のコイルから前記一方のコア端部の方向にコイル端部を引き出し得る切欠部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のトランス。
前記放熱器は、前記プレート部において、前記複数のコイルのうち隣接する2つのコイルの間に形成される隙間に沿ってこれらのコイルの巻回軸方向に延びる所定範囲内に、貫通孔を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のトランス。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このようなトランスのコア上部に設けられる放熱器は、放熱に必要な面積を確保する必要上、典型的には、当該トランスの高さ方向(コイルの巻回軸方向)や幅方向(コイルの巻回径方向)に拡大する構成を採ることが多い。例えば、プレート状の放熱板の場合には、コアの上方に向けて立ち上がるように拡張したり、コイルの巻回径方向に張り出すように拡張したりする。
【0008】
すると、このような放熱器を備えたトランスは、放熱器の拡大に伴ってその体格が大型になってしまう場合がある。その場合、例えば、トランスを設置するスペースについて、当該トランスを搭載する装置側の仕様等に起因する制限があると、放熱器がトランスの搭載の妨げになることがある。
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、放熱器を備えていても体格の大型化を抑制し得るトランスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲の請求項1に記載された本発明のトランスは、複数の脚部を有するコアと、前記複数の脚部に巻回される複数のコイルと、前記複数の脚部の並び方向に拡がるとともに前記複数のコイルの巻回径方向で同方向の側方を覆うプレート部、このプレート部の
前記複数のコイルの巻回軸方向の一端側から延びて前記複数の脚部の一方のコア端部に固定される第1固定部および前記プレート部の
前記巻回軸方向の他端側から延びて前記複数の脚部の他方のコア端部に固定される第2固定部を有する放熱器と、を備え、前記プレート部には、通電中において発熱する回路部品が取り付けられることを技術的特徴とする。
【0011】
通電中において発熱する回路部品が取り付けられる放熱器は、プレート部、第1固定部および第2固定部を有する。プレート部は、複数の脚部の並び方向に拡がるとともに複数のコイルの巻回径方向で同方向の側方を覆う。また、第1固定部は、プレート部の
複数のコイルの巻回軸方向の一端側から延びて複数の脚部の一方のコア端部に固定され、第2固定部は、プレート部の
複数のコイルの巻回軸方向の他端側から延びて複数の脚部の他方のコア端部に固定される。つまり、放熱器は、一方のコア端部から他方のコア端部に亘って複数の脚部の並び方向に拡がるプレート部が複数のコイルの側方を覆うようにコアに固定される。これにより、放熱器は、例えば、コアの上方に向けて立ち上がるように拡張したり、コイルの巻回径方向に張り出すように拡張したりすることなく、その面積を確保することが可能になる。
【0012】
また、特許請求の範囲の請求項2に記載された本発明のトランスは、請求項1に記載のトランスにおいて、前記放熱器は、前記プレート部において、前記複数のコイルのうち隣接する2つのコイルの間に形成される隙間
空間に沿ってこれらのコイルの巻回軸方向に延びる所定範囲内に、前記複数のコイルの側方に向けてその一部が
前記隙間空間に収まるように突出する軸部材が取り付けられることを技術的特徴とする。軸部材の典型例は、ボルト、シャフト等のような棒状部品であるが、当該軸部材の概念には、これらの棒状部品を中心に同心状に構成される柱状の部品およびこれらの棒状部品の軸方向に延設される長尺状の部品も含む。
【0013】
放熱器から突出する軸部材は、プレート部の所定範囲内に取り付けられる。この所定範囲は、複数のコイルのうち隣接する2つのコイル
の間
に形成される隙間
空間に沿ってこれらのコイルの巻回軸方向に延びる範囲である。これにより、このような軸部材を放熱器に取り付けても、軸部材の一部が、隣接する2つのコイルの間の隙間
空間に収まるようにこれらのコイルの側方に向けて突出する。そのため、放熱器(のプレート部)から突出する軸部材の突出量が当該隙間
空間に収まるぶんだけ小さくなるので、当該トランスの高さ方向(コイルの巻回軸方向)や幅方向(コイルの巻回径方向)の体格(寸法)を小さくすることが可能になる。
【0014】
さらに、特許請求の範囲の請求項3に記載された本発明のトランスは、請求項1または2に記載のトランスにおいて、前記第1固定部は、前記複数のコイルのいずれか1つ以上のコイルから前記一方のコア端部の方向にコイル端部を引き出し得る切欠部を有することを技術的特徴とする。
【0015】
放熱器の第1固定部は、複数のコイルのいずれか1つ以上のコイルから一方のコア端部の方向にコイル端部を引き出し得る切欠部を有する。換言すると、これらのコイルからコイル端部を引き出す範囲を避けて第1固定部を設ける。これにより、放熱器の第1固定部と干渉することなく、これらのコイルから一方のコア端部の方向にコイル端部を引き出すことが可能になるため、当該トランスがこのような放熱器を備える構成を採ってもコイル端部の引き出しの障害になり難い。
【0016】
また、特許請求の範囲の請求項4に記載された本発明のトランスは、請求項1〜3のいずれか一項に記載のトランスにおいて、前記回路部品は、前記複数のコイルのうちの少なくとも1つのコイルに電気的に接続されており、前記回路部品に接続されるコイル端部は、前記1つのコイルの巻回方向に沿って引き出され、前記複数の脚部の並び方向の前記プレート部の側方から前記回路部品に接続されることを技術的特徴とする。
【0017】
回路部品に接続されるコイル端部は、1つのコイルの巻回方向に沿って引き出され、複数の脚部の並び方向のプレート部の側方から回路部品に近づく。これにより、コイル端部を一方(または他方)のコア端部の方向から引き出してコイルの軸方向に向けて回路部品に近づける場合に比べて、例えば、U字形状等の無理な折り曲げ加工をコイル線材に施すことなく、コイル端部を回路部品に接続することが可能になる。
【0018】
また、特許請求の範囲の請求項5に記載された本発明のトランスは、請求項1〜4のいずれか一項に記載のトランスにおいて、前記放熱器は、前記プレート部において、前記複数のコイルのうち隣接する2つのコイルの間に形成される隙間に沿ってこれらのコイルの巻回軸方向に延びる所定範囲内に、貫通孔を備えることを技術的特徴とする。
【0019】
放熱器は、プレート部の所定範囲内に貫通孔を備える。この所定範囲は、複数のコイルのうち隣接する2つのコイルの間に形成される隙間に沿ってこれらのコイルの巻回軸方向に延びる範囲である。これにより、1つのコイルの巻回方向に沿って引き出されるコイル端部をこの貫通孔を通して回路部品に近づけることが可能になり、最短距離で回路部品にコイル端部を接続することができる。また、このような貫通孔を通して、隣接する2つのコイルの間に空気を流通させることが可能になるので、これらのコイルの空気による冷却効率を高めることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のトランスでは、放熱器は、当該トランスの高さ方向(コイルの巻回軸方向)や幅方向(コイルの巻回径方向)に拡大する構成を採ることなく、放熱器の面積を確保することが可能になる。したがって、放熱器を備えていても、トランスの体格の大型化を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明のトランスをスコットトランスに適用した実施形態について図を参照して説明する。まず、本実施形態に係るスコットトランス10の構成を
図1〜
図8に基づいて説明する。
図1〜
図5には、スコットトランス10の構成例を示す斜視図(
図1)、正面図(
図2)、背面図(
図3)、平面図(
図4)、左側面図(
図5(A))、右側面図(
図5(B))、がそれぞれ図示されている。また、
図7にはスコットトランス10の結線例を示す回路図が図示されている。
図8には、
図2に示すVIII−VIII線により切断した状態を模式的に表した断面図が図示されている。
【0023】
なお、以下、
図6,
図7を除く各図に表されている座標系において、X軸方向のことを「スコットトランス10の短手方向」といい、Y軸方向のことを「スコットトランス10の長手方向」といい、Z軸方向のことを「スコットトランス10の高さ方向」という。また、X軸の負方向のことを「正面方向」といい、X軸の正方向のことを「背面方向」という。さらに、Y軸の負方向のことを「右側」といい、Y軸の正方向のことを「左側」という。さらに、Z軸の正方向のことを「上側」または「上方」といい、Z軸の負方向のことを「下側」または「下方」という。
【0024】
図1に示すように、スコットトランス10は、主に、コア11、複数のコイル14〜17、ヒートシンク40、ダイオードモジュール31,32等により構成されている。スコットトランス10は、三相交流を2つの単相交流に変換可能に複数のコイル14〜17がスコット結線された変圧器である。そのため、コア11には、主座の1次側のコイル14、主座の2次側のコイル15、T座の1次側のコイル16およびT座の2次側のコイル17が巻回されている。主座は「M座」と呼ばれることもある。以下、コイル14〜17の個々のコイルを特に区別して説明する場合には、前記のように「主座1次コイル14」や「T座1次コイル16」等と表現することがあるので注意されたい。
【0025】
具体的には、例えば、
図7に示すように、主座1次コイル14は三相交流のU−W相間に接続されており、主座1次コイル14の中点とV相の間にT座1次コイル16が接続されている。また、主座2次コイル15は、主座1次コイル14の巻回層の上に巻回され、T座2次コイル17は、T座1次コイル16の巻回層の上に巻回されている。以下、主座1次コイル14と主座2次コイル15をまとめて「コイル14等」という。また、T座1次コイル16とT座2次コイル17をまとめて「コイル16等」という。コイル14等とコイル16等は、コア11のレグ部に巻回されている。
【0026】
コア11は、本実施形態では、漢字の「日」の字形状を有する鉄心部である。例えば、3本の角柱形状のレグ部11a,11b,11cを有するE型鉄心と、これらのレグ部11a〜11cの開放側端(先端)を閉じ得る角柱形状のI型鉄心と、を組み合わせることによりコア11を構成している(
図8参照)。そのため、コア11は、「EIコア」と呼ばれることもある。コア11は、例えば、E字形状の電磁鋼板とI字形状の電磁鋼板とを数枚ごとにE字形状が逆向きになるように交互に向きを変えて積層されており、締結金具51〜54により積層方向に加圧されている。なお、コア11として、2つのE型鉄心を組み合わせるEEコアを用いてもよい。
【0027】
即ち、コア11は、その上端部11dがボルト55のねじ締結により加圧される長板状の締結金具51,52によって挟持されている。締結金具51には、ボルト55が螺合可能なねじ孔が形成されている。また、コア11の下端部11eは、ボルト57とナット58のねじ締結により加圧されるLアングル状の締結金具53,54によって挟持されている。これにより、コア11には積層方向に圧縮荷重が作用する。なお、本実施形態では、これらの締結金具51〜54には、図示しないが、当該スコットトランス10を搭載する装置に取付固定する場合に用いられるボルト用の取付穴や取付溝が形成されている。なお、締結金具51には、正面方向に突出する2本のボルト48が固定されており、ヒートシンク40は、これらのボルト48によってコア11の上端部11dに取り付けられる。
【0028】
このように構成されるコア11は、その3本のレグ部11a〜11cのうち、外側に位置するレグ部(主座脚部)11bにコイルボビン12を介して主座のコイル14等が巻回されており、またその反対の外側に位置するレグ部(T座脚部)11cにコイルボビン13を介してT座のコイル16等が巻回されている(
図8参照)。なお、内側に位置するレグ部(共通脚部)11aには、本実施形態ではコイルは巻回されていない。
【0029】
コイルボビン12,13は、耐熱樹脂からなる成形部品であり、角柱形状のレグ部11b,11cを挿通可能な角筒部12a,13aとこの角筒部の両端に形成される鍔部12b,13bとにより構成されている(
図8参照)。コイルボビン12,13は、例えば、その軸方向に二分割したコ字形状の2つの部品により構成されている。本実施形態では、コイルボビン12,13に巻回されているコイル14等,16等は、絶縁ワニス等が塗布された絶縁紙18,19に覆われている。なお、
図1〜
図5および
図9においては、図面表現上の便宜から、絶縁紙18,19の部分およびコイル14〜17の巻線のうちコイルボビン12,13の鍔部12b,13bに隠れていない部分については灰色に着色していることに注意されたい。
【0030】
このように本実施形態では、コイル14等,16等は、コイルボビン12,13の角筒部12a,13aにそれぞれ巻回される。そのため、
図8に示すように、コイルボビン12に巻回されたコイル14等やコイルボビン13に巻回されたコイル16等は、XY平面による断面形状(コイルの径方向断面形状)がいずれも丸角部を有する矩形状になる。したがって、コイル14等,16等は、いずれも巻回径方向に向く4つの側面を有する。これら4つの側面のうち、スコットトランス10の正面方向(X軸の負方向)に向くものをコイル側面αといい、隣り合うコイル14等とコイル16等同士で対向するものをコイル側面βという(
図8参照)。
【0031】
ヒートシンク40は、放熱プレート41とこれに固定されるボルト45,46とにより構成されている。ヒートシンク40は、通電中に発熱し得るダイオードモジュール31,32を放熱する冷却器であり、本実施形態ではコイル14等,16等のコイル側面αを覆うようにコア11に取り付けられている。放熱プレート41は、平坦部41a、上側フランジ部41bおよび下側フランジ部41cにより構成されており、例えば、アルミニウム板を曲げ加工等して形成される。ヒートシンク40は、その構成が
図6に図示されているので、ここからは、主に
図6を参照しながら説明する。
【0032】
放熱プレート41の平坦部41aは、レグ11a〜11cの並び方向、即ちスコットトランス10の長手方向および高さ方向(YZ平面)に拡がるとともにコイル14等,16等のコイル側面αを覆う平らなプレートである。本実施形態では、平坦部41aは、コイル14等,16等の正面方向を向くコイル側面αのほぼ全面を覆い得る広さに設定されている(
図1,2参照)。この平坦部41aには、ダイオードモジュール31,32を当該平坦部41aの両側付近に取り付けるためのボルト45,46がスコットトランス10の高さ方向に2本ずつ正面方向に突出するように固定されている。
【0033】
平坦部41aの長手方向(Y軸方向)の中央(またはほぼ中央)には、後述するように、正面方向に突出する端子台21,22がスコットトランス10の高さ方向に並べられて取り付けられる。そのため、平坦部41aの同中央には、上方から下方に向けて、丸孔43aが2箇所に形成されている。なお、端子台21,22が取り付けられる範囲は、隣接する2つのコイル14等とコイル16等の間に形成される隙間Sに沿ってこれらのコイル14等,16等の巻回軸方向に延びる所定範囲である(
図2,8参照)。
【0034】
平坦部41aには、このような所定範囲の両側においても、上方から下方に向けて長く延びる長孔42a,42bがそれぞれ形成されている。これらの長孔42a,42bは、放熱プレート41(ヒートシンク40)をコア11に取り付けた状態において正面からスコットトランス10を見た場合に、当該長孔42a,42bを通してコイル14〜17の丸角部(コイル側面αよりレグ部11a側に位置する丸角部)またはレグ部11aが見える位置に形成されている。なお、長孔42a,42bに代えて、長孔42a,42bの長手方向に線条に並ぶ複数の丸孔(長孔の短径とほぼ同径)を形成しても良い。
【0035】
上側フランジ部41bは、平坦部41aの上側(一端側)から背面方向に向けて折れ曲がるとともに再び上方に向けて立ち上がるLアングル状に形成されるフランジである。この上側フランジ部41bは、平坦部41aの上側全体から延びるのではなく、前述した所定範囲を含む平坦部41aの中央部分だけについてLアングル状に上側フランジ部41bが形成される。これにより、上側フランジ部41bと干渉することなく、コイルボビン12に巻回されるコイル14等から主座2次コイル15の一端部15aを上方に引き出したり、コイルボビン13に巻回されるコイル16等からT座2次コイル17の一端部17aを上方に引き出したりすることが可能になる。
【0036】
即ち、コイル14等,16等からコイルの一端部15a,17aを引き出す範囲を避けて上側フランジ部41bの両側(切欠部41b’)を切り欠くように、平坦部41aから上側フランジ部41bが形成される。上側フランジ部41bには、後述するように、上方に向けて突出するように端子台23,24がスコットトランス10の長手方向の所定範囲(隣接する2つのコイル14等とコイル16等の間に形成される隙間S)に並べられて取り付けられる。そのため、上側フランジ部41bには、長手方向に丸孔43bが2箇所に形成されている。また、上側フランジ部41bには、締結金具51から突出する2本のボルト48が挿通可能な丸孔44aが2箇所に形成されている。これにより、ボルト48とそのナットのねじ締結によって、放熱プレート41の上端(上側フランジ部41b)をコア11の上端部11dに固定することが可能になる。なお、上側フランジ部41bと締結金具51の間における電気的な絶縁を確保するため、これらの間に絶縁紙等の絶縁プレートを介在させても良い。これにより、放熱プレート41(ヒートシンク40)を通る漏れ磁束についても抑制することが可能になる。
【0037】
下側フランジ部41cは、平坦部41aの下側(他端側)から背面方向に向けて折れ曲がるとともに再び下方に向けて立ち下がるLアングル状に形成されるフランジである。この下側フランジ部41cは、上側フランジ部41bと異なって平坦部41aの下側全体から延びるように形成される。下側フランジ部41cには、前述した締結金具53,54をねじ締結するボルト57を挿通可能な丸孔43cが形成されている。これにより、ボルト57とナット58のねじ締結によって下側フランジ部41cを締結金具53,54と一緒に共締めすることで、放熱プレート41の下端をコア11の下端部11eに固定することが可能になる。なお、下側フランジ部41cと締結金具53の間における電気的な絶縁を確保するため、これらの間においても絶縁紙等の絶縁プレートを介在させても良い。これにより、放熱プレート41(ヒートシンク40)を通る漏れ磁束も、さらに抑制することが可能になる。
【0038】
ダイオードモジュール31は、直列に接続された2素子分のダイオード31a,31bを樹脂モールドでパッケージした半導体モジュールである(
図7参照)。ダイオードモジュール31の外形は、両端にボルト45,46を挿通可能な丸孔を有する角柱形状を呈している。そして、その表面には、一端側から他端側に向けて、回路配線を接続する端子として、中点(ダイオード31aのアノードとダイオード31bのカソードの接続点)端子、ダイオード31aのカソード端子、ダイオード31bのアノード端子の順番に並んで設けられている。また、ダイオードモジュール31の裏面には、図略のヒートスプレッダが樹脂から露出するように設けられている。ダイオードモジュール32についても、ダイオードモジュール31と同様に構成されている。本実施形態では、ダイオードモジュール31は、ボルト45とそのナットにより放熱プレート41の右側に取り付けられ、ダイオードモジュール32はボルト46とそのナットにより左側に取り付けられる。
【0039】
ダイオードモジュール31,32には、接続コード27等が接続されている。本実施形態では、ダイオードモジュール31の中点端子に主座2次コイル15の他端部15b、また同カソード端子に接続コード27の一端側、さらに同アノード端子に接続コード29の一端側、がそれぞれ接続されている。同様に、ダイオードモジュール32の中点端子にT座2次コイル17の他端部17b、また同カソード端子に接続コード28の一端側、さらに同アノード端子に接続コード29の他端側、がそれぞれ接続されている。接続コード27と接続コード28のそれぞれの他端側は、いずれも端子台22に接続されている。この端子台22には、電流ヒューズ33の一端側が接続されており、電流ヒューズ33の他端側は端子台21に接続されている。端子台21は、主に、樹脂性のスリーブ21a、ボルト21b、ナット21cにより構成されている(
図4,5参照)。スリーブ21aには、端子台21が取り付けられる放熱プレート41から、ボルト21bおよびナット21cを電気的な絶縁を確保する役割がある。端子台22やこれから説明する端子台23,24も、端子台21と同様に構成されている(
図2参照)。
【0040】
なお、T座2次コイル17の他端部17bは、放熱プレート41の平坦部41aに形成される長孔42aを通ってダイオードモジュール32に接続されている。そのため、このような長孔42aが形成されていない場合には、例えば、他端部17bを上方に立ち上げた後、平坦部41aの上端部を跨いでから下方に立ち下げるように他端部17bを引き回す必要があることから、ダイオードモジュール32に到達するまでの距離が長くなる。それに比べて、他端部17bが長孔42aを通る構成を採ることにより、短い距離でダイオードモジュール32に到達することが可能になる。つまり、最短距離でダイオードモジュール32にT座2次コイル17の他端部17bを接続することができる。また、主座2次コイル15の他端部15bは、その巻回方向に沿って引き出されて、放熱プレート41の平坦部41aの右側端からダイオードモジュール31に近づいてダイオードモジュール31に接続されている。そのため、他端部15bを巻回方向に沿って引き出すことなくコア11の上端部方向から引き出した場合に比べて、例えば、U字形状等の無理な折り曲げ加工をコイル線材に施したり、接続コードを用いたりせずに他端部15bをダイオードモジュール31に接続することができる。
【0041】
図7に示す回路図から解るように、電流ヒューズ33が接続されている端子台21は、プラス側の出力端子(+)になる。主座2次コイル15の一端部15aは、接続コード25を介して端子台23に接続されている。この端子台23は、主座の中点電位が出力される中点端子(M)になる。これに対して、T座2次コイル17の一端部17aは、接続コード26を介して端子台24に接続されている。この端子台24は、T座の中点電位が出力される中点端子(T)になる。マイナス側の出力端子(−)は、ダイオードモジュール31のアノード端子にあたる。
【0042】
主座1次コイル14およびT座1次コイル16には、端子37〜39が接続されており、これらを介して三相交流電力(U相、V相、W相)が入力される。即ち、
図4に示すように、主座1次コイル14の一端部14aに接続される端子37にU相、また主座1次コイル14の他端部14bに接続される端子39にW相、T座1次コイル16の他端部16bに接続される端子38にV相、がそれぞれ接続されて、三相交流電力が入力される。なお、本実施形態では、主座2次コイル15の一端部15aと接続コード25との接続部が絶縁カバー35により覆われており、またT座2次コイル17の一端部17aと接続コード26との接続部が絶縁カバー36により覆われている。そのため、これらの接続部については図示されていない。また、主座1次コイル14の中点とT座1次コイル16の一端部とを接続する配線については、
図7の回路図には表されているが、その他の図においては図示されていないことに注意されたい。
【0043】
このようにコイル14等,16等、ダイオードモジュール31,32や電流ヒューズ33等が配線されるスコットトランス10では、例えば、その一方の出力側(出力端子(+)、中点端子(M)、出力端子(−))が図略の第1インバータ回路の入力側に接続され、また他方の出力側(出力端子(+)、中点端子(T)、出力端子(−))が図略の第2インバータ回路の入力側に接続される。
【0044】
スコットトランス10の主座1次コイル14やT座1次コイル16に三相交流電圧が入力されると、主座2次コイル15やT座2次コイル17からダイオードモジュール31,32を介して単相交流電圧が出力される。このときダイオードモジュール31,32のダイオード31a,31bやダイオード32a,32bは、所定周期ごとに通電状態になり、流れる電流によっては発熱量が大きくなる。そのため、本実施形態では、ダイオードモジュール31,32の発熱をヒートシンク40の放熱プレート41により放熱する。放熱プレート41は、前述したように、その平坦部41aが、スコットトランス10の長手方向および高さ方向(YZ平面)に拡がるとともにコイル14等,16等のコイル側面αを覆う。これにより、放熱プレート41は、ダイオードモジュール31,32を取り付けるスペースとその放熱に必要な面積を平坦部41aにより確保することが可能になる。
【0045】
また、放熱プレート41の平坦部41aには、正面からスコットトランス10を見た場合にコイル14等,16等の丸角部またはレグ部11aが見える位置に長孔42a,42bを形成している。即ち、長孔42a,42bは、隣接する2つのコイル14等とコイル16等の間に形成される隙間Sに沿ってこれらのコイル14等,16等の巻回軸方向に延びる平坦部41aの範囲(所定範囲)に形成される。これにより、これらの長孔42a,42bを通して、コイル14等とコイル16等の間やこれらのコイル側面βとコア11のレグ部11aとの間に強制空冷等による送風(空気)を通すことが可能になる。例えば、
図8に示す矢印付き破線のように、正面から背面に向けて長孔42a,42bを介して空気が通る。そのため、これらのコイル14等,16等をこのように流通する空気により冷却することができ、コイル14等,16等の冷却効率を高めることができる。
【0046】
さらに、隣接する2つのコイル14等とコイル16等の間に形成される隙間Sに沿ってこれらのコイル14等,16等の巻回軸方向に延びる平坦部41aの範囲(所定範囲)に端子台21,22等の軸部品(軸部材)を取り付ける。このような軸部品は、
図8に示すように、放熱プレート41の平坦部41aから、正面方向に突出するとともにその一部が背面方向にも突出するが、このような所定範囲に端子台21等を位置させたことによって、これらの背面方向に突出する部分は隙間S内に収まる。ここで、このような所定範囲において、スコットトランス10を上下方向に切断した断面図、即ち
図2に示すIX−IX線により切断した状態を模式的に表した
図9を参照して説明する。
【0047】
図9に示すように、端子台21は、スリーブ21a、ボルト21b、ナット21cにより構成されており、平坦部41aから背面方向に、ボルト21bのボルトヘッドとスリーブ21aの一部が突出する。同様に端子台22も、スリーブ22a、ボルト22b、ナット22cにより構成されており、平坦部41aから背面方向に、ボルト22bのボルトヘッドとスリーブ22aの一部が突出する。そのため、これらの背面方向に突出する部分が隙間S内に収まる突出量だけ、正面方向に突出する端子台21等の突出長さを小さくすることができるので、スコットトランス10の短手方向の体格(寸法)を小さくすることができる。
【0048】
また、スリーブ23a、ボルト23b、ナット23cにより構成される端子台23についても、上側フランジ部41bから下方に向けて、ボルト23bのボルトヘッドとスリーブ23aの一部が突出する。切断面に対して端子台23の反対側に位置するため、図
9には図示されていないが、端子台24についても同様にそのボルトヘッドとスリーブの一部が突出する。これらの端子台23,24は、前述したように、隣接する2つのコイル14等とコイル16等の間に形成される隙間Sに位置している。そのため、これらの下方に突出する部分が隙間S内に収まる突出量だけ、上方に突出する端子台2
3等の突出長さを小さくすることができるので、スコットトランス10の高さ方向の体格(寸法)を小さくすることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、ヒートシンク40を構成する放熱プレート41をアルミニウム板で構成するとともに放熱プレート41をコア11の上端部11dと下端部11eの間に機械的に接続した。そのため、コア11以外にヒートシンク40を経由する磁束は皆無ではないが、アルミニウムは非磁性物質であることから、ヒートシンク40を通る漏れ磁束の発生が抑えられてトランスの変換効率に与える影響を少なくすることができる。ヒートシンク40は、非磁性物質(反磁性体を含む)であれば、例えば、銅、鉛、銀、熱伝導率の高い合成樹脂等でも良い。また、ヒートシンクや放熱プレートを通る漏れ磁束がトランスの変換効率等に与える影響に対して問題にならない場合には、製品コストの削減を優先させた構成として、例えば、ヒートシンク等を鉄板等の強磁性体で構成しても良い。
【0050】
以上説明したように本実施形態のスコットトランス10では、通電中において発熱するダイオードモジュール31,32が取り付けられるヒートシンク40の放熱プレート41は、平坦部41a、上側フランジ部41bおよび下側フランジ部41cを有する。平坦部41aは、複数のレグ11a〜11cの並び方向に拡がるとともに複数の主座1次コイル14、主座2次コイル15、T座1次コイル16、T座2次コイル17(以下「複数のコイル14〜17」という)の巻回径方向で同方向の側方を覆う。また、上側フランジ部41bは、平坦部41aの一端側から延びて複数のレグ11a〜11cの上端部11dに固定され、下側フランジ部41cは、平坦部41aの他端側から延びて複数のレグ11a〜11cの下端部11eに固定される。
【0051】
つまり、ヒートシンク40は、コア11の上端部11dから下端部11eに亘って複数のレグ11a〜11cの並び方向に拡がる平坦部41aが複数のコイル14〜17の側方を覆うようにコア11に固定される。これにより、ヒートシンク40は、例えば、コア11の上方に向けて立ち上がるように拡張したり、コイル14〜17の巻回径方向に張り出すように拡張したりすることなく、平坦部41a、上側フランジ部41bおよび下側フランジ部41cによって放熱面積を確保することが可能になる。したがって、ヒートシンク40を備えていても、スコットトランス10の体格の大型化を抑制することができる。
【0052】
なお、上述した実施形態では、ヒートシンク40をコア11に固定する構成として、締結金具51を介在させて放熱プレート41の上端から延びる上側フランジ部41bをコア11の上端部11dに固定し、また締結金具53を介在させて放熱プレート41の下端から延びる下側フランジ部41cをコア11の下端部11eに固定したが、このような締結金具51,53を介することなく、上側フランジ部41bや下側フランジ部41cを直接、コア11の上端部11dや下端部11eに固定する構成を採っても良い。
【0053】
また、上述した実施形態では、当該スコットトランス10を搭載する装置からの配線70をダイオードモジュール32に直接接続することによってマイナス側の出力を得る構成を採ったが、プラス側の出力端子である端子台21と同様に、マイナス側の出力端子として端子台を放熱プレート41の平坦部41aに設ける構成を採っても良い。この場合についても、前述した所定範囲内において、例えば、端子台22の下側にマイナス側の端子台を設ける。上述した実施形態では、軸部材として端子台21,22で例示する構成を採ったが、軸部材として、例えば、所定温度を検出するとそれが備える端子間を遮断する機能部品(温度スイッチ、温度ヒューズ等)を、さらに設ける構成を採っても良い。
【0054】
さらに、上述した実施形態では、トランスとして、スコットトランス10を例示して説明したが、これに限られることはなく、複数の脚部を有するコアと、これら複数の脚部に巻回される複数のコイルとを有するトランスであれば、他の結線方式の相変換トランスについても適用することができ、また単相や多相の電圧変換トランスにも適用することができる。また、上述した実施形態では、3本のレグ部を有するコアにコイルを巻回する構成を例示して説明したが、レグ部の本数は2本や4本以上でも良く、またこれらのレグ部に巻回されるコイルの数も2以上であれば良い。さらに、レグ部に巻回されるコイルの径方向断面形状は、丸角の矩形状のほかに楕円状や円状であっても良い。
【0055】
また、上述した実施形態では、発熱する回路部品として、ダイオードモジュール31,32を例示して説明したが、これに限られることはなく、例えば、パワーMOSFETやIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の電力用トランジスタ、サイリスタ、トライアック等、様々な種類のパワーデバイス(電力用半導体素子)であっても良い。
【0056】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、上述した具体例を様々に変形または変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。さらに、本明細書または図面に例示した技術は、複数の目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つ。なお、[符号の説明]の欄における括弧内の記載は、上述した各実施形態で用いた用語と、特許請求の範囲に記載の用語との対応関係を明示するものである。