(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の発明においては、第1の冷媒の冷却のために、水冷式冷凍機ユニットが採用されている。本件発明者は、これを、空冷ファンを駆動することで冷却作用を得る空冷式凝縮器に置換することについて、鋭意検討を重ねてきた。また、本件発明者は、空冷ファンの駆動制御について、インバータ制御を採用して省エネルギー効果を得ることについても、鋭意検討を重ねてきた。
【0006】
本発明は、以上の知見に基づいて創案されたものである。本発明の目的は、インバータ制御によって空冷ファンを駆動する空冷式凝縮器を採用し、且つ、水素に対する十分に高効率な冷却を、好ましくは高精度に実現することができる冷却水素供給ステーション、及び、当該冷却水素供給ステーションに用いられる水素冷却装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1の冷媒が循環される第1冷媒路と、前記第1冷媒路の一部に対して設けられ、空冷ファンを駆動することで前記第1の冷媒の冷却を可能にする空冷式凝縮器と、第2の冷媒が通流される第2冷媒路と、前記第1冷媒路の他の一部と前記第2冷媒路の一部との間で前記第1の冷媒によって前記第2の冷媒の冷却を可能にする第1熱交換器と、前記空冷式凝縮器から前記第1熱交換器に至るまでの間の第1の冷媒の圧力を検出する圧力検出センサと、前記圧力検出センサにより検出される圧力に基づいて、当該圧力が1.5MPa〜1.7MPaの範囲に維持されるよう、前記空冷ファンの駆動回転数をインバータ制御するインバータ式制御器と、水素が貯蔵された水素貯蔵部と、前記水素貯蔵部に貯蔵された水素が搬送される水素流路と、前記第2冷媒路の他の一部と前記水素流路の一部との間で前記第2の冷媒によって前記水素の冷却を可能にする第2熱交換器と、を備え、前記インバータ式制御器は、前記圧力検出センサにより検出される圧力が上昇しているか高レベルにある間は、前記空冷ファンの駆動回転数を上昇させるか高レベルに維持し、前記圧力検出センサにより検出される圧力が下降しているか低レベルにある間は、前記空冷ファンの駆動回転数を下降させるか低レベルに維持するようになっており、前記第1の冷媒は、フロンであり、前記第2の冷媒は、ギ酸カリウム水溶液であり、前記第2冷媒路における前記第2の冷媒の通流量は、0.3MPaの通流圧力で135L/min乃至165L/minであり、前記水素は、前記第2熱交換器によって、−43℃乃至−20℃の温度範囲内にまで冷却されるようになっており、前記水素は、前記第2熱交換器によって、−43℃乃至−20℃の温度範囲内の設定温度に対して+2℃乃至−3℃の誤差範囲内に冷却されるようになっており、水素冷却能力は、水素を−40℃に冷却するときに13.5kW乃至16.5kWであり、前記水素流路には、前記第2熱交換器によって冷却された後の水素を排出する排出口が設けられており、前記排出口から排出される水素の量は、4.5kg/3min乃至5.5kg/3minであることを特徴とする冷却水素供給ステーションである。
【0008】
本件発明者により開発された当該冷却水素供給ステーションによれば、水素冷却能力として、水素を−40℃に冷却するときに13.5kW乃至16.5kWであること(13.5kW@−40℃乃至16.5kW@−40℃)を実現できたことにより、水素の冷却を高効率に、すなわち、極めて省エネルギーに実現することができる。
【0009】
また、前記水素は、前記第2熱交換器によって、−43℃乃至−20℃の温度範囲内の設定温度に対して+2℃乃至−3℃の誤差範囲内に冷却されるようになっている。すなわち、本件発明者により開発された当該冷却水素供給ステーションによれば、−43℃乃至−20℃の温度範囲内の設定温度に対して+2℃乃至−3℃の誤差範囲内での冷却精度を実現できたことにより、水素に対する十分に高効率な冷却を、高精度に実現することができる。
【0010】
また、前記冷却水素供給ステーションは、前記水素流路に、前記第2熱交換器によって冷却された後の水素を排出する排出口が設けられており、前記排出口から排出される水素の量が、4.5kg/3min乃至5.5kg/3minである。このような水素供給量とすることにより、少なくとも1台分の燃料電池車への水素供給を3分で実施することができる(現在の通常の燃料電池車の水素容量は5kgである)。
【0011】
前記冷却水素供給ステーションでは、前記第1の冷媒がフロンであり、前記第2の冷媒がギ酸カリウム水溶液、具体的にはショーワ株式会社製のコールドブラインであることで、前述の各性能を実現することができることを、本件発明者は確認している。
【0012】
そして、特許文献1の発明と異なり、水冷式冷凍機ユニットの代わりに空冷式凝縮器を採用したことにより、冷却水用力設備が不要である。これにより、設置場所の自由度が顕著に向上している。更に、空冷ファンの制御に、空冷式凝縮器から第1熱交換器に至るまでの第1の冷媒の圧力に基づくインバータ制御を採用したことにより、省エネルギー効果並びに高精度運転を得ることができる。
【0013】
具体的には、例えば、圧力検出センサにより検出される圧力が上昇しているか高レベルにある間(いわゆる高負荷時、例えば初期稼働時の第1の冷媒の降温中や第2熱交換器による水素冷却中)、空冷ファンの駆動回転数を57.5Hzとする一方で、圧力検出センサにより検出される圧力が下降しているか低レベルにある間(いわゆる低負荷時、例えばアイドリング中)、空冷ファンの駆動回転数を32.9Hzに留めることで、効果的な省エネルギー効果を得ることができる一方、第1の冷媒の凝縮圧力も1.5MPa〜1.7MPaの範囲内で安定するため、第1の冷媒を常に安定した状態で利用することができる(
図3参照)。
【0014】
なお、空冷ファンは、外気に曝された状態で配置される必要があるため、水素に対する防爆構造からなっている必要がある。水素に対する防爆構造の例としては、水素が存在する危険区域で使用できる防爆電気設備機器規格として安全増防爆があげられる。
【0015】
更に具体的に、例えば、前記冷却水素供給ステーションは、前記空冷式凝縮器を通る前記第1の冷媒の循環量を制御するバルブと、前記第2冷媒路内の前記第1熱交換器通過直後の前記第2の冷媒の温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出結果に基づいて前記バルブを制御する温度フィードバック制御部と、を更に備える。この場合、簡易な温度フィードバック制御によって、第2の冷媒を所望の温度に高精度に制御することができる。
【0016】
より具体的には、前記第2の冷媒の温度が−40℃よりも高い時には、前記バルブの開度は40%以上、例えば50%を上限として運転され得て、前記第2の冷媒の温度が−40℃以下である時には、前記バルブの開度は10%を下限として、例えば20〜30%で運転され得る。前記バルブは、例えば、電子膨張弁である。
【0017】
前記第1の冷媒がコンプレッサの駆動によって前記第1冷媒路内を循環するようになっている場合には、前記第2の冷媒の温度が−40℃以下である時、当該コンプレッサの出力も60〜80%に低減されることが更に好ましい。例えば、この時、前記コンプレッサの出力は70%に低減され得て、前記バルブの開度は12.8%にまで低減され得る。この場合、第1冷媒路において空冷式凝縮器をバイパスするホットガスバイパス路と、当該ホットガスバイパス路内の第1の冷媒の循環量を制御する第2バルブと、が更に設けられ、当該第2バルブの開度が100%にされることが好ましい。
【0018】
なお、前記冷却水素供給ステーションは、第1運転モードと第2運転モードとのいずれかが選択されて運転されるようになっており、第1運転モードにおいては、前記水素が−20℃に冷却され、第2運転モードにおいては、前記水素が−40℃に冷却されることが好ましい。
【0019】
例えば、水素供給の必要性に応じて、必要性が低い場合にはアイドル運転状態に対応する第1運転モードが選択され、必要性が高い場合にはスタンバイ状態に対応する第2運転モードが選択されることにより、冷却に関するエネルギー消費を効果的に抑制することができる。
【0020】
例えば、前記第1運転モードまたは前記第2運転モードの選択は、時間帯に応じて自動的に行われるようになっていてもよい。この場合、例えば、水素供給の必要性が低い夜間の時間帯(例えば営業時間外)では第1運転モードが選択され、水素供給の必要性が高い日中の時間帯(例えば営業時間内)では第2運転モードが選択されることにより、水素供給の必要性が低い夜間の時間帯において冷却に関するエネルギー消費を効果的に抑制することができる。
【0021】
また、前記冷却水素供給ステーションでは、前記第2冷媒路は、タンク部を更に有しており、 前記タンク部には、当該タンク部内における前記第2の冷媒の液面を所定範囲に維持するための冷媒量調整機構が接続されていてもよい。
【0022】
この場合、タンク部内における第2の冷媒の液面が所定範囲に維持されることによって、第2の冷媒に腐食性の高い液化冷媒が用いられ、当該第2の冷媒が温度変化に伴って膨張収縮したとしても、当該第2の冷媒の液面の昇降に起因するタンク部内壁の腐食の発生及び析出物の付着を防止することができる。
【0023】
また、本発明は、水素流路内を搬送される水素を冷却する水素冷却装置であって、第1の冷媒が循環される第1冷媒路と、前記第1冷媒路の一部に対して設けられ、空冷ファンを駆動することで前記第1の冷媒の冷却を可能にする空冷式凝縮器と、第2の冷媒が通流される第2冷媒路と、前記第1冷媒路の他の一部と前記第2冷媒路の一部との間で前記第1の冷媒によって前記第2の冷媒の冷却を可能にする第1熱交換器と、前記空冷式凝縮器から前記第1熱交換器に至るまでの間の第1の冷媒の圧力を検出する圧力検出センサと、前記圧力検出センサにより検出される圧力に基づいて、当該圧力が1.5MPa〜1.7MPaの範囲に維持されるよう、前記空冷ファンの駆動回転数をインバータ制御するインバータ式制御器と、前記第2冷媒路の他の一部と前記水素流路の一部との間で前記第2の冷媒によって前記水素の冷却を可能にする第2熱交換器と、を備え、前記第1の冷媒は、フロンであり、前記第2の冷媒は、ギ酸カリウム水溶液であり、前記第2冷媒路における前記第2の冷媒の通流量は、0.3MPaの通流圧力で135L/min乃至165L/minであり、前記水素は、前記第2熱交換器によって、−43℃乃至−20℃の温度範囲内にまで冷却されるようになっており、前記水素は、前記第2熱交換器によって、−43℃乃至−20℃の温度範囲内の設定温度に対して+2℃乃至−3℃の誤差範囲内に冷却されるようになっており、水素冷却能力は、水素を−40℃に冷却するときに13.5kW乃至16.5kWであり、前記水素流路には、前記第2熱交換器によって冷却された後の水素を排出する排出口が設けられており、前記排出口から排出される水素の量は、4.5kg/3min乃至5.5kg/3minであることを特徴とする水素冷却装置である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、水素冷却能力として、水素を−40℃に冷却するときに13.5kW乃至16.5kWであることを実現できたことにより、水素の冷却を高効率に、すなわち、極めて省エネルギーに実現することができる。
【0025】
また、前記水素は、前記第2熱交換器によって、−43℃乃至−20℃の温度範囲内の設定温度に対して+2℃乃至−3℃の誤差範囲内に冷却されるようになっている。すなわち、本件発明者により開発された当該冷却水素供給ステーションによれば、−43℃乃至−20℃の温度範囲内の設定温度に対して+2℃乃至−3℃の誤差範囲内での冷却精度を実現できたことにより、水素に対する十分に高効率な冷却を、高精度に実現することができる。
【0026】
また、前記冷却水素供給ステーションは、前記水素流路に、前記第2熱交換器によって冷却された後の水素を排出する排出口が設けられており、前記排出口から排出される水素の量が、4.5kg/3min乃至5.5kg/3minである。このような水素供給量とすることにより、少なくとも1台分の燃料電池車への水素供給を3分で実施することができる(現在の通常の燃料電池車の水素容量は5kgである)。
【0027】
また、前記冷却水素供給ステーションでは、前記第1の冷媒がフロンであり、前記第2の冷媒がギ酸カリウム水溶液、具体的にはショーワ株式会社製のコールドブラインであることで、前述の各性能を実現することができることを、本件発明者は確認している。
【0028】
そして、特許文献1の発明と異なり、水冷式冷凍機ユニットの代わりに空冷式凝縮器を採用したことにより、冷却水用力設備が不要である。これにより、設置場所の自由度が顕著に向上している。更に、空冷ファンの制御に、空冷式凝縮器から第1熱交換器に至るまでの第1の冷媒の圧力に基づくインバータ制御を採用したことにより、省エネルギー効果並びに高精度運転を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による冷却水素供給ステーション1の系統図であり、
図2は、当該冷却水素供給ステーション1における水素冷却装置20の概略斜視図である。
【0031】
図1に示すように、冷却水素供給ステーション1は、水素が貯蔵された水素貯蔵部11と、当該水素貯蔵部11に貯蔵された水素が搬送される水素流路12と、を有している。水素流路12の下流側端部が排出口13(一般には、充填ノズル)となっており、当該排出口13から水素が燃料電池車の燃料供給口に供給されるようになっている。水素供給時には、排出口13と燃料電池車の燃料供給口とは、気密に接続されるようになっている。
【0032】
本実施の形態の水素貯蔵部11には、圧縮状態の水素が貯蔵されている。従って、水素流路12内には、圧縮状態の水素が供給されるようになっている。本実施の形態では、排出口13から排出される(燃料電池車に供給される)水素の量が4.5kg/3min乃至5.5kg/3min、特には5.0kg/min、となるような、圧縮状態が採用されている。
【0033】
また、冷却水素供給ステーション1は、
図1に示すように、第1の冷媒が循環される第1冷媒路21と、第1冷媒路21の一部に対して設けられ空冷ファン22fを駆動することで第1の冷媒の冷却を可能にする空冷式凝縮器22と、第2の冷媒が通流される第2冷媒路23と、第1冷媒路21の他の一部(空冷式凝縮器22によって冷却される部分とは異なる部分)と第2冷媒路23の一部との間で第1の冷媒によって第2の冷媒の冷却を可能にする第1熱交換器24と、を備えている。
【0034】
第1冷媒路21における第1の冷媒の循環の方向は、
図1の矢印に示すようになっている。すなわち、空冷式凝縮器22によって冷却され、その後に第1熱交換器24を通過し、再び空冷式凝縮器22に戻るようになっている。そのような方向に第1の冷媒を循環させるために、第1熱交換器24から空冷式凝縮器22に至る第1冷媒路21の部分に、コンプレッサ25が設けられている。
【0035】
また、空冷式凝縮器22から第1熱交換器24に至るまでの間の第1の冷媒の圧力(凝縮圧力)を検出するべく、圧力検出センサ26が設けられている。そして、当該圧力検出センサ26により検出される圧力に基づいて、当該圧力が(1.6MPaを目標として)1.5MPa〜1.7MPaの範囲に維持されるように、空冷ファン22fの駆動回転数をインバータ制御するインバータ式制御器27が設けられている。具体的には、本実施の形態のインバータ式制御器27は、
図3及び
図5に示すように、圧力検出センサ26により検出される圧力が上昇しているか高レベルにある間(初期稼働時の第1の冷媒の降温中、及び、第2熱交換器による水素冷却中(水素充填中))、空冷ファンの駆動回転数を57.5Hzとする一方で、圧力検出センサ26により検出される圧力が下降しているか低レベルにある間(アイドリング中)、空冷ファンの駆動回転数を32.9Hzに留めるようになっている。
【0036】
更に、空冷式凝縮器22を通る第1の冷媒の循環量を制御するバルブとしての電子膨張弁28が、圧力検出センサ26と第1熱交換器24との間に設けられている。一方、第2冷媒路23内の第1熱交換器通過直後の第2の冷媒の温度を検出するべく、温度センサ29が設けられており、当該温度センサ29の検出結果に基づいて電子膨張弁28
(バルブ)を制御する温度フィードバック制御部30が設けられている。
【0037】
その他、第1冷媒路21において空冷式凝縮器22をバイパスするホットガスバイパス路31と、当該ホットガスバイパス路31内の第1の冷媒の循環量を制御する第2バルブ32と、が更に設けられている。
【0038】
一方、第2冷媒路23の他の一部(第1熱交換器24によって冷却される部分とは異なる部分)と水素流路12の一部との間に、第2の冷媒によって水素の冷却を可能にする第2熱交換器40が設けられている。当該第2熱交換器40は、水素流路12内において排出口13に至る前の水素を冷却するようになっている。
【0039】
本実施の形態では、第2冷媒路23が、第1熱交換器24によって第1冷媒路21の前記他の一部との間で熱交換が行われる第2冷媒路23の一部を含む前半通流路と、第2熱交換器40によって水素流路12の一部との間で熱交換が行われる第2冷媒路23の前記他の一部を含む後半通流路と、後半通流路を前半通流路に接続するタンク部23Tと、を有している。
【0040】
そして、タンク部23Tには第2の冷媒が略満杯状態で貯留されており、前半通流路に設けられたポンプ23pによって、
図1の矢印に示すように、タンク部23Tから前半通流路に供給された第2の冷媒は、第1熱交換器24を通過して第1の冷媒によって冷却された後に後半通流路に供給され、当該後半通流路に供給された第2の冷媒は、第2の熱交換器40を通過して水素を冷却した後に(第2の冷媒にとっては昇温された後に)タンク部23Tに戻るようになっている。本実施の形態では、第2の冷媒の通流量が、135L/min@0.3MPa乃至165L/min@0.3MPa(すなわち、0.3MPaの通流圧力で135L/min乃至165L/min)、特には、150L/min@0.3MPa(すなわち、0.3MPaの通流圧力で150L/min)、となるように、前記ポンプ23pの運転が制御されるようになっている。具体的には、前記ポンプ23pの運転が、適宜に設けられた流量センサ(不図示)によって検出された流量値(検出結果)に基づいて、フィードバック制御されるようになっている。
【0041】
そして、第2熱交換器40を通流する第2の冷媒の温度が電子膨張弁28の制御等によって調整されることによって、第2熱交換器40を介して、水素流路12内の水素が−43℃乃至−20℃の温度範囲内において設定される設定温度に調整されるようになっている。具体的には、
図4に示すように、第2の冷媒の温度が−40℃よりも高い時には、電子膨張弁28の開度は40%以上、例えば50%を上限として運転され、第2の冷媒の温度が−40℃以下である時には、電子膨張弁28の開度は10%を下限として例えば20〜30%で運転されるよう、温度センサ29によって検出された第2の冷媒の温度値(検出値)に基づいてフィードバック制御されるようになっている。
【0042】
なお、本実施の形態では、第1冷媒路21内を循環する1の冷媒としてフロンが用いられており、具体的には、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製のHFC系混合冷媒R−404Aが用いられている。また、第2冷媒路23内を通流する第2の冷媒として、ショーワ株式会社製のコールドブラインFP−40(ギ酸カリウム水溶液)が用いられている。
【0043】
第2の冷媒であるコールドブラインFP−40は液化冷媒であり、−43℃乃至−20℃の温度範囲において流動性を保持することができる。更に、第2の冷媒であるコールドブラインFP−40は、その温度に応じて膨張収縮され得る。本実施の形態では、そのような膨張収縮が生じても、タンク部23Tにおける第2の冷媒の液面が昇降して腐食を発生させないように、タンク部23Tに当該タンク部23T内における第2の冷媒の液面を所定範囲(好ましくは一定の液面高さ)に維持するための冷媒量調整機構33が接続されている。冷媒量調整機構33は、タンク部23Tに接続される調整用タンク33Aと逆止弁(不図示)とを有している。冷媒量調整機構33は、第2の冷媒が冷却されて圧縮された場合に、調整用タンク33Aから第2の冷媒をタンク部23T内に補充することで、第2の冷媒の液面を所定範囲に維持するようになっている。一方、冷媒量調整機構33は、第2の冷媒が昇温して膨張した場合に、タンク部23Tから逆止弁を通して第2の冷媒を外部に排出させることで、第2の冷媒の液面を所定範囲に維持するようになっている。
【0044】
ここで、
図1において、水素貯留部11及び第2熱交換器40を通る水素流路12が、冷却水素供給ステーション1における水素供給ディスペンサ10を構成している。一方、冷却水素供給ステーション1における水素貯留部11及び水素流路12を除いた部分は、水素冷却装置20として理解することができる。冷却水素供給ステーション1は、水素供給ディスペンサ10と水素冷却装置20とを第2熱交換器40を介して結合することで構成されていると言える。
【0045】
なお、空冷ファン22fは、
図2に示すように、外気に曝された状態で配置される必要がある。このため、空冷ファン22fは、水素に対する防爆構造からなっている必要があり、水素に対する防爆構造の例としては、水素が存在する危険区域で使用できる防爆電気設備機器規格として安全増防爆があげられる。
【0046】
以上に説明した冷却水素供給ステーション1においては、空冷式凝縮器22を採用し、複数の冷媒路及びこれらを循環する冷媒の選定等によって、水素冷却能力として、水素を−40℃に冷却するときに13.5kW乃至16.5kWであること(13.5kW@−40℃乃至16.5kW@−40℃)を実現している。すなわち、水素を−40℃に維持する冷却能力として、13.5kW乃至16.5kWを実現している。更に、水素の冷却精度として、−43℃乃至−20℃の温度範囲内の設定温度に対して、+2℃乃至−3℃の誤差範囲内での冷却を実現している。
【0047】
また、本実施の形態による冷却水素供給ステーション1は、第1運転モードと第2運転モードとのいずれかが選択されて運転されるようになっており、第1運転モードにおいては、水素が−20℃に冷却され、第2運転モードにおいては、水素が−40℃に冷却されるようになっている。第1運転モードまたは第2運転モードの選択は、時間帯に応じて自動的に行われるようになっており、一例として本実施の形態では、午後5時から午前9時までの間は、第1運転モードとなるように設定され、午後5時から午前9時以外の時間帯は、第2運転モードとなるように設定されている。
【0048】
更に、本実施の形態では、第1運転モードが選択される時間帯及び第2運転モードが選択される時間帯の設定を、手動で変更することができるようになっている。具体的には、
図2に示すような水素冷却装置20の筐体20C上にタッチパネル(不図示)等が設けられ得て、当該タッチパネルに対して作業者が手動操作を行えるようになっている。
【0049】
更に、当該タッチパネル等において、第1運転モードと第2運転モードとの選択自体を手動で行うことができるようになっていてもよい。また、第1運転モードまたは第2運転モードの選択は、外気温度に応じて自動的に行われるようになっていてもよい。
【0050】
次に、本実施の形態による水素供給ステーション1の作用について説明する。
【0051】
本実施の形態による水素供給ステーション1は、水素が−20℃に冷却される第1運転モードまたは水素が−40℃に冷却される第2運転モードが選択されて運転されるようになっている。
【0052】
まず、第1運転モードにおける水素供給ステーション1の動作について説明する。第1運転モードでの運転が開始されると、第1冷媒路21のコンプレッサ25が駆動され、第1冷媒路21での第1の冷媒の
図1の矢印方向への循環が開始される。また、第2冷媒路23におけるポンプ23pが駆動され、第2冷媒の
図1の矢印方向への循環が開始される。これにより、第1冷媒路21を循環する第1の冷媒が第1熱交換器24を通過するとともに、第2冷媒路23を循環する第2の冷媒も第1熱交換器24を通過する。この際、第2の冷媒が、第1熱交換器24を介して第1の冷媒によって冷却される。第2の冷媒は、その後、第2冷媒路23の後半通流路における第2熱交換器40を通過してタンク部23Tに戻る。
【0053】
第1熱交換器24を通過した第2の冷媒の温度は、温度センサ29によって検出される。そして、温度フィードバック制御部30は、温度センサ29によって検出された第2の冷媒の温度と−20℃との差分に応じて、必要に応じて第1の冷媒路21の電子膨張弁28を制御する。以上により、第2の冷媒の温度が−20℃に制御される。
【0054】
次に、第2運転モードにおける水素供給ステーション1の動作について説明する。第2運転モードでの運転においても、第1冷媒路21のコンプレッサ25が駆動され、第1冷媒路21での第1の冷媒の
図1の矢印方向への循環が開始され、一方、第2冷媒路23のポンプ23pが駆動され、第2冷媒の
図1の矢印方向への循環が開始される。これにより、第1冷媒路21を循環する第1の冷媒が第1熱交換器24を通過するとともに、第2冷媒路23を循環する第2の冷媒も第1熱交換器24を通過する。この際、第2の冷媒が、第1熱交換器24を介して第1の冷媒によって冷却される。第2の冷媒は、その後、第2冷媒路23の後半通流路における第2熱交換器40を通過してタンク部23Tに戻る。
【0055】
第1熱交換器24を通過した第2の冷媒の温度は、温度センサ29によって検出される。そして、温度フィードバック制御部30は、温度センサ29によって検出された第2の冷媒の温度と−40℃との差分に応じて、必要に応じて第1の冷媒路21の電子膨張弁28を制御する(
図4参照)。以上により、第2の冷媒の温度が−40℃に制御される。
【0056】
この状態で、水素充填作業が開始される。すなわち、圧縮状態の水素が、水素貯蔵部11から水素流路12を通って排出口13へと(燃料電池車へと)供給される。この際、水素流路12内を通る水素は、第2熱交換器40を介して第2の冷媒によって−40℃まで精度良く冷却される。この時、第2の冷媒の通流量は、135L/min@0.3MPa乃至165L/min@0.3MPa、特には、150L/min@0.3MPa、となっている。
【0057】
第2熱交換器40を通過した第2の冷媒は、昇温した状態となって、タンク部23Tに戻る。しかし、当該第2の冷媒の温度は温度センサ29によって検出され、当該温度に基づいて温度フィードバック制御部30によって電子膨張弁28の開度が制御されるため(
図4参照)、後半通流路を循環する第2冷媒の温度は、−40℃に安定的に維持され得る。
【0058】
実際に、本件発明者により開発された当該冷却水素供給ステーション1によれば、+2℃乃至−3℃の誤差範囲内に第2の冷媒の温度を高精度に冷却することができる。このことにより、当該第2の冷媒によって冷却される水素についても、+2℃乃至−3℃の誤差範囲内に高精度に冷却することができる。
【0059】
本実施の形態の第2運転モードによれば、例えば外界温度+40℃の状態から一気に第2の冷媒を−40℃に冷却するまでは、120minである。また、第1運転モードによって−20℃に冷却されていた状態から第2の冷媒を−40℃に冷却するまでは、わずか30minである。
【0060】
本実施の形態による冷却水素供給ステーション1は、以上のように高精度に冷却された水素を、4.5kg/3min乃至5.5kg/3min、特には5.0kg/min、という流量で燃料電池車に供給することができる。また、本実施の形態による冷却水素供給ステーション1によれば、1台の燃料電池車に4.5kg/3min乃至5.5kg/3min、特には5.0kg/minで水素を供給した後は、7minのインターバルをおけば、再び次の1台の燃料電池車に4.5kg/3min乃至5.5kg/3min、特には5.0kg/minで水素を供給することができる。
【0061】
なお、−40℃に冷却された第2の冷媒を、当該−40℃に安定的に維持しておく場合の冷却能力は、13.5kW@−40℃乃至16.5kW@−40℃、特には、15.0kW@−40℃、である。
【0062】
なお、第1運転モードから第2運転モードに切り替わる際には、第1冷媒路21のコンプレッサ25及び第2冷媒路23におけるポンプ23Pは、第1運転モードから引き続いて駆動されてよい。同様に、第2運転モードから第1運転モードに切り替わる際には、第1冷媒路21のコンプレッサ25及び第2冷媒路23におけるポンプ23Pは、第2運転モードから引き続いて駆動されてよい。
【0063】
また、第1運転モードにおいても第2運転モードにおいても、第2の冷媒であるコールドブラインFP−40は、その温度に応じて膨張収縮され得る。本実施の形態では、そのような膨張収縮が生じても、タンク部23Tにおける第2の冷媒の液面が昇降して腐食等を発生させないように、タンク部23Tに当該タンク部23T内における第2の冷媒の液面を所定範囲(好ましくは一定の液面高さ)に維持するように冷媒量調整機構33が機能する。冷媒量調整機構33は、第2の冷媒が冷却されて圧縮された場合に、調整用タンク33Aから第2の冷媒をタンク部23T内に補充することで、第2の冷媒の液面を所定範囲に維持する。一方、冷媒量調整機構33は、第2の冷媒が昇温して膨張した場合に、タンク部23Tから逆止弁を通して第2の冷媒を外部に排出させることで、第2の冷媒の液面を所定範囲に維持する。
【0064】
以上のように本実施の形態の冷却水素供給ステーション1によれば、水素冷却能力として、13.5kW@−40℃乃至16.5kW@−40℃を実現できたことにより、水素の冷却を高効率に、すなわち、極めて省エネルギーに実現することができる。
【0065】
更に、本実施の形態では、−43℃乃至−20℃の温度範囲内の設定温度に対して+2℃乃至−3℃の誤差範囲内での冷却精度を実現できたことにより、水素に対する十分に高効率な冷却を、高精度に実現することができる。
【0066】
そして、特許文献1の発明と異なり、水冷式冷凍機ユニットの代わりに空冷式凝縮器22を採用したことにより、冷却水用力設備が不要である。これにより、設置場所の自由度が顕著に向上している。更に、空冷ファン22fの制御に、空冷式凝縮器22から第1熱交換器24に至るまでの間の第1の冷媒の圧力に基づくインバータ制御を採用したことにより、省エネルギー効果並びに高精度運転を得ることができる。
【0067】
具体的には、圧力検出センサ26により検出される圧力が上昇しているか高レベルにある間(初期稼働時の第1の冷媒の降温中ないし第2熱交換器40による水素冷却中)、空冷ファン22fの駆動回転数を57.5Hzとする一方で、圧力検出センサ26により検出される圧力が下降しているか低レベルにある間(アイドリング中)、空冷ファン22fの駆動回転数を32.9Hzに留めることで、効果的な省エネルギー効果を得ることができる。そして、このような制御は、第1の冷媒の凝縮圧力を1.5MPa〜1.7MPaの範囲内に安定させるため、第1の冷媒を常に安定した状態で利用することができるという効果もある(
図3参照)。
【0068】
更に、本実施の形態では、
図4に示すように、第2の冷媒の温度が−40℃よりも高い時、電子膨張弁28の開度は40%以上、例えば50%を上限として運転され、第2の冷媒の温度が−40℃以下である時には、電子膨張弁28の開度は10%を下限として例えば20〜30%で運転されるようになっている。このことによっても、効果的な省エネルギー効果を得ることができる。この場合、ホットガスバイパス路31内の第1の冷媒の循環量を制御する第2バルブ32は、圧力検出センサ41の圧力が−46kPa以上を維持するように、検出された第1の冷媒の圧力値(検出値)に基づいてフィードバック制御され、開放されるようになっている。このような運転状態を、
図5に纏めて示す。
【0069】
また、本実施の形態の冷却水素供給ステーション1によれば、第1運転モードと第2運転モードとのいずれかが選択されて運転されるようになっており、第1運転モードにおいては、水素が−20℃に冷却され、第2運転モードにおいては、水素が−40℃に冷却される。これにより、水素供給の必要性に応じて、必要性が低い場合にはアイドル運転状態に対応する第1運転モードが選択され、必要性が高い場合にはスタンバイ状態に対応する第2運転モードが選択されることにより、冷却に関するエネルギー消費を効果的に抑制することができる。
【0070】
具体的に、本実施の形態では、第1運転モードまたは第2運転モードの選択が、時間帯に応じて自動的に行われるようになっている。そして、水素供給の必要性が低い夜間の時間帯(例えば営業時間外)では第1運転モードが選択され、水素供給の必要性が高い日中の時間帯(例えば営業時間内)では第2運転モードが選択されることにより、水素供給の必要性が低い夜間の時間帯において冷却に関するエネルギー消費を効果的に抑制することができる。
【0071】
次に、
図5に示した運転状態の変形例を、
図6に示す。
図6の例では、第2の冷媒の温度が−40℃以下である時、コンプレッサ25の出力が70%に低減され、電子膨張弁の開度は12.8%に低減され、第2バルブ32の開度は100%にされる。このような運転状態によっても、効果的な省エネルギー効果を得ることができる。