(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記判定部は、前記ハイサイドスイッチング素子及び前記ローサイドスイッチング素子が相補的に開閉される前記点火プラグの放電期間中に、前記両端電圧及び前記中間点電圧のうち少なくとも一方の電圧に基づいて、前記点火回路の故障箇所を判定することを特徴とする請求項1に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、前記ハイサイドスイッチング素子に対し開状態から閉状態に切替わるように信号を出力したにも関わらず、前記信号を出力した前後における前記両端電圧の変化量が第一所定値よりも小さい場合には、前記ハイサイドスイッチング素子にオープン故障が生じていると判定することを特徴とする請求項2に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、前記ローサイドスイッチング素子に対し開状態から閉状態に切替わるように信号を出力したにも関わらず、前記信号を出力した前後における前記両端電圧の変化量が第一所定値よりも小さい場合には、前記ローサイドスイッチング素子にオープン故障が生じていると判定することを特徴とする請求項2又は3に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子とが相補的に開閉されたにも関わらず、それぞれの開閉の前後における前記両端電圧の変化量が第一所定値よりも小さい場合には、前記一次コイルにオープン故障が生じていると判定することを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、前記ハイサイドスイッチング素子又は前記ローサイドスイッチング素子を開状態から閉状態に切替えたることで、前記切替の前後における前記両端電圧の変化量が第三所定値よりも大きくなる場合には、前記一次コイルにショート故障が生じていると判定することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、前記ハイサイドスイッチング素子を開状態から閉状態に切替えることで、前記切替の前後における前記中間点電圧の変化量が第二所定値よりも大きくなる場合には、前記ハイサイドコンデンサにオープン故障が生じていると判定することを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、前記ローサイドスイッチング素子を開状態から閉状態に切替えることで、前記切替の前後における前記中間点電圧の変化量が第二所定値よりも大きくなる場合には、前記ローサイドコンデンサにオープン故障が生じていると判定することを特徴とする請求項2乃至7のいずれか1項に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、前記中間点電圧が前記両端電圧の半分の電圧値に対して第四所定値よりも高くなった場合に、前記ハイサイドスイッチング素子にショート故障が生じていると判定することを特徴とする請求項9に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、前記中間点電圧が前記両端電圧の半分の電圧値に対して第四所定値よりも低くなった場合に、前記ローサイドスイッチング素子にショート故障が生じていることを判定することを特徴とする請求項9又は10に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、前記両端電圧と略等しい電圧値であることを判定するために設けられた第一閾値よりも前記中間点電圧が高くなった場合に、前記ハイサイドコンデンサにショート故障が生じていると判定することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の点火回路の故障診断装置。
前記判定部は、接地電圧と略等しい電圧値であることを判定する為に設けられた第二閾値よりも前記中間点電圧が低くなった場合に、前記ローサイドコンデンサにショート故障が生じていると判定することを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載の点火回路の故障診断装置。
前記ハイサイドスイッチング素子と前記ローサイドスイッチング素子との接続点が前記一次コイルの第一端と接続される第一状態と、前記電荷供給部と前記コンデンサの直列接続体との接続点が前記一次コイルの前記第一端と接続される第二状態と、を切替える第一経路切替部(15A)と、
前記一次コイルの第二端が前記ハイサイドコンデンサと前記ローサイドコンデンサとの接続点に接続される第三状態と、前記一次コイルの前記第二端が第三スイッチング素子(18)を介して接地と接続される第四状態と、を切替える第二経路切替部(15B)と、
を備え、
前記判定部は、前記点火回路に故障が生じていないと判定した場合に、前記第一経路切替部により前記第一状態に切替えさせ、且つ、前記第二経路切替部により前記第三状態に切替えさせ、一方で、前記一次コイルの故障を除き、前記点火回路の故障箇所を判定した場合に、前記第一経路切替部により前記第二状態に切替えさせ、且つ、前記第二経路切替部により前記第四状態に切替えさせることを特徴とする請求項1乃至13のいずれか1項に記載の点火回路の故障診断装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態を、図面を参照して説明する。
図1に示す内燃機関用の点火回路10は、一つの点火コイル19と、二つのMOSFET13A,13Bが直列に接続されたMOSFETの直列接続体13と、二つのコンデンサ14A,14Bが直列に接続されたコンデンサの直列接続体14と、点火プラグ30と、DC−DCコンバータ12(電荷供給部に該当)と、電圧検出回路22と、二つのリレー15A,15Bと、MOSFET18(第三スイッチング素子に該当)が設けられている。
【0012】
バッテリ11とDC−DCコンバータ12とは直列で繋がっている。本実施形態において、バッテリ11は二次電池を複数直列に接続することで構成されている。このバッテリ11からDC−DCコンバータ12に所定の電圧が印加され、印加された電圧に基づいて、DC−DCコンバータ12は電圧を昇圧させる。
【0013】
DC−DCコンバータ12の出力側は分岐しており、それぞれMOSFETの直列接続体13と、コンデンサの直列接続体14と、電圧検出回路22と、リレー15A(第一経路切替部に該当)に接続される電流経路16Aと、接続されている。
【0014】
コンデンサの直列接続体14のうち、ハイサイドに存在するコンデンサ14A(ハイサイドコンデンサに該当)の第一端はDC−DCコンバータ12の出力側と接続されており、コンデンサ14Aの第二端はコンデンサ14B(ローサイドコンデンサに該当)の第一端と接続されている。そして、コンデンサ14Bの第二端はグランドと接続されている。コンデンサ14Aとコンデンサ14Bとの接続点17Bからは、リレー15B(第二経路切替部に該当)に接続される電流経路16Cが分岐している。コンデンサ14Aとコンデンサ14Bとの接続点17Bからは、電圧検出回路22と接続された電流経路が分岐している。本実施形態において、コンデンサ14Aの容量と、コンデンサ14Bの容量とは等しく設計される。
【0015】
MOSFETの直列接続体13は、コンデンサの直列接続体14と並列接続している。このMOSFETの直列接続体13のうち、ハイサイドに存在するMOSFET13A(ハイサイドスイッチング素子に該当)のドレイン端子はDC−DCコンバータ12の出力側と接続されており、MOSFET13Aのソース端子はMOSFET13B(ローサイドスイッチング素子に該当)のドレイン端子と接続されている。そして、MOSFET13Bのソース端子はグランドと接続されている。MOSFET13AとMOSFET13Bとの接続点17Aからは、リレー15Aに接続される電流経路16Bが分岐している。
【0016】
リレー15Aは、一次コイル19Aの第一端と常時接続しており、電流経路16Aとの接続と、電流経路16Bとの接続と、を切替可能なように設けられている。リレー15Bは、一次コイル19Aの第二端と常時接続しており、電流経路16Cとの接続と、後述の電流経路16Dとの接続と、を切替可能なように設けられている。電流経路16Dとは、MOSFET18を有する電流経路である。MOSFET18のドレイン端子はリレー15Bと接続され、MOSFET18のソース端子はグランドと接続されている。
【0017】
点火コイル19は、一次コイル19Aの他に二次コイル19C及び鉄心19Bを備えている。一次コイル19Aの第一端はリレー15Aと接続され、一次コイル19Aの第二端はリレー15Bと接続されている。一方で、二次コイル19Cの第一端は点火プラグ30を介してグランドに接続され、二次コイル19Cの第二端はグランドに接続されている。
【0018】
点火プラグ30は、対向電極30Aを備えており、また浮遊容量30Bについて図示している。浮遊容量30Bは、対向電極30Aとその周囲を囲む絶縁物と接地とにより形成される容量成分である。これら対向電極30Aと浮遊容量30Bとは、並列接続の関係にある。
【0019】
電圧検出回路22は、二つの抵抗が直列に接続された抵抗直列接続体20を有する電流経路と、二つの抵抗が直列に接続された抵抗直列接続体21を有する電流経路と、を備える分圧回路からなる。
【0020】
抵抗直列接続体20のうち、ハイサイドに存在する抵抗20Aの第一端はDC−DCコンバータ12の出力側と接続されており、抵抗20Aの第二端は抵抗20Bの第一端と接続されている。抵抗20Bの第二端はグランドと接続されている。抵抗直列接続体21のうち、ハイサイドに存在する抵抗21Aの第一端は接続点17Bと接続され、抵抗21Aの第二端が抵抗21Bの第一端と接続されている。抵抗21Bの第二端はグランドと接続されている。抵抗20Aと抵抗20Bとの接続点17D、及び、抵抗21Aと抵抗21Bとの接続点17Eは、それぞれ電子制御ユニット(ECU)40に接続されている。
【0021】
このような構成の電圧検出回路22は、抵抗直列接続体20の接続点17Dの電圧(分圧電圧)をコンデンサの直列接続体14の両端電圧Vinとして、電圧検出信号をECU40(判定部に該当)に送信する。また、抵抗直列接続体21の接続点17Eの分圧電圧をコンデンサ14Aとコンデンサ14Bとの接続点17Bの電圧である中間点電圧V1/2として、電圧検出信号をECU40に送信する。したがって、電圧検出回路22は、両端電圧検出部と、中間点電圧検出部と、に該当する。
【0022】
ECU40は、点火回路10が正常である場合(後述の点火プラグ30に放電を実行させるために必要な構成に故障が生じていないと判定した場合)に、制御信号をリレー15A,15Bに送る。これにより、リレー15Aは、電流経路16Bと一次コイル19Aの第一端とを接続し、電流経路16Aと一次コイル19Aの第一端との接続を遮断する。リレー15Bは、一次コイル19Aの第二端と電流経路16Cとを接続し、一次コイル19Aの第二端と電流経路16Dとの接続を遮断する。つまり、MOSFET13AとMOSFET13Bとの接続点17Aは、リレー15Aと一次コイル19Aとリレー15Bとを介して、コンデンサ14Aとコンデンサ14Bとの接続点17Bに接続される。
【0023】
この状態において、MOSFET13A,13Bが相補的に開閉駆動するように、ECU40は開閉信号をMOSFET13A,13Bに対して送信する。このとき、MOSFET13A,13Bに対して送信する開閉信号の周波数は、点火プラグ30が有する浮遊容量30Bと二次コイル19Cとで電圧共振を生じさせる周波数(共振周波数)に調整する。開閉信号を受信したMOSFET13A,13Bは相補的に開閉動作を実施することで、コンデンサ14A,14Bから一次コイル19Aへの一次電流が通電及び遮断されることで、二次コイル19Cに誘起電圧が生じ、点火プラグ30に放電が複数回実行される。
【0024】
このような点火回路10では、点火プラグ30に放電を実行させるために必要な構成、具体的にはMOSFET13A,13B、コンデンサ14A,14B、一次コイル19A、の内いずれかが故障すると、点火プラグ30に放電を実行させることが困難となる。
【0025】
従来、点火回路の故障診断を行う場合、一次コイル19Aに流れる一次電流の導通と遮断とを制御するスイッチング素子に流れる電流の大きさに基づいて、故障診断を実施していた。本点火回路について、従来と同様に、スイッチング素子に該当するMOSFET13A,13Bに流れる電流を検出することで点火回路10における故障を診断する場合を想定する。この場合、MOSFET13AとMOSFET13Bとに流れる電流をそれぞれ検出する必要があり、特にハイサイドに設けられるMOSFET13Aの電流値測定部は、従来の電流値測定部と比較して複雑な構成を要する。
【0026】
本点火回路10では、点火プラグ30に放電を生じさせる際に一次コイル19Aに流される一次電流はコンデンサ14A又はコンデンサ14B由来である。よって、点火プラグ30に放電を実行させるために必要な上記構成のうちいずれかが故障した場合、電圧検出回路22が検出する両端電圧Vin又は中間点電圧V1/2は、点火回路10が正常である場合と比較して異なる変動を生じさせることが想定される。このとき、故障箇所に応じて、両端電圧Vin又は中間点電圧V1/2がどのような変動を生じるかは予め想定が可能である。したがって、本実施形態に係るECU40は、両端電圧Vin及び中間点電圧V1/2のうち少なくとも一方の電圧に基づいて、点火回路10の故障箇所を判定する。このような構成とすることで、MOSFET13A及びMOSFET13Bに流れる電流に基づいて点火回路10の故障判定を行う装置と比較して、点火回路10の簡素化が可能となる。
【0027】
本実施形態では、故障箇所を判定した場合に、故障箇所に応じて点火制御を適宜変更する。
【0028】
一次コイル19Aに関する故障と判定した場合には、一次コイル19Aに電荷を蓄積することができず、二次コイル19Cに誘起電圧を生じさせることが困難である。この場合には該当する点火回路10を有する気筒の使用を停止し、正常な気筒のみを用いてエンジンの駆動を続行させる(以下、減筒運転と呼称)。
【0029】
また、MOSFET13A,13Bの内、どちらか一方のMOSFETが開状態から閉状態に移行できない故障(以下、オープン故障と呼称)であると判定した場合には、一方の正常のMOSFETを使用して点火プラグ30に放電を実行させる。例えば、MOSFET13Bにオープン故障が生じている場合には、正常であるMOSFET13Aのみを開閉駆動させることで、コンデンサ14Aから一次コイル19Aへの一次電流の導通と遮断を制御する。これにより、二次コイル19Cに誘起電圧を生じさせ、点火プラグ30に放電を実行させる。この制御を、フルトランジスターイグニッション動作(フルトラ動作)と呼称する。
【0030】
それ以外の故障、例えばMOSFET13Aが閉状態から開状態に移行できない故障(以下、ショート故障と呼称)と判定した場合には、MOSFET18を用いてのフルトラ動作により点火プラグ30に放電を実行させる。具体的には、リレー15A,15Bに制御信号を送ることにより、リレー15Aは、電流経路16Aと一次コイル19Aの第一端とを接続し、電流経路16Bと一次コイル19Aの第一端との接続を遮断する。リレー15Bは、一次コイル19Aの第二端と電流経路16Dとを接続し、一次コイル19Aの第二端と電流経路16Cとの接続を遮断する。(非常時回路の形成)。つまり、故障箇所が含まれる電流経路は利用せず、DC−DCコンバータ12からリレー15Aを介して直接一次コイル19Aに流す電流経路を構築し、電流経路16Dが有するMOSFET18が一次コイル19Aへの一次電流の通電と遮断を制御する。非常時回路では、MOSFET18を開閉駆動させることで、一次コイル19Aへの一次電流の導通と遮断を制御するフルトラ動作を実施することで、点火プラグ30に放電を実行させる。
【0031】
本実施形態では、ECU40により後述する
図2の点火回路10の故障判定及び対応処理を実行する。
図2に示す点火回路10の故障判定及び対応処理は、ECU40が電源オンしている期間中にECU40によって所定周期で繰り返し実行される。
【0032】
本処理が起動されると、まずステップS100にて、電圧検出回路22に両端電圧Vinを測定させ、その値を電圧Vbとして記憶する。そして、ステップS110にて、現在、燃焼サイクルにおいて点火プラグ30に放電を実行させる期間(放電期間)内であるか否かを判定する。現在が放電期間内であると判定した場合には(S110:YES)、ステップS120に進む。
【0033】
ステップS120では、MOSFET13Aを開状態(OFF状態)から閉状態(ON状態)に移行させる信号をMOSFET13Aに送信したか否かを判定する。MOSFET13Aを開状態から閉状態に移行させる信号をMOSFET13Aに送信したと判定した場合には(S120:YES)、ステップS130に進む。
【0034】
ステップS130では、MOSFET13Aを開状態から閉状態に移行させる信号をMOSFET13Aに送信してから所定時間の経過後に、電圧検出回路22に両端電圧Vinを測定させ、その値を電圧Vaとして記憶する。所定時間は、次にMOSFET13Aを閉状態から開状態に移行させる信号をMOSFET13Aに送信するまでの時間よりも短く設定される。そして、ステップS140にて、電圧検出回路22に中間点電圧V1/2を測定させ、その値を電圧Vcとして記憶する。
【0035】
ステップS150では、電圧Vbを電圧Vaで引いた差が第一所定値よりも小さいか否かを判定する。第一所定値は、両端電圧Vinに変化が生じていないことを判別するために設けられた値であり、より具体的には、MOSFET13Aを開状態から閉状態に移行させることで生じると想定される両端電圧Vinの変化量よりも小さく設定される。電圧Vbを電圧Vaで引いた差が第一所定値よりも小さいと判定した場合に(S150:YES)、ステップS180に進む。ステップS180では、MOSFET13Aにオープン故障が生じていると判定すると共に、フラグ1をONに設定し、ステップS350に進む。
【0036】
MOSFET13Aにオープン故障が生じている場合、MOSFET13Aが開状態から閉状態に切替わるよう信号を出力しても、MOSFET13Aが閉状態となることはない。この場合、コンデンサ14Aは蓄積された電荷を放出することはないため、
図3に記載されるように両端電圧Vinに変化はない。したがって、MOSFET13Aに対しMOSFET13Aが開状態から閉状態に切替わるよう信号を出力した前後における両端電圧Vinの差が第一所定値よりも小さい場合に、MOSFET13Aにオープン故障が生じていると判定することが可能となる。これは、MOSFET13Bにオープン故障が生じた場合でも同様の傾向が見られる(
図4参照)。
【0037】
電圧Vbを電圧Vaで引いた差が第一所定値よりも大きいと判定した場合に(S150:NO)、ステップS160に進む。ステップS160では、電圧Vcを電圧Vaの半分の値で引いた差が第二所定値よりも大きいか否かを判定する。第二所定値は、MOSFET13Aを開状態から閉状態に移行させることで生じると想定される両端電圧Vinの変化量よりも大きく、且つ、中間点電圧V1/2が両端電圧Vinにまで上昇した場合に生じると想定される変化量よりも小さく設定される。電圧Vcを電圧Vaの半分の値で引いた差が第二所定値よりも大きいと判定した場合には(S160:YES)、ステップS190に進む。ステップS190では、コンデンサ14Aにオープン故障が生じていると判定すると共に、フラグ3をONに設定し、ステップS350に進む。
【0038】
コンデンサ14Aにオープン故障が生じている場合、コンデンサ14Aに電荷は蓄積されない。このため、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切替えた場合に、本来コンデンサ14Aに印加されるはずの電圧が、リレー15Aと一次コイル19Aとリレー15Bとを介して、コンデンサ14Bに印加されることになる。つまり、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切替えることで、
図5に記載されるように両端電圧Vinと略等しい電圧値にまで中間点電圧V1/2が高くなる。したがって、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切替えることで、電圧Vcを電圧Vaの半分の値で引いた差が第二所定値よりも大きくなった場合に、コンデンサ14Aにオープン故障が生じていると判定することが可能となる。
【0039】
電圧Vcを電圧Vaの半分の値で引いた差が第二所定値よりも小さいと判定した場合には(S160:NO)、ステップS170に進む。ステップS170では、電圧Vbを電圧Vaで引いた差が、第三所定値よりも大きいか否かを判定する。第三所定値は、両端電圧Vinが接地電圧にまで減少したことを判別するための値として設定される。電圧Vbを電圧Vaで引いた差が第一所定値よりも大きいと判定した場合には(S170:YES)、ステップS200に進む。ステップS200では、一次コイル19Aにショート故障が生じていると判定すると共に、フラグ4をONに設定し、ステップS350に進む。
【0040】
一次コイル19Aにショート故障が生じた場合、一次コイル19Aが有するインダクタンスによる電流制限が困難となる。このため、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切替えた場合に、
図4に記載されるように、両端電圧Vinが第三所定値を超えて大きく減少する。これは、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切替えた場合にも上記理由により同様の傾向がみられる。このような場合に、一次コイル19Aにショート故障が生じていると判定することが可能となる。
【0041】
また、MOSFET13Aを開状態から閉状態に移行させる信号をMOSFET13Aに送信していないと判定した場合には(S120:NO)、ステップS210に進む。ステップS210では、MOSFET13Bを開状態から閉状態に移行させる信号をMOSFET13Bに送信したか否かを判定する。
【0042】
MOSFET13Bを開状態から閉状態に移行させる信号をMOSFET13Bに送信したと判定した場合には(S210:YES)、ステップS220に進む。ステップS220は、ステップS130に準じる処理であり、具体的には、電圧検出回路22に両端電圧Vinを測定させ、その値を電圧Vdとして記憶する。ステップS230は、ステップS140に準じる処理であり、具体的には、電圧検出回路22に中間点電圧V1/2を測定させ、その値を電圧Veとして記憶する。
【0043】
ステップS240では、電圧Vbを電圧Vdで引いた差が第一所定値よりも小さいか否かを判定する。電圧Vbを電圧Vdで引いた差が第一所定値よりも小さいと判定した場合には(S240:YES)、ステップS270に進む。ステップS270では、MOSFET13Bにオープン故障が生じていると判定すると共に、フラグ2をONに設定し、ステップS350に進む。
【0044】
電圧Vbを電圧Vdで引いた差が第一所定値よりも大きいと判定した場合には(S240:NO)、ステップS250に進む。ステップS250では、電圧Vdの半分の値を電圧Veで引いた差が第二所定値よりも大きいか否かを判定する。このときの第二所定値は、MOSFET13Bを開状態から閉状態に移行させることで生じると想定される両端電圧Vinの変化量よりも大きく、且つ、中間点電圧V1/2が接地電圧にまで減少した場合に生じると想定される変化量よりも小さく設定される。電圧Vdの半分の値を電圧Veで引いた差が第二所定値よりも大きいと判定した場合には(S250:YES)、ステップS280に進む。ステップS280では、コンデンサ14Bにオープン故障が生じていると判定すると共に、フラグ3をONに設定し、ステップS350に進む。
【0045】
コンデンサ14Bにオープン故障が生じている場合、コンデンサ14Bに電荷は蓄積されない。このため、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切替えた場合に、
図5に記載されるように、中間点電圧V1/2が接地電圧まで低下する。したがって、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切替えることで、電圧Vdの半分の値を電圧Veで引いた差が第二所定値よりも大きくなった場合に、コンデンサ14Bにオープン故障が生じていると判定することが可能となる。
【0046】
電圧Vdの半分の値を電圧Veで引いた差が第二所定値よりも小さいと判定した場合には(S250:NO)、ステップS260に進む。ステップS260では、電圧Vbを電圧Vdで引いた差が第三所定値よりも大きいか否かを判定する。電圧Vbを電圧Vdで引いた差が第三所定値よりも大きいと判定した場合には(S260:YES)、ステップS290に進む。ステップS290では、一次コイル19Aにショート故障が生じていると判定すると共に、フラグ4をONに設定し、ステップS350に進む。
【0047】
また、現在が放電期間内ではないと判定した場合には(S110:NO)、ステップS300に進む。ステップS300では、電圧検出回路22に中間点電圧V1/2を測定させ、その値を電圧Vfとして記憶する。
【0048】
ステップS310では、電圧Vfを電圧Vbの半分の値で引いた差が第四所定値よりも大きいか否かを判定する。第四所定値は、第一所定値よりも大きく、第二所定値よりも小さく設定される。電圧Vfを電圧Vbの半分の値で引いた差が第四定値よりも大きいと判定した場合には(S310:YES)、ステップS320に進む。ステップS320では、MOSFET13A及びコンデンサ14Aのいずれか一方にショート故障が生じていると判定すると共に、フラグ3をONに設定する。
【0049】
MOSFET13Aにショート故障が生じた場合、DC−DCコンバータ12は、MOSFET13Aとリレー15Aと一次コイル19Aとを介して、コンデンサ14Bと接続されることになる。したがって、DC−DCコンバータ12から供給される電荷は、コンデンサ14Aに流れるほか、コンデンサ14Bにも流れる。この場合、点火プラグ30が放電を実行しない期間において、
図6に記載されるように、中間点電圧V1/2が両端電圧Vinの半分の電圧値よりも高くなる。ただし、両端電圧Vinと一致するほどには高くならない。
【0050】
あるいは、コンデンサ14Aにショート故障が生じた場合、コンデンサ14Aとコンデンサ14Bとに印加されていた総電圧がコンデンサ14Bに印加されることになる。このため、
図7に記載されるように、中間点電圧V1/2がコンデンサ14Aとコンデンサ14Bとに印加される総電圧と略同じとなる。
【0051】
ステップS310では、MOSFET13Aのショート故障及びコンデンサ14Aのショート故障を区別することなく判定するものである。この為、コンデンサ14Aのショート故障と比較して、中間点電圧V1/2の変化量が小さいことが予想されるMOSFET13Aのショート故障を基準に、第四所定値は設定される。
【0052】
したがって、点火プラグ30が放電を実行しない期間において、電圧Vfを電圧Vbの半分の値で引いた差が第四所定値よりも大きいと判定した場合に、MOSFET13A及びコンデンサ14Aのいずれか一方にショート故障が生じていると判定することが可能となる。
【0053】
電圧Vfを電圧Vbの半分の値で引いた差が第四所定値よりも小さいと判定した場合には(S310:NO)、ステップS320に進む。ステップS320では、電圧Vbの半分の値を電圧Vfで引いた差が第四所定値よりも大きいか否かを判定する。電圧Vbの半分の値を電圧Vfで引いた差が第四所定値よりも大きいと判定した場合には(S320:YES)、ステップS340に進む。ステップS340では、MOSFET13B及びコンデンサ14Bのいずれか一方にショート故障が生じていると判定すると共に、フラグ3をONに設定し、ステップS350に進む。
【0054】
MOSFET13Bにショート故障が生じた場合、コンデンサ14Bが一次コイル19AとMOSFET13Bとを介して接地と接続されるため、
図6に記載されるように、中間点電圧V1/2が両端電圧Vinの半分の電圧値よりも低くなる。
【0055】
あるいは、コンデンサ14Bにショート故障が生じた場合、コンデンサ14Aとコンデンサ14Aとの接続点17Bが、接地と接続された状態になる。したがって、
図7に記載されるように、中間点電圧V1/2が接地電圧と略同じとなる。
【0056】
ステップS320は、MOSFET13Bのショート故障及びコンデンサ14Bのショート故障を区別することなく判定するものである。この為、ステップS310に準じ、コンデンサ14Bのショート故障と比較して、中間点電圧V1/2の変化量が小さいことが予想されるMOSFET13Bのショート故障を基準に、第四所定値は設定される。
【0057】
したがって、点火プラグ30が放電を実行しない期間において、電圧Vbの半分の値を電圧Vfで引いた差が第四所定値よりも大きいと判定した場合には、MOSFET13B及びコンデンサ14Bのいずれか一方にショート故障が生じていると判定することが可能となる。
【0058】
また、電圧Vbを電圧Vaで引いた差が第一所定値よりも小さいと判定した場合(S170:NO)、又は、MOSFET13Bを開状態から閉状態に移行させる信号をMOSFET13Bに送信していないと判定した場合(S210:NO)、又は、電圧Vbを電圧Vdで引いた差が第三所定値よりも小さいと判定した場合(S260:NO)、又は、電圧Vbの半分の値を電圧Vfで引いた差が第四所定値よりも小さいと判定した場合には(S320:NO)、ステップS350に進む。
【0059】
ステップS350では、フラグ4をONに設定しているか否かを判定する。フラグ4をONに設定していないと判定した場合には(S350:NO)、ステップS360に進む。ステップS360では、フラグ1をONに設定しているか否かを判定する。フラグ1をONに設定していないと判定した場合には(S360:NO)、ステップS370に進む。ステップS370では、フラグ2をONに設定しているか否かを判定する。フラグ2をONに設定していない場合には(S370:NO)、ステップS380に進む。ステップS380では、フラグ3をONに設定しているか否かを判定する。フラグ3をONに設定していないと判定した場合には(S380:NO)、本制御を終了する。
【0060】
フラグ3をONに設定していると判定した場合には(S380:YES)、ステップS390に進み、非常時回路に切替えフルトラ動作を実施し、本制御を終了する。
【0061】
フラグ1をONに設定していると判定した場合には(S360:YES)、ステップS400に進む。ステップS400は、ステップS370に準じる処理であり、具体的にはフラグ2をONに設定しているか否かを判定する。フラグ2をONに設定していると判定した場合(S400:YES)、又は、フラグ4をONに設定していると判定した場合(S350:YES)には、ステップS420に進み、減筒運転を実施し、本制御を終了する。
【0062】
フラグ1とフラグ2とが二つONに設定されている場合、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切替えても、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切替えても、両端電圧Vinに変化はなかったことになる。この場合には、MOSFET13A,13Bが共にオープン故障を生じている可能性の他に、そもそも一次コイル19Aにオープン故障が生じており、コンデンサ14A,14Bから一次コイル19Aに一次電流が流れることのない状況となっている可能性がある。仮に一次コイル19Aにオープン故障が生じている場合には、前述の通り、一次コイル19Aに電荷を蓄積することができず、二次コイル19Cに誘起電圧を生じさせることが困難であることが想定される。よって、フラグ1とフラグ2とが二つONに設定されている場合には、減筒運転を実施することが適切である。
【0063】
フラグ1をONに設定していず、フラグ2をONに設定していると判定した場合(S370:YES)、又は、フラグ1をONに設定しており、フラグ2をONに設定していないと判定した場合には(S400:NO)、ステップS410に進み、正常なMOSFETを用いてフルトラ動作を実施し、本制御を終了する。
【0064】
上記構成により、本実施形態は、以下の効果を奏する。
【0065】
・両端電圧Vin及び中間点電圧V1/2のうち少なくとも一方の電圧に基づいて、点火回路10の故障箇所を判定することが可能となる。また、MOSFET13A及びMOSFET13Bに流れる電流に基づいて点火回路10の故障判定を行う装置と比較して、点火回路10の簡素化が可能となる。
【0066】
・点火プラグ30の放電期間中は、MOSFET13A及びMOSFET13Bが相補的に開閉される。これにより、MOSFET13A及びMOSFET13Bから相補的に一次電流が流れることで、両端電圧Vin及び中間点電圧V1/2が変動する。このとき、その変動が想定するものと異なっていた場合には、両端電圧Vin及び中間点電圧1/2のうち少なくとも一方の電圧に基づいて点火回路10の故障箇所を判定することができる。
【0067】
・点火回路10が正常である場合、MOSFET13A及びMOSFET13Bが相補的に開閉されない点火プラグ30の非放電期間中は、中間点電圧V1/2は両端電圧Vinの半分の電圧値として一定となっている。このため、中間点電圧V1/2が両端電圧Vinの半分の電圧値として一定となっていない場合には、点火回路10の構成要素のいずれかに故障が生じていると判定することが可能となる。また、この故障判定では、点火プラグ30の放電期間中には判定が困難な故障を判定することが可能となる。
【0068】
・フラグ3がONとなる故障が生じた場合に、非常時回路に切替えフルトラ動作が実施される。これにより、故障判定した箇所を含め、MOSFETの直列接続体13とコンデンサの直列接続体14とを介さず、別経路を用いて一次コイル19Aに一次電流を流すことが可能となる。すなわち、MOSFET18の開閉動作により、直接DC−DCコンバータ12から一次コイル19Aへの電荷の供給と遮断を制御することができ、ひいては点火プラグ30に放電を実行させることが可能となる。
【0069】
上記実施形態を、以下のように変更して実施することもできる。
【0070】
・上記実施形態において、MOSFET13A,13Bに対して送信する開閉信号の周波数は、共振周波数に調整されていた。このことについて、必ずしも共振周波数に調整される必要はない。
【0071】
・上記各実施形態では、一次コイル19Aに供給される電圧はバッテリ11の電圧をDC−DCコンバータ12により昇圧されたものとしていた。このことについて、ハイブリッド車などで使用される高圧バッテリに変更しても良い。この場合、高圧バッテリが電荷供給部に該当する。こうすることで、DC−DCコンバータ12での昇圧は必要なくなり、構成を更に簡便化することが出来る。
【0072】
・一次コイル19Aに流れる一次電流の導通及び遮断の制御を行なうスイッチング素子として、上記実施形態では、MOSFET13A,13Bを使用していた。このことについて、パワートランジスタやサイリスタやトライアックなどに変更してもよい。
【0073】
・上記実施形態では、放電期間内において、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切替える前の両端電圧Vin(電圧Vbに該当)と、後の両端電圧Vin(電圧Vaに該当)と、を測定し、故障判定に用いていた。このことについて、電圧Vbと電圧Vaとの測定は上記方法に限らない。
図3に記載されるように、MOSFET13AとMOSFET13Bとを相補的に開閉駆動させる場合に、両方のMOSFETが共に開状態となる期間が生じる(以下、OFFデッドタイムと呼称する)。本別例では、MOSFET13Bを閉状態から開状態に切替え、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切り替えるまでの期間であるOFFデッドタイムに測定される両端電圧Vinを、電圧Vbとして記憶する。また、電圧Vbを記憶した後、MOSFET13Aを閉状態から開状態に切替え、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切り替えるまでの期間であるOFFデッドタイムに測定される両端電圧Vinを、電圧Vaとして記憶する。記憶した電圧Vbと電圧Vaとを用いることで、MOSFET13Aが閉状態である期間に両端電圧Vinがどれだけ変化したかを正確に算出することができ、ひいては、より精度の高い故障判定を実施することが可能となる。
【0074】
中間点電圧V1/2(電圧Vcに該当)の測定も同様に、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切替え、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切り替えるまでの期間であるOFFデッドタイムに測定される中間点電圧V1/2を電圧Vcとして記憶する。
【0075】
MOSFET13Bを開状態から閉状態に切替える場合の電圧Vbと電圧Vdとの測定もまた、上記別例に準じ、以下に記載の測定方法を適用できる。MOSFET13Aを閉状態から開状態に切替え、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切り替えるまでの期間であるOFFデッドタイムに測定される両端電圧Vinを、電圧Vbとして記憶する。また、電圧Vbを記憶した後、MOSFET13Bを閉状態から開状態に切替え、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切り替えるまでの期間であるOFFデッドタイムに測定される両端電圧Vinを、電圧Vdとして記憶する。中間点電圧V1/2(電圧Veに該当)の測定も同様に、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切替え、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切り替えるまでの期間であるOFFデッドタイムに測定される中間点電圧V1/2を電圧Veとして記憶する。
【0076】
・上記実施形態では、MOSFET13A,13Bの内、どちらか一方のMOSFETにショート故障が生じていると判定した場合には、非常時回路に切替えフルトラ動作を実施していた。このことについて、正常なMOSFETを用いてフルトラ動作を実施してもよい。
【0077】
・上記実施形態では、MOSFET13A,13Bの内、どちらか一方のMOSFETにオープン故障が生じていると判定した場合には、正常なMOSFETを用いてフルトラ動作を実施していた。このことについて、非常時回路に切替えフルトラ動作を実施してもよい。
【0078】
・上記実施形態では、一次コイル19Aに関する故障であった場合に減筒運転を実施していた。このことについて、一次コイル19Aに関する故障を含め、点火プラグ30に放電を実行させるために必要な構成のいずれかに故障が生じた場合に、減筒運転を実施してもよい。したがって、非常時回路を形成する上で必要なリレー15Aと、リレー15Bと、電流経路16Aと、MOSFET18を有する電流経路16Dと、は点火回路10を構成する上で必ずしも必要ではない。
【0079】
[別例1]上記実施形態では、第二所定値を用いてコンデンサ14Aのオープン故障判定を、あるいは、第四所定値を用いてコンデンサ14Aのショート故障判定を実施していた。このことについて、上記判定に代えて、以下に記載される両端電圧Vinと略等しい電圧値であることを判定するために設けられた第一閾値と中間点電圧V1/2との比較判定を実施してもよい。
【0080】
コンデンサ14Aにオープン故障が生じている状態で、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切替えた場合には、本来コンデンサ14Aに印加されるはずの電圧が一次コイル19Aを介してコンデンサ14Bに印加されることになる。したがって、
図5に記載されるように中間点電圧V1/2が両端電圧Vinと略等しくなる。このため、MOSFET13Aを開状態から閉状態に切替えることで、第一閾値よりも中間点電圧V1/2が高くなった場合に、コンデンサ14Aにオープン故障が生じていると判定することが可能となる。
【0081】
コンデンサ14Aにショート故障が生じた場合、コンデンサ14Aとコンデンサ14Bとに印加されていた総電圧がコンデンサ14Bに印加されることになる。このため、
図7に記載されるように中間点電圧V1/2がコンデンサ14Aとコンデンサ14Bとに印加される総電圧と略同じとなる。したがって、点火プラグ30が放電を実行しない期間において、第一閾値よりも中間点電圧V1/2が高くなった場合に、コンデンサ14Aにショート故障が生じていると判定することが可能となる。
【0082】
・上記実施形態では、MOSFET13Aのショート故障とコンデンサ14Aのショート故障とを区別せず、故障判定を実施していた(
図2におけるステップS310)。このことについて、[別例1]に記載の判定方法を用いることで、MOSFET13Aのショート故障とコンデンサ14Aのショート故障とを区別して、故障判定することが可能となる。
【0083】
具体的には、点火プラグ30が放電を実行しない期間において、中間点電圧V1/2が第一閾値よりも高くなった場合には、コンデンサ14Aにショート故障が生じていると判定する。一方で、点火プラグ30が放電を実行しない期間において、中間点電圧V1/2が第一閾値よりも低く、且つ、中間点電圧V1/2を両端電圧Vinの半分の値で引いた差が第四所定値よりも大きい場合に、MOSFET13Aにショート故障が生じていると判定する。
【0084】
[別例2]上記実施形態では、第二所定値を用いてコンデンサ14Bのオープン故障判定を、あるいは、第四所定値を用いてコンデンサ14Bのショート故障判定を実施していた。このことについて、上記判定に代えて、以下に記載される接地電圧と略等しい電圧値であることを判定する為に設けられた第二閾値と中間点電圧V1/2との比較判定を実施してもよい。
【0085】
コンデンサ14Bにオープン故障が生じている場合、コンデンサ14Bに電荷は蓄積されない。このため、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切替えた場合に、中間点電圧V1/2が接地電圧まで低下する。したがって、MOSFET13Bを開状態から閉状態に切替えることで、第二閾値よりも中間点電圧V1/2が低くなった場合に、コンデンサ14Bにオープン故障が生じていると判定することが可能となる。
【0086】
コンデンサ14Bにショート故障が生じた場合、コンデンサ14Aとコンデンサ14Bとの接続点17Bが、接地と接続された状態になる。したがって、中間点電圧V1/2が接地電圧と略同じとなる。このため、点火プラグ30が放電を実行しない期間において、第二閾値よりも中間点電圧V1/2が低くなった場合に、コンデンサ14Bにショート故障が生じていると判定することが可能となる。
【0087】
・上記実施形態では、MOSFET13Bのショート故障とコンデンサ14Bのショート故障とを区別せず、故障判定を実施していた(
図2におけるステップS320)。このことについて、[別例2]に記載の判定方法を用いることで、MOSFET13Bのショート故障とコンデンサ14Bのショート故障とを区別して、故障判定することが可能となる。
【0088】
具体的には、点火プラグ30が放電を実行しない期間において、中間点電圧V1/2が第二閾値よりも低くなった場合には、コンデンサ14Bにショート故障が生じていると判定する。一方で、点火プラグ30が放電を実行しない期間において、中間点電圧V1/2が第二閾値よりも高く、且つ、両端電圧Vinの半分の値を中間点電圧V1/2で引いた差が第四所定値よりも大きい場合に、MOSFET13Bにショート故障が生じていると判定する。