特許第6643156号(P6643156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643156
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】水の侵入を防止する自動ドア装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/00 20060101AFI20200130BHJP
   E04H 9/14 20060101ALI20200130BHJP
   E05F 15/72 20150101ALI20200130BHJP
【FI】
   E06B5/00 Z
   E04H9/14 Z
   E05F15/72
【請求項の数】12
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-48022(P2016-48022)
(22)【出願日】2016年3月11日
(65)【公開番号】特開2017-160735(P2017-160735A)
(43)【公開日】2017年9月14日
【審査請求日】2018年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルテクノサービス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 良則
【審査官】 家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−86547(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3163288(JP,U)
【文献】 米国特許第5460462(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00
E04H 9/14
E05F 15/00−15/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スライド移動することにより開閉動作する第1ドアと、
前記第1ドアと対になり、前記第1ドアとは逆の方向にスライド移動することにより開閉動作する第2ドアと、
を含み、
前記第1ドアと前記第2ドアとが閉じられた状態において、前記第1ドアと前記第2ドアとが互いに突き合わされる、引き戸式の自動ドア装置において、
前記第1ドア及び前記第2ドアのうちの少なくとも一方のドア内において外部に引き出し可能に収容されたバリケードと、
前記バリケードの引き出し指示に従って、前記第1ドアと前記第2ドアの開動作に伴って、前記バリケードを前記第1ドアと前記第2ドアとの間の床面上に引き出す引出部と、
前記第1ドア内に形成され、側面及び前記床面側の面が開口して前記バリケードを収容するための空間を有する第1収容部と、
前記第2ドア内に形成され、側面及び前記床面側の面が開口して前記バリケードを収容するための空間を有する第2収容部と、
を含み、
前記引出部によって前記バリケードが引き出された状態で、前記第1ドアと前記第2ドアが閉状態になることにより、前記バリケードが前記床面上に設置されつつ、前記第1収容部内と前記第2収容部内に収容され、これにより、前記第1ドア及び前記第2ドアの前記床面側の端部と、前記床面と、の間が前記バリケードによって塞がれる、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項2】
請求項1に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記バリケードは、引き出し前の状態において、前記第1収容部及び前記第2収容部のうちの少なくとも一方の収容部内に収容されており、
前記引出部は、前記引き出し指示に従って、前記第1ドアと前記第2ドアの開動作に伴って、前記少なくとも一方の収容部内から前記第1ドアと前記第2ドアとの間の前記床面上に前記バリケードを引き出す、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項3】
請求項2に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記第1収容部内と前記第2収容部内とにそれぞれ設けられ、前記スライド移動の方向に水平に延在する支持部材を更に含み、
前記バリケードの両側面には、前記支持部材が挿入される挿入孔が形成されており、
前記バリケードが引き出されて前記第1収容部内と前記第2収容部内に収容された状態で、前記支持部材が前記挿入孔に挿入される、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項4】
請求項3に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記少なくとも一方の収容部内に設けられたガイド部材であって、前記バリケードが引き出される前においては、前記スライド移動の方向に対して斜めに配置されることにより、前記バリケードにおいて引き出し方向の前方側よりも後方側が高い位置に配置されるように、前記バリケードを斜めに支持するガイド部材を更に含み、
前記ガイド部材は、前記バリケードが引き出された後、前記スライド移動の方向に対して斜めの状態から水平の状態に配置され、これにより、前記支持部材として機能する、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項5】
請求項2に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
引き出された状態の前記バリケードを、前記床面に押し付ける押付部材を更に有する、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項6】
請求項5に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記第1ドア及び前記第2ドアの閉動作に伴って、前記押付部材が前記バリケードを押し付ける、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項7】
請求項6に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記押付部材は、前記第1収容部内と前記第2収容部内とにそれぞれ設けられ、前記スライド移動の方向に水平に延在する部材であり、
前記バリケードの両側面には、前記スライド移動の方向に対して傾斜した傾斜面が形成されており、
前記第1ドア及び前記第2ドアの閉動作に伴って、前記第1収容部内に設けられた前記押付部材と前記第2収容部内に設けられた前記押付部材が、互いに反対方向から前記バリケードの前記傾斜面を押し付けることにより、前記バリケードを前記床面へ押し付ける、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項8】
請求項7に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記少なくとも一方の収容部内に設けられたガイド部材であって、前記バリケードが引き出される前においては、前記スライド移動の方向に対して斜めに配置されることにより、前記バリケードにおいて引き出し方向の前方側よりも後方側が高い位置に配置されるように、前記バリケードを斜めに支持するガイド部材を更に有し、
前記ガイド部材は、前記バリケードが引き出された後、前記スライド移動の方向に対して斜めの状態から水平の状態に配置され、これにより、前記押付部材として機能する、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記床面には、前記バリケードが挿入される溝部が形成されており、
引き出された状態の前記バリケードは、前記溝部に挿入される、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項10】
請求項9に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記バリケードにおいて前記溝部に挿入される部分は、先細りの形状を有している、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記引出部は電磁石装置であり、前記引き出し指示に従って、前記第1ドアと前記第2ドアの開動作に伴って、磁力によって前記バリケードを前記第1ドアと前記第2ドアとの間の前記床面上に引き出す、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【請求項12】
請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、
前記床面における水位を検知するセンサと、
前記センサによって検知された水位が閾値以上の場合に、前記第1ドアと前記第2ドアが開状態になるように前記第1ドアと前記第2ドアをスライド移動させるとともに、前記引き出し指示を出力することにより、前記引出部に前記バリケードを引き出させ、前記バリケードが引き出された後に、前記第1ドアと前記第2ドアが閉状態になるように前記第1ドアと前記第2ドアをスライド移動させる制御部と、
を更に含む、
ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動ドア装置に関し、特に、建物等への水の侵入を抑制又は防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
大雨等が発生した場合、建物の外部に面する自動ドアから建物内に雨水が侵入しないように、一般的には、自動ドアの周囲に土嚢等を設置して対応している。土嚢等の設置作業は、通常、作業者等の人によって行われる。なお、特許文献1には、開閉される開口部からの浸水を抑制するための防水装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】2015−178771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、集中豪雨等が発生した場合、建物内に雨水が素早く侵入する可能性があるため、迅速な対応が要求される。この状況下で土嚢等の準備に手間取った場合、その準備が間に合わず、建物内に雨水が侵入してしまうことがある。
【0005】
本発明の目的は、自動ドア装置において、水の侵入を迅速に防止できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、スライド移動することにより開閉動作する第1ドアと、前記第1ドアと対になり、前記第1ドアとは逆の方向にスライド移動することにより開閉動作する第2ドアと、を含み、前記第1ドアと前記第2ドアとが閉じられた状態において、前記第1ドアと前記第2ドアとが互いに突き合わされる、引き戸式の自動ドア装置において、前記第1ドア及び前記第2ドアのうちの少なくとも一方のドア内において外部に引き出し可能に収容されたバリケードと、前記バリケードの引き出し指示に従って、前記第1ドアと前記第2ドアの開動作に伴って、前記バリケードを前記第1ドアと前記第2ドアとの間の床面上に引き出す引出部と、前記第1ドア内に形成され、側面及び前記床面側の面が開口して前記バリケードを収容するための空間を有する第1収容部と、前記第2ドア内に形成され、側面及び前記床面側の面が開口して前記バリケードを収容するための空間を有する第2収容部と、を含み、前記引出部によって前記バリケードが引き出された状態で、前記第1ドアと前記第2ドアが閉状態になることにより、前記バリケードが前記床面上に設置されつつ、前記第1収容部内と前記第2収容部内に収容され、これにより、前記第1ドア及び前記第2ドアの前記床面側の端部と、前記床面と、の間が前記バリケードによって塞がれる、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記バリケードは、引き出し前の状態において、前記第1収容部及び前記第2収容部のうちの少なくとも一方の収容部内に収容されており、前記引出部は、前記引き出し指示に従って、前記第1ドアと前記第2ドアの開動作に伴って、前記少なくとも一方の収容部内から前記第1ドアと前記第2ドアとの間の前記床面上に前記バリケードを引き出す、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記第1収容部内と前記第2収容部内とにそれぞれ設けられ、前記スライド移動の方向に水平に延在する支持部材を更に含み、前記バリケードの両側面には、前記支持部材が挿入される挿入孔が形成されており、前記バリケードが引き出されて前記第1収容部内と前記第2収容部内に収容された状態で、前記支持部材が前記挿入孔に挿入される、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記少なくとも一方の収容部内に設けられたガイド部材であって、前記バリケードが引き出される前においては、前記スライド移動の方向に対して斜めに配置されることにより、前記バリケードにおいて引き出し方向の前方側よりも後方側が高い位置に配置されるように、前記バリケードを斜めに支持するガイド部材を更に含み、前記ガイド部材は、前記バリケードが引き出された後、前記スライド移動の方向に対して斜めの状態から水平の状態に配置され、これにより、前記支持部材として機能する、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項2に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、引き出された状態の前記バリケードを、前記床面に押し付ける押付部材を更に有する、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記第1ドア及び前記第2ドアの閉動作に伴って、前記押付部材が前記バリケードを押し付ける、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0012】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記押付部材は、前記第1収容部内と前記第2収容部内とにそれぞれ設けられ、前記スライド移動の方向に水平に延在する部材であり、前記バリケードの両側面には、前記スライド移動の方向に対して傾斜した傾斜面が形成されており、前記第1ドア及び前記第2ドアの閉動作に伴って、前記第1収容部内に設けられた前記押付部材と前記第2収容部内に設けられた前記押付部材が、互いに反対方向から前記バリケードの前記傾斜面を押し付けることにより、前記バリケードを前記床面へ押し付ける、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0013】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記少なくとも一方の収容部内に設けられたガイド部材であって、前記バリケードが引き出される前においては、前記スライド移動の方向に対して斜めに配置されることにより、前記バリケードにおいて引き出し方向の前方側よりも後方側が高い位置に配置されるように、前記バリケードを斜めに支持するガイド部材を更に有し、前記ガイド部材は、前記バリケードが引き出された後、前記スライド移動の方向に対して斜めの状態から水平の状態に配置され、これにより、前記押付部材として機能する、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0014】
請求項9に係る発明は、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記床面には、前記バリケードが挿入される溝部が形成されており、引き出された状態の前記バリケードは、前記溝部に挿入される、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0015】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記バリケードにおいて前記溝部に挿入される部分は、先細りの形状を有している、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0016】
請求項11に係る発明は、請求項1から請求項10のいずれか一項に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記引出部は電磁石装置であり、前記引き出し指示に従って、前記第1ドアと前記第2ドアの開動作に伴って、磁力によって前記バリケードを前記第1ドアと前記第2ドアとの間の前記床面上に引き出す、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【0017】
請求項12に係る発明は、請求項1から請求項11のいずれか一項に記載の水の侵入を防止する自動ドア装置において、前記床面における水位を検知するセンサと、前記センサによって検知された水位が閾値以上の場合に、前記第1ドアと前記第2ドアが開状態になるように前記第1ドアと前記第2ドアをスライド移動させるとともに、前記引き出し指示を出力することにより、前記引出部に前記バリケードを引き出させ、前記バリケードが引き出された後に、前記第1ドアと前記第2ドアが閉状態になるように前記第1ドアと前記第2ドアをスライド移動させる制御部と、を更に含む、ことを特徴とする水の侵入を防止する自動ドア装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によると、自動ドア装置において、水の浸入を迅速に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第1実施形態に係る自動ドア装置を示す図である。
図2】一方のドアの側面を示す図である。
図3】他方のドアの側面を示す図である。
図4】通常時における自動ドア装置の動作を説明するための図である。
図5】冠水時における自動ドア装置の動作を説明するための図である。
図6】冠水時における自動ドア装置の動作を説明するための図である。
図7】変形例1に係る自動ドア装置を示す図である。
図8】溝部を示す断面図である。
図9】冠水時における自動ドア装置の動作を説明するための図である。
図10】溝部とバリケードを示す断面図である。
図11】溝部とバリケードを示す断面図である。
図12】変形例2に係る自動ドア装置を示す図である。
図13】冠水時における自動ドア装置の動作を説明するための図である。
図14】本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置を示す図である。
図15】冠水時における自動ドア装置の動作を説明するための図である。
図16】冠水時における自動ドア装置の動作を説明するための図である。
図17】変形例3に係る自動ドア装置を示す図である。
図18】本発明の第3実施形態に係る自動ドア装置を示す図である。
図19】冠水時における自動ドア装置の動作を説明するための図である。
図20】冠水時における自動ドア装置の動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る自動ドア装置10が示されている。図1において、X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交する軸であり、これらによって三次元直交座標系が構成されている。図1には、Y軸方向から見た状態の自動ドア装置10が示されている。
【0021】
水の浸入を防止する自動ドア装置としての自動ドア装置10は、例えば建物、部屋、エレベータ等において、それらの出入口に設置されている。自動ドア装置10は、ドア枠体12と、一対のドア14,16と、センサ18と、制御装置20と、を含み、引き戸式の自動ドア装置である。
【0022】
ドア14,16は、ドア枠体12に支持されている。具体的には、ドア14,16の上端部がドア枠体12に支持されており、ドア14,16はドア枠体12から吊り下げられて、床面22から浮いた状態で支持されている。
【0023】
ドア14,16は、図示しない駆動装置によって、水平方向(X方向)にスライド移動する。ドア14,16は、互いに逆方向にスライド移動することにより開閉動作する。ドア14,16が閉じられた状態においては、ドア14,16の両側面が互いに付き合わされる。ドア14,16が開状態の場合、ドア14とドア16との間に、人や物等の移動体が通行する開口部が形成され、ドア14,16が閉状態の場合、その開口部が閉じられる。
【0024】
ドア14,16内には、それぞれ収容部が形成されている。ドア14内の収容部は、ドア14のX方向の両側面及び下面(床面22に対向する面)が開口した空間を有している。同様に、ドア16内の収容部は、ドア16のX方向の両側面及び下面(床面22に対向する面)が開口した空間を有している。
【0025】
ドア14の収容部内には、ドア14の収容部から外部へ引き出し可能なバリケード24が収容されている。バリケード24は、例えば、矩形状の形状を有する金属製の平板部材である。バリケード24の両側面には、バリケード24の長手方向に延在する挿入孔26が形成されている。バリケード24が床面22上に設置された状態で、挿入孔26は、水平方向(X方向)に延在する孔である。挿入孔26には、後述する支持部材28,30が挿入される。挿入孔26の長さは、支持部材28,30の長さよりも長ければよい。図1に示す例では、挿入孔26はバリケード24を貫通しているが、挿入孔26は、支持部材28,30よりも長ければよく、バリケード24を貫通していなくてもよい。
【0026】
ドア14の収容部内には、支持部材28が収容されている。支持部材28は、例えば棒状の部材である。支持部材28上にバリケード24が設置されており、これにより、収容部内において、バリケード24が支持部材28によって支持されている。バリケード24が支持部材28上に設置されている状態においては、支持部材28は、水平方向(X方向)に対して斜めに設置されている。例えば、支持部材28の先端部(ドア16に近い端部)よりも、支持部材28の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置されるように、支持部材28が傾斜した状態で配置されている。これにより、バリケード24の先端部(ドア16に近い端部)よりも、バリケード24の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置され、バリケード24は傾斜した状態で配置されている。
【0027】
支持部材28は、図示しないラッチ機構によって、ドア14の収容部(ドア14の内部)に移動可能に設置されている。例えば、支持部材28の後端部(ドア16から遠い端部)がラッチ機構によってドア14の収容部に固定されている。バリケード24が支持部材28上に設置されている状態においては、そのラッチ機構の作用によって、支持部材28は傾斜した状態で配置される。後述するように、バリケード24がドア14の収容部から引き出された場合、ラッチ機構の作用によって、支持部材28の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、これにより、支持部材28は水平方向(X方向)に対して平行に配置される。支持部材28は、本発明の「ガイド部材」の一例に相当する。
【0028】
ドア16の収容部内には、支持部材30が収容されている。支持部材30は、例えば棒状の部材である。支持部材30の後端部(ドア14から遠い端部)が、図示しない固定部材によってドア16の収容部(ドア16の内部)に固定されている。支持部材30は、水平方向(X方向)に対して平行に配置されている。
【0029】
ドア16の側面(ドア14に対向する側面)には、引出部としての電磁石装置32が設けられている。電磁石装置32は、例えば、ドア16の側面側においてドア16内に埋め込まれている。電磁石装置32は、電磁石によって磁力を発生させる装置であり、制御装置20から磁力発生指示を受けると、電磁石をON状態にして磁力を発生させる。磁力発生指示が、バリケード24の引き出し指示の一例に相当する。電磁石装置32は、バリケード24をドア14から引き出す際に利用される装置であり、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード24をドア14内から引き出す。
【0030】
センサ18は、床面22上の水位を検知するセンサであり、例えば近赤外線センサである。センサ18は、例えばドア枠体12に設置され、建物、部屋、エレベータ等において、ドア14,16を境界にしてそれらの外側の床面22上の水位を検知する。もちろん、センサ18は、ドア枠体12以外の場所に設置されて、別の場所の水位を検知してもよい。例えば、センサ18は、自動ドア装置10の近傍に設けられた雨水ピットに設けられ、その雨水ピット内の水位を検知してもよい。センサ18としては、近赤外線センサ以外のセンサが用いられてもよい。
【0031】
制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16の開閉動作を制御する装置である。例えば、図示しないセンサによって、ドア14,16の周囲に存在する人や物等の移動体が検知された場合、制御装置20は、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。ドア14,16が開いた状態において、所定時間の間、センサによって移動体が検知されない場合、制御装置20は、ドア14,16を閉じる方向へスライド移動させる。別の例として、開操作を行うための操作ボタンがドア14,16に設けられていてもよい。その操作ボタンが操作された場合、制御装置20は、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。ドア14,16が開いた状態において、所定時間の間、操作ボンタンが操作されない場合、制御装置20は、ドア14,16を閉じる方向へスライド移動させる。
【0032】
また、制御装置20は、センサ18からの検出結果に応じて、ドア14,16をスライド移動させるとともに、電磁石装置32を制御する。具体的には、センサ18によって検知された水位が閾値以上になった場合、制御装置20は、磁力発生指示(バリケード24の引き出し指示)を電磁石装置32に出力するとともに、ドア14,16が開状態となるようにドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、電磁石装置32の電磁石がON状態になって磁力が発生し、この磁力によってバリケード24が電磁石装置32に吸着し、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード24が、ドア14内からドア14とドア16との間の床面22上に引き出される。バリケード24が引き出された状態で、制御装置20は、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、ドア14,16の収容部内にバリケード24が収容される。閾値は、予め設定された値であってもよいし、作業者や管理者等によって変更されてもよい。
【0033】
次に、図2を参照して、ドア14の構成について詳しく説明する。図2には、X軸方向から見た状態の自動ドア装置10が示されている。より詳しく説明すると、ドア16に対向する側面とは反対側の側面側から見た状態のドア14が示されている。
【0034】
ドア14は、例えば、互いに隙間をあけて平行に配置された2枚の平板状のドア部材14a,14bによって構成されている。ドア部材14a,14bの上端部はドア枠体12に支持されており、ドア部材14a,14bはドア枠体12から吊り下げられて、床面22から浮いた状態で支持されている。
【0035】
ドア部材14a,14bは互いに隙間をあけて配置されているので、ドア部材14aとドア部材14bとの間には、空間としての収容部34(隙間に相当する部分)が形成されている。ドア部材14a,14bの上端部がドア枠体12に支持されているため、ドア14の上面は閉じている。それ以外の面は開口している。つまり、ドア14のX方向の両側面と下面(床面22に対向する面)が開口しており、これにより、収容部34のX方向の両側面と下面(床面22に対向する面)が開口し、収容部34の上面(ドア枠体12に対向する面)が閉じている。
【0036】
収容部34内(ドア部材14aとドア部材14bとの間の隙間)には、バリケード24と支持部材28が収容されている。支持部材28は、図示しないラッチ機構によって、ドア部材14a,14bの内面に移動可能に設置されている。バリケード24の側面には、挿入孔26が形成されている。挿入孔26は、一例として、X方向にバリケード24を貫通している。
【0037】
検知エリア36は、センサ18による検知エリアであり、検知エリア36における水位がセンサ18によって検知される。検知エリア36は、例えば、ドア14,16を境界にして、建物、部屋、エレベータ等において外側に形成される。
【0038】
次に、図3を参照して、ドア16の構成について詳しく説明する。図3には、X軸方向から見た状態の自動ドア装置10が示されている。より詳しく説明すると、ドア14に対向する側面側から見た状態のドア16が示されている。
【0039】
ドア16は、ドア14と同様に、例えば、互いに隙間をあけて平行に配置された2枚の平板状のドア部材16a,16bによって構成されている。ドア部材16a,16bの上端部はドア枠体12に支持されており、ドア部材16a,16bはドア枠体12から吊り下げられた状態で支持されている。
【0040】
ドア部材16a,16bは互いに隙間をあけて配置されているので、ドア部材16aとドア部材16bとの間には、空間としての収容部38(隙間に相当する部分)が形成されている。ドア部材16a,16bの上端部がドア枠体12に支持されているため、ドア16の上面は閉じている。それ以外の面は開口している。つまり、ドア16のX方向の両側面と下面(床面22に対向する面)が開口しており、これにより、収容部38のX方向の両側面と下面(床面22に対向する面)が開口し、収容部38の上面(ドア枠体12に対向する面)が閉じている。
【0041】
収容部38内(ドア部材16aとドア部材16bとの間の隙間)には、支持部材30が収容されている。支持部材30の後端部(ドア14から遠い端部)が、図示しない固定部材によってドア部材16a,16bの内面に固定されている。
【0042】
また、ドア部材16a,16bの側面(ドア14に対向する側面)に電磁石装置32が設けられている。電磁石装置32は、ドア部材16a,16bの側面(ドア14に対向する側面)側において、ドア部材16a,16bに埋め込まれていてもよいし、収容部38内に設置されていてもよい。
【0043】
以下、自動ドア装置10の動作について説明する。
【0044】
まず、図4を参照して、通常時の動作について説明する。通常時においては、図示しないセンサによって移動体が検知された場合、又は、操作ボタンが操作された場合、制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16が開状態になるように、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、ドア14は、X1方向に移動し、ドア16は、X1方向とは逆のX2方向に移動する。これにより、ドア14とドア16との間に開口部40が形成され、その開口部40を介して移動体が移動する。図4に示す例では、ドア14,16は全開状態となっている。
【0045】
次に、図5及び図6を参照して、冠水時の動作について説明する。センサ18によって検知された水位が閾値以上になった場合、制御装置20は、冠水が発生したと判断し、冠水時の措置を実行する。一例として、ドア14,16が閉じているものとする。まず、制御装置20は、磁力発生指示(バリケード24の引き出し指示)を電磁石装置32に出力する。これにより、電磁石装置32の電磁石がON状態になって磁力が発生し、その磁力によって、バリケード24が電磁石装置32に吸着する。次に、制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16が開状態になるように、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、図5に示すように、ドア14がX1方向へ移動し、ドア16がX2方向へ移動し、ドア14とドア16との間に開口部40が形成される。図5に示す例では、ドア14,16は全開状態となっている。ドア16の電磁石装置32にバリケード24が吸着しているので、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード24が、ドア14の収容部34から外部に引き出される。より詳しく説明すると、バリケード24が、ドア16の電磁石装置32に吸着した状態で、ドア16とともにX2方向へ移動する。この引出動作によって、バリケード24は、ドア14とドア16との間に形成された開口部40において、床面22上に配置される。
【0046】
なお、水位が閾値以上になったときにドア14,16が開いている場合、制御装置20は、一旦、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させ、その上で、ドア14,16が開状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、バリケード24が、電磁石装置32に吸着されてドア14の収容部34から外部に引き出され、開口部40において床面22上に配置される。
【0047】
また、制御装置20は、ドア14の収容部34内に設置されているラッチ機構に解除信号を出力することにより、ラッチ機構のラッチを解除する。これにより、図5に示すように、支持部材28の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、支持部材28が水平方向(X方向)に対して平行に配置される。
【0048】
バリケード24が引き出された状態で、制御装置20は、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、図6に示すように、ドア14がX2方向へ移動し、ドア16がX1方向へ移動し、ドア14,16が閉じた状態となる。図6に示す例では、ドア14,16は全閉状態となっている。ドア14内には収容部34が形成されており、ドア16内には収容部38が形成されているので、ドア14,16の閉動作に伴って、バリケード24が収容部34,38内に収容される。例えば、バリケード24は、収容部34,38内に収容された状態で、自動ドア装置10の中央部に配置される。このとき、支持部材28,30が、バリケード24の両側面から、バリケード24の挿入孔26に挿入される。支持部材28,30が挿入孔26に挿入されるように、支持部材28,30の設置位置、及び、挿入孔26の形成位置が、予め調整されている。挿入孔26に支持部材28,30が挿入されることにより、バリケード24が支持部材28,30によって支持される。
【0049】
以上のように、第1実施形態に係る自動ドア装置10によると、冠水時に、バリケード24が、ドア14,16の開動作に伴って、ドア14の収容部34内からドア14とドア16との間の床面22上に引き出され、ドア14,16の閉動作に伴って、ドア14の収容部34とドア16の収容部38の内部に収容される。つまり、ドア14,16の開閉動作に連動して、バリケード24が引き出されて収容部34,38内に収容される。バリケード24は床面22上に設置されるので、その設置部分、つまり、ドア14,16の下端部と床面22との間が、バリケード24によって塞がれる。これにより、その塞がれた部分からの水の侵入を防止することが可能となる。つまり、自動ドア装置10の水密性を向上させることが可能となる。また、水位が閾値以上になった場合、バリケード24が自動的に配置されるので、作業者が土嚢等を設置せずに済む。これにより、作業者が土嚢等を設置する場合と比べて、水の浸入を迅速に防止することが可能となる。また、作業者の手間が省ける。
【0050】
また、ドア14の収容部34から引き出される前の状態においては、バリケード24は、収容部34内において斜めに配置されている。それ故、バリケード24が収容部34内において水平に配置されている場合と比べて、収容部34からバリケード24を容易に引き出すことが可能となる。また、バリケード24を斜めに配置することにより、収容部34のX方向の長さよりも長いバリケード24を配置することが可能となり、冠水時には、より広い範囲において水の浸入を防止することが可能となる。
【0051】
また、支持部材28,30によってバリケード24を支持することにより、支持部材28,30が用いられない場合と比べて、バリケード24がより強固に支持される。これにより、バリケード24による水密性を更に向上させることが可能となる。
【0052】
(変形例1)
以下、変形例1に係る自動ドア装置について説明する。図7には、変形例1に係る自動ドア装置10が示されている。
【0053】
変形例1においては、床面22に、バリケード24が挿入される溝部42が形成されている。溝部42は、細長い形状を有し、ドア14,16に対応する位置に形成されている。例えば、溝部42は、自動ドア装置10の中央において、X方向に延在して形成されている。溝部42のX方向の長さは、バリケード24のX方向の長さとほぼ等しい、又は、若干長い。溝部42のY方向の長さは、バリケード24のY方向の長さとほぼ等しい、又は、若干長い。溝部42のZ方向の長さ(深さ)は、バリケード24のZ方向の長さよりも十分に短い。溝部42以外の構成は、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10の構成と同じである。
【0054】
図8には、X軸方向から見た状態の溝部42の断面が示されている。溝部42は、例えば、矩形状の断面を有している。この断面形状は一例に過ぎず、溝部42の形状は丸みを有していてもよい。
【0055】
変形例1に係る自動ドア装置10の動作は、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10の動作と同じである。つまり、通常時には、電磁石装置32から磁力が発生せずに、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。冠水時には、電磁石装置32から磁力が発生し、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。これにより、図9に示すように、バリケード24が、床面22上に設置された状態で、ドア14の収容部34とドア16の収容部38の内部に収容される。変形例1では、床面22に溝部42が形成されているため、ドア14,16が閉じた状態においては、バリケード24は溝部42に挿入される。図10には、溝部42に挿入された状態のバリケード24が示されている。バリケード24の下端部が溝部42に挿入されている。
【0056】
以上のように、バリケード24が溝部42に挿入されるので、バリケード24が溝部42に挿入されていない場合と比べて、その部分における水密性を向上させることが可能となる。
【0057】
なお、図10に示す例では、バリケード24のY方向の長さが、溝部42のY方向の長さよりも短い。そのため、バリケード24と溝部42の内面との間に隙間が形成されている。もちろん、バリケード24のY方向の長さが、溝部42のY方向の長さとほぼ等しくてもよい。この場合、バリケード24の下端部は、溝部42内に隙間なく挿入されるので、その部分における水密性を更に向上させることが可能となる。
【0058】
図11には、バリケード24の別の例が示されている。この例においては、バリケード24の下端部44、つまり、バリケード24において溝部42に挿入される部分は、先細りの形状を有している。その下端部44が溝部42に挿入されると、下端部44の側面と溝部42のエッジ部分とが接触し、その接触によって溝部42が塞がる。これにより、水密性を更に向上させることが可能となる。
【0059】
(変形例2)
以下、変形例2に係る自動ドア装置について説明する。図12には、変形例2に係る自動ドア装置10が示されている。
【0060】
変形例2においては、バリケード24のX方向の長さが、上述した第1実施形態に係るバリケード24のX方向の長さよりも長い。バリケード24のX方向の長さが長くなるほど、バリケード24は、傾斜角度を大きくして、ドア14の収容部34内に収容される。図12に示すように、ドア14の収容部34内におけるバリケード24の傾斜角度は、上述した第1実施形態における傾斜角度よりも大きくなっている。このように、傾斜角度を大きくしてバリケード24を収容することにより、X方向の長さがより長いバリケード24を収容部34内に収容することが可能となる。
【0061】
冠水時には、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10と同様に、電磁石装置32から磁力が発生し、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。これにより、図13に示すように、バリケード24が、床面22上に設置された状態で、ドア14の収容部34とドア16の収容部38の内部に収容される。
【0062】
バリケード24のX方向の長さを長くするほど、ドア14,16の下端部と床面22との間においてより広い範囲が、バリケード24によって塞がれる。それ故、より広い範囲において、水の侵入を防止することが可能となる。
【0063】
なお、変形例2においても、変形例1と同様に、床面22に溝部42が形成されていてもよい。この場合、バリケード24が溝部42に挿入される。また、バリケード24の下端部44が先細りの形状を有していてもよい。
【0064】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置について説明する。図14には、第2実施形態に係る自動ドア装置10Aが示されている。
【0065】
第2実施形態に係る自動ドア装置10Aは、第1実施形態に係るバリケード24及び支持部材28,30の代りに、バリケード46と押付部材48,50とを含む。バリケード46及び押付部材48,50以外の構成は、第1実施形態に係る自動ドア装置10の構成と同じである。
【0066】
ドア14の収容部34内には、ドア14の収容部34から外部へ引き出し可能なバリケード46が収容されている。バリケード46は、例えば、矩形状の形状を有する金属製の平板部材である。バリケード46の両側面には、スライド移動の方向(X軸方向)に対して傾斜した傾斜面46a,46bが形成されている。つまり、バリケード46の上部の両角部が傾斜している。傾斜面46a,46bには、後述する押付部材48,50が押し付けられる。
【0067】
ドア14の収容部34内には、押付部材48が収容されている。押付部材48は、例えば、棒状の部材である。押付部材48上にバリケード46が設置されており、これにより、収容部34内において、バリケード46が押付部材48によって支持されている。バリケード46が押付部材48上に設置されている状態においては、押付部材48は、水平方向(X方向)に対して斜めに設置されている。例えば、押付部材48の先端部(ドア16に近い端部)よりも、押付部材48の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置されるように、押付部材48が傾斜した状態で配置されている。これにより、バリケード46の先端部(ドア16に近い端部)よりも、バリケード46の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置され、バリケード46は傾斜した状態で配置されている。
【0068】
押付部材48は、図示しないラッチ機構によって、ドア14の収容部34内に移動可能に設置されている。例えば、押付部材48の後端部(ドア16から遠い端部)がラッチ機構によってドア14の収容部34に固定されている。バリケード46が押付部材48上に設置されている状態においては、そのラッチ機構の作用によって、押付部材48は傾斜した状態で配置される。後述するように、バリケード46がドア14の収容部34から引き出された場合、ラッチ機構の作用によって、押付部材48の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、これにより、押付部材48は水平方向(X方向)に対して平行に配置される。押付部材48は、本発明の「ガイド部材」の一例に相当する。
【0069】
ドア16の収容部38内には、押付部材50が収容されている。押付部材50は、例えば棒状の部材である。押付部材50の後端部(ドア14から遠い端部)が、図示しない固定部材によってドア16の収容部38内に固定されている。押付部材50は、水平方向(X方向)に対して平行に配置されている。
【0070】
以下、自動ドア装置10Aの動作について説明する。
【0071】
通常時の動作は、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10の動作と同じである。つまり、電磁石装置32から磁力が発生せずに、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。
【0072】
図15及び図16には、冠水時における動作が示されている。センサ18によって検知された水位が閾値以上になった場合、制御装置20は、冠水が発生したと判断し、冠水時の措置を実行する。一例として、ドア14,16が閉じているものとする。まず、制御装置20は、磁力発生指示(バリケード46の引き出し指示)を電磁石装置32に出力する。これにより、電磁石装置32の電磁石がON状態になって磁力が発生し、その磁力によって、バリケード46が電磁石装置32に吸着する。次に、制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16が開状態になるように、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、図15に示すように、ドア14がX1方向へ移動し、ドア16がX2方向へ移動し、ドア14とドア16との間に開口部40が形成される。図15に示す例では、ドア14,16は全開状態となっている。ドア16の電磁石装置32にバリケード46が吸着しているので、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード46が、ドア14の収容部34から外部に引き出される。より詳しく説明すると、バリケード46が、ドア16の電磁石装置32に吸着した状態で、ドア16とともにX2方向へ移動する。この引出動作によって、バリケード46は、ドア14とドア16との間に形成された開口部40において、床面22上に配置される。
【0073】
なお、水位が閾値以上になったときにドア14,16が開いている場合、上述した第1実施形態と同様に、一旦、ドア14,16を閉じた上で、ドア14,16に開動作をさせる。これにより、バリケード46が、電磁石装置32に吸着されてドア14の収容部34から外部に引き出され、開口部40において床面22上に配置される。
【0074】
また、制御装置20は、ドア14の収容部34内に設置されているラッチ機構に解除信号を出力することにより、ラッチ機構のラッチを解除する。これにより、図15に示すように、押付部材48の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、押付部材48が水平方向(X方向)に対して平行に配置される。
【0075】
バリケード46が引き出された状態で、制御装置20は、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、図16に示すように、ドア14がX2方向へ移動し、ドア16がX1方向へ移動し、ドア14,16が閉じた状態となる。図16に示す例では、ドア14,16は全閉状態となっている。ドア14内には収容部34が形成されており、ドア16内には収容部38が形成されているので、ドア14,16の閉動作に伴って、バリケード46が収容部34,38内に収容される。例えば、バリケード46は、収容部34,38内に収容された状態で、自動ドア装置10の中央部に配置される。このとき、ドア14,16の閉動作に伴って、押付部材48,50が、バリケード46を床面22へ押し付ける。より詳しく説明すると、バリケード46が床面22上に配置された状態においては、バリケード46の傾斜面46a,46bは、スライド移動の方向(X方向)に対して傾斜している。ドア14の閉動作に伴って、スライド移動の方向に対して水平に配置された押付部材48が、傾斜面46aに当接し、スライド移動の方向からバリケード46を押し付ける。傾斜面46aはスライド移動の方向に対して傾斜しているため、押付部材48によってバリケード46は床面22に押し付けられる。同様に、ドア16の閉動作に伴って、スライド移動の方向に対して水平に配置された押付部材50が、傾斜面46bに当接し、スライド移動の方向からバリケード46を押し付ける。傾斜面46bはスライド移動の方向に対して傾斜しているため、押付部材50によってバリケード46は床面22に押し付けられる。ドア14,16は互いに反対方向にスライド移動するため、押付部材48,50は、互いに反対方向からバリケード46の傾斜面46a,46bを押し付ける。これにより、バリケード46が床面22へ押し付けられる。傾斜面46a,46bに押付部材48,50が当接するように、押付部材48,50の設置位置、及び、傾斜面46a,46bの形成位置が、予め調整されている。また、ドア14,16が全閉状態において、バリケード46の全体が収容部34,38に収容されつつ、傾斜面46a,46bに押付部材48,50が押し付けられるように、押付部材48,50の長さが予め調整されている。
【0076】
以上のように、第2実施形態に係る自動ドア装置10Aによると、冠水時に、第1実施形態に係る自動ドア装置10と同様に、ドア14,16の下端部と床面22との間が、バリケード46によって塞がれる。これにより、その塞がれた部分からの水の浸入を防止することが可能となる。つまり、自動ドア装置10Aの水密性を向上させることが可能となる。また、水の浸入を迅速に防止することが可能となり、作業者の手間が省ける。
【0077】
また、押付部材48,50によってバリケード46が床面22に押し付けることにより、バリケード46の下端部と床面22との間の密着性を向上させることが可能となり、これにより、水密性を更に向上させることが可能となる。
【0078】
なお、第2実施形態においても、上述した変形例2にと同様に、バリケード46のX方向の長さをより長くしてもよい。これにより、ドア14,16の下端部と床面22との間においてより広い範囲が、バリケード46によって塞がれ、より広い範囲において、水の侵入を防止することが可能となる。
【0079】
(変形例3)
以下、変形例3に係る自動ドア装置について説明する。図17には、変形例3に係る自動ドア装置10Aが示されている。
【0080】
変形例3においては、上述した変形例1と同様に、床面22に、バリケード46が挿入される溝部42が形成されている。溝部42のX方向の長さは、バリケード46のX方向の長さとほぼ等しい、又は、若干長い。溝部42のY方向の長さは、バリケード46のY方向の長さとほぼ等しい、又は、若干長い。溝部42のZ方向の長さ(深さ)は、バリケード46のZ方向の長さよりも十分に短い。溝部42以外の構成は、上述した第2実施形態に係る自動ドア装置10Aの構成と同じである。
【0081】
変形例3に係る自動ドア装置10Aの動作は、上述した第2実施形態に係る自動ドア装置10Aの動作と同じである。変形例3では、床面22に溝部42が形成されているため、冠水時においてドア14,16が閉じると、バリケード46は溝部42に挿入される。図17には、溝部42に挿入された状態のバリケード46が示されている。バリケード46の下端部が溝部42に挿入されている。また、変形例3においても、上述した第2実施形態と同様に、ドア14,16の閉動作に伴って、バリケード46が押付部材48,50によって床面22(溝部42)に押し付けられる。
【0082】
以上のように、バリケード46が溝部42に挿入されるので、バリケード46が溝部42に挿入されていない場合と比べて、その部分における水密性を向上させることが可能となる。
【0083】
なお、変形例3においても、変形例1と同様に、バリケード46の下端部が先細りの形状を有していてもよい。これにより、水密性を更に向上させることが可能となる。
【0084】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る自動ドア装置について説明する。図18には、第3実施形態に係る自動ドア装置10Bが示されている。
【0085】
第3実施形態に係る自動ドア装置10Bは、第1実施形態に係るバリケード24の代りに、バリケード52を含む。バリケード52以外の構成は、第1実施形態に係る自動ドア装置10の構成と同じである。
【0086】
ドア14の収容部34内には、ドア14の収容部34から外部へ引き出し可能なバリケード52が収容されている。バリケード52は、例えば2つの平板部材によって構成されている。2つの平板部材は、それぞれの端部において、連結部材を介して連結されている。各平板部材は、例えば、矩形状の形状を有する金属製の部材である。収容部34内には、2つの平板部材が折り畳まれた状態で収容されている。図18に示す例では、バリケード52は、2つの平板部材によって構成されているが、3つ以上の平板部材によって構成されていてもよい。
【0087】
ドア14の収容部34内においては、支持部材28上にバリケード52が折り畳まれた状態で設置されており、これにより、収容部34内において、バリケード52が支持部材28によって支持されている。第1実施形態と同様に、バリケード52が支持部材28上に設置されている状態においては、支持部材28は、水平方向(X方向)に対して斜めに設置されている。これにより、バリケード52の先端部(ドア16に近い端部)よりも、バリケード52の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置され、バリケード52は傾斜した状態で配置されている。
【0088】
説明の便宜上、図19には示されていないが、バリケード52を構成する2つの平板部材の側面には、バリケード52の長手方向に延在する挿入孔が形成されている。バリケード52が床面22上に設置された状態で、挿入孔は、水平方向(X方向)に延在する孔である。挿入孔には、支持部材28,30が挿入される。挿入孔の長さは、支持部材28,30の長さよりも長ければよい。
【0089】
以下、自動ドア装置10Bの動作について説明する。
【0090】
通常時の動作は、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10の動作と同じである。つまり、電磁石装置32から磁力が発生せずに、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。
【0091】
図19及び図20には、冠水時における動作が示されている。センサ18によって検知された水位が閾値以上になった場合、制御装置20は、冠水が発生したと判断し、冠水時の措置を実行する。一例として、ドア14,16が閉じているものとする。まず、制御装置20は、磁力発生指示(バリケード52の引き出し指示)を電磁石装置32に出力する。これにより、電磁石装置32の電磁石がON状態になって磁力が発生し、その磁力によって、バリケード52が電磁石装置32に吸着する。次に、制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16が開状態になるように、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、図19に示すように、ドア14がX1方向へ移動し、ドア16がX2方向へ移動し、ドア14とドア16との間に開口部40が形成される。図19に示す例では、ドア14,16は全開状態となっている。ドア16の電磁石装置32にバリケード52が吸着しているので、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード52が、ドア16の電磁石装置32に吸着した状態で、ドア16とともにX2方向へ移動する。この引出動作によって、折り畳まれた状態の2つの平板部材が、床面22上において水平方向(X方向)に一列に並び、これにより、水平方向に延在するバリケード52が形成される。このバリケード52のX方向の長さは、2つの平板部材の長さに相当する。この引出動作によって、バリケード52は、ドア14とドア16との間に形成された開口部40において、床面22上に配置される。
【0092】
2つの平板部材が一列に並ぶことにより、バリケード52には、バリケード52の長手方向(X方向)に延在する挿入孔54が形成される。この挿入孔54は、各平板部材に形成された2つの挿入孔が結合することにより形成された孔である。図19に示す例では、挿入孔54はバリケード52を貫通している。挿入孔54は、支持部材28,30よりも長ければよいため、挿入孔54は、バリケード52を貫通していなくてもよい。
【0093】
なお、水位が閾値以上になったときにドア14,16が開いている場合、上述した第1実施形態と同様に、一旦、ドア14,16を閉めた上で、ドア14,16に開動作をさせる。これにより、バリケード52が、電磁石装置32に吸着されてドア14の収容部34から外部に引き出され、開口部40において床面22上に配置される。
【0094】
また、制御装置20は、ドア14の収容部34内に設置されているラッチ機構に解除信号を出力することにより、ラッチ機構のラッチを解除する。これにより、図19に示すように、支持部材28の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、支持部材28が水平方向(X方向)に対して平行に配置される。
【0095】
バリケード52が引き出された状態で、制御装置20は、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、図20に示すように、ドア14がX2方向へ移動し、ドア16がX1方向へ移動し、ドア14,16が閉じた状態となる。図20に示す例では、ドア14,16は全閉状態となっている。ドア14内には収容部34が形成されており、ドア16内には収容部38が形成されているので、ドア14,16の閉動作に伴って、バリケード52が収容部34,38に収容される。例えば、バリケード52は、収容部34,38内に収容された状態で、自動ドア装置10Bの中央部に配置される。このとき、支持部材28,30が、バリケード52の両側面から、バリケード52の挿入孔54に挿入される。このように、支持部材28,30が挿入孔54に挿入されるように、支持部材28,30の設置位置、及び、挿入孔54の形成位置が、予め調整されている。挿入孔54に支持部材28,30が挿入されることにより、バリケード52が支持部材28,30によって支持される。
【0096】
以上のように、第3実施形態に係る自動ドア装置10Bによると、冠水時に、第1実施形態に係る自動ドア装置10と同様に、ドア14,16の下部と床面22との間が、バリケード52によって塞がれる。これにより、その塞がれた部分からの水の侵入を防止することが可能となる。つまり、自動ドア装置10Bの水密性を向上させることが可能となる。また、水の浸入を迅速に防止することが可能となり、作業者の手間が省ける。
【0097】
また、冠水時には、折り畳まれた状態のバリケード52が水平方向(X方向)に伸長するので、より広い範囲において水の浸入を防止することが可能となる。
【0098】
なお、第3実施形態においても、変形例1と同様に、床面22に溝部42が形成されてもよい。この場合、バリケード52が溝部42に挿入される。また、バリケード52の下端部が先細りの形状を有していてもよい。更に別の例として、第2及び第3実施形態が組み合わされてもよい。
【0099】
上述した第1から第3実施形態、及び、変形例1から変形例3では、引き出し前の状態において、一方のドア14の収容部34内にバリケードが収容されているが、ドア14,16の両方にバリケードが収容されていてもよい。この場合、ドア14,16の開動作に伴って、ドア14,16のそれぞれからバリケードが引き出され、ドア14,16の閉動作に伴って、2つのバリケードが連結して収容部34,38内に収容される。2つのバリケードを用いることにより、個々のバリケードのX方向の長さが短い場合であっても、連結されたバリケードのX方向の全体の長さを長くすることが可能となる。これにより、より広い範囲において水の侵入を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0100】
10,10A,10B 自動ドア装置、12 ドア枠体、14,16 ドア、18 センサ、20 制御装置、22 床面、24,46,52 バリケード、26,54 挿入孔、28,30 支持部材、32 電磁石装置、34,38 収容部、42 溝部、44 下端部、48,50 押付部材。
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