(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第1実施形態]
図1には、本発明の第1実施形態に係る自動ドア装置10が示されている。
図1において、X軸、Y軸及びZ軸は互いに直交する軸であり、これらによって三次元直交座標系が構成されている。
図1には、Y軸方向から見た状態の自動ドア装置10が示されている。
【0021】
水の浸入を防止する自動ドア装置としての自動ドア装置10は、例えば建物、部屋、エレベータ等において、それらの出入口に設置されている。自動ドア装置10は、ドア枠体12と、一対のドア14,16と、センサ18と、制御装置20と、を含み、引き戸式の自動ドア装置である。
【0022】
ドア14,16は、ドア枠体12に支持されている。具体的には、ドア14,16の上端部がドア枠体12に支持されており、ドア14,16はドア枠体12から吊り下げられて、床面22から浮いた状態で支持されている。
【0023】
ドア14,16は、図示しない駆動装置によって、水平方向(X方向)にスライド移動する。ドア14,16は、互いに逆方向にスライド移動することにより開閉動作する。ドア14,16が閉じられた状態においては、ドア14,16の両側面が互いに付き合わされる。ドア14,16が開状態の場合、ドア14とドア16との間に、人や物等の移動体が通行する開口部が形成され、ドア14,16が閉状態の場合、その開口部が閉じられる。
【0024】
ドア14,16内には、それぞれ収容部が形成されている。ドア14内の収容部は、ドア14のX方向の両側面及び下面(床面22に対向する面)が開口した空間を有している。同様に、ドア16内の収容部は、ドア16のX方向の両側面及び下面(床面22に対向する面)が開口した空間を有している。
【0025】
ドア14の収容部内には、ドア14の収容部から外部へ引き出し可能なバリケード24が収容されている。バリケード24は、例えば、矩形状の形状を有する金属製の平板部材である。バリケード24の両側面には、バリケード24の長手方向に延在する挿入孔26が形成されている。バリケード24が床面22上に設置された状態で、挿入孔26は、水平方向(X方向)に延在する孔である。挿入孔26には、後述する支持部材28,30が挿入される。挿入孔26の長さは、支持部材28,30の長さよりも長ければよい。
図1に示す例では、挿入孔26はバリケード24を貫通しているが、挿入孔26は、支持部材28,30よりも長ければよく、バリケード24を貫通していなくてもよい。
【0026】
ドア14の収容部内には、支持部材28が収容されている。支持部材28は、例えば棒状の部材である。支持部材28上にバリケード24が設置されており、これにより、収容部内において、バリケード24が支持部材28によって支持されている。バリケード24が支持部材28上に設置されている状態においては、支持部材28は、水平方向(X方向)に対して斜めに設置されている。例えば、支持部材28の先端部(ドア16に近い端部)よりも、支持部材28の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置されるように、支持部材28が傾斜した状態で配置されている。これにより、バリケード24の先端部(ドア16に近い端部)よりも、バリケード24の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置され、バリケード24は傾斜した状態で配置されている。
【0027】
支持部材28は、図示しないラッチ機構によって、ドア14の収容部(ドア14の内部)に移動可能に設置されている。例えば、支持部材28の後端部(ドア16から遠い端部)がラッチ機構によってドア14の収容部に固定されている。バリケード24が支持部材28上に設置されている状態においては、そのラッチ機構の作用によって、支持部材28は傾斜した状態で配置される。後述するように、バリケード24がドア14の収容部から引き出された場合、ラッチ機構の作用によって、支持部材28の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、これにより、支持部材28は水平方向(X方向)に対して平行に配置される。支持部材28は、本発明の「ガイド部材」の一例に相当する。
【0028】
ドア16の収容部内には、支持部材30が収容されている。支持部材30は、例えば棒状の部材である。支持部材30の後端部(ドア14から遠い端部)が、図示しない固定部材によってドア16の収容部(ドア16の内部)に固定されている。支持部材30は、水平方向(X方向)に対して平行に配置されている。
【0029】
ドア16の側面(ドア14に対向する側面)には、引出部としての電磁石装置32が設けられている。電磁石装置32は、例えば、ドア16の側面側においてドア16内に埋め込まれている。電磁石装置32は、電磁石によって磁力を発生させる装置であり、制御装置20から磁力発生指示を受けると、電磁石をON状態にして磁力を発生させる。磁力発生指示が、バリケード24の引き出し指示の一例に相当する。電磁石装置32は、バリケード24をドア14から引き出す際に利用される装置であり、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード24をドア14内から引き出す。
【0030】
センサ18は、床面22上の水位を検知するセンサであり、例えば近赤外線センサである。センサ18は、例えばドア枠体12に設置され、建物、部屋、エレベータ等において、ドア14,16を境界にしてそれらの外側の床面22上の水位を検知する。もちろん、センサ18は、ドア枠体12以外の場所に設置されて、別の場所の水位を検知してもよい。例えば、センサ18は、自動ドア装置10の近傍に設けられた雨水ピットに設けられ、その雨水ピット内の水位を検知してもよい。センサ18としては、近赤外線センサ以外のセンサが用いられてもよい。
【0031】
制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16の開閉動作を制御する装置である。例えば、図示しないセンサによって、ドア14,16の周囲に存在する人や物等の移動体が検知された場合、制御装置20は、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。ドア14,16が開いた状態において、所定時間の間、センサによって移動体が検知されない場合、制御装置20は、ドア14,16を閉じる方向へスライド移動させる。別の例として、開操作を行うための操作ボタンがドア14,16に設けられていてもよい。その操作ボタンが操作された場合、制御装置20は、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。ドア14,16が開いた状態において、所定時間の間、操作ボンタンが操作されない場合、制御装置20は、ドア14,16を閉じる方向へスライド移動させる。
【0032】
また、制御装置20は、センサ18からの検出結果に応じて、ドア14,16をスライド移動させるとともに、電磁石装置32を制御する。具体的には、センサ18によって検知された水位が閾値以上になった場合、制御装置20は、磁力発生指示(バリケード24の引き出し指示)を電磁石装置32に出力するとともに、ドア14,16が開状態となるようにドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、電磁石装置32の電磁石がON状態になって磁力が発生し、この磁力によってバリケード24が電磁石装置32に吸着し、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード24が、ドア14内からドア14とドア16との間の床面22上に引き出される。バリケード24が引き出された状態で、制御装置20は、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、ドア14,16の収容部内にバリケード24が収容される。閾値は、予め設定された値であってもよいし、作業者や管理者等によって変更されてもよい。
【0033】
次に、
図2を参照して、ドア14の構成について詳しく説明する。
図2には、X軸方向から見た状態の自動ドア装置10が示されている。より詳しく説明すると、ドア16に対向する側面とは反対側の側面側から見た状態のドア14が示されている。
【0034】
ドア14は、例えば、互いに隙間をあけて平行に配置された2枚の平板状のドア部材14a,14bによって構成されている。ドア部材14a,14bの上端部はドア枠体12に支持されており、ドア部材14a,14bはドア枠体12から吊り下げられて、床面22から浮いた状態で支持されている。
【0035】
ドア部材14a,14bは互いに隙間をあけて配置されているので、ドア部材14aとドア部材14bとの間には、空間としての収容部34(隙間に相当する部分)が形成されている。ドア部材14a,14bの上端部がドア枠体12に支持されているため、ドア14の上面は閉じている。それ以外の面は開口している。つまり、ドア14のX方向の両側面と下面(床面22に対向する面)が開口しており、これにより、収容部34のX方向の両側面と下面(床面22に対向する面)が開口し、収容部34の上面(ドア枠体12に対向する面)が閉じている。
【0036】
収容部34内(ドア部材14aとドア部材14bとの間の隙間)には、バリケード24と支持部材28が収容されている。支持部材28は、図示しないラッチ機構によって、ドア部材14a,14bの内面に移動可能に設置されている。バリケード24の側面には、挿入孔26が形成されている。挿入孔26は、一例として、X方向にバリケード24を貫通している。
【0037】
検知エリア36は、センサ18による検知エリアであり、検知エリア36における水位がセンサ18によって検知される。検知エリア36は、例えば、ドア14,16を境界にして、建物、部屋、エレベータ等において外側に形成される。
【0038】
次に、
図3を参照して、ドア16の構成について詳しく説明する。
図3には、X軸方向から見た状態の自動ドア装置10が示されている。より詳しく説明すると、ドア14に対向する側面側から見た状態のドア16が示されている。
【0039】
ドア16は、ドア14と同様に、例えば、互いに隙間をあけて平行に配置された2枚の平板状のドア部材16a,16bによって構成されている。ドア部材16a,16bの上端部はドア枠体12に支持されており、ドア部材16a,16bはドア枠体12から吊り下げられた状態で支持されている。
【0040】
ドア部材16a,16bは互いに隙間をあけて配置されているので、ドア部材16aとドア部材16bとの間には、空間としての収容部38(隙間に相当する部分)が形成されている。ドア部材16a,16bの上端部がドア枠体12に支持されているため、ドア16の上面は閉じている。それ以外の面は開口している。つまり、ドア16のX方向の両側面と下面(床面22に対向する面)が開口しており、これにより、収容部38のX方向の両側面と下面(床面22に対向する面)が開口し、収容部38の上面(ドア枠体12に対向する面)が閉じている。
【0041】
収容部38内(ドア部材16aとドア部材16bとの間の隙間)には、支持部材30が収容されている。支持部材30の後端部(ドア14から遠い端部)が、図示しない固定部材によってドア部材16a,16bの内面に固定されている。
【0042】
また、ドア部材16a,16bの側面(ドア14に対向する側面)に電磁石装置32が設けられている。電磁石装置32は、ドア部材16a,16bの側面(ドア14に対向する側面)側において、ドア部材16a,16bに埋め込まれていてもよいし、収容部38内に設置されていてもよい。
【0043】
以下、自動ドア装置10の動作について説明する。
【0044】
まず、
図4を参照して、通常時の動作について説明する。通常時においては、図示しないセンサによって移動体が検知された場合、又は、操作ボタンが操作された場合、制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16が開状態になるように、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、ドア14は、X1方向に移動し、ドア16は、X1方向とは逆のX2方向に移動する。これにより、ドア14とドア16との間に開口部40が形成され、その開口部40を介して移動体が移動する。
図4に示す例では、ドア14,16は全開状態となっている。
【0045】
次に、
図5及び
図6を参照して、冠水時の動作について説明する。センサ18によって検知された水位が閾値以上になった場合、制御装置20は、冠水が発生したと判断し、冠水時の措置を実行する。一例として、ドア14,16が閉じているものとする。まず、制御装置20は、磁力発生指示(バリケード24の引き出し指示)を電磁石装置32に出力する。これにより、電磁石装置32の電磁石がON状態になって磁力が発生し、その磁力によって、バリケード24が電磁石装置32に吸着する。次に、制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16が開状態になるように、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、
図5に示すように、ドア14がX1方向へ移動し、ドア16がX2方向へ移動し、ドア14とドア16との間に開口部40が形成される。
図5に示す例では、ドア14,16は全開状態となっている。ドア16の電磁石装置32にバリケード24が吸着しているので、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード24が、ドア14の収容部34から外部に引き出される。より詳しく説明すると、バリケード24が、ドア16の電磁石装置32に吸着した状態で、ドア16とともにX2方向へ移動する。この引出動作によって、バリケード24は、ドア14とドア16との間に形成された開口部40において、床面22上に配置される。
【0046】
なお、水位が閾値以上になったときにドア14,16が開いている場合、制御装置20は、一旦、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させ、その上で、ドア14,16が開状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、バリケード24が、電磁石装置32に吸着されてドア14の収容部34から外部に引き出され、開口部40において床面22上に配置される。
【0047】
また、制御装置20は、ドア14の収容部34内に設置されているラッチ機構に解除信号を出力することにより、ラッチ機構のラッチを解除する。これにより、
図5に示すように、支持部材28の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、支持部材28が水平方向(X方向)に対して平行に配置される。
【0048】
バリケード24が引き出された状態で、制御装置20は、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、
図6に示すように、ドア14がX2方向へ移動し、ドア16がX1方向へ移動し、ドア14,16が閉じた状態となる。
図6に示す例では、ドア14,16は全閉状態となっている。ドア14内には収容部34が形成されており、ドア16内には収容部38が形成されているので、ドア14,16の閉動作に伴って、バリケード24が収容部34,38内に収容される。例えば、バリケード24は、収容部34,38内に収容された状態で、自動ドア装置10の中央部に配置される。このとき、支持部材28,30が、バリケード24の両側面から、バリケード24の挿入孔26に挿入される。支持部材28,30が挿入孔26に挿入されるように、支持部材28,30の設置位置、及び、挿入孔26の形成位置が、予め調整されている。挿入孔26に支持部材28,30が挿入されることにより、バリケード24が支持部材28,30によって支持される。
【0049】
以上のように、第1実施形態に係る自動ドア装置10によると、冠水時に、バリケード24が、ドア14,16の開動作に伴って、ドア14の収容部34内からドア14とドア16との間の床面22上に引き出され、ドア14,16の閉動作に伴って、ドア14の収容部34とドア16の収容部38の内部に収容される。つまり、ドア14,16の開閉動作に連動して、バリケード24が引き出されて収容部34,38内に収容される。バリケード24は床面22上に設置されるので、その設置部分、つまり、ドア14,16の下端部と床面22との間が、バリケード24によって塞がれる。これにより、その塞がれた部分からの水の侵入を防止することが可能となる。つまり、自動ドア装置10の水密性を向上させることが可能となる。また、水位が閾値以上になった場合、バリケード24が自動的に配置されるので、作業者が土嚢等を設置せずに済む。これにより、作業者が土嚢等を設置する場合と比べて、水の浸入を迅速に防止することが可能となる。また、作業者の手間が省ける。
【0050】
また、ドア14の収容部34から引き出される前の状態においては、バリケード24は、収容部34内において斜めに配置されている。それ故、バリケード24が収容部34内において水平に配置されている場合と比べて、収容部34からバリケード24を容易に引き出すことが可能となる。また、バリケード24を斜めに配置することにより、収容部34のX方向の長さよりも長いバリケード24を配置することが可能となり、冠水時には、より広い範囲において水の浸入を防止することが可能となる。
【0051】
また、支持部材28,30によってバリケード24を支持することにより、支持部材28,30が用いられない場合と比べて、バリケード24がより強固に支持される。これにより、バリケード24による水密性を更に向上させることが可能となる。
【0052】
(変形例1)
以下、変形例1に係る自動ドア装置について説明する。
図7には、変形例1に係る自動ドア装置10が示されている。
【0053】
変形例1においては、床面22に、バリケード24が挿入される溝部42が形成されている。溝部42は、細長い形状を有し、ドア14,16に対応する位置に形成されている。例えば、溝部42は、自動ドア装置10の中央において、X方向に延在して形成されている。溝部42のX方向の長さは、バリケード24のX方向の長さとほぼ等しい、又は、若干長い。溝部42のY方向の長さは、バリケード24のY方向の長さとほぼ等しい、又は、若干長い。溝部42のZ方向の長さ(深さ)は、バリケード24のZ方向の長さよりも十分に短い。溝部42以外の構成は、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10の構成と同じである。
【0054】
図8には、X軸方向から見た状態の溝部42の断面が示されている。溝部42は、例えば、矩形状の断面を有している。この断面形状は一例に過ぎず、溝部42の形状は丸みを有していてもよい。
【0055】
変形例1に係る自動ドア装置10の動作は、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10の動作と同じである。つまり、通常時には、電磁石装置32から磁力が発生せずに、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。冠水時には、電磁石装置32から磁力が発生し、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。これにより、
図9に示すように、バリケード24が、床面22上に設置された状態で、ドア14の収容部34とドア16の収容部38の内部に収容される。変形例1では、床面22に溝部42が形成されているため、ドア14,16が閉じた状態においては、バリケード24は溝部42に挿入される。
図10には、溝部42に挿入された状態のバリケード24が示されている。バリケード24の下端部が溝部42に挿入されている。
【0056】
以上のように、バリケード24が溝部42に挿入されるので、バリケード24が溝部42に挿入されていない場合と比べて、その部分における水密性を向上させることが可能となる。
【0057】
なお、
図10に示す例では、バリケード24のY方向の長さが、溝部42のY方向の長さよりも短い。そのため、バリケード24と溝部42の内面との間に隙間が形成されている。もちろん、バリケード24のY方向の長さが、溝部42のY方向の長さとほぼ等しくてもよい。この場合、バリケード24の下端部は、溝部42内に隙間なく挿入されるので、その部分における水密性を更に向上させることが可能となる。
【0058】
図11には、バリケード24の別の例が示されている。この例においては、バリケード24の下端部44、つまり、バリケード24において溝部42に挿入される部分は、先細りの形状を有している。その下端部44が溝部42に挿入されると、下端部44の側面と溝部42のエッジ部分とが接触し、その接触によって溝部42が塞がる。これにより、水密性を更に向上させることが可能となる。
【0059】
(変形例2)
以下、変形例2に係る自動ドア装置について説明する。
図12には、変形例2に係る自動ドア装置10が示されている。
【0060】
変形例2においては、バリケード24のX方向の長さが、上述した第1実施形態に係るバリケード24のX方向の長さよりも長い。バリケード24のX方向の長さが長くなるほど、バリケード24は、傾斜角度を大きくして、ドア14の収容部34内に収容される。
図12に示すように、ドア14の収容部34内におけるバリケード24の傾斜角度は、上述した第1実施形態における傾斜角度よりも大きくなっている。このように、傾斜角度を大きくしてバリケード24を収容することにより、X方向の長さがより長いバリケード24を収容部34内に収容することが可能となる。
【0061】
冠水時には、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10と同様に、電磁石装置32から磁力が発生し、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。これにより、
図13に示すように、バリケード24が、床面22上に設置された状態で、ドア14の収容部34とドア16の収容部38の内部に収容される。
【0062】
バリケード24のX方向の長さを長くするほど、ドア14,16の下端部と床面22との間においてより広い範囲が、バリケード24によって塞がれる。それ故、より広い範囲において、水の侵入を防止することが可能となる。
【0063】
なお、変形例2においても、変形例1と同様に、床面22に溝部42が形成されていてもよい。この場合、バリケード24が溝部42に挿入される。また、バリケード24の下端部44が先細りの形状を有していてもよい。
【0064】
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態に係る自動ドア装置について説明する。
図14には、第2実施形態に係る自動ドア装置10Aが示されている。
【0065】
第2実施形態に係る自動ドア装置10Aは、第1実施形態に係るバリケード24及び支持部材28,30の代りに、バリケード46と押付部材48,50とを含む。バリケード46及び押付部材48,50以外の構成は、第1実施形態に係る自動ドア装置10の構成と同じである。
【0066】
ドア14の収容部34内には、ドア14の収容部34から外部へ引き出し可能なバリケード46が収容されている。バリケード46は、例えば、矩形状の形状を有する金属製の平板部材である。バリケード46の両側面には、スライド移動の方向(X軸方向)に対して傾斜した傾斜面46a,46bが形成されている。つまり、バリケード46の上部の両角部が傾斜している。傾斜面46a,46bには、後述する押付部材48,50が押し付けられる。
【0067】
ドア14の収容部34内には、押付部材48が収容されている。押付部材48は、例えば、棒状の部材である。押付部材48上にバリケード46が設置されており、これにより、収容部34内において、バリケード46が押付部材48によって支持されている。バリケード46が押付部材48上に設置されている状態においては、押付部材48は、水平方向(X方向)に対して斜めに設置されている。例えば、押付部材48の先端部(ドア16に近い端部)よりも、押付部材48の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置されるように、押付部材48が傾斜した状態で配置されている。これにより、バリケード46の先端部(ドア16に近い端部)よりも、バリケード46の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置され、バリケード46は傾斜した状態で配置されている。
【0068】
押付部材48は、図示しないラッチ機構によって、ドア14の収容部34内に移動可能に設置されている。例えば、押付部材48の後端部(ドア16から遠い端部)がラッチ機構によってドア14の収容部34に固定されている。バリケード46が押付部材48上に設置されている状態においては、そのラッチ機構の作用によって、押付部材48は傾斜した状態で配置される。後述するように、バリケード46がドア14の収容部34から引き出された場合、ラッチ機構の作用によって、押付部材48の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、これにより、押付部材48は水平方向(X方向)に対して平行に配置される。押付部材48は、本発明の「ガイド部材」の一例に相当する。
【0069】
ドア16の収容部38内には、押付部材50が収容されている。押付部材50は、例えば棒状の部材である。押付部材50の後端部(ドア14から遠い端部)が、図示しない固定部材によってドア16の収容部38内に固定されている。押付部材50は、水平方向(X方向)に対して平行に配置されている。
【0070】
以下、自動ドア装置10Aの動作について説明する。
【0071】
通常時の動作は、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10の動作と同じである。つまり、電磁石装置32から磁力が発生せずに、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。
【0072】
図15及び
図16には、冠水時における動作が示されている。センサ18によって検知された水位が閾値以上になった場合、制御装置20は、冠水が発生したと判断し、冠水時の措置を実行する。一例として、ドア14,16が閉じているものとする。まず、制御装置20は、磁力発生指示(バリケード46の引き出し指示)を電磁石装置32に出力する。これにより、電磁石装置32の電磁石がON状態になって磁力が発生し、その磁力によって、バリケード46が電磁石装置32に吸着する。次に、制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16が開状態になるように、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、
図15に示すように、ドア14がX1方向へ移動し、ドア16がX2方向へ移動し、ドア14とドア16との間に開口部40が形成される。
図15に示す例では、ドア14,16は全開状態となっている。ドア16の電磁石装置32にバリケード46が吸着しているので、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード46が、ドア14の収容部34から外部に引き出される。より詳しく説明すると、バリケード46が、ドア16の電磁石装置32に吸着した状態で、ドア16とともにX2方向へ移動する。この引出動作によって、バリケード46は、ドア14とドア16との間に形成された開口部40において、床面22上に配置される。
【0073】
なお、水位が閾値以上になったときにドア14,16が開いている場合、上述した第1実施形態と同様に、一旦、ドア14,16を閉じた上で、ドア14,16に開動作をさせる。これにより、バリケード46が、電磁石装置32に吸着されてドア14の収容部34から外部に引き出され、開口部40において床面22上に配置される。
【0074】
また、制御装置20は、ドア14の収容部34内に設置されているラッチ機構に解除信号を出力することにより、ラッチ機構のラッチを解除する。これにより、
図15に示すように、押付部材48の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、押付部材48が水平方向(X方向)に対して平行に配置される。
【0075】
バリケード46が引き出された状態で、制御装置20は、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、
図16に示すように、ドア14がX2方向へ移動し、ドア16がX1方向へ移動し、ドア14,16が閉じた状態となる。
図16に示す例では、ドア14,16は全閉状態となっている。ドア14内には収容部34が形成されており、ドア16内には収容部38が形成されているので、ドア14,16の閉動作に伴って、バリケード46が収容部34,38内に収容される。例えば、バリケード46は、収容部34,38内に収容された状態で、自動ドア装置10の中央部に配置される。このとき、ドア14,16の閉動作に伴って、押付部材48,50が、バリケード46を床面22へ押し付ける。より詳しく説明すると、バリケード46が床面22上に配置された状態においては、バリケード46の傾斜面46a,46bは、スライド移動の方向(X方向)に対して傾斜している。ドア14の閉動作に伴って、スライド移動の方向に対して水平に配置された押付部材48が、傾斜面46aに当接し、スライド移動の方向からバリケード46を押し付ける。傾斜面46aはスライド移動の方向に対して傾斜しているため、押付部材48によってバリケード46は床面22に押し付けられる。同様に、ドア16の閉動作に伴って、スライド移動の方向に対して水平に配置された押付部材50が、傾斜面46bに当接し、スライド移動の方向からバリケード46を押し付ける。傾斜面46bはスライド移動の方向に対して傾斜しているため、押付部材50によってバリケード46は床面22に押し付けられる。ドア14,16は互いに反対方向にスライド移動するため、押付部材48,50は、互いに反対方向からバリケード46の傾斜面46a,46bを押し付ける。これにより、バリケード46が床面22へ押し付けられる。傾斜面46a,46bに押付部材48,50が当接するように、押付部材48,50の設置位置、及び、傾斜面46a,46bの形成位置が、予め調整されている。また、ドア14,16が全閉状態において、バリケード46の全体が収容部34,38に収容されつつ、傾斜面46a,46bに押付部材48,50が押し付けられるように、押付部材48,50の長さが予め調整されている。
【0076】
以上のように、第2実施形態に係る自動ドア装置10Aによると、冠水時に、第1実施形態に係る自動ドア装置10と同様に、ドア14,16の下端部と床面22との間が、バリケード46によって塞がれる。これにより、その塞がれた部分からの水の浸入を防止することが可能となる。つまり、自動ドア装置10Aの水密性を向上させることが可能となる。また、水の浸入を迅速に防止することが可能となり、作業者の手間が省ける。
【0077】
また、押付部材48,50によってバリケード46が床面22に押し付けることにより、バリケード46の下端部と床面22との間の密着性を向上させることが可能となり、これにより、水密性を更に向上させることが可能となる。
【0078】
なお、第2実施形態においても、上述した変形例2にと同様に、バリケード46のX方向の長さをより長くしてもよい。これにより、ドア14,16の下端部と床面22との間においてより広い範囲が、バリケード46によって塞がれ、より広い範囲において、水の侵入を防止することが可能となる。
【0079】
(変形例3)
以下、変形例3に係る自動ドア装置について説明する。
図17には、変形例3に係る自動ドア装置10Aが示されている。
【0080】
変形例3においては、上述した変形例1と同様に、床面22に、バリケード46が挿入される溝部42が形成されている。溝部42のX方向の長さは、バリケード46のX方向の長さとほぼ等しい、又は、若干長い。溝部42のY方向の長さは、バリケード46のY方向の長さとほぼ等しい、又は、若干長い。溝部42のZ方向の長さ(深さ)は、バリケード46のZ方向の長さよりも十分に短い。溝部42以外の構成は、上述した第2実施形態に係る自動ドア装置10Aの構成と同じである。
【0081】
変形例3に係る自動ドア装置10Aの動作は、上述した第2実施形態に係る自動ドア装置10Aの動作と同じである。変形例3では、床面22に溝部42が形成されているため、冠水時においてドア14,16が閉じると、バリケード46は溝部42に挿入される。
図17には、溝部42に挿入された状態のバリケード46が示されている。バリケード46の下端部が溝部42に挿入されている。また、変形例3においても、上述した第2実施形態と同様に、ドア14,16の閉動作に伴って、バリケード46が押付部材48,50によって床面22(溝部42)に押し付けられる。
【0082】
以上のように、バリケード46が溝部42に挿入されるので、バリケード46が溝部42に挿入されていない場合と比べて、その部分における水密性を向上させることが可能となる。
【0083】
なお、変形例3においても、変形例1と同様に、バリケード46の下端部が先細りの形状を有していてもよい。これにより、水密性を更に向上させることが可能となる。
【0084】
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態に係る自動ドア装置について説明する。
図18には、第3実施形態に係る自動ドア装置10Bが示されている。
【0085】
第3実施形態に係る自動ドア装置10Bは、第1実施形態に係るバリケード24の代りに、バリケード52を含む。バリケード52以外の構成は、第1実施形態に係る自動ドア装置10の構成と同じである。
【0086】
ドア14の収容部34内には、ドア14の収容部34から外部へ引き出し可能なバリケード52が収容されている。バリケード52は、例えば2つの平板部材によって構成されている。2つの平板部材は、それぞれの端部において、連結部材を介して連結されている。各平板部材は、例えば、矩形状の形状を有する金属製の部材である。収容部34内には、2つの平板部材が折り畳まれた状態で収容されている。
図18に示す例では、バリケード52は、2つの平板部材によって構成されているが、3つ以上の平板部材によって構成されていてもよい。
【0087】
ドア14の収容部34内においては、支持部材28上にバリケード52が折り畳まれた状態で設置されており、これにより、収容部34内において、バリケード52が支持部材28によって支持されている。第1実施形態と同様に、バリケード52が支持部材28上に設置されている状態においては、支持部材28は、水平方向(X方向)に対して斜めに設置されている。これにより、バリケード52の先端部(ドア16に近い端部)よりも、バリケード52の後端部(ドア16から遠い端部)が高い位置に配置され、バリケード52は傾斜した状態で配置されている。
【0088】
説明の便宜上、
図19には示されていないが、バリケード52を構成する2つの平板部材の側面には、バリケード52の長手方向に延在する挿入孔が形成されている。バリケード52が床面22上に設置された状態で、挿入孔は、水平方向(X方向)に延在する孔である。挿入孔には、支持部材28,30が挿入される。挿入孔の長さは、支持部材28,30の長さよりも長ければよい。
【0089】
以下、自動ドア装置10Bの動作について説明する。
【0090】
通常時の動作は、上述した第1実施形態に係る自動ドア装置10の動作と同じである。つまり、電磁石装置32から磁力が発生せずに、ドア14,16が開動作及び閉動作を行う。
【0091】
図19及び
図20には、冠水時における動作が示されている。センサ18によって検知された水位が閾値以上になった場合、制御装置20は、冠水が発生したと判断し、冠水時の措置を実行する。一例として、ドア14,16が閉じているものとする。まず、制御装置20は、磁力発生指示(バリケード52の引き出し指示)を電磁石装置32に出力する。これにより、電磁石装置32の電磁石がON状態になって磁力が発生し、その磁力によって、バリケード52が電磁石装置32に吸着する。次に、制御装置20は、図示しない駆動装置を制御することにより、ドア14,16が開状態になるように、ドア14,16を開く方向へスライド移動させる。これにより、
図19に示すように、ドア14がX1方向へ移動し、ドア16がX2方向へ移動し、ドア14とドア16との間に開口部40が形成される。
図19に示す例では、ドア14,16は全開状態となっている。ドア16の電磁石装置32にバリケード52が吸着しているので、ドア14,16の開動作に伴って、バリケード52が、ドア16の電磁石装置32に吸着した状態で、ドア16とともにX2方向へ移動する。この引出動作によって、折り畳まれた状態の2つの平板部材が、床面22上において水平方向(X方向)に一列に並び、これにより、水平方向に延在するバリケード52が形成される。このバリケード52のX方向の長さは、2つの平板部材の長さに相当する。この引出動作によって、バリケード52は、ドア14とドア16との間に形成された開口部40において、床面22上に配置される。
【0092】
2つの平板部材が一列に並ぶことにより、バリケード52には、バリケード52の長手方向(X方向)に延在する挿入孔54が形成される。この挿入孔54は、各平板部材に形成された2つの挿入孔が結合することにより形成された孔である。
図19に示す例では、挿入孔54はバリケード52を貫通している。挿入孔54は、支持部材28,30よりも長ければよいため、挿入孔54は、バリケード52を貫通していなくてもよい。
【0093】
なお、水位が閾値以上になったときにドア14,16が開いている場合、上述した第1実施形態と同様に、一旦、ドア14,16を閉めた上で、ドア14,16に開動作をさせる。これにより、バリケード52が、電磁石装置32に吸着されてドア14の収容部34から外部に引き出され、開口部40において床面22上に配置される。
【0094】
また、制御装置20は、ドア14の収容部34内に設置されているラッチ機構に解除信号を出力することにより、ラッチ機構のラッチを解除する。これにより、
図19に示すように、支持部材28の先端部(ドア16に近い端部)が上側へ持ち上げられ、支持部材28が水平方向(X方向)に対して平行に配置される。
【0095】
バリケード52が引き出された状態で、制御装置20は、ドア14,16が閉状態になるようにドア14,16をスライド移動させる。これにより、
図20に示すように、ドア14がX2方向へ移動し、ドア16がX1方向へ移動し、ドア14,16が閉じた状態となる。
図20に示す例では、ドア14,16は全閉状態となっている。ドア14内には収容部34が形成されており、ドア16内には収容部38が形成されているので、ドア14,16の閉動作に伴って、バリケード52が収容部34,38に収容される。例えば、バリケード52は、収容部34,38内に収容された状態で、自動ドア装置10Bの中央部に配置される。このとき、支持部材28,30が、バリケード52の両側面から、バリケード52の挿入孔54に挿入される。このように、支持部材28,30が挿入孔54に挿入されるように、支持部材28,30の設置位置、及び、挿入孔54の形成位置が、予め調整されている。挿入孔54に支持部材28,30が挿入されることにより、バリケード52が支持部材28,30によって支持される。
【0096】
以上のように、第3実施形態に係る自動ドア装置10Bによると、冠水時に、第1実施形態に係る自動ドア装置10と同様に、ドア14,16の下部と床面22との間が、バリケード52によって塞がれる。これにより、その塞がれた部分からの水の侵入を防止することが可能となる。つまり、自動ドア装置10Bの水密性を向上させることが可能となる。また、水の浸入を迅速に防止することが可能となり、作業者の手間が省ける。
【0097】
また、冠水時には、折り畳まれた状態のバリケード52が水平方向(X方向)に伸長するので、より広い範囲において水の浸入を防止することが可能となる。
【0098】
なお、第3実施形態においても、変形例1と同様に、床面22に溝部42が形成されてもよい。この場合、バリケード52が溝部42に挿入される。また、バリケード52の下端部が先細りの形状を有していてもよい。更に別の例として、第2及び第3実施形態が組み合わされてもよい。
【0099】
上述した第1から第3実施形態、及び、変形例1から変形例3では、引き出し前の状態において、一方のドア14の収容部34内にバリケードが収容されているが、ドア14,16の両方にバリケードが収容されていてもよい。この場合、ドア14,16の開動作に伴って、ドア14,16のそれぞれからバリケードが引き出され、ドア14,16の閉動作に伴って、2つのバリケードが連結して収容部34,38内に収容される。2つのバリケードを用いることにより、個々のバリケードのX方向の長さが短い場合であっても、連結されたバリケードのX方向の全体の長さを長くすることが可能となる。これにより、より広い範囲において水の侵入を防止することが可能となる。