(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記反転経路は、前記記録手段によって記録動作がおこなわれた記録媒体を、水平方向において、当該記録手段を間にして前記記録媒体保持手段とは反対側に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ。
前記第2の切替手段は、前記第2の切替部材を、前記裏面記録位置に位置付けるように付勢する付勢手段を備え、前記引込位置に搬送される記録媒体によって付勢された場合に前記反転開始位置に位置付けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載のプリンタ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるプリンタの好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0020】
(プリンタの外観)
まず、この発明にかかる実施の形態のプリンタの外観について説明する。
図1は、この発明にかかる実施の形態のプリンタの外観を示す説明図である。
図1において、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、略箱型の筐体101を備えている。筐体101の正面には、プリンタ100によって記録動作がおこなわれた記録媒体を排出する排出口102が設けられている。
【0021】
筐体101の正面であって、排出口102の下方には、カットくず収集ボックス103が設けられている。カットくず収集ボックス103は、筐体101に対して取り外し可能に取り付けられる。カットくず収集ボックス103は、プリンタ100による記録媒体への記録動作に際して生じる断裁片(カットくず)を収容する。
【0022】
筐体101内には、プリンタ本体が、筐体101に対して引き出し可能に収容されている。プリンタ本体は、筐体101の正面側から、当該筐体101の外に引き出すことができる。プリンタ本体において、カットくず収集ボックス103の上方部分は、プリンタ本体に対して、カットくず収集ボックス103から離反する方向に回動可能に軸支されている。プリンタ本体において、カットくず収集ボックス103の上方部分には、後述する第1のカッタ機構(
図2における符号204を参照)が設けられている。プリンタ100においては、筐体101からプリンタ本体を引き出すとともにカットくず収集ボックス103を取り外し、かつ、カットくず収集ボックス103の上方部分をプリンタ本体に対して回動させることにより、筐体101の内部を開放させることができる。
【0023】
(プリンタ100の内部構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100の内部構成について説明する。
図2は、
図1のA−A断面図である。
図2において、プリンタ100は、筐体101内において、記録対象となる記録媒体202を保持する記録媒体保持部201を備えている。この実施の形態においては、記録媒体保持部201によって、この発明にかかる記録媒体保持手段を実現することができる。記録媒体保持部201は、ロール状に回巻された記録媒体202を保持する。記録媒体保持部201は、ロール状に回巻された長尺状の記録媒体202の外周部を、当該記録媒体の下方から支持する。
【0024】
記録媒体保持部201は、筐体101から引き出した状態のプリンタ本体におけるカットくず収集ボックス103の上方部分を、プリンタ本体に対して回動させてプリンタ本体の内側を開放させることにより、外部に対して開放される。これにより、記録媒体保持部201に対して、ロール状に回巻された記録媒体202を交換したり補充したりすることができる。
【0025】
記録媒体保持部201は、記録媒体保持部201内において、ロール状に回巻された記録媒体202を回転可能に保持する。記録媒体保持部201は、ロール状に回巻された記録媒体202の軸を、回転可能に支持することによって、当該記録媒体を回転可能に保持する。
【0026】
記録媒体保持部201は、所定の輪列を介して記録媒体搬送モータ(
図3を参照)に連結されており、当該所定の輪列を介して伝達される記録媒体搬送モータの駆動力によって記録媒体の軸を回転させる。記録媒体保持部201は、記録媒体を記録媒体保持部201から引き出す(繰り出す)方向と、記録媒体を記録媒体保持部201に引き込む方向と、に選択的に回転する。
【0027】
記録媒体は、記録層を備えている。記録媒体が備える記録層は、紙などによって形成される基材の表面に設けられている。記録層は、基材に塗布、あるいは貼り合わされる断熱層と、当該断熱層に積層される受容層と、によって構成されている。記録媒体において、記録層は、基材の両方の面にそれぞれ設けられている。プリンタ100においては、基材の一方の面にのみ記録層が設けられた記録媒体を用いることもできる。
【0028】
筐体101内には、記録媒体保持部201における記録媒体の引出位置から、記録部203および第1のカッタ機構204を順次経由して排出口102に至る第1の搬送経路205が設けられている。記録媒体保持部201における記録媒体の引出位置は、記録部203による記録位置よりも、鉛直方向において下側に設けられている。すなわち、引出位置の高さは、記録位置の高さよりも低い。第1の搬送経路205において、記録媒体保持部201と記録部203との間には、記録媒体保持部201が保持する記録媒体を、記録部203に搬送する搬送ローラ206が設けられていてもよい。
【0029】
記録部203は、記録媒体保持部201によって保持される記録媒体を、当該記録媒体保持部201からの引出位置よりも鉛直方向上側に引き出し、引き出した記録媒体に対して記録動作をおこなう。この実施の形態においては、記録部203によって、この発明にかかる記録手段を実現することができる。
【0030】
記録部203は、サーマルヘッド207とプラテン208とを備えている。サーマルヘッド207とプラテン208とは、第1の搬送経路205を間にして対向配置されている。サーマルヘッド207は、プラテン208に接触する位置とプラテン208から離間する位置とに移動可能に設けられている。
【0031】
サーマルヘッド207は、記録媒体の幅方向に沿ってライン状に配列された複数の発熱素子(発熱抵抗体)や、当該発熱素子を駆動するドライバICなどを備えている。ドライバICは、プリンタ100が備えるマイクロコンピュータによって駆動制御される。ドライバICは、マイクロコンピュータによって駆動制御されることにより、図示を省略する電源から、サーマルヘッド207における各発熱素子に接続された電極配線に選択的に通電することによって、通電された電極配線に対応する発熱素子を発熱させる。
【0032】
プラテン208は、記録媒体の幅方向を軸心方向とする円筒形状をなし、軸心周りに回転可能に設けられている。プラテン208は、
図2における反時計回り方向(正方向)、および、
図2における時計回り方向(逆方向)に回転可能に設けられている。プラテン208は、記録媒体を挟んで対向するサーマルヘッド207が記録媒体にかける圧力を受け止める。
【0033】
また、記録部203は、リボンユニット209を備えている。リボンユニット209は、インクリボン210を保持する一対のリボンコア211、212を備えている。一対のリボンコア211、212は、サーマルヘッド207とプラテン208との間において、インクリボン210が張り渡されるようにして当該インクリボン210を保持する。一対のリボンコア211、212は、サーマルヘッド207とプラテン208との間において、インクリボン210におけるインク層がプラテン208に対向する状態で、当該インクリボン210を保持する。
【0034】
一対のリボンコア211、212は、巻き取りリボンコア211と供給リボンコア212とによって構成される。巻き取りリボンコア211は、
図2における時計回り方向に回転可能に設けられており、回転することによって供給リボンコア212が保持するインクリボン210を、当該インクリボン210の一端側から巻き上げる。
【0035】
供給リボンコア212は、巻回された長尺状のインクリボン210を、当該インクリボン210の外周側から繰り出し可能に保持する。供給リボンコア212は、巻き取りリボンコア211が回転することによるインクリボン210の巻き上げにともなって、
図2における時計回り方向に回転し、インクリボン210を外周側から繰り出す。
【0036】
リボンユニット209が保持するインクリボン210は、長尺状の基材と、当該基材の一面側に設けられたインク層と、を備えている。具体的に、インクリボン210は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各色のインク層を備える。各インク層は、それぞれ、昇華性染料インク(昇華性染料(昇華性色素)を含有するインク、すなわち昇華インク)によって形成されている。
【0037】
インクリボン210において、複数色のインク層は、色ごとに、基材の長さ方向に沿って周期的に配置されている。具体的には、たとえば、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の各インク層は、基材の長さ方向に沿って「イエロー(Y)のインク層→マゼンタ(M)のインク層→シアン(C)のインク層→・・・」の順序で周期的に配置されている。
【0038】
また、インクリボン210は、オーバーコート層を備えている。オーバーコート層は、インク層とともに、基材の長さ方向に沿って周期的に配置されている。具体的に、インクリボン210においては、基材の長さ方向に沿って、「イエロー(Y)のインク層→マゼンタ(M)のインク層→シアン(C)のインク層→オーバーコート層→イエロー(Y)のインク層→・・・」の順序で周期的に配置されている。
【0039】
プリンタ100は、昇華転写方式の記録動作をおこなう。昇華転写方式の記録動作は、サーマルヘッド207における発熱素子に対して選択的に通電することにより発熱素子を選択的に発熱させ、発熱素子において発生した熱をインクリボン210に伝達し、記録対象とする記録媒体における記録層に対して、インクリボン210が備えるインク層に含有される昇華性染料インクを記録媒体における受容層に昇華転写することによっておこなう。
【0040】
プリンタ100は、昇華転写方式の記録動作をおこなうことにより、記録媒体に転写するインクの濃度を、記録するドットごとに調整することができる。このため、昇華転写方式の記録動作をおこなうプリンタ100は、階調表現に優れている。昇華転写方式の記録動作をおこなうプリンタ100は、優れた階調表現ができることから、写真印刷用途にも耐えうる画質を得ることができる。このような昇華転写方式の記録動作をおこなうプリンタ100は、たとえば、昇華型プリンタ(Dye−sublimation printer)などと称される。
【0041】
プリンタ100は、記録動作に際して、記録動作をおこなった記録媒体の表面(記録面)に、当該記録面を覆うようにしてオーバーコート層を設けることによってラミネート処理を施す。これにより、記録物における昇華性染料インクの耐水性能や耐候性能の劣化を抑制し、記録物の耐水性や耐候性を高めることができる。記録媒体の両面に対して記録動作をおこなう場合、片面に対する記録動作ごとにオーバーコート層を設ける。
【0042】
筐体101内には、グリップローラ213とピンチローラ214とが設けられている。グリップローラ213とピンチローラ214とは、第1の搬送経路205を間にして対向配置されている。グリップローラ213とピンチローラ214とは、第1の搬送経路205において、記録部203よりも記録媒体保持部201側に設けられている。
【0043】
グリップローラ213は、記録動作中の記録媒体の記録面の裏面側に設けられている。ピンチローラ214は、対向配置されたグリップローラ213に対して当接する方向に付勢されている。これにより、グリップローラ213とピンチローラ214とが当接するニップ部215において、第1の搬送経路205を搬送される記録媒体を挟持することができる。
【0044】
グリップローラ213は、外周方向に突出した突起(図示を省略する)を有する。これにより、グリップローラ213と記録媒体とがスリップすることを防止できる。グリップローラ213およびピンチローラ214が記録媒体を挟持して搬送できる力(グリップ力)は、記録媒体が記録部203や、第1の搬送経路205から受ける負荷よりも十分大きく確保する。これにより、グリップローラ213と記録媒体とがスリップすることを確実に防止できる。
【0045】
グリップローラ213には、所定の輪列を介して記録媒体搬送モータ(
図3を参照)が連結されている。これにより、グリップローラ213とピンチローラ214との間に記録媒体を挟持した状態で、グリップローラ213を回転させることができる。グリップローラ213とピンチローラ214との間に記録媒体を挟持した状態で、グリップローラ213を回転させることにより、記録部203による記録位置に対する当該記録媒体の位置を制御することができる。
【0046】
筐体101内において、グリップローラ213の近傍には、記録媒体保持部201から第1の搬送経路205に引き出された記録媒体の先端位置を検出する記録媒体検出センサ(
図3を参照)が設けられている。記録媒体検出センサは、たとえば、第1の搬送経路205を間にして対向配置された発光素子と受光素子とを備え、受光素子における受光量の変化に応じて出力が変動する光センサによって実現することができる。
【0047】
受光素子における受光量は、第1の搬送経路205中を搬送される記録媒体が発光素子と受光素子との間を通過する際に、発光素子が発光した光が遮られることによって変化する。プリンタ100は、受光素子における受光量の変化に応じて変動する記録媒体検出センサの出力値に基づいて、記録媒体保持部201から第1の搬送経路205に引き出された記録媒体の先端位置を検出することができる。このように、グリップローラ213の近傍に記録媒体検出センサを設けることにより、記録媒体に対する各色の記録位置を精度よく合わせることができ、品質の高い記録物を得ることができる。
【0048】
第1のカッタ機構204は、排出口102の近傍に設けられている。第1のカッタ機構204は、位置が固定された固定刃と、固定刃に沿って記録媒体の幅方向に移動(往復移動)可能に設けられた可動刃と、を備えている。可動刃は、固定刃と接触しており、第1の搬送経路205を分断する位置に設けられている。可動刃は、外周部分に刃を備えた円板形状をなし、固定刃に沿って記録媒体の幅方向に移動(往復移動)可能に設けられている。可動刃は、記録媒体の切断を待機している場合などの非動作時は、記録媒体の通過に支障のない位置に位置付けられる。
【0049】
第1のカッタ機構204は、可動刃駆動用モータなどの駆動源や、当該可動刃駆動用のモータが発生させた駆動力を可動刃に伝達する動力伝達機構(図示を省略する)などを備えている。第1のカッタ機構204は、記録媒体における切断位置(すなわち切断対象とする位置)が、第1の搬送経路205において可動刃が当該第1の搬送経路205を横断するように移動(往復移動)する位置(すなわち第1のカッタ機構204による切断位置)まで搬送された状態で、可動刃駆動用モータが発生させた駆動力によって可動刃を記録媒体の幅方向に移動させることによって記録媒体を切断する。
【0050】
第1の搬送経路205において、第1のカッタ機構204の近傍には、グリップローラ対216が設けられている。グリップローラ対216は、第1の搬送経路205を間にして対向配置された一対のローラ216a、216bによって構成されている。一方のローラ216aには、所定の輪列を介して記録媒体搬送モータ(
図3を参照)が連結されている。一方のローラ216aは、所定の輪列を介して連結されたモータの駆動力が伝達されることにより回転する。他方のローラ216bは、一方のローラ216aあるいは一方のローラ216aとの間の記録媒体との摩擦によって回転する。
【0051】
グリップローラ対216は、第1の搬送経路205において、第1のカッタ機構204よりも記録部203側に設けられている。グリップローラ対216の近傍には、第1のカッタ機構204に搬送される記録媒体の先端位置を検出する先端検出センサ(
図3を参照)が設けられている。先端検出センサは、たとえば、上述した記録媒体検出センサと同様の光センサによって実現することができる。
【0052】
上述したカットくず収集ボックス103は、筐体101内において、第1のカッタ機構204の鉛直方向下側に設けられている。カットくず収集ボックス103は、上側に、記録媒体への記録動作に際して生じる断裁片(カットくず)を受け付ける開口部を備えた有底箱型をなす部材によって実現することができる。
【0053】
第1の搬送経路205には、記録対象とする記録媒体が、第1の搬送経路205中を搬送されるように、当該記録媒体の位置をガイドするガイド部材217が設けられている。ガイド部材217は、記録媒体保持部201から引き出された記録媒体が、記録部203を経由した後、第1のカッタ機構204に搬送されるように、当該記録媒体の位置をガイドする。ガイド部材217には、第1の搬送経路205中における記録媒体を円滑に搬送するための搬送補助部材が設けられている。
【0054】
搬送補助部材は、たとえば、ガイド部材217に設けられた円弧形状をなす受け部や、当該受け部に嵌め込まれる球体やコロなどの転動体によって構成される。また、第1の搬送経路205には、搬送ローラ206対が設けられている。搬送ローラ206対のうち、少なくとも一方の搬送ローラ206には、所定の輪列を介して記録媒体搬送モータが連結されている(いずれも図示を省略する)。
【0055】
第1の搬送経路205において、記録媒体保持部201における記録媒体の引出位置と、記録部203による記録位置と、の間には、第2の搬送経路218の一端が接続されている。第2の搬送経路218の他端は、反転経路219に接続されている。第2の搬送経路218は、記録媒体保持部201における記録媒体の引出位置および記録部203よりも、鉛直方向において下側に設けられている。
【0056】
第1の搬送経路205と第2の搬送経路218との接続位置(分岐位置)には、第1のフラップ220が設けられている。第1のフラップ220は、所定の輪列を介して記録媒体搬送モータ(
図3を参照)に連結されており、当該所定の輪列を介して伝達される記録媒体搬送モータの駆動力によって、記録媒体保持部201における記録媒体の引出位置と記録部203による記録位置とを接続する表面記録位置と、引出位置と反転経路219とを接続する反転位置と、に選択的に位置付けられる。この実施の形態においては、第1のフラップ220によって、この発明にかかる第1の切替部材を実現することができる。
【0057】
第2の搬送経路218には、第2のカッタ機構221が設けられている。この実施の形態においては、第2のカッタ機構221によって、この発明にかかる切断手段を実現することができる。第2のカッタ機構221は、位置が固定された固定刃と、固定刃に沿って記録媒体の幅方向に移動(往復移動)可能に設けられた可動刃と、を備え、第1のカッタ機構204と同様の構成をなしている。
【0058】
第2のカッタ機構221の近傍には、第2のカッタ機構221に搬送される記録媒体の先端位置を検出する先端検出センサ(
図3を参照)が設けられている。先端検出センサは、たとえば、上述した記録媒体検出センサと同様の光センサによって実現することができる。
【0059】
反転経路219は、一端が第2の搬送経路218の他端に接続され、筐体101内の下面近傍を経由して、記録部203を間にして記録媒体保持部201とは反対側の壁面に沿って上側に延びるように設けられている。反転経路219の他端は、記録部203を間にして記録媒体保持部201とは反対側の壁面に近い位置に設けられている。
【0060】
反転経路219と第2の搬送経路218との接続位置(引込位置)には、第3の搬送経路222の一端が接続されている。すなわち、引込位置においては、反転経路219と第2の搬送経路218と第3の搬送経路222とが接続されている。第3の搬送経路222の他端は、グリップローラ213とピンチローラ214とのニップ部215に接続されている。
【0061】
第3の搬送経路222は、他端側において、一部が、第1の搬送経路205の一部と重複している。第1の搬送経路205と第3の搬送経路222との分岐位置には、第2のフラップ223が設けられている。第2のフラップ223は、第1の搬送経路205を開放し第3の搬送経路222を閉塞する位置と、第1の搬送経路205を閉塞し第3の搬送経路222を開放する位置と、に選択的に位置付けられる。
【0062】
引込位置には、反転ローラ対224が設けられている。反転ローラ対224を構成する一対の反転ローラ225、226のうちの一方の反転ローラ225は、所定の輪列を介して記録媒体搬送モータ(
図3を参照)に連結されている。一方の反転ローラ225は、所定の輪列を介して連結された記録媒体搬送モータの駆動力が伝達されることにより回転する。
【0063】
一方の反転ローラ225は、所定の輪列を介して連結された記録媒体搬送モータの回転方向に応じて、
図2における反時計回り方向(引き込み方向)、および、
図2における時計回り方向(反転方向)に回転可能に設けられている。この実施の形態においては、反転経路219や反転ローラ対224によって、この発明にかかる反転手段を実現することができる。
【0064】
引込位置には、第3のフラップ227が設けられている。第3のフラップ227は、引込位置よりも鉛直方向上側に設けられた支点227aを中心として揺動可能に設けられている。第3のフラップ227は、支点227aを中心として、第2のカッタ機構221による切断位置と引込位置とを接続する反転開始位置と、引込位置と記録部203による記録位置とを接続する裏面記録位置と、の間を揺動する。
【0065】
第3のフラップ227は、通常状態においては、付勢部材の付勢力によって、記録部203による記録位置と反転経路219とを接続する位置に位置付けられている。この実施の形態においては、第3のフラップ227によって、この発明にかかる第2の切替部材を実現することができる。
【0066】
プリンタ100は、第3のフラップ227を、裏面記録位置に位置付けるように付勢する付勢手段を備えていてもよい。付勢手段は、たとえば、第3のフラップ227の回動中心となる支点227aをなす軸に設けたトーションスプリングによって実現することができる。あるいは、付勢手段は、たとえば、第3のフラップ227の引込位置側の端部を、裏面記録位置側に付勢する圧縮スプリングや引っ張りスプリングなどによって実現してもよい。この場合、付勢手段は、引込位置に搬送される記録媒体によって付勢された場合に、第3のフラップ227を、反転開始位置に位置付けるようにする。
【0067】
一方の反転ローラ225の近傍には、記録媒体の巻癖を矯正する矯正ローラ228が設けられている。矯正ローラ228は、たとえば、表面に発熱体を備えている。矯正ローラ228は、図示を省略する電源から電気が供給されることによって表面の発熱体を発熱させ、発熱した熱を反転経路から記録部203による記録位置に搬送される記録媒体に加えることによって、当該記録媒体の巻癖を矯正する。
【0068】
(プリンタ100のハードウエア構成)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100のハードウエア構成について説明する。
図3は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100のハードウエア構成を示す説明図である。
図3において、プリンタ100は、マイクロコンピュータ301と、通信I/F(インターフェイス)302と、ドライバIC303と、モータドライバ304と、入力I/F305と、を備えている。マイクロコンピュータ301、通信I/F302、ドライバIC303、モータドライバ304、入力I/F305の各部は、バス300によって接続されている。
【0069】
マイクロコンピュータ301は、プリンタ100が備える各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ301は、たとえば、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、入出力回路やタイマー回路などの各種回路を実装した基板によって実現することができる。
【0070】
マイクロコンピュータ301は、当該マイクロコンピュータ301が備えるメモリに記憶された各種データや通信I/F302を介して、図示を省略する外部装置から受信した各種データに基づいて、当該メモリに記憶された各種の制御プログラムをCPUにおいて実行することによってプリンタ100が備える各部を駆動制御する。マイクロコンピュータ301において、CPUは、たとえば、記録命令情報に基づく印刷にかかるイメージデータを展開する際のワークエリアとしてRAMを使用する。
【0071】
通信I/F302は、図示を省略する外部装置に接続されている。通信I/F302は、外部装置と直接接続されていてもよく、ネットワークを介して接続されていてもよい。通信I/F302は、外部装置とプリンタ100の内部とのインターフェイスをつかさどり、プリンタ100におけるデータの入出力を制御する。
【0072】
外部装置は、たとえば、プリンタ100に対する記録指示を生成し、生成した記録指示をプリンタ100に対して出力する。外部装置は、具体的には、デジタルカメラで撮影した画像をプリント出力するサービスを提供するDPE店などに設置されたパーソナルコンピュータによって実現することができる。
【0073】
記録指示は、たとえば、記録媒体に記録する画像などに関する情報や、当該情報の記録を指示するコマンドなどを含む。具体的に、外部装置は、記録指示として、記録媒体の片面に対する記録動作(片面記録)を指示する片面記録指示や、記録媒体の両面に対する記録動作(両面記録)を指示する両面記録指示を出力する。
【0074】
ドライバIC303は、マイクロコンピュータ301によって駆動制御される。ドライバIC303は、マイクロコンピュータ301によって駆動制御されることにより、記録部203におけるサーマルヘッド207が備える複数の発熱素子のそれぞれに対応する電極配線に対して選択的に通電する。これにより、各発熱素子を選択的に発熱させることができる。サーマルヘッド207の発熱素子において発生した熱をインクリボン210を介して記録媒体の記録層に伝達することによって、当該インクリボン210に設けられた昇華性染料インクを記録媒体に昇華転写し、記録媒体に対する記録動作をおこなうことができる。
【0075】
モータドライバ304は、マイクロコンピュータ301によって駆動制御される。モータドライバ304には、グリップローラ213、搬送ローラ206対や反転ローラ対224などに連結されたモータ、第1のカッタ機構204における可動刃駆動用モータ、第1のフラップ220や第3のフラップ227に連結されたモータなどの各種モータ306が接続されている。モータドライバ304は、マイクロコンピュータ301からの制御信号に基づいて、モータドライバ304に接続された各種モータ306を駆動制御する。
【0076】
この実施の形態においては、第1のフラップ220に連結されたモータ、当該モータを駆動制御するモータドライバ304、当該モータドライバ304を駆動制御するマイクロコンピュータ301などによって、この発明にかかる第1の切替手段を実現することができる。また、この実施の形態においては、第3のフラップ227に連結されたモータ、当該モータを駆動制御するモータドライバ304、当該モータドライバ304を駆動制御するマイクロコンピュータ301などによって、この発明にかかる第2の切替手段を実現することができる。
【0077】
入力I/F305には、記録媒体検出センサなどの、プリンタ100が備える各種センサ307が接続されている。各種センサ307は、USB(Universal Serial Bus)により入力I/F305に接続されていてもよい。入力I/F305は、各種センサ307からの出力値に応じた信号を、マイクロコンピュータ301に出力する。マイクロコンピュータ301は、入力I/F305から出力された信号に基づいて、プリンタ100が備える各部を駆動制御する。
【0078】
(プリンタ100がおこなう記録動作)
つぎに、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100がおこなう記録動作について説明する。上述したように、プリンタ100は、記録媒体に対して、片面記録および両面記録をおこなうことができる。
【0079】
(片面記録)
まず、プリンタ100がおこなう記録動作として、片面記録にかかる記録動作について説明する。
図4〜
図7は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100がおこなう記録動作のうち、片面記録にかかる記録動作を示す説明図である。
【0080】
片面記録に際して、プリンタ100は、まず、外部装置から、片面記録指示を受信する。片面記録指示を受信したプリンタ100は、第1のフラップ220を、表面記録位置に位置付ける。また、第2のフラップ223を、第1の搬送経路205を開放し第3の搬送経路222を閉塞する位置に位置付ける。
【0081】
つぎに、記録媒体保持部201において記録媒体の軸を回転させ、記録媒体保持部201が保持する記録媒体を第1の搬送経路205に引き出す(
図4を参照)。プリンタ100は、記録媒体検出センサの出力値に基づいて、記録媒体保持部201から第1の搬送経路205に引き出された記録媒体の先端位置が、ニップ部215に到達したことを検出できる。
【0082】
そして、検出した記録媒体の先端位置に基づいて、搬送ローラ206に加えて、グリップローラ213やプラテン208を正回転方向に回転させる。長尺状の記録媒体を記録媒体保持部201から引き出す際には、サーマルヘッド207をプラテン208から離間させる。搬送ローラ206およびグリップローラ213は、先端位置が検出された記録媒体の当該先端位置が、あらかじめ設定された記録動作の開始位置(記録開始位置)に到達するまで、正方向に回転させる(
図5を参照)。
【0083】
記録動作の開始位置(記録開始位置)は、第1の搬送経路205に引き出した記録媒体の先端から記録部203の記録位置までの長さが、外部装置から受信した片面記録指示に基づいて特定される記録物の寸法よりも長くなる位置に設定することができる。具体的には、記録開始位置は、たとえば、第1の搬送経路205上に設けることができる。また、具体的には、記録開始位置は、たとえば、第1の搬送経路205上に設けることができない場合は、筐体101内であって、記録媒体保持部201から引き出された記録媒体がグリップローラ対216に達する前に第1の搬送経路205から分岐する分岐経路を設け、当該分岐経路上に設けることができる。
【0084】
つぎに、サーマルヘッド207をプラテン208側に移動させ、サーマルヘッド207とプラテン208とによって記録媒体およびインクリボン210を挟持する。この状態で、記録媒体保持部201から第1の搬送経路205に引き出した長尺状の記録媒体を、記録媒体保持部201に引き込む方向(
図6において矢印で示す方向)に搬送しながら、片面記録指示に基づいて、サーマルヘッド207が備える発熱素子を選択的に発熱させる(
図6を参照)。これにより、サーマルヘッド207が備える発熱素子において発生した熱がインクリボン210に伝達され、当該インクリボン210に設けられた昇華性染料インクが記録媒体に昇華転写され、記録媒体に対する記録動作をおこなうことができる。
【0085】
上記の記録動作は、インク層の色ごとに、YMC面順次印刷をおこなう。具体的には、たとえば、1色目(たとえばイエロー(Y))の記録動作をおこない、つぎに2色目(たとえばマゼンタ(M))の記録動作をおこない、そのつぎに3色目(シアン(C))の記録動作をおこなう。プリンタ100は、各色の記録動作をおこなうごとに、当該記録動作により記録媒体保持部201に引き込まれた記録媒体の先端が、再び記録開始位置に到達するまで、当該記録媒体を第1の搬送経路205に引き出す。
【0086】
具体的には、1色目(たとえばイエロー(Y))の記録動作をおこなった後、記録媒体の先端が記録開始位置に到達するまで記録媒体を第1の搬送経路205に引き出す。そして、2色目(たとえばマゼンタ(M))の記録動作をおこない、当該2色目(たとえばマゼンタ(M))の記録動作をおこなった後、記録媒体の先端が記録開始位置に到達するまで記録媒体を第1の搬送経路205に引き出す。3色目(シアン(C))の記録動作も同様におこなう。
【0087】
そして、記録媒体の片面に対してすべての色の記録動作をおこなった後、記録動作をおこなった記録面にオーバーコート層を設ける。プリンタ100は、記録動作をおこなった記録媒体の先端が記録開始位置に到達するまで記録媒体を第1の搬送経路205に引き出した状態で、上記の記録動作をおこなうことによって、記録動作をおこなった記録面にオーバーコート層を設ける。オーバーコート層は、記録動作をおこなった記録面の全面に設ける。
【0088】
つぎに、プリンタ100は、該当するモータドライバ304を駆動制御して、片面にオーバーコート層を設けた記録媒体(以降、適宜「片面記録がおこなわれた記録媒体」という)を、排出口102側へ搬送する。片面記録がおこなわれた記録媒体は、先端が、第1のカッタ機構204による切断位置を通過して、所定の位置まで引き出されるまで搬送する。
【0089】
具体的には、片面記録がおこなわれた記録媒体の先端側における先端側の未記録部分と記録部分との境界が、第1のカッタ機構204による切断位置に達するまで、当該記録媒体を搬送する。記録媒体の位置は、グリップローラ対216の近傍に設けられた先端検出センサの出力値に基づいて検出することができる。
【0090】
そして、片面記録がおこなわれた記録媒体の先端側における先端側の未記録部分と記録部分との境界を、第1のカッタ機構204による切断位置に位置付けた状態で、第1のカッタ機構204における可動刃用モータのモータドライバ304を駆動制御して、可動刃を動作させる(
図7を参照)。これにより、片面記録がおこなわれた記録媒体における、先端側の未記録部分と記録部分との境界から先端までの余白が記録物から切断される。この切断により生じた余白片は、カットくず収集ボックス103に収容される。
【0091】
つぎに、片面記録をおこない先端の余白を切断した記録媒体を、排出口102側へ搬送する。プリンタ100は、片面記録がおこなわれた記録媒体が、当該記録媒体における記録部分が第1のカッタ機構204による切断位置を通過して、所定の位置に搬送されるまで、該当するモータドライバ304を駆動制御する。具体的には、片面記録がおこなわれた記録媒体の記録媒体保持部201側における未記録部分と記録部分の境界が、第1のカッタ機構204による切断位置に達するまで、当該記録媒体を搬送する。
【0092】
そして、片面記録がおこなわれた記録媒体の記録媒体保持部201側における未記録部分と記録部分との境界を、第1のカッタ機構204による切断位置に位置付けた状態で、第1のカッタ機構204における可動刃用モータのモータドライバ304を駆動制御して、可動刃を動作させる。これにより、片面記録がおこなわれた記録媒体における、記録媒体保持部201側における未記録部分と記録部分との境界が切断され、記録物の後端ができる。
【0093】
このように、片面記録がおこなわれた記録媒体の記録部203両端を切断することにより、余白のない記録物(縁なしの記録物)を提供することができる。両端の余白が切断された記録媒体は、長尺状の記録媒体から単票状の記録媒体となる。プリンタ100は、単票状の記録媒体を排出口102からプリンタ100の外へ排出する。
【0094】
記録部203による記録動作に際しては、サーマルヘッド207が備える発熱素子に対する通電量(通電時間)や、記録動作に際しての記録媒体の搬送速度(印画エネルギー)などを調整することにより、記録動作に際して記録媒体における記録面に対して加えられるエネルギー(印画エネルギー)を調整することができる。これにより、巻回された長尺状の記録媒体を用いることにより当該記録媒体についている巻き癖を取り除き、湾曲していない平坦な状態の記録媒体とすることができる。
【0095】
(両面記録)
つぎに、プリンタ100がおこなう記録動作として、両面記録にかかる記録動作について説明する。
図8〜
図12は、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100がおこなう記録動作のうち、両面記録にかかる記録動作を示す説明図である。
【0096】
両面記録に際して、プリンタ100は、まず、外部装置から、両面記録指示を受信する。両面記録指示にかかる記録指示を受信したプリンタ100は、第1のフラップ220を、表面記録位置に位置付けるとともに、第2のフラップ223を、第1の搬送経路205を開放し第3の搬送経路222を閉塞する位置に位置付けた状態で、上述した片面記録と同様にして、記録媒体保持部201が保持する記録媒体の片面に記録動作をおこなう。
【0097】
つぎに、片面記録がおこなわれた記録媒体の先端が、第1のフラップ220よりも記録媒体保持部201側に位置するまで、長尺状の記録媒体を記録媒体保持部201に引き込む。そして、第1のフラップ220を反転位置に位置付けてから、記録媒体保持部201が保持する記録媒体を、先端から第2の搬送経路218に搬送する(
図8を参照)。
【0098】
プリンタ100は、片面に記録動作がおこなわれ、第2の搬送経路218に搬送された記録媒体の先端が、第2のカッタ機構221を通過して所定の位置に搬送されるまで、該当するモータドライバ304を駆動制御する。具体的には、片面記録がおこなわれた記録媒体の記録媒体保持部201側における未記録部分と記録部分の境界が、第2のカッタ機構221による切断位置を通過してから所定長さ分搬送されるまで、当該記録媒体を搬送する。第2のカッタ機構221を通過した記録媒体の先端位置は、たとえば、第2のカッタ機構221の近傍に設けられた先端検出センサの出力値に基づいて、検出することができる。
【0099】
第2の搬送経路218に搬送された記録媒体は、引込位置を通過する際に、先端が第3のフラップ227に当接することによって、第3のフラップ227を揺動させる。第3のフラップ227は、第2の搬送経路218に搬送された記録媒体の先端によって付勢され、支点227aを中心として回動することにより反転開始位置に位置付けられる。これにより、片面記録がおこなわれた記録媒体は、第2の搬送経路218を介して、先端から反転経路219に搬送される(
図9を参照)。
【0100】
このとき、該当するモータドライバ304を駆動制御して、片面記録がおこなわれた記録媒体の後端が、反転経路219と第2の搬送経路218と第3の搬送経路222との接続位置(分岐位置)を通過するまで、反転ローラ対224における一方の反転ローラ225を、
図9における反時計回り方向(引き込み方向)に回転する。これにより、片面記録がおこなわれた記録媒体は、先端から反転経路219内に完全に引き込まれる。反転経路219内に完全に引き込まれた状態の記録媒体(片面記録がおこなわれた記録媒体)は、後端側の端部が反転ローラ対224によって挟持されている。
【0101】
そして、片面記録がおこなわれた記録媒体の記録媒体保持部201側における未記録部分と記録部分との境界が、第2のカッタ機構221による切断位置を通過してから所定長さ分搬送された状態で、第2のカッタ機構221における可動刃用モータのモータドライバ304を駆動制御して、可動刃を動作させる。これにより、片面記録がおこなわれた記録媒体における、記録媒体保持部201側に余白を設けた状態で当該記録媒体が切断され、記録物の後端ができる。すなわち、長尺状の記録媒体から、単票状の記録媒体が形成される(
図10を参照)。
【0102】
この状態における単票状の記録媒体は、未記録部分と記録部分との境界よりも外側(先端側および後端側)に余白を備えている。先端側および後端側の余白は、片面記録がおこなわれた記録媒体の長さが、当該記録媒体の一端が記録開始位置に位置付けられている場合に、当該記録媒体の他端をニップ部215において挟持することができるように設ける。
【0103】
片面記録がおこなわれた記録媒体が反転経路219内に完全に引き込まれると、第2の搬送経路218から反転経路219に搬送される記録媒体による第3のフラップ227の付勢が解除され、第3のフラップ227が、付勢部材の付勢力によって支点227aを中心として揺動し、反転開始位置に位置付けられる(
図11を参照)。また、このとき、記録媒体保持部201において記録媒体の軸を回転させ、記録媒体の先端が、第1のフラップ220よりも記録媒体保持部201側に位置するまで、長尺状の記録媒体を記録媒体保持部201に引き込む。また、第1のフラップ220を、表面記録位置に位置付ける。これにより、次回の記録動作が可能になる。
【0104】
つぎに、第2のフラップ223を、第1の搬送経路205を閉塞し第3の搬送経路222を開放する位置に位置付け、かつ、第3のフラップ227を裏面記録位置に位置付けた状態で、反転ローラ対224における一方の反転ローラ225を、
図11における時計回り方向(反転方向)に回転する。これにより、先端から反転経路219内に引き込まれた、片面記録がおこなわれた記録媒体は、反転経路219に引き込まれる際には後端だった端部をあらたな先端として、当該あらたな先端から第3の搬送経路222へ搬送される(
図12を参照)。
【0105】
反転経路219に引き込まれた記録媒体は、第3のフラップ227によって案内されて、あらたな先端から第3の搬送経路222に搬送される。これにより、記録部203による記録位置に対する記録媒体の表裏を反転することができる。このとき、第2のフラップ223を、第1の搬送経路205を閉塞し第3の搬送経路222を開放する位置に位置付ける。
【0106】
反転ローラ対224における一方の反転ローラ225は、反転された記録媒体が、あらたな先端(反転前の記録媒体の後端)がニップ部215に到達するまで、反転方向に回転する。その後、さらに一方の反転ローラ225を反転方向に回転するとともに、検出された先端位置に基づいて、反転された記録媒体のあらたな先端位置が記録開始位置に到達するまで、グリップローラ213やプラテン208を正回転方向に回転させる。サーマルヘッド207は、反転された記録媒体のあらたな先端が記録開始位置に達するまで、プラテン208から離間させる。
【0107】
そして、反転された記録媒体を記録開始位置に搬送した後、サーマルヘッド207をプラテン208側に移動させ、サーマルヘッド207とプラテン208とによって記録媒体およびインクリボン210を挟持する。この状態で、反転された記録媒体を、反転経路219に引き込む方向に搬送しながら、裏面用の記録指示に基づいて、サーマルヘッド207が備える発熱素子を選択的に発熱させる。
【0108】
これにより、サーマルヘッド207が備える発熱素子において発生した熱がインクリボン210に伝達され、当該インクリボン210に設けられた昇華性染料インクが記録媒体に昇華転写され、記録媒体に対する記録動作をおこなうことができる。反転された記録媒体への記録動作、すなわち、記録媒体の裏面への記録動作は、当該記録媒体のおもて面に対する記録動作と同様に、インク層の色ごとに、YMC面順次印刷をおこなう。そして、記録媒体の裏面に対してすべての色の記録動作をおこなった後、おもて面に対する記録動作と同様に、反転された記録媒体の記録面(裏面)にオーバーコート層を設ける。オーバーコート層は、おもて面に対する記録動作と同様に、記録動作をおこなった記録面(裏面)の全面に設ける。
【0109】
つぎに、プリンタ100は、該当するモータドライバ304を駆動制御して、両面にオーバーコート層を設けた記録媒体(以降、適宜「両面記録をおこなった記録媒体」という)を、排出口102側へ搬送する。両面記録をおこなった記録媒体は、あらたな先端が、第1のカッタ機構204による切断位置を通過して、排出口102に向かって所定の位置まで搬送する。具体的には、両面記録をおこなった記録媒体のあらたな先端側の未記録部分と記録部分との境界が、第1のカッタ機構204による切断位置に達するまで、当該記録媒体を搬送する。
【0110】
そして、両面記録をおこなった記録媒体のあらたな先端側における先端側の未記録部分と記録部分との境界を、第1のカッタ機構204による切断位置に位置付けた状態で、第1のカッタ機構204における可動刃用モータのモータドライバ304を駆動制御して、可動刃を動作させる。これにより、両面記録をおこなった記録媒体における、あらたな先端側の未記録部分と記録部分との境界からあらたな先端までの余白が記録物から切断される。この切断により生じた余白片は、カットくず収集ボックス103に収容される。
【0111】
つぎに、両面記録をおこなった後にあらたな先端側の余白を切断した記録媒体を、排出口102側へ搬送する。プリンタ100は、両面記録をおこなった記録媒体が、当該記録媒体における記録部分が第1のカッタ機構204による切断位置を通過して、所定の位置に搬送されるまで、該当するモータドライバ304を駆動制御する。具体的には、両面記録をおこなった記録媒体のあらたな後端側における未記録部分と記録部分との境界が、第1のカッタ機構204による切断位置に達するまで、当該記録媒体を搬送する。
【0112】
そして、両面記録をおこなった記録媒体の記録媒体保持部201側における未記録部分と記録部分との境界を、第1のカッタ機構204による切断位置に位置付けた状態で、第1のカッタ機構204における可動刃用モータのモータドライバ304を駆動制御して、可動刃を動作させる。これにより、両面記録をおこなった記録媒体における、記録媒体保持部201側における未記録部分と記録部分との境界が切断される。この切断により生じた余白片は、カットくず収集ボックス103に収容される。
【0113】
このように、両面記録をおこなった記録媒体の記録部203両端を切断することにより、余白のない記録物(縁なしの記録物)を提供することができる。両端の余白が切断された記録媒体は、長尺状の記録媒体から単票状の記録媒体となる。プリンタ100は、単票状の記録媒体を排出口102からプリンタ100の外へ排出する。
【0114】
以上説明したように、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、巻回された長尺状の記録媒体を外周側の先端から引き出し可能に保持する記録媒体保持部201と、記録媒体保持部201によって保持される記録媒体を、当該記録媒体保持部201からの引出位置よりも鉛直方向上側に引き出し、引き出した記録媒体に対して記録動作をおこなう記録部203と、鉛直方向において記録媒体保持部201の下方に設けられ、記録部203によって記録動作がおこなわれた記録媒体を先端から所定の長さ離れた後端で切断する第2のカッタ機構221と、を備えている。
【0115】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、表面記録位置と反転位置とに選択的に位置付けられる第1のフラップ220と、反転開始位置と裏面記録位置とに選択的に位置付けられる第3のフラップ227と、を備えている。また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、第2のカッタ機構221によって切断された記録媒体を先端から反転経路219に引き込み、当該反転経路219に引き込まれた記録媒体を後端(あらたな先端)から当該反転経路219の外に排出する反転経路219や反転ローラ対224を備えている。
【0116】
そして、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、引込位置が、鉛直方向において、記録媒体保持部201および記録部203よりも下方に配置されていることを特徴としている。
【0117】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、反転経路219の引込位置を鉛直方向において記録媒体保持部201および記録部203よりも下方に配置することにより、単一の記録部203を用いて記録媒体の両面に記録動作をおこなうプリンタにおいて、記録位置に対する表裏を反転するために必須となる第2のカッタ機構221を配置することによって生じるスペースを利用して反転経路219を配置することができる。
【0118】
第2のカッタ機構221は、切断によって発生する紙粉が記録媒体に付着することを防止するため、鉛直方向において記録媒体保持部201および記録部203よりも下方に配置することが好ましい。仮に、鉛直方向において記録媒体保持部201および記録部203よりも上方に第2のカッタ機構221を配置する場合、紙粉の付着を防止するためには鉛直方向において記録媒体保持部201および記録部203と重複しない位置に第2のカッタ機構221を配置しなければならず、水平方向におけるプリンタの寸法が大きくなり、これによりプリンタが大型化してしまう。
【0119】
これに対し、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100第2のカッタ機構221を配置するために記録媒体保持部201および記録部203の下方スペースを利用して反転経路219を配置することにより、単一の記録部203を用いて両面記録をおこなうために必須の第2のカッタ機構221を配置することに起因するプリンタの大型化を抑えることができる。これにより、プリンタの小型化を図ることができる。
【0120】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、反転経路219が、記録部203によって記録動作がおこなわれた記録媒体を、水平方向において、当該記録部203を間にして記録媒体保持部201とは反対側に配置されていることを特徴としている。
【0121】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、記録媒体保持部201から引き出された記録媒体を急激に屈曲あるいは湾曲させることなく反転経路219に引き込むことができる。これにより、記録媒体を損傷させることなくプリンタの小型化を図ることができる。
【0122】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、反転経路219が、記録部203を記録媒体保持部201とは反対側から囲うように配置されていることを特徴としている。
【0123】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、記録媒体保持部201から引き出された記録媒体を急激に屈曲あるいは湾曲させることなく反転経路219に引き込むことができ、また、反転経路219を配置するために要するスペースを押さえることができる。これにより、記録媒体を損傷させることなくプリンタの小型化を図ることができる。
【0124】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100は、第3のフラップ227を、裏面記録位置に位置付けるように付勢する付勢手段を備えていてもよい。この場合、付勢手段は、引込位置に搬送される記録媒体によって付勢された場合に、第3のフラップ227を、反転開始位置に位置付けるようにする。
【0125】
この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、引込位置に搬送される記録媒体によって第3のフラップ227を付勢して反転開始位置に位置付けることにより、反転経路219に記録媒体を搬送する際、すなわち両面記録をおこなう場合にのみ、第3のフラップ227を反転開始位置に位置付けることができる。これにより、複雑な機構を設けることなく第3のフラップ227の位置を切り替えることができるので、構成を簡易化し、プリンタの小型化に寄与することができる。
【0126】
また、この発明にかかる実施の形態のプリンタ100によれば、反転開始位置に位置付けられた第3のフラップ227が裏面記録位置に再度位置付けられるのは、引込位置に搬送される記録媒体が完全に第3のフラップ227を通過した後であって、当該記録媒体が完全に第3のフラップ227を通過した後は、付勢部材の付勢力によって第3のフラップ227が裏面記録位置に位置付けられる。これにより、後端から反転経路219の外に排出される記録媒体を確実に記録位置へ搬送することができる。