(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の好ましい一実施の形態について、添付図面を参照して説明する。まず、
図1を参照して、本発明の一実施の形態における緩衝器10の全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施の形態における緩衝器10の断面図である。なお、
図1は連通弁47が模式的に図示される。
【0012】
図1に示すように、緩衝器10は、図示しない自動二輪車の車体と車軸とを接続して、路面からの振動を吸収するための緩衝装置であり、車輪の左右に配置されるフロントフォークの一方である。なお、フロントフォークの他方(図示せず)はオイルダンパなどの減衰機構を内蔵した油圧緩衝器である。緩衝器10は、衝撃を緩衝する緩衝器本体11と、緩衝器本体11の外部に取り付けられる増設部40とを備える。緩衝器本体11は、車体側に固定される第1端11aと、車軸側に固定される第2端11bとを有する。
【0013】
緩衝器本体11は、第1端11aから第2端11bへ向かって形成される車体側チューブ20と、第2端11bから第1端11aへ向かって形成されて車体側チューブ20の内部に挿入される車軸側チューブ30と、車体側チューブ20の内部に配置されるシリンダ12と、車軸側チューブ30の内部に配置されてシリンダ12の内部に挿入されるロッド13と、ロッド13に固定されてシリンダ12内を軸方向に摺動するピストン14と、シリンダ12に固定されてロッド13が挿入されるロッドガイド15と、ピストン14とロッドガイド15との間に配置されるリバウンドスプリング16とを備える。
【0014】
車体側チューブ20は、上端(第1端11a側の端部)がキャップ21により塞がれた円筒状の部材であり、下端(第2端11b側の端部)側の内周面にシールリング22及びブッシュ23がそれぞれ設けられる。車体側チューブ20とキャップ21との間に設けられるシールリング(図示せず)により、車体側チューブ20の上端側の内周面とキャップ21との間が気密にされる。
【0015】
シールリング22は、ゴムから円環状に形成される。なお、後述するシールリング13b,33a,33b,34bは、シールリング22と同様に構成されるので説明を省略する。ブッシュ23は、円環状に形成されると共に、その内周面にフッ素樹脂がコーティングされる。
【0016】
キャップ21は、車体側チューブ20に締結固定される部材であり、第1気体室調整部24及び第2気体室調整部25を備える。第1気体室調整部24及び第2気体室調整部25は、キャップ21に形成される2箇所の貫通孔にそれぞれ設けられる。第1気体室調整部24は、後述する第1気体室C1の圧力(反力)を調整するための調整弁である。第2気体室調整部25は、後述する第2気体室C2の圧力を調整するための調整弁である。
【0017】
車軸側チューブ30は、下端(第2端11b側の端部)が車軸側固定部31により塞がれた円筒状の部材であり、外径が車体側チューブ20の内径と略同一の寸法に形成される。車軸側チューブ30は、車体側チューブ20の内周面(シールリング22及びブッシュ23の内周面)に沿って気密に摺動可能とされる。
【0018】
車軸側固定部31は、車軸を連結するための連結孔32aが形成されるブラケット32と、車軸側チューブ30の下端に取り付けられるボトムピース33と、車軸側チューブ30の軸方向にブラケット32を貫通する貫通孔に装着されるボトムボルト34とを備える。ブラケット32は、車軸側チューブ30が挿入される円筒状の筒部32bを備え、筒部32bの内径が車軸側チューブ30の外径と略同一の寸法に形成される。車軸側チューブ30が筒部32bに挿入されて締結固定される。
【0019】
シリンダ12は、車軸側チューブ30よりも小径の円筒状の部材であり、上端(第1端11a側の端部)がキャップ21と一体に形成されてキャップ21により上端が閉じられる。ロッド13は、シリンダ12よりも小径の円管状の部材であり、下端(第2端11b側の端部)がボトムボルト34に固定される。
【0020】
ピストン14は、ロッド13の上端(第1端11a側の端部)に締結固定される円筒状の部材である。ピストン14は、外周面にシールリング14a,14b及びブッシュ14cがそれぞれ設けられる。シールリング14a,14bは、ゴムから円環状に形成され、後述する第1気体室C1の圧力が高い程、緊迫力(接触面圧)が大きくなる。シールリング14bは、ゴムから円環状に形成され、後述する第2気体室C2の圧力が高い程、緊迫力が大きくなる。
【0021】
ブッシュ14cは、円環状に形成されると共に、その外周面にフッ素樹脂がコーティングされる。ピストン14は、外径(シールリング14a,14b及びブッシュ14cの外径)がシリンダ12の内径と略同一の寸法に形成され、シリンダ12の内周面に沿って気密に摺動可能とされる。
【0022】
ロッドガイド15は、シリンダ12の下端(第2端11b側の端部)の内周面に外周面が締結されて固定される円筒状の部材である。ロッドガイド15は、内周面にブッシュ15aが設けられる。ブッシュ15aは、円環状に形成されると共に、その内周面にフッ素樹脂がコーティングされる。ロッドガイド15は、内径(ブッシュ15aの内径)がロッド13の外径と略同一の寸法に形成される。これにより、ロッドガイド15の内周面に沿ってロッド13が摺動する。
【0023】
リバウンドスプリング16は、金属製の圧縮コイルばねであり、両端がピストン14とロッドガイド15とに接触する。リバウンドスプリング16によりピストン14とロッドガイド15とが互いに離れる方向へ付勢される、即ち、緩衝器本体11が圧縮(短縮)される方向へ付勢される。
【0024】
緩衝器本体11は、ピストン14によりシリンダ12の内部が上下に区画され、ピストン14よりも第1端11a側に第1気体室C1が形成され、ピストン14よりも第2端11b側かつロッド13の外周側に第2気体室C2が形成される。ピストン14は、第1気体室C1と、ロッド13の内部である連通路13aとを連通させる連通孔14dを備える。これにより、ピストン14の内部が第1気体室C1の一部となる。また、ロッドガイド15とロッド13との間が気密にされていない(連通する)ので、車体側チューブ20及び車軸側チューブ30と、シリンダ12及びロッド13との間が第2気体室C2の一部となる。
【0025】
第1気体室C1及び第2気体室C2には気体(例えば空気)が封入され、第1気体室C1及び第2気体室C2の圧力により、緩衝器本体11を伸長する方向に付勢する反力が発生する。なお、第1気体室C1の圧力よりも第2気体室C2の圧力が低く設定される。緩衝器本体11の
図1の状態は、第1気体室C1及び第2気体室C2の反力と、リバウンドスプリング16の弾性力(反力)とが釣り合った中立状態(緩衝器本体11が外部からの入力を受けていない状態)である。
【0026】
緩衝器本体11は、第1気体室C1、第2気体室C2及びリバウンドスプリング16の合成反力によって、緩衝器本体11の軸方向に入力される振動が吸収される(緩衝器本体11が衝撃を緩衝する)。このように、緩衝器本体11は、内部(第1気体室C1及び第2気体室C2)に封入された気体により主たる緩衝作用が生まれる(油圧による緩衝作用がない)エアサスペンションとして形成される。
【0027】
次に
図2を参照して、車軸側固定部31及び増設部40について説明する。
図2は、緩衝器10の部分拡大断面図である。なお、
図2は連通弁47が外形線と記号により模式的に図示される。
図2に示すように、車軸側固定部31のボトムピース33は、車軸側チューブ30の内周面との間に設けられるシールリング33aと、ブラケット32との間に設けられるシールリング33bとを備える。ボトムピース33は、シールリング33a,33bにより車軸側チューブ30と筒部32b(ブラケット32)との間を気密にする。
【0028】
ボトムボルト34は、ロッド13の下端が締結固定され、連通路13aと連通してボトムボルト34の外周面に開口する連通孔34aが形成される。ロッド13の下端の外周面に設けられるシールリング13bにより、ロッド13とボトムボルト34との間が気密にされる。
【0029】
ボトムボルト34は、連通孔34aの外周面に開口した部分を挟むように外周面にシールリング34bが設けられる。これにより、ボトムボルト34とブラケット32との間が気密にされる。連通孔34aは、ロッド13の軸方向へ延びる部位と、ボトムボルト34の中央からロッド13の軸直方向へ放射状に延びる部位と、ボトムボルト34の外周面が周方向に亘って溝状に凹んだ部位とが互いに連結されて形成される。
【0030】
増設部40は、第1気体室C1の容積を大きくするためのタンクであり、第2端11bに取り付けられて第2端11bから第1端11a側に形成される。増設部40が第1端11aに取り付けられる場合、緩衝器10(緩衝器本体11)を車体に取り付けるときに増設部40が車体に干渉して緩衝器10を車体に取り付け難くなる。また、車体に緩衝器10を取り付けると、車体(ハンドル付近)から増設部40が張り出して車体側のスペースが狭くなるので、運転者にとって増設部40が邪魔になる。本実施の形態では、増設部40が第2端11bに取り付けられるので、車体への緩衝器10の取付時に増設部40が干渉して緩衝器10を車体に取り付け難くなることを防止できると共に、車体側のスペースを確保して増設部40が運転者にとって邪魔になることを防止できる。
【0031】
第2端11bに取り付けられる増設部40が第1端11aから離れるように形成される場合、増設部40が路面等に接触することがある。本実施の形態では、第2端11bに取り付けられる増設部40が第2端11bから第1端11a側に形成されるので、増設部40が路面等に接触することを抑制できる。
【0032】
増設部40は、ブラケット32に一体化される増設本体部41と、増設本体部41に取り付けられる筒状部42と、筒状部42の内部を摺動する可動隔壁43とを備える。増設本体部41は、中空状の部位であり、内部が連通孔34aと連通する。増設本体部41は、緩衝器本体11から筒状部42が離れるように緩衝器本体11の軸直方向に斜めに延びる中空状の延設部41aと、延設部41aから第1端11aへ向かって緩衝器本体11と平行に延びる中空状の取付部41bとを備える。取付部41bの上端(第1端11a側の端部)の内周面にはめねじが設けられる。
【0033】
筒状部42は、上端(第1端11a側の端部)がキャップ44により塞がれた円筒状の部材である。筒状部42は、可動隔壁43が摺動する部分の内径が軸方向に亘って一定であり、筒状部42の内径がシリンダ12の内径よりも大きく形成され、緩衝器本体11と平行に配置される。筒状部42は、下端(第2端11b側の端部)の内周面から内側に張り出す張出部45を備える。筒状部42は、下端の外径が取付部41bの上端の内径と略同一に形成され、下端の外周面にはおねじが形成される。筒状部42のおねじを取付部41bのめねじに締結することで、筒状部42を取付部41b(増設本体部41)に交換可能に固定できる。なお、筒状部42の外周面と取付部41bの内周面との間にはシールリング(図示せず)が設けられて、筒状部42の外周面と取付部41bの内周面との間が気密にされる。
【0034】
キャップ44は、筒状部42に締結固定される部材であり、キャップ44に形成される貫通孔に設けられる第2増設室調整部46を備える。第2増設室調整部46は、後述する第2増設室C4の圧力を調整するための調整弁である。
【0035】
可動隔壁43は、筒状部42の内径と外径が略同一の寸法に形成される円柱状の部材であり、外径がピストン14の外径よりも大きく形成される。可動隔壁43は、外周面にシールリング43a,43bが設けられ、筒状部42の内周面に沿って気密に摺動可能とされる。シールリング43aは、ゴムから円環状に形成され、後述する第1増設室C3の圧力が高い程、緊迫力が大きくなる。シールリング43bは、ゴムから円環状に形成され、後述する第2増設室C4の圧力が高い程、緊迫力が大きくなる。
【0036】
増設部40(増設本体部41および筒状部42)は、可動隔壁43により増設部40の内部(増設本体部41及び筒状部42の内部)が上下に区画されて、可動隔壁43よりも第2端11b側に第1増設室C3が形成され、可動隔壁43よりも第1端11a側に第2増設室C4が形成される。第1増設室C3は、連通孔34aを介して第1気体室C1と連通するので、第1増設室C3が第1気体室C1の一部となる。
【0037】
第1増設室C3(第1気体室C1)の圧力が所定の閾値を超えた場合に第1増設室C3から第2気体室C2へ気体を送る連通弁47が増設本体部41に設けられる。連通弁47は、第2気体室C2(車軸側チューブ30の内周面)と第1増設室C3(取付部41bの内周面)とを繋ぐ通路を塞ぐ部材がばねにより第1増設室C3側に付勢され、そのばねの付勢力を第1増設室C3の圧力が超えた場合に第2気体室C2(低圧側)と第1増設室C3(高圧側)とを連通させるリリーフ弁である。連通弁47が増設本体部41に設けられるので、即ち、連通弁47が緩衝器本体11の外部に設けられるので、連通弁47のばねの付勢力(閾値)の調整を容易にできる。
【0038】
緩衝器本体11の中立状態において、第2増設室C4の圧力が第1気体室C1及び第1増設室C3の圧力よりも高く設定されるように、第2増設室C4に気体(例えば空気)が封入される。これにより、可動隔壁43が第1増設室C3(第1気体室C1)側へ押されて張出部45に接触し、張出部45により可動隔壁43の第1増設室C3側への移動が制限される。
【0039】
図1に戻って緩衝器10の動作について説明する。緩衝器10(緩衝器本体11)は、車体が車軸側から衝撃を受ける(緩衝器10に振動が入力される)ことに伴い、第1端11a(車体側チューブ20)と第2端11b(車軸側チューブ30)とが互いに近づく方向に動作する圧縮動作、及び、第1端11aと第2端11bとが互いに離れる方向に動作する伸長動作を行い、衝撃を緩衝する。
【0040】
緩衝器10の圧縮時には、第1気体室C1及び第2気体室C2の容積が減少し、第1気体室C1及び第2気体室C2の圧力(反力)が増加する。第1気体室C1及び第2気体室C2の圧力の増加に伴ってそれぞれシールリング14a,14bの緊迫力を大きくできるので、第1気体室C1及び第2気体室C2の圧力が増加しても、第1気体室C1及び第2気体室C2の気密性を確保できる。また、第1気体室C1及び第2気体室C2の圧力が低ければ、シールリング14a,14bとシリンダ12との間の摩擦力を低減してシールリング14a,14bの摩耗を抑制できる。なお、シールリング43a,43bも同様に、第1増設室C3(第1気体室C1)及び第2増設室C4の気密性を確保しつつ、シールリング43a,43bの摩耗を抑制できる。
【0041】
緩衝器10は、リバウンドスプリング16を大型化(長く)することで、伸長方向に付勢する第1気体室C1及び第2気体室C2の反力を圧縮動作の初期段階で抑制して運転者の乗り心地を改善できる。しかし、リバウンドスプリング16の長さを確保すると、ピストン14を境にして第1端11a側に形成される第1気体室C1(シリンダ12内のピストン14と第1端11aとの間)の容積が減少する。
【0042】
緩衝器10は、ピストン14を境にして第1端11a側に形成される第1気体室C1と連通路13aとを連通孔14dにより連通し、連通路13aと第1増設室C3とを連通孔34aにより連通することで、連通路13a及び第1増設室C3により第1気体室C1の容積を確保できる。これにより、運転者の乗り心地を改善するためのリバウンドスプリング16の大型化による第1気体室C1の容積の減少を補填することができる。
【0043】
また、緩衝器10の圧縮時には、第1気体室C1の一部である第1増設室C3の圧力に可動隔壁43の第1増設室C3側の受圧面積(第1増設室C3側からの圧力を受ける面積)を乗じた第1反力が、第2増設室C4の圧力に可動隔壁43の第2増設室C4側の受圧面積(第2増設室C4側からの圧力を受ける面積)を乗じた第2反力と、可動隔壁43と筒状部42(増設部40)との間の抵抗力とを足した値を超えたとき(後述する所定値Cを超えたとき)、可動隔壁43が第2増設室C4側へ移動開始する。なお、可動隔壁43と筒状部42との間の抵抗力には、可動隔壁43(シールリング43a,43b)と筒状部42との間の摩擦力や、筒状部42に対するシールリング43a,43bの粘着や張り付きによる抵抗力が挙げられる。
【0044】
可動隔壁43の移動開始後は、第1気体室C1(第1増設室C3)の圧力の増加に伴って可動隔壁43が第2増設室C4側へ移動する。これにより、第1気体室C1の圧力の増加に伴って第1気体室C1(第1増設室C3)の容積が増加する。
【0045】
可動隔壁43の第1増設室C3(第1気体室C1)側の受圧面積が大きい程、可動隔壁43と筒状部42との間の抵抗力に対して第1反力が大きくなるので、低い第1気体室C1の圧力により可動隔壁43を移動開始させることができる。従って、第1気体室C1の圧力の増加に対する可動隔壁43の応答性を向上できる。特に、可動隔壁43の外径がピストン14の外径よりも大きく設定されるので、即ち、可動隔壁43の第1増設室C3(第1気体室C1)側の受圧面積がピストン14の受圧面積(第1気体室C1からの圧力を受ける面積)よりも大きく設定されるので、ピストン14(緩衝器10)の応答性に対して可動隔壁43の応答性を向上できる。
【0046】
また、ピストン14の受圧面積に対して可動隔壁43の第1増設室C3側の受圧面積が大きい程、第1気体室C1の圧力の増加に伴う可動隔壁43の移動量を少なくできると共に、可動隔壁43の移動量に対して第1気体室C1の容積の増加量を大きくできる。これにより、第1気体室C1の圧力の増加に伴う可動隔壁43の加速度を小さくできるので、移動時の可動隔壁43にかかる慣性力を小さくでき、可動隔壁43の応答性を向上できる。特に、ピストン14の受圧面積(第1気体室C1からの圧力を受ける面積)よりも可動隔壁43の第1増設室C3側の受圧面積が大きく設定されるので、可動隔壁43の受圧面積がピストン14の受圧面積以下に設定される場合に比べて可動隔壁43の応答性を向上できると共に、ピストン14(緩衝器10)の応答性に対して可動隔壁43の応答性を向上できる。
【0047】
ここで
図3を参照して、緩衝器10の圧縮時の可動隔壁43の機能について説明する。
図3は緩衝器10の圧縮量−反力特性を示すグラフである。緩衝器10の圧縮量−反力特性のグラフAを実線で示し、可動隔壁43を有しない緩衝器の圧縮量−反力特性のグラフBを破線で示す。
図3は、横軸が緩衝器の中立状態からの圧縮量であり、縦軸が緩衝器の反力である。
【0048】
一般的に、気体は圧縮量が増加するにつれて圧力(反力)が二次曲線的に増加する。そのため、
図3に示すように、可動隔壁43を有しない緩衝器(グラフB)は、圧縮量の増加につれて反力が二次曲線的に増加する。即ち、圧縮動作の後半で反力が急激に増加するので、可動隔壁43を有しない緩衝器では、圧縮動作の後半での乗り心地が悪化する。
【0049】
一方、可動隔壁43を有する緩衝器10(グラフA)は、緩衝器10の反力が所定値Cを超えた場合(第2反力と、可動隔壁43と筒状部42との間の抵抗力とを足した値を第1反力が超えた場合)に可動隔壁43が移動開始して第1気体室C1の容積が増加するので、所定値C以降ではグラフBに対して緩衝器10の反力の増加が緩やかになる。これにより、圧縮動作の後半での反力の急激な増加を抑制して、運転者の乗り心地を良好にできる。
【0050】
なお、緩衝器10の中立状態において、第2増設室調整部46により第2増設室C4の圧力(反力)を高く設定する程、所定値Cを圧縮動作の後半側(
図3紙面右側)に移動させ(可動隔壁43を移動開始させるタイミングを遅くし)つつ、所定値C以降の反力の増加を急に(グラフBに近づけることが)できる。従って、第1気体室C1の圧力に対する第2増設室C4の圧力を調整して緩衝器10の圧縮量−反力特性を調整できる。
【0051】
さらに、筒状部42が取付部41b(増設本体部41)に交換可能に固定されるので、筒状部42の第2増設室C4の容積を異なる容積の筒状部42に交換できる。第2増設室C4の容積が大きい程、所定値Cの位置は変えずに所定値C以降の反力の増加を緩やかに(グラフBから遠ざけることが)できる。従って、第2増設室C4の容積の設定により緩衝器10の圧縮量−反力特性を調整できる。よって、第2増設室C4の圧力と、第2増設室C4の容積とをそれぞれ設定することで、緩衝器10の圧縮量−反力特性を所望の特性に設定できる。
【0052】
また、第2増設室C4の容積を変更するには、第2増設室C4の長さ(筒状部42の長さ)を変更する場合と、第2増設室C4の内径(筒状部42の内径および外径)を変更する場合とがある。第2増設室C4の内径を変更する場合、同時に可動隔壁43の外径(受圧面積)も変更される。上述したように、可動隔壁43は受圧面積が大きい程、可動隔壁43の応答性を向上できるので、第2増設室C4の容積を小さくするときには第2増設室C4の長さを小さくすることが好ましく、第2増設室C4の容積を大きくするときには第2増設室C4の内径を大きくすることが好ましい。
【0053】
なお、筒状部42を交換して増設本体部41に取り付けていない(増設本体部41から取り外した)とき、張出部45により可動隔壁43を筒状部42の内部から外れないようにできる。これにより、交換される筒状部42と可動隔壁43とをまとめて保管できると共に、筒状部42および可動隔壁43の交換を容易にできる。
【0054】
また、緩衝器10の圧縮動作の後半では(第1気体室の圧力が所定の閾値を超えた場合)、連通弁47により第1気体室C1の圧力を下げて緩衝器10の反力を抑制できる。連通弁47により圧縮動作の後半での反力の急激な増加を抑制して、運転者の乗り心地を良好にできる。
【0055】
第2増設室C4及び可動隔壁43による緩衝器10の反力の抑制と、連通弁47による第1気体室C1の圧力低下に基づく緩衝器10の反力の抑制とを組み合わせることで、緩衝器10の圧縮量−反力特性を所望の特性に設定できる。なお、第2増設室C4の圧力の増加に伴って可動隔壁43が移動し難くなったとき(可動隔壁43の移動による緩衝器10の反力の抑制効果が小さくなったとき)に、連通弁47により第1気体室C1の圧力を下げるように設定することが好ましい。即ち、所定値Cよりも大きい圧縮量(所定値Cよりも
図3紙面右側)で連通弁47により第1気体室C1の圧力を下げるように設定することが好ましい。これにより、圧縮動作のより後半まで緩衝器10の反力の急激な増加を抑制できる。
【0056】
以上の緩衝器10によれば、緩衝器本体11の外部に増設部40が取り付けられるので、緩衝器本体11の内部に第2増設室C4や可動隔壁43が設けられる場合に比べて、第2増設室C4の容積や可動隔壁43の受圧面積の制約を緩和できる。その結果、緩衝器10の圧縮量−反力特性を所望の特性に設定できると共に、可動隔壁43の受圧面積を大きくして可動隔壁43の応答性を向上できる。また、緩衝器本体11の外部に増設部40が取り付けられるので、筒状部42の交換を容易にできる。
【0057】
さらに、緩衝器本体11から筒状部42が離れるように緩衝器本体11の軸直方向に延設部41aが延びるので、緩衝器本体11の第1端11aへ向かって延びる筒状部42と緩衝器本体11との間の距離を確保できる。筒状部42の軸直方向の寸法の制約をより緩和できるので、第2増設室C4の容積や可動隔壁43の受圧面積の制約をより緩和できる。その結果、緩衝器10の圧縮量−反力特性を所望の特性に設定できると共に、可動隔壁43の受圧面積をより大きくして可動隔壁43の応答性をより向上できる。
【0058】
連通路13aが第1気体室C1の一部なので、連通路13aの容積分だけ第1気体室C1の容積を大きくできる。これにより、第2増設室C4の容積に対する第1気体室C1の容積を調整して緩衝器10の圧縮量−反力特性を所望の特性に設定できる。
【0059】
緩衝器10の圧縮時には第1気体室C1及び第2気体室C2がそれぞれ圧縮されるので、緩衝器10の圧縮による反力(緩衝器10を伸長する方向に付勢する反力)を、第1気体室C1の圧縮による反力と第2気体室C2の圧縮による反力とに分担させることができる。これにより第1気体室C1の圧力を低くできるので、第1気体室C1との圧力関係によって可動隔壁43を移動させる第2増設室C4の圧力も低くできる。
【0060】
第1気体室C1及び第2増設室C4の圧力が低い程、例えば、シールリング14a,14b,43a,43bを緊迫力の小さいものにしたり、シールリング14a,14b,43a,43b等のシール部材の数を減らしたり、気密にされる部分(筒状部42とキャップ44との間)の寸法精度を低下させたりして、第1気体室C1及び第2増設室C4の気密構造を簡素化できる。その結果、緩衝器10の製造を容易にできる。
【0061】
第1気体室C1(第1増設室C3)及び第2増設室C4の圧力が低い程、シールリング43a,43bの緊迫力(接触面圧)を小さくできるので、筒状部42に対するシールリング43a,43bの粘着や張り付きによる抵抗力を低減できる。なお、第1気体室C1(第1増設室C3)及び第2増設室C4の圧力が低いので、シールリング43a,43bの緊迫力が小さくてもシールリング43a,43bによる第1気体室C1及び第2増設室C4の気密性は確保できる。それらの結果、第1気体室C1及び第2増設室C4の気密性を確保しつつ、第1気体室C1の圧力の増加に対する可動隔壁43の応答性を向上できる。
【0062】
また、第1気体室C1及び第2増設室C4の圧力が低い程、第1気体室C1及び第2増設室C4へ気体を注入(封入)し易いので、第1気体室調整部24及び第2増設室調整部46により第1気体室C1及び第2増設室C4の圧力を調整し易くできる。さらに、第1気体室C1及び第2増設室C4の圧力が高いと、緩衝器10の圧縮量−反力特性にバラつきが生じることがある。第2気体室C2により第1気体室C1及び第2増設室C4の圧力を低くできるので、緩衝器10の圧縮量−反力特性を安定させることができる。
【0063】
緩衝器10を自動二輪車に取り付ける場合、連結孔32aが上方に且つ増設部40が下方に位置するように緩衝器10が路面に対して斜めに設けられることが多い。延設部41aは、緩衝器本体11の軸直方向に斜めに延びるので、自動二輪車に緩衝器10が設けられた状態で、緩衝器本体11の第2端11bから下方に延設部41aが突出することを抑制できる。その結果、延設部41a(増設部40)が路面等に接触することを抑制できる。
【0064】
以上、上記実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。緩衝器本体11や増設部40の形状や寸法は一例であり、種々の形状や寸法を採用することは当然可能である。例えば、車体側チューブ20や車軸側チューブ30、筒状部42を楕円筒状に形成することが挙げられる。
【0065】
上記実施の形態では、緩衝器本体11がエアサスペンションである場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、緩衝器の圧縮時に圧縮される第1気体室を有する油圧緩衝器を緩衝器本体とすることは当然可能である。しかし、緩衝器本体11が油圧緩衝器である場合、油圧緩衝器が衝撃を緩衝するときの発熱により内部に封入された気体が影響を受けて、圧縮量−反力特性が不安定になることがある。上記実施の形態では、緩衝器本体11は、内部(第1気体室C1及び第2気体室C2)に封入された気体により主たる緩衝作用が生まれる(油圧による緩衝作用がない)エアサスペンションとして形成されるので、圧縮量−反力特性を安定させることができる。
【0066】
上記実施の形態では、軸方向に亘って内径が一定である筒状部42の内部を円柱状の可動隔壁43が摺動する(可動隔壁43の第1増設室C3側の受圧面積と、可動隔壁43の第2増設室C4側の受圧面積とが等しい)場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、可動隔壁の第1増設室C3側の受圧面積よりも可動隔壁の第2増設室C4側の受圧面積が大きくなるように構成することは当然可能である。例えば、円筒状の大径部と、大径部よりも小径(例えばシリンダ12の内径と同径)の円筒状の小径部とを筒状部に設け、大径部内を摺動する円柱状の大径摺動部と、小径部内を摺動して大径摺動部よりも小径(例えばピストン14の外形と同径)の円柱状の小径摺動部とを可動隔壁に設けることで、第1増設室C3側よりも第2増設室C4側の可動隔壁の受圧面積を大きくできる。可動隔壁の第1増設室C3側の受圧面積と、可動隔壁の第2増設室C4側の受圧面積とが等しい場合における第1反力と第2反力との関係(所定値Cの位置)を維持することで、可動隔壁の第1増設室C3側の受圧面積と、可動隔壁の第2増設室C4側の受圧面積とが等しい場合に比べて第2増設室C4の圧力を小さくできる。その結果、第2増設室C4の気密構造を簡素化できるので、緩衝器の製造を容易にできる。さらに、可動隔壁の第1増設室C3側の受圧面積と、可動隔壁の第2増設室C4側の受圧面積とを異ならせることで、第1反力と第2反力との関係を変えて所定値Cの位置や、所定値C以降の反力の増加の仕方を適宜設定でき、緩衝器の圧縮量−反力特性を調整できる。
【0067】
また、可動隔壁43を第1増設室C3側に付勢するコイルばねをキャップ44と可動隔壁43との間(第2増設室C4の内部)に配置することが可能である。第2反力をコイルばねの弾性力で補うことができるので、第2増設室C4の圧力を小さくできる。また、第1反力および第2反力は可動隔壁43の受圧面積に依存する一方、コイルばねの弾性力は可動隔壁43の受圧面積に依存しないので、可動隔壁43の受圧面積を大きくする程、所定値Cを圧縮動作の前半側(
図3紙面左側)に移動させつつ、所定値C以降の反力の増加を緩やかにできる。その結果、緩衝器の圧縮量−反力特性を調整できる。
【0068】
上記実施の形態では、車体側チューブ20の内周に車軸側チューブ30が挿入される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、車軸側チューブ30の内周に車体側チューブ20を挿入することは当然可能である。また、車体側チューブ20の内部にシリンダ12が配置され、車軸側チューブ30の内部にロッド13が配置される場合に限らず、車体側チューブ20の内部にロッド13を配置し、車軸側チューブ30の内部にシリンダ12を配置することは可能である。なお、車軸側チューブ30の内部にシリンダ12が配置される場合、ロッド13の連通路13aを介さずにシリンダ12の内部(第1空気室C1)と第1増設室C3とが連通される。
【0069】
上記実施の形態では、ロッド13の上端に固定されるピストン14の連通孔14dを介して、第1気体室C1(ピストン14を境にして第1端11a側に形成される第1気体室C1)とロッド13の連通路13aとが連通する場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、ピストン14をロッド13が貫通して第1気体室C1と連通路13aとを直接連通させることは当然可能である。
【0070】
上記実施の形態では、連通弁47が増設本体部41に設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、連通弁47の位置は適宜設定可能である。例えば、キャップ21やロッド13の内外周面、ボトムボルト34等に設けることが可能である。
【0071】
上記実施の形態では、筒状部42を増設本体部41(取付部41b)に交換可能に取り付ける場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば、増設部40が一体化された車軸側固定部31を車軸側チューブ30に交換可能に取り付ける場合が挙げられる。また、増設本体部41と筒状部42とを一体化し、ブラケット32に増設本体部41を着脱可能に取り付け、増設部40を緩衝器本体11に交換可能に取り付けることも可能である。
【0072】
上記実施の形態では、張出部45が筒状部42に設けられる場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、張出部を増設本体部41の内部に設けることは当然可能である。また、筒状部42の下端面と接触する増設本体部41の接触面を筒状部42の内周面に対して張り出させて、増設本体部41の接触面に張出部を形成することが可能である。
【0073】
上記実施の形態では、緩衝器本体11の軸直方向に斜めに延びる延設部41aについて説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、緩衝器本体11の軸に対して垂直に延びるように延設部を設けることは当然可能である。
【0074】
また、車体側チューブ20と車軸側チューブ30とを伸長方向へ付勢するコイルばねをシリンダ12と車軸側固定部31との間に配置することが可能である。これにより、第1気体室C1及び第2気体室C2の反力をコイルばねの弾性力で補うことができる。