(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643171
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】ロボットのポイント位置調整制御方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
B25J 9/22 20060101AFI20200130BHJP
【FI】
B25J9/22 A
【請求項の数】15
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-81834(P2016-81834)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-121691(P2017-121691A)
(43)【公開日】2017年7月13日
【審査請求日】2018年10月2日
(31)【優先権主張番号】201610007741.1
(32)【優先日】2016年1月7日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516114396
【氏名又は名称】鴻富錦精密電子(鄭州)有限公司
(73)【特許権者】
【識別番号】500080546
【氏名又は名称】鴻海精密工業股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HON HAI PRECISION INDUSTRY CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】劉 宇青
(72)【発明者】
【氏名】張 希▲テツ▼
(72)【発明者】
【氏名】林 育男
(72)【発明者】
【氏名】楊 ▲イ▼達
(72)【発明者】
【氏名】蘇 柏霖
(72)【発明者】
【氏名】陳 黎
(72)【発明者】
【氏名】曹 ▲エツ▼凱
(72)【発明者】
【氏名】寧 博
(72)【発明者】
【氏名】梁 広臣
(72)【発明者】
【氏名】鄭 江濤
【審査官】
武市 匡紘
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−016527(JP,A)
【文献】
特開平09−106311(JP,A)
【文献】
特開2015−100863(JP,A)
【文献】
特開平09−146624(JP,A)
【文献】
特開昭60−167005(JP,A)
【文献】
特開2010−284750(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00−21/02
B23Q 15/00−15/28
G05B 19/18−19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを備え、前記ロボットは、目標物を取り出したり放置したりする爪部を備えるロボットのポイント位置調整制御方法において、
目標物を放置するための支持平台に基づいて、空間直交座標系を構築し、前記空間直交座標系は、X軸、Y軸、Z軸を備え、X軸とY軸とが形成する平面は、前記支持平台に平行し、前記支持平台に設置されている定位治具に基づいて、前記空間直交座標系を構築し、前記定位治具は、固定部及び移動部を備え、前記固定部は、前記支持平台に固定され、且つL形状のガイドレールが設けられ、前記移動部は、前記爪部に取り付けられており、前記移動部には、水平センサ及び高度センサが設置され、前記ロボットの爪部の連動によって、前記水平センサは前記ガイドレールに沿ってスライドし、前記水平センサが前記ガイドレールに沿ってスライドする際、前記水平センサは、前記L形状のガイドレールのデータを読み込み、前記読み込んだデータに基づいて、X軸及びY軸が位置している平面を構築し、前記高度センサが読み込んだデータに基づいて、空間直交座標系のZ軸を構築するステップと、
前記空間直交座標系を構築した際、1つの提示情報が生成され、前記提示情報によって、前記支持平台における前記目標物を放置する箇所にガイド部材を固定し、前記ロボットの爪部には、前記ガイド部材と同時に使用される固定部材を設置するステップと、
予め設定された規則によって、前記固定部材に対応する前記ガイド部材の位置を調整するステップと、
前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置が正確に調整された際、前記ロボットの爪部のポイント位置の座標値を取得し、且つ前記ロボットの爪部のポイント位置の座標値を保存するステップと、
を備えることを特徴とするロボットのポイント位置調整制御方法。
【請求項2】
前記ガイド部材には、少なくとも1つの固定孔が設けられており、前記固定部材における前記ガイド部材の固定孔に対応する箇所には水平センサが設置され、前記固定部材には、更に高度センサが設置され、前記水平センサ及び前記高度センサには、それぞれ探針が取り付けられており、各探針は、前記ロボットの信号入力ユニット/信号出力ユニットと通信することができ、前記探針が前記ガイド部材と接触した際、前記探針に接続されている前記信号入力ユニット/信号出力ユニットは、第一信号を出力し、前記探針が前記ガイド部材と接触していない場合、前記探針に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットは、第二信号を出力することを特徴とする請求項1に記載のロボットのポイント位置調整制御方法。
【請求項3】
前記予め設定された規則は、前記探針に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号に基づいて、前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置を調整することであることを特徴とする請求項2に記載のロボットのポイント位置調整制御方法。
【請求項4】
前記水平センサの探針に接続されている前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが第一信号を出力した際、X軸、或いはY軸で前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置を調整して、前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号を第二信号に変更することを特徴とする請求項3に記載のロボットのポイント位置調整制御方法。
【請求項5】
前記高度センサの探針に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットが第二信号を出力した場合、Z軸で前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置を調整して、前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号を第一信号に変更することを特徴とする請求項3に記載のロボットのポイント位置調整制御方法。
【請求項6】
前記水平センサには、3つの探針が取り付けられており、前記3つの探針723は、同じ円周上に位置しており、前記固定孔の直径は、第一予設定直径値であり、前記3つの探針が囲んで形成した円周の直径は、第二予設定直径値であり、前記第二予設定直径値は、前記第一予設定直径値より小さいことを特徴とする請求項3に記載のロボットのポイント位置調整制御方法。
【請求項7】
2つの前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが同時に前記水平センサの探針に接続され、且つ前記2つの前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号が第一信号である場合、Z軸を中心軸として前記固定部材を回転させて、前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置を調整し、前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号を第二信号に変更することを特徴とする請求項6に記載のロボットのポイント位置調整制御方法。
【請求項8】
前記ガイド部材の形状及びサイズは、前記目標物の形状及びサイズと同じであることを特徴とする請求項1に記載のロボットのポイント位置調整制御方法。
【請求項9】
ロボットに用いられ、前記ロボットは、支持平台から目標物を取り出す爪部を備えるロボットのポイント位置調整制御システムにおいて、
目標物を放置するための支持平台に基づいて、空間直交座標系を構築し、前記空間直交座標系は、X軸、Y軸、Z軸を備え、X軸とY軸とが形成する平面は、前記支持平台に平行し、前記支持平台に設置されている定位治具に基づいて、前記空間直交座標系を構築し、前記定位治具は、固定部及び移動部を備え、前記固定部は、前記支持平台に固定され、且つL形状のガイドレールが設けられ、前記移動部は、前記爪部に取り付けられており、前記移動部には、水平センサ及び高度センサが設置され、前記ロボットの爪部の連動によって、前記水平センサは前記ガイドレールに沿ってスライドし、前記水平センサが前記ガイドレールに沿ってスライドする際、前記水平センサは、前記L形状のガイドレールのデータを読み込み、前記読み込んだデータに基づいて、X軸及びY軸が位置している平面を構築し、前記高度センサが読み込んだデータに基づいて、空間直交座標系のZ軸を構築する構築モジュールと、
前記空間直交座標系を構築した際、1つの提示情報が生成され、該提示情報によって、前記支持平台における前記目標物を放置する箇所にガイド部材を固定し、前記ロボットの爪部には、前記ガイド部材と同時に使用される固定部材を設置する交互モジュールと、
予め設定された規則によって、前記固定部材に対応する前記ガイド部材の位置を調整する調整モジュールと、
前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置が正確に調整された際、前記ロボットの爪部のポイント位置の座標値を取得し、且つ前記ロボットの爪部のポイント位置の座標値を保存する取得モジュールと、
を備えることを特徴とするロボットのポイント位置調整制御システム。
【請求項10】
前記ガイド部材には、少なくとも1つの固定孔が設けられており、前記固定部材における前記ガイド部材の固定孔に対応する箇所には水平センサが設置され、前記固定部材には、更に高度センサが設置され、前記水平センサ及び前記高度センサには、それぞれ探針が取り付けられており、各探針は、前記ロボットの信号入力ユニット/信号出力ユニットと通信することができ、前記探針が前記ガイド部材と接触した際、前記探針に接続されている前記信号入力ユニット/信号出力ユニットは、第一信号を出力し、前記探針が前記ガイド部材と接触していない場合、前記探針に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットは、第二信号を出力することを特徴とする請求項9に記載のロボットのポイント位置調整制御システム。
【請求項11】
前記予め設定された規則は、前記探針に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号に基づいて、前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置を調整することであることを特徴とする請求項10に記載のロボットのポイント位置調整制御システム。
【請求項12】
前記水平センサの探針に接続されている前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが第一信号を出力した際、X軸、或いはY軸で前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置を調整して、前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号を第二信号に変更することを特徴とする請求項11に記載のロボットのポイント位置調整制御システム。
【請求項13】
前記高度センサの探針に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットが第二信号を出力した場合、Z軸で前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置を調整して、前記信号入力ユニット/信号出力ユニットを第一信号に変更することを特徴とする請求項11に記載のロボットのポイント位置調整制御システム。
【請求項14】
前記水平センサには、3つの探針が取り付けられており、前記3つの探針は、同じ円周上に位置しており、前記固定孔の直径は、第一予設定直径値であり、前記3つの探針が囲んで形成した円周の直径は、第二予設定直径値であり、前記第二予設定直径値は、前記第一予設定直径値より小さいことを特徴とする請求項11に記載のロボットのポイント位置調整制御システム。
【請求項15】
2つの前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが同時に前記水平センサの探針に接続され、且つ前記2つの前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号が第一信号である場合、Z軸を中心軸として前記固定部材を回転させて、前記ガイド部材に対向する前記固定部材の位置を調整し、前記信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号を第二信号に変更することを特徴とする請求項14に記載のロボットのポイント位置調整制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御に関し、特にロボットが物を取り出したり放置したりする際、ロボットのポイント位置の調整制御方法及びシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年ロボットは、コンピュータ支援製造(computer aided manufacture,CAM)に広く応用されて各種の部品を加工している。工業生産において、ロボットは手作業に替わって部品の加工、例えば、プレス加工、ダイカスト、熱処理、溶接、組み立て等に幅広く利用されている。ロボットの一般的な動作は、爪部を利用して物を取り出したり放置したりすることであるが、ロボットの爪部が正確にポイント位置に移動できない場合がある。この際、正確に物を取り出したり放置したりすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
以上の問題点に鑑みて、本発明は、ロボットが正確に物を取り出したり放置したりすることができるロボットのポイント位置調整制御方法及びシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を解決するために、本発明のロボットのポイント位置調整制御方法は、ロボットを備え、ロボットは、目標物を取り出したり放置したりする爪部を備え、目標物を放置するための支持平台に基づいて、空間直交座標系を構築し、空間直交座標系は、X軸、Y軸、Z軸を備え、X軸とY軸とが形成する平面は、支持平台に平行するステップと、空間直交座標系を構築した際、1つの提示情報が生成され、該提示情報によって、支持平台における目標物を放置する箇所にガイド部材を固定し、ロボットの爪部には、ガイド部材と同時に使用される固定部材を設置するステップと、予め設定された規則によって、固定部材に対応するガイド部材の位置を調整するステップと、ガイド部材に対向する固定部材の位置が正確に調整された際、ロボットの爪部のポイント位置の座標値を取得し、且つロボットの爪部のポイント位置の座標値を保存するステップと、を備える。
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明のロボットのポイント位置調整制御システムは、ロボットに用いられ、ロボットは、支持平台から目標物を取り出す爪部を備え、目標物を放置するための支持平台に基づいて、空間直交座標系を構築し、空間直交座標系は、X軸、Y軸、Z軸を備え、X軸とY軸とが形成する平面は、支持平台に平行する構築モジュールと、空間直交座標系を構築した際、1つの提示情報が生成され、該提示情報によって、支持平台における目標物を放置する箇所にガイド部材を固定し、ロボットの爪部には、ガイド部材と同時に使用される固定部材を設置する交互モジュールと、予め設定された規則によって、固定部材に対応するガイド部材の位置を調整する調整モジュールと、ガイド部材に対向する固定部材の位置が正確に調整された際、ロボットの爪部のポイント位置の座標値を取得し、且つロボットの爪部のポイント位置の座標値を保存する取得モジュールと、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明のロボットのポイント位置調整制御方法及びシステムは、ロボットの爪部が目標物を取り出したり放置したりできるように、ロボットの爪部のポイント位置を自動調整するため、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係るロボットの作業環境を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るロボットのポイント位置調整制御システムが応用するハードウェア環境を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るロボットのポイント位置調整制御システムの機能モジュールを示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るロボットのポイント位置調整制御方法の流れ図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るロボットのポイント位置調整制御システムにおける空間直交座標系を構築する定位治具の斜視図である。
【
図8】本発明の実施形態に係るロボットのポイント位置調整制御システムにおけるガイド部材及びガイド部材と同時に使用される固定部材の斜視図である。
【
図9】
図8に示したガイド部材及びガイド部材と同時に使用される固定部材の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び
図2に示したように、ロボット20は、爪部24を備え、爪部24は、物を取り出すことに用いられる。本実施形態において、爪部24の数量は2つである。ロボット20の作業過程において、ロボット20は、目標物40を支持平台30へ運搬するか、或いは支持平台30上から目標物40を取り出す。ロボット20が正確に目標物40を取り出す、或いは放置するために、ロボット20の空間直交座標系を予め構築して、ロボット20が正確に目標物40を取り出す際に爪部24が位置すべき位置の座標をロボット20に設定する。本実施形態において、ロボット20の爪部24が位置すべき位置の座標はロボットのポイント位置である。つまり、ロボットのポイント位置は、ロボット20が正確に作業できるかどうかを決める。
【0009】
図3に示したように、本実施形態において、ロボットのポイント位置調整制御システム10は、1つのロボット20にインストールされており、且つロボット20内で動作する。ロボット20は、入出力ユニット21、記憶装置22及び制御器23を備えるが、これらの部材に限定されない。ユーザは、入出力ユニット21によって対応する命令を入力し、入出力ユニット21は、ユーザが入力した対応する情報の内容を表示してユーザに見せる。本実施形態において、入出力ユニット21は、入出力機能を有するタッチパネル(図示せず)を備える。他の実施形態において、入出力ユニット21は、キーパッド(図示せず)、タッチパネル等の入力装置、及びディスプレイ等の出力装置を備える。記憶装置22は、ロボット20のメモリであるが、セキュアデジタルカード、スマートメディアカード、フラッシュメモリカード等の外部の記憶装置であってもよい。記憶装置22は、ロボットのポイント位置調整制御システム10のプログラムコード及び他のデータを保存することに用いられる。制御器23は、ロボット20の作業を制御することに用いられる。制御器23は、中央処理装置、シングルチップマイコン、デジタルシグナルプロセッサ等である。
【0010】
ロボットのポイント位置調整制御システム10は、目標物40を放置するための支持平台30に基づいて空間直交座標系を構築する。空間直交座標系は、X軸、Y軸、Z軸を備え、X軸とY軸とが形成する平面は支持平台30に平行する。空間直交座標系が構築された後、ロボットのポイント位置調整制御システム10は1つの提示情報を生成し、該提示情報に応答して支持平台30上の目標物40を放置する箇所にガイド部材71が固定され、ロボット20の爪部24には、該ガイド部材71と同時に使用される固定部材72が設置される(
図8を参照)。予め設定された規則に基づいて、ガイド部材71に対する固定部材72の位置を調整する。ガイド部材71に対向する固定部材72の位置を正確に調整した後、固定部材72の調整後の位置に基づいて、ロボット20の爪部24の位置を決める。つまり、ロボットのポイント位置調整制御システム10を介して、ガイド部材71に対向する固定部材72の位置を調整し、ロボット20の爪部24が目標物40を取り出したり放置したりする際の爪部24の正確な位置を決めることができる。
【0011】
図4を参照すると、ロボットのポイント位置調整制御システム10は、構築モジュール11、交互モジュール12、調整モジュール13、判断モジュール14及び取得モジュール15を備える。本発明において、モジュールとは、ロボット20の制御器23によって実行され且つ特定の機能を持つプログラムセグメント、或いは制御器23にインストールされたファームウェアである。
【0012】
図5を併せて参照すると、ロボットのポイント位置調整制御方法は以下のステップ(S51〜S55)を備える。他の実施形態において、実際の要求に応じてステップの順番を変更したり、或いはあるステップを省略してもよい。ステップS51において、構築モジュール11は、目標物40を放置するための支持平台30に基づいて、空間直交座標系を構築する。空間直交座標系は、X軸、Y軸、Z軸を備える。X軸とY軸とが形成する平面は支持平台30に平行する。
【0013】
本実施形態において、構築モジュール11は、支持平台30に設置されている定位治具60に基づいて、空間直交座標系を構築する(
図6を参照)。
【0014】
図6及び
図7を併せて参照すると、定位治具60は、固定部61及び移動部62を備える。固定部61は、ネジを介して支持平台30に固定されている。また固定部61には、L形状のガイドレール611が設けられている。移動部62は、爪部24上に取り付けられている。移動部62には、水平センサ621及び高度センサ622が設置されており、ロボット20の爪部24の連動によって、水平センサ621はガイドレール611に沿ってスライドする。水平センサ621には、探針623が取り付けられている。水平センサ621がガイドレール611に沿ってスライドする際、水平センサ621のスライドにより、探針623はL形状のガイドレール611の両辺に対応するデータを読み込み、構築モジュール11は、この水平センサ621の探針623が読み込んだデータに基づいて、X軸及びY軸が位置している平面を構築する。また、高度センサ622にも探針623が取り付けられており、構築モジュール11は、当該高度センサ622の探針623が読み込んだデータに基づいて、空間直交座標系のZ軸を構築する。
【0015】
ステップS52において、構築モジュール11が空間直交座標系を構築した際、交互モジュール12は1つの提示情報を生成し、該提示情報は入出力ユニット21に表示され、ユーザは、表示された該提示情報に基づいて、支持平台30における目標物40を放置する箇所にガイド部材71を固定し、ロボット20の爪部24には、ガイド部材71と同時に使用される固定部材72を設置する。ユーザが表示された提示情報の操作を全て完了した後、交互モジュール12は、入出力ユニット21によって該提示情報に対応する操作の完了を知らせるフィードバック命令を入力する。
【0016】
図8及び
図9を併せて参照すると、ガイド部材71は、ネジ或いは固定ピン(図示せず)を介して、支持平台30における目標物40を放置する箇所に固定される。ガイド部材71には、少なくとも1つの固定孔711が設けられている。本実施形態において、固定孔711の数量は2つである。ガイド部材71は、底板712及び該底板712に設けられている突起部713を備える。固定孔711は、突起部713に設けられている。爪部24が目標物40を取り出したり放置したりする際、爪部24の位置を正確に確認するために、ガイド部材71の形状及びサイズは、目標物40の形状及びサイズと同じである。
【0017】
固定部材72におけるガイド部材71の固定孔711に対応する箇所には、水平センサ721が設置されている。本実施形態において、固定部材72には、2つの水平センサ721が設置されている。固定部材72には、更に高度センサ722が設置されている。2つの水平センサ721は、互いに対向するように高度センサ722の両側に設置されている。水平センサ721及び高度センサ722には、それぞれ探針723が取り付けられている。本実施形態において、水平センサ721には、3つの探針723が取り付けられており、該3つの探針723は、同じ円周上に位置する。各探針723は、ロボット20の信号入力ユニット/信号出力ユニット(図示せず)と通信することができる。探針723がガイド部材71と接触した際、探針723に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットは入出力ユニット21を制御する。この際、入出力ユニット21には第一信号(例えば、1)が表示される。また、探針723がガイド部材71と接触していない場合、探針723に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットは入出力ユニット21を制御する。この際、入出力ユニット21には第二信号(例えば、0)が表示される。
【0018】
本実施形態において、固定孔711の直径は、第一予設定直径値(例えば、6.2cm)であり、水平センサ721の3つの探針723が囲んで形成した円周の直径は、第二予設定直径値(例えば、6.0cm)である。第二予設定直径値は、第一予設定直径値より小さい。
【0019】
ステップS53において、交互モジュール12が、ユーザの提示情報に対応する操作が完了したとの命令を受信すると、調整モジュール13は、予め設定された規則によってガイド部材71に対向する固定部材72の位置を調整する。
【0020】
詳しく説明すると、探針723に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットは、入出力ユニット21を制御して入出力ユニット21に信号を出力させ、調整モジュール13は、この信号に基づいてガイド部材71に対向する固定部材72の位置を調整する。探針723に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットが、入出力ユニット21を制御して入出力ユニット21に出力させた信号が第一信号である場合、調整モジュール13は、予め設定された規則に基づいて、ガイド部材71に対向する固定部材72の位置を調整して、信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号を第二信号に変える。ここで予め設定された規則とは、X軸、Y軸、Z軸に沿って移動する1つの行程、或いはZ軸を中心軸として回転する1つの行程のことである。各行程は、固定部材72におけるガイド部材71の位置を予め設定された位置値(例えば、0.05mm)に変更する。
【0021】
1つの信号入力ユニット/信号出力ユニットが、水平センサ721の探針723に接続され、出力された信号が第一信号である場合、調整モジュール13は、X軸、或いはY軸でガイド部材71に対向する固定部材72の位置を調整して、信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号を第二信号に変更する。2つの信号入力ユニット/信号出力ユニットが同時に水平センサ721の探針723に接続された後、出力された信号が第一信号である場合、調整モジュール13は、Z軸を中心軸として固定部材72を回転させて、ガイド部材71に対向する固定部材72の位置を調整し、信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号を第二信号に変更する。高度センサ722の探針723に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットが第二信号を出力した場合、調整モジュール13は、Z軸でガイド部材71に対向する固定部材72の位置を調整して、信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号を第一信号に変更する。
【0022】
ステップS54において、判断モジュール14は、ガイド部材71に対向する固定部材72の調整位置が正確かどうかを判断し、調整位置が正確である場合、ステップS55に進み、調整位置が正確でない場合、ステップS53に戻る。
【0023】
本実施形態において、固定部材72の水平センサ721の探針723がそれぞれガイド部材71と接触せず、固定部材72の高度センサ722の探針723がガイド部材71と接触した場合、水平センサ721に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号はそれぞれ第二信号である。高度センサ722に接続されている信号入力ユニット/信号出力ユニットが出力した信号が第一信号である場合、判断モジュール14は、ガイド部材71に対向する固定部材72の調整位置が正確かどうかを判断する。これにより、ロボット20の爪部24は、正確に目標物40を取り出すことができる。
【0024】
ステップS55において、ガイド部材71に対向する固定部材72の位置が正確に調整された際、取得モジュール15は、ロボット20の爪部24のポイント位置の座標値を取得し、且つロボット20の爪部24のポイント位置の座標値を保存する。
【0025】
本実施形態において、ポイント位置の座標値は、ロボット20の爪部24の空間直交座標系中の座標値である。
【0026】
本発明のロボットのポイント位置調整制御方法及びシステムは、目標物40を放置するための支持平台30に基づいて空間直交座標系を構築し、空間直交座標系を構築した後ユーザに提示して、支持平台30における目標物40を放置する箇所に1つのガイド部材71を固定し、ロボット20の爪部24には、ガイド部材71と同時に使用される固定部材72を設置する。続けて、予め設定された規則によって、固定部材72に対応するガイド部材71の位置を調整する。ガイド部材71に対向する固定部材72の調整位置が正確である場合、調整後の固定部材72の位置によってロボット20の爪部24の位置を確定する。つまり、本発明のロボットのポイント位置調整制御方法及びシステムは、ロボット20の爪部24が目標物40を取り出したり放置したりできるように、ロボット20の爪部24のポイント位置を自動調整するため、生産効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0027】
10 ロボットのポイント位置調整制御システム
11 構築モジュール
12 交互モジュール
13 調整モジュール
14 判断モジュール
15 取得モジュール
20 ロボット
21 入出力ユニット
22 記憶装置
23 制御器
24 爪部
30 支持平台
40 目標物
60 定位治具
61 固定部
611 ガイドレール
62 移動部
621,721 水平センサ
622,722 高度センサ
623,723 探針
71 ガイド部材
711 固定孔
712 底板
713 突起部
72 固定部材