【実施例】
【0018】
図1および
図2に示すように、実施例に係る搬送台車用カバー(以下、単にカバーという)20は、搬送台車10に装着して用いられる。搬送台車10は、下面四隅に車輪13が設けられた台車本体12と、台車本体12に左右に離間して設けられた一対の側枠14,14とから構成されている。搬送台車10は、台車本体12に設けられた荷台16が、右側のヒンジ12aを支点として台車本体12に対して回動可能になっている。荷台16は、
図1に示す倒伏姿勢において、台車本体12に覆い被さった状態で物品の載置面を構成する。また
図13(a)に示すように、荷台16は、右の側枠14に沿わせて立てた起立姿勢において、右の側枠14に設けられた荷台係止具18により係止されて、起立姿勢で保持される。
【0019】
図1〜
図4に示すように、カバー20は、搬送台車10において六面の箱状体を構成する6枚の壁部22,24,26,28,30,32を備えている。カバー20は、箱状体(
図1〜
図4)と、箱状体から折り畳んで平たくまとめた折り畳み状態にある折畳体(
図10〜
図12)とに変形可能に構成される。より具体的には、カバー20は、箱状体の上下に対向配置される一対の第1壁部22,24と、箱状体の左右に対向配置される一対の第2壁部26,28と、箱状体の前後に対向配置される一対の第3壁部30,32とを備えている。箱状体にあるカバー20は、左右の側枠14,14の間において搬送台車10の荷台16に第1壁部(底面第1壁部)22を載置すると共に、側枠14に相対する第2壁部26,28に設けられた取付手段34を側枠14に取り付けて、搬送台車10に装着される。
【0020】
図6に示すように、箱状体にあるカバー20は、前後の第3壁部30,32を開閉して、箱状体の内部に画成された収納空間20aに、前後両側から物品を出し入れ可能に構成されている。各壁部22,24,26,28,30,32は、アルミ蒸着プラスチックシートなど、可撓性、断熱性や遮光性などの所要の機能を有するシート材36(
図14参照)を縫製して本体とし、シート材36を直接または間接的に縫製により組み合わせて壁部22,24,26,28,30,32同士を繋げてある。また、壁部22,24,26,28,30,32は、2枚のシート材36を重ね合わせて構成され、プラスチック段ボール等の補強板38,40(
図5および
図14参照)が壁部22,24,26,28,30,32に配置される場合は、2枚のシート材36の間に封入される。なお、実施例において、箱状体にあるカバー20は、左右の幅(第3壁部30,32の幅=対向する第2壁部26,28の間の幅)が前後の幅(第2壁部26,28の幅=対向する第3壁部30,32の間の幅)の略2倍に設定されている。
【0021】
図5および
図6に示すように、カバー20は、第1壁部として、箱状体の底面をなす底面第1壁部22と、箱状体の天面をなす天面第1壁部24とを有している。
図7および
図8に示すように、第1壁部22,24のそれぞれは、前後および左の三辺が、他の面をなす左の第2壁部26および前後の第3壁部30,32に対して分離可能に構成されると共に、残りの右辺(一辺)に設けられたヒンジ42,44を支点として折り曲げ可能に構成されている。カバー20は、前後および左の三辺を左の第2壁部26および前後の第3壁部30,32から分離した第1壁部22,24のそれぞれを、右の第2壁部28の内面に沿うように箱状体の内部へ向けてヒンジ42,44で折り曲げて、箱状体の向かい合う上下の面を開口させた筒状体に変形可能である(
図8参照)。
【0022】
図6に示すように、底面第1壁部22は、箱状体の下部開口に合わせて矩形状に形成された本体部分の左縁および前後の縁から延出するように、フラップ22a,22bがそれぞれ設けられている。底面第1壁部22は、本体部分の右辺が右の第2壁部28の下辺に連なっており、第2壁部28との境界を底面ヒンジ42として、該境界に設けられた前後の縫製ラインに沿って折り曲げて、右の第2壁部28と直交する姿勢(
図6)と右の第2壁部28の内面に重なる姿勢(
図7)とに姿勢変位可能である。各フラップ22a,22bは、本体部分との境界に設けられた縫製ラインに沿って、本体部分に対して折り曲げ可能であり、箱状体の底面を構成する際に、本体部分に対して立てた姿勢とされる。前後の第1フラップ22aには、取着手段としての第1面ファスナー46が外面の左右に亘って設けられている。また、左縁の第2フラップ22bには、取着手段としての第2面ファスナー48が、前後に亘って内面に設けられている。
【0023】
第1面ファスナー46は、カバー20が箱状体を構成する際に、第1フラップ22aの外側に重なる第3壁部30,32の下部に左右に亘って設けられた取着手段としての第3面ファスナー50(
図7参照)に対して着脱可能になっている。第2面ファスナー48は、底面第1壁部22を右の第2壁部28に重ねるように折り曲げた際に、本体部分に対して直線に伸ばした第2フラップ22bと重なる位置に、前後に亘って設けられた取着手段としての第4面ファスナー52(
図6および
図7)に対して着脱可能になっている。なお、底面第1壁部22は、面ファスナー46,48、あるいはフラップ22a,22bの縁やフラップ22a,22bと本体部分との間を補強する布製の補強材を除いて、前述したシート材36で基本的に構成されて、折り曲げ変形可能である。
【0024】
図3(b)および
図5に示すように、天面第1壁部24は、箱状体の上部開口に合わせて矩形状に形成され、前後の辺および左辺の三辺が着脱手段である第1線ファスナー54によって、前後の第3壁部30,32の上縁および左の第2壁部26の上縁に対して着脱可能になっている。なお、実施例では、1本の第1線ファスナー54が天面第1壁部24の三辺に亘って連なっている。また、天面第1壁部24は、右辺が天面ヒンジ44を介して右の第2壁部28の上辺に繋がっており、前後に延在する天面ヒンジ44で折り曲げて、右の第2壁部28と直交する姿勢(
図5)と右の第2壁部28の内面に重なる姿勢(
図8)とに姿勢変位可能である。天面第1壁部24は、可撓性を有する前記シート材36と、シート材36に、左右方向(第2壁部26,28の対向方向)に並べて配置された2枚(複数)の天面補強板38,38とを備えており(
図14参照)、底面第1壁部22と相違して全体に配置された天面補強板38により補強されている。天面第1壁部24は、右辺の天面ヒンジ44に加えて、隣り合う天面補強板38,38の間で折り曲げ可能に構成されている(
図8の二点鎖線参照)。天面第1壁部24は、右側の天面補強板38が左側の天面補強板38よりも幅広に設定されて、天面ヒンジ44から離間した左辺側に偏倚した折り曲げ位置で折れ曲がる。
【0025】
図14に示すように、天面ヒンジ44は、天面第1壁部24をなすシート材36の右端縁と右の第2壁部28をなすシート材36の上端縁とを離間させた状態で繋げる帯状材で構成されている。天面ヒンジ44をなす帯状材は、可撓性を有する帯状織物が用いられ、天面第1壁部24と右の第2壁部28とが間をあけた状態で、帯状材にそれぞれ縫製されている。箱状体の前後に亘って設けられた天面ヒンジ44は、天面第1壁部24と右の第2壁部28との間で帯状材が折れ曲がって、右の第2壁部28に対する天面第1壁部24の姿勢変位を許容する。
【0026】
図1〜
図5に示すように、第2壁部26,28は、箱状体における縦の面を構成し、搬送台車10の側枠14に相対するように配置される。第2壁部26,28は、可撓性を有する前記シート材36を本体とすると共に、シート材36の下部に縦補強板40(
図5および
図6)が配置され、上部と比べて下部が重くなるように設定されている。第2壁部26,28は、縦補強板40の上縁が、第2壁部26,28の内面に重なる姿勢にある天面第1壁部24の前記折り曲げ位置に合わせて設定されており、
図13に示すように、重ね合わせた両第1壁部22,24と共に両第2壁部26,28を縦補強板40の上縁を基準として折り曲げ可能になっている。
【0027】
図5および
図6に示すように、第3壁部30,32は、箱状体の出し入れ口を覆う扉として機能し、面ファスナー50、あるいは縁を補強する布製の補強材を除いて、前述した可撓性を有するシート材36で基本的に構成されている。前後の第3壁部30,32のそれぞれは、左右の辺および下辺の三辺が底面第1壁部22および左右の第2壁部26,28に対して着脱可能に構成されている。第3壁部30,32は、左右の辺が着脱手段である第2線ファスナー56によって左右の第2壁部26,28の縁辺に対して着脱可能であり、内面下部に設けられた取着手段である第3面ファスナー50によって下辺が、底面第1壁部22の第1面ファスナー46に対して着脱可能である。第3壁部30,32は、左右の辺を第2壁部26,28から第2線ファスナー56で分離すると共に、下辺の第3面ファスナー50を取り外したもとで、自身を変形させて上方へまくり上げることができる(
図6参照)。また、第3壁部30,32は、左右の辺の第2線ファスナー56で第2壁部26,28に取り付けると共に、下辺の第3面ファスナー50で底面第1壁部22に取り付けて、箱状体の前後の縦面を構成した状態で保持できる。更に、第3壁部30,32は、第2線ファスナー56で第2壁部26,28に繋がる左右の辺を支点として、第2壁部26,28に対して折り曲げ可能に構成される(
図9〜
図11)。なお、第2線ファスナー56は、スライダーを下から上に移動させることで、エレメントが分離して第3壁部30,32が第2壁部26,28から外れ、スライダーを上から下に移動させることでエレメントが噛み合って第3壁部30,32と第2壁部26,28とが繋がるように設定されている。
【0028】
図1および
図5に示すように、カバー20には、第3壁部30,32の上部と第2壁部26,28の上部とを繋ぐ固定ベルト58が、第3壁部30,32における第2壁部26,28に対して着脱可能な辺を跨ぐように設けられている。固定ベルト58は、例えば可撓性を有する帯状織物を用いることができ、第3壁部30,32および第2壁部26,28のそれぞれに縫製して固定されている。固定ベルト58は、第3壁部30,32と第2壁部26,28とを繋ぐ第2線ファスナー56におけるスライダーの経路または当該経路の延長線上を横切るように配置され、第2線ファスナー56における開き方向の終端側に延在している。
【0029】
図9〜
図11に示すように、第3壁部30,32のそれぞれは、該第3壁部30,32に設けられた折り部60で折り曲げ可能に構成されている。そして、カバー20は、両第3壁部30,32を折り部60でそれぞれ折り曲げて、筒状体の向かい合う面をなす第2壁部26,28同士を相対的に近接させるように該筒状体を折り畳み可能になっている。折り部60は、第3壁部30,32の上下に亘って設けられており、例えば縫製ラインなどにより形成された折り曲げの際に基準となる部位または折り癖が付された部位である。折り部60は、各第3壁部30,32において第2壁部26,28に連なる左右の辺と平行に延在して1筋設けられ、第3壁部30,32が折り部60で折り曲げて筒状体の内側へ向けて折り畳まれるようになっている。一方の第3壁部30は、左辺から第2壁部26,28の前後幅分またはこれより近い離間した位置に折り部60が配置され、他方の第3壁部32は、左辺から第2壁部26,28の前後幅分離間した位置よりも遠い位置に折り部60が配置されている(
図11)。ここで、他方の第3壁部32の折り部60は、折り畳んだ一方の第3壁部30の板厚程度、一方の第3壁部30の折り部60より左辺から遠く設定されて、対向する第3壁部30,32において、折り部60,60は、互いにずらした位置に配置されている。
【0030】
図4に示すように、第2壁部26,28のそれぞれには、搬送台車10の側枠14に対して着脱可能に構成された取付手段34が設けられ、該取付手段34を側枠14に取り付けて該第2壁部26,28を搬送台車10に固定するようになっている。取付手段34は、可撓性を有する帯状ベルトに設けられた巻付面ファスナー34aと、第2壁部26,28に縫合して固定された帯状ベルトの根元に設けられた固定面ファスナー34bとから構成されている。カバー20は、第2壁部26,28の上部に前後に離間して、巻付面ファスナー34aが上方へ延出するように設けられた2つの上部取付手段34,34と、第2壁部26,28の前辺および後辺における上下方向中間部のそれぞれに、巻付面ファスナー34aが前方または後方に延出するように設けられた側部取付手段34とを有している。カバー20は、側枠14の横桟に巻き付けた上部取付手段34の巻付面ファスナー34aを、対応の固定面ファスナー34bに貼り付けると共に、側枠14の縦桟に巻き付けた側部取付手段34の巻付面ファスナー34aを、対応の固定面ファスナー34bに貼り付けて、搬送台車10に取り付けられる。側部取付手段34は、第2壁部26,28の縦補強板40の上縁よりも上側に配置されており、実施例では、第2壁部26,28の縦補強板40の上縁に近接配置された側部取付手段34で側枠14に固定した状態で、折り畳み状態にあるカバー20を縦補強板40の上縁に沿って折り曲げることができる(
図13(a))。
【0031】
図4に示すように、カバー20には、第2壁部26の一方から第2壁部28の他方に掛け渡して着脱可能に構成されて、折畳体の折り畳み状態を保持する保持手段62が設けられている。保持手段62は、左の第2壁部26に設けられ、可撓性を有する帯状ベルトに配置された架設面ファスナー62aと、右の第2壁部28に設けられた止着面ファスナー62bとから構成されている。カバー20は、第2壁部26,28の上部中央に、架設面ファスナー62aが上方へ延出するように設けられた上部保持手段62と、第2壁部26,28の前辺および後辺における上下方向中間部のそれぞれに、架設面ファスナー62aが前方または後方に延出するように設けられた側部保持手段62とを有している。カバー20は、左右の第2壁部26,28の間に上下の第1壁部22,24および折り畳んだ両第3壁部30,32を挟んだ折り畳み状態において、上部保持手段62の架設面ファスナー62aを対応の止着面ファスナー62bに貼り付けると共に、側部保持手段62の架設面ファスナー62aを対応の止着面ファスナー62bに貼り付けて、当該折り畳み状態を保持可能である(
図10)。側部保持手段62は、第2壁部26,28の縦補強板40の上部に重なる位置に配置されており、実施例では、第2壁部26,28の下部を上部に重なるように折り畳む際に、下部がばらけないように保持できる(
図13(b))。
【0032】
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る搬送台車用カバー20の作用について説明する。箱状体にあるカバー20を折り畳んで折畳体にする際は、まず底面第1壁部22を右辺の底面ヒンジ42を支点として上方へ回動し、右の第2壁部28の内面に沿わせて重ね合わせる(
図7参照)。この際、底面第1壁部22の第2面ファスナー48と右の第2壁部28の内面に設けられた第4面ファスナー52とを貼り合わせることで、底面第1壁部22を第2壁部28に沿わせて起立させた姿勢で保持することができる。また、底面第1壁部22は、シート材36で基本的に構成されて比較的軽いので、底面第1壁部22の折り畳み作業を容易に行うことができる。
【0033】
次に、第1線ファスナー54で天面第1壁部24を左の第2壁部26および前後の第3壁部30,32から分離して、右辺の天面ヒンジ44を支点として下方へ回動し、先に折り畳まれた底面第1壁部22の内側に重ね合わせて右の第2壁部28の内面に沿わせる(
図8参照)。天面第1壁部24は、シート材36に天面補強板38が配置されて比較的重いので、自重によって第2壁部28に沿わせて垂れ下がった姿勢で保持することができる。また、天面第1壁部24は、天面補強板38によって箱状体を構成しているときに良好な強度を有しているが、隣り合う天面補強板38の間で折り曲げ可能になっている。これにより、天面第1壁部24を折り畳む際または折り畳み状態から箱状体に戻す際に、天面第1壁部24自身を折り曲げて右の第2壁部28との干渉を回避することができ、天面第1壁部24の折り畳み作業を容易に行うことができる。
【0034】
両第1壁部22,24を右の第2壁部28の内側に重ねるように折り畳んで筒状体とした後に、両第3壁部30,32について折り部60を基準として、該折り部60が谷折りになるように折り曲げる(
図9参照)。このように、第3壁部30,32には、折り曲げるときの基準となる折り部60が予め設けられているので、第3壁部30,32が所定の折り畳み形状になるように誘導され、第3壁部30,32の折り畳み作業を容易に行うことができる。また、第3壁部30,32をきれいに折り畳むことができるので、折畳体としたカバー20をコンパクトにまとめることができる。ここで、第3壁部30,32は、筒状体の内側へ向けて折り畳むので、折り曲げた第3壁部30,32を第2壁部26,28に重ね合わせて第2壁部26,28の前後幅程度に収めることができ、折畳体としたカバー20をよりコンパクトにまとめることができる。しかも、両第3壁部30,32の折り部60は、折り畳んだ際の相手方の板厚を勘案して互いにずらした位置に形成してあるので、折り畳んだ際に相手方の間に無理なく収めることができる。従って、第3壁部30,32を折り曲げる際に無理な力をかけることなく、第3壁部30,32をよりきれいに折り畳むことができる。
【0035】
両第3壁部30,32を折り部60,60で折り曲げることで、両第2壁部26,28が互いに近接するように筒状体が折り畳まれる(
図10参照)。これにより、第2壁部26,28の間に両第1壁部22,24および折り曲げた両第3壁部30,32を重ね合わせて平たくまとめられた折畳体となり、左の第2壁部26に設けられた保持手段62の架設面ファスナー62aを、右の第2壁部28に設けられた止着面ファスナー62bに貼り付けることで、保持手段62で折り畳み状態を保つことができる。そして、折畳体にあるカバー20を、第3壁部30,32の折り部60と交差するラインに沿って折り曲げることも可能である(
図13参照)。前述したように、底面第1壁部22および両第3壁部30,32は、可撓性を有するシート材36で構成され、両第2壁部26,28は縦補強板40より上側でシート材36を折り曲げ可能である。そして、天面第1壁部24は、隣り合う天面補強板38,38の間の折り曲げ位置が縦補強板40から外れた位置に重なるので、折畳体にあるカバー20を前記折り曲げ位置で折り曲げることができる。このように、折り畳み状態にあるカバー20を更にコンパクトにすることができる。
【0036】
折り畳み状態にあるカバー20を箱状体に戻すときは、前述した手順を逆に行えばよい。カバー20は、例えば左の第2壁部26の取付手段34によって側枠14に取り付けたまま、箱状体から折畳体への変化および折畳体から箱状体への変化を行うことができる。
【0037】
前記カバー20によれば、両第1壁部22,24を折り込んで筒状体を形成し、両第3壁部30,32を折り部60で折り曲げることによって、両第1壁部22,24を第2壁部28に沿わせて重ねた筒状体を簡単に折り畳むことができる。すなわち、カバー20は、両第1壁部22,24を折り込んで筒状体を形成してから折り畳む構成であるので、開口が塞がれた袋を折り畳むときのように、ガセット折りなどを複雑な折り方をする必要がない。従って、カバー20は、両第2壁部26,28の間に、両第1壁部22,24および両第3壁部30,32を配置した折り畳み状態に複雑な工程を経ることなく簡単に変化させることができる。また、カバー20は、両第1壁部22,24を折り込んで筒状体を形成してから折り畳む構成であるので、折り目の数を減らすことができる。実施例のカバー20によれば、壁部22,24,26,28,30,32同士の繋ぎ目と、各第3壁部30,32に設けられた一条の折り部60とで折り曲げる構成であり、折り畳みの繰り返しに伴う折り目の劣化や損傷を抑えることができ、カバー20の耐久性を向上することができる。更に、カバー20は、折れ曲がり易くした折り部60で第3壁部30,32の強度が低下するおそれがあるが、折り部60の数を抑えることができるので、強度の低下を最小限に抑えることができる。
【0038】
前記カバー20は、箱状体において縦面をなす両第2壁部26,28が、可撓性を有するシート材36を本体とし、該シート材36の下部に縦補強板40を配置した構成であるから、第2壁部26,28を縦補強板40の重量によって、まくれないように姿勢保持することができる。しかも、縦補強板40の縁を、第2壁部26,28を折り曲げる際の基準として用いることができる。
【0039】
前記カバー20は、第3壁部30,32の上部と第2壁部26,28の上部とを繋ぐ固定ベルト58を、第3壁部30,32の着脱可能な辺を跨ぐように設けてある。カバー20は、天面第1壁部24が第3壁部30,32に対して分離可能になっているが、固定ベルト58によって第3壁部30,32と第2壁部26,28とが完全に分離してしまうのを防止することができる。しかも、固定ベルト58は、第2線ファスナー56の開放方向の終端に延在しているので、第2線ファスナー56のスライダーを移動規制するストッパとしても機能させることができる。
【0040】
前記天面第1壁部24の右辺は、天面第1壁部24をなすシート材36の端縁と第2壁部28をなすシート材36の端縁とを離間させた状態で、可撓性を有する天面ヒンジ44により第2壁部28に繋がっている。これによって、天面第1壁部24と右の第2壁部28との干渉を防止して、天面第1壁部24を容易に折り込むことができる。また、折り込んだ天面第1壁部24を右の第2壁部28の内面により近づけた状態とすることができ、折り畳み状態にあるカバー20をよりコンパクトにすることができる。
【0041】
(変更例)
前述した構成に限定されず、例えば以下のようにも変更することができる。
(1)壁部をなすシート材としては、実施例の構成に限定されず、収納する物品や目的に応じて適宜選択可能である。
(2)実施例では、前後両側の第3壁部を開閉可能に構成したが、これに限られず、前または後の一方の第3壁部だけを開閉可能にしてもよい。
(3)壁部の向きは、実施例の構成に限らず、例えば第1壁部を前後に向けて設定し、第1壁部を開閉して物品を出し入れする構成であってもよい。
(4)第3壁部の折り部は、実施例のように1条だけ設ける構成に限らず、第3壁部の幅等に応じて互いに平行に複数箇所設けてもよい。なお、折り部を複数設ける場合は、奇数配置するのが、第3壁部を第2壁部の幅内で折り畳むのに都合がよい。
(5)実施例では、保持手段と取付手段とを別々に設けたが、取付手段の一部または全部を保持手段として共用してもよい。
(6)面ファスナーや線ファスナーなどを例示した手段は、対象物に対して着脱可能な構成であれば、例えば紐を孔に通して結ぶ構成など、その他の構成を採用可能である。