(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
操作されることにより生じる荷重に応じた検出信号を出力する歪検出素子(20〜23)が設けられた操作部(5)における操作種類を判別する操作判別装置(7、9〜12)であって、
前記歪検出素子による検出信号に基づき取得された荷重が所定のオン閾値以上に印加されたときから所定のオフ閾値以下になるときまでの時間を操作時間として設定する操作時間設定部(7、T2)と、
前記操作時間の間に変化した座標又は/及び荷重の変化に基づいて操作の種類を判別する操作種類判別部(7、T4、T7、T10)と、を備え、
前記操作部(5)は、外見上で操作方法を促すと共に操作指に触感を備えるガイド(13〜18)を備え、前記ガイド(13、18)は、ステアリングホイールの正面に向かって右側に設けられるときには中央左下から中央右上方向に向けて設けられ、前記ステアリングホイールの正面に向かって左側に設けられるときには中央右下から中央左上方向に向けて設けられ、
前記操作の種類ごとに、前記荷重のオン閾値(Don1、Don2)及びオフ閾値(Doff1、Doff2)は個別に設定可能になっている操作判別装置。
操作されることにより生じる荷重に応じた検出信号を出力する歪検出素子(20〜23)が設けられた操作部(5)における操作種類を判別する操作判別装置(7、9〜12)であって、
前記歪検出素子による検出信号に基づき取得された荷重が所定のオン閾値以上に印加されたときから所定のオフ閾値以下になるときまでの時間を操作時間として設定する操作時間設定部(7、T2)と、
前記操作時間の間に変化した座標又は/及び荷重の変化に基づいて操作の種類を判別する操作種類判別部(7、T4、T7、T10)と、を備え、
前記操作部(5)は、外見上で操作方法を促すと共に操作指に触感を備えるガイド(13〜18)を備え、前記ガイド(13、18)は、ステアリングホイールの正面に向かって右側に設けられるときには中央左下から中央右上方向に向けて設けられ、前記ステアリングホイールの正面に向かって左側に設けられるときには中央右下から中央左上方向に向けて設けられ、
前記操作種類判別部は、操作開始から操作終了するまでのXY座標の最大値、最小値に基づいて座標移動量とし当該座標移動量に基づいて操作の種類を判別する操作判別装置。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、操作判別装置の幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。以下に説明する各実施形態において、同一又は類似の動作を行う構成、ステップ番号については、同一又は類似の符号を付している。
【0009】
(第1実施形態)
図1から
図9は、第1実施形態の説明図を示す。
図1に示すように、車両のステアリング1には操作装置2が備えつけられている。この操作装置2は、タッチパッドとしても称され、ステアリングホイール3の内側両端部を接続するスポーク4に取付けられている。操作装置2は、例えばステアリングホイール3の中心を通過すると共に車両進行方向(図示上下方向)に沿う線を中心線Sとして左右対称となる位置に配設されている。ドライバが、ステアリングホイール3を握ることで操作装置2の操作面5の上に自然に操作指(例えば親指)を載置可能になっている。
【0010】
操作面5は、その中心位置を原点とするX−Y座標により操作位置を検出可能に構成され、X軸はステアリング1の中心に向かう内側方向を正方向とし、Y軸はステアリングの舵角が0度となっているときの車両の進行方向(図示上方向)を正方向とするように設置される。操作装置2の設置個所は、前述した位置に限定されるものではない。
【0011】
図2に示すように、操作装置2は、ドライバからタッチ操作を受け付ける板状の操作面(操作部相当)5と、この操作面5に設けられ歪検出信号を出力する歪検出部6と、歪検出部6の歪検出信号に基づいて信号処理する信号処理部7と、信号処理部7の信号処理結果をネットワークNを通じて外部機器9〜12(例えば各種ECU9,10、DCM11、無線通信機器12)に送信可能な通信部8と、を備える。
【0012】
信号処理部7は、例えば周知のCPU、ROM、RAM、A/D変換回路等を備えたマイクロコンピュータなどを用いて構成される。以下、内蔵されたROM、RAM等をメモリと称して説明を行う。信号処理部7は、非遷移的実体的記憶媒体となるメモリに格納されたプログラムを実行する。これにより、信号処理部7は、操作時間設定部、操作種類判別部として機能するようになっている。このときRAMの所定領域をワークエリアとして用いる。
【0013】
図3はステアリング1のスポーク4の正面に向かって右側に設けられる操作面5の正面図を示している。ここでは、Y軸正方向を上方向、Y軸負方向を下方向、X軸正方向を左方向、X軸負方向を右方向と定義して説明を行う。操作面5は、その外形が円形状などの所定形状に構成されている。操作面5は矩形状に構成されていても良い。
図3には、操作面5の検出エリアAを二点鎖線により区画して示している。この検出エリアAは、上面エリアA1、下面エリアA2、左面エリアA3、右面エリアA4、及び、中央面エリアA5に分けられている。
図5も同様に区画して示している。
【0014】
図3及び
図5の操作面5の中央面エリアA5は、操作面5のXY軸中心を中心点として操作面5の外形よりも短い直径の円形状に構成されている。操作面5の上面エリアA1は、中央面エリアA5からY軸正方向に位置して設けられるエリアであり、中央面エリアA5の上円弧から操作面5の外形の上円弧に至るエリアを示している。操作面5の下面エリアA2は、中央面エリアA5からY軸負方向に位置するエリアであり、中央面エリアA5の下円弧から操作面5の外形の下円弧に至るエリアを示している。
【0015】
操作面5の左面エリアA3は、中央面エリアA5からX軸正方向(図示左側)に位置して設けられる面であり、中央面エリアA5の左円弧から操作面5の外形の左円弧に至るエリアを示している。操作面5の右面エリアA4は、中央面エリアA5からX軸負方向(図示右側)に位置して設けられる面であり、中央面エリアA5の右円弧から操作面5の外形の右円弧に至るエリアを示している。本実施形態においては、この中央面エリアA5、上面エリアA1、下面エリアA2、左面エリアA3、右面エリアA4の境界線は、操作面5の上に外見上で視認可能にしていないが外見上で視認可能に記しても良い。
【0016】
また
図3に示すように、操作面5には、外見上で操作方法を促すと共に操作指に触感を与えるガイド13を備える。このガイド13は、操作面5の上部に設けられる上ガイド14、下部に設けられる下ガイド15、左部に設けられる左ガイド16、右部に設けられる右ガイド17に分けられる。これらの上下左右のガイド14〜17は、操作面5の表面に凸状の突起を備えて構成され、例えば三角形の一頂点をそれぞれ上下左右方向に向かう方向を示すように配設されている。
【0017】
また、ガイド13は、フリック操作(後述参照)の操作方向を促す凹部18を備える。この凹部18は図示左下から右上方向に向けて複数離間して設けられており、それぞれ矩形状の長手方向が左上から右下方向に向かうように配設されている。このため、ドライバがステアリングホイール3を握ったときには、
図1に示すように、操作面5の左下から右上方向に向けて操作指となる親指を動作させるよう意識又は無意識的に促されるようになる。
【0018】
なお、
図1に示す中心線Sの左側に位置する操作装置2は、その操作面5の表面形状が、
図3に示す構造を左右対称に変形した構成とされている。このため、操作面5の詳細な構成説明を省略するが、中心線Sの右側に位置する操作装置2と同様にドライバに対し操作指の操作方向を意識づけることができる。
【0019】
図4は操作面5と歪検出部6の歪検出構造を概略的に示す。操作面5はドライバによる操作に応じて押圧力を受け付ける。また凸部5a、5bが、この操作面5の外縁の一部から外方に突出するように一対設けられており、一対の凸部5a、5bは操作面5を挟んでX軸方向に離間して対向配置されている。
【0020】
また、この一対の凸部5a、5bの突出端は歪検出部6の起歪体19a、19bにそれぞれ接続されている。歪検出部6は、起歪体19a、19b及び歪検出素子20〜23を備える。起歪体19a、19bは、Y軸方向を長手方向としたI型の板状に構成されると共に操作面5と平行に配されている。起歪体19a、19bの表面は操作面5と同一面に設置され、操作面5への押圧力の作用に伴い曲げ変形を生じるように弾性変形する。これらの複数の起歪体19a、19bの表面には複数の歪検出素子20〜23が配置されている。複数の歪検出素子20〜23は、例えばXY軸座標系の第1〜第4象限にそれぞれ対応して設けられている。
【0021】
図4を参照して説明すると、歪検出素子20は操作面5の右上方に配置されており、歪検出素子21は操作面5の右下方に配置されている。また、歪検出素子22は操作面5の左上方に配置されており、歪検出素子23は操作面5の左下方に配置されている。
【0022】
歪検出部6を構成する複数の歪検出素子20〜23は、起歪体19a、19bの表面の変位を歪として検出し、この歪に応じた信号を歪検出信号として信号処理部7に出力する。このため、複数の歪検出素子20〜23は、ドライバのタッチ操作位置に応じて互いに異なる歪検出信号を出力する。例えば、操作面5の右上をタッチしたことを想定するならば、タッチ操作に近い位置の歪検出素子20は比較的大きな歪検出信号を出力し、タッチ操作から遠い位置の歪検出素子23は比較的小さな歪検出信号を出力する。またタッチ操作の荷重が大きければ、各歪検出素子20〜23の歪検出信号の絶対量が大きくなり、荷重が小さければ、各歪検出素子20〜23の歪検出信号の絶対量は小さくなる。
【0023】
信号処理部7は、歪検出素子20〜23による歪検出信号に基づいて、タッチ操作により操作面に加えられた荷重を算出できると共に、当該タッチ操作がなされた操作面5の上の位置となる座標を算出できる。歪検出部6は歪検出信号を例えば100ms周期の周期的に取得し信号処理部7に出力する。これにより信号処理部7は、荷重データ及び座標データを含む操作情報を時間と対応付けて取得でき、荷重データ及び座標データを時間変化に応じてメモリに記憶できる。
【0024】
前述したように、通信部8は例えばネットワークNに接続されている。ネットワークNには、ナビゲーションECU、オーディオECU、エアコンECUなどの各種ECU9〜10が接続されており、さらにDCM(Data Communication Module)11が接続されている。各ECU9、10は、CPU、ROM、RAM、A/D変換回路等を備えて構成される。DCM11もまた、CPU、ROM、RAMの他、無線通信モジュールを備えており、外部のスマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータなどの無線通信機器12との間で無線LAN又は近距離無線通信等の無線通信技術により通信可能になっている。
【0025】
各ECU9、10は一般的な電子制御装置と同様であるためその説明を省略する。またDCM11、スマートフォンなどの無線通信機器12の電気的構成もまた周知の無線通信モジュールを備える以外はECU9、10の電気的構成と同様となるためその説明を省略する。
【0026】
操作装置2の通信部8は、他の各種ECU9、10や無線接続される無線通信機器12との間で通信可能に構成される。したがって、ドライバがこの操作装置2を操作することで、操作装置2が車内のネットワークNに接続されたECU9、10や無線通信機器12に前述した操作情報又はその関連情報を送信し、これにより外部機器9〜12を操作できる。
【0027】
本実施形態の特徴に係る作用を説明する。本実施形態は、操作装置2に係る操作の種類を判別するところに特徴を備える。
まず
図5を参照しながら操作の種類を説明する。本実施形態で判別可能な操作の種類は、フリック操作、及び、中央面タップ、上下左右面タップを含むタップ操作、となっている。フリック操作は、例えばドライバの操作指が操作面5の表面上を矢印Mのように摺動する操作を示している。またタップ操作は、ドライバが操作面5の操作エリアA(例えば、上面エリアA1、下面エリアA2、左面エリアA3、右面エリアA4、又は、中央面エリアA5)を押圧する操作を示す。
【0028】
図6に示すように、信号処理部7は、S1において歪の検出信号に基づく荷重データを取得し、S2において歪の検出信号に基づく座標データを取得する。これは周期的に取得した一群のデータを取得する処理を示している。そして信号処理部7は、S3においてこれらの荷重データ、座標データの中からこの初期値を取得する。
【0029】
そして信号処理部7は、S5において荷重の値が予め定められたオン閾値以上であるか否かを判定し、オン閾値以上となる条件を満たすまで、S6において次のタイミングの荷重を取得し続ける。このとき信号処理部7は、S7において合わせて次のタイミングの座標を取得する。
【0030】
信号処理部7は、S5において荷重の値がオン閾値以上となる条件を満たしたときに、S8においてこのオン時の荷重をメモリに記憶させる。このとき信号処理部7は、S9、S10においてこのオン時の座標、時間を合わせてメモリに記憶させる。
【0031】
また信号処理部7は、S11において荷重の値が予め定められたオフ閾値以下であるか否かを判定し、オフ閾値以下となる条件を満たすまで、S12において次のタイミングの荷重を取得し続ける。このとき、信号処理部7は、S13にて合わせて次のタイミングの座標を取得する。オフ閾値はオン閾値より高く設定されていると良い。
【0032】
信号処理部7は、S11において荷重の値がオフ閾値以下となる条件を満たしたときに、S14においてこのオフ時の荷重をメモリに記憶させる。このとき信号処理部7は、S15、S16においてオフ時の座標、時間を合わせてメモリに記憶させる。そして信号処理部7は、S17において操作の種類を判別する。
【0033】
図7は操作の種類の判別ルーチンを示す。この
図7に示すように、信号処理部7は、T1においてオン時の座標とオフ時の座標との差分の絶対値を距離として算出し、この算出された距離を座標移動量とする。そして信号処理部7は、T2においてオフ時の時間からオン時の時間を減算し、この時間を操作時間として算出する。
【0034】
そして信号処理部7は、T3、T5、T6、T8、T9のうち幾つかの諸条件を満たしたことを条件とし、T4にてフリック操作と判別したり、T7にて中央面のタップ操作と判別したり、T10にて上下左右面のタップ操作と判別したりする。また、信号処理部7は、これらの条件の何れも満たされないと判定したときには、T11にて操作判別しないこととする。
【0035】
以下、これらの幾つかの条件について詳細説明する。信号処理部7は、T3において座標移動量がフリック設定閾値以上であるか否かを判定する。このフリック設定閾値は、フリック操作であると見做す座標移動量の閾値を示すものであり予め定められている。このため、座標移動量がフリック設定閾値以上であるときには、信号処理部7は、T4においてフリック操作と判別する。
【0036】
また信号処理部7は、T5においてオン時の座標及びオフ時の座標が操作面の中央面の座標に相当しているか否かを判定する。このとき信号処理部7は、オン時の座標及びオフ時の座標がXY軸中心部から所定半径以内に位置しているか否かを判定することによりT5の処理を実行する。そして信号処理部7は、T6にて操作時間が予め定められた時間閾値以下であることを条件として中央面のタップ操作、すなわち、中央面エリアA5のタップ操作と判別する。このとき、T6にて操作時間が時間閾値以上であるときにはタップ操作の条件を満たさないと判断し、T11にて操作判別しないようにする。
【0037】
また、信号処理部7がT5でNOと判定したときには、T8にてオン時の座標及びオフ時の座標が上下左右面の判定エリア(すなわち上面エリアA1、下面エリアA2、左面エリアA3、右面エリアA4)の何れかであるか否かを判定する。このとき信号処理部7は、これらの面の何れかの面に入っていると判定したときには、操作時間が時間閾値以下であることを条件として上下左右面の何れかのエリアA1〜A4のタップ操作と判別する。このとき、信号処理部7は、オン時の座標及びオフ時の座標に基づいて上面エリアA1、下面エリアA2、左面エリアA3、右面エリアA4の何れの面をタップ操作したかについて判別できる。
【0038】
例えば、オン時の座標が上面エリアA1内であり、オフ時の座標が左面エリアA3内であるときには、操作時間が時間閾値以下であったとしても、T8にてNOと判定されることから、T11にて操作判別されないことになる。これにより誤判定を極力防止できる。
【0039】
図8及び
図9は荷重及び座標の時間的変化を操作の種類別に示している。
図8はフリック操作時の荷重及び座標の時間変化を示し、
図9はタップ操作時の荷重及び座標の時間変化を示している。なお、
図8および
図9の座標軸は、説明の簡略化のため一次元的な表現をしている。すなわち、XY座標による二次元でも同様であることは明白であるため、二次元的な記載を省略している。
【0040】
図8及び
図9に標準的な例を示す。荷重は、ドライバが操作面5にタップしたタイミングt0から増加し、タイミングtona、tonbにおいてオン閾値Dona、Donb以上となり、その後、タイミングtoffa、toffbにおいてオフ閾値Doffa、Doffb以下となる。
図8に示すように、フリック操作時には、タイミングtona−toffaの間のタイミングt1において荷重は最大値Dm1となる。また
図9に示すように、タップ操作時には、タイミングtonb−toffbの間のタイミングt2において最大値Dm2となる。
【0041】
また、荷重はドライバが操作面5から操作指を離したタイミングthにおいて0に至る。これは、
図8に示すフリック操作時、
図9に示すタップ操作時の何れにおいても傾向に変化はない。また座標は、
図8のフリック操作時には時間経過に伴い連続的に大きく変化し、
図9のタップ操作時にはわずかとなる。このため、操作の種類に応じて座標移動量M1、M2に大きな違いを生じ、フリック操作時の座標移動量M1はタップ操作時の座標移動量M2に比較して大きくなる。
【0042】
このため、信号処理部7は、
図7のT3にてフリック設定閾値以上の座標移動量M1を生じていると判定したときにはT4にてフリック操作と判別し、フリック設定閾値未満となるときにはT7、T10にてタップ操作、又は、T11にて操作判別しないようにしている。これにより、フリック操作を極力正確に判別できる。
【0043】
本実施形態の特徴を概念的にまとめる。本実施形態によれば、信号処理部7は、歪検出素子20〜23による歪検出信号に基づき取得された荷重が所定のオン閾値以上に印加されたときから所定のオフ閾値以下になるときまでの時間を操作時間として設定し(
図7のT2)、操作時間の間に変化した座標又は/及び荷重の変化に基づいて操作の種類を判別する(
図7のT4、T7、T10)ようにしている。これにより、操作の種類を極力正確に判別できるようになる。
【0044】
操作面5は外見上で操作方法を促すと共に操作指に触感を備えるガイド13を備えるようにしている。このためドライバに対し意識的又は無意識的に、ガイド13に沿って操作指を動作させるように促すことができる。
【0045】
信号処理部7は、操作時間がフリック設定閾値以上となることを条件としてフリック操作と判別しているため、フリック操作を極力正確に判別できる。
信号処理部7は、
図7のT6、T8、又はT9にてNOと判定したときには、T11にて操作判別しないようにしているため、操作の誤判定を極力防止できる。
【0046】
(第2実施形態)
図10〜
図15は第2実施形態の追加説明図を示す。この実施形態では、フリック操作とタップ操作の判別処理にそれぞれ独立した判定用閾値を用いた形態を示す。
図10、
図11はフリック操作判別のための処理をフローチャートで示し、
図12は、フリック操作判別に係るタイミングチャートを示している。
【0047】
図10のS5a、S11aに示すように、信号処理部7は、フリックオン閾値Don1、フリックオフ閾値Doff1を判定用閾値として判定し、S17aにてフリック操作の判別処理を行う。
図11に示すように、信号処理部7は、T3においてフリック設定閾値以上であることを条件としてフリック操作と判別するが、この条件を満たさないときにはT11aにてフリック操作判別しない。
図12に示すように、フリック操作判別時には、予め独自に設定されたフリックオン閾値Don1、フリックオフ閾値Doff1をオン時及びオフ時の判定用閾値として用いている。
【0048】
また
図13、
図14はタップ操作判別のための処理をフローチャートで示し、
図15はタップ操作判別に係るタイミングチャートを示している。
図13のS5b、S11bに示すように、信号処理部7は、タップオン閾値Don2、タップオフ閾値Doff2を判定用閾値として判定し、S17bにてタップ操作の判別処理を行う。
【0049】
図14に示すように、信号処理部7は、T5においてオン時の座標及びオフ時の座標が中央面エリアA5であるか否かを判定し、T5にてYESと判定したときには、T6にて操作時間が時間閾値以下であり、且つ、T12にてフリック操作と判別されていない、ことを条件として、T7にて中央面のタップ操作と判別する。ここでは、前述したフリック操作を優先処理するためT12の処理を設けており、フリック操作と予め判別されている場合には、T11bに示すようにタップ操作と判別されることはない。
【0050】
また、信号処理部7は、T5にてNOと判定したときには、T8にて上下左右面のエリアであるか否かを判定し、T8にてYESと判定したときには、T9にて操作時間が時間閾値以下であり、且つ、T13にてフリック操作と判別されていない、ことを条件として、T10にて上下左右面のタップ操作と判別する。
【0051】
このときも前述したフリック操作を優先処理するためにT13の処理を設けており、フリック操作と予め判別されている場合には、T11bに示すようにタップ操作と判別されることはない。
図15に示すように、タップ操作判別時には、予め独自に設定されたタップオン閾値Don2、タップオフ閾値Doff2をオン時及びオフ時の判定用閾値として用いている。すなわち、本実施形態では、これらの
図10〜
図15に示すように、操作時間を設定するためのフリックオン閾値Don1、タップオン閾値Don2、フリックオフ閾値Doff1、タップオフ閾値Doff2を個別に設定可能になっている。
【0052】
以下、荷重のフリックオン閾値Don1、フリックオフ閾値Doff1、タップオン閾値Don2、タップオフ閾値Doff2の望ましい関係性を説明する。ドライバは、フリック操作時に操作指を操作面5に摺動させることが想定されるため、操作面5に与えられる荷重はタップ操作時に比較して小さくなる。
【0053】
逆に、ドライバはタップ操作時に操作面5に操作指を叩くことが想定されるため、操作面5に与えられる荷重はフリック操作時に比較して大きくなる。このため、荷重のフリックオン閾値Don1はタップオン閾値Don2よりも小さく設定することが望ましく、また、フリックオフ閾値Doff1はタップオフ閾値Doff2よりも小さく設定することが望ましい。
【0054】
また、タップ操作における荷重の判定用閾値(タップオン閾値Don2、タップオフ閾値Doff2)を比較的大きく設定した場合には、座標がフリック判定閾値以上に十分に移動している場合においても、荷重の時間的変化次第では座標移動量が比較的少なく検出される可能性がある。
【0055】
このため、
図13〜
図15に示すタップ操作判別処理より、
図10〜
図12に示すフリック操作判別を優先的に行うことが望ましく、フリック操作判別処理を先に行うことが望ましい。その他は第1実施形態と同様の作用を奏するためその説明を省略する。
【0056】
信号処理部7は、操作の種類(フリック操作、タップ操作)毎の操作時間を決定するための荷重のオン閾値Don1、Don2、オフ閾値Doff1、Doff2を個別に設定して操作種類を判別している。これにより、操作の種類毎に必要な閾値を個別に設定できるようになり利便性が向上する。
【0057】
また、例えばフリック操作の場合には、操作指による荷重が比較的弱く検出されるため、検出される座標の位置が本来操作指が接触した座標の位置からずれることがある。このため、フリック操作のフリックオン閾値Don1を所定より比較的小さく設定すると共にフリックオフ閾値Doff1を所定より比較的小さく設定している。これにより、たとえフリック操作時に荷重が比較的弱く検出されることが想定される場合であっても、操作指が実際に接触した位置と、座標が検出される位置とを極力一致させることができるようになり、操作の種類を極力正確に判別できるようになる。
【0058】
特に、フリック操作のフリックオン閾値Don1をタップ操作のタップオン閾値Don2よりも小さく設定しており、フリック操作のフリックオフ閾値Doff1をタップ操作のタップオフ閾値Doff2よりも小さく設定しているため、誤判別を極力なくすことができる。
【0059】
また、フリック操作をタップ操作に優先して判別しているため、誤判別を極力なくすことができる。
(第3実施形態)
図16〜
図18は第3実施形態の追加説明図を示す。この実施形態では、座標の移動速度、又は/及び、座標の移動の加速度に基づいて操作を判別する形態を示す。特に、フリック操作を判別するときに特徴を奏するため、フリック操作の判別処理が、第2実施形態と異なる部分を中心に説明し、タップ操作の判別処理については説明を省略する。
【0060】
図16に示すように、信号処理部7は、S5aにて荷重がフリックオン閾値Don1以上になるとS8〜S10においてオン時の荷重、座標、時間を記憶し、S11aにてフリックオフ閾値以下となるまでS12、S13にて荷重、座標のデータを取得する。
【0061】
本実施形態では、信号処理部7は、S5aにて荷重がフリックオン閾値Don1以上の条件を満たしてから、S11aにて荷重がフリックオフ閾値Doff1以下となるまでの間、S18にて座標の移動速度を算出し、S19にて座標の移動加速度を算出し、S20にて座標の移動速度の絶対値の最大値、座標の移動加速度の絶対値の最大値を更新し続ける。
【0062】
S18に示す座標の移動速度は座標を時間微分することで算出することができ、例えば前回算出された座標及び時間と今回算出された座標及び時間とに応じて算出できる。前回の座標のデータがメモリに記憶されていない場合にはS18の処理は無視すれば良い。また、S19に示す座標の移動加速度は、座標の移動速度を時間微分することで算出でき、例えば前回算出された移動速度及び時間と、今回算出された移動速度及び時間とに応じて算出できる。前回の移動速度のデータがメモリに記憶されていない場合はS19の処理は無視すれば良い。
【0063】
そして信号処理部7は、S20においてこれらの座標の移動速度の絶対値、座標の移動加速度の絶対値を順次更新する。信号処理部7は、S11aにおいてフリックオフ閾値Doff1以下となったことを条件としてS17aにおいてフリック操作の判別処理を行う。
【0064】
信号処理部7は、
図17に示すフリック操作の判別処理において、T1にて座標移動量を算出し、T2にて操作時間を算出するが、さらに、T14において「座標移動速度」を前述のS19で取得されている座標の移動速度の絶対値の最大値とし、T15において「座標移動加速度」を前述のS20で取得されている座標の移動加速度の絶対値の最大値とする。そして信号処理部7は、前述実施形態で説明したT3の条件に加え、T16にて座標移動速度がフリック移動速度閾値vt以上となること、T17にて座標移動加速度がフリック移動加速度閾値qt以上となること、の何れか少なくとも一つを満たしたことを条件としてT4においてフリック操作と判別する。
【0065】
ドライバが操作面5をフリック操作したときには、座標移動速度は例えばタップ操作に比較して大きくなる。
図18に座標移動速度の最大値P1を示したが、座標移動速度の絶対値の最大値P1が所定のフリック移動速度閾値vt以上となることを条件としてフリック操作である旨の判別を行うことができる。また、ドライバが操作面5をフリック操作したときには、座標加速度も例えばタップ操作に比較して大きくなる。このため、
図18に座標移動加速度の最大値P2を示したが、座標移動加速度の絶対値の最大値P2が所定のフリック移動加速度閾値qt以上となることを条件としてフリック操作である旨の判別を行うことができる。
【0066】
T3、T16、T17の何れか少なくとも一つ以上を満たすことを条件としたが、何れか2つ以上満たすことを条件としても良いし、3つ全ての条件を満たすことを条件としてフリック操作である旨の判別を行っても良い。
【0067】
本実施形態に示したように、信号処理部7が、座標の変化の速度、又は/及び、前記座標の変化の加速度に基づいて操作の種類を判別することで、誤判別を極力なくすことができる。
【0068】
(第4実施形態)
図19〜
図21は第4実施形態の追加説明図を示す。この実施形態では、XY座標の最大値、最小値に基づいて座標移動量を算出する形態を示す。第1実施形態と異なる部分を中心に説明し、その他の部分については説明を省略する。
【0069】
図19に示すように、信号処理部7は、S8〜S10においてオン時の荷重、座標、時間を記憶した後、順次タイミングをずらして荷重、座標のデータを取得するときに、S21においてX、Y座標の最大値、最小値を求め、内部メモリに記憶させる。このXY座標の最大値/最小値の算出方法は、例えば操作面5の中心点(X,Y)=(0,0)からの距離がよりXY正方向に遠い位置を最大値としXY負方向に遠い位置を最小値とすると良い。そして、
図20に示すように、信号処理部7は、T1aにおいて座標移動量をXY座標の最大値からXY座標の最小値を減算した値の絶対値とし、T2以降の処理を行う。
【0070】
ドライバはその操作指を操作面5に触れたタイミングからある時間の間、実質的に動かしたい所望の方向とは異なる方向(例えば逆方向)に動かすこともある。このような場合、
図21に示すように、オン時の座標とオフ時の座標とに基づく座標移動量M1と、XY座標の最大値とXY座標の最小値とに基づく座標移動量M1bとの間に大きく差を生じることも想定される。
【0071】
信号処理部7が、最大値と最小値との差に基づく座標移動量M1bを取得することで、少なくとも第1実施形態の動作に比較して座標移動量M1bを比較的大きく取得できる。これにより、ドライバの操作指による操作がたとえずれたとしても座標移動量M1bを大きく取得することができ、極力正確にフリック操作を判別できる。
【0072】
本実施形態によれば、操作開始から操作終了するまでのXY座標の最大値、最小値に基づいて座標移動量M1bとし当該座標移動量M1bに基づいて操作の種類を判別している。このため、極力正確に操作を判別できる。
【0073】
(他の実施形態)
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。
【0074】
操作部として、平面状に設けた操作面5を適用した形態を示したが、これに限定されるものではなく、歪検出素子を用いた各種の操作入力デバイスを適用しても良い。
操作装置2は、外部機器9〜12との間で通信する形態に適用したが、これに限定されるものではない。操作装置2は、例えば各種ECU9,10に搭載されていたり、無線通信機器12に搭載されていても良い。すなわち前述実施形態においては、信号処理部7が操作判別装置としての機能を備えた形態を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、外部機器9〜12が一連の荷重データ及び座標データをネットワークNを通じて取得し、前述実施形態の信号処理部7の処理を行うようにしても良い。すなわち、機器9〜12の何れかが操作の種類判別する操作判別装置としての機能を備えていても良い。
【0075】
車両のステアリング1に備え付けた操作装置2を用いた形態を説明したが、これに限定されるものではない。操作装置2が、ステアリング1に2つ設けられている形態を示したが、1つでも良いし3つ設けられていても良いし、他の部品に取り付けられていても良い。フリック操作、タップ操作の判別方法を例示したが、これに限定されるものではなく、例えばスワイプ操作、スライド操作など各種の操作の判別に適用できる。
【0076】
例えば、前述の各実施形態の構成は概念的なものであり、一つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分散させたり、複数の構成要素が有する機能を一つの構成要素に統合させたりしてもよい。また、前述の実施形態の構成の少なくとも一部を、同様の機能を有する公知の構成に置き換えてもよい。また、前述の2以上の実施形態の構成の一部又は全部を必要に応じて互いに組み合わせて付加しても置換しても良い。
【0077】
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、本発明の一つの態様として前述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係の一例を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。