(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、家庭用の冷蔵庫は、大型化が進んでおり、これに対応するために、冷蔵庫の外郭を構成する外箱の剛性を高めることが要求されている。この要求に応えるべく、冷蔵庫の外箱の剛性を向上させたものとしては、例えば、特許文献1に開示された冷蔵庫が知られている。
【0003】
特許文献1に開示された冷蔵庫では、外箱の左右の側板の下端部に、補強部材を設けて外箱の下部を補強している。その補強部材は、外箱の左右の前端部から後端部に沿って延設された水平部と、水平部の前端から上方向に向けて形成された垂直部と、を有するL字状のフレーム部材から成る。左右の補強部材の後端部間には、台板が架設されている。
【0004】
図10は、従来の冷蔵庫の底部を示す底面図である。
図11は、
図10のD部拡大斜視図である。
図12は、従来の冷蔵庫の底部に配置されたローラ及び圧縮機の配置状態を示す概略分解斜視図である。
【0005】
図10に示すように、従来の冷蔵庫100の外箱200の下面部には、底板300が設けられている。外箱200の左右下端部には、L字状に形成されたアングルタイプの補強部材400がそれぞれ設けられている。補強部材400の後端部下側には、ローラ600の軸棒610を軸支したり、圧縮機700(
図12参照)を載設したりする台板500が設けられている。補強部材400の左右前端部には、それぞれ脚部800が設けられている。貯蔵室に品物が貯蔵された冷蔵庫100は、前側の左右2個の脚部800と、後側の左右2個のローラ600と、によって支えている。
【0006】
台板500には、ローラ600を配置するためのローラ設置孔510と、ローラ設置孔510を切り起こすようにして形成された軸支片520(
図12参照)と、圧縮機700を固定するための4本のスタッドピン730がそれぞれ挿入されるピン設置孔530と、が形成されている。なお、台板500とスタッドピン730は別体であり、台板500に形成された孔にスタッドピン730の下端部を嵌め合わせることで固定されている。
【0007】
ローラ設置孔510は、下面視して、補強部材400に隣接させて、補強部材400を避けるように、補強部材400よりも内側に配置されている。また、補強部材400も、ローラ600を避けるように配置するために、ローラ設置孔510の左右方向の外側近隣に切欠部410(
図11参照)が形成されている。このため、脚部800を補強部材の前端部に固定するための締結具810と、ローラ600と、を結ぶ中心線L100−L100が、前後方向に対して斜めになっている(前方ほどL100−L100間が広くなっている)。
【0008】
図12に示すように、圧縮機700は、筐体710の下端部に取り付けられたブラケット720の四箇所に穿孔された固定孔721に、4本のスタッドピン730をゴム座740を介して挿入し、4本のスタッドピン730の先端部の係止溝にそれぞれ止め輪750を係合させることによって、台板500に固定されている。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、
図1〜
図9を参照しながら本発明の実施形態に係る冷蔵庫の一例を説明する。
【0018】
以下では、冷蔵庫1を正面から見たときの方向を基準として説明する。また、以下に示す図面において、同一の部材には適宜同一の参照符号を付し、重複した説明を適宜省略する。
【0019】
≪冷蔵庫≫
図1に示すように、冷蔵庫1は、例えば、それぞれ不図示の観音開き式扉の冷蔵室と、引出式扉の冷凍室と、引出式扉の野菜室と、を備えている。冷蔵庫1は、外箱21を有する冷蔵庫本体2と、冷蔵庫本体2の底面に設けられた底板3と、冷蔵庫本体2の左右前端部下側にそれぞれ配置された脚部8と、冷蔵庫本体2の左右後端部下側にそれぞれ配置されたローラ6と、冷蔵庫本体2の左右下端部にそれぞれ設けられた補強部材4と、補強部材4の後部下側に設けられた台板5と、を備えている。
【0020】
<冷蔵庫本体>
冷蔵庫本体2は、外箱21と、内箱(図示せず)と、外箱21と内箱との間に充填された断熱材(図示せず)と、を備えて構成された断熱箱体から成る。
【0021】
<外箱及び底板>
外箱21は、冷蔵庫本体2の上側表面及び左右外側表面を形成する鋼板であり(
図2参照)、プレス成形して形成されている。外箱21は、二つの側板21a,21b(
図2参照)と、これら側板21a,21bと連続する天板(図示省略)と、を備え、前面、背面及び底面が開放したコ字形状を成している。外箱21の下部には、前面側に設けられた前板22と、外箱21の下端部の左右内壁に設けられた左右一対の補強部材4と、外箱21の下端部に設けられた底板3及び台板5と、が取り付けらている。
【0022】
底板3は、冷蔵庫本体2の底面に水平に設置された鋼板である。
【0023】
<補強部材>
図1に示すように、補強部材4は、外箱21の左右下端部の前端部から後端部に亘って設置された左右一対の鋼板製の骨格部材である。補強部材4は、前後方向に向けて延設された前後フレーム部4aと、前後フレーム部4aの後端部から上方向に向けて延設された上下フレーム部4bと、をL字状に連設して、全体として略L字形状に形成されている(
図2及び
図3参照)。左右の補強部材4の前後フレーム部4aの前端部には、脚部8が前端に取り付けられた脚部用ブラケット81,82が締結具83,84によって固定されている。左右の補強部材4の前後フレーム部4aの後端部には、軸支ピン61(
図6参照)によってローラ6が回転自在に軸支されている。
【0024】
図3に示すように、左右の補強部材4には、それぞれ前後フレーム部4aと、上下フレーム部4bと、水平板部4cと、立ち上がり部4dと、フランジ部4eと、折畳部4jと、ローラ設置孔4fと、切起部4g(
図5参照)と、軸支孔4h(
図5参照)と、ピン脱落防止部4iと、前端補強リブ4kと、後端補強リブ4mと、脚部設置部4nと、ローラ設置部4oと、ねじ孔4p等が形成されている。
【0025】
なお、左右の補強部材4は、略対称形状に形成されて、対称な状態に取り付けられているので、主に左側の補強部材4を説明して右側の補強部材4の説明は省略する。
【0026】
前後フレーム部4aは、前後方向に水平に延びる水平板部4cと、この水平板部4cの左端から上方向に向けて折曲形成された立ち上がり部4dと、を縦断面視してL字状に形成されて成る。前後フレーム部4aは、左端部側に立ち上がり部4dが形成され、右端部側にフランジ部4e及び折畳部4jが形成され、前端部に前端補強リブ4kが形成され、後端部に後端補強リブ4mが形成され、ローラ6近傍に補強部4qが形成され、前後フレーム部4aの周縁部が補強されている。
【0027】
図3に示すように、上下フレーム部4bは、前後フレーム部4aの左右後端部の角部に立設された横断面視して山形鋼形状(アングル鋼形状)の部位である。上下フレーム部4bの下側基端部には、後端補強リブ4mが形成されている。
【0028】
前後フレーム部4aの水平板部4cには、前端部に、脚部8(
図1参照)を取り付けた脚部用ブラケット81,82を締結具83,84(
図1参照)で固定するための脚部設置部4nが形成され、後端部に、ローラ6を配置するためのローラ設置部4oが形成されている。その水平板部4cは、左右の側板21a,21b(
図2参照)の内側下端の内壁に沿って水平に配置されている。
【0029】
立ち上がり部4dは、水平板部4cの左右方向の外側縁部(一端部)を断面視してL字状に折曲形成された垂直な部位であり、水平板部4cに沿って前後方向に略帯状に延設されている。立ち上がり部4dの外側壁面及び下面には、後記する脇板41(
図6、
図8(a)、(b)参照)が当接した状態に隣接させて取り付けられている。
【0030】
フランジ部4eは、水平板部4cの内縁部(他端部)の後端部から前後方向の中央寄りの位置に亘って、上方向に向けて断面視してL字状に折曲形成された補強用の側縁フランジである。フランジ部4eは、立ち上がり部4dに沿って前後方向に帯状に延設されている。
【0031】
図4及び
図5に示すように、ローラ設置部4oは、補強部材4の後部のフランジ部4eと、立ち上がり部4dとの間の補強された部位に形成されている。ローラ設置部4oは、二重車輪状のローラ6の左右方向の幅に合わせて補強部材4の中央部の横幅よりも幅広に形成されている。ローラ設置部4oには、ローラ設置孔4fと、ローラ設置孔4fから下側に向けて突設された切起部4gと、切起部4gに形成された軸支孔4hと、フランジ部4eから延設されて軸支ピン61を保持するピン脱落防止部4iと、が形成されている。
【0032】
図5に示すように、ローラ設置孔4fは、ローラ6が回転自在に遊挿されて配置されている孔であり、立ち上がり部4dとフランジ部4eとの間の水平板部4cに平面視して矩形に形成されている(
図7(a)、(b)参照)。ローラ設置孔4fは、下側に向けて切起部4gを形成することによって形成されている。
【0033】
切起部4gは、水平板部4cの後端部に、ローラ設置孔4fを下側方向に向けて切り起こし加工して形成された部位である。切起部4gは、ローラ設置孔4fの周縁部を下方向に折曲加工して形成されているので、ローラ設置孔4fの周縁部の強度を向上させることができる機能を備えている。
【0034】
軸支孔4hは、切起部4gに穿孔された左右一対の貫通孔であり、ローラ6を支持する軸支ピン61が回転自在及び着脱自在に挿入されている。
【0035】
図5に示すように、ピン脱落防止部4iは、軸支ピン61の一端に形成された頭部61aを外側から抑えて保持する軸支ピン61の抜け防止用の突出片である。
図6(a)、(b)に示すように、ピン脱落防止部4iは、軸支孔4hに挿入された軸支ピン61の頭部61aが配置された近傍のフランジ部4eの上端部から上方向に延出された突出片を、軸支ピン61の頭部61aの端面に当接するように下方向に折り返して形成されている。なお、このピン脱落防止部4iは補強部材4と一体に形成されたものに限られず、ピンの脱落を防止できるものであれば、割りピンや螺子など別体であっても良い。
【0036】
図5及び
図6(b)に示すように形成されたピン脱落防止部4iの軸支ピン61の頭部61aを抑える部位は、左右の軸支孔4hの軸心線上に配置されている。先端側が折畳むように下方向に曲げて形成されたピン脱落防止部4iは、
図6(a)に示すように、上方向に曲げ起こすと、抑えていた軸支ピン61の頭部61aが開放されるので、軸支ピン61を引き抜いて、ローラ6を交換することが可能になっている。
【0037】
図3に示すように、折畳部4jは、水平板部4cの右側縁部に上方向に向けて突出形成された側縁フランジ状の部位を、水平板部4c側に折畳んで形成された補強部位である。
【0038】
前端補強リブ4kは、立ち上がり部4dの前端と、脚部設置部4nの前端とを連結するように形成されて、補強部材4の前端部側の強度を向上させるための補強部位である。前端補強リブ4kは、脚部設置部4nの前端から前方向に延出された片を折曲加工して形成されている。
【0039】
後端補強リブ4mは、前後フレーム部4aと上下フレーム部4bとが直角に折曲した部位の強度を向上させるための補強部である。後端補強リブ4mは、前端補強リブ4kに対して水平板部4cを介して対向するように、水平板部4cの後端部右端から上下フレーム部4bに亘って形成されている。
【0040】
脚部設置部4nは、脚部用ブラケット81が重ねた状態に配置される部位であり、脚部用ブラケット81(
図1参照)の形状に合わせて、補強部材4の中央部の幅よりも幅広に形成されている。脚部設置部4nは、脚部用ブラケット81を補強部材4の前端部に固定する締結具83,84が螺着されるねじ孔が形成されている。
【0041】
<脇板>
図6(a)、(b)に示すように、脇板41は、縦断面視してL字状の山形鋼状に形成されて、上方向に向けて形成された側が、立ち上がり部4dの外側に隣接されて配置され、水平方向に向けて形成された側(
図7(a)参照)が、水平板部4cを下側から支持するように配置されている。
【0042】
<ローラ>
ローラ6は、冷蔵庫1を移動させる際に利用する回転可能な左右一対の円筒状の樹脂製の車輪から成る(
図1参照)。
図6及び
図7に示すように、ローラ6は、2個の車輪を隣接して軸支ピン61に軸支して成る二重車輪から成る。このようにローラ6を二重車輪にすると、軸方向のテーパが小さくなるため、ガタつきが抑えられる効果があるが、車輪は一つであっても構わない。
【0043】
<脚部>
図1に示すように、脚部8は、冷蔵庫1の左右前端部を下側から支持する略円筒状の樹脂製の支持部材である。脚部8は、脚部用ブラケット81,82に上下方向に高さ調整自在にねじ状の取付具85によって取り付けられている。脚部8を備えた脚部用ブラケット81は、締結具83,84によって補強部材4の前端部に取り付けられている。脚部用ブラケット81,82、前端側の締結具83、及び、取付具85は、ローラ6と締結具83と結ぶ中心線L1−L1上に配置されている。締結具84は、補強部材4の脚部設置部4n、水平板部4cの下面の適宜な複数の位置に所定間隔を介して締結される。なお、冷蔵庫の左右前端部には、脚部8だけでなく、ローラ6を設けても良い。
【0044】
<台板>
図8に示すように、台板5は、圧縮機7等が載設される板部材であり、左右の補強部材4(
図1及び
図2参照)の後部下側に架設されている。台板5には、左右両端部の略中央部に形成された切欠部5aと、上方向に向けて突出して形成された嵌合凸部5bと、圧縮機7を台板5に固定するために上方向に向けて大きく突出して台板5と一体的に形成される固定用凸部74と、圧縮機7の下側中央部に形成された放熱孔5dと、台板5の前後端部に形成された側縁フランジ5e,5fと、適宜な位置に多数形成された補強凸部5gと、が形成されている。
【0045】
切欠部5aは、ローラ6が回転自在に遊挿した状態に配置される部位であり、台板5の左右端部にコ字状に切欠形成されている。
【0046】
嵌合凸部5bは、ゴム座73の下面に形成された開口部73bが嵌合されて保持される部位である。嵌合凸部5bは、例えば、逆凹形状にプレス形成された平面視して円形のエンボスから成る。嵌合凸部5bは、圧縮機7の下部中央に形成された放熱孔5dを中心として対角線上に二つ対向配置されて成る。
【0047】
放熱孔5dは、圧縮機7の下方に形成した一つの丸い貫通孔から成るが、配置位置及び形状は特に限定されず、適宜変更してもよい。
【0048】
側縁フランジ5e,5fは、台板5の強度を向上させるために折曲形成された補強部であり、台板5の前端部及び後端部全体に左右方向に帯状に延設されている。
【0049】
補強凸部5gは、台板5の板面の強度を向上させるためにプレス成形された凹凸部であり、配置位置及び形状は特に限定されず、適宜変更してもよい。
【0050】
また、本発明の実施形態では、ローラ6を台板5ではなく、外箱21に固定された補強部材4に軸支させることで、台板5に高い強度が必要なくなるため、台板5を樹脂製としている。このように、台板5を金属製から樹脂製に切り替えることで、冷蔵庫全体を軽量化できる。
【0051】
<圧縮機>
図8に示すように、圧縮機7は、筐体71と、筐体71の下面固定されたブラケット72と、ブラケット72の貫通孔72bに上部が係合されるゴム座73と、ゴム座73を台板5に固定するための固定用凸部74及び嵌合凸部5bと、固定用凸部74に取り付けられる止め輪75と、を備えている。
【0052】
筐体71は、冷媒を圧縮して高温高圧のガス冷媒にする圧縮機7の金属ケースである。
【0053】
ブラケット72は、筐体71の下側に取り付けられた平面視して矩形の鋼板から成る。
【0054】
貫通孔72bは、例えば、ブラケット72の四隅に形成された位置調整可能な孔であり、ゴム座73の上部に形成された環状の係合溝73cが内嵌されている。
【0055】
図9に示すように、ゴム座73は、圧縮機7の防振用の複数(4個)の座であって、圧縮機7に設けられたブラケット72の下側に取り付けられている。台板5の嵌合凸部5bが内嵌されるゴム座73と、固定用凸部74が挿入されるゴム座73は、同一である。複数のゴム座73は、2個(所定の数)のゴム座73が固定用凸部74によって台板5に固定され、残りの2個のゴム座73が嵌合凸部5bによって台板5に支持されている。ゴム座73には、略円筒状のゴム座本体73aと、ゴム座本体73aの下端部に形成された開口部73bと、前記係合溝73cと、ブラケット72が載置される載置部73dと、固定用凸部74が挿入される固定用凸部挿入孔73eと、が形成されている。
【0056】
ゴム座本体73aは、伸縮可能なゴムあるいは合成樹脂によって形成されている。ゴム座本体73aは、台板5の上面と、ブラケット72の下面との間に介在されて、圧縮機7の駆動振動を収納可能になっている。
【0057】
開口部73bは、内側開口縁が嵌合凸部5bに圧入されるように形成され、開口端面が台板5の上面に載置されるようになっている。
【0058】
図8に示すように、係合溝73cは、ブラケット72の貫通孔72bが係合する溝であり、載置部73dの上側に連続して形成されている。係合溝73cは、載置部73dから上方向に円筒状に突出形成された突起に環状溝を切欠ようにして形成されている。このため、係合溝73cの上側は、貫通孔72bの周縁が係止する係止爪形状(
図9参照)に形成されている。
【0059】
載置部73dは、略円筒状のゴム座本体73aの上部に形成されて圧縮機7をブラケット72を介在して支える平らな面である。
【0060】
固定用凸部挿入孔73eは、中空状のゴム座73の中心線に沿って上下方向に向けて形成された孔であり、開口部73bに連通している。
【0061】
固定用凸部74は、台板5から上方向に向けて突出するように、台板5と一体的に形成された樹脂製のスタッドピンである。固定用凸部74の上部には、上端部に止め輪75が装着される環状の固定溝74aと、ゴム座73の載置部73dの内側に形成された環状凸部73fが係合する環状の係止溝74bと、が形成されている。固定用凸部74は、ゴム座73の固定用凸部挿入孔73e及びブラケット72の貫通孔72bに挿入して止め輪75を固定溝74aに係合させることによって固定される。
【0062】
止め輪75は、固定溝74aに装着されるC字状の金属製板部材である。この止め輪75は、固定用凸部74の上部に固定できるものであればよく、圧入固定される略円環状の部材であっても、または、ナット状のものであっても構わない。
【0063】
≪作用≫
次に、
図1〜
図9を参照しながら本発明の実施形態に係る冷蔵庫1の作用を組付手順に沿って説明する。なお、組付手順は、一例であって適宜変更しても構わない。
【0064】
まず、
図5に示すように、二つのローラ6をローラ設置孔4fに挿入し、軸孔6aの位置を軸支孔4hに合わせる。その状態で、
図6(a)に示すように、軸支ピン61を軸支孔4h及び軸孔6aに挿入させる(
図5参照)。
【0065】
次に、横方向に向いているピン脱落防止部4iを、
図6(b)に示すように下方向に折畳むように折り曲げる。すると、軸支ピン61の頭部61aは、
図5に示すように、ピン脱落防止部4iと切起部4gとによって挟持される。このため、軸支ピン61は、軸支孔4hから抜け落ちることがなく、ローラ6を回転自在に支持することができる。
【0066】
軸支ピン61は、ピン脱落防止部4iを
図6(a)に示す元の水平な状態に起こすように折り曲げることによって、ローラ6を軸支していた軸支ピン61を抜き取ることができる。このため、ローラ6及び軸支ピン61は、劣化した場合、適宜交換できるようになっている。ローラ6は、このようにして補強部材4に着脱される。
【0067】
次に、
図8に示すように、圧縮機7を台板5に搭載する。この場合は、まず、2個のゴム座73を固定用凸部74にそれぞれ内嵌させる。また、2個のゴム座73を嵌合凸部5bにそれぞれ内嵌させる。各ゴム座73の係合溝73cに、圧縮機7が固定されたブラケット72の貫通孔72bを押し込んで外嵌させる。そして、二つの固定用凸部74の固定溝74aに止め輪75を係合させることによって、圧縮機7を台板5上に固定させることができる。
【0068】
このようにして台板5の上面に取り付けられた圧縮機7は、
図8に示すように、二つの固定用凸部74と、台板5に一体形成された二つの嵌合凸部5bとによって取り付けられているので、固定用凸部74の個数及び止め輪75の個数を半減させて、固定用凸部74による組付工数及びコストを削減することができる。なお、嵌合凸部5bがなくても、固定のための固定用凸部74(スタッドピン)1本と、回転防止のための固定用凸部74(スタッドピン)1本とがあれば対応可能である。このようにスタッドピンの本数を少なくすることで、振動の抑制を図ることも可能である。また、台板5が樹脂製であるため、固定用凸部74についても、台板5と一体的に樹脂で成形でき、低コスト化が可能である。
【0069】
続いて、
図1に示すように、プレス加工されたコ字形の外箱21の左右の側板21a,21b間に、前板22をねじ止めする。
【0070】
次に、脇板41上に補強部材4を載置して、脇板41及び補強部材4を外箱21の側板21a,21bの下端部内壁面に沿って挿入し、外箱21の前面側及び側面からねじ部材をねじ込んで、補強部材4及び脇板41(
図4参照)を前板22にねじ止めする。これにより、ローラ6が取り付けられている補強部材4を、外箱21の左右下端部に取り付けることができる。
【0071】
この場合、補強部材4は、
図3に示すように、L字状に折曲された立ち上がり部4dと、フランジ部4eと、折畳部4jと、前端補強リブ4kと、後端補強リブ4mとが形成されていることによって、強度を向上させることができる。
図5に示すように、補強部材4は、立ち上がり部4dの外側に脇板41が隣接されていることによって、さらに、強度を向上させることができる。
【0072】
このような補強部材4の立ち上がり部4dとフランジ部4eとの間に形成されたローラ設置孔4fの周辺は、ローラ設置孔4fを下方向に切り起こして形成された切起部4gが形成されているので、強度を向上させることができる。このため、切起部4gに形成された軸支孔4hは、しっかりと軸支ピン61を支持することができる。
【0073】
次に、
図2に示すように、左右の補強部材4の後端部下側に、圧縮機7を搭載した台板5をねじ止めする。これにより、冷蔵庫1の下部構成部材の取り付けが完了する。
【0074】
図1に示すように、ローラ6を、台座5ではなく補強部材4に軸支する構成としたので、ローラ6を外側へ位置させることができ、荷重を安定的に支持することが可能となる。また、台板5をローラ6を備えた補強部材4の下側に取り付ける際に、台板5は、両端部に、左右のローラ6がそれぞれ回転自在に遊挿されて配置される切欠部5aが形成されていることによって、ローラ6を軸支した補強部材4を、外箱21の下端部の内側の近隣に重ねた状態に配置することができる。このため、補強部材4に設けられた左右のローラ6及び脚部8を、互いに冷蔵庫1の下面四隅の前後左右方向の均等な位置にバランスよく配置することができる。その結果、左右のローラ6にかかる荷重が均等化される。なお、台座5の両端部に形成されるものは切欠部5aには限られず、ローラ6との干渉を避けるようにする別の形状の側部であっても良い。
【0075】
図1に示すように、補強部材4が載置される脇板41の幅寸法内に、ローラ6の軸方向の一部が位置するような構成である。これにより、ローラ6を幅方向について外側へ設置でき、且つ、冷蔵庫1の後端部側に設置できるため、捻じれや倒れを抑制することが可能である。また、圧縮機7による重心バランスによっては、左右のローラ6の中心線L2−L2は、圧縮機7が搭載される台板5の中心線L3−L3、又は圧縮機7の中心(図示せず)よりも後部に配置されても良い。
【0076】
このようにして冷蔵庫1の下部に配置されたローラ及び脚部8は、冷蔵庫1に対して、下面視して前後左右方向の四隅に寄った位置に配置されるため、荷重を均等に受け止めることができる。このため、捻じれや倒れを抑制することができる。
【0077】
≪変形例≫
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内で種々の改造及び変更が可能であり、本発明はこれら改造及び変更された発明にも及ぶことは勿論である。
【0078】
例えば、前記実施形態では、
図1に示す冷蔵庫1の底部の後部左右の二箇所のみにローラ6を取り付けた場合を説明したが、ローラ6は、冷蔵庫本体2の下側前端部にある脚部用ブラケット81,82にも設けてもよい。このようにすれば、ローラ6は、冷蔵庫本体2の下側の前後左右端部の四箇所に配置されるため、冷蔵庫1を移動させる際に、移動作業を行い易くすることができる。
【0079】
また、脚部8は、ローラ6に変更しても構わない。また、脚部8は、この脚部8が取り付けられた脚部用ブラケット81に回転自在なキャスターを配置したものであっても構わない。
【0080】
また、
図4及び
図5に示す切起部4gは、補強部材4に、ローラ設置孔4fを下側方向に切り起こして形成した場合を説明したが、補強部材4にローラ設置孔4fと軸支孔4hとを一体的に形成することが可能であればよく、ローラ設置孔4fを上方向に切り起こして形成してもよい。
【0081】
また、
図8に示す嵌合凸部5b及び固定用凸部74の数は、圧縮機7の大きさ等に応じて増設するなどして適宜変更しても構わない。その場合も、嵌合凸部5b及び固定用凸部74は、3個ずつ、4個ずつ、あるいは、5個ずつ設けて、それぞれ圧縮機7の下側にブラケット72を保持するゴム座73を、対角線上にそれぞれ配置して保持することが望ましい。