特許第6643208号(P6643208)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6643208
(24)【登録日】2020年1月8日
(45)【発行日】2020年2月12日
(54)【発明の名称】釣用仕掛け
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/18 20060101AFI20200130BHJP
   A01K 85/00 20060101ALI20200130BHJP
【FI】
   A01K85/18
   A01K85/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-169381(P2016-169381)
(22)【出願日】2016年8月31日
(65)【公開番号】特開2018-33364(P2018-33364A)
(43)【公開日】2018年3月8日
【審査請求日】2018年9月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002495
【氏名又は名称】グローブライド株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097559
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 浩司
(74)【代理人】
【識別番号】100123674
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 亮
(72)【発明者】
【氏名】古谷 英之
【審査官】 竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−033058(JP,A)
【文献】 特開平07−203815(JP,A)
【文献】 特開平11−318278(JP,A)
【文献】 特開2013−085525(JP,A)
【文献】 特開2008−113582(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0174350(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 85/00 − 85/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに着脱自在に接続される第1の仕掛け部材と第2の仕掛け部材とを含む釣用仕掛けであって、
前記第1の仕掛け部材は、先端開口面を有する筒状を成すとともに、前記第2の仕掛け部材を挿通可能な内孔を有し、
前記第2の仕掛け部材は、その外面上に係止突起を有するとともに、前記第1の仕掛け部材の前記内孔に挿通されたその接続状態において、前記第1の仕掛け部材からの離脱が可能な第1の回転位置と、前記第1の仕掛け部材からの離脱が規制される第2の回転位置との間で回転可能であり、
前記第1の仕掛け部材は、前記第2の仕掛け部材が前記第1の回転位置にあるときに前記係止突起が前記第1の仕掛け部材の前記内孔に位置してその内周面に対向するとともに前記第2の仕掛け部材が前記第2の回転位置にあるときに前記係止突起が前記内孔から離脱して前記第1の仕掛け部材の前記先端開口面に係止可能となるように前記先端開口面が形成されることを特徴とする釣用仕掛け。
【請求項2】
前記第1の仕掛け部材の前記先端開口面は、前記第1の仕掛け部材がその軸方向で先細るように傾斜面として形成されることを特徴とする請求項に記載の釣用仕掛け。
【請求項3】
前記第1の仕掛け部材の前記先端開口面は、前記傾斜面から径方向に延在して前記第2の回転位置にある前記第2の仕掛け部材の前記係止突起と係止する係止面を有することを特徴とする請求項に記載の釣用仕掛け。
【請求項4】
前記第1の仕掛け部材の前記先端開口面は、前記第2の回転位置が複数存在するように形成されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の釣用仕掛け。
【請求項5】
互いに着脱自在に接続される第1の仕掛け部材と第2の仕掛け部材とを含む釣用仕掛けであって、
前記第1の仕掛け部材は、前記第2の仕掛け部材を挿通可能な内孔を有し、
前記第2の仕掛け部材は、前記第1の仕掛け部材の前記内孔に挿通されたその接続状態において、前記第1の仕掛け部材からの離脱が可能な第1の回転位置と、前記第1の仕掛け部材からの離脱が規制される第2の回転位置との間で回転可能であり、
前記第1の仕掛け部材は、前記内孔に対する前記第2の仕掛け部材の着脱に伴って前記内孔の内径寸法が変化可能であることを特徴とする釣用仕掛け。
【請求項6】
互いに着脱自在に接続される第1の仕掛け部材と第2の仕掛け部材とを含む釣用仕掛けであって、
前記第1の仕掛け部材は、前記第2の仕掛け部材を挿通可能な内孔を有し、
前記第2の仕掛け部材は、前記第1の仕掛け部材の前記内孔に挿通されたその接続状態において、前記第1の仕掛け部材からの離脱が可能な第1の回転位置と、前記第1の仕掛け部材からの離脱が規制される第2の回転位置との間で回転可能であり、
前記第1の仕掛け部材は、長尺な複数の装飾部材を束ねるチューブ内に嵌め付けられて前記装飾部材を前記チューブに対して位置ずれしないように保持する管状の保持部材であり、前記第2の仕掛け部材は、釣糸が接続される接続部を有するとともに、釣針を有するフックアセンブリの一部を構成する接続具であることを特徴とする釣用仕掛け。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣用仕掛けに関し、特に、仕掛け部材同士の接続形態に特徴を有する釣用仕掛けに関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、釣用仕掛けは、従来から多種多様なものが存在する。そのような釣用仕掛けでは、それを構成する仕掛け部材同士の接続を要する場合も多い。例えば、鯛釣りでは、鯛ラバと呼ばれる疑似餌を伴う仕掛けが知られており(例えば、特許文献1参照)、また、そのような鯛ラバなどの疑似餌仕掛け(いわゆるラバージグ)は、一般に、金属製のジグヘッドと、ゴムやシリコン等により形成されるスカート(複数本のラバーにより形成される)と、例えばスカートと同様な素材により形成されるとともにスカートを形成する各ラバーよりも幅広なネクタイと、複数の釣針にアシストラインを結び付けて成るフックアセンブリとを備えて成る。
【0003】
そして、そのようなラバージグ仕掛けの一形態として、例えば、ジグヘッドに通された釣糸をフックアセンブリの接続具に接続するとともに、スカート及びネクタイを束ねる例えばシリコン製のチューブ内に前記接続具を圧入接続することによって構成されるものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−60866号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前述したラバージグ仕掛けは、細かいパーツ(仕掛け部材)を細かい作業によって組み合わせて成るものであるため、スカート(複数本のラバー)及びネクタイを束ねるチューブ内にフックアセンブリの接続具を圧入接続する作業が非常にやり難く、また、その圧入接続も不十分であれば外れ易い。
【0006】
また、このような問題は、ラバージグ仕掛けに限らず、細かい仕掛け部材を細かい作業によって組み合わせて成る様々な釣用仕掛けにおいて生じ得る。したがって、特にこの種の釣用仕掛けにおいては、仕掛け部材同士を簡単な作業で容易に着脱できるとともにその接続状態を確実に保持できるように仕掛け部材同士の接続形態を改善することが望まれる。
【0007】
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、仕掛け部材同士を容易に着脱できるとともに仕掛け部材同士の接続状態を確実に保持できる釣用仕掛けを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明は、互いに着脱自在に接続される第1の仕掛け部材と第2の仕掛け部材とを含む釣用仕掛けであって、前記第1の仕掛け部材は、先端開口面を有する筒状を成すとともに、前記第2の仕掛け部材を挿通可能な内孔を有し、前記第2の仕掛け部材は、その外面上に係止突起を有するとともに、前記第1の仕掛け部材の前記内孔に挿通されたその接続状態において、前記第1の仕掛け部材からの離脱が可能な第1の回転位置と、前記第1の仕掛け部材からの離脱が規制される第2の回転位置との間で回転可能であり、前記第1の仕掛け部材は、前記第2の仕掛け部材が前記第1の回転位置にあるときに前記係止突起が前記第1の仕掛け部材の前記内孔に位置してその内周面に対向するとともに前記第2の仕掛け部材が前記第2の回転位置にあるときに前記係止突起が前記内孔から離脱して前記第1の仕掛け部材の前記先端開口面に係止可能となるように前記先端開口面が形成されることを特徴とする。
また、本発明は、互いに着脱自在に接続される第1の仕掛け部材と第2の仕掛け部材とを含む釣用仕掛けであって、前記第1の仕掛け部材は、前記第2の仕掛け部材を挿通可能な内孔を有し、前記第2の仕掛け部材は、前記第1の仕掛け部材の前記内孔に挿通されたその接続状態において、前記第1の仕掛け部材からの離脱が可能な第1の回転位置と、前記第1の仕掛け部材からの離脱が規制される第2の回転位置との間で回転可能であり、前記第1の仕掛け部材は、前記内孔に対する前記第2の仕掛け部材の着脱に伴って前記内孔の内径寸法が変化可能であることを特徴とする。
更に、本発明は、互いに着脱自在に接続される第1の仕掛け部材と第2の仕掛け部材とを含む釣用仕掛けであって、前記第1の仕掛け部材は、前記第2の仕掛け部材を挿通可能な内孔を有し、前記第2の仕掛け部材は、前記第1の仕掛け部材の前記内孔に挿通されたその接続状態において、前記第1の仕掛け部材からの離脱が可能な第1の回転位置と、前記第1の仕掛け部材からの離脱が規制される第2の回転位置との間で回転可能であり、前記第1の仕掛け部材は、長尺な複数の装飾部材を束ねるチューブ内に嵌め付けられて前記装飾部材を前記チューブに対して位置ずれしないように保持する管状の保持部材であり、前記第2の仕掛け部材は、釣糸が接続される接続部を有するとともに、釣針を有するフックアセンブリの一部を構成する接続具であることを特徴とする。
【0009】
このように、上記構成では、第1の仕掛け部材の内孔に第2の仕掛け部材を挿通して接続し、その接続状態で第2の仕掛け部材を必要に応じて(既にその接続状態で第2の回転位置にある場合には、回転操作は不要)第1の仕掛け部材に対して第2の回転位置へと回転させるだけで、第1の仕掛け部材からの第2の仕掛け部材の離脱が規制され、一方、その規制状態から第2の仕掛け部材を第1の仕掛け部材に対して第1の回転位置へと回転させるだけで、第1の仕掛け部材から第2の仕掛け部材を抜去して離脱させることができる。すなわち、挿脱操作及び回転操作という簡単な操作のみで仕掛け部材同士を容易に着脱できるとともに、仕掛け部材同士の接続状態を確実に保持できる。そのため、細かい仕掛け部材を細かい作業によって組み合わせて成る様々な釣用仕掛けにおいて、特に有益であり、その着脱作業が非常にやり易い。
【0010】
なお、上記構成において、第1の回転位置は1つの位置に限らない。例えば、第1の回転位置で接続具が保持部材に対して更に相対的に回転してもその回転された位置で第1の仕掛け部材からの第2の仕掛け部材の離脱が可能でありさえすれば、その回転した角度範囲内の任意の位置が第1の回転位置となる。同様に、第2の回転位置も1つの位置に限らない。例えば、第2の回転位置で接続具が保持部材に対して更に相対的に回転してもその回転された位置で第1の仕掛け部材からの第2の仕掛け部材の離脱が規制されれば、その回転した角度範囲内の任意の位置が第2の回転位置となる。すなわち、上記構成において、「第1の回転位置」は、第1の仕掛け部材からの第2の仕掛け部材の離脱を可能にする所定の回転角度範囲内の任意の位置も含み、また、「第2の回転位置」は、第1の仕掛け部材からの第2の仕掛け部材の離脱を規制する所定の回転角度範囲内の任意の位置も含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、仕掛け部材同士を容易に着脱できるとともに仕掛け部材同士の接続状態を確実に保持できる釣用仕掛けが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る接続構造を含む釣用仕掛けの一例を示す概略図である。
図2】装飾部材を束ねるチューブに保持部材が嵌め付けられた状態を示す図1の釣用仕掛けの一部の概念的な側面図である。
図3】装飾部材を束ねるチューブに保持部材が嵌め付けられた状態を示す概念的な斜視図である。
図4図1の釣用仕掛けの接続構造を構成する保持部材(第1の仕掛け部材)と接続具(第2の仕掛け部材)とを接続させた状態を示す斜視図(接続具が第2の回転位置に位置される)である。
図5図4の接続構造の側断面図であり、(a)は接続具が第1の回転位置にある状態を示し、(b)は接続具が第2の回転位置にある状態を示す。
図6図4の接続構造の第1の変形例を示し、(a)は側面図、(b)は斜視図である(いずれも接続具が第2の回転位置に位置される)。
図7図4の接続構造の第2の変形例を示し、(a)は接続構造の一方を構成する保持部材の斜視図、(b)は、保持部材と接続具とを接続させた状態を示す斜視図である。
図8図4の接続構造の第3の変形例を示し、(a)は側断面図、(b)は斜視図である(いずれも接続具が第2の回転位置に位置される)。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る釣用仕掛け及びその接続構造について具体的に説明する。
図1には、本発明の一実施形態に係る接続構造100を含む釣用仕掛け1の一例の全体図が示されている。この実施形態に係る釣用仕掛け1は、例えば図示しない金属製のジグヘッドと共に鯛ラバ(ラバージグ)を形成することもでき、その主要な構成要素として、図示のように、長尺な複数の装飾部材10a,10b、例えば、ゴムやシリコン等により形成されるスカート(このスカートは、複数本のラバー10aにより形成される)、及び、例えばスカートと同様な素材により形成されるとともにスカートを形成する各ラバー10aよりも幅広なネクタイ10bを有するとともに、これらのスカートのラバー10a及びネクタイ10bをそれらの長手方向中心付近で束ねる例えばシリコン製の結束チューブ(以下、単にチューブという)7と、チューブ7内に嵌め付けられて装飾部材10a,10bをチューブ7に対して位置ずれしないように保持する第1の仕掛け部材としての管状の保持部材3と、フックアセンブリ5とを有する。
【0015】
フックアセンブリ5は、釣糸19が接続可能な第2の仕掛け部材としての接続具9を有するとともに、この接続具9及び複数の釣針13にアシストライン12を結び付けて成る。接続具9は、保持部材3に対して着脱自在に接続され、保持部材3と共に釣用仕掛け1の本発明に係る接続構造100を構成する。なお、図示のようにフックアセンブリ5の釣針13に疑似餌又は更なる装飾部材14が取り付けられてもよい。
【0016】
そして、このような構成を成す釣用仕掛け1は、例えば、図示しない前記ジグヘッドに通された釣糸19をフックアセンブリ5の接続具9に接続するとともに、スカートのラバー10a及びネクタイ10bをそれらの長手方向中心付近で束ねるチューブ7内に嵌め付けられた保持部材3の内孔3c(図2参照)に接続具9を釣糸19と共に図1に矢印で示されるように通して着脱自在に取り付けることによって組み付けられる。
【0017】
ここで、図2に明確に示されるように、スカートのラバー10a及びネクタイ10bを束ねるチューブ7は円筒状を成している。また、保持部材3は、管状を成しており、チューブ7内に嵌め付けられることによりスカートのラバー10a及びネクタイ10bをチューブ7に対して位置ずれしないように保持する。特に、本実施形態において、保持部材3は、チューブ7内に圧入されることにより、特に図3に明確に示されるようにその外面とチューブ7の内面との間でスカートのラバー10a及びネクタイ10bを挟持する。なお、図2は、スカートのラバー10a及びネクタイ10bをその幅寸法が差別化されることなく概略的にしか示しておらず、また、図3は、保持部材3の形態を概略的にしか示していない。
【0018】
具体的に、保持部材3は、図2に明確に示されるように、内孔3cを有する管状体として形成されており、チューブ7内に挿通される筒状の本体部3aを有する。この本体部3aは、チューブ7への挿通を容易にするべくその先端開口面3dが先細り状の傾斜面として形成されており、また、本体部3aをチューブ7内に所定量挿入した状態でチューブ7の基端面に当接することによりチューブ7内への本体部3aの挿入量を規定(規制)する環状のフランジ部3bを基端に有する。
【0019】
また、フックアセンブリ5の接続具9は、図4に明確に示されるように、釣針13に結び付けられるアシストライン12(図1も参照)を接続するための接続孔9bを有する大径の(例えば砲弾形状を成す)頭部9aを備える。また、この頭部9aからは保持部材3の内孔3cに挿通可能な小径(本実施形態では、保持部材3の内孔3cの内径とほぼ等しい外径寸法を有するが、そうでなくても構わない)の挿通部9cが例えば先細り形状を成して延びており、それにより、頭部9aと挿通部9cとの間には、挿通部9cを保持部材3の内孔3cに所定量挿入した状態で保持部材3のフランジ部3bに当接して保持部材3内への挿通部9cの挿入量を規定(規制)する段差状の環状端面9fが形成される。また、挿通部9cの先端には、釣糸19(図1も参照)を接続するための接続孔(接続部)9dが設けられる。
【0020】
なお、本実施形態において、接続具9の挿通部9cは、先細り形状に形成されているが、後述するように保持部材3の内孔3cに対する接続具9の着脱に伴って内孔3cの内径寸法が変化可能であるため、後述する係止突起の形成形態に応じて円柱状を成していても構わない。
【0021】
前述したように、本実施形態において、保持部材3は、その内孔3cに対する接続具9の着脱に伴ってその内径寸法が変わることができるようになっている。そのような内径可変性は、例えば保持部材3の材料特性によって実現されてもよい。その場合、チューブ7、保持部材3、及び、接続具9のそれぞれに関して異なる素材を組み合わせ、例えば、保持部材3の硬度及び/又は伸縮性をチューブ7及び/又は接続具9のそれに対して異ならせてもよい。具体的には、保持部材3の硬度を接続具9のそれ以下とし且つチューブ7のそれよりも高く設定する。或いは、保持部材3の伸縮性を接続具9のそれよりも高く且つチューブ7のそれよりも低く設定する。そのような素材の組み合わせとしては、例えば、チューブ7として、シリコン、天然ゴム、合成ゴム、エラストマーを挙げることができ、保持部材3として、PS、PE、EVA、PAなどの合成樹脂を挙げることができ、また、接続具9など、保持部材3に対して着脱自在に取り付けられる他の仕掛け部材の接続具として、シリコン、天然ゴム、合成ゴム、エラストマーを挙げることができる。また、保持部材3の内径可変性は、このように素材の材料特性によって実現されてもよいが、例えば保持部材にスリットを設けるなどして、機械的な手段により実現されてもよい。
【0022】
また、本実施形態に係る釣用仕掛け1は、保持部材3と接続具9との着脱を容易にするとともに保持部材3と接続具9との接続状態を確実に保持できる接続構造100を特徴とする。すなわち、この接続構造100において、第2の仕掛け部材としての接続具9は、第1の仕掛け部材としての保持部材3の内孔3cに挿通されたその接続状態において、保持部材3からの離脱が可能な図5の(a)に示される第1の回転位置と、保持部材3からの離脱が規制される図5の(b)に示される第2の回転位置との間で回転できるようになっている(図5の矢印参照)。
【0023】
具体的には、接続具9は、その挿通部9cの外面上に例えば半球面状の係止突起9eを有するとともに、保持部材3は、接続具3が第1の回転位置(図5の(a)の位置)にあるときに係止突起9eが保持部材3の内孔3cに位置してその内周面に対向する(例えば摺動自在に点接触(又は圧接)する)とともに接続具3が第2の回転位置(図5の(b)の位置)にあるときに係止突起9eが内孔3cから離脱して保持部材3の先端開口面3dに係止可能となるように先端開口面3dが形成されている。このような保持部材3と接続具9との回転に伴う相対位置関係を実現し得る先端開口面3dの形態は、例えば、図4及び図5に示されるべく保持部材3がその軸方向で先細るように保持部材3の先端開口面3dを傾斜面として形成することにより実現できる。この場合、先端開口面3dの傾斜角度は、例えば、接続具9に対する係止突起9eの形成位置に応じて決まる。
【0024】
なお、図5に示される形態では、接続具9が第2の回転位置(図5の(b)の位置)にあるときに、係止突起9eが先端開口面3dに係止せず、この第2の回転位置で接続具9を保持部材3から引き抜こうとしたときに係止突起9eが先端開口面3dに係止してその引き抜き動作を阻止するようになっているが、接続具9が第2の回転位置にあるときに係止突起9eが既に先端開口面3dに係止するようになっていてもよい。
【0025】
したがって、以上の構成によれば、接続具9を保持部材3の内孔3cに挿入していくと、接続具9の環状端面9fが保持部材3のフランジ部3bに当接した時点で、保持部材3の内孔3cへの接続具9のそれ以上の挿入が規制され、完全接続状態となる(図4及び図5の状態)。なお、この挿入過程では、前述したように保持部材3の内径が可変であるため、本実施形態のように挿通部9cの外径が保持部材3の内孔3cの内径とほぼ等しければ、図5の(a)に示されるように係止突起9eが保持部材3を弾性的に拡径させるとともに、保持部材3の内周面と係止突起9eとが点接触するため、保持部材3の内孔3cへの接続具9の挿入を小さな摩擦力(操作力)で容易に且つスムーズに行なえる。
【0026】
また、この完全接続状態で既に接続具9が第2の回転位置(図5の(b)の位置)にあれば、この位置で保持部材3からの接続具9の離脱が既に規制され得るため、保持部材3と接続具9との接続状態を確実に保持できる。しかしながら、接続具9の環状端面9fが保持部材3のフランジ部3bに当接した状態で接続具9が図5の(a)に示される第1の回転位置にある場合には、この位置から図5の(b)に示される第2の回転位置へと接続具9を保持部材3に対して回転させる(この回転操作も、保持部材3の内周面と係止突起9eとが点接触するため、小さな摩擦力(操作力)で容易に行なえる)。この第2の回転位置では、係止突起9eが先端開口面3dと係止することができ、その係止状態では保持部材3からの接続具9の離脱が規制されて、保持部材3と接続具9との接続状態を確実に保持できる。
【0027】
一方、保持部材3から接続具9を外す場合には、図5の(b)に示される第2の回転位置から図5の(a)に示される第1の回転位置へと接続具9を保持部材3に対して回転させ、その第1の回転位置で接続具9を保持部材3に対して軸方向に移動させて引き抜けばよい。特に、本実施形態では、係止突起9eが半球面状を成すとともに、保持部材3の先端開口面3dがテーパ状を成すため、係止突起9eは、保持部材3の内孔3cから離脱された第2の回転位置から内孔3cに入り込む第1の回転位置へと向かう移行動作をスムーズに行なうことができ、また、内孔3c内での係止突起9eの回転移動も、保持部材3の内周面と係止突起9eとの点接触に起因して滑らかに行なえる。そして、第1の回転位置でも、接続具9の係止突起9eが保持部材3の内孔3cの内側に位置してその内周面に点接触状態で対向するため、何の障害もなく係止突起9eを内孔3cの内周面に沿って摺動させて接続具9を保持部材3から容易に抜去できる。
【0028】
以上説明したように、本実施形態では、保持部材3の内孔3cに接続具9を挿通して接続し、その接続状態で接続具9を必要に応じて(既にその接続状態で第2の回転位置にある場合には、回転操作は不要)保持部材3に対して第2の回転位置へと回転させるだけで、保持部材3からの接続具9の離脱が規制され、一方、その規制状態から接続具9を保持部材3に対して第1の回転位置へと回転させるだけで、保持部材3から接続具9を抜去して離脱させることができる。すなわち、挿脱操作及び回転操作という簡単な操作のみで保持部材3と接続具9とを容易に着脱できるとともに、これらの仕掛け部材3,9同士の接続状態を確実に保持できる。そのため、本実施形態の接続構造100は、細かい仕掛け部材を細かい作業によって組み合わせて成る様々な釣用仕掛けにおいて、特に有益であり、その着脱作業が非常にやり易い。
【0029】
また、本実施形態において、第1の回転位置では、係止突起9eと保持部材3の内周面との点接触に起因して、保持部材3に対する接続具9の挿脱動作及び第1の回転位置と第2の回転位置との間の回転動作を小さな摩擦力(操作力)で容易に且つスムーズに行なえる一方、第2の回転位置では、係止突起9eが内孔3cから離脱することに起因して、係止突起9eと保持部材3の内周面との点接触から面接触へと移行し、広い接触面積により保持部材3に対して接続具9を保持することができ、係止突起9eと先端開口面3dとの係止状態に加えてその大きな接触力により保持部材3による接続具9の保持力を高めることができる。すなわち、本実施形態は、保持部材3と接続具9との接触面積を第1の回転位置と第2の回転位置とで異ならせることにより、仕掛け部材(保持部材3、接続具9)同士の容易な着脱、及び、仕掛け部材(保持部材3、接続具9)同士の接続状態の確実な保持の両方を実現可能にし得る。
【0030】
図6は、接続構造100の第1の変形例を示す。この第1の変形例に係る接続構造100Aにおいて、保持部材3の先端開口面3dは、保持部材3がその軸方向で先細るように傾斜する図5に示される傾斜面と同じ形態を成す傾斜面3daと、この傾斜面3daから保持部材3の径方向に延在する係止面(径方向に沿う平面内で延びる面)3dbとを有する。この場合、係止面3dbは、第2の回転位置にある接続具9の係止突起9eと直接に係止する(図6の(a)(b)参照)ように係止突起9eの形成位置に対応する位置で傾斜面3daから径方向に延びる。
【0031】
図5の接続構造形態では、接続具9が第2の回転位置にあるときでも、保持部材3の先端開口面3dの連続した先細り傾斜面形状に起因して、接続具9が第2の回転位置で保持部材3に対して相対的に回転すると、接続具9が保持部材3に対して軸方向で若干ガタつくが、図6の接続構造形態のように径方向に延びる係止面3dbを設け、この係止面3dbにより接続具9の第2の回転位置を規定すると、接続具9が第2の回転位置で保持部材3に対して相対的に回転しても、接続具9が保持部材3に対して軸方向でガタつかない。
【0032】
図7は、接続構造100の第2の変形例を示す。この第2の変形例に係る接続構造100Bにおいて、保持部材3の先端開口面3dは、第2の回転位置が複数存在するように形成される。具体的には、保持部材3の先端開口面3dは、図5の接続構造形態における先細り傾斜面が保持部材3の中心軸に対して左右(又は上下)対称に対向配置された形態を成す。したがって、それぞれの第2の回転位置では2つの先細り傾斜面の移行部としての2つの凹部3dcが形成される。
【0033】
これらの凹部3dcは、図6に示されるような係止面3dbとして形成されてもよい。これらの凹部3dcも、係止面3dbと同様、係止突起9eの形成位置に対応する位置に設けられ、接続具9の第2の回転位置をガタつきなく規定する。なお、第2の回転位置は2つに限らない。3つ以上設けられてもよく、その場合には、3つ以上の先細り傾斜面が周方向に沿って連続的に或いは断続的に配置され、それに伴って傾斜面の移行部としての凹部3dc(すなわち、第2の回転位置)が3つ以上設けられる。
【0034】
図8は、接続構造100の第3の変形例を示す。この第3の変形例に係る接続構造100Cにおいて、保持部材3は、接続具9の挿通部9cの先細り形状に対して相補的な先細り形状の内孔3cを有する先細り形状の本体部3aを有するとともに、第2の回転位置にある接続具9の係止突起9eが係止する係止凹部90をその内周面に有する。この係止凹部90は、係止突起9eの形成位置に対応する位置で周方向に所定の長さにわたって延びる円弧状の長穴として形成され、接続具9の第2の回転位置をガタつきなく規定する。なお、係止凹部90は、図示のように貫通穴であってもよいが、保持部材3を貫通しない陥凹溝として形成されても構わない。また、この第3の変形例では、第2の回転位置を規定する係止凹部90が設けられるため、保持部材3の先端開口面3dは、径方向に沿う平面内で延びる垂直端面として形成される。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、前述した実施形態では、本発明が鯛ラバなどのラバージグに適用されたが、本発明は、そのようなラバージグに限らず、仕掛け部材同士を接続して成る様々な釣用仕掛けにおいて適用できる。したがって、本発明の釣用仕掛けの接続構造の構成要素も前述した保持部材や接続具に限定されない。
【符号の説明】
【0036】
1 釣用仕掛け
3 保持部材(第1の仕掛け部材)
3c 内孔
3d 先端開口面
3da 傾斜面
3db 係止面
5 フックアセンブリ
7 チューブ
9 接続具(第2の仕掛け部材)
9e 係止突起
10a スカートを形成するラバー(長尺な装飾部材)
10b ネクタイ(長尺な装飾部材)
13 釣針
19 釣糸
90 係止凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8