(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記二種の異なる材料が充填された後で前記フレキシブルバッグを取り出すように構成されている包装ステーションであって、前記単一の格納環境内に設置される包装ステーション、
をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
前記充填ステーションが、前記第2の軸周りの前記フレキシブルバッグの回転に先立って前記フレキシブルバッグの第1部分に第1流体を充填して、前記第2の軸周りの前記フレキシブルバッグの回転後に前記第1流体と異なる第2流体と粉末のうち少なくとも一方を前記フレキシブルバッグの第2部分に充填するように構成されている、
請求項1に記載のシステム。
自動化機械構造のみを使用して、フレキシブルバッグ製作ステーションから前記電子ビーム殺菌ステーションへ直接的に、そして充填ステーションへ直接的に、前記フレキシブルバッグを搬送すること、
をさらに含む、請求項7に記載の方法。
前記フレキシブル容器製造ステーションと前記電子ビーム殺菌ステーションと前記充填ステーションと前記第1コンベヤと前記第2コンベヤとがすべて、同じ単一の無菌環境筐体内に設置される、
請求項14に記載のシステム。
前記キャリア器具は、前記電子ビーム殺菌ステーション内を移動する際に前記フレキシブル容器を保持するとともに、前記フレキシブル容器を回転させて、前記電子ビーム殺菌ステーションに設置された電子ビーム発生器に前記フレキシブル容器の少なくとも二つの両側面が露出されるように構成されている、請求項14に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
上述のように、開示される主題は、医療用溶液などの物質の保管および投与のためのフレキシブル容器を製造するシステムおよび方法を提供する。フレキシブル容器の定義は、通常の重力を受けると本来の形状を維持するように構成されていないフレキシブルバッグ、従来のIVバッグ、薬剤溶液バッグ、そして、譲受人を同じくする米国特許番号第5,944,709号、第6,198,106号、第6,165,161号、第6,203,535号、第5,910,138号、第5,928,213号、第6,468,377号、第6,117,123号、第6,846,305号、第6,764,567号、および第6,966,951号に記載されている容器を限定的ではなく含み、これら特許は参照によりその全体が取り入れられる。本件出願全体で記載される容器は、フレキシブル容器またはバッグとして記されるが、人や動物などによる消費または使用を想定したものであってもなくても、流体、固体、ゼラチン状物質、粉末、ガス状物質、および液体を格納可能な何らかの容器を有することも、容器について開示される主題の範囲に含まれる。
【0010】
フレキシブル容器は、少なくとも一つのピーラブルシールにより隔離される複数、例えば2、3、またはそれ以上の室に区分化されるか仕切られうる。上述した米国特許に記載されているように、様々な室の間での内容物の混合を促進するように、ピーラブルシールは破断可能である。例えば、ピーラブルシールを破断すると、環境への露出や人による接触を伴わずに室の内容物が安全に混合する。ある室が他の室より大きくても、各室が等しいか実質上は同様の寸法または容積のものであってもよい。大きい室でありうる第1室は希釈液を格納するのに対して、他の室は、乾燥粉末か液体のいずれかでありうる医薬品有効成分(API)および/または薬剤を格納しうる。別の室は空であって、薬品を送達セットポートから隔離する緩衝空間または領域を画定または形成しうる。
【0011】
一次ピーラブルシールを破断すると、API格納室の内容物が希釈剤室の溶液と混合される。完全混合が行われた後に、二次ピーラブルシールが破断されて、混合溶液が送達セットポートを介して患者や他の受容対象者へ送達される。一次ピーラブルシールの破断閾値は二次ピーラブルシールの破断閾値よりも小さいか低いため、一次ピーラブルシールは二次ピーラブルシールよりも前に破断し、こうして緩衝室および送達セットポートを通過する前にAPIおよび希釈剤格納室の内容物が混合される。容器の設計は、容器の内容物全体がすっかり混合されるまで送達セットポートを通る溶液または粉末の送達を禁止するか少なくとも実質上は防止することにより、薬品と希釈剤とを別々に調合することに関連する投薬過誤ミスを減少させる。加えて、開示されるフレキシブルバッグの製造方法は、無菌条件を維持するのに付加的な構造および時間要件を必要とするとともに汚染リスクが追加されるフレキシブルバッグの製造および充填中の別々の移送プロセスを回避する。(汚染されているかもしれない)環境条件への露出の可能性を有するプロセスの回避は、薬局環境内で薬品混合物を調合する時に望ましい。フレキシブルバッグを製造するためのこのプロセスは、同じ被制御環境内で全体が実施され、プロセス部分の間で別々の移送容器が設けられる環境の制御を必要としない。
【0012】
フレキシブル容器は、API室を被覆する任意のバリヤ層を備える透明なフレキシブルプラスチックフィルムから形成されうる。バリヤ層はアルミ箔ラミネートまたは他の不透明ラミネートや材料でありうる。任意のバリヤ層は、さもなければAPI室に格納される原薬に負の影響を与えうる光、酸素、および水分に対するバリヤとなりうる。
【0013】
開示されるプロセスは、APIおよび希釈剤室の容積増加を含めて、容器サイズに高いフレキシビリティを付与するとともに、製造時間およびコストを削減する。基準点として、上述の特許に記載されたフレキシブル容器では、50mLの希釈剤を格納する希釈剤室と4.0gまでの粉末薬品またはAPIを格納するAPI室とが設けられることに言及しておく。
【0014】
フレキシブル容器を製造するための開示のプロセスは、例えば250mL以上の希釈剤と、8.0g以上など広範囲のAPI重量/容積とを格納する単なる例としての希釈剤室など、容器サイズの増加と室容積の増大とを可能にする。開示のプロセスにより形成されるAPI室が、液体、ゲル、粉末、カプセル、粒体等など様々な種類および形状のAPIを格納しうることに言及すべきである。開示のプロセスから形成されうる大型のフレキシブル容器は希釈剤室の充填容積と、従来方式で製造された小型容器では可能でない付加的な種類の薬品のためのAPI室の充填容積/重量とに対応する。開示される製造プロセスは、ポーチの上端部および底端部に画定される開口部を介してポーチとしての容器を連続的に操作できる。プロセス廃棄物および製造コストを軽減しながら無菌条件をより容易に保証できる完全一体型無菌製造プロセスで、フレキシブル容器が連続的に形成、殺菌、充填、および密封されうる。
【0015】
開示されるフレキシブル容器の実施形態では、丈夫なシールを提供可能な多様な材料の使用とともに、予想貯蔵期間にわたって最終製品を保護する機能とが考慮されている。一次フィルム材料は、PET60/40 6ミル、Excel 80/20 8ミル、PET/SiOx/80/20 6ミル、PET/80/20 6ミル、これらの組み合わせ等を限定的でなく含む様々なポリマー物質を含む。幾つかの実施形態では、酸化ケイ素(SiOx)バリヤがフィルム構造に追加されうる。
【0016】
従来のフレキシブルキャリアでは、希釈剤室およびAPI室のための光に対するバリヤとして後面または背面に、またおそらくはAPI室のみのための光に対するバリヤとして前面に、アルミ箔バリヤ層が設けられる。開示されるプロセスにより製造されるフレキシブル容器の実施形態では、格納される有効成分に必要とされるバリヤを水分、酸素、および光に対して設けるため、API室の側面および表面の両方にアルミ箔バリヤが設けられうる。また、活性化および使用の前および/または間に視覚的欠陥に対しAPI室の内容物の目視検査の機会を設けるように、フレキシブル容器の前面または表面のアルミニウムバリヤはピーラブルである。
【0017】
開示されるフレキシブル容器は、80/20 PP/Kraton材料組成を有するセットポートを有しうる。この組成は、過剰なスパイク挿入力により生じうる損傷を防止する。この材料はまた、溶着プロセス中にセットポートを支持するのにマンドレルを使用する必要性を回避する。セットポートが密封プロセス中にその形状を単独で維持すると有利であるため、フレキシブル容器プロセスを充填するための開示のプロセスは、密封プロセス中のマンドレルの使用を必要としない。80/20 PP/Kraton混合物の使用により、セットポートが圧力下でその形状を維持することを可能にするが許容スパイク挿入力を高める硬質の完成品が得られる。
【0018】
開示される主題は、例えば1枚のラベルにつき8色に対応可能な事前印刷ラベルストックを使用することを含む無菌後の印刷貼付プロセスを提供する実施形態も含む。ラベルには、所望する標準的な製品情報が事前印刷されうる。人可読および符号化ロット番号や消費期日など様々なデータが、例えばブラックTTRプリントヘッドを使用して事前印刷ラベルに直接的に印刷されうる。符号化データは、1−Dと2−Dの両方のバーコードフォーマットを含みうる。
【0019】
開示される実施形態により製造されるフレキシブル容器は、使用の時点まで希釈剤室をAPI室から隔離する一次ピーラブルシールの完全性も維持する。ピーラブルシールが輸送および通常操作のプロセス中に無損傷のままであることを保証するため、フレキシブル容器は一次ピーラブルシールで折り曲げられて固定される。フレキシブル容器の折り畳み構成を維持するため、二次感圧性粘着テープがフレキシブル容器に貼付されうる。粘着テープは、フレキシブル容器を折り畳み構成で固定し、エンドユーザが使用時に容器を広げることも可能にする。
【0020】
開示されるフレキシブル容器システムは、例えば50mL、100mL、250mL、500mL、またはそれ以上の希釈剤充填容積を有する容器を限定的でなく含む多様な容器サイズの生産を可能にする。
【0021】
開示されるフレキシブル容器は、活性化に先立って容器の希釈剤室とAPI室と前方緩衝室とを隔離できる一次および二次ピーラブルシールを有しうる。一実施形態において、ピーラブルシール幅は約4.0mmから約10.0mmまたはそれ以上でありうる。別の実施形態では、ピーラブルシール幅は約7.0mmである。
【0022】
開示されるフレキシブル容器は、予想される輸送条件すべてでフレキシブル容器を保護するようにして輸送用に構成されている。1ケース当たり24個の容器を保持することが想定される250mLの段ボールケースを限定的でなく含む、多様な段ボールケース構造がフレキシブル容器を格納するのに使用されうる。一実施形態では、段ボールにワックス層が追加される。このワックス層は、予想される輸送状態の間の一次容器の摩損および段ボール粉塵を最小にする。構造用のケースに中央H形デバイダが任意で追加されうる。
【0023】
図1および
図2は、ここで記載される例示的なシステムおよび方法を通して製造されうる例示的なフレキシブル容器を示す。
図1および
図2を参照すると、開示される主題により製作された例示的な容器10が示されている。容器10は説明目的でいかなる配向でも見ることができるが、容器の区画の相対的な位置は、フレキシブル容器の正面図を示す
図1と、
図1のフレキシブル容器の2−2線における側方断面図を示す
図2とを参照して記される。容器10は、概ね平面状の前面シート12と、反対側の概ね平面状の後面または背面シート14(
図2にのみ図示)とから形成されうる。前面および背面シート12,14は、フレキシブル材料の単一層またはフレキシブル材料の多層ラミネートで組み立てられうる。
【0024】
容器10を形成するシート12,14は別々に用意され、共通平面15(
図2)に沿って相互に対向して配置されうる。シート12,14はそれから、永久シールにより共通の周縁部16に沿って一緒に密封されうる。密封された共通周縁部16は容器10の全周に延在して第1室17を画定する。周縁シールは、構成および幅において変化しうる。例えば支持スタンドに容器が取り付けられるか、懸架されるか、その他の形で装着されることを可能にする開口部18が、容器10の上部表面に設けられうる。代替的に、前面および背面シート12,14が折り畳まれた単一のフィルムシートから形成されて、周知の、または今後開発される密封プロセスにより縁部が一緒に密封されてもよい。
【0025】
図1および2の例示的実施形態では、容器10が三つ別々の室である第1上方室17と第2中間室19と第3下方室20とに分割され、容器10の想定用途に応じてその各々が殺菌されうる。上方室および中間室17,19は第1ピーラブルシール25により互いに隔離されるのに対し、中間および下方室19,20は第2ピーラブルシール26により互いに隔離されている。開示される主題の他の実施形態では、上方室17と中間室19との間にのみピーラブルシールが設けられてもよい。これらの実施形態では、中間室19と下方室20との間のシールは、上方室および中間室17,19の内容物を下方室20へユーザが押入することにより生じる水圧力の印加によって破断可能である。
【0026】
「ピーラブル」シールは、この語がここで使用される際に、シールの破断と区画の内容物の非意図的な混合とを伴わずに容器の正常な取り扱いを可能にするのに充分な耐久性を備えるが、特定の操作で容易に破断して、容器を操作することにより印加される水圧力を受けるとシールの領域で前面シートを後面シートから分離することで容器内容物の混合および分与を可能にするシールである。前面および背面シートの隣接内面に存在するポリマー物質を一緒に部分的に溶融することにより、ピーラブルシールが形成されうる。例えば、以下でより詳しく説明されるように時間、温度、および圧力を変化させて熱および圧力が局所的エリアに印加される熱密封プロセスにより、シールが得られる。ピーラブルシールの破断は、環境への露出や人との接触を伴わずに室の内容物を安全に混合させうる。一つの室が他の室よりも広くても、各室が等しく、実質上は同様の寸法または容積のものであってもよいことが理解されるべきである。
【0027】
容器10の一用途において、上方区画17には希釈液が充填され、医薬品有効成分、あるいは、液体、ゲル、気体、または固体の形を含むいかなる形でも提供されユーザや患者による摂取が想定される栄養または補助成分などの薬剤が、中間区画19に充填される。下方区画20は、出口ポート30のための安全インタフェースとして機能し、容器の使用準備が整うまで空のままである。この実施形態では、上方室17は希釈液を格納するのに対して、中間室19は、薬剤、医薬品有効成分(API)、栄養成分、または他の補助成分を格納し、いずれも乾燥粉末、ゲル、固体、または液体のいずれかでありうる。
【0028】
図1および2の容器10を製作するための手順および装置について、
図3に関してこれから説明する。開示される装置と手順の両方は、単層または多層ラミネートフィルムを有する前面および背面シートを含む容器を製造するのに適するように改変される。また、容器シールの数、形状、構成、および位置は、
図3のコンポーネントのモジュール配置により変更されうることが理解されるべきである。
【0029】
図3は、様々なシール形成ステーション、一次フィルムウェブ供給ロール、電子ビーム照射ステーション、API装填ステーション等の構成および配置を示す、連続的インライン容器製作機械300またはシステムの例示的実施形態の半概略平面図である。
図3は、容器前面および背面シートのためのバルク材料を提供するバッグロールフィルムモジュール302を示す。一次バッグフィルムが生産ラインのバッグ形成部に装填されうるように、バッグロールフィルムモジュール302は容器製作機械300の導入端部に取り付けられる。フィルム装填動作は、残りのラインプロセスに従って、適宜自動化されうる。連続動作のためスプライス機構(不図示)が設けられ、適切なロール交換時間のため充分な蓄積フィルムが用意されうる。一次フィルムロールの適正な誘導および装填のための目視ガイド、指示、または直感的機械設計が使用されうる。ロールの操作および取り扱いに望ましいすべての機械的補助手段は、設備の正常な動作を妨害すべきでない。一次フィルムの張力およびトラッキングが制御および監視されうる。ウェブ破損または張力損失を限定的でなく含む、すべての適切なアラームが設けられうる。
【0030】
フィルム蓄積器304はバッグロールフィルムモジュール302からフィルムを受け取って、容器に成形される前にフィルムをクリーニングするクリーニングローラ306へフィルムを給送する。例えば、接触ウェブクリーナとイオン化空気供給源とが一次フィルム装填ステーションに保持されて、一次フィルムロールへの粒子蓄積が最小であるクリーン環境を維持する。ウェブクリーナは自動的に監視され、定期的な介入が望ましい(つまり粘着紙交換)時にオペレータに警告できる。
【0031】
製作機械300はさらに、生産ラインのバッグ形成部へ剥離箔が装填されるモジュール309を含みうる。モジュール309は、箔ロール310と、箔を所望の形状に切断するために設けられた回転ダイカッタ318へ箔を給送する蓄積器312とを含む。この段階で、ピーラブル箔は最終的な構成となるように細長く切断される/トリミングされるとともに、一次フィルムへの溶着のため搬送される。箔装填動作は、残りの生産ラインに従って適宜自動化されうる。連続動作のためにスプライス機構が設けられうる。充分な蓄積箔が用意されると、適切なロール交換時間を可能にする。一次フィルムロールの適正な誘導および装填のため、目視ガイド、指示、または直感的機械設計が使用されうる。モジュール309は、ピーラブル箔ロールがほぼ使い尽くされてオペレータ介入が望ましく実行される時に、オペレータに警告するためのコンポーネントも含みうる。ロールの操作および取り扱いに望ましいすべての機械的補助手段は、設備の正常動作を妨害しない。ピーラブル箔ロールの張力およびトラッキングが制御および監視されうる。ウェブ破損または張力損失を限定的でなく含むすべての適切なアラームが提供されうる。ピーラブル箔のトリミングおよび分離は、不適正な整合または不適正な最終トリムについて連続的に監視されうる。エラーまたは欠陥の修正動作を行うようにオペレータに即座に警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用されうる。トリミング動作は、特定物質(PM)発生を最小にしてPMが製品へ侵入するのを防止するように設計されうる。モジュール309は、自動的廃棄物除去システム320も含みうる。
【0032】
容器製作機械300は、一次フィルムを折り畳んで結果的にフレキシブル容器となるポーチを形成するフィルム折畳み器308も含みうる。代替例は、一次フィルムのロールを二つ使用してこれらを一緒にすることであり、整合を維持して詰まりを回避するための容易な方法となる。一次フィルムは一次ウェブの中心線で折り曲げられる。フィルム配向は常に適正に維持されるべきである。一実施形態において、対向するピーラブル箔ストリップが、一緒になった時に約±1.5mm以内の整合状態に維持される。過剰なフィルム「ウォーク」が監視されうる。視覚的および聴覚的アラームが配置されて、介入が望まれる時にオペレータに警告する。ウェブ破損、詰まり、張力の損失が監視されうる。適切なアラームが配置されて、介入が望まれる時にオペレータに警告する。
【0033】
トリムステーションおよび箔溶着器314も設けられうる。この段階で、トリミングされたピーラブル箔が一次フィルムウェブに密封される。ピーラブル箔は適正に整合されて一次フィルムに載せられる。オペレータ介入を必要とする整合問題についてオペレータに警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用されうる。ピーラブル箔溶着ツールの位置は調節可能であって、必要に応じて製品構成変更に対応する。温度、圧力、およびドエル時間など関連のプロセスパラメータすべてが連続的に監視され、手動により、またはCPU、PLC、その他などの制御装置により自動的に、このステーションで個別に制御される。仕様外のプロセスパラメータについてオペレータに警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用される。システムは、機械の停止および始動条件を補正して、一次容器へのピーラブル箔の溶着過剰や溶着不足を回避するように構成されうる。
【0034】
機械300は、一次ピーラブルシールステーション316も含みうる。このステーションで、機械300は、希釈剤と薬剤/API室との間に一次ピーラブルシールを自動的に形成するように構成されうる。一次フィルムは適正に整合されて、ピーラブルシールステーションに載せられる。ピーラブルシール工具は、例えば7mmの最小ピーラブルシール幅を提供できる。温度、圧力、およびドエル時間など関連のプロセスパラメータすべてが監視され、個別に制御されうる。仕様外のプロセスパラメータについてオペレータに警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用されうる。冷却ステーションが存在して、所望通りに監視されうる。
【0035】
機械300は、周囲シール(側部)溶着ステーション330も含みうる。このステーション330で、機械300は、各容器に側部周囲シールを自動的に形成する。一次フィルムが適正に整合されてピーラブルシールステーション316に置かれる。温度、圧力、およびドエル時間など関連のプロセスパラメータすべてが監視され、個別に制御されうる。仕様外のプロセスパラメータについてオペレータに警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用されうる。冷却ステーション332が存在して所望通りに監視されうる。冷却ステーションが使用される場合、凝結を回避するように設計されうる。
【0036】
機械はまた、打ち抜き加工ステーションと角部切断ステーションと側部切断ステーションとを含みうる切断ステーション322も含む。切断ステーション322は、容器の縁部を自動的にトリミングして容器の折り畳み側を開くように機能する。これらのステーションは、各フレキシブル容器の全長も決定しうる。異なるサイズの容器の各々について、トリムブレードの位置が適正にマーキングおよび設置される。熱ナイフが使用される場合には、すべての関連パラメータが監視されうる。このプロセスにより生じる潜在的な煙霧は、適正に抽出される。発生されるすべての廃棄物は、ステーション324で自動的に除去されうる。
【0037】
形成された容器はここで、電子ビーム殺菌ユニットへの移送のためのバッグ移送ステーション340へ入る。バッグ移送ステーション340は、個々の(一部組立)フレキシブル容器を電子ビームバッグキャリア342へ移送する。この機構は異なるサイズの容器の各々に対応できる。先行ステーションで適正に形成されていないすべてのバッグは、移送の前に不合格となる。バッグキャリア342は適正に配向され、上述したように、形成された容器を受け取るために開かれる。フレキシブル容器はキャリア機構に適正に配置され、移送プロセス全体で確実な配向が維持されうる。バッグキャリア342が適正に閉じられて、所望通りに係止されうる。
【0038】
キャリッジとも呼ばれるバッグキャリア342は、電子ビーム設備で処理される際に、形成された容器またはバッグを固定する。一実施形態において、キャリア342は、36m/分または毎分バッグ60個という同等の運転速度で、電子ビームプロセスにおいて形成容器を搬送する。一次フィルムへの露出過剰を最小にしながら形成バッグの多数の側面を殺菌放射に露出するため、キャリア342は、電子ビームプロセス中に180°(所望であればおそらくは360°以上も可能)回転するようにも構成されうる。この回転は、バッグの長さ軸線上で実施されうる。代替的に、シャトル機構341は電子ビームプロセス中にバッグを(所望であれば180°、360°、またはそれ以上)回転させるように構成されうる。一実施形態において、キャリア342は、電子ビーム処理のため容器が水平に(平坦に)取り付けられるように構成されうる。別の実施形態では、電子ビーム処理のためバッグが垂直に取り付けられるようにキャリア342が構成される。キャリアの様々な実施形態は、バッグの長手軸線を限定的でなく含むx、y、およびz軸線のいずれか一つまたはすべてを中心とする0から360度の回転を限定的でなく含む運動範囲にわたって移動するように構成されている。
【0039】
電子ビーム殺菌室およびプロセスについて、これから詳細に説明する。電子ビーム室は、最終的な充填および形成に先立って、および/または、薬剤/APIの装填のためのアイソレータネットワークへの参入に先立って、形成されたフレキシブル容器の殺菌を行う。すべての関連プロセスパラメータが監視されうる。仕様外のプロセスパラメータについてオペレータに警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用されうる。バッグキャリア342は、プロセス中に180度回転してフレキシブル容器の両側面を等しく露出させるように構成されうる。この逆転プロセスは、適正に監視されてフェイルセーフモードで作動する。確実に回転整合されていない容器は不合格となる。電子ビーム動作と一致するすべてのスパーク、アーク、電圧/電流スパイク、または他のプロセス異常が監視されて警告されうる。これらが生じると、そのサイクルにより影響を受けるすべての容器が適正に不合格とされる。プロセスの電子ビーム放射、X線副産物、およびオゾン副産物と関連するすべての安全予防策や機械保護手段が配置されるものとする。シールドは、放射漏れを防止するのに充分であるものとする。オゾン集塵装置が排気システムに使用されることが考えられる。システムは、通常生産中に電子ビームステーションの前でバッグのランダムサンプルを収集することを可能にする。この特徴は、システムに内蔵されている。収集されたバッグは、線量計認定検査の前に数日、線量計とともにオフラインに置かれる。バッグは、最新の生産運転で、所望であれば三つの別々のロットから製作されうる。システムは、電子ビームステーションの前に線量計装着バッグを装填して電子ビームで処理し、照射バッグを回収する機能を有するように構成されうる。これは、認定モードまたは手動モードとしてシステムに組み込まれうる。これは通常生産中には行われない。しかし、このステップが高速かつ簡易になるほど、生産への還元が迅速に行われる。クリーニングの後だが汚染除去に先立って、サンプリングが行われる。システムは、2kGyから60kGyの線量配分で検証運転を実施する機能を有する。線量配分は正確には±10%と1kGyのうち大きい方である。システムは、鉛への非露出を保証するように構成されうる。言い換えると、システムの組立材料であるステンレス鋼に銅シールドが格納されるのである。システムは、コンベヤ速度、電子ビーム消費電力、パルス速度、およびスパークを監視する機能を備える構成を持つ。システムはまた、室内で0.3ppmのオゾンレベルを超える際や他の緊急時のフェイルセーフモードも含みうる。
【0040】
電子ビーム搬送機構から充填ステーションおよび/またはアイソレータ370へ容器を移送するための容器移送モジュール344も、機械に設けられている。このモジュール344は、充填ステーションおよび/またはアイソレータ370への導入のため、電子ビーム室から個々の容器を移送する。モジュール344は、異なるサイズの容器の各々に対応できる。搬送機構は適正に配向され、電子ビーム室から容器を取り出すために開かれる。容器は適正に配向され、充填ステーションおよび/またはアイソレータ370への進入に先立って作業エリアへ配置される。容器は適正に配向され、メイン搬送機構に固定される。移送プロセスは、充填システムおよび/またはメインアイソレータネットワークの殺菌状態を損なわないように構成されうる。
図3の実施形態において、容器は、反時計方向に充填ステーションおよび/またはアイソレータ370内で移動する。
【0041】
開示される製造システムは、薬剤/API室を充填するためバッグを開口する幾つかの機構を含みうる。一実施形態では、
図3に示されているように、開口機構346は、粉末または液体を室へ送達する前に一次フィルムを分離するように操作される吸盤を使用する。バッグまたは室を開口するための他の実施形態は、クランプを使用して両側のラミネートフィルムを分離することと、重力を使用して両側ラミネートフィルムを分離することと、有向または収束振動エネルギーを使用して両側ラミネートフィルムを分離することと、磁力を使用して両側ラミネートフィルムを分離することと、有向流体を使用して両側ラミネートフィルムを分離することなどを含む。
【0042】
機械は、薬剤/APIを容器に充填するためのアイソレータ348も含む。こうして、単数または複数のラミネートフィルムが開口されるか他の形で互いに分離されると、室が開口して露出し、充填の準備が整う。それから注入ノズルが開口端部に向かって移動または誘導され、薬剤/APIを開口部から室へ注入する。開口部は、溢流を最小にして流体の移送を促進することでプロセス全体の速度を高めるように大きな形状を有する。薬剤/API等の充填の直前に、窒素洗浄がプロセスに容易に組み込まれる。窒素洗浄を受け入れる(取り除く)上方室の比較的大きな開口部のため、洗浄プロセスは従来のフレキシブルバッグプロセスで周知のものよりも迅速となりうる。
【0043】
薬剤/API充填ステーション/アイソレータ370の実施形態についてより詳しく説明する。このモジュールは、容器の薬剤/API室への粉末薬剤/APIの充填を担当する。付加的に、二次ピーラブルシールの組立はこのステーションで実施されうる。粉末充填ステーションは、交換部品を最小にするか無くすように設計されうる。各充填ホッパの粉末レベルが連続的に監視および制御されうる。個々のホッパの粉末レベルが、効率的な充填プロセスを維持するのに望ましい最小レベルを下回った際には、オペレータに介入するよう警告するのに聴覚的および視覚的アラームが使用されうる。問題のあるホッパは、システム制御装置により確実に特定されうる。充填システムにより各フレキシブル容器へ送達される粉末充填重量目標は、適切なセキュリティ制御を使用してHMIを通して個別に制御および変更されうる。粉末充填機構は、以下の例示的範囲および精度目標の中で目標粉末充填重量を正確に分与することが可能であるべきである。
【表1】
【0044】
容器へ充填される薬剤/APIの重量を定期的に点検する機能が存在しうる。粉末薬剤/API充填機構は、重量点検プロセスからの定期的フィードバックを受け取って必要に応じて調節することが可能である。すべての重要な計量プロセスパラメータが適宜、連続的に監視されうる。これらのパラメータは、サーボ負荷、オーガ回転、ワイパ回転等を含みうる。粉末薬剤/API計量機構は、潜在的な製品粉塵を最小にするための機構となりうる。粉末状薬剤/APIのための充填ラインは、二次ピーラブルシールが設置されるエリアより下にある。二次ピーラブルシールラインより上での過剰な粉末蓄積を防止するのに、シールド機構または注入ノズルが使用されうる。二次ピーラブルシールの組立は、粉末計量の直後に同じステーションで実施されうる。二次ピーラブルシールの形成前に、容器の移動は最小にされるべきである。ピーラブルシール工具は、7mmの最小ピーラブルシール幅を提供しうる。温度、圧力、およびドエル時間などすべての関連プロセスパラメータが監視され、個別に制御されうる。仕様外のプロセスパラメータについてオペレータに警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用されうる。
【0045】
開示される実施形態では、固体または粉末の代わりに液体の薬剤/APIも考えられる。例示的な液体充填システムモジュールおよびプロセスについて、これからより詳しく説明する。このモジュールは、容器の室への液体の充填を担当する。付加的に、二次ピーラブルシールがこのステーションで実施されうる。液体充填ステーションは、交換部品を最小にするか無くすように設計されうる。充填ノズルは、滴下を最小にするように設計されうる。液滴が密封面を汚染すべきではない。充填動作の停止を回避するため、液体貯蔵器またはサージタンクが組み込まれうる。質量または容積など適切な機構を通して、利用可能な液体が連続的に監視されうる。聴覚的および視覚的アラームは、充填設備が停止されるのを回避するため介入が望ましい時には、低液体レベルについてオペレータに警告できる。充填システムにより各容器に送達される液体容積は、適切なセキュリティ制御を使用してシステムを通して個別に制御および変更されうる。液体充填機構は、各容器に送達される液体の容積についての連続的フィードバックを提供できる。フィードバックのための質量流量センサを使用する場合には、計量される液体の特性が考慮されうる。標準処方を順守して連続フィードバックの精度を検証する機能が、システムに取り入れられうる。液体充填機構は、以下の範囲および精度目標の中で目標液体容積を正確に分与可能である。
【表2】
【0046】
液体計量機構は、液体の飛散および発泡を最小にするための機構となりうる。液体の充填ラインは、二次ピーラブルシールが設置されるエリアより下にある。二次ピーラブルシールラインより上の余剰液体蓄積を防止するのに、シールド機構または充填ノズルが使用されうる。二次ピーラブルシールの組立は、同じステーションでの液体計量の直後に実施されうる。二次ピーラブルシールの形成前には、容器の移動が最小にされるべきである。ピーラブルシール工具は、7mmの最小ピーラブルシール幅を提供できる。温度、圧力、およびドエル時間などすべての関連プロセスパラメータが監視され、個別に制御されうる。仕様外のプロセスパラメータについてオペレータに警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用されるものとする。
【0047】
次に、ピーラブル密封ステーション350で容器が密封される。機械300は、容器出口ポートを設置するためのポート挿入溶着ステーション360も含む。例示的なポート挿入密封ステーションおよびプロセスについて、これから説明する。このモジュールは、容器の容器セットポートの配向と前方室の永久密封を担当する。個々のポートが、適正に配向され、作業が行われうる。セットポートまたはポートは、未配向のバルクパッケージでアイソレータネットワークに供給されうる。ポート挿入ステーションおよび密封機構は、粒子状物質(PM)の発生を最小にして、通常のポート取り扱い動作により発生するPMを排出するための機構となる。一つ(1個)のセットポートが、各容器の前方室に正確に設置されうる。ポートの最終位置は、提供されるすべての適用可能な製品図面および仕様書に従う。セットポートは容器に永久密封されて、最終溶着動作が完了する。最終的な溶着部には、漏れ、しわ、泡、折り目、または空隙などの機能的欠陥が見られない。過剰な擦傷または摩耗などの視覚的欠陥が回避されうる。温度、圧力、およびドエル時間などすべての関連プロセスパラメータが監視され、個別に制御されうる。仕様外のプロセスパラメータについてオペレータに警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用されうる。
【0048】
それから、液体充填の準備としてバッグを反転させるバッグ反転モジュール370が用意される。モジュール370は、希釈剤充填のための容器の配向を担当する。希釈剤室の開口部が希釈剤充填ステーションに面した状態で、容器が配向されうる。各容器は適正に配向され、フェイルセーフ機構を使用して確実に整合される。回転/反転モジュール370は、容器の何らかの部分への損傷を生じないように構成されうる。回転プロセス中には、一次および二次ピーラブルシールが過剰な力から保護されうる。セットポートは、傷、摩耗、またはマーキングから保護されうる。着脱可能な箔バリヤの完全性が損なわれるべきではない。処理中に希釈剤室への粒子状物質の導入を回避するように、プロセスが構成されうる。シールドが適宜使用されうる。
【0049】
それから、液体充填ステーション356で希釈剤などの液体が容器に充填される。薬剤/API充填アイソレータ348に関して説明したように、液体充填ステーション356は、希釈剤を容器に充填するためのノズルを有しうる。例示的な希釈剤充填システムおよびプロセスについて、これから詳しく説明する。このモジュールは、容器の希釈剤室への希釈剤の充填を担当する。液体充填ステーションは、交換部品を最小にするか無くすように設計されうる。このステーションは、以下の特徴を含みうる。滴下を最小にして滴下が密封面を汚染しないように設計される充填ノズルと、充填動作の停止を回避するように組み込まれる希釈液貯蔵器またはサージタンク。利用可能な希釈液は、質量または容積センサなど適切な手段を通して連続的に監視されうる。充填設備の停止を回避するため介入が望ましい時に、聴覚的および視覚的アラームが低液体レベルについてオペレータに警告できる。各容器に送達される希釈液容積は、適切なセキュリティ制御を使用するシステムを通して個別に制御および変更されうる。希釈液充填機構は、各容器へ送達される液体の容積について連続的フィードバックを提供できる。フィードバックのための質量流量センサを使用する場合には、送達される液体の特性が考慮されうる。標準処方を順守して連続的フィードバックの精度を検証する機能が、システムに組み込まれうる。液体充填機構は、以下の範囲および精度目標の中で目標液体容積を正確に分与することが可能である。
【表3】
【0050】
希釈液計量機構は、液体の飛散および発泡を最小にするように構成されうる。所望であればシールド機構または充填ノズルが使用されうる。
【0051】
それから容器は密封ステーション358へ移動し、ここでフレキシブル容器の希釈室に希釈剤が入れられた後に容器の最上部開口部を密封する最終シールが形成される。一実施形態では、希釈剤室に容器周囲シールを完成させるための密封ステーション358が設けられる。このステップで、最終シールの形成前には、容器の移動は最小にされるべきである。一実施形態では、処理時間により可能であれば、最終シールが希釈剤充填と同じステーションで実施されて、製品の移動および飛散を回避できる。この時点で容器が永久的に密封されうる。希釈剤室の周囲を密封する最終溶着部には、漏れ、しわ、気泡、折り目、または間隙などの機能的欠陥とともに、過剰な擦傷または摩耗などの視覚的欠陥が見られない。最終バッグ密封のプロセスは、温度、圧力、およびドエル時間など様々なプロセスパラメータの監視および制御も含む。一実施形態において、プロセスは、仕様外のプロセスパラメータについてオペレータに警告するのに使用される視覚的および/または聴覚的アラームも有する。この段階で実施される最終的なトリミングまたはハンガーパンチ動作が、粒子状物質(PM)の発生を最小にするようにして実施される。それから容器は、包装のため容器を準備するコンベヤ362での移送のためバッグ移送ステーション360へ移動する。
【0052】
フレキシブル容器を製造するための開示の実施形態は、メイン搬送機構から個々の容器を取り出してアイソレータネットワークから出るために容器を配向するプロセスを含む。プロセスのこのステップでは、容器システムに過剰な応力を生じることなく容器が配向されてメイン搬送機構から取り出される。一次容器またはセットポートでの過剰な摩耗、擦傷、またはマーキングを回避するため、注意が払われる。容器の配向は、アイソレータから出るため適宜維持されうる。
【0053】
潜在的な汚染が殺菌アイソレータネットワークへ侵入するのを回避するようにして、フレキシブル容器がアイソレータから出る。これは、マウスホール開口部に確実な圧力を印加して維持することにより容易となる。温度、圧力、およびドエル時間などすべての関連プロセスパラメータが監視され、個別に制御されうる。仕様外のプロセスパラメータについてオペレータに警告するのに、視覚的および聴覚的アラームが使用されうる。
【0054】
フレキシブル容器を製造するための開示の実施形態は、供給業者の施設での工場受入れ試験を実施して仕上げラインが受入れ可能であって所望の仕様に適合していることを確認するためのプロセスも含みうる。工場受入れ試験は、設備設計の書類審査と設備校正の判断とを有しうる。この審査から得られる情報は、設備セットアップ、調節、校正、保守、監視、および制御に関わる記載手順を確立するのに使用されうる。
【0055】
工場受入れ試験は、供給業者により提出される原料明細書に挙げられている主要コンポーネントの在庫確認、所望の設備機器とそのサイズ、圧力、流量等およびその連結位置の特定、システムコンポーネントのために用意された原料証明書の検査、主要コンポーネント仕様との適合を保証するための主要コンポーネント仕様の検討、コンポーネントラベルの検討、書類パッケージの検討、重要設備の適正動作を保証するのに必要な調節または該設備の検討、および所定期間に実施されるコンポーネントを含まない「予行運転」試験、の工程を含んでもよい。
【0056】
工場受入れ試験の目標の一つは、実際の作動条件での品質試験(IQ/OQ/PQ)の要件を満たすように機械が製作されたかどうかを妥当に判断することである。
【0057】
メイン処理アイソレータおよびプロセスの実施形態を説明する。このモジュールは、すべての無菌プロセスを包囲し、最終製品での微生物汚染に対する一次バリヤとして機能する。アイソレータ筐体は、すべてのISO 5 アイソレータ要件を満たし、以下を含みうる。ポリカーボネートドア、340 SS組立、アクセスドアポジティブシール/真空制御または圧縮シール、グローブポート、無菌状態で可能なグローブの除去/交換、正圧カスケード、衛生要件、集中排水、空気処理/空気入替え、容積/デッドスペースの最小化。
【0058】
次にVHP適合性について説明する。システムは以下の特徴を有する。内蔵の汚染除去ユニット、内蔵ユニットの故障の際に可搬ユニットを接続可能なバックアップ性能、6対数減少値と4対数減少値、曝気ppm目標。
【0059】
メイン搬送機構の実施形態についてより詳しく説明する。このモジュールは、無菌生産プロセス全体で容器を搬送するための主要方法を提供する。この機構は、容器開口部に適切な充填動作を付与するため容器を垂直方向に180度回転させる機能を含みうる。搬送機構は、適正に配向され、電子ビーム室から容器を受け取るため開口される。搬送機構は、時間とともに発生しうる通常の摩耗および断裂に対応するように設計されうる。通常の摩耗および断裂は定期的に計画される保守が実施されてもシステムの全体的な精度および性能に影響すべきではない。搬送機構は、適用可能なすべての容器サイズを扱い可能である。交換部品および工具変更は適宜、最小化されるか解消される。各フレキシブル容器の位置および配向は、無菌プロセス全体を通して確実に整合および制御されうる。フェイルセーフ動作および重要パラメータ制御動作のため、容器位置および配向が確実に特定および追跡されうる。確実に特定されえない容器は、不合格容器と見なされる。重要処理段階を完了したとして確実に特定されていない容器も、不合格となる。容器は、プロセスを通して連続的に追跡されうる限り、最も適切な不合格位置まで搬送機構に残る。さもなければ、各容器は搬送機構から即座に取り除かれるべきである。製品は、迂回することなく、無菌動作を通して連続的に処理されうる。搬送機構は洗浄可能であって、揮発性の過酸化水素プロセスを使用して汚染除去されるように設計されうる。搬送機構のすべての特徴に、清潔な無菌設計が適用されうる。搬送機構は、他の重要無菌プロセスの各々に対して非侵襲的でありうる。通常作動条件での他の処理機能の干渉は受け入れられない。
【0060】
図4(a)(b)は、開示される主題の一実施形態によるフレキシブル容器の無菌状態での形成、充填、密封、および包装のためのプロセスを記したプロセス流れ図を示す。フレキシブル容器システムの製造コンセプトは、一体化された無菌状態での形成、殺菌、充填、および密封プロセスを含みうる。
図4は、開示される主題の原理によるフレキシブル容器を製造するための予備プロセス流れ図と設備レイアウトの実施形態を示す。
【0061】
図4(a)において、ステップ402でプロセスが始まる。このステップで、容器を形成するプロセスは、必要または所望に応じて、局所的HEPA濾過脱イオンバーの下にあるISO 8(クラス100,000)クリーンルームで行われる。一次フィルムおよびアルミニウムバリヤ材料のロールが形成設備に装填される。次に、ステップ404aおよび404bで、一次フィルムの両側接触面と内部接触面とが接触ローラシステムを使用してクリーニングされ、一連のローラに蓄積される。ステップ406で、API室を被覆する剥離アルミ箔ストリップがサイズに合わせてトリミングされ、取り外し可能な溶着部により一次フィルムにストリップ状に積層される。このステップで、箔が手動で、または自動的に装填されうる。
【0062】
次に、ステップ408で、フィルムが折り畳まれ、箔が2枚のストリップにダイカットされ、フィルムの上下にある二つの異なる高さに送られる。そして箔が一定長さに切断され、容器フィルムまで移送され、折り畳みフィルムの上部および底部に溶着される。
【0063】
希釈剤室を薬品室から隔離する一次ピーラブルシールが、ステップ410で生成されうる。一次ピーラブルシールは、ラミネートフィルムの両側に対して垂直な直線上に形成されるか、カーブ状、ジグザグ状、または他の形状でありうる。次にステップ412で、フィルムの長さに沿って折り畳み一次フィルムが密封されて側部周囲シールを生成する。別の実施形態では、一次フィルムが二次フィルムの上部に整合され、各側部の長さに沿って2枚のフィルムが溶着されるか他の形で密封されうる。別の実施形態では、周囲シールの前に一次ピーラブルシールが形成される。
【0064】
ステップ414,416で、個々の空容器がトリミングされて一次フィルムロールから分離され、殺菌ゾーンへの自動的装填のためステップ420で作業が行われる。また、一実施形態において、ステップ418ではトリミングステップからのスクラップがプロセスラインから機械的に除去されうる。
【0065】
プロセスのこの時点で、フレキシブル容器は、上方室の上端部に形成される開口部を含む部分的密封周囲を有する上方室と、上方室と反対の下方室とを備える形状であり、下方室は同様に部分的に密封された周囲を有するが、開口部は下方室の底端部に形成されている。上方室は一次ピーラブルシールにより下方室から隔離され、上方室の開口部は下方室の開口部と径方向反対にある。こうして、この時点でのラミネート部分は、部分的に組み立てられたフレキシブル容器の前面から見ると略H形状として形成される。次に、ステップ422で、容器の密封品質が評価され、欠陥バッグが組立ラインから取り除かれる。
【0066】
次に、ステップ424で、生産ラインの容器形成エリアと電子ビーム室との間のインタフェースとなるインタフェース室へフレキシブル容器が移送される。このステップでは、一実施形態において、部分的に組み立てられたフレキシブル容器が垂直配向で配置される(つまり上方室の開口部が上向きであるのに対して下方室の開口部が下向きである)ように、一部組立フレキシブル容器がこの時点で操作されうる。中央処理ユニット(CPU)、サーバ、パーソナルコンピュータ(PC)、プログラマブル論理制御(PLC)機構、ロボット要素、および他の器具など、様々な制御装置の使用により、操作が達成されうる。制御装置は、様々な機械的器具に方向および/または電力を提供して、一部組立フレキシブル容器について所望の操作を実施するように構成されうる。例えば、一部組立フレキシブル容器を取り上げてこれをマンドレルに載せることが可能な吸盤を含む機械的アームが設けられうる。マンドレルは、マンドレルの上に容易に載せられるように下方室の開口部を拡張させる窒素ガスなど、一定量の流体を送達する空気ノズルを含みうる。製造プロセスの後続ステップで一部組立フレキシブル容器を搬送する運搬トレイまたはホルダに、マンドレルが組み込まれうる。代替的に、静電荷、クランプ構造、磁石、または他の構造を含む機械的アームが、一部組立フレキシブル容器をマンドレルや他のホルダ器具へ送達するのに使用されうる。別の代替例は、カムまたは摩擦フィーダボウル技術を使用して、ホルダが一部組立フレキシブル容器を殺菌エリアへ送達できるように重力また振動により一部組立フレキシブル容器を第1配向から第2配向へ移動させることである。
【0067】
さらに、ステップ424では、バッグ形成の後に、一部組立フレキシブル容器が、低電圧(300KeV)電子ビーム室、過酸化水素洗浄、または他の殺菌プロセスエリアなどの殺菌エリアへ導入されうる。殺菌エリアは、一部組立フレキシブル容器が形成されるのと同じクリーンルームに設置されうる。こうして、一部組立フレキシブル容器は別の設備またはルームへ移動することが望ましくなく、代わりに、形成から殺菌、再び充填への処理が所望であれば継続的かつ連続的な順序で行われるように「インライン」に残る。この「インライン」プロセスはフレキシブル容器のより短時間での製造を可能にするとともに、殺菌プロセスの高度な制御を可能にする(汚染の機会を少なくして欠陥を減少させる)。同様に、開示される「インライン」プロセスは、第1または「形成」クリーンルームから一部組立フレキシブル容器を取り出して、一部組立フレキシブル容器を第2「殺菌」または「電子ビーム」クリーンルームへ搬送してから、一部組立フレキシブル容器が充填されて最終的に形成または密封されるように第1または他のクリーンルームへ再送達するか戻すことと関連するコストを有意に低減しうる。
【0068】
上述のように、一部組立フレキシブル容器を電子ビーム殺菌などの殺菌プロセスへ送達する連続的搬送システムへ、一部組立フレキシブル容器の各々が自動的に載置されうる。詳しくは、電子ビームエミッタへの適正な露出のため一部組立フレキシブル容器を配向するために、操作設備、ソフトウェア、および/またはハードウェアが用意されうる。代替的に、フレキシブル容器は断続的/割り出し搬送システムに載置されうる。
【0069】
図4(a)の実施形態において、ステップ427では、バッグの第1側面が照射されてからステップ428でバッグが反転される。次にステップ430で、バッグの第2側面が照射される。
【0070】
バッグを搬送するための搬送システムは、1回の通過のみで一部組立フレキシブル容器への電子ビーム放射の完全な透過を保証する180°回転機構を含みうる。一実施形態において、適当なシールドが搬送機構またはホルダに組み込まれて、一部組立フレキシブル容器の一部分が電子ビームに対して露出過剰とならないように、一部組立フレキシブル容器の一部分が電子ビームの照射から遮断される。例えば、一部形成容器の前面全体が電子ビームからの照射に露出された場合、一部形成容器の後面の希釈剤室および緩衝室が照射からシールドされるため、API室は後面からの電子ビーム照射に露出される一部形成容器の単一部分である。キャリアシステムは、低電圧電子ビーム室において個々の容器を一定速度で連続的に搬送して、望ましい殺菌保証レベルを満たす適正な電子ビーム線量を受け取ることを保証する。
【0071】
別の実施形態において、容器の二つの側面を照射するのに使用される二つの窓部を含む単一の電子ビーム機構を、キャリアシステムが含みうる。この実施形態で、容器の一面が照射されてから、第2窓部への露出に先立って容器が180度逆転される。別の実施形態では、多数の電子ビーム機構が設けられる。例えば、一部組立フレキシブル容器は、第1および第2電子ビーム機構を同時または順番に通過して、所望の殺菌プロセスを実施できる。同時の際には、電子ビーム装置は互いに対向している。代替的に、電子ビーム器具は互いに離間しており、キャリアシステムラインの各側に設置されうる。第1および/または第2電子ビーム機構はシールド機構を備えるか、上述したのと同様にして一部組立フレキシブル容器の露出過多を回避するように配向または照準される。言うまでもないが、付加的な電子ビーム器具がキャリアシステムラインに追加されて、所望通りに照準されうる。また、代替的なシールド構成が設けられて、一部形成容器の希釈剤室および緩衝室への露出過多を防止する。
【0072】
一部組立フレキシブル容器が殺菌されると、ステップ432で、充填用のメインアイソレータ、例えばISO 5(クラス100)アイソレータへ搬送される。任意のステップ434で、適正に照射されたかどうかを判断するため各バッグが検査される。照射が不適正なバッグは不合格バッグとしてラインから外される。代替的に、フレキシブル容器を製造するプロセス全体がアイソレータ内で達成されうる。いずれの場合も、上述したプロセスステップの各々が同じクリーンルームで行われて、製造中にフレキシブル容器をクリーンルームの外部へ搬送することに関連する費用と時間とおそらくは生産エラーを回避する。
【0073】
上で言及した電子ビーム殺菌プロセスに関して、電子ビーム放射露出に関する容器の「ホット」および「コールド」スポットについての情報を提供するため、電圧線量マッピングの評価が実施された。最小電子ビーム線量は予想バイオバーデンレベルに基づいて18kGyに設定されたのに対して、最大許容電子ビーム線量は容器完全性についての機能試験に基づいて判断された。70kGyを上回る電子ビーム放射への露出は、プラスチック特性、特にポリプロピレンおよびPETに影響を与えることがある。
【0074】
殺菌後に、ステップ436で、各一部組立フレキシブル容器を充填および密封プロセスで個別に搬送する断続的固定リンクチェーンシステムまたはリニアモータパックシステムなどの自動化システムに、一部組立フレキシブル容器が載置されうる。上記のように、空の(一部組立)フレキシブル容器は、API/薬剤室の開口部が上向きの状態でリニアモータパックに配向されうる。空容器はステップ438で薬品計量システムへ搬送され、ここで薬剤またはAPIが薬品/上方室へ計量される。任意のステップ440で、薬剤/APIが充填される前に容器が計量される。ステップ442では、薬剤/APIが選択される。薬剤/APIは、粉末形状、ゲル、液状、カプセル、錠剤、これらの組み合わせ等を含む様々な形でありうる。例えば、ステップ450では、標準的な無菌移送ポートシステムを通してバルク殺菌粉末薬剤/APIがオーガ充填システムへ供給される。代替的に、ステップ448では、殺菌液状薬剤/APIが一連の殺菌フィルタバンクを通して質量流量ポンプへ供給されうる。薬剤/APIは、溢流の量を減少させて一層正確で高速の充填速度を可能にする薬剤/API室の比較的広い開口部から直接に送達されうる。
図4に示されているように、薬剤/APIの充填に先立ってN
2パージがバッグに適用されてもよい。また、粉末や液体のAPIの充填が手または機械で行われうる。
【0075】
ステップ452では、薬品室を前方または緩衝室から隔離する二次ピーラブルシールが、薬剤/API充填の後で作製されうる。ステップ454では、薬剤/API充填の後で容器が計量されて適正な充填重量を確認する。液体の薬剤/API充填のためには、充填容積の連続フィードバックを提供する質量流量ポンプが設けられる。
【0076】
次に、ステップ458で、セットポート挿入ステーションへ容器が搬送され、セットポートが前方または緩衝室へ自動的に挿入され、密閉シールがセットポートに作製される。セットポートは事前殺菌されうる。この時点において、ステップ460では、フレキシブル容器の下端部が、容器のこの部分を包囲する周辺シールにより充分に形成されている。任意であるが、プロセスのこの段階でバッグも検査され、欠陥バッグはプロセスラインから除去される。
【0077】
次に、ステップ462で、容器が180°(または他の角度)回転されて、希釈剤室の開口部を上向きに配向し、容器はステップ464で希釈剤充填ステーションへ搬送される。フィーダまたは振動ボウル技術、一部組立フレキシブル容器を障害物へ「落下」させる(充填API室が充填されて希釈剤室より重くなる)とともにホルダカップや保持構造により「捕捉」される重力の使用、クランプ、磁石、静電気、吸盤を備える機械的アームの使用、または、機械的アーム構造により容器の幅方向に、または水平軸について一部組立フレキシブル容器を回転させる操作器具の保持を含む様々な手法で、回転が達成されうる。言うまでもなく、一部組立フレキシブル容器を搬送するホルダまたはパックに、類似の技術がそのまま取り入れられてもよい。
【0078】
付加的に、ホルダまたはパックが、(一部組立フレキシブル容器の直接的な取り扱いの代わりに)上述した様々な方法および技術により直接的に操作されうる。こうして、ホルダ、パック、またはコンベヤベルト自体が「逆転」され、薬剤/APIが充填されてセットポートが設置された後で希釈剤室の充填を可能にする。セットポートおよび最終シールの製作と挿入のプロセスが同時または別々に実施されることも理解されるべきである。
【0079】
そしてステップ466で、質量流量ポンプを使用して殺菌フィルタバンクを通して希釈剤が容器へ計量され、それからステップ468で、希釈剤密封のため容器が搬送される。ステップ470では、容器が次のステーションに割り出しされ、ここで最終希釈剤シールが作製される。それからステップ472で容器が取り出しステーションへ搬送され、ステップ474で自動化システムから取り出されてアイソレータネットワークからの適正な取り出しのために配向される。
【0080】
ステップ476では、様々な「仕上げ動作」のため容器がアイソレータから出る。例えばステップ478で、容器のすすぎと乾燥が行われる。バッグの最終トリミングがステップ480で行われ、これにより生産ラインからスクラップが除去される。それから、ステップ482での重量チェック、484での漏れ検出テスト、486でのPM検出テストを含む一連のテストが実行される。これらのテストのいずれかに通らなかった容器は不合格となり、生産ラインから除去される。
【0081】
次に、バッグはステップ488でラベル貼付され、ステップ490で折り畳まれて固定され、ステップ492で容器に包装される。最終的には、ステップ494で、多数の容器を格納する各パッケージが搬送のためパレット化されうる。
【0082】
フレキシブル容器を製造するための開示のプロセスは、材料コンポーネントと処理の両方で無駄を無くすことにより、従来の製造技術と比較して低コストである。一実施形態において、製造プロセスは三つの一次コンポーネント(一次フィルム、ピーラブル箔、セットポート)を必要とするのみである。さらに、バッグ形成、インライン電子ビーム殺菌、バッグ充填、セットポートを含む最終密封、を含む単一の一体化インラインプロセスに製造を統合することにより、開示の製造プロセスは、処理および取り扱いの無駄無くす。さらに、開示の製造プロセスの出力容量の増加を通して、単価削減が達成される。
【0083】
例示的実施形態を参照して主題が詳しく説明されたが、開示の範囲を逸脱することなく様々な変更が行われて同等物が採用されうることが当業者には明白であろう。