(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
[002] 流体を加工又は使用する多くのタイプのシステムがある。これらのタイプのシステムの安全性を確保するために、このようなシステムは、各々典型的にはシステムに圧力がかかり過ぎるのを防ぐように設計された安全デバイスを含む。緊急事態において、システム内の流体が安全ではないレベル又は圧力に達すると、流体の高い圧力が安全デバイスへ作用して流体をシステムから放出する開口部を作り出す。開口部を通じて流体を環境又は安全容器へ放出することにより、システム内の圧力を下げ、システムの別の部分が流体の高い圧力により破損することを防ぐ。
【0003】
[003] 加圧システムのための安全デバイスの1タイプは、再閉鎖弁又は非再閉鎖弁であり得る圧力逃し弁である。典型的には、ばね、ピン、又は、ばねとピンの組合せが、移動するプラグ又はディスクを、加圧システムへ接続されている間デバイスの本体又はハウジングと密封係合した状態で保持するために使用される。流体の圧力がシステムにおける所定の安全レベルに達すると、加圧流体によりプラグへかけられた力が、ばねの付勢に打ち勝つか、プラグを適所に保持するピンの抵抗を上回る。これらの事象のいずれかが起きた場合、加圧流体がプラグを移動させて、開口部であってそれを通じて流体が流出してシステム内の圧力を解放し得る開口部を露出させる。
【0004】
[004] 圧力逃し弁の1つのタイプは回転可能な弁組立体である。公知の回転可能な弁組立体は、同一所有者による米国特許第5,607,140号、同第5,947,445号、同第5,984,269号、同第6,098,495号、同第6,367,498号、同第6,488,044号、及び同第6,491,055号に開示されており、これらの各々の内容全体は参照により本明細書に明確に組み込まれる。回転可能な弁は、プラグであって、回転可能なシャフトに取り付けられ、プラグが流体の流れをブロックする閉鎖位置と流体が弁を通って流れるのをプラグが可能にする開放位置との間で回転され得るプラグを含む。閉鎖位置において、プラグ面は加圧システムに向かって方向づけられる。開放位置にある間、プラグ面は、放出される流体の流れに実質的に平行に方向付けられる。プラグの開放位置への回転は手動で又は別の外部力により開始されてもよい。代替的に、加圧流体がトルクをシャフトへかけ、プラグを回転するよう付勢するように、プラグの回転軸がプラグの中心に対してオフセットされるように、プラグがシャフトに取り付けられてもよい。シャフトへのトルクが特定のレベルへ到達し、流体の圧力が過圧状態に到達したことを示すまで、シャフトが回転するのを妨げるようデバイスがシャフトへ結合されてもよい。そのポイントで、シャフトが解放され、プラグが回転して弁を開き、システムを通気する。
【0005】
[005] 回転可能な弁組立体が開くとき、開いた弁を通る流体流れの速度を最高にするのが望ましい場合がある。流量に影響を及ぼす要因には流積及び流れの乱れが含まれる。
【0006】
[006] 典型的には、弁プラグ面が流体流れの方向に実質的に平行であるとき−すなわちプラグが「完全に開いた」向きにあるとき、流積が最大化される。しかしながら、場合によっては、プラグは、プラグを完全に開いた向きを越えて回転させ得る(それにより流体流路を部分的に閉鎖する)、及び/又は、放出される流体がシステムから出る際にプラグを振動させ得る又は完全に開いた向きと部分的に閉鎖した向きとの間で「バウンド」させ得る高い回転速度で開き得る。このような場合において、放出される流体の流路は塞がれることがあり、それにより流量が低下するか、望ましくない攪拌が流体流れへ加わり、これは弁自体の作動部分への損傷の原因となり得る。従って、弁プラグを開放位置に保持し、開口弁プラグの回転エネルギーを吸収し、及び/又は、完全に開いた向きと部分的に閉鎖する向きとの間で振動する弁プラグの能力を低下させる1つ又は複数の特徴部を含む弁プラグ組立体が必要である。
【0007】
[007] 典型的な弁プラグが実質的に開放位置にあるときでさえ、放出される流体の流れの乱れは弁の性能を損ない得る。典型的には、開いた弁プラグは角のある形状又は切形の輪郭を呈し、これは、流れの乱れを増加させる傾向がある場合があり、弁流量及び弁構成へのダメージにつながる可能性がある。従って、流出する流体の乱れを減らすように成形された弁プラグが必要である。
【0008】
[008] 多くの回転可能な弁組立体が、プロセスからの放射熱を含む大量の熱が環境中に生じる用途で使用される。高温は回転可能な弁組立体の性能に悪影響を及ぼし得る。例えば、高温により、弁構成要素がたわむことがあり、弁の動きへ悪影響を及ぼし得る。例えば、高温により、弁プラグの形状又は弁本体が、弁が開く能力を妨げ得る方法で、弁の回転シャフトに対して変形される場合がある。別の例として、高温は、弁プラグシール、弁プラグ潤滑油、解放機構(例えばピン)又は最適な性能を確保するために弁が依存する他の構成要素の性能に影響を与え得る。典型的には、熱シールドが、制御装置及び同様の構成要素を熱から保護するためだけに使用される。回転可能な弁組立体(又はその構成要素)を環境熱からも保護する機構が必要である。
【0009】
[009] プラグの中心からオフセットされた回転軸が設けられた回転可能な弁プラグにおいて、弁プラグの質量は回転軸にわたって不均一に分割される。この不均衡は弁プラグが回転する能力へ影響を与えることがあり、弁プラグが開き得る圧力レベルに影響を与え得る。加えて、このような不均衡は、流路における弁の振動を増幅させる場合があり、これにより流量が減少する場合があり、弁構成要素を損傷する場合がある。回転軸に対して重量の均衡がとれた又は重力が中立であるように設計されたオフセットタイプの弁プラグが必要である。このようなプラグは、弁の開口圧力及び流れの位置に影響を与える要因の数が減少し得るため、より予測可能な弁性能を提供することができる。
【0010】
[010] 上述のとおり、デバイス(例えば解放機構)が、所定の圧力差に達するまで、回転可能な弁プラグ組立体が開くのを妨げるために設けられ得る。このような解放機構は、例えば、所定の荷重に応じて変形する又は砕けるよう設計された座屈ピンなど、変形可能な又は壊れやすい破損機構を含み得る。公知の弁は、開口トルクの全てを生成するために弁の両端の圧力差に依存する。これは、弁を閉鎖するために必要なトルクが、弁を開くために必要なトルクに影響を与えないように、十分に小さく保たれることを必要とする。開口トルクを増大させるために解放機構に予荷重をかけることが望ましい場合もある。そのような予荷重により、(例えば弁シール及び機械的リンク機構における)プラグ慣性、静摩擦、及び閉鎖トルクの、弁プラグが開き得る速度への衝撃を減らすことができる。張力がかかると破損するように設計された1つもしくは複数のせん断ピン又はプレートなど、座屈ピン以外の解放機構に予荷重をかけることがさらに望ましい場合がある。
【0011】
[011] 本開示は、上記の欠点の1つ又は複数を克服することができ、上述の望ましい利点の1つ又は複数を提供することができ、当該技術分野における他の欠点を克服することができ、及び/又は、追加的な利益を提供することができる。
【発明の概要】
【0012】
[012] 上記の欠点の1つ又は複数を克服し、上述の望ましい利点の1つ又は複数を提供するため、又は、他の欠点を克服し、及び/又は、他の利益を提供するため、本明細書において具現化され説明されるとおり、本開示は、回転可能な圧力逃し弁組立体であって、弁本体と、本体内に取り付けられたプラグと、を含み、プラグが開放位置と閉鎖位置との間で回転可能なシャフトを中心として回転可能である、回転可能な圧力逃し弁組立体を対象とする。解放機構はシャフトに係合し、弁組立体の開口圧力に達するまでプラグを閉鎖位置に保持するように構成されてもよく、ダンパーは、弁プラグが開放位置へ回転するときにシャフトにより与えられる回転運動エネルギーを吸収するように構成されてもよい。
【0013】
[013] 本開示は、回転可能な圧力逃し弁組立体であって、弁本体と、本体内に取り付けられたプラグと、を含み、プラグが開放位置と閉鎖位置との間で回転可能なシャフトを中心として回転可能である、回転可能な圧力逃し弁組立体をさらに対象とする。解放機構はシャフトに係合し、弁組立体の開口圧力に達するまでプラグを閉鎖位置に保持するように構成されてもよく、捕捉機構は、弁プラグが開放位置へ回転するとシャフトに係合するように構成されてもよく、捕捉機構は、プラグを開放位置において保持するようにさらに構成されてもよい。
【0014】
[014] 本開示はまた、回転可能な圧力逃し弁組立体であって、弁本体と、本体内に取り付けられたプラグと、を含み、プラグが開放位置と閉鎖位置との間で回転可能なシャフトを中心として回転可能であり、プラグが翼状である、回転可能な圧力逃し弁組立体を対象とする。
【0015】
[015] 同様に開示されるのは、回転可能な圧力逃し弁組立体であって、弁本体と、弁シャフトと、弁シャフトに係合し、弁本体内に配置されるプラグと、を含み、プラグがシャフトに平行な直径を有し、直径がシャフトからオフセットされ、プラグの質量がシャフトにわたって均衡している回転可能な圧力逃し弁組立体である。
【0016】
[016] さらに開示されるのは、回転可能な圧力逃し弁組立体であって、弁本体と、弁本体内に配置された弁プラグと、を含み、弁プラグが回転軸を規定するシャフトを有し、弁プラグが弁本体内の圧力差をシャフトに沿ったトルクへ変換するように構成された回転可能な圧力逃し弁組立体である。プラグが閉鎖位置にあるとき、座屈ピンは、第1圧縮荷重の形のトルクを受けるようシャフトと係合するように構成されてもよく、予荷重機構は、座屈ピンに第2圧縮荷重で予荷重をかけるように構成されてもよい。さらに、座屈ピンは、複合された第1及び第2圧縮荷重が設定された荷重制限へ到達すると破損するように構成されてもよく、弁プラグは、座屈ピンが破損すると開放位置へ回転するように構成されてもよい。
【0017】
[017] 本開示はまた、回転可能な圧力逃し弁組立体であって、流体流路を規定する弁本体と、回転シャフトを有する弁プラグと、を含み、弁プラグが閉鎖位置と開放位置との間で回転シャフトに沿って回転するように構成され、閉鎖位置にあるとき、弁プラグが流体流路を塞ぐ回転可能な圧力逃し弁組立体を対象とする。引張破損部材は、プラグが閉鎖位置にあるとき、第1引張荷重の形のシャフトからの回転トルクを受けるよう、シャフトと係合するように構成されてもよい。予荷重機構は、引張破損部材に第2引張荷重で予荷重をかけるように構成されてもよい。さらに、引張破損部材は、複合された第1及び第2引張荷重が設定された荷重制限へ到達すると破損するように構成されてもよく、弁プラグは、引張破損部材が破損すると、開放位置へ回転するように構成されてもよい。
【0018】
[018] なおさらに、本開示は、流体流路を規定する弁本体であって、弁本体が入口と出口とを有する弁本体を含む回転可能な圧力逃し弁組立体を対象とする。弁本体内に配置された弁プラグは、閉鎖位置と開放位置との間でシャフトを中心として回転するように構成されてもよく、閉鎖位置にあるとき、流体が流体流路に沿って流れるのを妨げるように構成されてもよい。組立体は、弁本体入口と弁本体出口との間の設定圧力差に達するまで、弁プラグを閉鎖位置に保持するための手段と、弁プラグが開放位置へ回転した後、弁プラグを開放位置に保持するための手段とをさらに含んでもよい。
【0019】
[019] 同様に開示されるのは、流体流路を規定し、入口と出口とを有する弁本体を含む回転可能な圧力逃し弁組立体である。弁プラグは弁本体内に配置されてもよく、弁プラグが閉鎖位置と開放位置との間でシャフトを中心として回転するように構成され、閉鎖位置にあるとき、弁プラグは、流体が流体流路に沿って流れるのを妨げるように構成される。組立体は、弁本体入口と弁本体出口との間の設定圧力差に達するまで弁プラグを閉鎖位置に保持するための手段と、弁プラグが開放位置へ回転するときにシャフトにより与えられる回転運動エネルギーを吸収するための手段とをさらに含んでもよい。
【0020】
[020] さらに開示されるのは、回転可能な圧力逃し弁組立体であって、入口と出口とを有し流体流路を規定する弁本体と、弁本体内に配置された弁プラグとを含み、プラグが閉鎖位置と開放位置との間で回転するように構成され、プラグが閉鎖位置に方向付けられたとき流体流路をブロックするように構成される回転可能な圧力逃し弁組立体である。解放機構は、弁本体の入口及び出口にわたる設定圧力差に達するまで、弁プラグを閉鎖位置に保持するように構成されてもよい。熱シールドは弁本体と弁本体の外部の熱源との間に位置づけられてもよく、熱シールドは弁本体を外部熱源による非対称な加熱から保護するよう方向付けられてもよい。
【0021】
[021] 本開示はまた、弁本体と、弁本体内に配置された弁プラグと、を含む回転可能な圧力逃し弁組立体を対象とする。弁プラグは、回転軸を規定するシャフトを有してもよく、弁プラグは、弁本体内の圧力差をシャフトに沿ったトルクへ変換するように構成されてもよい。組立体は、第1端部と第2端部とを有する座屈ピン及びピン取付具をさらに含んでもよい。座屈ピンの第1端部はシャフトに係合してもよく、座屈ピンの第2端部はピン取付具に係合してもよい。プラグが閉鎖位置にあるとき、座屈ピンは、シャフトからのトルクを圧縮荷重として受けるように構成されてもよい。座屈ピンは、圧縮荷重が設定された荷重制限へ到達すると破損するように構成されてもよく、弁プラグは、座屈ピンが破損すると開放位置へ回転するように構成されてもよい。
【0022】
[022] さらに、本開示は、回転可能な圧力逃し弁組立体であって、流体流路を規定する弁本体と、回転シャフトを有する弁プラグと、を含み、弁プラグが閉鎖位置と開放位置との間で回転シャフトに沿って回転するように構成され、閉鎖位置にあるとき、弁プラグが流体流路を塞ぐ回転可能な圧力逃し弁組立体を対象とする。組立体は、第1端部と第2端部とを有する引張破損部材を、引張破損部材取付具に加えてさらに含んでもよい。引張破損部材の第1端部は、シャフトに係合してもよく、引張破損部材の第2端部は引張破損部材取付具に係合してもよい。プラグが閉鎖位置にあるとき、引張破損部材は引張荷重の形のシャフトからの回転トルクを受けるように構成されてもよい。引張破損部材は、引張荷重が設定された荷重制限に達すると破損するように構成されてもよく、弁プラグは、引張破損部材が破損すると開放位置へ回転するように構成されてもよい。
【0023】
[023] 本明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、いくつかの実施形態を説明し、説明と共に本開示の原理を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】
図1に示される回転可能な弁組立体の線A−Aに沿った断面図を示す。
【
図3A】
図1に示される回転可能な弁組立体の解放機構組立体の側面図を示す。
【
図3B】
図1に示される回転可能な弁組立体の解放機構組立体の側面図を示す。
【
図4】ラッチとばねエネルギー吸収器とを含む回転可能な弁組立体解放機構を示す。
【
図5】ラッチとベローズエネルギー吸収器とを含む回転可能な弁組立体解放機構を示す。
【
図6】開口トルクを弁プラグへ加えるように構成されたねじりばねを含む回転可能な弁組立体解放機構を示す。
【
図7】弁が開くとプラグを完全に開いた向きに保持するように構成された磁石を含む回転可能な弁組立体解放機構を示す。
【
図8A】回転可能な弁プラグ組立体のためのエネルギー吸収機構の側面図を示し、エネルギー吸収機構は解放機構と反対側の側部に設けられる。
【
図8B】回転可能な弁プラグ組立体のためのエネルギー吸収機構の側面図を示し、エネルギー吸収機構は解放機構と反対側の側部に設けられる。
【
図9A】回転可能な弁プラグ組立体のための掛け止め機構の側面図を示し、掛け止め機構は解放機構と反対側の側部に設けられる。
【
図9B】回転可能な弁プラグ組立体のための掛け止め機構の側面図を示し、掛け止め機構は解放機構と反対側の側部に設けられる。
【
図10A】翼状の弁プラグを含む回転可能な弁組立体の断面図を示す。
【
図10B】翼状の弁プラグを含む回転可能な弁組立体の断面図を示す。
【
図11A】弁組立体へ取り付けられた熱シールドを含む回転可能な弁組立体を示す。
【
図11B】弁組立体と熱源との間に位置づけられた熱シールドを含む回転可能な弁組立体を示す。
【
図13】釣り合い重りを含む回転可能な弁プラグを示す。
【
図14】座屈ピンを使用する回転可能な弁組立体のための解放機構を示す。
【
図15】引張破損部材を使用する回転可能な弁組立体のための解放機構を示す。
【
図16】せん断ピンを備える回転可能な弁組立体の入口側の部分図を示す。
【
図18】
図16に示される回転可能な組立体におけるのと同様に設置されたせん断ピン破損部材の詳細図を示す。
【
図19】回転可能な弁組立体の弁シャフトと直接係合する座屈ピンを示す。
【
図20】回転可能な弁組立体の弁シャフトと直接係合する引張破損部材を示す。
【
図21】回転可能な弁組立体と共に使用するための刻み目の付いたシャフトを示す。
【
図22A】
図21の刻み目の付いたシャフトと共に使用するためのラッチを示す。
【
図22B】
図21の刻み目の付いたシャフトと共に使用するためのラッチを示す。
【
図23A】
図21の刻み目の付いたシャフトと共に使用するための突出部を備えたハウジングを示す。
【
図23B】
図21の刻み目の付いたシャフトと共に使用するための突出部を備えたハウジングを示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[049] ここで、本発明の例示的な実施形態を詳細に参照し、その例は添付図面において示される。可能な場合は常に、同じ参照符号が、同じ又は同様の部品に言及するために諸図面を通じて使用される。本出願の図面は、基本的なシステムの作動要素の一般的な理解を提供することを意図するものである。従って、明示的に述べられない限り、図は、図示された相互に関連する構成要素についての比例寸法又は厳密な位置の文字通りの描写を表すものではない。
【0026】
[050]
図1は本開示の回転可能な弁組立体の一実施形態を示す。組立体は弁本体と弁プラグとを含む。弁プラグは、回転軸を規定するシャフトを通じて弁本体内に取り付けられる。本体は、本体を通る流体通路を規定する入口と出口とを有する。本体の入口が、導管又は配管などの流体圧力源(図示せず)からの流体及び圧力を受ける。
【0027】
[051] シャフトは本体を通って延在してもよく、プラグと共に本体に対して回転軸を中心として回転可能であってもよい。シャフトは、プラグの面にわたって又はプラグを通じて延在する単一の連続的なシャフトであってもよく、又は、本体を通るプラグから延在する1つ又は複数のシャフト端部、軸、取っ手などであってもよい。単一の連続的なシャフトは、剛性を増し、シャフトを回転軸と整列した状態に保つのに望ましい場合がある。リミットスイッチ、動き検出スイッチなど(図示せず)が、プラグが開放位置もしくは閉鎖位置にあるか、及び/又は、開かれているか閉鎖されているかを示すために、シャフトの外側端部の片側又は両側に設けられてもよい。
【0028】
[052]
図1に示されるとおり、弁プラグは通路における偏心回転のために取り付けられてもよい。シャフト及びプラグの回転軸は、プラグの直径からオフセットされる。結果として、回転軸の第1側にあるプラグの第1部分は、回転軸の第2側にあるプラグの第2部分よりも大きく、かつ入口流体圧力を受ける面積がより大きい。これは、回転軸及びシャフトを中心とするモーメント及びトルクを生じさせる。この配置構成は、シャフトが回転軸及びシャフトの両側の流体圧力を部分的に均衡させ、従って密閉するためにプラグが直接耐えなければならない圧力を減少させるという点で別の利点を有する。
【0029】
[053] 弁プラグが閉鎖位置にあるとき、加圧システムにおける圧力(P)はトルク及びモーメント(M)(
図2に示されるとおり)を回転軸を中心として弁プラグに生じさせる。
図1に示されるとおり、組立体は、解放機構であって、回転軸を中心とするトルクが選択された大きさを下回る場合、弁プラグが閉鎖位置から回転するのを防ぐように構成され、回転軸の周りに加えられたトルクが選択された大きさを超えると、プラグ及びシャフトを解放して開放位置へ回転させるための、解放機構を含み得る。
【0030】
[054] 一実施形態において、解放機構組立体は、
図1及び
図2に示されるとおり、弁本体に取り付けられる。解放機構は破損ピンを含み得る。
図1に示されるとおり、破損ピンはピン取付具を介して解放機構組立体内に取り付けられ得る。解放機構はまた、回転軸周りのトルクを破損ピンへ加えられる荷重へ変換する接触アームを含み得る。破損ピンは、接触アームにより加えられる所定の荷重の下で変形及び/又は破損するように構成される。破損ピンは、所定の荷重を受けると曲がる又は破損する、永久に又は不可逆的に変形可能な構造であってもよい。破損ピンが図示されるが、本開示は、所定の荷重の下で変形及び/又は破損する、梁、バー、プレート、ディスク、ばね、もしくは同等の構造(又はこれらの任意の組合せ)を含むがこれらに限られない、任意の好適な機構の使用を想定する。このような機構は永久に又は不可逆的に変形可能であってもよい。代替的に、このような機構は、変形要因の荷重が除去されると初期状態へ戻るように、可逆的に変形可能であってもよい。破損ピン(又は他の好適な機構)には、表面の引っ掻き又は直径が短い領域など、破損を円滑にするための又は特定の破損ポイントを確立するための特徴部を設けてもよい。
【0031】
[055]
図1に示されるとおり、破損ピンは、接触アームにより加えられる屈曲タイプの荷重を受ける。破損ピン(又は他の好適な破損機構)は、米国特許第5,947,445号(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)の
図4〜
図6に示されるとおり、圧縮、張力、又はせん断などの異なるタイプの荷重を受け得ることも想定される。例えば、圧縮タイプの座屈ピン解放機構が
図14に示される。引張破損部材を使用する解放機構が
図15に示される。
図15に示されるとおり、引張破損部材は接触アームの一端及び引張破損部材取付具へ取り付けられる。引張破損部材は、例えば、所定の張力を受けると破損するように構成されたロッド又は平らなプレートであってもよい。引張破損部材は、例えば
図15に示されるような、破損部材が破損する張力を設定するように構成された狭い領域を含み得る。別の例として、
図16〜
図18はせん断ピンを使用する回転可能な弁組立体の実施形態を示す。
図16及び
図18に示されるとおり、回転シャフトが弁プラグから延在し、アームがシャフトから延在する。せん断ピンはアームとピン取付具との間に位置づけられ、アーム(及びシャフト)が回転するのを防ぐ。
図16に示されるとおり、せん断ピンは、せん断を円滑にしかつせん断ピンが破損し得るせん断値を設定するための、狭められ、弱められた領域を設けられてもよい。
【0032】
[056]
図1及び
図14〜
図18は、シャフトから延出して破損機構に係合する接触アームを示すが、本開示はこのような配置構成に限られない。一実施形態において、破損機構は回転シャフトと直接係合してもよい。例えば、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる同一所有者による米国特許第5,984,269号の
図1に示されるとおり、ピンは、シャフトを通じて挿入され、弁本体に係合され、ピンをせん断荷重へさらしてもよい。
図19に示される別の例として、圧縮タイプの座屈ピンが、座屈ピンが弁シャフトの回転に対向するように、弁シャフトの一部に直接係合してもよい。
図19の座屈ピンが所定の荷重を受けると、それは破損しシャフトの回転を可能にし得る。
図19に示されるとおり、ピンねじが、座屈ピンに予荷重をかけるよう設けられてもよい。別の実施形態において、座屈ピンはばねなどの別の予荷重機構を使用して予荷重をかけられてもよく、又は、ピンカートリッジ内で予荷重をかけられてもよい。
図20に示されるさらに別の例のとおり、引張破損部材(例えば引張ロッド、又は引張プレート)は、引張破損部材が弁シャフトの回転に対向するように、弁シャフトの一部と直接係合してもよい。引張破損部材に所定の荷重がかかると、それは張力がかかって破損し、シャフトの回転を可能にする。
【0033】
[057]
図1は、破損ピンに予荷重をかけるのに使用され得るピンねじを示す。
図14は、圧縮タイプの座屈ピンに予荷重をかけるのに使用されてもよいピンねじの別の実施形態を示す。破損部材に予荷重をかけることはまた、クランプ、ばね、又は他の任意の好適な予荷重機構を使用して達成されてもよい。予荷重により、弁プラグの性能の予測可能性が向上し得る。予荷重は、開口トルクへ加えられてもよく、これは弁をより迅速に開くのを助け得る。予荷重は、例えば弁シール及び機械的リンク機構における静摩擦を克服するために使用されてもよく、これらの要因の弁の開口圧力へ影響を減らし得る。
【0034】
[058]
図3A及び
図3Bは、
図1の回転可能な弁組立体の解放機構組立体の側面図を示す。図示されるとおり、接触アームは、破損ピンと接触して配置されたピン接触要素を含む。解放機構組立体はラッチとバンパーとを含む。バンパーは、弁プラグが破損ピンが破損した後に開くとき、プラグの回転エネルギーを(接触アームを介して)吸収するように構成される(
図3Bに示されるとおり)。ラッチは、弁が開かれるとプラグを完全に開放位置に保持するように構成される。ラッチ及びバンパーは
図3Bにおいて一緒に示されているが、ラッチはバンパーも他のエネルギー吸収機構も無しに設けられてもよいことが想定される。バンパー又は他のエネルギー吸収機構はラッチを使用せずに設けられてもよいことも想定される。
【0035】
[059] バンパーが
図3A及び
図3Bに示されるが、任意の好適なダンパー又はエネルギー吸収機構が、開口弁プラグの回転エネルギーを吸収するのに使用されてもよいことが想定される。例えば、
図4においてはばねが設けられる。別の例として、
図5においては折りたたみ式のベローズが設けられる。好適なエネルギー吸収機構は、(可逆的に又は不可逆的に)変形するように構成されてもよい。好適なエネルギー吸収機構の他の例は、ベルビルワッシャー(Belleville washers)、ベルビルスプリング(Belleville springs)、油圧ピストン、又はパッドを含み得る。エネルギー吸収機構は、取り替え可能であり得るモジュール又はカートリッジの一部として設けられてもよい。
【0036】
[060] ラッチが
図3A及び
図3Bにおいて示されるが、開口後弁プラグを開放位置に保持するために任意の好適な捕捉機構が(ラッチに加えて又はラッチの代替として)使用されてもよいことが想定される。例えば、
図6においてはねじりばねが設けられる。
図6のねじりばねは、開口トルクを弁プラグへ加えるように構成される。別の例として、
図7においては、磁石が、開口後に弁プラグを開放位置に保持するのに役立つ磁気力をかけるために設けられる。弁プラグを開放位置に保持するための好適な機構の他の例は、クリップ、面ファスナ、又は接着剤を含み得る。
【0037】
[061]
図6に示されるねじりばねはまた、破損ピンへ力を予めかけ得る。予荷重は開口トルクへ加えることができ、これは弁がより迅速に開くのを助けることができる。予荷重は、例えば、弁シール及び機械的リンク機構における静摩擦を克服し、これらの要素の弁の開口圧力への影響を減らすのに使用され得る。
【0038】
[062] 例えば
図1〜
図3Bに示されるエネルギー吸収及びラッチ特徴部は、弁本体の解放機構と同じ側に位置づけられる。本開示はその構成に限られない。例えば、
図8A及び
図8Bに示されるとおり、エネルギー吸収器は、弁本体の解放機構とは反対側に取り付けられてもよい。
図8Aに示されるとおり、弁シャフトには、弁プラグが開くとエネルギー吸収器と接触させられるアームが設けられてもよい(
図8B)。別の例として、
図9A及び
図9Bに示されるとおり、ラッチは弁本体の解放機構とは反対側に取り付けられてもよい。ラッチは、弁プラグが開くとき弁プラグシャフトから延出するアームを捕捉するように構成されてもよい(
図9B)。
図9A及び
図9Bに示されるラッチには、ラッチを締める又は緩めるのに使用され得るラッチねじが設けられてもよく、それによりラッチを作動させるよう加えられなければならない力を増大又は減少させる。ラッチを作動させるために加えられなければならない力を増大させることは、ラッチが、開口弁プラグからの回転エネルギーを吸収することを可能にし得ることが想定される。
【0039】
[063]
図8A、
図8B、
図9A、及び
図9Bは、エネルギー吸収器及び/又は捕捉機構に係合する、弁シャフトから延出するアームを示す。しかしながら、アームが使用される必要はないことが想定される。例えば、シャフトはエネルギー吸収器、捕捉機構、シャフトの回転の速度を遅くする又は止める機構、又は本開示の他の態様と直接係合されてもよい。
【0040】
[064] 一実施形態において、シャフトは、刻み目、又は弁本体に対するシャフトの回転を制限するために別の機構を作動するように構成された他の形状を含み得る。例えば、
図21に示されるとおり、シャフトは刻み目を含み得る。回転弁組立体において、
図21の刻み目の付いたシャフトが、
図22A及び
図22Bに示されるラッチなどの捕捉機構と併せて使用されてもよい。
図22Aに示されるとおり、シャフトは閉鎖弁位置にあり、ラッチは係合解除される。
図22Bに示されるとおり、シャフトは時計回りに90度、開放位置へと回転されており、ラッチがシャフトの刻み目と係合することを可能にし、シャフトが弁が閉鎖した位置に向かって回転して戻るのを防ぐ。
【0041】
[065] 別の実施形態において、シャフトの刻み目の付いた端部は、弁本体から延在し得る、又はそうでなければ弁本体へ取り付けられ得るシャフトハウジング(
図23A及び
図23Bに示される)内に嵌合し得る。シャフトハウジングは、シャフトが設定された位置(例えば、弁プラグの実質的に開放位置に対応する位置)を越えて回転するのを止めるように構成された突出部又は他の特徴部を含み得る。図説のために、
図23Aは、弁が閉鎖した位置にある
図21の刻み目の付いたシャフトを示し、
図23Bは弁が開放位置にある
図21の刻み目の付いたシャフトを示し、シャフトハウジングの突出部はシャフトがさらに回転するのを防いでいる。シャフトハウジングの突出部はシャフトからの回転エネルギーを吸収するように構成されてもよく、及び/又は、シャフトがさらに回転するのを防ぐようシャフトを捕捉する特徴部を含み得る。
【0042】
[066] シャフトが、クラッチ機構又はラチェット機構を含み得る捕捉機構と協働するように構成されてもよいこともまた想定される。例えば
図24に示されるとおり、シャフトは歯付き端部を含み得る。ラチェット又はクラッチ(図示せず)と対にされるとき、
図24に示されるシャフトは一方方向のみに回転することを可能にされ得る。結果として、シャフトが、開口後に弁プラグを閉鎖位置へ戻すことを妨げられ得る。
【0043】
[067] 回転可能な弁組立体の弁プラグは、弁を開く際の流体流れ特性を向上させるよう成形されてもよい。例えば
図10A及び
図10Bに示されるとおり、弁プラグには翼状又は方向舵状の断面が設けられてもよい。示される弁プラグは滑らかに湾曲する前縁を含み、後縁に向かって先細になっている。翼状又は方向舵状の弁プラグが開放位置にあるとき(
図10B)、流体は、(典型的には流体流れに対して切形のプロファイルを呈し、先細の特徴部を欠く)典型的な弁プラグの周りを流れる場合よりも、弁プラグの周りをより滑らかに流れることができる。公知の弁プラグと比較すると、結果としての滑らかな流れは乱れを減らすことができ、及び/又は、流出流体が流れ得る速度を高めることができる。加えて、翼状又は方向舵状の弁プラグの周りの流体流れは、弁をより迅速に開くために回転力を増大させてもよい。また、翼状又は方向舵状の弁プラグ周りの流体流れは弁プラグを開放位置に保持することができ、完全に開いた向きに達するとプラグの回転の速度を低下させ、及び/又は、プラグが開放位置と閉鎖位置との間で振動するのを防ぐ。従って、本開示は、弁プラグプロファイルの修正が、例えば
図1〜
図3に示されるものなどの掛け止め機構又はエネルギー吸収機構の必要性を無くし(又はその効果を増大させ)得ることを想定する。換言すると、翼状であるか方向舵状の弁プラグは、ラッチ及び/又はエネルギー吸収機構と共に又はそれ無しに使用されてもよい。
【0044】
[068] 回転可能な弁組立体は、反り又は環境熱からの損傷を受けやすい構成要素を含み得る。従って、熱シールドが、回転可能な弁組立体又はその構成要素を環境熱から保護するために使用されてもよい。例えば
図11Aにおいて示されるとおり、回転可能な弁組立体の解放機構組立体は熱シールドで囲まれてもよい。加えて又は代替的に、熱シールドが弁本体の一部又は全ての周りに設けられてもよい。一実施形態において、熱シールドは弁本体に取り付けられ得る。
図11Bに示される別の実施形態において、熱シールドは、弁本体と熱源との間の弁本体の近くに位置づけられてもよい。
図11Bの熱シールドは、例えば、放射熱を反射させて取り除く反射帆であってもよい。反射する、弁を熱源から絶縁する、又はさもなければ保護するのに好適な他の任意の機構も想定される。熱シールドが、弁の非対称的加熱を防ぐのに特に望ましい場合があり、その理由は、非対称的加熱は、弁の動作を妨げ得る本体とシャフトの関係におけるゆがみを生じ得るためである。
【0045】
[069] 公知の回転可能な弁プラグで使用されるオフセットされたシャフト設計の結果として、公知のプラグの質量は回転可能なシャフトにわたって不均一に分配され得る。本開示は、オフセットされたシャフトを備えた重量が均衡した又は重力が中立のプラグを提供することを想定する。例えば、
図12に示されるとおり、弁プラグの一部は、シャフトの一方側の質量を減らすための空洞を含み得る。
図13に示される別の例として、弁プラグには、シャフトの一方側で質量を増大させるために釣り合い重りが設けられてもよい。また、(例えば、
図10A及び
図10Bに示される翼状設計において)弁プラグをシャフトの一方側でより厚くするよう成形することによっても、弁プラグの重量をシャフトに対して釣り合いをとることができることが想定される。
【0046】
[070] 前述の開示の少なくとも一部は弁シャフトの一端に位置づけられた1つの解放機構を有する回転可能な弁プラグ組立体に注目しているが、本開示はこのような配置構成に限られない。本開示の原理は、複数の解放機構を有する回転可能な弁プラグ組立体に使用されてもよい。例えば、組み合せられた解放機構の対が、弁シャフトの各端部に1つの解放機構があるように設けられてもよい。このような配置構成は、圧力下に置かれた場合弁プラグ及び弁シャフトへのより均一な荷重をもたらし得る−例えば、このような配置構成は、弁シャフトへ加えられるねじれを減らし得る。本開示の原理は、例えばラッチ及び/又はエネルギー吸収器をシャフトの一方又は両方(すなわち解放機構の一方又は両方)の端部へ設けるのに使用されてもよい。
【0047】
[071] 前述の実施形態は例示的なものに過ぎない。他の実施形態は、本明細書の検討及び本明細書における開示の実施から当業者には明らかとなるだろう。